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EDUCATIONAL COURSES of JUA

2017 Autumn

日本泌尿器科学会

2017年 東部・中部・西日本総会

卒後教育プログラム

東京都:大阪府:大分県

 2017年日本泌尿器科学会東部総会、中部総会、西日本総会における卒後教育プログラムの講師紹介・概要(シ ラバス)をまとめました。多くの会員の皆様のご参加をお待ち致しております。  本プログラムの実施にあたりましては、東部総会・小川良雄会長、中部総会・松田公志会長、西日本総会・三 股浩光会長および各地区総会の開催を担当して頂いた教室の先生方にご支援・ご協力を頂きました。この場をお 借りして厚くお礼申し上げます。  会員皆様の本プログラムの積極的な活用をお願い申し上げます。  松原 昭郎(教育委員会委員長)

開 催 概 要

第82回日本泌尿器科学会 東部総会

9 月15日(金)~18日(月・祝) 9 月16日(土)  品川プリンスホテル 1 . 8:30- 9:30 筋層浸潤および転移性膀胱がんの診断と治療 泌尿器科腫瘍 2 . 9:50-10:50 骨盤臓器脱および腹圧性尿失禁手術の適応、合併症とその対処法 女性泌尿器科 3 .11:10-12:10 感染症に対する苦手意識をなくそう 感染対策 4 .13:50-14:50 腎移植の免疫抑制法と合併症対策 腎不全・腎移植 5 .15:10-16:10 副腎皮質腫瘍の診断と治療 副腎・後腹膜 6 .16:30-17:30 性感染症の診断・治療(梅毒を含めて) 尿路性器感染症 9 月17日(日) 品川プリンスホテル 7 . 8:30- 9:30 下部尿路機能障害 小児泌尿器科 8 . 9:50-10:50 陰茎腫瘍・尿道腫瘍の診断と治療 泌尿器科腫瘍 9 .11:10-12:10 泌尿器科外傷 1 外傷・救急医療 10.13:50-14:50 加齢男性性腺機能低下症(LOH)症候群と男性更年期障害 内分泌・生殖機能・性機能 11.15:10-16:10 ロボット支援手術の基本と合併症予防 エンドウロロジー・腹腔鏡 12.16:30-17:30 前立腺肥大症の診断と治療 老年泌尿器科・前立腺肥大症 9 月18日(月) 品川プリンスホテル(ビデオ講習) 13.10:00-11:00 9/16[ 1 ]筋層浸潤および転移性膀胱がんの診断と治療 泌尿器科腫瘍 14.10:00-11:00 9/16[ 2 ]骨盤臓器脱および腹圧性尿失禁手術の適応、合併症とその対処法 女性泌尿器科 15.10:00-11:00 9/16[ 3 ]感染症に対する苦手意識をなくそう 感染対策 16.11:20-12:20 9/16[ 5 ]副腎皮質腫瘍の診断と治療 副腎・後腹膜 17.11:20-12:20 9/16[ 4 ]腎移植の免疫抑制法と合併症対策 腎不全・腎移植 18.11:20-12:20 9/16[ 6 ]性感染症の診断・治療(梅毒を含めて) 尿路性器感染症 19.12:40-13:40 9/17[ 8 ]陰茎腫瘍・尿道腫瘍の診断と治療 泌尿器科腫瘍 20.12:40-13:40 9/17[ 9 ]泌尿器科外傷 1 外傷・救急医療

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21.12:40-13:40 9/17[ 7 ]下部尿路機能障害 小児泌尿器科 22.14:00-15:00 9/17[11]ロボット支援手術の基本と合併症予防 エンドウロロジー・腹腔鏡 23.14:00-15:00 9/17[10]加齢男性性腺機能低下症(LOH)症候群と男性更年期障害 内分泌・生殖機能・性機能 24.14:00-15:00 9/17[12]前立腺肥大症の診断と治療 老年泌尿器科・前立腺肥大症

第67回日本泌尿器科学会 中部総会

11月24日(金)~27日(月) 11月24日(金) 大阪国際会議場 1 .10:00-11:00 泌尿器腹腔鏡手術の基本手技と合併症予防 エンドウロロジー・腹腔鏡 2 .10:00-11:00 筋層非浸潤性膀胱癌の診断と治療 泌尿器科腫瘍 3 .11:20-12:20 腎盂・尿管癌の診断と治療 泌尿器科腫瘍 4 .11:20-12:20 腎移植手術と免疫抑制法 腎不全・腎移植 5 .13:30-14:30 チームで進める泌尿器科領域の患者安全 医療安全 11月25日(土) 大阪国際会議場 6 . 8:30- 9:30 前立腺肥大症の外科的治療 老年泌尿器科・前立腺肥大症 7 . 8:30- 9:30 後腹膜肉腫の診断と治療 副腎・後腹膜 8 .14:00-15:00 尿路結石の再発予防(生活指導、薬物) 尿路結石 11月26日(日) 大阪国際会議場 9 .14:00-15:00 VUR と逆流性腎症 小児泌尿器科 10.14:00-15:00 GID(性同一性障害)の診断と治療 内分泌・生殖機能・性機能 11.15:20-16:20 夜間頻尿の診断と治療 排尿機能・神経泌尿器科 12.15:20-16:20 骨盤臓器脱および尿失禁の診断、治療の選択法 女性泌尿器科 11月27日(月) 大阪国際会議場(ビデオ講習) 13. 9:00-10:00 11/24[ 1 ]泌尿器腹腔鏡手術の基本手技と合併症予防 エンドウロロジー・腹腔鏡 14. 9:00-10:00 11/24[ 2 ]筋層非浸潤性膀胱癌の診断と治療 泌尿器科腫瘍 15.10:20-11:20 11/24[ 3 ]腎盂・尿管癌の診断と治療 泌尿器科腫瘍 16.10:20-11:20 11/26[11]夜間頻尿の診断と治療 排尿機能・神経泌尿器科 17.11:40-12:40 11/24[ 4 ]腎移植手術と免疫抑制法 腎不全・腎移植 18.11:40-12:40 11/25[ 6 ]前立腺肥大症の外科的治療 老年泌尿器科・前立腺肥大症 19.14:00-15:00 11/25[ 8 ]尿路結石の再発予防(生活指導、薬物) 尿路結石 20.14:00-15:00 11/26[ 9 ]VUR と逆流性腎症 小児泌尿器科 21.15:20-16:20 11/25[ 7 ]後腹膜肉腫の診断と治療 副腎・後腹膜 22.15:20-16:20 11/24[ 5 ]チームで進める泌尿器科領域の患者安全 医療安全 23.16:40-17:40 11/26[12]骨盤臓器脱および尿失禁の診断、治療の選択法 女性泌尿器科 24.16:40-17:40 11/26[10]GID(性同一性障害)の診断と治療 内分泌・生殖機能・性機能

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第69回西日本泌尿器科学会総会

11月 9 日(木)~12日(日) 11月 9 日(木)  大分オアシスタワーホテル 1 .13:00-14:00 停留精巣の診断と手術 小児泌尿器科 2 .14:15-15:15 限局性腎癌の診断と治療 泌尿器科腫瘍 11月10(金)  大分オアシスタワーホテル 3 . 8:40- 9:40 進行性および去勢前立腺癌の治療 泌尿器科腫瘍 4 . 9:55-10:55 腎移植手術と免疫抑制法 腎不全・腎移植 5 .11:10-12:10 尿路結石の内科的治療(鎮痛、排石促進、溶解療法) 尿路結石 6 .14:05-15:05 尿路感染症の診断・治療 尿路性器感染症 7 .15:20-16:20 女性泌尿器科における行動療法 女性泌尿器科 8 .16:35-17:35 褐色細胞腫/パラガングリオーマの診断と治療 副腎・後腹膜 11月11日(土) 大分オアシスタワーホテル 9 . 8:30- 9:30 過活動膀胱の診断と治療(難治性を中心に) 排尿機能・神経泌尿器科 10. 9:45-10:45 泌尿器科マイナーイマージェンシー 1 外傷・救急医療 11.11:00-12:00 上部尿路結石症に対するエンドウロロジー(手技と合併症予防) エンドウロロジー・腹腔鏡 12.13:30-14:30 医療と研究における倫理 医療倫理 11月12日(日) iichiko 総合文化センター(ビデオ講習) 13. 8:30- 9:30 11/ 9 [ 1 ]停留精巣の診断と手術 小児泌尿器科 14. 8:30- 9:30 11/10[ 5 ]尿路結石の内科的治療(鎮痛、排石促進、溶解療法) 尿路結石 15. 8:30- 9:30 11/11[ 9 ]過活動膀胱の診断と治療(難治性を中心に) 排尿機能・神経泌尿器科 16. 9:45-10:45 11/ 9 [ 2 ]限局性腎癌の診断と治療 泌尿器科腫瘍 17. 9:45-10:45 11/10[ 6 ]尿路感染症の診断・治療 尿路性器感染症 18. 9:45-10:45 11/11[10]泌尿器科マイナーイマージェンシー 1 外傷・救急医療 19.11:00-12:00 11/10[ 3 ]進行性および去勢前立腺癌の治療 泌尿器科腫瘍 20.11:00-12:00 11/10[ 7 ]女性泌尿器科における行動療法 女性泌尿器科 21.11:00-12:00 11/11[11]上部尿路結石症に対するエンドウロロジー(手技と合併症予防) エンドウロロジー・腹腔鏡 22.12:15-13:15 11/10[ 4 ]腎移植手術と免疫抑制法 腎不全・腎移植 23.12:15-13:15 11/10[ 8 ]褐色細胞腫/パラガングリオーマの診断と治療 副腎・後腹膜 24.12:15-13:15 11/11[12]医療と研究における倫理 医療倫理

