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Jpn. J. Personality 19(2): (2010)

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(1)

問題と目的

レジリエンス (resilience) とは,“困難で脅威的 な状態にさらされることで一時的に心理的不健康 の状態に陥っても,それを乗り越え,精神的病理 を示さず,よく適応している”(小塩・中谷・金 子・長峰,2002)状態のことを指す概念である。 このレジリエンスは,さまざまな要因によって導 かれる力であるため,誰もが保持し高めることが できると言われている (Grotberg, 2003)。これまで の調査により,身体的健康,洞察力,ソーシャル サポート,忍耐力,といった数多くのレジリエン スを導く要因,すなわちレジリエンス要因が明ら かにされており,個人のレジリエンスはその中の いくつかによって導かれると考えられている(小 塩他,2002)。では,それらの要因はどれも同じ ように後天的に身につけられるものなのだろうか。 多様なレジリエンス要因の中には,身につけやす いものも,身につけにくいものも存在するはずで あり,そのすべてを獲得できる要因であると見な すことは難しいと考えられる。 小花和 (2004) のレビューによると,レジリエ ンス要因は「周囲から提供される要因」「個人要 因」「獲得される要因」の 3 つに分類されるとい う。しかし,その内の「個人要因」と「獲得され る要因」の区別は明白であるとは言えない。例え ば吉村 (2007) は,感情調整と肯定的未来志向は 努力によって獲得可能であると述べているが,も 1) 本論文は,東京大学大学院教育学研究科に提出した 修士論文(2008 年度)の一部を加筆修正したもので ある。執筆にあたりご指導いただきました田中千穂 子教授,遠藤利彦准教授,南風原朝和教授に深く感 謝申し上げます。

レジリエンスの資質的要因・獲得的要因の分類の試み

1)

―二次元レジリエンス要因尺度(BRS)の作成

平 野 真 理

東京大学大学院教育学研究科 レジリエンスは誰もが身につけられる精神的回復力であると言われているが,レジリエンスを導く多様な 要因の中には後天的に身につけやすいものと,そうでないものがあると考えられる。本研究では,それらの 資質的・獲得的な要因を分けて捉えるために,Cloninger の気質−性格理論 (TCI) を用いて二次元レジリエ ンス要因尺度 (BRS) を作成することを目的とした。大学生ら 246 名を対象に調査を行い,TCI との関連性か ら選出された項目の探索的因子分析により,資質的レジリエンス要因として「楽観性」「統御力」「社交性」 「行動力」,獲得的レジリエンス要因として「問題解決志向」「自己理解」「他者心理の理解」の 7 因子が見出 された。さらに 759 名へ調査を行い,確認的高次因子分析および既存尺度との関連から,BRS の二次元構造 と妥当性が確認された。また,TCI の気質・性格との関連性から,下位尺度の基準関連妥当性が確認された。 キーワード:レジリエンス,資質的要因,獲得的要因,Cloninger の気質−性格モデル © 日本パーソナリティ心理学会 2010

(2)

