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第11回日本助産学会学術集会集録 一般演題 (口頭発表) 第1群

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第1群:1

NICUに

お け る初 回 面 会 ま で の

両 親 へ の 対 応 を 明 らか にす る

― 母 親 が 父 親 よ り児 の 状 態 を 聞 い た と き の 印象 を も と に ― 長 野 県 立 こ ど も病 院 新 生 児病 棟 ○ 菅 沼 明 美 内 田美 恵 子 三 輪 百 合 子 1.は じめ に 当NICUに 入 院 す る 全 て の 患 児 は 院 外 出生 で あ る 。入 院 方 法 は 、95%以 上 が 当院 救 急 車 に よ る 搬 送 で 、 当病 棟 の 医 師 ・看 護 婦 が搬 送 依 頼 先 病 院 に 患 児 を 迎 え に行 く。 依 頼 先 病 院 で は 、分 娩 立 ち 会 い や 搬 送 に必 要 な 処 置 を行 い 、搬 送 理 由 を必 ず 母 親 に説 明 し、 患 児 に面 会 して か ら当 院 に搬 送 す る こ とを 原 則 と して い る 。 そ の た め 、 母 親 が ゆ っ く り患 児 に 会 え るの は 、 患児 が 入 院 して か ら数 目 後 で 、入 院 後 の 患 児 の 状 態 は 父 親 か らの 間 接 的 な 説 明 の み で あ る。 母 親 が入 院 後 の 患 児 に 初 め て面 会す る(初 回 面 会)ま で は 、 父 親 が 患児 の 状 態 に 関す る 情 報 提 供 者 と い うの が 現 状 で あ る。 そ こで 、 当院 に 患 児 が 入 院 してか ら母 親 が 面 会 す る ま で の 間 、 母 親 は 患 児 の 状 態 を どの 程 度 理解 し、 予 想 して い る か 、 そ して私 達 に な に を 求 めて い るの か を 明確 に す る た め に 調査 を行 った の で報 告 す る。 II.研 究 方 法 1.期 間:平 成8年9月1日 ∼平 成8年10月10日 2.調 査 対 象:平 成8年1月1日 ∼9月30日 ま で に入 院 した 患 児 の 両 親90組(死 亡 ・両 親 の ど ち ら かが 外 国籍 の 者 ・患 児入 院 時 の ム ンテ ラに 母 親 が 同席 して い る者 は除 く) 3.調 査 方 法:質 問 紙 を郵 送 及 び 手渡 しに て 配布 4.調 査 内容 <母 親 の 調 査> 患 児入 院 後 、 児 の 情 報 を 父 親 か ら は じめ て 聞 い た とき (1)父親 か らの 説 明 は どの 程 度 理 解 で き た か (理 解 度) (2)父親 か ら話 を 聞 き児 の 状 態 を 予想 す る こ とが で き たか(予 想 度) (3)予想 した 児 の状 態 が 重症 で あ る と感 じた か (重 症 感) (4)父親 は 患 児 の情 報 を どの 程 度 与 え て くれ た と 思 うか (5)父親か らの 説 明 を 理解 す る た め に 何 を 望 む か 以 上(1)∼(3)につ い ては5段 階 評 価 と し、 それ ぞ れ 、理 解 度 ・予 想 度 ・重 症 感 と した 。 5段 階評 価 は次 の 通 りであ る 。 5:非 常 に そ うで あ る 4:そ うで あ る 3:ど ち らで もな い 2:そ うで な い 1:非 常 に そ うで な い <父 親の 調 査> 母 親 には じめ て 児 の 状 態 を説 明 した と き (1)母親 に 患 児 の情 報 を何%く ら い話 せ た か (2)母親が 理 解 で き るた め に 何 を望 む か 皿.結 果 質 問紙 を配 布 した90組 中68組 よ り回 答 が 得 られ た。 回 収率 は75%で あ った 。 1)対 象 者 の背 景 母 親 の 平 均年 齢 は30.5(19-42)歳 、 父 親 の 平 均 年 齢 は33.5(21-49)歳 で あ った 。 分 娩 様 式 は 吸 引 を 含 む経 腟 分 娩 が53%、 腹 式 帝 王 切 開 が47%で 、 出生 順位 は第1子44%、 第2子 以 上 が56%で あ っ た。 初 回面 会 時 期 の 平 均 日数 は 、 患 児 入 院 後 、 経 腟 分娩 の者 は4.7曰 目、腹 式 帝 王 切 開 術 後 の 者 は7.8 日 目で あ っ た 。 患 児 の 疾 患 につ い て は超 低 出 生 体 重 児8%、 極 低 出生 体 重児14%、 そ の他 の 低 出 生 体 重 児17%、 心 疾 患13%、 心 疾 患以 外 の手 術 を 必 要 と す る 者16%、 肺 疾 患14%、 仮 死8%、 その 他(染 色 体 異 常 を 含 む) 5%で あ った 。

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2)理 解 度 ・予 想 度 ・重 症 感 の 分 析 理 解 度 に お い て 、5段 階 評 価 の平 均 は3.97で 、 非 常 に 理 解 で き た ・理 解 で き た とい う者 は 全 体 の80%を 占 め て い る。 予 想 度 の 5段 階 評 価 の 平 均 は2.8で あ り、 非 常 に 予 想 で き た ・予想 で き た と い う者 は 全 体 の35%で あ った 。 重症 感 の5段 階 評 価 の 平 均 は4.0で 、非 常 に 重 症 に思 った ・重 症 に 思 っ た と い う者 は 全 体 の72%で あ った 。(図1) 3)理 解 度 に 影 響 を及 ぼ す 因 子 母 親 が児 の 状 態 を理 解 す る為 に影 響 を 及 ぼ した 理 由 と して3つ 以 内 で 選 択 して もら っ た と こ ろ、 産 科 医 師 か らの 説 明 に 関 して36名 、 当院 医 師 ・看 護 婦 か らの 説 明 に 関 して30名 、 続 い て 当院 の しお り、 患 児 が 搬 送 さ れ る様 子 に 関 して が あ げ られ て い る 。(図2) 図2 理 解度 に影響 を及 ぼ した 因子別選択者数 産 科 医 師 か らの 説 明 が あ っ た者 の理 解 度 の 平 均 は 4.12、 説 明 の な か っ た者 は3.55で あ り、 産 科 医 師 か ら説 明 が あ っ た 方 が 、 有 意 に理 解 度 が 高 か った 。 また 、入 院 時 の し お りや 児 の 写 真 に おい て もそ れ ぞ れ あ っ た方 が 理 解 度 が 高 く、 有 意 に差 が 見 られ た 。 その ほか の 項 目 には 差 が 見 られ なか った。 (図3) 4)予 想 度 に影 響 を 及 ぼ す 因 子 母 親が 児 の 状 態 を予 想 す る た め に 影 響 を及 ぼ した理 由 と して3つ 以 内 で選 択 して も ら っ た と ころ 、 こ ど も病 院来 院 経験 に 関 して 32名 、 写 真 に 関 して30名 が あげ て い る。 続 い てテ レビ 番組 でみ た こ と ・友 人 か ら こど も病 院 の 話 を 聞 い た経 験 ・ビデオ に 関 して の順 に な って い る。 (図4) 写 真 の あ っ 図3 因子別理解度 得点 図4 予想度 に影 響を及 ぼ した 因子 別選択者数 た者 の 予 想度 の 平 均 は 、3.27で 、 写 真 の な っか た 者 に比 べ 有 意 に予 想 度 が 高 く、 有 意 差 が 見 られ た。 ま た 、病 院 で ム ンテ ラ 時 に 使 用 す る 説 明 書 の コ ピ ー の あ る 方 が有 意 に 予 想度 が 高 い 。 こ ど も病 院 来 院 経 験 の有 無 ・な どに う い て は有 意 差 は 見 られ な か った 。(図5) 5)重 症 感 に 影 響 を 及 ぼ す 因 子 母 親 が 患 児 の 状 態 を 聞 い た とき に 重 症 に 感 じ ら