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共通注意事項

受  付  ◦ 各コースとも受講チケットを発券の上、会場にお越しください。チケットがない場合は受講できま せん。  ◦ 受講チケット発券には、それぞれの総会参加受付を済ませていること、2017年度の JUA academy 年間利用料をお支払い済みであることが必要です。  ◦ チケットをお持ちの場合でも講義開始20分以降はご入場をお断りする場合があります。 受講単位  ◦ 講義終了後、会場出口でチケットを回収します。終了前に退出された場合、受講単位は付与されま せん。   日本泌尿器科学会専門医として  1 コース 3 単位   日本専門医機構専門医として   1 コース 1 単位  が付与されます。   (*印のものは専門医共通講習、それ以外は泌尿器科領域講習) 講習の資料  ◦ テキストは作成していません。2017年度の JUA academy 年間利用料をお支払い済みの方は、講習 の資料(ハンドアウト)を学会 Web サイトよりダウンロードいただけます。講義の際に必要な方 は事前にご自身でご用意ください。

ビデオ講習に関する注意事項

 ◦ ビデオ講習を受講される場合も総会参加受付をされていること、2017年度の JUA academy 年間利 用料をお支払い済みであることが必要です。  ◦ 前日までに当該地区総会中に実施された卒後教育プログラム(ライブ講習)と同じ講座は受講でき ません。

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9月16日(土) 8:30〜9:30 (ビデオ9月18日(月) 10:00〜11:00)

泌尿器科腫瘍

1.筋層浸潤および転移性膀胱がんの診断と治療

 膀胱癌の浸潤、転移の診断は TUR 標本と画像診断の進歩により高い精度で可能となった。さらに最近の遺伝 子解析も癌のプロフィールを知る有効なツールになりつつある。  筋層浸潤性膀胱癌の標準治療は膀胱全摘であるが、手術の低侵襲化がはかられる近年でも依然高侵襲の治療で あり、尿路変向による QOL 低下も否めない。新膀胱造設の機会が多くなるにつれ尿道摘除の適応にも変化がみ られている。さらに最近、腹腔鏡下手術、ロボット支援手術も実施されるようになり、特に後者では尿路変向を 含む全行程を鏡視下に施行することも可能となってきたが、本邦では保険適用の問題もあり普及してはいない。 全摘術をとりまく他の要因として、リンパ節郭清の範囲や周術期化学療法があり、その診断的意義や治療的意義 について検討されてきた。術前補助化学療法は生存率を延長するが、化学療法不要症例への実施や局所治療遅延 の可能性などもあり、レジメンは確立されていない。  このような背景の中、膀胱温存療法も開発されてきた。十分な TUR に加え化学放射線療法として本邦では動 注化学療法が多く行われているが、全摘術との前向き比較試験は存在しない。標準治療ではないことの理解、腫 瘍径や CIS、水腎の有無などの選択基準を誤らなければ良好な成績が報告されているが、長期の評価は今後の課 題である。  一方、転移を有する膀胱癌の治療は化学療法が主役となる。標準治療は現在 GC 療法であり MVAC 療法と同 等の成績で有害事象の軽減が可能であるが、二次化学療法は依然課題がある。タキサンやカルボプラチンなどを 併用した化学療法が施設ごとに実施されているものの奏効率が低く標準的治療には至っていない。海外ではすで に免疫チェックポイント阻害薬が次々承認されており、本邦でも新規治療薬として期待されている。  本プログラムでは、これらの標準治療、選択的治療、新規治療などについてエビデンスを基に解説する予定で ある。 島居 徹 1982年 筑波大学医学専門学群卒業 1991年 筑波大学臨床医学系泌尿器科 講師 1994年 オランダ王国ナイメーヘン大学泌尿器科 研究員 2002年 筑波大学臨床医学系泌尿器科 助教授 後に准教授 2011年 筑波大学医学医療系 教授     筑波大学 茨城県地域臨床教育センター長     茨城県立中央病院・地域がんセンター 医療教育局長(兼任)

9月16日(土) 9:50〜10:50 (ビデオ9月18日(月) 10:00〜11:00)

女性泌尿器科

2.骨盤臓器脱および腹圧性尿失禁手術の適応、合併症とその対処法

(1)骨盤臓器脱(POP)手術の適応:基本的に QOL 疾患である POP の手術適応は QOL が低下し、ペッサリー リングなど保存的治療で対応できない症例ということになるが、その他に POP 症例では水腎症を伴うこと があり、このような状態は手術適応となる。術式としては NTR(ノンメッシュ)、TVM(経膣メッシュ)、 LSC(腹腔鏡下メッシュ)などの選択肢があり、どの術式を選ぶかは、術者の好みとその技量による。演者 の場合、術式の第一選択としては LSC、除外する条件としては超高齢者、高度の肥満、脳血管障害、緑内 障などのある症例となる。特に highstage の子宮脱に対しては LSC が最も有効な術式である。TVM は膀 胱瘤、直腸瘤には有効であるが子宮脱、特にステージ 4 の症例には向かない。演者は LSC の適応とならな い膀胱瘤症例に主に実施している。NTR としては経管延長型子宮脱に対するマンチェスター手術やリスク の高い高齢者などに対する膣閉鎖術などがある。合併症としては周術期合併症として膀胱損傷、直腸損傷、 多量の出血などがあるが、術中に修復、止血できれば大きな問題はない。術後の合併症としてはメッシュ露 出、排尿障害、腹圧性尿失禁、メッシュ拘縮による慢性疼痛などがあり、アンカリングの失敗が後期合併症 や再発の主な原因となる

(2)腹圧性尿失禁(SUI)手術の適応は SUI あるいは SUI を主とする混合型尿失禁であり、術式としては TVT 手術、TOT 手術、筋膜スリング手術などがある。術中合併症は出血、膀胱穿孔がある。術後合併症として は疼痛、排尿障害、OAB などが考えられるが、メッシュの過緊張が原因となることが多いので、術中のテー プの張力決定に注意することと、術直後に尿勢低下や残尿が認められた場合には早急に張力を緩めるなどの 処置が必要である。 3 ヶ月程度経って排尿困難が出現した場合には、テープの切断が必要となる。 竹山 政美 1979年 大阪大学医学部医学科卒業 1995年 健保連・大阪中央病院泌尿器科 部長・医務局長 2008年 大阪大学大学院医学研究科 臨床教授 2009年 泉北藤井病院 院長・ウロギネセンター長 2015年 第一東和会病院女性泌尿器科 ウロギネコロジーセンター長

第82回 日本泌尿器科学会東部総会

品川プリンスホテル

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9月16日(土) 11:10〜12:10 (ビデオ9月18日(月) 10:00〜11:00) 専門医共通講習:感染対策