ともとの感情性や楽観性には多分に個人差があり, それによってコントロールの可否も異なってくる ように思われる。また,共感性は個人要因に含ま れているが,共感性が他者とのかかわりの中で 育っていく可能性は否定できないように思われる。 このように,要因の分類にはさまざまな解釈が可 能であるため,両者をある程度分けて捉えようと するならば,何らかの外的基準をもって線を引く 必要がある。 両者の区別が明白でないことの理由のひとつと して,レジリエンス概念の曖昧さが関係している と考えられる。レジリエンスをパーソナリティで あると考える(小塩他,2002 ; Wagnild & Young, 1993など)ならば,上述したような要因は,個人 がもつ回復力を構成する特性であると捉えられる。 それに対して,レジリエンスを過程もしくは結果 であると捉える(荒木,2005 ; Luthar, Cicchetti, & Becker, 2000など)ならば,上述したような要 因はある特定の逆境や傷つきからの回復に必要と される要因であると捉えられ,個人の回復力を構 成するものが資質的なものなのか,獲得可能なも のなのか,ということには焦点が当てられない。 したがって,それらの区別に注目するためには, レジリエンスをパーソナリティであると捉える立 場をとる必要がある。また,レジリエンスをパー ソナリティとして捉える研究では,適応に至る具 体的なプロセスを明らかにできないため,臨床心 理学的介入につながる知見が得られにくいという 批判もある (Reynolds, 1998)。これに対して高辻 (2002) は,幼児のレジリエンスを「ストレス耐性」 と「社会的スキルの柔軟な利用」で説明し,前者 の介入は難しいが,後者については教師の指導や 介入によって適応を促しやすいと述べている。こ のように,レジリエンス要因のうち比較的獲得し やすいものを明らかにすることで,臨床心理学的 介入の具体的方向性を見出しうると考えられる。 「個人要因」と「獲得される要因」が明白でな いもうひとつの理由として,これまでの数々の先 行研究や尺度においては,多様なレジリエンス要 因を,全体的に捉えようとする試みがなされてき た こ と が あ げ ら れ る 。 各 国 で 翻 訳 さ れ て い る Resilience Scale (Wagnild et al., 1993) は,スペイ ンでは 2 因子 (Heilemann, Lee, & Kury, 2003),ド イツでは 1 因子 (Schumacher, Leppert, & Gunzelr-nann, 2005), ス イ ス で は 5 因 子 (Lundman, Strandberg, & Eisemann, 2007) というように異な る構造が示されている。さらに,「社会的安定」 や「ソーシャルサポート」が因子として含まれる Resilience Questionnaire (Colgate, 1996) や,「家 族の統合」も含まれる Resilience Scale for Adults (Friborg, Hjemdal, & Rosenvinge, 2003) のように, 個人を超えたより大きい枠組みでレジリエンスが 捉えられているものもある。国内の研究において も構成要因や構造は尺度によって異なるが,いず れもレジリエンスという概念を全体的に捉えよう とするために,多様なレジリエンス要因は 3⬃4 因 子程度に括られていることが多い。そのため「個 人要因」と「獲得される要因」はたいていひとつ の因子の中に混在することになる。 一方で,パーソナリティ研究の分野においては, 個人のパーソナリティを気質と性格の二次元から とらえようとする研究がさかんに行われている。 Cloninger (1993) は,神経生物学や学習理論を基 にパーソナリティを遺伝的資質性の強い「気質」 と,後天的獲得性の強い「性格」に分類する生 物−心理モデルの理論を構築し,「Temperament Character Inventory (TCI)」を開発した。因子分析 を用いない理論的な分類によって,これまで排除 されてきた原因論的基準を組み込み,そのパーソ ナリティ特性が生物学的な要因に起因するのか, 心理・社会的な要因に起因するのかを記述しよう とした。TCI における気質とは,刺激に対する知 覚,反応,情報処理過程における遺伝的なバイア スを示したものであり,4 つの下位尺度得点に よって測定される。まず「新奇性追求」尺度は, 新しい刺激に対する探求や衝動的な決定など,行

