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投稿論文 論 文 FPD 搭載血管撮影装置への装置更新に伴う基準線量の変化 竹井泰孝浜松医科大学医学部附属病院放射線部 はじめに 2009 年 3 月に当院の IVR-CT 装置が更新され X 線平面検出器 (Flat Panel Detector: FPD) を搭載した血管撮影装置と, 大口径マル

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Academic year: 2021

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論 文

FPD搭載血管撮影装置への装置更新に伴う基準線量の変化

竹井 泰孝 浜松医科大学医学部附属病院 放射線部 はじめに

2009 年 3 月に当院の IVR-CT 装置が更新され、X 線平面検出器(Flat Panel Detector: FPD)を搭 載した血管撮影装置と,大口径マルチスライスCT が組み合わされた IVR-MDCT 装置が導入された. FPD は経年変化による劣化が少ない,画像歪みがない,広いダイナミックレンジを有するなどの 優れた特徴を有し,最新の血管撮影装置での受光系として急速に普及が進んでいる1)2) 今回,新装置の受入試験の一環として透視,シネ撮影時の基準線量測定を行い,Image Intensifier (I.I.)から FPD へと受光系の変化に伴う基準線量の変化について検討を行った. 1. 方 法 1-1 使用機器 今回,検討を行った装置は1997 年 3 月に導入された I.I.搭載血管撮影装置 CAS-8000V(2005 年 3 月にI.I.交換)とシングルヘリカル CT 装置 XVision-Real が組み合わされた IVR-CT 装置 XACTIVE (東芝メディカルシステムズ:以下旧装置)と,FPD 搭載血管撮影装置 IFNX-8000C と,大口径マ ルチスライスCT 装置 Aquilion LB が組み合わされた IVR-MDCT 装置 Infinx Celev-i(東芝メディ カルシステムズ:以下新装置)である.図1 に旧装置,図 2 に新装置の外観を示す.測定に用いた電 離箱線量計は9015 型放射線モニタ(Radcal),検出器には 6cc の電離容積を持つ 10X5-6 型指頭型検 出器(Radcal)を用い,測定用ファントムとして 40 cm×40 cm×20 cm の Polymethyl methacrylate (PMMA)ファントム(三菱レーヨン製)を用いた.なお使用した電離箱は 2009 年 1 月に財団法人日 本品質保証機構(JQA)にて校正されたものである. 1-2 半価層測定 2001 年の医療法施行規則の改正により,エックス線装置の総濾過が 2.0mmAl から 2.5mmAl 以上 へと変更された3) .1997 年に導入された旧装置の固有濾過は 2.3mmAl と改正前の医療法施行規則 で規定された総濾過を満たしており,付加フィルタは具備されていなかった.また新装置は1.1mmAl の固有濾過を有し,BF1 (0.2 mmCu(6mmAl 相当)・総濾過 7.1 mmAl), BF2(0.3 mmCu(8mmAl 相

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当)・総濾過 9.1 mmAl), BF3 (1.8 mmAl・総濾過 2.9 mmAl)の 3 種類の付加フィルタによって,医療 法施行規則の規定を満たす総濾過となっていた. 今回の半価層測定ではそれぞれの付加フィルタが挿入された際の実効エネルギーを求めるため,純 度99.9 %のアルミ板(厚さ 0.1 mm・0.2 mm・0.5 mm・1.0 mm・2.0 mm・5.0 mm)を使用し,ア ルミ減弱法により半価層測定を行った. 測定には電離箱線量計を用い,第2 半価層に達するまでアルミ板の厚みを増して測定を行った.X 線管電圧は60~120 kV まで 10 kV 間隔に設定し,散乱線の影響を抑えるため X 線照射野を検出部に かからないように出来るだけ小さくなるように5 cm×5 cm に調整した.

半価層から実効エネルギーの算出にはSeltzer SM and J.H. Hubbell の光子減弱係数データブック の線減弱係数を用いた3)

1-3 基準線量測定

IVR-CT 装置は主に頭頸部,腹部領域に対する診断,IVR に利用するために DSA 撮影が行われる ことが多いが,当院では心臓カテーテル検査にも利用しているためにシネ撮影を行うことも多い.ま た,今回の基準線量測定ではX 線照射条件の自動制御機構の動作を確認することに主眼をおいたため, 撮影条件が自動設定されるパルス透視,シネ撮影について基準線量の測定を行った. 基準線量の測定は,医療放射線防護連絡協議会編「IVR における患者皮膚線量の測定マニュアル」 4)で示された基準線量の測定手順に基づき,電離箱検出器をIVR 基準点に配置して測定を行った.測 定時のファントム,電離箱の配置等を図3 に示す. 20 cm 厚の PMMA ファントムを寝台上に配置し,臨床で用いている 7.5 p/s のパルス透視,15 f/s のシネ撮影を行い,新旧装置の視野サイズ(FOV)ごとに後方散乱を含んだ入射表面線量の測定,およ び透視条件の変化を記録した.またPMMA 厚を 2~20 cm(新装置では 30 cm)まで変化させてパル ス透視を行い,基準線量,および透視条件の変化についても測定した.さらに新装置ではシネ撮影に ついても同様の測定を行った.なお基準線量は旧装置で行った際と同様の測定条件とするため,パル ス透視は1 分間,シネ撮影は 10 秒間の積算線量から1分間あたりの基準線量を算出した. 図 3 PMMA ファントム、線量計の幾何学的配置