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図 5因 子別予想度得点 れ た理 由 を3つ 以 内 で 選 択 して も ら った と ころ 、 呼吸 器 装 着 に 関 して あ げ て い る の は42名 、 当院 に 運 ば れ た事 に 関 して あ げ て い る者 は37名 で あ り、 続 い て 点 滴 に 関 し て とな って い る 。 (図6) また 、 呼 吸 器 を 装 着 してい る者 、 点滴 を して い る者 、 絶 食 状 態 に あ る者 は 、 そ うで な い者 に比 べ て重 症 に感 じて い る者 が 多 く、 全 て に 有 意 差 が 見 ら れ た。(図7) 6)母 親 に 対 す る父 親 の 児 の 情 報 提 供 母 親 は 自分 に対 し父 親 が どの程 度 話 し て くれ た と思 うか に つ い て 、 全 体 の平 均 は80.2%、 父 親 自身 が 母 親 に ど の程 度 話 した と思 うか につ い て 、 全 体 の 平 均 は 84.6%で 、 差 は 見 られ な か った 。(図8) 7)母 親 が 父 親 の説 明 を 理 解 す る た め の 因子 母 親 が 父 親 の 説 明 内 容 を よ り理 解 す る た め に 何 が 必 要 か に つ い て 、父 親 ・母 親 の 両 方 に 聞 い た と こ ろ、 当 図6 重症 感に影響 を及ぼ した 因子別選択者数 図7 因子 別重症 感得点 院 医 師 ・看 護 婦 か ら直 接 電 話 で話 を 聞 き た い 、 説 明 用 紙 の コ ピーが 欲 しい、 写 真 が 欲 しい な ど 父 親 も母 親 も同 じよ うな傾 向 が 見 られ た 。 母 親 は 父 親 よ りも病 院 ・児 の 状 態 が か か れ た パ ン フ レ ッ トを 希 望 して い る傾 向 が あ る。(図9) 図8 疾患別に児の状態をどの程度話したか(父)・ 聞いたか(母) 図9 児の状態を理解するために両親が望むこと IV.考 察 1.理 解 度 に影 響 を及 ぼ す 因 子 母 親 に と って 父 親 か らの説 明 は80%の 者 が 理解 で きて い るが 、 患児 の お か れ て い る状 態 は35%の 者 に しか 予想 で き て い な い 。 これ は 母 親 が私 達 の 求 め る患 児 の 状 態(疾 患)に 対 して の 理 解 とい う よ り、 患児 が 当病 棟 に 搬 送 され な け れ ば い け な か った こ との 理 解 であ っ た と考 え られ る。 しか し、 母 親 が 患児 を 当病 棟 に 搬 送 す る必 要 性 を 理 解 す る

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こ と は 、入 院 した 患 児 の 状 態 を 父 親 か ら聞 くと き の 理 解 につ な が る 必 要 な ス テ ップ で あ る と考 え ら れ 、 搬 送 依頼 先 病 院 医 師 に よ る 説 明 は その 手 助 け に な る と考 え られ る。 ま た 、 搬 送 時 に お い て の 当 病 棟 医 師 ・看 護 婦 か らの 説 明 の 有 無 も理 解 度 に影 響 を 与 えて い る。 搬 送 時 は 忙 し くあ わ た だ しい 中 で は あ るが 、 私 達N ICUス タ ッ フが 唯 一 母 親 と接 す る こ とが で き る 時 な の で 、児 ・母 親 の 状 況 が 許 す 限 り少 しで も状 況 説 明 をす る 必 要 が あ る。 2.予 想 度 に 影 響 を 及 ぼ す 因 子 予 想 度 に 影 響 を及 ぼ す 因 子 と して 、 患児 の写 真 ・当 院来 院 経 験 に 関 して が あ が って い る 。 これ は 、 当 院 の 存 在 を知 らな か っ た り、NICU医 療 が浸 透 して い な い た め 患 児 や 当院 に 対 す るイ メ ー ジ化 が で きな い為 と考 え る。 母 親 が 患 児 の 状 態 を理 解 す る ため 、 当病 棟 医 師 また は看 護 婦 か らの 電話 で の 説 明 を希 望 して い る。 確 か に そ うす る こ と で 患 児 の 状 態 に 対す る母 親の 理解 は深 ま る と考 え られ るが 、 児 の 重 症 度 に よ り 父 親 が母 親 に 十 分 話 が で き て い な い ケ ー ス もあ り、 父 親 か らの 説 明 の 内 容 や 母 親 の 受 け とめ 方 ・母 親 の心 身 の 状 態 も明確 で は な い た め 、 母 親 に 対 し積 極 的 に 患 児 の 状 態 を 説 明す る こ とは して い な い の が現 状 で あ る 。 母 親 が 父 親 か らの 説 明 内 容 を 理解 し、 患 児 の 状 態 を 予 想 で き るよ うに す る た め に患 児 の 写 真 や 病 院 ・患 児 の 状 態 を 説 明 した パ ンフ レ ッ ト、 そ して説 明 書 の コ ピー とい っ た視 覚 か らの 情 報 を 希 望 して い る 。 当 院 で 母 親 に対 し電話 での 説 明 を お こ な って い な い 分 、 視 覚 か らの 情 報 提供 が 必 要 に な る 。 3.重 症 感 に 及 ぼ す 因 子 重 症 感 に 関 して 母 親 は 、 患 児 が 当 院 に搬 送 され た こ と 、挿 管 ・点 滴 ・絶 食 な ど何 らか の 処 置 が施 され て い る 状 況 全 て に重 症 で あ る と感 じて い る。 父 親 が 母 親 に 患 児 の 状 態 を 説 明 す る内 容 を 左 右 す るの は 、父 親 が 患児 の おか れ て い る状 況 を どの よ うに 受 け とめ る か に よ る 。 そ こで 、 面 会 に来 て い る父 親 が 患 児 の お か れ て い る状 況 を 正 し く理 解 で き る よ うNICUス タ ッフ が 説 明 す る こ と や 、 父 親 が どの 様 に 理 解 した か を 確 認 す る こ とが 大 切 だ と考 え る。 ま た、 父 親 に 医 師 に よ る患 児 の 状 態 説 明書 の コ ピー や 写 真 を 渡 す こ と も、 父 親 が 母 親 に 患 児 の 状 態 を 説 明す る際 の 手 助 け に な る と 考 え る 。 た だ し、 母 親 に全 て の 情 報 を与 え る こ とが い い の か 定 か で は な い た め今 後 、 検 討 して い く必 要 が あ る。 初 回入 室 面 会 時 の援 助 と して石 田 ら1)は 「精 神 的 な動 揺 の誘 因 に な って い た もの 一 つ に 物 的 環 境 に配 慮 が な さ れ て い な い こ と ・看 護 婦 の 意 識 が 児 中心 で あ り母 親 に 向 け られ て い な い こ と」 を あ げ て い る。 私 達 は 日常 の 業 務 の 中 で 点 滴 や 保 育 器 収 容 な どな れ て しま って い る と こ ろ が あ る が 、 重 症 感 を覚 え ・緊 張 して い る母 親 に 対 し一 つ 一 つ 説 明 を し、不 安 な気 持 ち を 受 け と め る こ と を しな け れ ば な らな い 。 V.ま と め 1.母 親 が 患 児 の状 態 を理 解 す る た め に 、 母 親へ の 情 報 提 供 者 で あ る父 親 が 患児 の 状 態 を よ り理 解 で き る よ うに 援 助 す る必 要 が あ る。 そ して 、 母 親 が 初 回 面 会 の 時 には 患 児 の 状 態 を ど の 程 度 理 解 して い る のか 確 認 して対 応 して い く必 要 が あ る 。 2.両 親 は 患 児 の 状 態 を 予 想 す る た め に 当院 か らの 視覚 か らの情 報 や 医 師 ・看 護 婦 の 説 明 を 求 め て い る。 しか し、情 報 を 提 供 す る 方 法 や 情 報 量 に 関 し ては 十 分 な検 討 が 必 要 であ る 。 3.当 院 に わが 子 が運 ば れ 、 処 置 が 施 さ れ て い る こ とで 母 親 は わ が 子 の 状 態 を重 症 に 感 じて い る た め 、 医療 者 と して 感 じる重 症 度 に 関 わ らず 、 入 院 した 全 ての 患 児 の 両 親 ・家 族 の 方 に対 し物 的 環 境 に 対 す る配 慮 をす る と共 に 、 そ の 不 安 な 気 持 ち を 受 け と め る姿 勢 が 必 要 で あ る 。 引用 ・参考 文 献 1)石 田和 子:出 産 後 ま もな く児 が 入 院 とな っ た 母 親 へ の 初 回入 室 面 会 時 の 援 助,第26回 母 性 看 護, 1995. 他