3.感染症に対する苦手意識をなくそう

 感染症診療の際に、なじみのない菌種が検出されたり、使ったことのない抗菌薬だけが「感受性」という結果 であったなど培養・薬剤感受性検査の結果を見て何となく苦手意識を持つ会員の先生方は少なくないのではない かと思います。「癌や結石などは得意だけど感染症となるとちょっと…」といった感じになり、「感染制御部に依 頼すれば良い」、などといった安易な選択はせず、ご自分で判断し感染症に立ち向かうことが大切です。  わが国はもとより世界的に薬剤耐性菌の蔓延状況は危機的状況下にあります。2014年に WHO が発表した薬剤 耐性菌報告では警戒すべき 7 つの菌種をとりあげています。その中で泌尿器科に関係する菌種としてはキノロン あるいはセフェム耐性大腸菌、セフェム低感受性淋菌の 2 菌種が含まれています。この報告を受け、昨年の伊勢 志摩サミットでも薬剤耐性菌対策アクションプランが議題となり、世界を挙げて薬剤耐性菌対策に取り組む時代 になりました。  ペニシリンの実用化以来、感染症は薬剤耐性菌との闘いであったと言っても過言ではありません。現在問題と なっている薬剤耐性菌は MRSA 以外にも基質特異性拡張型β- ラクタマーゼ(ESBL)産生菌、カルバペネム耐 性腸内細菌(CRE)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)など多種類にわたり、今後も新種の薬剤耐性菌が出現 していくと予想されます。本卒後教育プログラムでは、主な薬剤耐性機構と抗菌薬の使い分けをわかりやすく解 説し、日常臨床の場でなじみのない菌種や薬剤耐性菌に直面したときに苦手意識をもたずに対応できるような skill を身に着けていただきたいと考えています。 清田 浩 1980年 東京慈恵会医科大学卒業 1987年 米国ハーバード大学ブリガム & ウィメンズ病院 研究員 1991年 東京慈恵会医科大学泌尿器科学講座 講師 2003年 東京慈恵会医科大学泌尿器科学講座 准教授 2012年 東京慈恵会医科大学葛飾医療センター泌尿器科 教授

9月16日(土) 13:50〜14:50 (ビデオ9月18日(月) 11:20〜12:20) 腎不全・腎移植

4.腎移植の免疫抑制法と合併症対策

 近年、腎移植後の生存率、移植腎生着率などの移植成績は飛躍的に向上したが、それは免疫抑制薬および免疫 抑制法の進歩によるところが大きい。2017年現在、本邦で使用できる免疫抑制薬にはカルシニューリン阻害薬、 代謝拮抗薬、mTOR 阻害薬、副腎皮質ステロイド、抗体製剤、抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン、グスペ リムス塩酸塩などがあり保険適応外ではあるがヒト免疫グロブリンやボルテゾミブなども使用されることがあ る。これらのうちいくつかを組み合わせた導入免疫抑制療法で本邦において最も多く採用されているのは、タク ロリムス、ミコフェノール酸モフェチル、副腎皮質ステロイド、バシリキシマブの 4 剤併用レジメンと考えられ るが、腎移植レシピエントの免疫学的リスクや原疾患、感染症のリスクなどに応じて個別化を図る、すなわち投 与量を多く(投与期間を長く)したり、リツキシマブなどの抗体製剤や抗体除去療法(血漿交換や二重膜濾過血 漿分離交換法)を追加したりすることになる。また腎移植後維持期、拒絶反応発症時、原疾患再燃時、(日和見) 感染症や悪性腫瘍発症時などでは様々な点に注意しながら免疫抑制薬を「出し入れ」する必要がある。  今回の卒後教育プログラムでは上記免疫抑制薬やそれらを組み合わせた免疫抑制法の特徴、状況に応じた免疫 抑制薬の使用法、特に注意すべき有害事象や合併症対策についてポイントを説明する。 齋藤 満 2000年 秋田大学医学部卒業 2006年 秋田大学医学部泌尿器科 助手(現:助教) 2010年 SydneyUniversity,Children’sHospitalatWestmead 2013年 秋田大学医学部附属病院血液浄化療法部 副部長・講師 2017年 秋田大学医学部附属病院泌尿器科 講師

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9月16日(土) 15:10〜16:10 (ビデオ9月18日(月) 11:20〜12:20)

副腎・後腹膜

5.副腎皮質腫瘍の診断と治療

 副腎腫瘍は、一般に臨床症状を認めない場合でも、内科医による内分泌機能検査が行われ、ホルモン活性の有 無により機能性・非機能性腫瘍として鑑別される。前者は外科的治療が有効であり、異常なホルモン環境によっ てもたらされた臨床所見の改善が期待できる。後者であっても、増大傾向がある場合や悪性が疑われる場合など は手術の適応となる。泌尿器科医が積極的に関わるところは外科的治療の部分であるが、診断手順や鑑別につい ても把握しておく必要がある。本プログラムでは、手術適応となる副腎皮質腺腫を中心に鑑別診断や治療などに ついて概説する。  機能性副腎皮質腫瘍の中で罹患数の最も多い原発性アルドステロン症は,外科治療で治癒可能な二次性高血圧 症の原因疾患である。2016年に「わが国の原発性アルドステロン症の診療に関するコンセンサス・ステートメン ト」(編集:日本内分泌学会・日本内分泌外科学会、日本内分泌学会雑誌92巻 supplement)が発表されている。 原発性アルドステロン症の診療における主要なクリニカルクエスチョンに対するクリニカルアンサーをステート メントとしてまとめ,エビデンスレベルと推奨グレードを付与している。典型的なクッシング症候群ではその診 断は容易であるが、特徴的な身体所見を呈さないサブクリニカルクッシング症候群については、まず診断基準を 把握しておく必要がある。副腎偶発腫瘍として発見されることが多いが、高血圧,糖尿病などを合併している場 合は、手術療法により改善が期待できる。検診や他疾患の画像検査中に偶然発見される非機能性副腎腫瘍への適 切な対応とともにこれらの鑑別診断は重要である。外科治療としてはいずれの場合も副腎摘除術を行うことにな るが、良性腫瘍では腹腔鏡手術のよい適応である。機能性腫瘍では疾患ごとに特徴的な合併症もあるため、周術 期管理や術後フォローアップに関しても熟知しておく必要がある。 市川 智彦 1984年 千葉大学医学部卒業 1989年 ジョンズホプキンス大学オンコロジーセンター 1997年 帝京大学医学部附属市原病院 講師 2001年 千葉大学大学院医学研究院 助教授  2004年 千葉大学大学院医学研究院泌尿器科学 教授

9月16日(土) 16:30〜17:30 (ビデオ9月18日(月) 11:20〜12:20) 尿路性器感染症

6.性感染症の診断・治療(梅毒を含めて)

 ここ 4 年で、梅毒の報告数が著明に増加している(男性>女性、2012年に比し2016年に男性で4.6倍、女性で7.6 倍)(2016年の梅毒報告のうち早期顕症Ⅰ・Ⅱ期が男性で74%、女性で59%)。その診断を誤らないことは極めて 重要であり、性器病変の鑑別に本疾患を忘れてはならない。性感染症の診断は、目で診て推定するところから始 まる。泌尿器科医が見逃してはいけないのは、淋菌感染症、性器クラミジア感染症、性器ヘルペス、尖圭コンジ ローマ、梅毒の 5 種性感染症に始まる。本講演では、プライベートケアクリニック東京(JR 新宿駅近くの性感 染症専門クリニック)名誉院長の尾上泰彦先生からご提供を受けたこれら性感染症のアトラスに、日本性感染症 学会誌図説写真を交えて、代表的な性感染症の病変を供覧する。  治療は、日本性感染症学会診断・治療ガイドライン2016に則って紹介する。多剤耐性淋菌が一般化して、確実 に治癒に結びつく選択肢は注射用抗菌薬に限られる。基本は単回投与である。年間約45万人の新たな性器クラミ ジア感染者発生が推計されている。クラミジア感染は無症候保菌者も多い半面、放置すると不妊症につながる。 女性に限らず男性でも両側クラミジア性精巣上体炎を惹起すれば閉塞性男性不妊となる。本症も単回投与の選択 肢がある(経口)。性器ヘルペスは、 2 型に感染すると再発を繰り返す。経口抗ヘルペスウイルス薬は 3 種ある。 HPV6・11型の感染である尖圭コンジローマは、女性に感染し妊娠中に顕在化した場合、分娩時に新生児が曝露 してその後に再発性呼吸器乳頭腫症をきたすことがある。子宮頸癌も含め予防する HPV ワクチン勧奨の再開が 望まれる。梅毒の治療はペニシリン薬が第一選択である。梅毒は変幻自在な病態・症状を呈しうるので、別名「偽 装の達人(thegreatimitator)」と呼ばれる。疾患に騙されないように、そして見逃さないようにしよう。 荒川 創一  1978年 鹿児島大学医学部医学科卒業 1993年 神戸大学医学部泌尿器科 助教授 2002年 神戸大学医学部附属病院 手術部長・感染制御部長  2010年 神戸大学大学院医学研究科腎泌尿器科学分野 特命教授 2016年 三田市民病院 院長

