理学療法学 第
20
巻第2
号69 〜 75
頁 (1993
年)報 告
痛
み
に
対
す
る
理
学療法
の
効果
t辻 井 洋
一
郎
** 要旨 理学 療法の痛み治療の効果判定のため, 痛みを生 理学 的に解説し, 理学療法の治療効果判定の某 盤 を 探っ た。 近年, 痛みの問 題は痛覚の話にと ど ま らず,
鎮痛系や神 経 性 炎 症 及 び神 経・
免 疫 連 関 を も含 む 生 体 防 御 系の領 域にまで広 がっ て いる。
そのような痛 み 研 究の展 開・
進 歩に し た がっ て,
治 療 は鎮 痛 機 構を促通させ て…
時 的な痛みの軽減・
消 失を える“
症 候 治 療”
と,
痛み の原 因 病 変の改 善を目 的と した“
原 因 治 療”
とに明 確に分 類 される ようになっ たといえ る。 現 在,
理 学 療 法 は両方の“
治 療”
を行っ て い るが,
鎮 痛 系の生理的 作 用の存在か ら して,
痛み な どの原 因であ る病変に対す る “ 原 因 治 寮 がこれ からもよ り発 展さ れるべ きで ある。 キー
ワー
ド 痛み,
鎮痛,
理学療法 は じ め に 理学療法には患者 自身が能 動的に行う t訓 練”
と, 患 者が受け身と なる“
治療’
とが ある。 生 理効果を,
訓 練 は主に学 習 効 果に求め, 治 療は非特異的な物理的刺激に よ り誘 起さ れ る生体防御 機構を基 盤と し た反応に求め る。WCPT
によれば1),
殫学 療法の 目 的の筆頭に痛みの 緩和を挙げて い る。 また,
理 学 療 法は古 来よ り慣 習 的に 痛みの医 療の一
分 野 を 占め て きて いる。 しか し,
痛 みの 解剖, 生理及び病理のすべてが解明さ れ たわけで はなく,
そのなかで痛み に対 する理 学 療 法 が科 学 的 証 明を え る に 至る ま で に は ほど遠い道程がある であろう。
痛 みに対 す る理学療 法の大 部 分は病 態 生理学 的な根 拠に乏し く,
慣 習的 な方法が多い。 痛みの 治療には,
痛みが軽 減した と か,
増 悪した とか,
とい っ た痛覚の程度の変化を 基 準 とし た効 果判定を用い て いる症候治療法と,
例えば骨折や外傷のよ うな痛みの 原因と して の組織損傷などの治癒 程度を基 準 とし た効 果 判定を用い で いる原因治 療法と があ る。 前 者は痛みな ど.
The Ef}icacy of Physical Therapy for Pain*
*
名 古屋 大 学 医 療 技 術 短期大 学 部理学 療 法学科
Yoichiro Tsujii
,
RPT :Dept.
of Physical Therapy,
Nagoya University College of Medical Techno】ogy
(受 付口 1992年 1月 tO日/受 琿日 1992年 IO月27
H
) の原 因は放置し た ま まであ り,
その原 因が残存して いれ ば,
痛み が再 度出現すること は予期で き るもの で あ る。 こ のような痛 みな どの一
時 的な緩 解に引 き続 き起こ る症 候の出現は“
再発” と呼ば れる こと が多いが,
これは病 変の再 発 という意 味ではない もの と考 え られる。 後 者は 痛みを 出現させ て いる組 織 損 傷な どの原 因を取り除 くこ と を目的 と した治 療であ り,
痛覚の程度をその治療効果 判定の基準とする もの で は なく,
組織の撮傷の治 癒程度 を基準と して効果を判定するもので ある。 本稿は,
理学療法に関わ る痛み を主に生理学的に解説 す ることによ り,
症候治療 法と原因治療法との相 違にっ い て考察し,
痛み に対する 理学療法の探 求すべ き方向性 を考え ること と す る。 こ こ で は痛み を痛覚や鎮 痛な どの働き を司る中枢性機 構と,
痛 覚 受 容 器の効 果 器と しての働きにつ いて の末 梢 性 機 構の2
っ に大 別して解 説 す る。 ま た,
末 梢で の侵 害 的刺 激がみっから ない状 態にて発 生 する慢 性 痛の実 験 的 な生理学 的 機 序にっい て も述べ,
理学 療 法 治 療との関わ りを考 察 する。1 .