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第1群:2

NICUに

児 が 入 室 した母 親 の

リア リテ ィ シ ョ ッ クの 緩 和 に関 す る検 討

NICU勤 務 助産婦 が児のNICU入 室前 に予期 的指 導 を行 って 杏林大学医学部付属病院 ○砥石 和子 佐藤由紀江 福井 トシ子 I.は じめに NICUで初めて自分の子供に会 う母親 は,正 常な 妊娠 ・分娩経過 をたどれなか った喪失感や子供へ の罪悪感.自 分のイメージとは異な っていた子供 の姿か ら リア リティ ショックを うける。 さらには 子供 の死や障害への予期的悲嘆か ら,精 神的に不 安定 な状況にあると推察で きる。 これまで当院 では児がNICUへの入室 を余儀な く される妊婦に対 し,産 科病棟の受け持 ち助産婦が 予測 し得 る児の状態 について説明を行 うのみで, 意図的な予期的指導 は行 っていない。NICUに入室 した児の初回面会時の母親の リア リティショック を緩和す るための報告 はまだみ られていないため, NICUに勤務 する助産婦によ る積極 的な関わ りが必 要であると感 じた。特に早産が回避で きない妊婦 へ出生す る児の具体的なイメ ージが できるように 説明をす ることは重要であ る。母親が出生時の児 の状態やその後の治療の内容,入 院 中の経過など を知 り,出 生す る児をよ り現 実的にイメージで き れば,NICUで 初 めて児に面会する母親が受 けるシ ョックを最小限におさえ られるのではないか と考 え られ る。 そこでNICUに勤務す る助産婦が意図的 に予期的 指導を行 うことで,NICUに 入室 した児の初回面会 時に受 ける母親の リア リティ ショックを緩和する ことがで きるので はないか と考えた。 II.方 法 1.NICUに 勤務す る助産婦が,当 院産科 に入院中 の妊娠28週か ら34週までの早産が回避 で きない と 思われ る胎児異常 を除 く妊婦に,入 院後1週 間以 内に1∼2回 予期 的指導を行 う。 予期的指導 の内容は 1)NICUの環境の説明 2)現在の児の大 きさと何が どれ くらい未熟なの か,未 熟児 におこりやす い障害について 3)出生後予測 される治療について(保 育 器収容, 点滴管 理,酸 素投与 あるいは呼吸器の使用な ど) 4)保育器か らコッ ト移床への時期 5)栄養はどのよ うに進むのか(経 管栄 養か ら経 口哺乳,母 乳授乳になるまで)ど のよ うな状況 に なれば直接授乳が可能 となるのか,で ある。 2.NICU助 産婦 による予期的指導 を行えなか った 妊婦 と行 った妊婦 で初回面会時 の母親 の反応 を半 構成 的に参加観察法でデ ータ収集 を行 う。 データ収集は勤務上マ ッチ ングが困難 なため予 期 的指導を行わなかった助産婦 が行 った。 1)データ収集項 目 (1)リ ア リティ ショックを表現 す ると考え ら れる項 目 (1)児の受容 に関す る言棄,表 情,態 度 ②児への愛着行動 ③児の予後 に対する質問 2)予期的指導に関係があ ると思われ る事柄 3)デ ータ収集期間 平成8年1月7日 ∼9月30日 3.予 期的指導を行わなか った母親 と予期的指導 を行 った母親の児の初回面会時の反応を比較検討 する。 4.対 象 1)予期的指導を行 えなか った母親 表1 28週∼34週までに当院で早産 とな り。NICU助産 婦の業務の都合上,予 期 的指導が行 えずに児がNI CUへ入室 した母親

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表1 予期的指導を行えなかった母親 n=4 2)予期 的指導を行 った母親 表2 表2 予 期的指 導 を行,た 母親 n=5 <用 語の定 義> 予期的指導;知 覚 に関 して行 う指導 で,状 況危 機に備え,予 測で きる問題 に対 して対象が予期的 に準備 し,問 題 に直面 した時 に対象が それを処理 できるよ うに自信の強化をす る もので ある。 リア リティシ ョック;早 産で生 まれ た児に対 す る妊婦の描 いていたイメージと、その妊婦が分 娩 後 に母親 と して児に面会 した時の現実の姿 とのギ ャ ップによ って うける心理的ダ メージ lII.結果 表3 児 の初回面会時,予 期的指導 を行 えなか った母 親は,児 の姿を追 うことよ りも,周 囲の器械や点 滴 ライ ンに眼を向けていた。予期的指導を うけず にNICUへ初回面会に きた母親の多 くは泣いていた り,タ ッチ ングを勧め られ ても児 に触れ ることも で きなか った り立 ち尽 くしてい ることがあ った。 また面会を先延 ば しにす ることもあ った。予期 的 指導を行 った母親 は,児 にため らうことな く触 れ ることができ,言 葉かけを していた。 予期 的指導を行えなか った母親 は児への愛着行 動 を具体的 な行動で示 していなか ったが,予 期的 指導を行 った母親は児への愛着行動を言葉 と態度 で示 していた。 児への面会に対 して予期的指導を行えなか った 母親 は否定 的で,会 うのが怖い,会 いた くない, と表現 した。 児 の見通 しに対す る質問が予期 的指導 を行 えな かった母親 には遠い将来 に関す ることが多 く,予 期的指 導を行 った母親は予 期的指 導 と関連 した事 柄で質問を していた。 IV.考 察 1.予 期的指 導の有無 と初回面会時の母親 の反応 予期的指導 を受 けずに児に初回面会を した母親 の反応 は、児 に集 中す る ことがで きず に周囲の器 械 や周 囲の状況 に目を奪 われが ちであ ること、児 と面会 して もなぜ こ うなって しまったのか とい う 自責の念に関す る言葉や、 自分の思い描 いていた イメージと児 の状態 にギ ャップが大 きいための言 葉や表情 が観察 された。 つま りこの反応 は リア リ テ ィショックを受 けているための反応 ととらえ る ことが できる。 予期的指 導を うけて いた母親のNICUで の児 の初 回面会時の反応 は,妊 婦の描いてい た児の イメー ジと面会 した児 の差が少 なか った こと,積 極 的に 児の タッチ ングを行 った り言葉 かけが聞かれ たこ と,さ らには迷 いがな くNICUへ面会に くることが で きた こと。児 の今後 の見通 しについて積極的に 説明を求 めて いることが観察 され た。 この ことは 母親が児の現実 を うけとめ現実 に対処 しよ うとし ていると理解す ることがで きる。予期 的指導 は, NICUに入室 した児の初回面会時 に母親の関心 を児 のみ に向け ることがで きる。 また予期的指導 を う けて もうけな くて も初回面会時の母親 は自分 の思 い描いていたイ メージを児に見出だそ うとす るが, その差は予期 的指 導を受 けてい る方が少 ない。 予期的指導 を うけなか った母親 の求 める児 の見 通 しに関す る説 明は、現 実的な事実に関す る もの の他に、普通 の子 と同 じよ うに小 学校 にいけます か、結婚 できるよ うにな りますか、プ ール にいけ ますかといった ものであった。 これは児の大 きさ に関 するイメー ジのズ レと同様 に児 の育児の過程 で母親 と して思 い描 いてきた育児観 が達成で きる だろうか とい う疑問か ら現実 的な質問よ りも遠い 将来 に関す る質問 になっているのではないか と考 えた。 予期的指導時 に児の見通 しにつ いて説 明を行 っ ていても予期的指導を うけた母親 は児 の初回面会

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時 に再度見通 しに関する説 明を求めている。 この ことは妊婦の時に得た知覚 に関する情報 を もとに 明確 な形で再確認 され今現実 に取 るべ き母親の行 動が母親 自ら明 らかにされるために役立て られ る ので はないか と考え られた。 以上の結果か ら,予 期的指導を受 け られなか っ た母親 と予期的指導 を受 けた母親の児の初回面会 時の反応が、現実 を受 けとめ問題への対処行動 を とるために肯定 的な反応であ ったの は予期的指導 を うけた母親 であると言え る。 2.対 象の背景 と初回面会時の母親の反応 予期的指導 を行 うために訪問 したNICUの助産婦 が妊婦の面接 を行 うことで,妊 婦に とって早産 を 現実の ものに し不安や恐怖を助長 させてはな らな いため、意図 した予期的指導の対象を妊娠28週∼ 34週 とし,児 の推定体重 も週数相当の妊婦 と した。 この ことは妊婦の面接を行 った助産婦にとって情 報提供を容易 に していた と考え られる。 しか し児 のNICU入室 前に妊婦へ訪問す ることが適 さない場 合もあ る。例えば第1子 が新 生児搬 送され当院の NICUに入院 していた体験 を もつ妊婦 で今回 もNICU へ入室す ることが予 測されていたが,第1子 の新 生児搬送 によるNICUでの体験 が外 傷体験 となって いたため児のNICU入室前 に妊婦 へ訪問す ることを 中止 したケースがあ った。 このよ うなケースがあ ること も踏 まえ効果 的な対象 の選定 を行 って児の NICU入室前 に妊婦 へ訪問 し意 図的な予期的指導を 行 えば妊婦はよ り現実 に近 いよ り正確 な児のイ メ ージを描 くことができ,リ アリティショックを緩 和す ることがで きるので はないかと考え る。 予期的指導 を行 えなか った母親 たちの分娩時の 妊娠週数は予期的指導を行 った母親 よりも週 数が 早か った こと,分 娩 までの入院期間が短か った こ とか ら リア リティシ ョックが大 きか ったのではな いか と考 え られ るため予 期的指導の効果を今回 の 結果 か らのみで結論づ けるの は限界があ る。 V.ま とめ 効果 的な対象の選定 を行 って児 のNICU入室前 に 妊婦へ訪問 し意図的な予期的指 導を行えば妊婦 は よ り現 実 に 近 いよ り正 確 な 児 の イ メ ー ジを 描 く こ とが 容 易 に な り,母 親がNICUで 児 に初 回 面 会 す る 時 に 生 じる リア リテ ィ シ ョ ッ クを 緩 和 す る こ とが で きる。 参 考 文 献 1)前 久 保 直美 他:ハ イ リス ク妊 婦 へ の 出 産 前 訪 問, Neonatal Care,9(8),51,1996 2)長 南 記 志 子:切 迫 流 早 産 で 長 期 入 院 して い る妊 婦 へ の ケ ア,Perinatal Cear春 期 増 刊,13,104, 1994 3)檜 野 トシ子 他:ハ イ リス ク妊 婦 に 対 す るNIC Uス タ ッ フの 分娩 前訪 問 の試 み,日 本 小 児 保 健 学 会抄 録 集,588,1996