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9月17日(日) 8:30〜9:30 (ビデオ9月18日(月) 12:40〜13:40)

小児泌尿器科

7.下部尿路機能障害

 小児の下部尿路機能障害では、排尿症状はもちろん、尿路感染、膀胱尿管逆流症、腎機能障害さらには患児の 精神的・心因的反応も問題になる。したがって、下部尿路機能障害の治療は、排尿症状の是正だけでなく、随伴 する病態のコントロールにつながる。排尿症状としては、排尿困難、尿線異常、頻尿・尿失禁といった排尿異常 を呈してくる。しかし、 5 歳未満の乳幼児の場合、排尿自立の途中段階であることから、下部尿路機能障害にき づくことは困難なことも多い。下部尿路機能障害の原因は先天性下部尿路奇形、小児特有の排尿習慣異常、精神 的・心因的問題によるもの、神経因性膀胱に伴う機能性障害など、様々で多岐にわたる。Drytime のない持続 する尿失禁、尿路感染や上部尿路障害を伴う排尿異常、神経疾患が基礎疾患である排尿異常などは乳児期からの 泌尿器科的アプローチがなされるが、昼間尿失禁や夜尿症の場合は排尿が自立した 5 歳以降、学童期での介入が なされることとなる。下部尿路機能障害の診断・評価については、排尿症状についての問診の他、排便機能と密 接な関係があることから排便異常の有無を聴取することが重要である。客観的評価では、検尿、排尿日誌、尿流 量検査、腎・膀胱部の超音波検査、残尿測定が必須検査である。さらに、必要時には排尿時膀胱造影や尿流動態 検査(UDS)が行われる。治療は、下部尿路機能障害の原因となる病態によりことなり、器質性疾患であれば 外科的治療、非神経因性機能障害であれば urotherapy が第一選択、神経因性であれば導尿や薬物療法が選択さ れることとなる。  本教育プログラムでは、小児排尿機能の自然経過から、小児の排尿異常の病態、さらに診断と治療について概 説させていただく。 野口 満 1987年 長崎大学医学部卒業 2000年 長崎大学医学部腎泌尿器科病態学講座 助手 2007年 長崎大学医学部・歯学部付属病院 泌尿器科 講師 2010年 佐賀大学医学部泌尿器科学講座 准教授 2015年 佐賀大学医学部泌尿器科学講座 教授

9月17日(日) 9:50〜10:50 (ビデオ9月18日(月) 12:40〜13:40)

泌尿器科腫瘍

8.陰茎腫瘍・尿道腫瘍の診断と治療

 陰茎癌は比較的稀な悪性腫瘍であり、大規模臨床試験によるエビデンスに乏しく、わが国における診療ガイド ラインはまだ存在しない。原発巣の生検や鼠径リンパ節の穿刺吸引生検 / 細胞診は比較的容易に施行できるため、 診断に苦慮することは少ないが、CT や MRI によるステージ診断とリスク評価を行った上で、外科治療、放射 線治療および薬物療法を組み合わせた集学的治療の実施には知識と経験を要することが否めない。特に鼠径リン パ節転移が触知可能で潰瘍形成または固定されているような場合には、ネオアジュバント化学療法の後に大規模 手術で根治を狙う戦略が必要であり、適切なレジメンの選択と高度な外科手技が求められる。  尿道癌も稀な悪性腫瘍である。腎盂・尿管・膀胱癌取扱い規約(2011年 4 月 第 1 版)では、付記としての記 載があり、膀胱癌との連続性のない前立腺部の尿路上皮癌は膀胱癌と別個の尿道病変として取り扱う、とされて いる。男性における頻度は尿路上皮癌、扁平上皮癌、腺癌の順であるが、女性では尿路上皮癌、腺癌、扁平上皮 癌の順となり、腺癌の割合が比較的高い。進行例では組織型を踏まえた上での集学的治療が必要となる。  いずれの癌も稀少疾患でエビデンスレベルの高い推奨治療は存在しない。しかし欧米ではガイドラインが作成 されており、限られたデータとエキスパートの意見をもとに、一定の治療アルゴリズムは存在する。本講では欧 米での標準治療の解説を中心に、臨床の場で活用いただけるような内容のプログラムにする予定である。 北村 寛 1994年 札幌医科大学医学部卒業 1998年 国立がんセンター中央病院外科系 レジデント、泌尿器科チーフレジデント 2006年 フランス・キュリー研究所附属病院がん免疫療法科 2009年 札幌医科大学医学部泌尿器科学講座 講師 2015年 富山大学大学院医学薬学研究部腎泌尿器科学講座 教授

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9月17日(日) 11:10〜12:10 (ビデオ9月18日(月) 12:40〜13:40) 外傷・救急医療

9.泌尿器科外傷1

 泌尿器外傷の頻度は多い順に腎臓、尿道、膀胱、性器(精巣、陰茎)、尿管である。腎外傷単独で生命が脅か されることは稀であるが、高頻度に肝損傷や肺損傷、脾損傷の合併損傷がみられ、生命を脅かす合併損傷を見逃 さないよう注意が必要である。近年の IVR(interventionalradiology)の進歩により、腎外傷に対して非手術的 治療を行う報告も増えており、保存的治療、TAE(transcatheterarterialembolization)、手術療法の新しい明 確な選択基準が求められている。2016年 4 月に尿路性器外傷に関する初の診療ガイドラインとして、日本泌尿器 科学会から腎外傷診療ガイドラインの初版が発表された。他の多くの診療ガイドラインが採用している CQ (clinicalquestion)と解説が記載され、腎外傷の診断や治療についてエビデンスレベルに基づいた推奨グレード が示された。尿道損傷では、急性期の膀胱瘻造設の判断や続発する尿道狭窄への適切な対応を理解する。膀胱外 傷は、受傷原因として急激な腹圧の上昇や骨盤骨折の存在が重要であり、確実な画像診断法を理解して腹膜内破 裂と腹膜外破裂の治療方針の違いを知っておく必要がある。精巣破裂が疑わしければ早期に陰嚢試験切開を行い、 損傷の程度より精巣摘除術が行われる。陰茎折症は、陰茎の変形や勃起力低下などの合併症が生じる可能性があ り手術療法が一般的である。尿管外傷は極めて稀であり診断を見落とすこともあるが、適切に対応しないと同側 の腎機能を損なう。  泌尿器外傷はいずれも致命的な外傷ではないが、確実な診断により適切な治療法を選択しないと患者の QOL を損ねる恐れがある。本講演では、泌尿器科外傷のうち、医原性損傷以外の腎臓、尿道、膀胱、精巣、陰茎、尿 管外傷の各論を概説するとともに、泌尿器科医として知っておくべき対応法について解説する。 小杉 道男 1997年 慶應大学医学部卒業 2005年 国立病院機構東京医療センター 医員 2009年 米国ダナファーバー癌研究施設 研究員 2013年 済生会横浜市東部病院泌尿器科 医長 2017年 済生会横浜市東部病院泌尿器科 部長

9月17日(日) 13:50〜14:50 (ビデオ9月18日(月) 14:00〜15:00) 内分泌・生殖機能・性機能

10.加齢男性性腺機能低下症(LOH)症候群と男性更年期障害

 加齢男性性腺機能低下症(LateonsethypogonadysmLOH)症候群は、加齢に伴う testosterone(T)値の低 下とそれに伴う臨床症状からなる症候群と定義される。LOH 症候群の根幹である加齢に伴う T 低下は、性機能 のみならず、心血管機能、脂質代謝、骨代謝など多くの生理機能との関連が知られている。このように超高齢化 社会を迎えた現在、LOH 症候群とその治療の中心である testosterone 補充療法(TRT)の意義は男性の健康の 維持と QOL の観点から重要性を増している。しかしながら LOH 症候群の診断と TRT の基準値に関しては、依 然として明らかでない点も多い。それは T の生理的効果は多臓器(器官)に及び、そのため症候群を形成する 各症状が発現する T の閾値が症状毎に異なる可能性がある。また T の感受性に個人差があること。そして、 LOH 症候群の各症状は、他の原因によっても起こり得るものであり、他の疾患・原因との鑑別が必要となる。 そのため LOH 症候群の診断も容易ではない。複数の学会より LOH 症候群の診断、治療、フォローアップに関 す る 国 際 的 ガ イ ド ラ イ ン・recommendation が 提 案 さ れ て い る。 新 た な エ ビ デ ン ス の 集 積 に 伴 い recommendation も随時 update されているのが現状である。  このような状況のもと、最新の知見をふまえ LOH 症候群の定義と TRT の適応、その効果と安全性を中心に LOH 症候群および男性の加齢に伴う不定愁訴群ととらえられる男性更年期障害の臨床についても、その意義を 概説したい。 佐藤 嘉一 1986年 札幌医科大学医学部卒業 1997年 AlbertEinsteinCollegeofMedicineResearchFellow 2000年 札幌医科大学医学部泌尿器科学講座 講師 2002年 三樹会病院勤務 2015年 三樹会病院 院長・札幌医科大学 臨床教授