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動の活性と開始に関する遺伝的な傾向を表す。 「損害回避」尺度は,将来に対する不安や恐怖の ような,行動の抑制と中止に関する遺伝的な傾向 を表す。この得点が高いほど,不安障害や気分障 害のリスクが高まると言われている(木島,2000)。 「報酬依存」尺度は,社会的な愛着や他者からの 賞賛への依存のような,行動の維持と持続に関す る遺伝的な傾向を表す。「持続」尺度は,忍耐強 くひとつの行動を行うような,行動の固着に関す る遺伝的な傾向を表し,もともとは報酬依存に含 まれていた概念を独立させたものである。次に, TCIにおける性格とは,自己概念の洞察の過程を 示したものであり,人間性心理学やトランスパー ソナル心理学における自己実現・自己成熟の概念 を取り入れている。性格には 3 つの次元があり, 「自己志向」尺度は,自己決定の意志の力や,選 択に対して行動を調整する能力を表すものであり, 責任感や目標設定や動機づけなどに関わると考え られている。「協調」尺度は,他者と同一化し受 容する能力を表すとされており,寛容さや共感や 同情などに関わると考えられている。「自己超越」 尺度は,この世界に存在する全てのものが全体の 一部であるとする“統一意識”の発達度を表すも のであり,適応状態や人生の満足度に関係すると 考えられている。 この Cloninger の二次元的パーソナリティとレ ジリエンスの関連を検討した先行研究もある。石 毛・無藤 (2006) は,中学生を対象に,「意識的活 動性」「楽観性」「内面共有性」の下位因子からな るレジリエンス尺度と TCI の関連を調査した。そ の結果,「意識的活動性」は TCI の性格と関連が あり,「内面共有性」は性格・気質の両方と関連 があり,「楽観性」は気質と関連があることが示 された。気質的・性格的なパーソナリティとの関 連をさらに詳細に検討するためには,レジリエン ス要因をなるべく細かく分類した方が有用である と考える。 以上のことから本研究では,多様なレジリエン ス要因の中で,資質的な性質の強い要因と獲得的 な性質の強い要因を分けて捉えることで,レジリ エンスを後天的に高める方法を考えるための視座 を得ること目的とする。そのために,まずは先行 研究によってそれぞれに見出されてきた多様なレ ジリエンス尺度の項目を集め,レジリエンスに関 わる要因をなるべく広く捉え,細かく整理するこ と を 目 的 と す る ( 予 備 調 査 )。 そ の う え で , Cloninger理論の TCI を外的基準とし,それらのレ ジリエンス要因の中から「気質」と関連の強い要 因と,「性格」と関連の強い要因を抽出すること を目的とする(調査Ⅰ)。そして,抽出された要 因をもとに,資質的な性質の強いレジリエンス要 因と,獲得的な性質の強いレジリエンス要因を反 映できるような二次元の尺度を作成し,その構造 を確認することを目的とする(調査Ⅱ)。

予備調査

目 的 先行研究によって見出されてきた多様なレジリ エンス要因をなるべく広く捉え,細かく整理する ことを目的とする。 方 法 小花和 (2004) のレビューを中心に,国内外の先 行研究によって示されたさまざまなレジリエンス 要因の概念を総合的に再分類し,類似概念をまと めた (Table 1)。次に,国内の先行研究で探求され Table 1 レジリエンス要因の分類 共感性 チャレンジ 興味関心の多様性 ソーシャル 社会的外向性 努力志向性 スキル 自己開示 好ましい 抵抗力 ユーモア 気質 忍耐力 問題解決能力 肯定的な 楽観性 洞察力 未来志向 肯定的な未来志 コンピテンス 知的スキル・ 向性 学業成績 身体的健康 自己効力感・ その他 自立 有能感 道徳心・信仰心 自己統制 自律・自己制御 自己分析・ 感情調整 自己理解