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第1群:3

入院中の妊婦の均衡状態の変化 と援助

山梨医科大学医学部付属病院 ○市川裕子 功刀 しな 平岡夫美子 竹田礼子 名取初 美 I 緒 言 入 院 し治療 を受 けて い る妊婦 の問題 と して,不 安 や身 体 的問題 に焦点 が あ て られた研 究 が多 い。 妊 婦 は,入 院 した ことで異 な る環 境 に置か れ, 生 活全 般 を変化 せ ざ るを 得 ない。私 たち は,こ れ まで に も看 護 と して 妊婦 に対 し,受 け持 ち助産 婦 ・看護 婦(以 下 受 け持 ち とす る)に よ る面 接 を継 続 的 に行 って きた。 しか しその 内容 は個 々の受 け 持 ち に任 され て いて,看 護 と して の視 点 は明 らか で なか った。 II 用語 の定義 気 が か りな事:不 快 ・不 満 ・心 配 ・困 った ・なん とか した い と感 じた事 。 習慣 的問題 解 決技術:本 人 の過 去 の経 験 や知識 を 用 いて,出 来事 に対 し方策 を立て実 行 す る こ とや 考 え るこ とを い う。 この 中 には他者 に聞 くとい う 方 策 もある。 均 衡状 態:あ る 出来事 に遭 遇 した とき,そ の人 が 持 って い る何 らか の方 法 を用 いて対 応 した結果, 情 緒的 バ ラ ンス の とれ て い る状 態 を言 う。 具体 的 に は,対 応 の結 果 に対 し大 丈夫 とか,解 決 した と 感 じて い る状態 であ る。 仕方 が ない と考 え る こと もこれ に含 め る。 不 均衡 状態:あ る 出来 事 に遭 遇 した とき,そ の人 が 持 って い る何 らか の方 法 を用 いて対 応 した結果, 情 緒的 にバ ラ ンスが崩 され て い る状態 を言 う。 具 体 的 に は,も う他 に方 法 が な い とか,ど うして い いか わか らな い と感 じて いる状態 で あ る。 III 方 法 1.目 的 入 院 した 妊婦 の気が か りな事 は何 か を明 らか に し,妊 婦 は,そ れ を どの よ うに考 え,行 動 して均 衡 状 態 を維持 して いる のか,ま た どの気 がか りな ことが,妊 婦 を不 均衡 状 態 に陥 らせ て い るのか 知 るこ と。 さ らに,こ れ らの場 合,受 け持 ちが 行 っ た援 助 を知 った上 で入 院 した妊 婦 に対 す る看 護 の 視 点 を明確 にす る こ とを 目的 と した。 2.対 象 山梨 医科 大 学医 学部 付 属病 院 産科 病 棟 に お いて 2月1日 か ら7月3日 の間 に3週 間 以上 連続 して 入 院 した妊婦14名 を対象 と した。 最短 入 院期 間 は 25日,最 長 は80日 で あ り,平 均44.2日 であ った。 妊婦 た ちの 入院 中 の診断 は,切 迫 早 産 ・妊娠 中毒 症 ・前 置胎盤 の いずれ か,も しくは切迫 早 産 に, これ らの診 断か ら1つ が合 わ さ った もの で あ った。 対 象 には,研 究 に先 立 って,受 け持 ちか ら紙 面及 び 口頭 にて研 究 の説 明 を行 い,研 究 参加 の意志 を 確 認 した。 2.方 法 妊 婦 の入 院時 に受 け持 ちが決 定 され,自 己紹介 と役 割 の説明 を した。 その後,毎 回 受 け持 ちが 妊 婦 と面接 を行 った。 受 け持 ち は産 科病 棟 勤務 の経 験2年 か ら22年の助 産婦8名 看 護 婦3名 であ る。 受 け持 ち個 人 によ って起 こる,収 集 す るデー タ量 ・質 の差 をで きるだ け小 さ くす るため に,面 接 時, 質 問項 目を あ らか じめ 決 め た。項 目は,呼 吸 ・食 事 ・排 泄 ・体位(姿 勢 を 含 む)・ 睡眠 ・衣服(着 脱 を含 む)・ 体 温(環 境温 度 も含 む)・ 清 潔 ・周 囲 との コ ミュニ ケー シ ョン ・価 値(信 念 ・妊娠 や 児 な ど に対 して の考 え方 を含 む)・ 仕事(役 割 ・

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経 済 状態 を含 む)・ レク リエ ー シ ョン ・学 習 ・治 療(安 静 を含 む)で あ る。 これ らは,日 常 の看 護 の 中で妊婦 の訴 えか ら導 き出 した。 さ らに,こ れ らの項 目にお いて,妊 婦 が どの よ うに感 じ,考 え, 行 動 したか,行 動 した結 果 は ど うか を確 認 す る よ うに,受 け持 ち に対 し,研 究 者 が事 前 に説 明を し た。 面接 はベ ッ トサ イ ドで は行 わず,病 棟 内の, 第3者 が 入 って こな い部屋 に移動 して お こな った。 他 のス タ ッフに は面接 中 で ある こ とを伝 え,協 力 を依頼 した。 面接 時,ま ず 妊婦 自身 の気が か りな 事 につ いて 自 由に語 って も ら った。 事前 に決 めた 項 目につ い て何 も表 現 され なか った場合 は,受 け 持 ちが質 問 して い った。 妊 婦か ら質 問 が あ った場 合,ま た は何 らかの説 明 や妊婦 との話 し合 いが必 要 と受 け持 ちが判 断 した場合 は,そ の援 助 を行 っ た。面 接 中 の記録 はメ モ程度 に行 い,面 接終 了後, 所 定 の用紙 に行 った。 所 要 時間 は1回 約30分 か ら 1時 間 ほどで あ った。 面接 は,入 院 後3∼6日 目 に行 い,次 回 か らは,気 が か りな事 が 発生 し,受 け持 ちが必 要 と判 断 した時 ま たは,10日 前後 の 間 隔 で行 った。実 施 回数 は3回 か ら10回 であ った。 その結 果 を研究 者5名 で 分析 した。 IV.結 果 1.入 院 中の妊 婦 の気 が か りな事 表1に 示 した通 りで あ る。14名 の妊 婦 が入 院 し て,延 べ280回 の 出来事 を気 がか りな事 と感 じ, それ らは11因 子 に分 類 され た。 2.気 が か りな事 へ の対 応 13名 の妊 婦 は気 が か りな事 に対 し,習 慣的 問 題 技術 を 用 いて対 応 し,均 衡 状 態 を維 持 して いた。 この対 応 に は4つ の パ ター ンが あ り,表2の 通 り で あ る。 パ ター ンAは 延 べ82通 りあ った。 ここで の 気が か りな事 は,NO1・2・3・4・7・8・ 9・10・11で あ る。対 応 を具 体 的 に示 す と,「 毎 日 シャ ワー浴が で きな いが,タ オ ルで毎 日か らだ を拭 くこ とが で き る と知 らされ て いた ので,そ の 方法 で対 応 す る 」 「貧 血や 分 娩 につ い て心配 だが, 自分 で 本や パ ンフ レッ トを見 て情報 を得 る」 「治 療 によ る動悸 が 気 に な るが,事 前 の 情報 か ら何 が 原因 か わか って い るので,心 配 しない 」 など 表1 入院中の妊婦 の気がか りな事 表2 均衡状態維持のための対応パターン で あ る。 そ して 「大 丈 夫 ・解 決 で きた」 と感 じて い る。 パ タ ー ンBは 延 べ118通 りだ った。 気 が か りな事 は,NO2・3・4・6・7・8・10・11で あ る。対 応 は,「 塩辛 い もの を食 べ たい が妊 娠 中 毒症 だか ら我 慢 す る」 「切 迫 早 産 の た め歩 く こと が 自由 にで きないが,お なか が は らな い よ うにす るに は この方 法 しか な い 」 と自分 自身 で対 応 しよ う と した が,最 終 的 に は 「仕方 が ない 」 とい う感 情 が残 った。 パ タ ー ンCは 延 べ64通 りあ った。気 が か りな事 は,NO1・2・3・4・5・6・7・ 8・9・10に 及 ぶ。 対 応 の 例 は,「 点 滴 が入 って いて更 衣 が で きな いが,自 分 で は対 応 で きな いの