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2. 結果 2-1 半価層・実効エネルギー測定 アルミ減弱法による半価層測定,ならびに実効エネルギー算出結果を表1 に示す. 新装置の総濾過は挿入される付加フィルタの種類によって異なり,2.9~9.1 mmAl 当量の範囲と旧 装置の総濾過2.3 mmAl 当量よりも大幅に増加していた.また半価層の増加にともなって実効エネル ギーも増加し,管電圧80 kV での実効エネルギーは旧装置の 32.1 KeV から 34.9~45.8 KeV となっ ていた. 2-2 透視基準線量 PMMA 厚 20 cm での新装置の 7.5 p/s パルス透視基準線量は,全ての FOV において旧装置よりも 増加しており,BF3 では最大で旧装置の約 5.7 倍と著しく増加していた.また新装置の基準線量は付 加フィルタによって大きく変化しており,BF3 での基準線量に対して BF1 では約 40%,BF2 では約 50 %に減少していた(図 4). また新旧装置の最小視野サイズ(旧装置:7 inch・新装置:6 inch)でのパルス透視の基準線量は パルスレートの増加に伴って増加し,旧装置では連続透視の基準線量は30 p/s パルス透視の 80%程 度であったが,新装置では7.5 p/s パルス透視とほぼ同等となっていた(図 5). 図 4 各 FOV でのパルス透視基準線量 図 5 各透視モードのパルス透視基準線量 表 1 新旧装置の半価層・実効エネルギー

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しかし旧装置での1 パルス当たりの透視基準線量は透視パルスレートの増加に関わらず約 1.9 mGy/min で一定となっていたが,新装置では 7.5,15 p/s では約 4 mGy/min で一定となっていたが, 透視パルスレートが30 p/s になると約 2.6 mGy/min に減少していた(図 6). 2-3 シネ撮影基準線量 PMMA 厚 20 cm での新装置の 15 f/s シネ撮影の基準線量は,BF3 を除いて全ての FOV において 旧装置よりも基準線量が低下していた.またBF3 では FOV に関わらず,シネ撮影基準線量は約 400 mGy/min とほぼ同じ値になっていた(図 7). 2-4 パルス透視での条件制御 PMMA 厚 20 cm でのパルス透視において,旧装置は透視パルスレートに応じて管電圧が変化し, 15 f/s までは管電流が 0.6 mA を維持する条件制御が行われていた(図 8).これに対し新装置では透 視パルスレートに応じて管電流が変化し,管電圧は80 kV を維持する条件制御が行われていた(図 9). 2-5 X 線照射条件と基準線量 連続透視の透視条件は新旧装置で大きな違いは無く,旧装置に搭載されていなかった付加フィルタ の効果によって基準線量に若干減少していた(表2). 新装置でのパルス透視の透視条件は,旧装置に比べて管電圧が約10 kV 低下していた.しかし管電 流は旧装置の約10 倍へと著しく増大しており,付加フィルタの種類によって基準線量も異なってい 図 6 1 パルスあたりの透視基準線量 図 7 15 f/s シネ撮影基準線量 図 8 旧装置のパルス透視条件制御 図 9 新装置のパルス透視条件制御

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た.なお括弧内は透視管電流を平均値で示したものである(表3). また新装置でのシネ撮影条件は,BF3 では旧装置とほぼ同等であった.しかし BF1,BF2 では管 電圧が約10kV 上昇していたが,付加フィルタの効果によって基準線量は減少していた(表 4). 2-6 PMMA 厚と X 線照射条件の変化 旧装置の透視条件はPMMA 厚の増加に伴って管電 圧が上昇し,管電流はPMMA 厚 14 cm 以下では 0.3 mA 一定となるように制御され,PMMA 厚が 14 cm を 超えると管電流は徐々に上昇する条件制御が行われて いた(図10). それに対して新装置ではPMMA 厚の増加に伴って 管電流が上昇し,管電圧はPMMA 厚が 26 cm 以下で は80 kV 一定となるように制御され,PMMA 厚が 26cm を超えると管電圧は徐々に上昇する条件制御が 行われていた(図11).また新装置のシネ撮影の条件 制御においてもパルス透視と同様,撮影管電圧を72 kV 一定となるように管電流を優先して変化させる条 件制御が行われていた(図12). 表 4 15 f/s シネの撮影条件・基準線量 図 10 旧装置の透視条件変化 表 3 7.5 p/s 透視の透視条件・基準線量 表 2 連続透視の透視条件・基準線量

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3. 考察 新装置にはBF1, BF2, BF3 の 3 種類の付加フィルタが搭載されたことで総濾過が旧装置よりも大 幅に増加し,X 線実効エネルギーが大きく上昇していた. 今回測定を行った基準線量は後方散乱も含んでいるため実効エネルギーの上昇と共に後方散乱も 増加することで基準線量も増加する.しかし後方散乱の増加が基準線量の大幅な増加の要因とはなり えない.このことから新装置で基準線量の増加の要因は実効エネルギーの変化よりも照射線量の増加 であり,X 線照射条件が大きく影響していることが考えられた. 図4 において,新装置の透視基準線量が 12 inch よりも 16 inch の方が高くなっていた.これは新 装置では4 種類の視野サイズを有しているが,入射線量設定が 3 種類の視野サイズしか行えないこと に起因している.当院の装置では16 inch と 12 inch が共通の入射線量設定となっており,視野拡大 によるFPD 入射線量の減少によって 12 inch での透視基準線量が減少していた.