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9月17日(日) 15:10〜16:10 (ビデオ9月18日(月) 14:00〜15:00) エンドウロロジー・腹腔鏡

11.ロボット支援手術の基本と合併症予防

 2009年、本邦に於いて「daVinci サージカルシステム」が薬事承認された。その後、現在までに前立腺癌全摘 除(RARP)および腎部分切除術(RAPN)が健康保険の適応となり、これら手術は標準術式となりつつある。  ダビンチは鉗子操作の自由度が高く、術者はコンソールでの立体視による手術が施行できる。これにより緻密 な組織構築を認識でき、開腹手術以上の質の高い低侵襲手術が可能となった。特に泌尿器科が専門とする、後腹 膜腔や小骨盤内などの狭小な空間で剥離、縫合を施行する手術ではダビンチの導入による手術の質の向上は明ら かである。すなわち、低侵襲性と機能温存 & 再建がロボット支援手術の最大のメリットである。  以上の長所がある反面、ダビンチには触覚が無い等の欠点がある。立体像を含めた秀逸な視認性がこれを補っ ており、ある程度の経験で virtualtactilesensation が身に付く。このため、シミュレーター、Dry&WetLab を含め、ロボット操作に対する充分な習熟が必要である。セットアップでは鉗子数やポート設置場所に制限があ るためポート配置を充分に検討する。また、腎部分切除術(RAPN)では、アームの干渉もあるため上肢や下肢 の位置など体位固定にも配慮が必要となる。  合併症の予防という観点では、触覚の無い鉗子操作が原因で導入初期には本邦に於いても重大事故の発生が報 告されている。視野外に存在する鉗子(特に extraarm)操作は特段の注意が必要である。また、安全な手術操 作の基本には解剖の理解は不可欠であり、各施設で術者基準としての教育プログラムを策定し手術操作のステッ プ毎にターゲットを決め、これに即した手順を再確認する。  ロボット手術では、術者はコンソールでの操作に専念するため、サージカルサイトの助手、看護師のみならず、 臨床工学士、麻酔医を含めた共同作業が必要であり、問題点があれば直ぐに対応できるようチームとして手術に 臨む事が非常に重要である。 白木 良一 1984年 慶應義塾大学医学部卒業 1988年 国家公務員共済組合立川病院 医員 1992年 ワシントン大学セントルイス(米国)外科 客員研究員 1995年 藤田保健衛生大学泌尿器科 講師 2009年 藤田保健衛生大学腎泌尿器外科 教授

9月17日(日) 16:30〜17:30 (ビデオ9月18日(月) 14:00〜15:00) 老年泌尿器科・前立腺肥大症

12.前立腺肥大症の診断と治療

 下部尿路症状診療における一般医家(プライマリ医)向けのガイドラインと泌尿器科専門医を対象とした前立 腺肥大症診療ガイドラインが統合され、2017年4月に「男性下部尿路症状・前立腺肥大症診療ガイドライン」 が刊行された。対象患者さんは下部尿路症状を訴える中高齢の成人男性であり、要介護高齢者や明らかな神経疾 患による下部尿路障害を有する患者は除外される。一般医家向けアルゴリズムと専門医向けアルゴリズムの 2 つ を掲載し、診断、治療、クリニカルクエスチョンなど下部尿路症状診療について広範かつ詳細に記載されている。  ここ数年の男性下部尿路症状・前立腺肥大症治療には目覚ましい進歩がある。薬物療法では、α遮断薬、抗コ リン薬に加え PDE5阻害薬タダラフィルが保険適用となった。これらの薬物の単独あるいは併用療法が日常診 療でも広く行われており、新たな知見が得られてきた。前立腺肥大症に対する手術療法も、TURP、レーザー核 出術、バイポーラー核出術に加えロボット支援手術が登場している。  さらに、入院中の尿道カテーテルを留置中の患者さんに対して医師、看護師、理学療法士らにより包括的な排 尿ケアを行った場合に排尿自立支援指導が算定できるようになり、ガイドラインに新たに記載されるようになっ た。  本教育講演では、改訂版ガイドラインを通じて下部尿路症状診療における薬物療法、手術療法、カテーテル管 理などについて概説する。 藤村 哲也 1995年 山梨医科大学医学部医学科卒業 1995年 東京大学医学部附属病院 研修医 2008年 東京大学医学部附属病院泌尿器科 講師 2016年 東京大学大学院医学系研究科泌尿器外科学 准教授

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11月24日(金) 10:00〜11:00 (ビデオ11月27日(月) 9:00〜10:00) エンドウロロジー・腹腔鏡

1.泌尿器腹腔鏡手術の基本手技と合併症予防

 泌尿器腹腔鏡手術に必要な解剖と基本手技、起こり得るトラブルとその対処法について解説する。経腹膜、後 腹膜による副腎・腎への到達方法、トロカー位置の決め方・挿入時の注意点、気腹圧と気腹に伴う合併症、脾・ 膵・結腸の脱転の仕方、凝固・切開の基本、術野の展開方法、クリップ・ステープル・シーリングデバイスの使 い方、縫合の基本を示す。  合併症予防のためには、まず術前の準備を怠らないこと。解剖と器具の特性を理解し、手術の当日まで充分に シミュレーションを行う。手術室では、患者の体位・固定、フットペダルの配置、モニターの高さ・位置を確認 する。術中は、手と鉗子の動きは反対方向で、画面の上方は必ずしも実際の上ではないことを認識する。カメラ を意識して鉗子を挿入する。思い込みは危険で、自分で手に負えず他に助けもなければ迷わず開ける勇気を持つ。 術後は、その日のうちに手術記録を書く。「見て覚え、書(描)いて思い出し、やって疑問に思い、調べて納得 する。」そして常日頃、左手の訓練、運針・縫合・結紮の練習をする。縫合の技術は、いざ合併症に直面した時 に役に立つ。カメラ係は、常に汚れや曇りに注意し、術野を回転させず術者の利き手の道具を視野の中心にする。 凝固、超音波駆動メスを ON にするときは少し後退させて曇りを予防し、剪刀や鉗子の金属部分が他の組織に触 れていないか確認する。術者の道具とファイティングするときは、反対方向へ視野の中心をはずして見る。手術 操作がとまっているときに、術野全体を見て出血、合併症を監視する。第 2 助手は、トロカー回りのチューブや コードのからみ、気腹圧や電気メス・シーリング機器の動作に目配りをする。  最近ロボット手術が多くなり、腹腔鏡手術が減少する傾向にあるが、気腹下に拡大された視野で、限られた鉗 子類で行う手術という点は共通であり、ロボット手術だけをされる先生方にも本プログラムは価値のあるものと 思われる。 川喜田 睦司 1983年 京都大学医学部卒業 1991年 京都大学医学部泌尿器科 助手 1993年 米国ワシントン大学泌尿器外科留学 1997年 関西医科大学泌尿器科 講師・助教授 2002年 神戸市立医療センター中央市民病院泌尿器科 部長

11月24日(金) 10:00〜11:00 (ビデオ11月27日(月) 9:00〜10:00)

