総 合 論 文
新 しい ル イ ス酸 を用 い るイ ミン類 の触 媒 的活 性 化
小
林
修*・ 石
谷
暖
郎*
Catalytic
Activation
of Imine
Derivatives
Using
Novel
Lewis
Acids
Shu KOBAYASHI* and Haruro ISHITANI*
The Lewis acid-mediated reactions of imine are one of the most powerful methods for preparation of nitrogen-containing compounds. However, there are few examples of the reactions using catalytic amounts of Lewis acids, because the strong coordination of the products (which are mostly secondly or tertiary amines) , deactivates the acids. This article introduces several types of new achiral and chiral Lewis acids which can mediated the reactions of imines catalytically . The essence of the catalytic activation of imines by Lewis acids is the equilibrium between Lewis acids and bases (imines or products) , and it has been revealed that rare earth triflates (lanthanide and scandium tri-fluoromethanesulfonate) are excellent catalysts for this purpose. Imino-aldol reactions, aza Diels-Alder reactions, allylation reactions, cyanation reactions, and three-component reactions of alde-hydes, amines, and nucleophiles were successfully carried out in the presence of catalytic amounts of rare earth triflates. Polymer-supported reagents also worked well by using the triflates as catalysts. In addition, it was shown that group IV triflates (Zr and Hf triflates) were effective for catalytic activation of imines. The first truly catalytic asymmetric reactions of imines have been achieved using new chiral Lewis acids. In the presence of a catalytic amount of a chiral rare earth catalyst , imines derived from 2-aminophenol and aldehydes reacted with cyclopentadiene or vinyl ethers to afford 8-hydroxytetrah-ydroquinoline derivatives in high yields with high diastereo- and enantioselectivities. Moreover, the first catalytic enantioselective Mannich-type reactions of imines with silyl enolates using a novel chiral zirconium catalyst have been developed . High levels of enantioselectivities in the synthesis of chiral ƒÀ-amino ester derivatives, ƒÀ-amino alcohol derivatives, and tetrahydropyridine derivatives have been achieved using these reactions .
Key words : Lewis acid , Imine, Mannich reaction , Chiral catalyst , Lanthanide triflate , Scandium triflate, Aza Diels-Alder reaction
1. は じ め に
生理活性物質や医薬品の中 には窒素原子 を含 む化合物
が数多 く見 られ,窒 素原子 はそれ らの薬理作用発現 に大
き な役 割 を 担 って い る と考 え られ て い る1)。 ま た,今 日 の有 機 合 成 化学 に お い て は,特 に光 学 活 性 含 窒 素 化 合 物 が 天 然 物 や 生 理 活 性 物 質 合成 の合 成 中間 体 と して ばか り で は な く不 斉 補 助基(Chiral Auxiliary)と して も注 目を 集 あ て お り2),ア ミノ酸 誘 導 体 や ア ミノ ア ル コー ル か ら 得 られ る不 斉 補 助基 を 有効 に活 用 した ジ ア ス テ レオ選 択 的 な反 応 も数 多 く報 告 され て い る。 現 在,含 窒 素 化 合 物 の効 率 的 な 合 成 法 の 確 立 は,有 機 合 成 化 学 の分 野 に お け る最 も重 要 な 研 究課 題 の1つ に な って い る。 イ ミ ンは アル デ ヒ ドの 窒素 ア ナ ロ グ と見 なす こ とが で き,ア ル デ ヒ ドが 特 に炭 素 一炭 素 結 合 生 成 反 応 に お いて 広 範 な 有 機 化 合 物 を 与 え る 合 成 中 間 体 で あ る こ と と同 様,含 窒 素 化 合 物 の 合 成 に お け る最 も有 効 な窒 素 供 給 源* 東京理科大学理学部応用化学科
* Department of Applied Chemistry
, Faculty of
Science , Science University of Tokyo 1
現住 所:更 京 大 学 大 学 院 薬学 系 研 究科
Graduate School of Pharmaceutical Sciences, The