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てきた多様なレジリエンス要因を収集するために, 精神的回復力尺度(小塩他,2002),レジリエン ス尺度(森・清水・石田・冨永・ Hiew,2002), Resilience Quotient日本語版(長内・古川,2004), レジリエンス尺度(石毛・無藤,2005),CAQ-Ego-Resiliency Scale(中尾・加藤,2005),レジリ エンス構成要因(金井・内田,2005),Multidi-mensional Trauma Recovery and Resiliency(村本, 2005)より,レジリエンス要因の項目プールを作 成し,それらを先に作成した下位概念に分類した。 その後,多大なレジリエンス項目から項目を満遍 なく選出するために,先行研究を参考に,Table 1 に示した 20 の下位概念を資質的な要因と獲得的 な要因へ仮分類を行った後,それぞれの下位概念 に大きな偏りがないよう,資質的であると想定す る要因 30 項目,獲得的であると想定する要因 30 項目の計 60 項目を項目プールより配置した。 妥当性の検討 下位概念ごとの項目の内容妥当性を確認するた めに,全項目に「ソーシャルサポート」の 3 項目 を加えた 63 項目を,研究の意図を伝えていない 心理学専攻の大学院生 3 名に KJ 法で分類しても らった。ソーシャルサポートの項目を加えたのは, 先行研究の尺度の中でそれらが環境要因とされな がらも個人特性と同等に扱われていたことから, その区別を確認するためにも,前もって除かない 方がよいと考えたためである。分類の結果をもと に,概念としてのまとまりが見られなかったもの について,項目の削除,および項目プールからの 追加による調整を行い,再度別の心理学専攻の大 学院生 2 名に内容的妥当性の確認を依頼した。最 終的に,資質的であると想定する要因 26 項目, 獲得的であると想定する要因 26 項目の計 52 項目 が選出された。 結果の検討 KJ法によって分類した結果,想定した概念ごと にまとまりの見られた項目群と,想定に反して概 念のまとまりが見られなかった項目群があった。 まず,独立してまとまりの見られた項目群には, 「共感性」「身体的健康」「ユーモア」「自己効力 感」「楽観性」「感情調整」「自己理解」「洞察力」 「自己開示」「自己制御」「肯定的な未来志向」が あった。反対に,想定した概念としてのまとまり が見られなかった項目群には,「社会的外向性」 「知的スキル」「自立」があった。「社会的外向性」 は,環境要因である「ソーシャルサポート」を大 きく取り囲むように配置されていた。したがって, 社会における対人的外向性は,ソーシャルサポー トという外的要因と絡み合っていることが予想さ れる。「知的スキル」は,「自己効力感」や「問題 解決能力」の項目群の中に偏在していたことから, 知的な能力は,純粋な知的水準そのものとして意 識されるというよりは,その能力による自尊心の 高まりや,問題が解決できることなど,二次的な 価値が認識されているのではないかと考えられた。 「自立」に関しては,かなり離れて配置されてお り,項目間のつながりが弱かったと考えられるた め,項目を吟味する必要があると思われた。以上 の結果をふまえて,概念の精緻化に必要であると 考えられる,概念の統合,曖昧な項目の削除,表 現の修正を行い,再度編成された項目の妥当性を 検討した後,本調査に用いる尺度項目を選出した。

調 査

I

目 的 予備調査で収集されたレジリエンス要因の中か ら,「気質」と関連の強い要因と,「性格」と関連 の強い要因を抽出することを目的とする。 方 法 実施手続き 2008年 6⬃7 月に,首都圏の大学 1校,専門学校 1 校へ通う学生 255 名を対象に, 質問紙調査を行った。有効回答は 246 名,(男性 137名,女性 109 名)平均年齢は 22.2 歳 (SD⫽ 4.84) であった。調査は主に授業時間に実施し即 時回収もしくは後日回収した。その後の分析は, SPSS (ver. 11.0J) を用いて行った。