泌尿器科腫瘍

2.筋層非浸潤性膀胱癌の診断と治療

 筋層非浸潤性膀胱癌は、膀胱癌の中でも頻度が高く、どの泌尿器科施設においても、診断だけでなく、経尿道 的膀胱腫瘍切除術や膀胱内注入療法などの治療が広く行われている。筋層非浸潤性膀胱癌は、再発の頻度が高く、 筋層浸潤癌へと進行する可能性があるため、筋層非浸潤性膀胱癌のリスク分類に応じた適切な治療、術後補助療 法、経過観察が重要である。経尿道的膀胱腫瘍切除術においては、pT1,highgrade 症例における2ndTUR の概 念が普及してきている。また筋層非浸潤性膀胱癌であっても、組織型によっては、即時膀胱全摘除術が推奨され ている。膀胱内注入療法に関しては、中リスク筋層非浸潤性膀胱癌に対する抗癌剤の膀胱内注入療法の維持療法 が推奨されているが、その用量やスケジュールに関しては定まったものがない。また、中・高リスク筋層非浸潤 性膀胱癌に対し、BCG による注入療法や維持療法が推奨されているが、注入レジメンについては結論が出てい ない。CIS に対しては、BCG 注入療法の 1 年以上の維持療法が推奨されている。一方、標準量の BCG 注入療法 による発熱や排尿痛などの有害事象により、BCG 注入療法の継続が困難な症例も多いことから、40mg/ 回に減 量した投与も行われている。以上のように、筋層非浸潤性膀胱癌に対する診断や治療に大きな変化はないものの、 様々な報告が蓄積され、より細やかな治療や経過観察を行い、場合により時期を逸さない膀胱全摘除術の決断も 必要である。筋層非浸潤性膀胱癌は、専門医取得前の泌尿器科医も診断や治療に携わることが多い重要な疾患で あり、2015年に改訂された膀胱癌診療ガイドラインに沿って、上記内容について解説する。 高橋 正幸 1991年 徳島大学医学部卒業 2000年 徳島大学医学部泌尿器科学講座 助手 2000年 VanAndelResearchInstitute(Michigan,USA) 2004年 徳島大学病院泌尿器科 講師 2013年 徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部(現 : 医歯薬学研究部)泌尿器科 准教授

第67回 日本泌尿器科学会中部総会

大阪国際会議場

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11月24日(金) 11:20〜12:20 (ビデオ11月27日(月) 10:20〜11:20) 泌尿器科腫瘍

3.腎盂・尿管癌の診断と治療

 腎盂尿管癌は腎盂または尿管の尿路上皮粘膜より発生する悪性腫瘍であり、その90%以上は尿路上皮癌である。 しかし同じ尿路上皮から発生する膀胱癌に比べ、その頻度は稀であり、全尿路上皮腫瘍の約 5 %とされている。 従って化学療法などの治療に関しては膀胱癌と同じレジメが用いられているが、その診断および治療に関する腎 盂尿管癌での明確なエビデンスは限られている。診断においては、膀胱癌に比べ腫瘍の形態の観察や組織学的検 査が困難であることから、従来は排泄性尿路造影や逆行性尿路造影および尿管カテーテルによる選択的尿細胞診 採取などが行われてきたが、近年はより感度・特異度の高い検査として CTurography が支持されている。しか しながら CT や MRI をもってしても正確な深達度診断は困難であり、最近は尿管鏡検査および尿管鏡下生検の 有用性や複数の検査結果から病期を予測するノモグラムの有用性なども検討されている。  非転移性腎盂尿管癌の標準治療は腎尿管全摘術・膀胱部分切除術である。近年は特に限局性症例においては腹 腔鏡手術が標準的になってきている。しかし、リンパ節郭清の意義に関しては、明確なエビデンスは存在せず、 郭清範囲も標準化はされていない。転移癌および再発癌に対しては、膀胱癌と同様に GC 療法や MVAC 療法が 用いられているが、これも同じ尿路上皮癌である膀胱癌におけるエビデンスを理論的根拠としており、腎盂尿管 癌における明確なエビデンスは存在しない。従って、術前および術後補助化学療法の意義も未だ明らかではない。 現在本邦においても腎盂尿管癌を含む尿路上皮癌を対象とした PDL1阻害剤の有用性を検討する臨床試験が進行 中であり、免疫療法が腎尿管癌治療のブレイクスルーとなりうるか注目されている。本プログラムではガイドラ インにおける腎盂尿管癌の診断と治療を解説するとともに、十分なエビデンスが得られていない点を明らかにし、 その論点についても検討したい。 木村 高弘 1996年 東京慈恵会医科大学卒業 1998年 東京慈恵会医科大学泌尿器科 助手 2003年 米国,ロサンゼルス UCLA 留学 2006年 東京慈恵会医科大学附属病院 助教 2011年 東京慈恵会医科大学附属病院 講師

11月24日(金) 11:20〜12:20 (ビデオ11月27日(月) 11:40〜12:40) 腎不全・腎移植

4.腎移植手術と免疫抑制法

 1954年12月に米ボストンの PeterBentBrighamHospital で Dr.JosephE,Murray によって 1 例目の一卵性双 生児間の生体腎移植が施行された。現在、腎移植における免疫抑制療法の発達、腎移植周術期管理の進歩により、 その成績は飛躍的に向上し、2000年以降の生体腎移植の 5 年生着率は90%を越えるようになった。末期腎不全患 者に対する腎代替療法として透析療法(血液透析、腹膜透析)と腎移植があるが、腎移植は透析療法と比較して Qualityoflife の向上だけでなく、生命予後改善効果の面で優れており、唯一の根治的治療法と考えられている。 現在の腎移植手術手技は Dr.Murray の腎移植術式が今もなお引き継がれているが様々な発展を遂げた。免疫抑 制療法についても次々に新規薬剤が開発され、現在、急性拒絶反応の頻度は15%程度となった。また、従来ハイ リスクと考えられていた ABO 血液型不適合腎移植にも対応可能な免疫抑制法が確立された。  本教育講演では腎移植における手術手技と免疫抑制法について解説する。免疫抑制法については標準免疫抑制 療法とハイリスク症例における免疫抑制療法、及び移植腎長期予後を期待した免疫抑制療法、新規免疫抑制療法 について概説する。  腎移植手術については近年、長期透析患者、糖尿病性腎不全患者、高齢者に対して腎移植を行う機会が増加し ており、術式に様々な工夫を要することが多い。腎移植手術の基本手技は血管吻合と尿路再建である。腎移植手 術の基本術式を紹介すると同時に高度動脈硬化症例、複数動脈症例などの血管吻合法、doubleureter 症例など の特殊な尿路再建を示す。また、ドナー腎採取術として生体腎における標準的な腹腔鏡下ドナー腎採取術の術式 を紹介する。更に、献腎移植における心停止下、脳死下腎採取術の術式とポイントを概説する。 内田 潤次 1993年 大阪市立大学医学部卒業 1998年 大阪市立大学大学院医学研究科修了 2001年 大阪市立大学医学部泌尿器科 助手 2006年 大阪市立大学大学院医学研究科泌尿器病態学 講師 2016年 大阪市立大学大学院医学研究科泌尿器病態学 准教授

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11月24日(金) 13:30〜14:30 (ビデオ11月27日(月) 15:20〜16:20) 専門医共通講習:医療安全

5.チームで進める泌尿器科領域の患者安全

 日本医療機能評価機構における医療事故情報収集等事業 平成27年年報によると、約1,000医療機関から 1 年 間に3,374件もの医療事故が報告されている。そのうち、泌尿器科に関連した事案は136件(3.0%)であり、主な 内訳は、治療・処置に関するものが58件(43%)、療養上の世話に関するものが34件(25%)、薬剤とドレーン・チュー ブに関するものが各々10件( 7 %)、であった。一方、最高裁判所が公開している資料によると、医療訴訟は平 成27年の 1 年間で新たに836件の訴訟が提起される一方で、786件が終了している。また、終了した案件のうち17 件( 2 %)が泌尿器科によるものであり、泌尿器科医師1,000人あたりに換算すると2.5件となる。このように泌 尿器科領域における医療事故や医療訴訟はさほど多くはないものの、それらの防止は重要な課題である。  米国 JointCommission における 3 年間2,552件の事例分析によると、医療事故の原因は最も多いものから順に ヒューマンファクター、リーダーシップ、コミュニケーションであり、日本医療機能評価機構の分析でもノンテ クニカルスキルを原因とするものが約 6 割を占めている。現代の医療は、医師個人で提供するには限界があり、 チーム医療が不可欠なものとなっている。つまり、医師一人一人の医療知識や手術技能を向上させるだけでは事 故を防ぐことはできず、医師以外の職種や患者を含めた医療チームの能力を向上させることが重要である。この ような観点から、米国では2005年にチーム STEPPS が開発された。チーム STEPPS は、医療の質、患者安全、 効率を改善するエビデンスに基づいたチームワーク・システムであり、コミュニケーションとリーダーシップ、 状況モニター、相互支援の 4 項目から構成されている。このチーム STEPPS を導入した施設では損害賠償件数 が減少するなど、いくつかの良い成績が報告されている。  本講演では、泌尿器科領域における医療事故の実情と事故防止対策であるチーム STEPPS について紹介する。 宮崎 浩彰 1988年 関西医科大学卒業 1994年 関西医科大学内科学第三講座 助手 2006年 関西医科大学医療安全管理センター 講師 2012年 関西医科大学医療安全管理センター 准教授 2015年 関西医科大学医療安全管理センター 病院教授