痛 みの生 理 学 的 基 礎 1.
痛みの 中枢 性機 構 痛みの巾枢性機 構に は,
‘
知覚の形成過 程”
,
“
tma 動の70 理 学 療 法学 第 20巻第
2
号 形成過程”
,
“
自律 神経反射の形成過程” 及び“
鎮痛系”
の働き が考え ら れて い る2)。 痛覚には“
チ クッ と感じ る一
次痛と“
ジー
ン”
と感 じ る 二次痛が あ る。 臨床に て問 題と す るのは 二次痛で あ る。一
次 痛は末 梢 刺 激や 心 理的 要 因に よ る痛覚の程度が 変 化 する修 飾 作 用が ない こと か ら3),
生 体 警 告 系として の痛 覚とい うこと がで きる。 しか し情報の精度が低く, 鈍い うず くよ うな.
二次 痛に は修 飾 作 用があり,
その情 報 の信頼性は低い こと から考えて, 痛みの警告系と しての 働 きは少ない ことが想 像で き る。 二次痛の修飾 作 用が中 枢 神 経 系に存 在 する鎮 痛 系に よ るもの で あ る。 痛覚の中 枢 経 路か らみ て,
二次 痛の受 容 器で もあ るポ リモー
ダル 受 容 器から入 力 された信号は複雑な 経路をた ど り,
情動 形成に関係 する辺縁 皮質や自律神経系機能な ど に関 係 す る視 床 下 部 な どの 種々な部位と関係する。 ポリモー
ダル 受容器か ら入力さ れ た信号の経 路に は内 因 性の モ ル ヒネ 様物質な ど を放出するニ ュー
ロ ンが存在する2)。 こ の よ う なメカ= ズム の 臨床応用例は鍼や灸な ど である。 理 学 療法において も,
月痛 点な どの痛 覚 過 敏 部 位へ の“
非 侵 害的” な圧 迫によ る痛み刺激を与える ことに よる鎮 痛 作 用は臨床で経 験で き る。 鎮痛 系の中には内因 性モ ル ヒネ様 物 質であるオ ピオ イ ドや,
非オ ピオ イド系 物質と しての セロ トニ ンやア ドレ ナ リンな どを 放 出 するニ ュー
ロ ンが存 在して い る。 この 鎮痛系は身体的及び心 理的刺激に より促通さ れ る。 例え ば,
ヒ ト の鍼 灸 治 療や動物の電 気足シ ョ ッ ク試 験,
拘 朿 ス トレ ス試験,
強制水泳な どの身体的ス トレ ス4 ),
あ る いは電 気ショ ッ ク を 以前受けた環境ドに戻 す だ けの条 件 抑制 (環境ス トレス),
劣 位な ネ ズ ミが優 位なネズミか ら攻撃を受け た と きの敗北姿勢 (敗 北ス トレス),
数日 齢の仔を母 獣か ら隔離することによる生 体の非 特 異 的 反 応 (隔離ス トレス)な どの心 理的ス トレ ス により惹 起さ れ る鎮痛が報告 さ れてい る4)。 この よ う な身 体 的及び心 理的ス トレスに よ る鎮 痛が ヒ ト に も起こる5−
9)。 患 者に とっ
て,
病院な どの治 療 現 場のすべて の身 体 的及び心 理 的刺激が鎮痛を誘 起 するス トレ ス刺 激と なる可 能 睦 を含 んで い る。 理学 療法 室の環 境か ら 理学 療 法 士の対 応に至 る まで,
治療行為以外の さ ま ざ ま な刺激が患 者に とっ て ス トレ ッ サー
と な り, 鎮痛効 果を生じ ること も あ ろう。 また初 回の治 療 時にはス トレ ス と感 じたことも2
回以後 の治 療 時に はス トレ ス とな らない こと もあり, 鎮痛程度 が治 療 回数だけに より変化 することも予 想さ れ る。
理学 療 法の治 療 行 為その もの も,
患 者にとっ て はス トレッ サー
と なりえ ると考え ること もで き る。 そ れで は治 療 時 に与えられ るス トレスを治 療行為 自体に よ るものと, そ うで ない もの とに分 別できるであろ う か。
その よ う な分 別 を正 確に行 うことは不 可 能であろ う。 よっ て,
治療行 為 自体のみ によ っ て純 粋に起こっ た鎮 痛の程 度は判 明 し ない こ ととなる。 鍼に よ る鎮痛効果に個 人弟 が大 きい こ と10)は鍼 刺人に対する恐 怖 匚、などの ス ト レ ス の違いに よ る ものか も し れ ない。
以 トの ように,
臨 床で対 応 している二次痛に は鎮痛系 による痛 覚の修 飾 作 用があり,
その鎮痛系が治療行 為を も含ん だ身体 的 及 び心 理 的ス トレ ス によ り誘起さ れ るこ と3)か ら して,
痛み の程 度の変化は純粋な治療行 為その もの によ る と考え ることに は無 理がある。 2.