の1っ で あ る。 さ らに,ア ル デ ヒ ドが ル イ ス酸 の存 在 下 で 活 性 化 さ れ 各 種 求 核 試 薬 な ど の 付 加 を 受 け る の と同 様,イ ミ ンも ル イ ス酸 に よ って活 性 化 され求 電 子 剤 と し て 作 用 す る。 しか しな が ら,一 般 に イ ミンを前 駆 体 とす る炭 素 ―炭 素 結 合 生 成 反 応 に お い て,触 媒 量 の ル イ ス酸 存 在 下 で 生 成 物 を 収 率 よ く得 る こ と は困 難 な 場 合 が 多 い。 これ は相 当 す る アル デ ヒ ドの場 合 とは異 な り,出 発 原 料 で あ る イ ミ ンあ る い は生 成物 が 強 力 な ル イ ス塩 基 で あ り,こ れ らのル イ ス塩 基 はル イ ス酸 に 強 く配 位 し不 活 性 化 させ るか らで あ る。 また イ ミンを 用 い る反 応 に お い て,そ の安 定 性 も しば しば 問 題 とな る。 一 般 に芳 香 族 ア ル デ ヒ ドか ら調 製 され る イ ミン は安 定 で結 晶性 の よ い も の も あ るが,脂 肪 族 アル デ ヒ ドか ら調 製 さ れ るイ ミ ンは 不 安 定 で,カ ラ ム ク ロマ トグ ラ フ ィー,蒸 留 な ど に よ る 精 製 が 困 難 で あ る。 さ ら にイ ミンは 吸湿 性 で あ る た あ そ れ が 原 因 と な り しば しば ル イ ス酸 を失 活 さ せ る。 筆 者 ら は,炭 素 一炭 素 結 合 生 成 反 応 に広 く用 い る こ と ので き る ル イ ス酸 触 媒 の 開 発 を行 って きて お り,す で に ラ ンタ ノ イ ド,ス カ ン ジ ウ ムな どの希 土 類 金 属 の トリフ ル オ ロ メ タ ン スル ホ ン酸 塩(希 土 類 金 属 ト リフ ラ ー ト)3) が,ア ル ドー ル反 応,マ イケ ル反 応,Diels-Alder反 応 な ど基 本 的 か っ 重 要 な炭 素 一炭 素 結 合 生 成 反 応 の 優 れ た 触 媒 と な る こ と を見 い だ して きた4)。ま た これ らの 希 土 類 塩 は水 の中 で も失 活 せ ず ル イ ス酸 と して機 能 し,反 応 終 了 後 回 収,再 使 用 が 可 能 で あ るな ど,他 の ル イ ス酸 に は 見 られ な い興 味 深 い特 徴 を 有 す る こ とを 明 らか に して い る5)。水 は ル イ ス酸 に対 して 一 般 に ル イ ス 塩 基 と して作 用 す るが,こ のル イ ス塩 基 が 大過 剰量 存 在 して い る 中で も希 土 類 金 属 ト リフ ラー トが 有効 な ル イ ス酸 触 媒 と して 作 用 す る と い う点 は,上 述 した イ ミンの反 応 に お い て も 有 効 な触 媒 と な り得 る もの と期待 さ れ る。 この よ うな考 え に基 づ き,筆 者 ら は希 土 類 金属 トリ フ ラー トを用 い る イ ミ ン類 の 触 媒 的 な活 性 化 の 研究 に着 手 した。 さ らに反 応 の 開 発 過 程 にお い て,4族 の ジル コニ ウ ム やハ フ ニ ウ ムの ト リフ ラ ー ト塩 もイ ミン類 の触 媒 的活 性 化 に有 効 で あ る こ とを 見 いだ した 。筆 者 らは これ ら3族 お よ び4族 の ト リフ ラ ー ト塩 を 中心 とす る金 属 塩 を,従 来 か ら知 ら れ て い るル イ ス酸 と は種 々 の異 な る性 質 を有 す る こ とか ら「新 し いル イ ス酸 」と捉 え,そ の特 徴 を生 か した合 成 反 応 の 開 発 を 行 って きた。 本 論 文 で は こ れ ま で に得 られ た 筆 者 らの 研 究 結果 を最 新 の もの を 中心 に概 説 す る。 2. 希 土 類 金 属 ト リ フ ラ ー トを 触 媒 と して 用 い る イ ミ ノ ア ル ドー ル(Mannich型)反 応 2.1. イ ミ ン と シ リル エ ノラ ー トと の イ ミ ノ アル ドー ル (Mannich型)反 応 イ ミン と シ リル エ ノ ラ ー トと の い わ ゆ る イ ミノ ア ル ドー ル反 応 は,古 くか ら知 られ て い るMannich反 応 の 改 良 型 で あ り,β う ク タム な どの合 成 中 間体 と して 有 用 な β一ア ミ ノ カ ル ボ ニ ル 化 合 物 を 得 る重 要 な 反 応 で あ る6)。1977年 に尾 島 らが 化 学 量 論 量 のTiCl4を 用 い る例 を報 告 して 以 来,優 れ た触 媒 が す で に い くっ か開 発 され て い る7,8)。 筆 者 ら は まず5モ ル%の イ ッテ ル ビウ ム トリフ ラ ー ト (Yb(OTf)3)の 存 在 下,N-ベ ン ジ リデ ンア ニ リ ンに イ ソ 酪 酸 メ チル 由 来 の ケ テ ン シ リル ア セ タ ー ル を作 用 させ た と こ ろ,反 応 は塩 化 メ チ レ ン中O℃ とい う穏 和 な 条 件 下 で 速 や か に進 行 し,対 応 す る β一ア ミノ エ ス テ ル が 高 収 率 で 得 られ る こ とを見 い だ した9)。 種 々 の イ ミン,シ リル エ ノ ラー トに 関 して検 討 を行 った結 果,シ リル エ ノ ラ ー トと して はエ ス テ ル 由来 の もの だ け で な く,チ オ エ ス テル,ケ トン由来 の エ ノ ラー トを用 い た場 合 に も収 率 よ く生 成 物 を 得 る こ とが で きた(式1)。 ま た,ス カ ンジ ウ ム ト リ フ ラ ー ト(Sc(OTf)3),イ ッ ト リ ウ ム ト リ フ ラ ー ト(Y(OTf)3)も 同様 の高 活 性 を示 す こと も明 らか に した 。
(1)
2.2. 三 成 分縮 合 型反 応 従 来 イ ミンを用 い る反 応 で は,多 くの場 合 あ らか じめ アル デ ヒ ドとア ミンか らイ ミ ンを別 途 調 製 し,こ れ を 単 離 精 製 した もの を用 い て行 わ れ て き た。 しか しな が ら イ ミンの 中 に は不 安 定 で単 離,精 製 が 困 難 な もの も多 い た あ,仮 に イ ミンを用 い る反 応 が高 収 率 で 進 行 して も イ ミンの 調製 が低 収 率 の た め,プ ロ セ ス全 体 と して は問 題 を 残 す 場 合 が しば しば見 られ る。 従 って 合 成 手 法 と して は反 応 系 内 で ア ル デ ヒ ドとア ミ ンか ら調 製 した イ ミンを 即座 に求 核 剤 で捕 捉 す る こ とが 望 まれ るが10),イ ミン生 成 時 に生 じ る水 や ア ミ ン,イ ミ ンな ど の ル イ ス塩 基 性 に よ って これ ま で知 られ て い る代 表 的 な ル イ ス酸 は失 活 す るた め上 記 の反 応 に用 い る こと はで き な い。 一 方,希 土 類金 属 塩 が水 や ア ミ ンの存 在 下 にお いて も失 活 す る こ と な くル イ ス酸 と して機 能 す る こ と はす で に述 べ た が,この特 性 を活 用 す れ ば 上 記 の 不安 定 な イ ミンを単 離 せ ず, 系 内で 調 製 して その ま ま反 応 に用 い る とい う理 想 的 な シ ス テ ム が実 現 で き る もの と考 え た 。 ま ず10モ ル%のYb(OTf)3,無 水 硫 酸 マ グ ネ シ ウ ム (400mg/mmol)存 在 下,n一 オ ク チ ル カ ル ボ キ シ ア ル デ ヒ ドと ベ ンズ ヒ ド リル ア ミンを 塩 化 メチ レ ン中 で混 合 さ せ,続 い て イ ソ酪 酸 メ チル 由 来 の ケ テ ン シ リル ア セ ター ル を 作 用 さ せ た と こ ろ,予 期 した よ うに 対 応 す るβ一ア ミ ノ エ ス テ ル を89%の 収 率 で 得 る こ とが で き た。 