11月25日(土) 8:30〜9:30 (ビデオ11月27日(月) 11:40〜12:40) 老年泌尿器科・前立腺肥大症

6.前立腺肥大症の外科的治療

 2017年に前立腺肥大症(BPH)ガイドラインが 6 年ぶりに改訂となり、BPH に対する外科的治療の選択肢が 再整理された。BPH に対する外科的治療は、薬物療法の効果が不十分、尿閉に代表される中等度から重度の下 部尿路症状を有する症例、あるいは尿路感染症、肉眼的血尿や膀胱結石などの合併症がある(危惧される)症例 に対して、有効な治療選択枝として適応が考慮される。  BPH の外科的治療は、組織の切除や蒸散を主体とする術式、組織の熱凝固・変性を主体とする術式とその他 の術式に大きく分類される。本邦では現在も経尿道的前立腺切除術(TURP)が標準術式とされているが、様々 な治療法が臨床応用されてきた。当初は合併症が少なく安全性が高いとして、熱凝固・変性をねらった高温度治 療(組織内レーザー凝固術:ILCP、高密度焦点式超音波治療:HIFU、経尿道的針焼灼術:TUNA、経尿道的マ イクロ波高温度治療術:TUMT)が行われたが、術後の症状増悪や留置カテーテル期間が長く、長期的な治療 成績が不十分であったことより普及は限局的であった。その後、高出力レーザーなどの医療機器や術式の進歩に より、ホルミウムレーザー前立腺核出術(HoLEP)や532nm レーザー光選択的前立腺蒸散術(PVP)など切除 や蒸散を行う新しい低侵襲治療が徐々に普及し、TURP に代わって定着しつつある。これらは TURP と長期的 治療効果に差がなく前立腺体積によらず適応可能であり、PVP は抗凝固剤使用下でも安全に施行可能という特 徴があるが、さらに新しいツリウムレーザー前立腺切除術(ThuLRP)も報告されている。  術式選択には、前立腺肥大症および患者の特性、医療施設の状況や技術習得の難易度が重要な要因となる。本 プログラムでは、BPH に対する外科的治療のこれまでの変遷と最近の傾向および新しい手術方法について解説 する予定である。 牛嶋 壮 1996年 京都府立医科大学医学部卒業 2010年 社会保険京都病院泌尿器科 部長 2014年 近江八幡市立総合医療センター泌尿器科 部長 2016年 京都府立医科大学大学院医学系研究科泌尿器外科学 学内講師

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11月25日(土) 8:30〜9:30 (ビデオ11月27日(月) 15:20〜16:20)

副腎・後腹膜

7.後腹膜肉腫の診断と治療

 後腹膜腫瘍のうち、sarcoma は約 1 / 3 を占め、その70% が liposarcom(脂肪肉腫)、15% が leiomyosarcoma(平 滑筋肉腫)と報告されている。特異的な症状に乏しく、腫瘍の増大による腹部腫瘤を自覚するか、他目的で行わ れた画像検査によって発見される事が多い。質的診断も含めて、CT や MRI は必須であると言える。特に脂肪 肉腫の場合、高分化か脱分化かを判別するのに役立つ。しかし、平滑筋肉腫の場合はあまり特徴的な画像所見を 有さない。これらの画像検査は、周囲臓器への浸潤や癒着を予測する目的で、手術のプランニング関しても非常 に重要な意味を有する。組織生検は、他疾患の ruleout や術前化学療法目的などの際には行われることがあるが、 Trans-AtlanticRetroperitonealWorkingGroup はイメージガイド下の針生検を推奨している。また組織診断に は熟練した病理医によって行われるべきであるとしている。治療の基本は外科的切除であり、可能な限り完全切 除をめざすべきである。腫瘍が大きく、周囲臓器である腎や結腸との癒着や浸潤が予測されることがあり、しば しば合併切除がなされる。拡大手術を施行した標本の病理学的な検索から、実際には周囲臓器への明らかな浸潤 は25%程度であるといわれている。術後の局所への放射線照射については後ろ向き解析ではあるが、局所制御率 を64%から79%に向上させるという報告がある。また、術中放射線照射と術後の追加放射線照射は、術後放射線 照射のみと比べて局所制御率が良かった(40%vs80%)。放射線照射はそれなりの局所制御率の向上に役立って いそうであるが、randomizedcontrolstudy がないため確定的な事は言えない。術前術後の化学療法が再発率を 低下させるという明らかなエビデンスは乏しい。化学療法剤として主に用いられているのは doxorubicin あるい は ifosfamide である。これらは主に、切除不要または再発性の肉腫に対して使用されているが、pazopanib も承 認を受けている。また、eribulin という微小管阻害薬は、第 3 相試験において全生存率に関する benefit が報告 されている。 野々村 祝夫 1986年 大阪大学医学部卒業 1994年 大阪大学泌尿器科 助手 1998年 大阪大学泌尿器科 講師 2007年 大阪大学泌尿器科 准教授 2010年 大阪大学泌尿器科 教授

11月25日(土) 14:00〜15:00 (ビデオ11月27日(月) 14:00〜15:00)

尿路結石

8.尿路結石の再発予防(生活指導、薬物)

 尿路結石は男性では 7 人に 1 人、女性では15人に 1 人が一生に一度は罹患する頻度の高い疾患である。 5 年再 発率は約45% と極めて高く、再発予防は尿路結石診療における重要な課題である。しかしながら、低侵襲な外 科的治療の普及とともに、再発予防は開腹手術の時代に比べ軽視されるようになってきた。我々の施設で再発予 防の診療実態を調査したところ、術後の受診継続率は低く、十分なフォローアップが行えていない現状が明らか になった。さらに、患者意識調査では、再発予防に対する患者意識は高いのに対し、医師の説明や指導が不足し ていることも確認され、多くの泌尿器科医が尿路結石の再発予防を敬遠する傾向があることがわかった。  尿路結石症診療ガイドライン第 2 版で推奨グレードの高い再発予防法は、飲水指導、食塩摂取制限、一定量の カルシウム摂取、薬物療法ではクエン酸製剤、尿酸生成抑制剤、サイアザイドである。また、「尿路結石はメタ ボリックシンドロームの 1 疾患である」という概念についても言及されており、両者の再発予防法はほぼ共通し ていることから、泌尿器科医と一般内科医が連携して尿路結石の再発予防に取り組むことの重要性が強調されて いる。  本プログラムでは、尿路結石症診療ガイドラインに沿って再発予防法について解説するとともに、再発予防が 効果的であった症例を提示する予定である。聴衆の先生方にとって、尿路結石の再発予防の重要性を再認識する 機会になれば幸いである。 射場 昭典 2001年 和歌山県立医科大学卒業 2008年 大阪南医療センター泌尿器科 2013年 和歌山県立医科大学泌尿器科 助教 2017年 和歌山県立医科大学泌尿器科 講師

(15)