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質問紙の構成

1. レジリエンス要因尺度 予備調査によって選 定した 52 項目について,「はい」⬃「いいえ」の 5件法で回答を求めた。

2. TCI Cloningerの TCI の日本語版(木島・斎 藤・竹内・吉野・大野・加藤・北村,1996)125 項目のうち,協力者の負担を軽減しつつ TCI の因 子構造を豊かに反映させる項目を用いて測定する ために,25 の下位概念ごとに,同じ内容の言い換 えに近い項目や,逆転で言い換えている項目を 2 項目ずつ削除し,75 項目を用いた。回答は 2 件法 であった。 3. 社会に対する適応感尺度 レジリエンスとは, その定義に示されるように,一時的なストレス状 態に陥っても回復し,適応状態を示すことを指す 概念である。したがって,今回新たに構成するレ ジリエンス要因尺度においても社会適応感との関 連性が想定されるため,本研究では社会適応感と の関連性によって妥当性を検討することとした。 樋口 (2007) の尺度(5 項目)を用い,社会生活に おける充実感や満足感について,「非常にあては まる」⬃「全く当てはまらない」の 5 件法で回答 を求めた。 結 果 レジリエンス要因項目の選出 予備調査によっ て選出したレジリエンス要因 52 項目のうち,天 井効果(平均値⫹1SD⬎5)および床効果(平均値 ⫺1SD⬍1)の見られた 2 項目を除いた 50 項目につ いて,TCI との相関係数を算出した。気質・性格 と関連の強い要因を抽出するという本研究の目的 のために,相関係数 冏.30冏 を基準として項目を分類 したところ,気質のみと関連が示された 14 項目, 性格のみと関連が示された 14 項目の計 28 項目が 抽出された。一方,気質・性格の両方と強い相関 が見られた 14 項目,どちらとも相関が弱かった 8 項目については,いずれもレジリエンスに関わる 要因ではあるものの,資質的・獲得的な要因を焦 点化して捉える尺度としては相応しくないと考え られるため除外した。 探索的因子分析 抽出された項目に対して,探 索的因子分析を行った。固有値の変動状況と因子 の解釈可能性から 7 因子構造が妥当であると解釈 し,7 因子を仮定して主因子法・ Promax 回転に よる因子分析を行った後,因子負荷が.30 に満た ない 7 項目を削除した上で再度分析を行い,7 因 子構造が見出された。第 1 因子は,ネガティブな 出来事や対人関係のトラブルが起きた場面におい て,積極的に対処法を探り,解決的な行動をとろ うとする内容の項目が高い負荷量を示していたた め,「問題解決志向」因子と命名した。第 2 因子 は,物事がうまく進み,良いことが生じるだろう というポジティブな見通しをもっていることを表 わす内容の項目が高い負荷量を示していたため, 「楽観性」因子と命名した。第 3 因子は,他者の 感情を容易に読み取ることができる能力を示す内 容の項目が高い負荷量を示していたため,「他者 心理の理解」因子と命名した。第 4 因子は,自分 自身について,および自分の考えについて理解し, それを他者に伝えることができるという内容の項 目が高い負荷量を示していたため,「自己理解」因 子と命名した。第 5 因子は,自分の体調や体力, および感情やユーモアなど,心身をコントロール する能力についての内容の項目が高い負荷量を示 していたため,「統御力」因子と命名した。第 6 因子は,人との関係をうまくとることや,社会集 団の中での存在感についての項目が高い負荷量を 示していたため,「社交性」因子と命名した。第 7 因子は,物事に対して努力や意欲を持って行動す ることができるという内容の項目が高い負荷量を 示していたため,「行動力」因子と命名した。 TCIによる重回帰分析 見出だされた 7 因子お よび TCI の尺度得点を用いて重回帰分析を行い, 各因子が TCI のどの下位因子によって最も大きく 説明されるのか,標準回帰係数の値を検討した (Table 2)。その結果,「楽観性」「統御力」「社交 性 」 因 子 は TCI の 「 損 害 回 避 」 か ら (b⫽⫺.36,

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⫺.53, ⫺.31),「行動力」因子は,「持続」からのb が最も大きく (b⫽.40),いずれも気質の下位尺度 によって最も強く説明されることが示された。な お,「損害回避」からのb が負の値を示している のは,「損害回避」尺度が高得点であるほど,不 安や恐怖といった精神的健康にネガティブな心性 の高さを示すからである。また,「問題解決志向」 因子は「協調性」から,「自己理解」因子は「自 己志向」から,「他者心理の理解」因子は「自己 超越性」からのb が最も大きく (b⫽.29, .28, .31), いずれも性格の下位尺度によって最も強く説明さ れることが示された。よって,前者の 4 因子を合 わせて「資質的レジリエンス要因」,後者の 3 因 子を合わせて「獲得的レジリエンス要因」と呼ぶ ことにした。 また,妥当性の指標である社会適応感との相関 係数は,尺度全体で r⫽.51,下位尺度で r⫽.40⬃ .48と中程度の関連を示した (p⬍.001)。