この 際,ア ル デ ヒ ドと シ リル エ ノ ラ ー トとの アル ドー ル付 加 体 は全 く確 認 され なか っ た。 一 方,イ ミンの活 性 化 に効 果 的 で あ るこ とが 報 告 され て い るTicl4,TMsoTfを 用 い て 同様 の反 応 を行 っ た場 合 に は,化 学 量論 量 用 い て も 生 成 物 は痕 跡 量 しか 得 る こ と はで きな か った(表1)。 次 に本 反 応 の基 質 一 般 性 につ いて 検 討 を行 った。 そ の 結 果,い ず れ の 場 合 に も対 応 す る付 加 体 が 高 い 収 率 を も って 得 られ る こ とが わ か った(式2)11)。 脱 水 剤 と して は無 水 硫 酸 マ グ ネ シ ウ ム,モ レキ ュ ラ ー シー ブ ス(MS) 4Aの ど ち ら も効 果 的 で あ り,ア ミ ン成 分 と して は脂 肪 族 ア ミン,ア ニ リ ン類 の いず れ も適 用 で きた 。 また ア ル デ ヒ ド成 分 と して も,芳 香 族 だ けで はな く,結 晶水 を含 む フ ェ ニ ル グ リオ キ サ ー ル ー 水 和 物 や α,β一不 飽 和 ア ル デ ヒ ド,種 々 の脂 肪 族 ア ル デ ヒ ドを用 いた 場 合 に も生 成
(2)
物 を高 収 率 で 得 る こ とが で きた 。脂 肪 族 ア ル デ ヒ ド由来 の イ ミ ンは先 に も述 べ た よ うに 一般 に単 離 が難 し く,エ ナ ミ ン型 へ の異 性 化 に帰 因 す る副反 応 な どの た め反 応 に 供 す る こと は難 しい と され て きた が,本 三 成 分 反 応 で は 収 率 よ く付 加 体 が 得 られ た こ と は特 筆 さ れ る。 ラ イ ブ ラ リー(Library)構 築 さ て,前 述 した よ う に イ ミン と シ リル エ ノ ラー トとの イ ミノーア ル ドー ル反 応 は古 典 的 なMannich反 応 の改 良型 反 応 に位 置 付 け られ るが,本 三成 分 反応 は穏 和 な条 件 下,副 反 応 を伴 わ な い と い う改 良 型 の 特徴 を残 した ま ま 再 び古 典 的 なMannich反 応 に回 帰 した と い え る。一 方,本 反 応 の よ うに,目 的 とす る生 成 物 を い くっ か の最 小 構 成 ユ ニ ッ トか ら多 成 分 反 応 に よ って 一挙 に構 築 す る 手 法 は,多 様 な化 合 物 群(ラ イ ブ ラ リー)を効 率 よ く合成 で き る方 法 と して近 年 注 目 を集 めて い る12)。液 相 中 で 多 成 分反 応 の特 性 を生 か して ラ イ ブ ラ リーを構 築 す るた め に は,1)試 薬 を過 剰 量 用 い る こ と な く高 収 率 で 生成 物 が 得 られ る こ と,2)触 媒 を容 易 に系 外 に除 去 で き る こ と, 3)生 成 物 を繁 雑 な精 製 を必 要 とせ ず 高 い純 度 を も って 得 る こ とが で き る こ と,な ど の条 件 を満 たす 必 要 が あ る。 こ こ で 開 発 さ れ た 希 土 類 金 属 ト リ フ ラ ー トを 用 い る Mannich型 の三 成 分 縮 合 反 応 を ラ イ ブ ラ リー合 成 に 適 用 した 場 合,2)の 触 媒 の 除去 が鍵 と な っ たが,ご く最 近 少 量 の シ リカ ゲ ル を用 い るろ過 に よ って この 問 題 を 解 決 す る こ とが で きた。 す な わ ち,先 に示 した条 件 下 アル デ ヒ ド,ア ミン,シ リル エ ノ ラー トを塩 化 メ チ レ ン中1:1 :1で 混 合 し,反 応 を 完 結 さ せ た後 そ の ま ま反 応 混 合 物 を シ リカゲル で ろ過 す る と,触 媒 と して用 い たYb(OTf)3 は容 易 に除 去 す る こ とが で き,さ らに ろ液 を濃 縮 す る こ と に よ り 目的 とす る β一ア ミノ エ ス テ ル を 純 粋 な形 で ほ ぼ定 量 的 に得 る こ とが で きた(式3)13)。 本 手 法 は,β 一ア ミノ酸 や β一ラ ク タ ム な どの ラ イ ブ ラ リー 構 築 に威 力 を 発 揮 す る もの と期待 され る。(3)
ア ル デ ヒ ドvsイ ミ ン ア ル デ ヒ ドとイ ミンは共 に ル イ ス酸 に よ り活 性 化 され 種 々 の求 核試 薬 と反 応 す る。 こ こで は一 般 に,ア ル デ ヒ ドはイ ミンに比 べ て電 子 的 お よ び立 体 的 要 因 か ら反 応 性 に 富 む こ とが知 られ て い る。 従 っ て ア ル デ ヒ ドと イ ミン の 共 存下 に お い て,過 剰 量 の ル イ ス酸 を添 加 した 場 合 に はア ル デ ヒ ドに 由来 す る付 加 体 が 優 先 して 得 られ る こ と が 予想 され る14)。一 方 触 媒 量 の ル イ ス酸 を用 い た場 合 に は,ア ル デ ヒ ドール イ ス酸 錯 体 の生 成 と イ ミ ンール イ ス酸 錯 体 の生 成 の平 衡 状 態 が 生 じ る。 こ こで選 択 的 にイ ミンー ル イ ス酸 錯体 を生 成 さ せ,そ の条 件 下 で 求 核 剤 の 付 加 が 起 これ ば イ ミン選 択 的 な反 応 が実 現 され,通 常 の アル デ ヒ ドとイ ミンへ の求 核 付 加 の反 応 性 を逆 転 で き る もの と 考 え られ る。 こ こで は用 い る ル イ ス酸 が 鍵 にな る もの と 考 え られ るが,こ れ ま で述 べ て き た イ ミ ンの活 性 化 に威 力 を 発揮 す る希 土 類 金 属 トリフ ラー トが,ア ル デ ヒ ド, イ ミンの 共存 下 に お い て,イ ミ ンの み を選 択 的 に活 性 化 す る極 め て特 異 な性 質 を有 す る こ とが わか っ た15)。す な わ ち,典 型 的 な ル イ ス酸 を化 学 量 論 量 用 い た場 合,ほ ぼ ア ル デ ヒ ドに 由来 す る ア ル ドー ル体 の みが 得 られ るの に 対 し,触 媒量 の希 土 類 金 属 トリフ ラ ー トを用 い る と イ ミ ノ ア ル ドー ル 付 加 体 で あ る β一ア ミノ カ ル ボニ ル化 合 物 が 広 い基 質一 般 性 を も って選 択 的 に得 られ る こ とを 見 い だ した(式4)。 ま た,核 磁 気 共 鳴(NMR)を 用 いて 錯 体 の 生 成 状 態 を調 べ た結 果,希 土 類 金 属 トリフ ラ ー トは アル デ ヒ ドよ り もイ ミン と強力 な錯 形 成 能 を有 す る こ とが 明 らか にな った16,17)。
(4)
