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平成18年度

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Academic year: 2021

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平成

19 年度

鋳物用溶銑への加炭材としての木炭の特性

Properties of the charcoals as materials

to add carbon to melted pig iron for castings

高知工科大学 工学部

物質・環境システム工学科

1080041

芝 一樹

指導教員 坂輪 光弘 教授

(2)

目次

1章 緒言・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

2章 実験方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

2-1. 嵩密度の測定 2-2. 比表面積の測定 2-3. 揮発分・灰分測定 2-4. 結晶構造の解析 2-5. 表面観察

3章 実験結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8

3-1. 嵩密度測定結果 3-2. 比表面積測定結果 3-3. 揮発分・灰分測定結果 3-4. 結晶構造の解析 3-5. 表面観察

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1 章

緒言

石炭は化石資源であり、CO2の発生源でもある。 現在、鋳物用加炭材としてコークスが利用されているが、中国の急激な経済成長に伴 い石炭の需要が高まり、ここ10 年でその価格が非常に高騰してきている。鋳物用加炭 材とは、鋳物の機械的特性向上にとって重要な添加元素である炭素を鋳物に加えるため に用いられる材料のことを指す。 本研究室では高知県の特産である木質系資源を用いて、木炭を作成している。また、 ただ木炭を作成するのではなく、付加価値のある炭の作成を試みてきた。昨年までの研 究成果として、直接溶融方式ごみ処理炉で使用するコークスの代替品として、木質系未 利用資源であるオガクズから高密度炭を製造する技術を確立した。しかし、高密度炭を 作成するためには、オガクズを乾燥・成型することが必要となってくる。この乾燥・成 型にはそれなりのコストが必要である。そこで、建築廃材、または捨ててしまうような 雑木を炭素化し、そのまま鋳物用加炭材として利用できるとなればさらなるコスト削減 につながることも検討している。 今回、木炭を鋳物用加炭材として利用できないかと検討した。そのためには、木炭と コークスの鋳物用加炭材としての物性の明確化が必要である。 よって本研究では、工科大製高密度炭、一般に販売されている購入炭、本研究室の所 有する炭化炉により雑木を炭素化した工科大製木炭、加炭材として使用されているコー クス、実炉操業にて用いられる途中添加用加炭材(以後、製品名を取りAD加炭材と称 す)も比較の対象とし、それらの物性の明確化を行った。 ※ 途中添加用加炭材−溶銑への添加を促進するために、鉄のチップをコークスに混 合し見かけ上の密度を高くした加炭材。

(4)

2 章

実験方法

2-1. 嵩密度の測定

試料を約1cm 角に切断し、ディラトメーター(Photo.1)に挿入した後、水銀ポロシ メーター(Thermo Electron 社製 PASCAL 140 Photo.2)に装填し、圧力を加え、 細孔内に水銀を注入していき、嵩密度を測定した。

(5)

2-2. 比表面積の測定 試料を乳鉢によりすり潰した後、セル(Photo.3)に挿入し、比表面積測定装置(ユ アサニクス社製 NOVA 1200 Photo.4 )を用いて、比表面積を測定した。 比表面積測定では、まず 300℃で脱気を行い、BET3 点法により比表面積のみを追求 した。 Photo.3 セル Photo.4 比表面積測定装置

(6)

2-3. 揮発分・灰分測定 比表面積の測定と同じように乳鉢により試料をすり潰す。 すり潰した後、アルミナの容器に挿入し、示差型熱天秤(ブルカーエイエックス社製 TG-DTA2000S Photo.5)を用いて揮発分・灰分を測定する。 本研究における測定条件は以下の通りである。 9 揮発分測定・・・窒素雰囲気下、昇温速度10℃/min で 1000℃まで昇温し、その 状態を3 時間キープした。 9 灰分測定・・・酸素雰囲気下、昇温速度10℃/min で 1000℃まで昇温し、その状 態を1 時間キープした。 Photo.5 示差型熱天秤