痛みの末 梢 性 機構 皮膚を引っ かくと発赤する。 これはポリモー
ダル受 容 器が興 奮 し,
その 終末で放 出す るサ ブス タ ン ス P な ど の神経ペ プ チ ド に原 因 する (図1
)。
その神 経ペ プチ ド の前駆体は後根神 経 節 細 胞 体で合 成され,
その95
% は 末 梢側へ 運 ば れ る といわ れて い るn )。
中 枢 側 ( 図 1の 1 )では神経 伝達 物 質と して働 く。
ポ リモー
ダル受容器 は交感神 経節に て交 感 神 経 線 維とも連 絡 を も ち (図1
の2
),
その分 節で の交 感 神 経 反 射 を 惹 起 する。 ま た,
末 梢 側で放 出されたペ プ チ ド は小動 脈の拡張,
小静脈の透 過 姓 亢 進,
肥 満 細 胞 か らの ヒ スタ ミン放 出を促すことに より (図1の 3, 4 ,5), その局 所の発 赤,
発 熱 及 び 腫 脹 を 誘 起 する。
こ の現 象は神経性炎症と呼ば れる。
神 経 性 炎 症はマクロ フ ァー
ジ の食作用,
好 中球の傷 害 部へ の走 化 性及 び線 維芽 細 胞の増 殖の促 進をも含 む 反 応である (図 1の6
,7
,9
)。 さ ら に, こ の ペプチ ドはT リン パ 球の 増 殖 を 促 進させ る (図1
の8
)。 神 経 系と免 疫 系との対 話である。 サ ブス タン ス P な どの神経ペ プチ ド は炎 症 現象に と ど ま らず, 免疫 系,
血 管 以 外の平 滑 筋,
心 筋 活 動の調 節 (図1
の 10) な どの局所の神 経 性 末 梢 機 能調 節に働く物 質と して も重要である。 神 経 系 と免疫 系が相 互 対 話 を行っ て いる とい う神経・
免疫 連 関の存 在は生理 学 的に最 近明ら かた
さ れ た12)。 例と して,
乳ガンに罹 患 した妻 をもっ 夫に免疫能の低ドが認め られ たことt3)や,
学 生の試 験ス トレ ス に よ りT
細胞の幼若化 反 応の低 下 や インター
フェ ロ ン産 生 能の低 ドな ど が学 生の栄養状態 と は関係なく起こること14)などが 挙 げ られる 。 神経・
免 疫連関に関 与する神 経ペ プチ ド は ポ リモー
ダル受容器が 放 出する サ ブスタンスP
だけで は なく,
さ ま ざ まな神痛みに対 する理学 療法の効果
71
_ … ・ 図1
ポ リモ
ー
ダル受 容 器の効 果 器 作 用2) 経 及 び 内 分 泌 細 胞 由来の ペ プチ ドがみつ かっ て い る L2) 。 ま た, 相互対話といわ れ る か ら に は,
免疫細胞か らの呼 び か け も あ り,
神経 ペプ チ ド に対応す る 免疫 細 胞か ら放 出さ れ る物質は イ ンター
ロ イ キ ンや イ ンター
フェ ロ ンな どの サ イ ト カ イ ン で ある12)。 ポ リモー
ダル受 容 器の放 出 する神 経ペ プ チ ド は血管や 肥満細胞な ど に作用 し て神経 性炎症を惹起し, そ の局所 の治癒 過程を 進行さ せ る と と も に,
免 疫 組 胞に も影 響を 与え,T
細胞の増 殖な どの免 疫反応を惹 起し,
免 疫 活 勁 を促進 さ せ る。 病理学 的に,
組 織が損 傷さ れ る と,
炎 症 反 応が起こる。 炎症 反応は,
組織 損傷,
炎 症 惟 血 管 反 応,
組織の浄 化であ る免 疫 反 応 及び組 織の 修 復・
再 生の4
っ の過程に大 別で き る。 細胞 破壊に よ り生じ た化 学 物 質な ど によ る興奮したポ リモー
ダル受容器は, 痛覚を.