2.3. 高 分 子 固定 化 シ リル エ ノ ー ル エ ー テ ルを 用 いる 反 応 固 相上 で の反 応 は,反 応 の後 処 理 が 簡 便 で あ る ため 自 動 合 成 へ の応 用 も可 能 で あ り,多 種 類 化 合 物 群(ラ イ ブ ラ リー)を 効 率 的 に合 成 す る た め の 重 要 な方 法 論 を 提 供 す る12)。一般 に液 相 で行 わ れ て い る有 機 合 成 反 応 を 固 相 上 で行 うた め に は,反 応 性 の高 い高 分 子 固 定 化 試 薬 の 開 発 が必 須 で あ る が,当 研 究 室 で は ご く最 近,高 分 子 上 に 固定 化 した シ リル エ ノ ー ル エ ー テ ル を開 発 した18)。シ リ ル エ ノ ー ル エ ー テ ル は単 離 可 能 な エ ノ ラ ー トと して 有機 合成 に お い て汎 用 さ れ て お り19),本 試 薬 の開 発 に よ り実 際様 々 な炭 素 一炭 素 結 合 生 成 を固 相 上 で 行 う こ と が可 能 に な った。 こ こで は,こ の高 分 子 固 定 化 シ リル エ ノ ールエ ー テ ル(Polymer-Supported Silyl Enol
Ether;PS-SEE)を 用 い るイ ミ ンへ の付 加 反 応,Mannich型 三 成分 縮 合 反 応 に つ い て紹 介 す る(式5)20)。
(5)
10モ ル%のSc(OTf)3の 存 在 下,塩 化 メ チ レ ン 中 で 種 々 の イ ミ ンにPSSEEを 混 合 す る と固 相 上 で の 炭 素 一 炭 素 結 合 生 成 が 円滑 に進 行 す る。 反 応 終 了 後 水素 化 ホ ウ 素 リチ ウム で還 元 す る こ と に よ り樹 脂 か ら切 り出 す と, 対 応 す る γ一ア ミノ ア ル コ ー ル が収 率 よ く得 られ る こ と が わ か った。一 方,塩 基 性 条 件下 で加 水 分 解 す る とβ一ア ミノ酸 が,さ らに 水 銀 塩 存 在 下 で 環 化 させ る とβ一ラ ク タム が そ れ ぞ れ収 率 よ く得 られ る こ と も明 らか に した。 本 反 応 は これ らの化 合 物 ラ イ ブ ラ リー構 築 に有 力 な手 法 を提 供 す る。 ま た'ア ル デ ヒ ド,ア ミン,PSSEEに よ る 三 成 分 縮 合 型 反 応 に お い て も生 成 物 が 高 い収 率 を も って 得 られ る こ とを見 い だ した。 興 味 深 い こ と に,単 離 した イ ミンを用 い て 同様 の反 応 を行 う よ り も高 収 率 で 生成 物 が得 られ る21)。ま た,こ れ も ご く最 近,酸 素 や 窒 素 原 子 を含 ま な い新 しい リ ンカ ー樹 脂 を 開 発 し,こ れ を 用 い る 上 記Mannich反 応 に お い て,大 幅 な 収 率 の 向上 を 実 現 して い る22)。 3. ア ザDiels-Alder反 応 ア ザDiels-Alder反 応 は,ピ リジ ンや キ ノ リンな ど含 窒素 複 素 環 を合 成 す る際 の有 用 な 手 段 とな る23)。これ まで に も ル イ ス 酸 を 促 進 剤 と す る ア ザDiels-Alder反 応 の 例 が い く っ か 報 告 さ れ て き た が,多 く の 場 合,用 い る ル イ ス 酸 は 化 学 量 論 量 以 上 必 要 と さ れ て き た23)。 筆 者 ら は ま ず 触 媒 量 の 希 土 類 金 属 ト リ フ ラ ー トの 存 在 下,種 々 の イ ミ ン にDanishefsky's diene24)を ア セ トニ ト リ ル 中0℃ で 作 用 さ せ る と,反 応 は 円 滑 に 進 行 し対 応 す る テ ト ラ ヒ ド ロ ピ リ ジ ン誘 導 体 が 良 好 な 収 率 を も っ て 得 られ る こ と を 見 い だ し た 。 一 方,N一 ベ ン ジ リ デ ン ア ニ リ ン に シ ク ロ ペ ン タ ジ エ ン を 作 用 さ せ た と こ ろ,N一 ベ ン ジ リ デ ン ア ニ リ ン が ア ザ ジ エ ン,シ ク ロ ペ ン タ ジ エ ン の2っ の オ レ フ ィ ン の う ち1っ が ジ エ ノ フ ィ ル と し て 作 用 し,テ ト ラ ヒ ド ロ キ ノ リ ン誘 導 体 が 得 られ た25)。 ビ ニ ル ス ル フ ィ ド26),ビ ニ ル エ ー テ ル27),シ リル エ ノ ー ル エ ー テ ル を 用 い た 場 合 に も,対 応 す る テ ト ラ ヒ ド ロ キ ノ リ ン誘 導 体 が そ れ ぞ れ 高 収 率 を も っ て 得 ら れ る こ と が わ か っ た(式6)28)。 さ ら に こ の ア ザDiels-Alder反 応 は,先 の イ ミ ノ ア ル ドー ル 反 応 の 場 合 と 同 様 イ ミ ンを 単 離 す る こ と な く,ア ル デ ヒ ド,ア ミ ン,ジ エ ン あ る い は ジ エ ノ フ ィ ル か ら ワ ン ポ ッ トで 行 う こ と も で き る10,29)。 こ の 条 件 下 で は,熱 的 に 不 安 定 で あ る こ と が 知 ら れ て い る グ リ オ キ シ レ ー ト 由 来 の イ ミ ン や ホ ル ム ア ル デ ヒ ド由 来 の イ ミ ン も 単 離 す る こ と な く反 応 に 用 い る こ と が で き る30)。 さ て,10モ ル%のYb(OTf)3存 在 下,単 離 し た イ ミ ン で あ るN一 ベ ン ジ リ デ ンp一 メ ト キ シ ア ニ リ ン に2一 メ ト キ シ プ ロ ペ ン を 作 用 さ せ る と,テ ト ラ ヒ ド ロ キ ノ リ ン誘
(6)
導 体(4)が ご く少 量 の キ ノ リン(5)の 生 成 を伴 って得 られ る31)。一 方,こ の反 応 を非 水 溶媒 中 で ワ ンポ ッ ト法 に よ り行 う と,興 味 深 い こ と に テ トラ ヒ ドロキ ノ リンお よ び キ ノ リ ン誘 導 体 は ほ とん ど得 られ ず,主 生成 物 と して対 応 す る β一ア ミノ ケ ト ン(2)と そ の ジ メ チ ル ア セ タ ー ル (3)が 得 られ る こ とが わ か った30)。こ れ らの 実 験 結 果 か ら,こ の反 応 の機 構 を次 の よ う に考 察 した(ス キ ー ム1)。 ま ず,イ ミ ンと2一メ トキ シ プ ロ ペ ンか ら中 間 体(1)が 生 成 す る。 ワ ンポ ッ ト法 で反 応 を行 った 場 合 に は,1が イ ミン調 製 時 に副 生 す る水 と反 応 して ヘ ミアセ ター ル を 経 て ア ミノ ケ トン(2)を 与 え る一 方,こ の と き生 じ る メ タ ノ ー ル と1が 反 応 し て ア ミノ ア セ タ ー ル(3)を 与 え る。 1 2 3 4 5一方,単 離 した イ ミ ンを用 い た場 合 に は,完 全 な無 水 条 件 が 終 始 保 た れ る た め,中 間 体(1)がFriedel-Crafts型 の環 化 反 応 を起 こ して キ ノ リン誘 導 体 が 得 られ た もの と 考 え られ る。 ワ ンポ ッ トで 反 応 を行 った 際 に 得 られ た生 成 物 は,本 反 応 の 鍵 中 間 体 と考 え られ る(1)を 捕 捉 で き た こ と に等 し く,こ こで 得 られ た一 連 の実 験 結 果 は,イ ミ ンと ビニ ル エ ー テル との 反 応 が通 常 のDiels-Alder反 応 の よ う に協 奏 的 に進 行 して い るの で はな く,段 階 的 に 進 行 して い る こ と を 強 く示 唆 して い る もの と考 え られ る32)。 さ ら に こ こで 得 られ た 実験 結果 を も とに,水 溶 液 中 で のMannich型 反 応 を 開 発 す る こ とが で きた33)。す な わ ち,触 媒 量 の希 土 類 金 属 ト リフ ラー ト存 在 下,水 一THF あ る い は水 一エ タ ノー ルートル エ ンの混 合 溶 媒 中で,ア ル デ ヒ ド,ア ミン,求 核剤 と して2-メ トキ シ プ ロ ペ ンを混 合 す る と,対 応 す る β-ア ミノ ケ ト ンが収 率 よ く得 られ る こ とを 明 らか に した(式7)。