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2-4. 結晶構造の解析

2-2 で用いた試料をさらに細かくすり潰し、試料台に乗せて X 線回折分析装置(日本 フィリップス製 X’pert Pro Photo.6)にかけた。

Photo.6 X 線回折分析装置

2-5. 表面観察

試料を約 5mm×5mm に切断し、走査型電子顕微鏡 SEM(JEOL JSM5800LV Photo.7)を用いて、表面を観察した。

(8)

3 章

実験結果

3-1. 密度測定結果 水銀ポロシメーターを用いて嵩密度を測定した結果をTable 1 に示した。 Table 1. 嵩密度 サンプル名 嵩密度(g/cm3) コークス 1.65 工科大製高密度炭 1.13 購入炭 0.54 工科大製木炭 0.45 AD 加炭材 1.40 Table 1 からコークス系材料と木質系材料では、嵩密度に大きな差があることが わかった。しかし、工科大製高密度炭は他の木質系材料に比べ非常に高い嵩密度を 持っていた。これは、工科大製高密度炭の製造工程の一つである加熱圧縮成型によ りもたらされた結果だと考えられる。

(9)

3-2. 比表面積測定結果 BETを用いて比表面積を測定した結果をTable 2 に示した。 Table 2. 比表面積 サンプル名 比表面積(m2/g) コークス 3.62 工科大製高密度炭 12.86 購入炭 7.15 工科大製木炭 16.21 AD加炭材 0.83 Table 2 を見ると AD 加炭材が非常に小さな比表面積を示している。比表面積測定で はAD 加炭材の炭素部分のみのデータを測定するため、すり潰した AD 加炭材から鉄粉 をある程度取り除いたが、取りきれなかった鉄粉があったため、他に比べ非常に小さな 値を示したと考えられる。 3-3. 揮発分・灰分測定結果 TG-DTAを用いて揮発分・灰分を測定した結果を Table 3、Table 4 に示した。 Table 3. 揮発分 Table 4. 灰分 サンプル名 揮発分(%) コークス 6.18 工科大製高密度炭 8.81 購入炭 26.43 工科大製木炭 19.29 AD 加炭材 10.23 サンプル名 灰分(%) コークス 10.11 工科大製高密度炭 1.85 購入炭 1.39 工科大製木炭 1.19 AD 加炭材 7.41

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また、灰分測定のデータからそれぞれの発火温度も調べることができた Table 5. 発火温度 サンプル名 発火温度(℃) コークス 466.7 工科大製高密度炭 377.9 購入炭 324.3 工科大製木炭 255.2 AD 加炭材 486.4 Table 3 の揮発分データでは購入炭が他の試料に比べ、非常に大きな値を示した。 Table 4 を見るとコークス系材料は灰分量が木質系材料に比べ多いことがわかる。 Table 5 の発火点では、購入炭と工科大製木炭はどちらも雑木をそのまま炭素化した ものであるのにもかかわらず大きな差が表れている。

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3-4. 結晶構造の解析

X 線回折分析装置を用いて結晶構造を解析した。

Fig.1 コークス

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Fig.5 AD 加炭材 コークスはきれいな黒鉛構造をとっていることがわかった。また、AD 加炭材も黒鉛 構造のピークを得ることができたが、コークスほどの結晶性はなかった。 工科大製高密度炭は黒鉛の結晶性もわずかに持っていたが、ほぼ無定形であった。工 科大製木炭はピークを得ることができず、ほぼ完全な無定形であった。 購入炭は黒鉛についての結晶性はなかったが、他の結晶性が確認された。そこでピー クを照合してみるとCaCO3の一種であるカルサイトを含んでいるのではないか、という 結果が出た。この結果を得て、TGの灰分データを重量減少について微分し、縦軸を重 量減少の微分値、横軸を温度としたグラフを作り、反応の起きた温度域を調べた。結果 をFig.6 に示す。

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Fig.6 重量減少微分データ (TG 灰分測定) 測定条件にある室温∼1000℃間でのCaCO3の反応を考えると約750∼850℃で、 CaCO3 → CO2 + CaO という分解反応が起こる。Fig.6 を見てみると約 700∼850℃で激しく重量減少がおき ている。このことから、購入炭にCaCO3が含まれていることが示唆される。 この反応がおきたとするとCO2が発生するため、購入炭の揮発分が高かったことも裏 づけられる。また、Table 5 の発火点では、購入炭と工科大製木炭はどちらも雑木を炭 素化したものであるのにかかわらず、大きな差が表れていた。この結果にもCaCO3が影 響を与えているのではないかと考察した。