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で,受 け持 ち に援助 して もらお うと考 えて援 助 を 求 め た」 「分娩 につ いて心 配 だ ったが,自 分 で は ど うに もな らな いので受 け持 ち に相 談 して分 娩 準 備 教育 を受 け た」 な どで あ る。 またパ タ ー ンDの 気 がか りな事 は,NO2・3・4・7・9で あ る。 対応 は 「下肢 の浮腫 が強 く自分 で は ど うに もな ら ないの で受 け持 ち に相談 したが,そ の原 因 や対応 策が わ か って も浮腫 の軽 減 にはな らず,仕 方 が な いと考え た 」 「み そ汁が 飲 み た くて 受 け持 ち に相 談 し食事 の変 更 を依 頼 した が,治 療上 変 更不 可能 で あ り,仕 方 が な い と捉 え た 」な どで,延 べ15通 りであ った。 不 均衡 状 態 にな った の は1名 で あ り,そ の1名 が もつ19の 気 が か りな事 の 中 の1つ につ いて のみ で あ った。 それ は経 済状 態 の不 安 で,「 これ以上 子供 が増 え た ら経済 的 に困 難で あ る」 であ る。 そ して 習慣 的 問題解 決技 術 の,妊 娠 中絶 をす るで対 応 しよ うと したが,妊 娠30週 で無 理 で あ る と告 げ られ た。 しか し 「納 得 で きな い」 「中絶 す る しか ない」 「退 院 した い」 と言 い,中 絶 す る こと に固 執 し,他 の対応 方法 を考 え る ことが で きず に いた。 入院3日 目 ・12日目 ・18日目の面接 ま で この状態 が続 いたが,21日 目に事 務 部門 との話 し合 いが な され た後,26日 目の面 接時 に は,「 自分達 の利 用 で き る シス テ ムが あ る ことが わか り安 心 して い る」 と,均 衡 状 態 であ る こ とが確 認 で きた。 3.妊 婦 へ の援助 妊婦 が 入院 した後,受 け持 ち は全員 の妊 婦 に対 し,ま ず 自分 が受 け持 ちで あ る事 とその役 割 につ いて説 明 を した。 さ らに入 院 に よ って 引 き起 こさ れ る状 況 の変 化や,今 後起 こ り得 る変 化 につ いて 説 明 して い た。例 え ば,へ や の環 境や食 事,安 静 によ る入 浴や シ ャワー浴 の制 限,使 用 され る薬 物 の副作 用 な どで あ る。 面接 時 に は,妊 婦 に 自 由に語 らせ る中 か ら,ま た受 け持 ちが 妊 婦 に質 問 す るこ とで,気 がか りな 事 は何か,習 慣 的問題 解 決 技術 を活 用 した結 果, 妊 婦 は ど う感 じて い るか を確 認 した。 受 け持 ち は, 妊婦 が適 切 な習 慣的 問題 解 決技 術 を用 いた場 合 は, それ が適 切 だ った ことを伝 えて い た。 また,仕 方 な い と感 じて いた妊婦 に は,受 け持 ちが,そ の対 応 を認 め,必 要 時,新 た な問題 解決 技 術 を提 示 し て い った。 また 次 の面接 時,同 じ気 がか りな事 が 不 均衡 状 態 を起 こ して い ないか を,注 意 深 く聞 い て いた。 習慣 的 問題 解決 技術 の 中の他 者 に聞 くい う技術 を 用 いた場 合,受 け持 ちが対 応 策 を 妊婦 と -緒 に考 えて,妊 婦 は対 応 して い た。 不 均衡 状態 に な った妊婦 に は,何 が 気が か りな 事か 聞 き,妊 婦 の持 つ 習慣 的 問題 解 決技 術 は何 か を確認 した。 「妊 娠 中絶 で きる はず だ 」 に対 し, 妊娠 中絶 で きな い 時期 で あ る ことの説 明 を繰 り返 し,新 たな問 題 解 決技術 を提示 した。 つ ま り,入 院 ・出産 費 用の 支払 い シス テム を紹介 し,妊 婦 は 経済 的問 題 に対 応 で き る と考 え,そ の システ ムを 活 用 した。 V.考 察 気 がか りな事 は,川 口 ら1)が示 した入 院 患者 の ス トレスの8因 子 か ら,「 他 者か らの独 立 」 の因 子 を除 き,妊 婦特 有 の因子 の 「児 に対 す る関心 」 と 「分娩 に対 す る関心 」 と 「身 体 面 の 苦痛 」 「自 分 の仕事 」を加 え た11因 子 だ った。 さ まざ まな気 がか りな事 に対 し,均 衡 状態 が維 持 で きたの は,受 け持 ち に よ る入 院 時 や面接 時 で の予 期 的指導 が 有効 で あ った と考 え る。 なぜ な ら ば,妊 婦 が入 院 生 活 で体験 す る ことに つ いて,あ らか じめ情報 を提 供 して お いた事 で,妊 婦 の予想 と現 実 の不一 致 は少 な くな る。 そ うす る事 で,妊 婦 自身 の力 で対 応 しや す くな る。例 えば,他 の方 法 を知 らされて い たか ら対 応 で き る とか,事 前の 情報 か ら原因 が わか って いたの で,心 配 な い とい った もので あ る。 また,誰 が 自分 の受 け持 ち なの か,そ の役割 は何か を知 って い る事 で,自 分 で対 応 で きな い時,受 け持 ちの能 力 を 活 用 す る とい う 行動 が とれ て い る。 これ らは,予 期 的 指 導が妊 婦 の習 慣的 問題 解 決技 術 の レパ ー トリー を増 やす こ とに役立 って い る。 予期 的指導 の重 要 な 点の, 「① 実 際 の細 か な こと につ いて強 調 す る。 ② あ り も しない苦痛 の可 能 性 に立 ち入 らな い。③ 後 で 聞 き感 じ嗅 ぐか も しれ な い とわか って い る こと につ いて告 げ る。④ 良 い ことだ け話 す の で はな く,本

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当 の事 を告 げ る こと,体 験 ま た は知 覚 す るで あ ろ う現 実 的苦痛 を述 べ る と同時 に,そ れを 処理 す る 方 法 や支 え にな るこ とを述 べ る。 」2)と い う,4 つ を ふ まえ,個 々の 妊婦 に指導 す る こ とが 看護 と な る。 受 け持 ち は,面 接 に お いて妊 婦 の気が か りな事 は何 で,ど の よ うな習 慣 的 問題 解決技 術 を 用 いて 対 応 したのか,そ の結 果 を どのよ うに感 じて い る の か を知 り,ア セ ス メ ン トす る必要 が あ る。 対 応 の結 果 を 「大丈 夫 ・解 決 で きた 」 と感 じて い る場 合 は,用 い られ た習慣 的 問題 解 決技術 の有効 性 を 妊婦 と と もに確 認 す れば 良 い。 これ は,Lazarus の 問題志 向的対 処 形式 と同 じ意 味を持 つ 。-方, 対 応 の結果 を 「仕方 が な い」 と感 じて い る妊婦 は, 「仕 方 が な い」 と考 え る ことで,均 衡 を維持 して い る。 つ ま り,消 極 的 ・防衛 的 で あ り,対 応 の結 果 に何 も期 待 で きな いが,情 動 を抑 制す る情 動 志 向 的対 処形 式3)に あ た る。 その ことを受 け持 ちは 否 定せ ず,認 め なけ れば な らない。 この対 応 しか ない場 合 もあ るが,ま た,別 の 問題解 決技 術 につ いての 話 し合 いが必 要 な 時 もあ る。仕 方 が な い と い う状 態が持 続 す る時 には,不 均 衡 状態 にな る可 能 性が あ り,継 続 的 に援助 す る ことが大 切 で あ る。 不 均衡 状 態 にな った時 は,常 に均衡 回復 へ の 切 実 なニ ー ドが起 こ る4)。援 助 は,現 実 を正 し く認 識 で き るよ うにす るこ とか ら始 ま る。 今 回,妊 娠 中絶 す る とい う対 応 を現 実 的 で ない と認識 す るま で に時 間を 要 した の は,過 去 に 同 じ対 応 で成 功 し た経験 が あ った た めで あ る。 受 け持 ちは,誰 が ど のよ うな方策 を 用 い るか と,そ の 見通 しを含 む, 新 た な問 題 解決技 術を提 示 す るこ とが重 要 で あ る。 この過 程 で は,妊 婦 と-緒 に思 考す る ことが必 要 で あ り,実 際 に用 いて,「 大丈 夫 ・解 決 した 」 と 感 じた ことを確認 しなけ れば い けな い。 以上 のよ うに,受 け持 ちが,妊 婦 の気 がか りな 事 の 表 出を助 け,妊 婦 と と もに均 衡状態 の維持 と 回 復 が で きたの は,入 院 時の 説 明 と,そ の後 面 接 が 継続 的 に行 わ れ た ため と考 え る。 VI.結 論 1.入 院 した妊婦 は延 べ280の 出来事 を気 が か り な事 と感 じ,そ れ は11因 子 に分 類 され た。 2.13名 が均 衡 状 態 を維 持 で きた 。均 衡 状態 の維 持 には4パ タ ー ンが存 在 した。1名 が 不均 衡 状態 とな った。 そ の気 が か りな事 は経 済状 態 の不安 で あ った。 3.入 院 中 の妊婦 の看 護 と して は1)全 員 の 妊婦 に 対 し,入 院 に よ って 引 き起 こされ る状 況 の変 化 や 今後 起 こ り うる事 につ いて予 期 的 指 導 を す る。2) 気が か りな事 は何 で,ど の よ うな習 慣 的 問題 解決 技 術 を用 いて対 応 し,そ の 結 果,均 衡 状 態 か 不均 衡状 態か アセ ス メ ン トす る。3)均 衡 状 態 の と きは 4つ の ど のパ タ ー ンで対 応 して い るか知 る。 そ し て妊婦 の持 って い る習 慣 的 問題 解 決 技 術 の有効 性 を確 認 す る。 ま た新 た な問 題解 決 技 術 を提 供 す る。 4)不 均 衡 状態 の と きは現 実 が正 し く認 識 で きる よ うな話 し合 い をす る。 受 け持 ちが 新 た な問題 解 決技 術 を提 示す る。5)入 院 時 の説 明 とそ の後 の継 続 的 な面 接 が 重要 で あ る。 引 用文 献 1)川 口孝 泰 他:入 院 患者 のス トレス 要因 に関す る 検 討,日 本看 護 研 究学 会 雑 誌,17(2),21∼29, 1994 2)Caplan.G:加 藤 正 明監 修:地 域精 神 衛 生 の理 論 と実 際,49∼52,医 学 書 院1968 3)本 明寛:Lazarusの コー ピン グ(対 処)理 論, 看護 研 究,21(3),1988 4)佐 藤禮 子:AguileraとMessickの 問 題 解決 モ デ ル によ る分析,看 護 研究,21(5),1988