(7)
4. シ ア ノ化 反 応,ア リ ル 化 反 応 4.1. シ ア ノ化 反応 イ ミンの シア ノ化 反 応 は,α-ア ミノ酸 の合 成 中間 体 と な る α-ア ミ ノニ ト リル を 与 え る合 成 上 重 要 な反 応 で あ り34),す で に塩化 ア ル ミニ ウム な ど の ル イ ス酸 を用 い る イ ミ ンと ト リメ チ ル シ リル シア ニ ド(TMSCN)の 反 応 が 報 告 され て い る35)。一 方 合 成 の効 率 の 観 点 か ら は,古 く か ら知 られ て い るア ミン(ア ンモ ニ ア),ア ル デ ヒ ド,シ ア ノ化 剤 の 三成 分 を縮 合 させ るStrecker反 応 が 有 効 で あ るが,こ れ ま で に知 られ て い るStrecker反 応 の ほ と ん どが 有毒 な シア ン化 水 素 を シ ア ノ化 剤 と して用 いて 行 わ れ て き た36)。これ に 対 して 筆 者 らは,モ レキ ュ ラ ー シー ブス存 在 下,触 媒 量 の希 土 類 金 属 トリフ ラ ー トを 用 い るア ル デ ヒ ド,ア ミ ン,TMSCNに よ る新 しいStrec-ker型 反 応 を開 発 した(式8)37,38)。本 反 応 に よ れ ば,脱 水 剤 で あ る モ レキ ュ ラー シー ブ ス に よ って 有 毒 な シ ア ン化 水 素 の発 生 が抑 制 さ れ る一 方,幅 広 い基 質 一 般 性 を も っ て対 応 す る α-ア ミノ ニ ト リル を ア ル デ ヒ ドか ら合 成 す(8)
る こ とが で きる。 また キ ラル な ア ミンを用 い るStrecker 反 応 に お いて,高 い ジ ア ステ レオ選 択 性 を実 現 す る こと が で き た。 4.2. ア リル 化 反 応 イ ミ ン類 の ア リル化 反 応 に よ って得 られ る ホ モ ア リル ア ミン は合 成 上重 要 な 中 間体 で あ る。 筆 者 らは,触 媒 量 の 希 土 類 金 属 ト リフ ラー ト存 在 下,ア セ トニ トリル中 イ ミン に ア リル ト リブチ ル ス ズ を作 用 させ る と,目 的 とす る ホモ ア リル ア ミンが高 収 率 を もっ て得 られ る こ と を見 いだ した15b,39)。一 方,第IV族 の ジ ル コ ニ ウ ム やハ フ ニ ウ ム の ト リ フ ル オ ロ メ タ ン ス ル ホ ン酸 塩(Zr(OTf)4,Hf (OTf)4)40)も イ ミンの 触 媒 的活 性 化 に有 効 で あ る こ とが わ か っ た。す なわ ち,触 媒 量 のZr(OTf)4ま た はHf(OTf)4 の存 在 下,芳 香 族 ア ル デ ヒ ド由来 の イ ミ ンに ア リル ト リ ブチ ル ス ズ を作 用 させ る と,対 応 す る ホ モ ア リル ア ミン が 高 収 率 を もっ て得 られ た(式9)41)。 一 方 脂 肪 族 ア ル デ ヒ ド由来 の イ ミ ンを用 い る場 合 に は,イ ミ ンを 系 内 で調 製 す る三 成 分 縮 合 の条 件 下 で,高 収 率 で 対 応 す るホ モ ア リル ア ミンが得 られ る こ と を見 いだ した 。 これ らIV族 の ト リフ ラ ー ト塩 は,Mannich型 反 応 の 優 れ た触 媒 と な る こ と も同 時 に明 らか に した41)。(9)
5. 触 媒 的 不 斉 合 成 冒 頭 で も述 べ た よ うに,光 学 活 性 含 窒 素 化 合 物 は しば しば 重要 な生 理 活 性 を有 し,ま た不 斉 配 位 子 と して も重 要 な位 置 を 占 め て い る。 これ まで 光 学 活 性 含 窒 素 化 合 物 はア ミノ酸 や ア ル カ ロイ ドな ど天 然 の キ ラ ル プ ール か ら 合成 す る方 法 が主 流 で あ った が42),多 様 化 す る現 代 の 有 機 合成 化 学 に お い て は,そ れ らの不 斉 合 成 の必 要 性 が 高 ま って い る。 キ ラル な ル イ ス酸 を用 い る不 斉 合 成 法 は, 不 斉 炭 素 の立 体 化 学 を 制 御 しなが ら新 しい 炭 素 一炭 素 結合 を構 築 す る こ と が で き るた め最 も効 率 の よ い手 法 の1 つ で あ り,活 発 に研 究 が な され て い る43)。しか しな が ら 化 学 量 論 量 用 い る手 法 は い くつ か 開 発 さ れ て い る も の の,最 も期 待 され る触 媒 量 の キ ラル な ル イ ス酸 を用 い る 不 斉Mannich型 反 応 や 不 斉 ア ザDiels-Alder反 応 の例 は これ まで 報 告 され て い な か った44一46)。 5.1. 触 媒 的 不 斉 アザDiels-Alder反 応(1) す で に筆 者 ら は,希 土 類 金 属 ト リフ ラ ー ト,ビ ナ フ ト― ル(BINOL),3級 ア ミンか ら調 製 され るキ ラル な希 土 類 錯 体 が,不 斉Diels-Alder反 応 の 優 れ た触 媒 とな る こと を報 告 して い る47)。そ こで この キ ラル な希 土 類 錯 体 を,3章 で述 べ た テ トラ ヒ ドロキ ノ リン誘 導 体 の不 斉 合 成 に応 用 す る こ と を試 み た48)。まず,20モ ル%の 希 土 類 金 属 ト リ フ ラ ー ト,BINOL,1,8-ジ ア ザ ビ シ ク ロ [5.4.0]ウ ン デー7一セ ン(DBU)か ら調 製 され た触 媒 の存 在 下,2一 ア ミノ フ ェ ノ ー ル と アル デ ヒ ドか ら得 られ るイ ミンに ジエ ノ フ ィル と して シ ク ロペ ン タ ジ ェ ンを 作 用 さ せ た。 そ の結 果,ア ザDiels-Alder反 応 が 円 滑 に 進行 し 対 応 す るテ トラ ヒ ドロ キ ノ リン誘 導 体 が 高 収 率 で 得 られ た が,そ の エ ナ ンチ オ選 択 性 は低 か った 。 そ こで 種 々 条 件 の最 適 化 を行 っ た と こ ろ,か さ高 い ピ リジ ン誘 導体 を 添 加 剤 と して加 え る と高 い選 択 性 が 発 現 す る こ とを 見 い
(1
0)