また今回の検討より,新旧装置間において透視条件制御(Auto Brightness Control: ABC)の制御 方式が大きく変更されていることが判明した. 旧装置のパルス透視は管電流を一定とし,管電圧を優先して変化させる条件制御が行われていた が,新装置のパルス透視は管電圧を一定とし,管電流が優先して変化させる条件制御に変更されてい た. これは旧装置のX 線制御器がパルス透視では 20 mA と 50 mA の 2 種類の管電流,パルス幅 2~5 ms での制御しか行えないため,管電圧を優先して変化させる制御を行っていたためである5) また新装置では画像コントラストを維持するため,透視管電圧を80 kV に維持したまま管電流を変 化させる制御が行われていたが,この条件制御では厚い被写体では患者皮膚面入射線量も著しく増大 してしまうことも考えられる. 管電圧を固定して管電流変化を優先するABC の制御方式は,被写体の吸収の増加に伴って管電流 を増えていくため,被曝線量を増加させる危険性がある.そのため,ABC の制御方式は管電圧を優 先して変化させるべきである. 最近の血管撮影装置はX 線照射条件の自動制御技術の急速な進歩によって管電圧や管電流,付加フ ィルタなどが高度に自動制御され,装置を使用する医師や診療放射線技師がX 線照射条件を設定でき る範囲も狭くなってきている. 特に大容量X 線管装置と FPD が組み合わされた最新の血管撮影装置では,FPD の持つ広いダイナ ミックレンジと高度に制御されたX 線制御機構により,従来の I.I.装置では良好な画像を得ることが 難しかった深い角度付けや高度肥満患者においても良好なコントラストの画像が得られるようにな った. Gurley はそのような状況下において,FPD 装置は従来の I.I.装置よりも著しく高い被曝線量を患 図 11 新装置の透視条件変化 図 12 新装置のシネ撮影条件変化

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者に与えており,装置を使用する医師,診療放射線技師がそのことに気がついていないことへの危険 性について警鐘を鳴らしている6) 今回の受入試験により,導入時の初期設定条件によっては装置のFPD 化が必ずしも被曝低減につ ながっていないことが判明した. 診療放射線技師は装置導入時には必ず初期設定条件を詳細に確認し,X 線照射条件を適正な線量に 調整する『最適化』という重要な役割を担っている. FPD 装置は I.I.装置よりも詳細な条件パラメータの設定が可能であり,我々は画質評価や線量測定 を通じて装置の特性を理解し,X 線照射条件の最適化を図っていく姿勢が求められる. 4. 結語 受入試験の一環でFPD を搭載した新装置の基準線量を測定したところ,I.I.を搭載した旧装置より も基準線量が大幅に増加していた. これは新装置において画像コントラスト維持のために管電圧が一定となるよう,管電流を優先して 変化させるX 線照射条件制御アルゴリズムへと変更されたことに起因していた.そのため新装置の条 件制御では患者被曝線量を増大させてしまう危険性があり,管電圧変化を優先する条件制御を行うべ きである. 我々診療放射線技師はこのような装置の特性を理解し,X 線照射条件の最適化に努めることが必要 と考える. なお,本論文の要旨は第39 回日本 IVR 学会総会(2010 年,浅草)にて発表した. 5. 謝辞 本研究を行うにあたり,測定データを快くご提供して頂いた富山大学医学部附属病院 放射線部 新谷光男氏に深く感謝いたします. 引用・参考文献 1) 池田光志: IT 化を推進する医療用 X 線検出器;東芝レビューVol. 58, No. 4 (2003) 2) 三浦嘉章, 三浦祐介, 後藤敬一ほか:直接変換型 FPD(Safire)搭載デジタル血管造影システム Digitex Safire の開発. 島津評論,61(3・4),135-146, (2005) 3) Seltzer SM, Hubbell JH:光子減弱データブック放射線医療技術学叢書(11), 京都; 日本放射線 技術学会, 1995 4) 医療放射線防護連絡協議会:IVR に伴う放射線皮膚障害の防止に関するガイドライン-Q&A と解 説-, 東京:医療放射線防護連絡協議会 5) 東芝メディカルシステムズ:診断用 X 線高電圧装置 KXO-80C 形仕様書

6) J.C. Gurley:Flat Detector and New Aspect of Radiation Safety, Cardiol Clin., Aug;(3):385-94, 2009

図 1  旧 IVR-CT 装置  図 2  新 IVR-CT 装置

参照

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