調 査 Ⅱ

目 的 調査Ⅰで抽出された要因をもとに,資質的な性 質の強いレジリエンス要因と,獲得的な性質の強 いレジリエンス要因を反映できるような二次元の 尺度を作成し,その二次元構造と妥当性を確認す ることを目的とする。 方 法 実施手続き 2008年 9 月⬃10 月に,首都圏に ある大学 7 校,専門学校 1 校,学生サークルなど 3団体に属する 18 歳以上の男女 781 名を対象に, 質問紙調査を行った。有効回答は 759 名(うち男 性 365 名 , 女 性 394 名 ), 平 均 年 齢 は 21.6 歳 (SD⫽5.00) であった。実施方法および分析方法は, 調査 I と同様であった。 質問紙の構成 1. レジリエンス要因尺度 調査 I で抽出された 21項目の 7 因子それぞれに 5 項目が配置されるよ うに,各概念を反映する項目を追加した。「楽観 性」には多次元楽観性尺度(安藤・中西・小平・ 江崎・原田・川井・小川・崎濱,2000)より 2 項 目,「社交性」には友人関係期待尺度(うち「社 交性」因子)(鈴木・寺嵜・金光,1998)より 2 項目と,予備調査で作成した項目プールから 1 項 目,「行動力」には達成動機測定尺度(うち「自 己充実的達成動機」下位尺度)(堀野・森,1991) を参考に項目プールより 3 項目,「自己理解」に は自己認識に関する尺度(うち「自己把握」因 子)(冨重,2001)を参考に項目プールより 3 項 目,「他者心理の理解」には多次元共感性尺度 (鈴木・木野・出口・遠山・出口・伊田・大谷・ Table 2 TCI下位因子によるレジリエンス要因の重回帰分析結果 N⫽246 レジリエンス要因 楽観性 統御力 社交性 行動力 問題解決志向 自己理解 他者心理の理解 R2 b R2 b R2 b R2 b R2 b R2 b R2 b 気質 新奇性追求 .36∗∗∗ .23∗∗∗ .34∗∗∗⫺.08 .23∗∗∗ .13∗ .34∗∗∗⫺.09 .32∗∗∗ .02 .18∗∗∗ .07 .18∗∗∗⫺.01 損害回避 ⴚ.36∗∗∗ ⴚ.53∗∗∗ ⴚ.31∗∗∗ ⫺.07 ⫺.04 ⫺.11 ⫺.10 報酬依存 ⫺.07 ⫺.12∗ .15∗ .07 .14∗ .04 .04 TCI 持続 .08 .07 .05 .40∗∗∗ .17∗∗ .07 .13∗ 性格 自己志向 .08 ⫺.07 .03 .16∗ .27∗∗∗ .28∗∗∗ .01 協調性 .05 .23∗∗∗ .10 .20∗∗ .29∗∗∗ .06 .13 自己超越性 .07∗∗ ⫺.02 .15∗ .12∗ .11 .12 .31∗∗∗ ∗∗∗ p⬍.001, ∗∗ p⬍.01, ∗ p⬍.05, R2:決定係数,b:標準偏回帰係数, …冷.25冷 以上