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第1群:4

代理 母 親 を必 要 と した妊 婦 へ の援 助

福岡教育大学大学院教育学研究科 ○ 佐藤 珠 美 佐賀医科大学看 護学科 竹 ノ上 ケイ子,松 山 敏剛 I.は じめ に 母 性 性 は,幼 少 時 の 母親 との 関 係 を基 盤 と し, 妊 娠 ・出 産 ・育 児 の 過程 を 通 して,子 ど もや 夫, 両 親 との 関 係 の 中 で 形 成 され発 達 す る と言 われ て い る1)2)。 今 回,夫 や 親 との 関 係 の 中 で は母 性 意 識 の発 達 や 母 親 役 割 の 取 得 に困 難 を きた す と思 わ れ た妊 婦 に対 して,助 産 婦 が 代 理 母 親 の 役 割 を取 りな が ら。母 性 意 識 形 成 や 母 親 役 割 取 得 に 対 す る 援 助 を行 っ た。 妊 娠 期 の発 達 課 題 を達 成 す る上 で, 代 理 母親 を必 要 と した妊 婦 へ の 援 助 につ いて 分 析 した結 果 を報告 す る 。 注)こ こで用いる代理母親は,心理療法の中で,患者が過去の 対象関係体験を治療者に対して向ける転移の一つの形をいう。 II.研究 対 象 及 び方 法 対 象:A氏35歳(結 婚30歳)初 妊 婦 。 専 業 主婦。 夫 と二 人 暮 ら し。 既往:14歳,虫 垂 炎 。31歳,肺 炎 。32歳,胆 嚢 炎 。 19歳 よ り抑 彰 神 経 症 。 図1A氏 の家族 関 係 生 育史:A氏 は,幼 少 時 よ り実 母 が 別 に い る ら し い こ と を知 ら され継 母 との関 係 は良 くな か っ た。 17歳 の 時,祖 母 の死 を契 機 に継 母 に一 層 強 くあた られ,弟 妹 とつ き あ わ な い よ う に言 われ た。 この 頃,抑 膨 症 状 が 出 現 。 高 卒 後,就 職 す るが,人 間 関係 に疲 れ,退 職 。 家 も出 た 。 経 済 的 ・精 神 的 に どん底 の 頃,夫 と知 り合 い 結 婚 。 結 婚後 も抑 諺 状 態 が頻 回 に出 現 し,精 神 科 や心 療 内科 を転 々 と し た。 夫 は妻 の 状 態 を理 解 で きず,精 神科 を受 診 し た こ とを非 難 し,「 早 く元 気 に な らな い と考 え が あ る 」 と責 め た。 その 後 は,夫 に 内緒 で 受 診 し た。 頼 れ る人 がな い状 態 で,自 分 の 居 場 所 を 見 つ け ら れ ず,人 間不 信,存 在 不 安,「 夫 に捨 て られ る か も しれ な い 」不 安 を持 ち 続 け て い た。 研 究 方法:研 究 者(助 産 婦)に よ る個 人 面 接(関 与 観 察 法)。 面接 は,妊 娠16週 ∼39週 の 間 に10回 (電 話 面 接2回 を含 む)行 った 。妊 婦 の 了解 の も と、 面接 内容 をテ ー プ レコ ー ダー に集 録 し逐 語 的 に転 記 した 。代 理 母 親 の役 割 が,母 性 意 識 の 形成 過 程,母 親 役 割取 得 過 程 お い て,ど の よ うな 意 味 が あ っ たか に着 目 して 内容 を整 理 ・分 析 した。 III.結果,考 察 面 接 経 過 を表1に 示 した 。 A氏 と夫 は,「 病 気 を し た こ と で,妊 娠 で きな い と思 っ て い た」 た め,「 妊 娠 した こ とは,不 思 議 」 な 出来 事 で,素 直 に喜 べ な か った。 妊 娠初 期 の父 の 死 は 唯 一 の 血縁 者,精 神 的な 支 えを 失 う とい う シ ョック な 出 来 事 で あ った。父 の 死 に伴 う家 族 内の 遺 産 や 戸 籍 に 関 わ る争 い 事 は, 悲 嘆 作業 を妨 げ,悲 しみ や 不 安 を強 め た。 心 身 の 不調 や不 健 康 感 は,「 こん な 私 で,赤 ち ゃん 無事 育 つ かな 」,「 この よ う な状 況 で,子 ど も を産 む こ とに不 安 が あ る 」 な ど,妊 娠 の 受 容 や 胎 児 へ の 愛 着 を妨 げ た。 そ の よ うな 中 で,「 独 りぼ っ ち 」,「 相 談 相 手 が い な い 」,「 実 母 を捜 して 欲 しい 」,「 普 通 は, 母 親 が一 生 懸 命 世 話 して くれ る」 な ど と母 を求 め る気 持 ち が ます ま す 強 ま っ た 。