だ した。 また ジェ ノ フ ィル と して ビニ ル エ ー テ ル を用 い た場 合 に も,高 収 率,高 ジア ス テ レオ お よ び高 エ ナ ンチ オ選 択 性 を も って対 応 す るテ トラ ヒ ドロキ ノ リ ン誘 導 体 を得 る こ とが で きた(式10)。 本 反 応 に お い て,高 い光 学 収 率 を達 成 す るた あ に か さ高 い ピ リ ジ ン誘 導 体 は不 可 欠 で あ り,立 体 障 害 の よ り小 さ い2,6-ル チ ジ ンや イ ミダ ゾ ー ル な ど を添 加 剤 と した 場合 に は触 媒 の活 性 が著 し く 低 下 した。 これ は,よ りか さの小 さ な2,6-ル チ ジ ンや イ ミダ ゾ ー ルを 用 いた 際 に は これ らの ア ミンが触 媒 に配 位 して活 性 を低 下 させ るの に対 し,か さ高 い ピ リ ジ ン誘 導 体 を用 い た場 合 は触 媒 よ り も反 応 基 質 の フェ ノ ー ル性 水 酸 基 と相 互 作 用 して 高 度 な 不 斉場 を構 築 して い る た め と 考 え られ る。 5.2. 触 媒 的 不 斉Mannich型 反 応 次 に 筆 者 ら は,イ ミン と シ リル エ ノ ラ― トと の 不 斉 Mannich型 反応 の 開発 に着 手 した。 同Mannich型 反 応 の触 媒 と して は す で に述 べ た よ う に希 土 類 金 属 ト リフ ラー トが優 れ た活 性 を示 す が,不 斉 触媒 と して は十 分 な 結 果 が得 られ な い こ とが わ か った 。一 方,4.2.で 述 べ た よ うに,イ ミ ンの触 媒 的 な活 性 化 に は ジル コニ ウム化 合 物 も有 効 で あ る。 そ こで キ ラル な ジル コ ニ ウ ム触 媒 を合 成 し,2一 ア ミノ フ ェ ノ ー ルか ら調 製 され る種 々 の イ ミン と シ リル エ ノ ラー トと の反 応 に用 い た 。 種 々検 討 を 重 ね た 結 果,ジ ル コ ニ ウ ム テ トラーt一ブ トキ シ ドと ビ ナ フ トー ル誘 導 体 か ら調 製 さ れ る ジ ル コ ニ ウ ム化 合 物 が 優 れ た 触 媒 で あ る こ とを 見 い だ した(ス キ ーム2)49)。 す な わ ち,ジ ル コニ ウ ム テ トラ-t-ブ トキ シ ド,2当 量 の6,6'-ジ ブ ロモービナ フ トー ル(BrBINOL)50),N-メ チ ル イ ミダ ゾ ール か ら調 製 した キ ラル な ジル コニ ウ ム触 媒(10モ ル %)の 存 在 下,ア ル デ ヒ ドと2一ア ミノ フ ェ ノ ール か ら得 られ る イ ミンに イ ソ酪 酸 メ チ ル 由来 の ケ テ ン シ リル アセ タ ー ル を 作 用 させ た と こ ろ,Manhich型 反 応 が 円滑 に 進 行 し,対 応 す る β一ア ミノ エ ス テ ル が 高 収 率 か っ 高 エ ナ ンチ オ選択 性 を も って得 られ た(式11)。 さ らに本 反 応 にお い て は,わ ず か2モ ル%の 触 媒 で も その 活 性 を 損 な う こ とな く十分 に 高 い収 率 お よ び選 択 性 が得 られ る こ と を 明 らか に した。 ま た,シ リル エ ノ ラー トと して は酢 酸 チ オ エ ス テル 由来 の シ リル エ ノ ラー トも有 効 で あ り,イ ミ ンに関 して は芳 香族,脂 肪 族 ア ル デ ヒ ド由来 の イ ミ ン を と わ ず 幅 広 い 基 質 一 般 性 を 示 す こ と を 見 い だ し た(式 11)。 なお,こ こで 用 い た 窒素 原 子 上 の置 換 基(o-ヒ ドロ キ シ フェ ニル基)は,5.1.に 示 した触 媒 的 不斉 ア ザDiels-Alder反 応 の場 合 と同 様,高 い不 斉 誘 起 を得 る た め に必 須 で あ る一 方,式12に 従 っ て容 易 に遊 離 の ア ミノ基 に 変 換 す る こ とが で き る こ とを 明 らか に した(式12)。(11)
(12)
次 に,イ ミ ン と α一ア ル コキ シ シ リル エ ノ ラ ― トとの 不 斉Mannich反 応 を用 い る β一ア ミノ ア ル コ ー ルの 合 成 に つ い て 検 討 し た。 光 学 活 性 β一ア ミノ ア ル コ ー ル ユ ニ ッ トは,種 々 の生 物活 性 物 質 や不 斉 配 位 子 の中 に しば し ば見 られ る重 要 な キ ラ ル ビル デ ィ ン グ ブ ロ ック で あ る。まず,α 一TBSO一 酢 酸 エ ス テ ル 由来 の シ リル エ ノ ラ ー トを 用 い,ト ル エ ン中 一78℃ で反 応 を行 っ た と こ ろ,高 収 率,高 い ジア ス テ レオ お よ び エ ナ ンチ オ選 択 性 を も っ て 対 応 す るsynの β一ア ミノ アル コ ー ル が 得 られ る こ と が わ か った。 一 方,α-BnO-酢 酸 エ ス テ ル 由来 の シ リル エ ノ ラー トを用 い て反 応 を行 った場 合 に は,対 応 す る β 一ア ミノ ア ル コ ー ル のmti体 が 主 生 成 物 と して 得 られ た。 シ ク ロヘ キ シ ル基 や イ ソプ ロ ピル 基 な ど アル キ ル エ ス テ ル 由来 の シ リル エ ノ ラ ー トを用 い た場 合 に は非 常 に 高 い エ ナ ンチ オ選 択 性 を もって,ま た,P一 メ トキ シ フ ェ ニ ル エ ス テ ル 由来 の シ リル エ ノ ラ ー トを 用 いた 場 合 に は 高 い ジア ス テ レオ選 択 性 を もって そ れ ぞ れ 付加 体 を 得 る こ とが で き る。本 反 応 に よれ ば,触 媒 量 の 不 斉 源 を 用 い, 入 手 容 易 な不 斉 源 の両 エ ナ ンチ オマ ーを 選 ぶ こ とに よ り 生 成 物 の両 エ ナ ンチ オ マ ー を,水 酸 基 の 保 護基 お よ び エ ス テ ル基 を選 ぶ こ と に よ り両 ジ ア ス テ レオ マ ー を そ れ ぞ れ選 択 的 に合 成 で き,考 え られ る4つ の異 性体 を す べ て 得 る こ とが で き る(式13)51)。(1
3)
本 反 応 を 用 い,抗 が ん 剤Taxolの 生 物 活 性 の鍵 を 握 る と考 え られ て い るC-13側 鎖 部52)の合 成 を 行 っ た(ス キ ー ム3)。 まず 不 斉Mannich型 反 応 に よ り得 られ た付 加 体 を メチ ル化 し,引 き続 きセ リウ ム硝 酸 ア ンモ ニ ウ ム (CAN)で 処 理 す る こ と に よ り,高 収 率 で遊 離 の ア ミノ エ ステ ル へ変 換 す る こ とが で き た53)。これ を10%HCIで 還 流下 加 水 分 解 と脱 シ リル化 を同 時 に行 い,定 量 的 に上 記 側 鎖 部 合 成 の 中 間体 で あ る(2R,3S)-イ ソセ リ ン塩 酸 塩 を 得 る こ とが で き た51)。本 反 応 は種 々 の イ ミ ンを 用 い る こ とに よ り,様 々 な誘 導 体 合 成 に適 用 す る こ とが で き る。5.3. 