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3-5. 表面観察

SEM を用いてそれぞれのサンプルの断面の表面観察を行った。

Photo 8. コークス SEM 写真

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Photo 12. 工科大製高密度炭 SEM 写真 購入炭、工科大製木炭は細孔の形に違いはあるが、どちらも植物の特性が顕著に現れ ていた。なお、工科大製高密度炭も木質系材料であるが、原料がオガクズを加熱圧縮し たものであり、生木を炭化した他の二つの木質系材料とは、その違いなどから他の二つ の木質系材料とは全く異なった表面を持っていた。 コークスの表面は非常に凹凸が多く、粒の集まりのように見えた。また、AD 加炭材 はコークスと似ている部分も見られたが、コークスには見られなかった滑らかな部分も 持っていた。 購入炭はX線回折分析の結果などから、CaCO3が存在する可能性が現れたため、目視 での確認を行うために追加撮影を行った。

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Photo 13. 購入炭(追加写真)

Photo 13.の赤く囲われている部分に結晶のような突起物が見てとれる。この部分 がCaCO3ではないかと考え、EDS(エネルギー分散型X線分析装置 JED-2140)を用い

て分析を行った。

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EDS 分析の結果、購入炭の樹皮部分にあった突起物に Ca と O が検出された。しか し、同部分に C を検出することはできなかった。原因として炭素の原子量が小さいこ と、サンプルが木炭なので周りにも炭素が多く存在することなどが上げられる。

(20)

4 章

結言

コークス系材料と木質系材料の間には明確な物性の違いがあった。 また、木質系材料の中でも物性差異があった。まず、工科大製高密度炭は他の二つの 木炭に比べ高い嵩密度を持っていた。これは工科大製高密度炭の原料がオガクズを加熱 圧縮成型したものであり、生木をそのまま炭素化した他の二つの木炭とは嵩密度差が出 たものと思われる。また、購入炭と工科大製木炭はどちらも生木を炭素化したものだが、 数々の測定結果に差が表れた。これは、購入炭にCaCO3が含まれていたことが原因では ないかと考えられる。今回の実験では、なぜCaCO3が含まれているのかという原因を特 定するには至らなかったが、考えられる原因として挙げられるのが、炭素化の際に行う 窒息消火方法の違いである。窒息を行うために工科大製木炭は鉄の蓋を被せ、周りの隙 間を泥で埋める方法をとるが、購入炭は窒息のために灰をかけるのではないかと考えた。 その過程で灰の中に含まれるCaCO3が浸入したのではないか、と推察される。 さらに、実炉実験の結果から木炭での加炭効果は実証された。これによりコークス系 材料と木質系材料の間には明確な物性の違いがあったが、木炭を鋳物用加炭材として利 用できる可能性が示唆された。 また、発火点や密度の違いなどを考慮すると、溶銑への途中添加に用いるには木質系 材料よりコークス系材料の方がよいのではないかと考えた。途中添加を行う際は、加炭 材投入時の温度が非常に高い。木質系材料は発火点が低く、低密度であるため反応性が 高く、浸炭前に燃えてしまい激しく C が減少するためである。しかし、始めから投入

(21)

謝辞

本研究の遂行ならびに本論文の作成にあたり、終始ご懇切な指導を賜りました、

高知工科大学、物質・環境システム工学科

学科長 坂輪光弘 工学博士

に深く御礼申し上げます。

また、有益なるご助言とご教示を下さりました

高知県工業技術センター 生産技術部 眞鍋

豊士氏

資源環境部 河野

敏夫氏

㈱特殊製鋼所

製造部 井戸 啓彰氏

に心より感謝申し上げます。

また、多くの事を教えて頂いた、

修士

1 年 嶋瀬 康宏氏

長谷川 耕平氏

また、物質・環境システム工学科の皆様に御礼申し上げます。

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