11月26日(日) 14:00〜15:00 (ビデオ11月27日(月) 14:00〜15:00) 小児泌尿器科

9.VUR と逆流性腎症

 乳児発熱の約 5 % が尿路感染症(urinarytractinfection:UTI)によるものといわれる。有熱性尿路感染症 (febrileUTI:fUTI)の乳幼児の 8 ~50% に膀胱尿管逆流(vesicoureteralreflux:VUR)を合併する。VUR は、 近年、胎児超音波診断で発見される水腎のスクリーニングや、家系内のスクリーニングにて発見される症例も増 加してきている。また最近では乳児健診で超音波にて腎臓の観察が行われる場合があり、水腎症で見つかる場合 がある。米国泌尿器科学会(AUA)から1997年に原発性膀胱尿管逆流の診療ガイドラインが出され、2010年に 改訂版が出された。2010年版では乳児および 1 歳以上の VUR、膀胱および消化管の機能不全に伴う VUR、同胞 の VUR、胎児期水腎症の新生児 ・ 乳児期のスクリーニングについて検討されている。2012年に欧州泌尿器科学 会から小児 VUR のガイドライン、2016年には日本小児泌尿器科学会から小児膀胱尿管逆流(VUR)診療手引き 2016が発刊されている。小児膀胱尿管逆流(VUR)診療手引き2016では診断・治療(内科的、外科的)に関し て議論の多いところであるが、これらを比較的明解のするため、有用度に応じて★数で表記している。トイレト レーニング後の UTI のリスクファクターとして排尿排便障害(bladderboweldysfunction:BBD)が重要である。 AUA2010では各種ガイドラインのなかで初めて BBD を VUR の増悪因子として科学的にクローズアップした。 VUR/UTI の診療において BBD に着目するよう啓蒙したことの意義は大きいが、その一方で BBD の明確な診 断基準のないことは大きな問題であった。このため、小児膀胱尿管逆流(VUR)診療手引き2016では、BBD の 定義を明確にした。VUR に腎実質障害を伴うものを逆流性腎症(refluxnephropathy:RN)という。VUR 患 者に高率に認められる腎形態異常(腎実質障害)を指したものである。腎実質障害は歴史的に尿路感染や高度逆 流に伴って後天的に発生する腎瘢痕であると考えられてきたが、近年では、先天的な低・異形成腎の関与がより 重要であると認識されるようになってきている。  本プログラムでは、膀胱尿管逆流の診断・治療までの流れとその考え方を再確認していただきたい。 宮北 英司 1988年 東海大学医学部医学研究科卒業(外科学泌尿器科学専攻) 1991年 Dublin 大学 Children’sresearchcentre 留学 2000年 東海大学医学部泌尿器科 助教授 2008年 東海大学医学部付属大磯病院 副院長 2009年 東海大学医学部 教授(外科学系泌尿器科学)

11月26日(日) 14:00〜15:00 (ビデオ11月27日(月) 16:40〜17:40) 内分泌・生殖機能・性機能

10.GID(性同一性障害)の診断と治療

 性同一性障害(genderidentitydisorder:GID)とは、身体的性別と genderidentity が一致しないことと定 義される。これにより個人的苦悩のみならず社会生活上にも重大な支障をきたす。しかし、GID に対する社会 の認識や理解は必ずしも十分とはいえず、ゲイやレズとも混同されて偏見や差別を受けることも少なくない。ま た、当事者自身も適切な医療機関を選択できずに困窮し、さらにこのような症例を偶然的な状況下に抱えた医療 機関もその診断と治療に苦慮している。  GID に対する治療は、精神科領域の治療と身体的治療で構成される。心の性別を身体的性別に適合させる試 みが歴史的に行われてきたが、いずれも失敗に終わっている。現時点では身体的性別を望む性に近づける目的で、 ホルモン療法や性別適合手術(sexreassignmentsurgery,SRS)などの身体的治療が施行される。ホルモン療法 としては、maletofemale(MtF)に対しては女性ホルモン製剤、femaletomale(FtM)に対しては男性ホルモ ン製剤の投与が行われる。SRS は、MtF に対しては精巣摘出術、陰茎切断術、造膣術および外陰部形成術が一 期的に行われ、FtM に対しては卵巣・子宮摘除術、尿道延長術および小陰茎作成術が一期的に、グラフトを用 いた陰茎形成術が二期的に行われる。  本邦においても GID の認知度は高まりつつあるが、いまだに身体的治療を行う医療機関は十分ではなく、 SRS も限られた一部の施設でしか行なわれていない。身体的治療の審査・承認に長い時間がかかることから、 国内において GID の包括的治療を施行する施設を拡充することが必須である。また、SRS に関する手術手技や 合併症の頻度やその対処などに関する情報が十分ではなく、当事者に正確な情報を伝えるためにも医学的知見は 積極的に公表する必要がある。治療費は自費診療であり、保険収載が望まれる。一方、身体的治療の承認が待て ずにホルモン製剤を自己判断で使用したり、SRS に過度な期待を抱き、侵襲的治療による合併症の理解が十分 ではない当事者も存在する。  本発表では、GID の定義、疫学、診断、治療および診療上の問題点について概説する。 舛森 直哉 1988年 札幌医科大学卒業 1998年 Dept.ofUrologicSurgery,VanderbiltUniversity,Nashville,TN,ResearchFellow 2001年 札幌医科大学泌尿器科 講師 2006年 札幌医科大学泌尿器科 助教授 2013年 札幌医科大学泌尿器科 教授

(16)

11月26日(日) 15:20〜16:20 (ビデオ11月27日(月) 10:20〜11:20) 排尿機能・神経泌尿器科

11.夜間頻尿の診断と治療

 夜間頻尿は下部尿路症状の中で最も治療に難渋すると言っても過言ではない。2009年に「夜間頻尿診療ガイド ライン」が刊行され、診断および治療が体系化された。しかし、夜間頻尿は夜間多尿、膀胱蓄尿障害、あるいは 睡眠障害などが原因となり得るが、これらの因子が複合的に原因となっていることも多く、診断はできても治療 は単純でないことが多い。ガイドライン刊行後すでに 8 年以上が経過し、その間新たなエビデンスが蓄積された。 夜間頻尿は QOL 疾患であり、治療としては生活指導や行動療法が最初に行われ、薬物治療が続くという流れが 一般的である。とくに薬物治療では、薬剤の選択肢と高齢者への安全性情報が充実しつつある。前立腺肥大症に 対してはα1遮断薬に加えて PDE5阻害薬が、過活動膀胱については新規抗コリン薬に加えてβ3作動薬が登場し た。また、睡眠障害にはラメルテオンやスボレキサントといった安全性が高く高齢者に対して投与しやすい薬剤 が保険適用となった。夜間多尿の病態は下部尿路機能障害ではなく循環動態および水代謝に関わるため、睡眠時 無呼吸症候群や高血圧など併存疾患と塩分摂取など生活習慣を考慮して広い視点から治療を行う必要がある。複 数の病因をもつ夜間多尿に対する治療方法は確立されていないが、多くの臨床研究の結果に基づいて合理的な治 療戦略を構築できつつある。本講演では、既存のガイドラインを基本として、最新の知見を補足し、専門医の日 常診療に資するよう情報を提供したい。 鳥本 一匡 1996年 奈良県立医科大学医学部卒業 2001年 ピッツバーグ大学医学部泌尿器科 リサーチフェロー 2006年 奈良県立奈良病院泌尿器科 医長 2010年 奈良県立医科大学泌尿器科 助教 2015年 奈良県立医科大学泌尿器科 講師

11月26日(日) 15:20〜16:20 (ビデオ11月27日(月) 16:40〜17:40) 女性泌尿器科

12.骨盤臓器脱および尿失禁の診断、治療の選択法

 尿失禁および骨盤臓器脱は女性泌尿器科領域の中でも、最も頻度の高い重要な疾患である。本邦においては腹 圧性尿失禁に対する Stamey 手術が導入された1981年頃より徐々に認識が高まり、1998年に中部尿道後面から恥 骨後面にメッシュテープを通す TVT 手術、2012年には閉鎖孔に通す TOT 手術のキットが認可され、現在でも この両術式が標準として実施されている。これらは主に尿道過可動による腹圧性尿失禁が対象であるが、内因性 尿道括約筋不全(ISD)に対しては、コラーゲンの尿道周囲注入療法が以前は可能であったが、コラーゲンが製 造中止となり現在では治療ができない状態が続いている。  一方骨盤臓器脱に対しては従来から様々な術式があり、それなりの成果を上げてきたが、2005年に島田、竹山 らが組織親和性の良いメッシュを使用する TVM(Tension-freeVaginalMesh)手術を紹介したことにより、 TVM 手術はその後急速に普及するに至り2010年には保険収載となった。ところが米国において重篤な合併症の 報告などもあり、2011年には FDA より経腟メッシュ手術に関する警告が出された。これを受けて米国では経腟 メッシュ手術が激減し、腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)が増加してきている。本邦でも2014年に LSC は保険収 載され現在普及しつつあるが、メッシュを使用しない従来法を含めて経腟手術と LSC のいずれを選択するかに ついては未だ議論のある所である。  このような現状を踏まえて尿失禁および骨盤臓器脱をいかに診断し、より適切な治療を選択するか、例えば TVT と TOT、経腟メッシュ手術と LSC の使い分けはどうするのかについても、最近の報告を踏まえて解説す る予定である。 武井 実根雄 1981年 徳島大学医学部卒業 1981年 九州大学泌尿器科 1989年 浜の町病院泌尿器科 1991年 原三信病院泌尿器科 1999年 原三信病院泌尿器科 部長

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