不 斉 ア ザDiels-Alder反 応(2) こ こ で 開 発 し た キ ラ ル な ジ ル コ ニ ウ ム 触 媒 は,2-ア ミ ノ フ ェ ノ ー ル か ら 誘 導 さ れ る イ ミ ン とDanishefsky's dieneと の 不 斉 ア ザDiels-Alder反 応 に も有 効 で あ る こ と を 見 い だ し た 。 イ ミ ン とDanishefsky's dieneと の 反 応 で は 合 成 上 有 用 な ビ ル デ ィ ン グ ブ ロ ッ ク で あ る 光 学 活 性 ピ リ ド ン誘 導 体 が 得 ら れ る こ と か ら,こ れ ま で に も 立 体 選 択 的 合 成 法 の 開 発 が 試 み られ て き て い る が,こ れ ま で に 述 べ た2種 類 の 反 応 と 同 様,触 媒 量 の 不 斉 源 を 用 い て 効 率 よ く行 わ れ た 例 は な い 。 筆 者 ら は,ト ル エ ン 中, ジ ル コ ニ ウ ム テ ト ラ-t-ブ トキ シ ド,2当 量 のBrBINOL, 30モ ル%のN-メ チ ル イ ミ ダ ゾ ー ル か ら 調 製 さ れ る 触 媒 (10モ ル%)の 存 在 下 で,1-ナ フ トア ル デ ヒ ド と2-ア ミ ノ フ ェ ノ ー ル か ら 調 製 さ れ る イ ミ ン とDanishefsky's dieneの 反 応 が 円 滑 に 進 行 し,対 応 す る 付 加 体 が 高 収 率 か っ 高 い エ ナ ン チ オ 選 択 性 を も っ て 得 られ る こ と を 明 ら か に し た(式14)54)。
(1
4)
6. お わ り に 以 上 述 べ て き た よ う に,い くつ か の希 土類 金 属 塩 や4 族 の ジ ル コ ニ ウ ムや ハ フ ニ ウ ムの 塩 が 極 め て興 味深 い活 性 を示 し,従 来 知 られ て い るル イ ス酸 で は困 難 で あ った イ ミンの 触 媒 的 な活 性 化 に対 し威 力 を発 揮 す る こ と を明 らか に した 。 さ らに,希 土 類 金 属 トリフ ラー ト,ジ ル コ ニ ウ ム テ トラ-t-ブ トキ シ ドを そ れ ぞ れ不 斉 修 飾 し,キ ラル な ル イ ス酸 と して,こ れ ま で例 の な い イ ミ ン類 の触 媒 的 不 斉 合 成反 応 を 開 発 す る こ とが で き た。 こ れ らの反 応 は,様 々 な生 物 活 性 を 有 す る含 窒 素 化 合 物 の合 成 に お け る新 たな 方 法 論 を 提 供 す る もの と期 待 さ れ る。 (平成10年1月21日 受 理) 文 献1) 総 説:(a)T. Shioiri,Y. Hamada,Heterocycles,
27, 1035 (1988) ; (b) C.B. Barlow, S.T.
Buk-hari , R.D. Guthrie, A.M. Prior, "Asymmetry
in Carbohydrates", Dekker, New York, 1979, p.
81
2) 総 説:D. J. Ager,I. Prakash,D. R. Schaad,
Chem. Rev., 96, 835 (1996)
3) (a) K.F. Thom, US Patent 3615169 (1971) ; CA,
76, 5436 (1972); (b) J.H. Forsberg, V .T .
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G.K. Liu, S.A.
Kinsley, C.A. Duckworth,
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S. Brown, J.L. Miller, J. Org. Chem., 59, 3590
(1987) ; (c) S. Kobayashi,
I. Hachiya,
M.
Araki, H. Ishitani,
Tetrahedron Lett., 34, 3755
(1993)
4) S. Kobayashi,
Synlett, 1994, 689
5) (a) S. Kobayashi, Chem. Lett., 1991, 2087 ; (b)
I. Hachiya, S. Kobayashi,
J. Org. Chem., 58,
6958 (1993) ; (c) S. Kobayashi,
I. Hachiya,
ibid. , 59, 3590 (1994)
6) E.F. Kleinman,
"Comprehensive Organic
Syn-thesis", ed. B.M. Trost,
Pargamon
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7) I. Ojima, SA. Inaba, K. Yoshida,
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8) (a) K. Ikeda, K. Achiwa, M. Sekiya,
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1397 ; (c) T. Mukaiyama,
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Ohno, N. Yanagiya,
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141 ; (e) J.-E. Dubois, G. Axiotis, Tetrahedron
Lett., 25, 2143 (1984) ; (f) E.W. Colvin, D.G.
McGarry,
J. Chem. Soc., Chem. Commun.,
1985, 539 ; (g) S. Shimada, K. Saigo, M. Abe,
A. Sudo, M. Hasegawa, Chem. Lett., 1992,
1445
9) S. Kobayashi,
M. Araki, H. Ishitani, S.
Na-gayama, I, Hachiya,
Synlett, 1995, 233
10) (a) S.D. Larsen, P.A. Grieco, J. Am. Chem.
Soc., 107, 1768 (1985); (b) P.A. Grieco, D.T.
Scheme 3 Synthesis
of (2R ,35)-3-phenylisoserine
Parker, J. Org. Chem., 53, 3325 (1988)
11) S. Kobayashi, M. Araki, M. Yasuda,
Tetrahe-dron Lett., 36, 1995 (5773)
12) 総 説:(a)J. A. Ellman,L. A. Thompson,
Chem. Rev., 96 , 555 (1996) ; (b) R . A .
Armst-rong , A .P. Combs,
P .
A . Tempest , S S.D.
Brown,
T . A . Keating , Acc. Chem. Res., 29,
123 (1996)
13) S . Kobayashi , S . Komiyama , H. Ishitani ,
Combi. Chem., in press
14) H. Nakamura,
H. Iwama, Y. Yamamoto,
J.