i
:位 中 枢に伝え る だ けでな く,
その末梢で,
神経ペ プチ ドを放 出す ることによ り, 組織治癒過程であ る炎症の InL管 反 応,
免 疫 反 応 及 び組 織の 修 復に と,
炎症 現象の初 期か ら関係 して い る。 3.
慢 性 痛の メ カニ ズム これ まで痛みの問 題 を中枢性及び末梢性 機構の 2っ に 大別 して解説して き た が,
双 方とも痛みを起 こす 末梢で の侵害刺 激の存在を前提と して話をす すめて きた。
しか’
し,
末 梢の皮 膚や筋な どの受 容 野に侵害刺 激の存在する 証 拠がみっ か ら ない慢性痛の病態が あ る。 カ ウザル ギー
や 幻 肢 痛,
あるいは‘
精 神 的 な痛み’
な ど が その例で あ る。 現在, 慢性 痛の病態機 序は動 物モ デルを用いた実 験 が盛ん に行われて はい る が,
メ カニ ズ ム解明にまで は 至っ ていない。 こ こで は慢 性痛の動物モ デル にっ い て述 べ,
今 後の理 学 療 法との関わ り を探る ための一
助と し た い 。 ポ リモー
ダル受 容 器を繰り返し刺 激 する と,
その反応 の 閾 値が低 下し,
誘 発される放 電数が増 加す る感作 (sensitization ) が生 じ る且5) 。 こ の感作現象は一
般に皿・
72
理学療法学 第 20巻第 2 号A
P醗G TRAUMA.
熟
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一
.
.
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−
1
凾
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獣 囚図2
慢 性痛の生理的モデル の模式図17) A は皮 膚の外傷に対する早 期反 応 を示 す
。
C線 維 侵 害 受 容 器 (C−
noci ) に起 こっ た活動電位は後根節 (DRG ) を通 して脊髄に達 する.
そ こ で高 位 中 枢にE
行紬 索を送っ て いる広 作 動 域 (WDR )ニ ュー
ロ ンを活性し,
感作さ せ る。 B で は, 感作した WDR ニ ュー
ロ ンが軽い触 刺 激に応 ず る 太径のA
線 維 機 械的 受 容 器の活 動に今や応 ずるようにな る。C
で は,
感 作し た同じWDR
ニュー
ロ ン がA 線 維 機 械 的 受 容 器の活 動に再び反 応す る が,
その活動は皮 膚の刺激によ るもの では な く,
交 感神経の活 動により誘起さ れ た もの であ る。 こ の段 階での 痛み は交 感 神 経に保 持さ れ た もの と な る。 次 求 心 性ニ ュー
ロ ンの現象に対して呼ばれ ることであり,
脊髄な どの中 枢 神 経 系の 二 =一
ロ ンに起こ る1
司様な現象 は“
wind up”
現 象と呼ば れ,一
次求心神経 (C
線維) を 1秒に一
度 程 度の頻 度で反復 刺激 す る と,
その刺 激に 対 する脊 髄 後 角 内ニ ュー
ロ ン の反 応が次第に増 大 する現 象であ る。 この現 象はヒ トで も み ら れ る繰り返 し刺激に よ る痛み の増 悪の基礎過程の一一
っ と み な さ れて い る。
図 2A の広 作 動 域 (WDR
) ニュー
ロ ンが wind up 現 象 を 起こ し,
閾 値が低.