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「夫 と一 緒 に行 っ た安 産 祈 願 」 や 「夫 の母 が妊 婦服 を プ レゼ ン トして くれ た 」 こ とで,A氏 の 中 に 母 性 意 識 が 育 ち始 め た 。 しか し,夫 は 仕 事 が 忙 し い た め,妻 を思 い や る ゆ と りが な く,「 きつ くて 動 け な い の を怠 け て い る と責 め 」A氏 の ダ メ な部 分 を刺 激 した 。継 母 とは,関 係 が 悪 く,援 助 を頼 め ず,夫 の 母 に も遠 慮 が あ る た め 十 分 甘 え られ な か っ た。 せ っか く芽 生 え た母 性意 識 も家 族 の 中 で は, 打 ち 消 され る傾 向 に あ っ た。 転 勤 して きて5年 にな るが,人 間 不 信 や 対 人 不 安 が あ るた め,友 人 や 隣 人 との つ き合 い もな か った 。 妊 娠 期 に は,助 け を必 要 とす る気 持 ち か ら,保 護 を して くれ る母親 へ の 願 望 が 刺 激 され る。 しか し,A氏 が継 母 との 関係 に お い て 描 く母 親 像 は,冷 た く,保 護 を与 え る もの で は な か っ た。 また,抑 諺 症 状 の た め ほ とん ど外 出 もで きず,話 す相 手 も な い た め,周 囲 に母 親 役 割 モデ ル を得 る こ と もで き なか っ た。 その ため,妊 娠 期 の課 題 で あ る,母 親 像 の再 形 成 や母 親 役 割 取 得 を進 め る上 で,母 親 の援 助 を必 要 と し たが,継 母 や 夫 らとの 関 わ りの 中 で は,母 性 性 を発 達 させ る こ と が で き ず,代 理 母親 を必 要 と して い た も の と思 わ れ る。 そ の こ とは,面 接 時 に次 の よ う な言 動 で表 され た 。rこ れ か らも話 しを聞 い て も らえ ま す か 」 と, 面 接 者 が来 る 日時 を何 度 も確 認 す る。 「病 気(抑 〓)に つ い て,(産 科 医 に)自 分 か ら言 え な い 」 と言 い,A氏 に代 わ って 研 究 者 が 精 神 科 受 診 の依 頼 を して くれ るよ うに頼 め ば い い の か と聞 く と 「お 願 い しま す 」 と頼 む 。 ヂマ ザ ー ク ラス の こ とが心 配,で も受 講 した ほ うが い いか 自分 で 決 め られ な い 」,「 人 が 集 ま る と ころ は大 丈 夫 か な と思 う」 と言 い,安 全 の保 障 や 支 持 を約 束 す る と受 講 で き る。面 接 時 間 を引 き延 ば す 。 人 間 不 信 と言 いな が ら,家 庭 内の 細 か な 問 題 まで 話 す 。 遺 産 相 続 の 問 題 か ら,入 院 時 に 持 っ て くる時 計 の 種 類 まで,研 究 者 に 判 断,意 思 決 定 を依 存 して き た。 この よ うな 代理 母親 と い う転 移 性 の 感 情 を表 す A氏 に対 して,無 条 件 に受 容 し,暖 か い環 境 を提 供 す る と と もに,健 康 な 部 分 に焦 点 を 当 て て暖 か い イ メー ジ刺 激 を与 え,母 親 像 の 形 成 や 母 親 役 割 演 技 を助 け る な どの 関 わ りを繰 り返 し行 っ た。 A氏 は 研 究 者 に依 存 しな が らも,受 診 日を変 えた り,受 診 せ ず に 電 話 面 接 を 求 め,長 時 間 話 し込 む な どの行 動 が み られ,研 究 者 が 自分 を見 捨 て な い か の確 認 行 動 と判 断 され た の で,で き る限 り受 容 した 。 しか し,約 束 した 面 接 時 間 に遅 れ る,面 接 時 間 を 引 き延 ば す,マ ザ ー ク ラ ス に 対 し て 「体 調 が悪 け れば 行 か な い 」 と言 う な ど依 存 や 甘 えが 強 くな る傾 向 が み られ,母 親 役 割 取 得 を 妨 げ る こ とが, 危 惧 され た 。 そ こで,必 要 に応 じて,全 面 的 な受 容 か ら指 示 的 な 関 わ りに 変 え て い っ た。 そ の結 果,マ ザ ー ク ラ ス等 の集 団 指 導 に参 加 す る な ど母親 役 割 取 得 の 準 備 が少 しづ っ 進 ん だ。 面接 の後 半 で は,自 分 と夫 や家 族 との 関 係 を客 観 的 に述 べ,初 め て 他 の 妊 婦 と話 せ た こ と を報 告 し,「 最近,対 人 関 係 が,う ま く い く人 とは,う ま くい く。 うま く いか な い 人 とは,こ れ か らだ と 思 う 」 と人 間 関 係 の 広 が り も少 し見 られ た。 そ して,不 定 愁 訴 や 不 安 の訴 え は あ るが,「 本 当 に 妊 娠 して 良 か った 」 と妊 娠 に 対 して 肯 定 的 な 言 葉 が 聞 か れ,「 母 親 が い な い の は 仕 方 が な い 」 と現 実 を受 容 し,育 児 の 状 況 を 具 体 的 に イ メ ー ジ 化 す るな ど母親 役 割 の 準 備 が進 み 始 め た。 IV,結論 本 事 例 では,研 究 者 が 代 理 母 親 の役 割 を と り, 八氏 の 依 存 欲 求 が 満 た され た こ と,同 時 に妊 娠 出 産 育児 に関 す る専 門 的 な知 識 ・技 術 の提 供 が行 われ た こ と,妊 娠 経 過 や胎 児 の 発 育 も順 調 で あ っ た こ とな どが,母 性 意 識 を形 成 し,母 親 役 割 を 取 得 し て い く こ とに効 果 が あ っ た と考 え られ た 。 他 の 同 様 の事 例 で も効 果 が あ る か に つ い て は, 事 例 を重 ね て 検 証 し て い く必 要 が あ る。 文 献 1)細 井 啓 子:母 性 の 発 達 変 容 過 程 の研 究(1),妊 娠 ・出 産 ・子 育 て に よ る 母 性 性 の 獲 得,助 産 婦 雑 誌Vol.40No.11:57-63,1986 2)新 道 幸 恵,和 田サ ヨ子:妊 産 婦 の母 親 役 割 取 得 過 程 と そ の援 助,助 産 婦 雑 誌Vol.40 No.11:95-99, 1986,他 省 略

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第1群:5

早産 未 熟 児 出産 前 後 の

母 親 の 悲 哀 の 心 理 過 程

札 幌医科 大学 医学 部付 属産 科周 産期 科看 護室 ○ 松 谷 涼子 ・久保 田雅 枝 I は じめに 周 産期 医 療 の進歩 に よ り切迫 早 産 の治療 も進 ん で い るが 、なか に は早産 に な り未熟 児 を 出産 す る ケー ス もあ る。 日常 の看 護 の 中で早産 未 熟児 を 出産 した母親 達 が類 似 の言 動 を取 って い るので は な いか 、 また 、 その言動 は先天 異 常児 を出産 した母親 と類 似 して い るよ うに感 じて いた。 和 田1)は 、 「先 天異 常児 を 出生 した褥 婦 は 、喪 失体 験 を体 験 し、悲哀 の心 理 過程 をた ど る」と述 べて い る。 そ こで、悲 哀 の心理 過 程 に基 づ いて母 親 の言 動 を分 析 し心理 過程 を知 り、子供 との愛 着 形成 が促 進 で きる よ うな援 助 につ いて考察 した 。 II 研 究方 法 表1先 天異 常児 を分 娩 した褥 婦 の喪失 体験 1)引用文献 母性の心理社会的側面と看護ケア P84表19新 藤幸恵・和田サヨ子 平 成8年6月 か ら8月 ま で に 当 科 で 早 産 未 熟 児 を出産 した褥 婦4名 を対 象 に 、入 院時 か ら退 院 までの言 動 に つ いて看 護記 録 か ら抜 粋 した。 また 、 想起 を 目的 に 出産後 約一 か月前 後 に イ ンタ ビュー を行 った。分 析 は記録 か らの言 語 とイ ンタ ビュ ー の 内容 を、心 理 過程 にそ って研 究者2名 で行 った。 1.事 例 紹介 1)A:29歳 主婦 0回 産1回 妊 市 内在住 夫 工 業所社 員28歳 夫 と二 人 暮 ら し 《妊 娠 時病 名》 妊娠33週 ・切迫早 産 ・前 期 破 水 ・ 子宮 内感 染 《分 娩 時病 名 》早 期産(33w+6) ・ 続 賠 性微 弱 陣痛 ・羊 水過 少 《処 置 》人 工羊 水 注入 ・裂 傷縫 合術 《新 生児 》 女児 ・1720g・ 早産 未 熟児 ・高 ビ リル ビン血 症 ・アプ ガ ールス コア8-9点 《妊 娠分 娩経 過 》 切迫早 産 、前 期破 水 の ため市 内 個 人病 院 よ り母体 搬 送入 院 とな る。 入 院3日 目に経 膣分 娩 とな る。 2)B:35歳 公 務 員(小 学校 の栄 養士) 0回 産0回 妊 市 内在 住 夫 公務 員(中 学 校 教 諭)夫 と二 人暮 ら し 《妊娠 時病 名 》妊娠31週 ・切迫 早 産 ・妊 娠 中毒 症 ・子宮 内 発育 不 全 ・羊水 過少 《分娩 時病 名 》早期 産(32w+0)・ 胎児 仮 死 子宮 内 発育 不全 ・子 宮 筋腫 《新 生 児 》女児 ・1104g・ 早産 未熟 児 ・高 ビ リル ビ ン血 症 ・ア プガ ール ス コア8-10点 《妊娠 分娩 経過 》切迫 早産 、IUGR、 妊 娠 中毒 症 の た め市 内個 人 病 院 よ り転 院 。 当科入 院後 羊水 穿 刺 、人 工羊 水注 入 な どの治 療 を行 って いたが 、 胎 児仮 死 に て入 院 後6日 目に緊急 帝 王 切 開術 で分 娩 とな る。 3)C:19歳 主 婦