Chem. Soc., Chem. Commun., 1996 , 1459 ; idem,
J. Am. Chem. Soc., 118 , 6641 (1996)
15) (a) S. Kobayashi,
S. Nagayama,
J. Org.
Chem., 62, 232 (1997) ; (b) idem, J. Am. Chem.
Soc., 119, 10049 (1997)
16) (a) S . Shambayati,
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Trost ,
Pargamon Press , New York , 1991, Vol .1 ,
Cha-pter 1.10 ; (b) M. Santelli , J .-M. Pons , "Lewis
Acids and Selectivity in Organic Synthesis", CRC
Press, Boca Raton , 1995
, Chapter 1
17) ベ ン ズ ア ル デ ヒ ド:13C NMR (CD3CN)δ193.62 (C=O)。 ベ ン ズ ア ル デ ヒ ド-Yb(OTf)3錯 体:13C NMR(CD3CN)δ192.09。N-ベ ン ジ リ デ ン ア ニ リ ン:13CNMR(CD3CN)δ161.47(C=N)。N-ベ ン ジ リ デ ン ア ニ リ ン-Yb(OTf)3錯 体:13C NMR (CD3CN)δ167.20
18) S. Kobayashi, I. Hachiya, S. Suzuki, M.
Mori-waki, Tetrahedron Lett., 37, 2809 (1996)
19) 総 説:(a)J. K. Rasmussen,Synthesis, 1977, 91;
(b) I. Fleming,
Chimia, 34, 265 (1980) ; (c) P.
Brownbridge,
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Weber, Silicon Reagents for Organic Synthesis,
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1981 ; (1) E.F. Kleinnman,
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Synthesis,
B.M.
Trost,
Ed. , Pergamon Press, New York, 1991, Vol.2,
p.167
20) S. Kobayashi, M. Moriwaki, R. Akiyama, S.
Suzuki, I. Hachiya,
Tetrahedron Lett., 37, 7783
(1996)
21) こ れ らの 反 応 の 中 間 体 は,固 相 上 に 担 持 させ た ま
ま固 体NMRに よ って 確 認 す る こ と も可能 で あ る。
Cf . S . Kobayashi , R . Akiyama , T . Furuta ,
Molecules, 2, 1 (1998)
22) S . Kobayashi , M. Moriwaki , Tetrahedron
Lett., 38, 4251 (1997)
23) 総 説:(a)S. M. Weinreb, "Comprehensive
Or-ganic Synthesis", ed. B.M. Trost,
Pergamon
Press, Oxford,
1991, Vol.5, p.401 ; (b) D.L.
Borger,
S.M.
Weinreb,
"Hetero Diels-Alder
Methodology in Organic Synthesis", Academic,
San Diego, 1987, Chapters 2 and 9
24) S. Danishefsky , T. Kitahara,
J. Am. Chem.
Soc., 96, 7807 (1974)
25) (a) D.L. Borger, Tetrahedron, 39 , 2869 (1983) ;
(b) V. Lucchini, M. Prato, G. Scorrano, P.
Tecilla, J. Org. Chem., 53 , 2251 (1988) ; (c) P.
A. Grieco, A. Bahsas,
Tetrahedron Lett., 29 ,
5855 (1988)
26) K. Narasaka,
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1039 (1993)
27) (a) T. Joh, N. Hagihara,
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4199 (1967) ; (b) L.S. Pavarov , Russian Chem.
Rev., 36, 656 (1967) ; (c) D.F. Worth, S.C.
Per-ricine , E.F. Elslager, J. Heterocycl. Chem., 7,
1353 (1970) ; (d) T. Kametani, H. Takeda, Y.
Suzuki, H. Kasai, T. Honda, Heterocycles, 24 ,
3385 (1986) ; (e) Y.S. Cheng, E. Ho, P.S.
Mar-iano, H.L. Ammon, J. Org. Chem., 56, 5678
(1985)
28) Y. Makioka,
T. Shindo, Y. Taniguchi,
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Takaki, Y. Fujiwara,
Synthesis, 1995, 801
29) J. Sisko, S.M. Weinreb, Tetrahedron Lett., 30,
3037 (1989)
30) (a) S. Kobayashi, H. Ishitani, S. Nagayama,
Chem. Lett., 1995, 423 ; (b) idem, Synthesis,
1995, 1195
31) Y. Makioka,
T. Shindo, Y. Taniguchi,
K.
Takai, Y. Fujiwara,
Synthesis,
1995, 801
32) Y. Nomura,
M. Kimura, Y. Takeuchi,
S.
Tomoda,
Chem. Lett., 1978, 267
33) S. Kobayashi,
H. Ishitani,
J. Chem. Soc.,
Chem. Commun., 1995, 1379
34) Y.M. Shafran, V.A. Bakulev , V .S .
Mokru-shin, Russian Chem. Rev., 59, 148 (1989)
35) I. Ojima, S. Inaba, K. Nakatsugawa,
Chem.
Lett., 1975, 331
36) 総 説:D. T. Lowry,Chem.Rev.,42, 236 (1948)
37) S . Kobayashi , H . Ishitani , M . Ueno , Synlett,
1997, 115
38) モ レキ ュ ラ ー シ ー ブ ス を加 え な い 系 で は,反 応 系 中で 発 生 す る シ ア ン化 水 素 に よ り反 応 が進 行 す る。
(a) J . Leblanc , H . W . Gibson , Tetrahedron
Lett., 33 , 6295 (1992) ; (b) T .K . Chakraborty ,
G . V . Reddy , K . A . Hussain , ibid. , 32, 7597
(1991)
39) 塩 化 メ チ レ ン中 で 反 応 を 行 う と収 率 が 低 い。Cf.
C . Bellucci , P .G . Cozzi , A . Umani-Ronchi ,
Tetrahedron Lett., 36, 7289 (1995)
40) (a) I. Hachiya , M . Moriwaki , S . Kobayashi ,
Bull. Chem. Soc. Jpn., 68, 2053 (1995) ; (b) S .
Kobayashi,
M. Moriwaki , I. Hachiya , ibid.,
70, 267 (1997)
41) S. Kobayashi,
S. Iwamoto,
S. Nagayama,
Synlett. 1997. 1099
42) 総 説:S. Hanessian,"Total Symthesis of Natural
Products : The Chiron Approach", Pergamon
Press, Oxford, 1983
43) 総 説:(a)K. Maruoka,H.
Yamamoto,"Cata-lytic Asymmetric Synthesis", ed. I. Ojima, VCH
Publishers,
Weinheimn,
New York, 1993 ; (b)
R. Noyori,
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Synthesis", Jon Wiley & Sons, New York, 1994
44) (a)総 説:H. Waldmann, Synthesis, 1994, 535;
(b) E. Borrione, M. Prato, G. Scorrano, M.
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J. Chem. Soc., Chem. Commun.,
1992 , 2245
45) (a) K. Hattori, H. Yamamoto.
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49, 1749 (1993) ; (b) K. Ishihara,
M. Miyata,
K. Hattori, T. Tada, H. Yamamoto,
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