ドす ることで,
そ れ まで侵 害 的な刺 激 だ けに反 応 して いたWDR
ニ ュー
ロ ンが軽く触っ た り,
圧 迫し たりな どの非 侵 害的 な 刺 激 に も 反応す るよ う にな る。 さ らに圧 や 触 受 容 器 (図2
のA −
mechano )は 交 感 神 経 細 胞が放 出 する アセチル コ リンな どに反応する。 結果 的に,
交 感 神 経 が 興 奮 することにより,
痛 みが発 生 する (図2の C)。
精 神 的な緊張が痛み の増 強を起こす であろ うこと を示 唆 する慢 性 痛モ デル であ る。これ ら の
“
感 作”
や“
wind up”
現象16−
18)は末 梢での 痛みの原 因で ある侵 害 刺 激がもは や なくなっ た状態で も“
痛み”
が起こ る こ と を示唆 す る実験的 現象で あ る。
他 に,
幻 肢 痛 機 序に軸 索が枝を出す発芽現象や無髄伸経 線 維が混 線 を起 こすephapsis 現 象が挙 げられて いる19)。痛み に対する 理学療 法の効果 73 表
1
筋 病 態 (筋 硬 結など)に付 随 する症 候 及 び徴 候 痛み (頭 痛,
歯痛,
背部 痛,
胸 部痛,
腹部痛,
腰 痛,
四肢 痛 ),
痛 覚 過 敏,
こわ ばり やこむら返り様の異常 感 覚 (肩こり,
腰こ り な ども含 む),
関 連 痛及 び関連 異常 感覚,
運 動 痛 (収 縮 痛,
短 縮 痛及 び伸 張 痛 ),
局 所の 「虹管 収 縮 (腰,
足の冷え),
発 汗 過剰, 鳥肌 位 毛筋反射亢 進 ),
皮 膚の突っ張 り,
皮 膚の しみ,
し わのな く なっ た皮膚, 皮 膚が薄 く・
っ るつ る に・
光 沢 を お びる, 脱毛, 爪が肥厚・
硬化・
割れ やす くな る,
涙 また は唾 液の過 剰 分 泌ま た は分泌低 ド 感冒・
鼻 炎・
冂内 炎・
面皰な どの感 染 症 筋短縮,
関節可動 域制限,
疼痛 (特に矩縮 痛 ) 抑 制 姿勢,
こわばり,
腱肥厚,
平衡1
璋害,
め まい,
耳 鳴,
−
F
一
に もっ た もの の’
重景 認 知障 害や歩 行 時に足 が1
/っ た つ も り でっ ま ず く な ど (固有受容器 障 害 ),
アキ レ ス腱 反 射 低 ド,
膝折れ症候 群, 静脈 瘤,
骨 盤位 (さ か ご),
局 所 (筋 ) 収縮反 応 身 体 運 動や気 候によ る症 候の修 飾,
全 身 性疲 労,
眼 精疲 労, 睡眠障害,
排尿・
排 使の痛み な どの症 候に よ る修飾,
不 安, 不安や精神ス トレ ス に よ る症候の 増 慈,
な ど。 贓n .
痛 みに対 す る 理 学 療 法 治 療 痛みの 問 題は もはや痛覚だ けの話に と ど ま らず,
鎮 痛 作 用か ら神 経 性 炎 症や神 経・
免 疫 連 関に関 する話にまで およ ん で きた。
さ ら にニ ュー
ロ ンの可塑 性に関わる複 雑 な問 題 まで が実 験 的に解 明されよ う と して いる。 理学療法で対象とする痛みが明ら かな組織 損傷によ る 侵 害 刺 激が原 因であると き,
その痛み は症候の.
一
つ にす ぎ ず, その他の症候も さ ま ざ ま に存在するのが ふっ うで あ る。 例え ば,
筋 肉 痛を 主訴と す るFibromyalgia
症 候 群や筋・
筋 膜 性 疼 痛 症 候 群が示 す 症 候 や 徴 候は多 種 多 様 で あり (表 1),
痛み はそれ らの う ちの一
っ で ある こと がわか る2e)21)。
これ らの症 候 群は筋の一
次 的 な 病 変に よ り起こる といわれてお り22),
筋の病 変 が 改 善 され ないか ぎり,
そ れに よる症 候や徴 候は軽 滅また は消 失 しない こ と は予 想で き る。 し か し痛みには身 体 的 及 び心 理 的なス トレ スによ る鎮痛作用が あ る。 鎮 痛 系の促 通だけを図る 症候レベ ルで の治 療で は痛み以 外の症 候 や 徴 候に は大 き な 変 化 が ない で あ ろ う。 ま た鎮 痛 系の働き が お さ まると,
\
〈
藤
ノ
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(
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8YMPHA 了HOE 瓢CtTA7ゆN
図OVEMENT FAC悶7ATεO AN τINOC 蓼CεPTlON
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趣
旗
ご
εYMPHATHOtNH13tTION MVgCU しAR 臼εLAXATiON RεDUO 匸O SOMESTHESSA図
3
異なっ
た内 因 性 鎮 痛 機 構23) 中脳 水道の背側 核と腹 外 側 核か らの ト.