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0回 産0回 妊 市 内在 住 夫 無職26歳 《妊娠 時病 名》 妊娠29週 ・妊娠 中毒 症 ・子 宮 内 発 育 不全 《分 娩 時病 名 》早期 産(33w+5) 妊娠 中毒 症 ・LFD児 《新 生児 》男児 ・1296g・ 早 産未 熟 児 ・ア プ ガール ス コ ア8-9点 《妊 娠 分娩 経過 》IUGR、 妊娠 中毒症 のた め入 院 。入 院後 切 迫早 産徴 候 も出現 し、治療 して い た が 、臍 帯血 流 の悪 化に よ り緊急 帝王 切開術 で分 娩 とな る。 4)D:23歳 主婦 0回 産1回 妊 市 内 在住 夫 会 社 員24歳 《妊 娠時 病 名 》妊娠31週 ・切迫 早産 ・子 宮 内感 雑 《分 娩 時病 名 》早期 産(31w+4) 続発 性微 弱 陣痛 ・軟 産 道強 靭 《新 生 時》 男 児 ・1648g・ 早 産 未熟 児 アプ ガ ールス コア8-9点 《妊 娠分 娩 経 過》 切迫 早産 のた め市 内個 人病 院 よ り母体 搬 送 入 院 とな るが翌 日陣痛 発来 し、経 膣分 娩 とな る。 III 結 果 1.出 産前 後 の各 経過 ごとの母 親 の言動 (表2-1か ら表2-4) 2.各 ケ ー スの経 過毎 の心理 過 程(図1) IV考察 1.入 院 か ら分 娩 まで の心 理過 程(表2-1) 心 理 過程 の① シ ョッ クの段 階 は事 例A(以 下 事 例 はA・B・C・I)と 表 す)の み で あ と の3例 に はみ られ なか った。Aは 前 期 破 水で母 体 搬 送 入 院 に な り 「急 な こ とで … 」 と い う言動 か ら受 け とめ る余 裕 が 無 い状 態 で あ りシ ョ ックの段 階 で あ る と判 断 した、我 々 の先行 研 究 では 母体 搬 送の 時 点 で シ ョックを受 け て い る者 が 多か った が、本 調 査 で は1例 の みで あ った。 ② 自責感 を持 った者 はBとCだ った。Bは 胎児 診 断 目的 で の入 院 で あ った こ とや、Cは 妊娠 初 期 か ら重 症 の妊娠 中毒症 で あ った事 が影響 して い た と考 え る。 ④ 悲 しみ や不安 はB・C・Dの3例 が胎児 に つ いて の心配 を表 して いた 。 ⑤子 供 へ の 関心 はAの み で あ った。Aは す ぐに 出産 に な る と事 前 に聞 か され て い た ため、出 産後 の児 につ いて の 関心 が強 か った と考 え る。 2.分 娩か ら母親 の退 院 ま での心 理 過 程(表2-2) ② 自責 感 はBの み であ った。Bは 胎 児 診 断 目的 で 入院 した が羊水 検 査の結 果 が 得 られ ず 、 また 、 自分 が先 に退 院 して しま う とい う点 か ら自責 感 が 持 続 して いた と考 え る。 ④ 悲 しみ や不 安 はBとDで あ った。Bは 、母乳 栄 養 の一 時 中止 や 、児 ど一緒 に退 院 で きない こと へ の失 望 や 、 「嫁 と して の責 任 が 果 たせ な い」 と言 って い る ことか ら、 家族 か らの孤 独 感 を感 じ

図1

各 事 例 の 経 過 毎 の 心 理 過 程

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表2 出 産 前 後 の 各 経 過 毎 の 母 親 の 言 動 の 分 析

表2-1 人 院 か ら 分 娩 ま で

表2-2 分 娩 か ら 母 親 の 退 院 ま で

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て いた と考 え る。 また 、Dは 一般 褥 婦 と同室 に い て、 「母子 同室 を して い る人 を、 見 るの が羨 ま し か った」 と言 って お り、疎 外感 や 母親 であ る こ と への 喪失 を感 じて い た と考 え る。 ⑤子 供 へ の 関心 は4例 全 員 に あ った。一般 の母 親 と同様 に出産 を境 に子 供 へ の 関心 が強 くな って い る。 ⑥ 清報 探 索 はB・C・Dの3事 例 で あ った。 医 療 従 事者 に対 して、児 の状 況 を質 問 を す る とい っ た言 動 に現 れて いた 。 ⑦ 子 供 との愛着 形成 は、A・C・Dの3事 例 で あ った。3事 例 は 「連 れて帰 る りた くな っち ゃ う」 「か わ いか った 。話 しか け ると反応 した」 な ど児 に対 す る肯定 的反 応 か ら愛着 の現 れ と判 断 した。 3.児 の退 院 まで の心 理 過程(表2-2) 4事 例 と も退 院後 の育児 につ い てや 、 自責 感 や悲 しみ、子 供 の将 来 につ いての不 安 が再 び現 れて い た。 しか し、退 院 を 間近 に ひか えてAとDは 養 育 の活 動 を 開始 して いた。 4.各 事 例 の経 過毎 の心理 過 程(図1) Aは 、前 期破 水 で 緊急 母体 搬送 に よ る入 院 とな り、 出産前 後 は悲 哀 の心 理過 程 の① や④ の 否定 的 感 情 が現 れ て いた。 しか し、 出産 を境 に⑤ や⑦ ⑧ の子 供 に関 す る肯 定 的感 情 へ と移行 して い た。 Bは 、入 院 目的 が胎児 診 断 で あ り、 出産 前後 は ② ④ で 自責感 と不 安 が大 部 分 を 占め て いた。 また 、 出産 後 も②④ ⑤ ⑥ とな り、退 院 間近 で は、② ④⑥ と継 続 的 な 自責 感 と不 安 が 出現 して い た。 この事 例 は全経 過を通 して 、出産 に対 す る肯定 的 な言 動 は み られ なか った。 Cは 、妊 娠 初期 か ら重症 の妊娠 中毒症 で胎 児 の 発育 不 全 を指 摘 され て いた 。 また 、緊急 帝王 切 開 術 で 出産 とな って い るが、事 前 に未 熟児 出産 の予 想 が話 され て いた。 その ため分 娩 まで は心 理過 程 の② ④ で あ ったが 、分娩 後 は⑤ ⑥⑦ と子 供へ の 関 心 、子 供 へ の愛着 に移行 して い た。 Dは 、分娩 まで は心理 過 程 の④ で あ り自宅 で 陣 痛 と気 付 か ず に いて 、母体 搬 送入 院後 分 娩 な って い るた め と考 え る。 出産後 は④⑤ ⑥ と悲 しみ や不 安 を持 ちなが ら も子 供 へ の関心 、養 育 へ と移 行 し て い た。 しか し、退 院 間近 に な る と② ④ ⑤ ⑧ と 自 責 感 や不 安 が 再 び現 れ て きた。 V ま とめ 1.入 院 か ら分 娩 までの心 理 過 程 で最 も多か った の は、 ④悲 しみ 、不 安 で あ った。 2.分 娩 か ら母親 の退 院 まで の心理 過程 で は全 員 が⑤ 子 供 へ の関心 で あ り、次 いで ⑥ 情 報探 索 ⑦子 供 へ の愛着 であ った。 3.児 の退 院 まで の心理 過程 では 、② 自責 感④ 悲 しみ⑤ 子供 への 関心 ⑥ 情報 探 索 ⑦子 供 と の愛着 形 成 ⑧ 子供 の養育 の活 動 の 開始 まで に分 散 され て い た。 4.各 事 例 と も出産 を境 に子 供 へ の 関心 、愛 着 を 示 す言動 が多 くな って い た。 これ らの心理 過程 に は、妊娠 時 の異 常 や緊急 な分 娩 な どの影 響 を受 け て い る こ とが推 測 され る。 お わ りに 今 回4名 と い う少 数例 で「 般 化 は で き な いが 、 児 の退 院 間近 の 母親 の心 理 は非 常 に 多様 で あ り、 喜 びよ り も不 安 や 自責 感 が強 くな る ことが示 唆 さ れた 。今後 は事例 の数 を 増 や し研 究 を続 けて行 き た い と思 いま す。 研 究 にあ た り、 ご助 言 いた だ いた札 幌 医 科大 学 保健 医療 学部 丸 山知 子 教 授 に深 謝 いた しま す。 引用 ・参 考文 献 1)新 藤幸 恵 ・和 田 サ ヨ子:母 性 の心理 社 会 的 側 面 と看 護 ケ ア.第1版84表19医 学書 院 1993年 2)松 谷 涼 子:母 体 搬 送時 の心 理 面 への看 護 第10 回 日本 助 産学 会 学 術集 会 収録131∼134 1996年 3)ク ラ ウス ・ケ ネ ル:親 と子 の きず な竹 内徹 ほ か 訳 医学 書 院1989年 4)菊 地信 子:未 熟 児 を もつ母 親 か ら看 護 婦 さん へ.小 児 看護19(3)344∼348 1996年

図  5因 子別予想度得点 れ た理 由 を3つ 以 内 で 選 択 して も らった と ころ 、 呼吸器 装 着 に 関 して あ げ て い る の は42名 、当院 に 運 ば れ た事に 関 して あ げ て い る者 は37名 で あ り、続 い て 点 滴 に 関 して とな って い る 。(図6)また 、 呼 吸 器 を装 着 してい る者 、点滴 を して い る者 、絶 食 状 態 に あ る者は 、 そ うで な い者 に比 べ て重 症 に感 じて い る者 が 多 く、 全 て

参照

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