行 性 遠 心 路に よ り 誘 発さ れ た鎮痛, 自律 神経 反応及び運 動 反 応は異な る。 背 側 核の関与する急性反応は純粋な痛み だけの抑 制 (後 角 )は行 うが,
交 感 神 経 系 (側 角)や運勁 系 (前 角 )の 促 通を行う。一
方,
腹 外 側 核に関 与する鎮痛は オピオ イ ド (モ ル ヒネ様 物 質 )に よ るもの であ り痛みの 抑 制の み ならず他の 感覚も抑制し,
交 感 神 経 系 及び運 動 系の機 能 を も抑 制 する。
その痛みも再び出現 するこ と が容易に予 想できる。
さ ら に関節マ ニ ピュ
レー
シ ョ ンなどの よ うに一
般 的に10〜
20
分 以 内の短 時 間に て行わ れ る治 療手段の な かに も,
鎮 痛 効 果 を も た らすことがある が, そ の よ う な短時間の 刺 激で は1
司時に自律 神経 系と 運 動系が 促 通 さ れる結 果を 生 じるこ とが想 像 さ れる (図3
)。
こ の こと は痛み は軽 くなる もの の,
交 感 神 経は活 動 を 増し, 筋緊 張が亢進 す る とい う結 果を残 す。 五 卜肩,
テニ
ス肘,
腰痛症な どの 筋・
筋 膜 性 疼 痛 症 候 群の原 因が罹 患 筋の循 環障害であ る と い わ れて い ること からしで4),
循 環 障害を 増強する筋 緊 張の 兀 進は さらに新た な痛みの原 因 をっ く るこ と と な74
理学療法学 第20巻 第2 号 る25)26)。 理学療 法の治 療 手 段 と して,
鎮 痛 作 用の促 通に 終わ らず, 原 因病変を改善する治療法が多用される こと が より期待さ れ る。 痛 みの末 梢 原 因であ る組 織 損傷な どの侵 害刺激が ない 慢 性痛の治療の場 合,
そ の メカニ ズム が解明さ れて い な い現 在で は,
理 学 療 法が それ らに対して何がで き る か は 不明で はある。 慢性 痛が中枢 神 経 系の可塑性によ る現 象 であることが示唆 されているので,
理 学 療 法の手 段に よ る外刺激を与え る ことに よ り, 変 調した伸経 系の状 態 を 変 化さ せ る可 能 睦は あ り,
そ れ らの 患者の 日常の丁寧な 臨 床 観 察が最 適な治療法を生む た めの,
現 在, 我々 が と れる最 良の方 法であろう。 本論文の要 旨は第26
回日本理学療法 十学会に て報告 した。 本 起 稿は神 奈川 リハ ビ リテー
シ ョ ン病 院の 田 口順 子 先 生の推 薦によ る もの であ る。 こ の機会を与えてい た だい た ことに感 謝いた し ます。 文 献t)World Confederation for Physical Therapy :Principles
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一
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他1筋ス トレッチン グー
筋・
筋 膜 摩 擦 伸 張 法.
理学 療 法
ハ
ン ド ブッ クt 改 定 第2版,
細田多 穂,
柳 澤 健
1rk'jl,lcS3id-6uet\talkdiptSl
75
<Abstract>
The
Efficacy
ofPhysical
Therapy
for
Pain
Yoichiro TSUJII, RPTDopartment
of
l'hysicat
Thermpy
Ndgoya
dniversiCy
Cottege
of
Medicat 7'echnology
In
orderto
judge
the
ethcacy of physicaltherapy
(PT)
for
pain,thispaper reviewed the physiology of pain,and explored thebasis
for
thejudgement
ofPT
treatmentfor
pain. Recent-ly,the study of pain isno longer the study of pain sensation, but for the area of the bio-defensive mechanisms including analgesia, neurogenic imflammatien and/or neuroimmuno-logy.
Upon
the
development and the progress of thestudy of pain,PT treatment isclearly classi-fiedintotwo categories; "symptom treatment"which isaimed toobtain transient relief of pain through the
faci}itation
of the analgesic system and "cause treatment"which isaimed to im-prove the cause of the pain,