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谷口・野田,2000)より 3 項目を追加した。「統 御力」にはユーモアに関する項目が 1 項目だけ含 まれていたが,その負荷量が低かったため削除す ることにし,代わりに項目プールより 1 項目を投 入した。また「問題解決志向」のうち回答分布の 歪みが大きい傾向のあった 1 項目を削除し,項目 プールより 1 項目を投入した。以上の 35 項目に ついて「はい」⬃「いいえ」の 5 件法で回答を求 めた。 2. TCI 調査Ⅰと同様であった。 3. 精神的回復力尺度 レジリエンスを導く特性 を測定する既存の尺度として,国内でよく用いら れているレジリエンス尺度である精神的回復力尺 度(小塩他,2002)21 項目を用いた。回答は「は い」⬃「いいえ」の 5 件法であった。 協力者の負担を軽減するため,TCI は 297 名, 精神的回復力尺度は 185 名のみに実施された。 結 果 レジリエンス要因尺度の確認的因子分析 レジ リエンス要因尺度 35 項目について,調査 I で見出 された 7 因子を仮定した確認的因子分析を行った。 各因子の項目数を均等にするため,それぞれ負荷 量の大きいものから 3 項目ずつ計 21 項目を投入 し確認的因子分析を行ったところ,十分な適合度 を示した (Table 3)。 また,クロンバックのa 係数は,尺度全体で a⫽.90,下位尺度の資質的レジリエンス要因で a⫽.83,獲得的レジリエンス要因で a⫽.72 と高い 値が得られた。 共分散構造分析による高次因子分析 各項目を 観測変数として投入し,7 因子の上位概念として 「資質的レジリエンス要因」と「獲得的レジリエ ンス要因」を設定した共分散構造分析によって高 次 因 子 分 析 を 行 っ た と こ ろ , G F I⫽ . 9 1 9 , AGFI⫽.897, RMSEA⫽.061 とほぼ十分な適合度が示 された (Figure 1)。したがって,「楽観性」「統御 力」「社交性」「行動力」の上位概念として「資質 的レジリエンス要因」を,「問題解決志向」「自己 理解」「他者心理の理解」の上位概念として「獲 得的レジリエンス要因」を定める二次元の因子構 造が認められた。 因子妥当性の確認 調査Ⅰからの尺度項目の修 正,および二次元構造の確認を経て,改めて因子 の妥当性を確認するために,TCI による重回帰分 析を行った (Table 4)。その結果,「楽観性」「統御 力」「 社交性」 因子は TCI の「 損害回避」 から (b⫽⫺.29, ⫺.34, ⫺.33),「行動力」因子は,「持続」 からのb が最も大きく (b⫽.25),いずれも気質の 下位尺度によって最も強く説明されることが示さ れた。また,「問題解決志向」因子は「自己超越 性」から,「自己理解」因子は「自己志向」から, 「他者心理の理解」因子は「協調性」からのb が 最も大きく (b⫽.28, .25, .25),いずれも性格の下 位尺度によって最も強く説明されることが示され た。 尺度妥当性の確認 尺度の妥当性を検討するた めに,精神的回復力尺度との相関係数を算出し た。その結果,尺度全体・下位尺度ともに,ある 程度高い相関を示し (r⫽.64⬃.74, p⬍.001),新尺度 の基準関連妥当性が確認された。また,「資質的 レジリエンス要因」および「獲得的レジリエンス 要因」と,既存尺度の下位尺度の間には,いずれ も中程度もしくはそれ以上の相関が見られた。よ り細かい下位因子どうしの相関においても,中程 度もしくはそれ以上の相関が示された (r⫽.49⬃62, p⬍.001)。

考  察

二次元レジリエンス要因尺度の妥当性 分析の結果から,二次元レジリエンス要因尺度 (Bidimensional Resilience Scale: BRS) の信頼性・ 妥当性はおおむね認められたと考えられる。ただ し,7 因子のうち「統御力」「問題解決志向」「自 己理解」については,a⫽.48⬃.58 と信頼性係数が 低かったため,7 因子を下位尺度として取り出し て他との関連を検討したり,議論を行う際には留

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意が必要である。したがって,下位尺度を用いる 際には,資質的・獲得的レジリエンス要因という 2つの下位尺度として用いることが望ましいと考 えられる。 既存のレジリエンス尺度との関連においては, BRSの下位尺度である「資質的レジリエンス要因」 と「獲得的レジリエンス要因」の両方が,既存尺 度の下位因子とそれぞれ同程度の相関を示したこ とから,資質的・獲得的レジリエンス要因は,既 存尺度の下位概念において混在していたことが推 Table 3 レジリエンス要因項目の確認的因子分析結果

N⫽759 a⫽.90 I II III IV V VI VII 資質的レジリエンス要因 (a⫽.83) A. 楽観性 (a⫽.77) 22. 困難な出来事が起きても,どうにか切り抜けることができると思う。 .75 1. どんなことでも,たいてい何とかなりそうな気がする。 .73 8. たとえ自信がないことでも,結果的に何とかなると思う。 .68 B. 統御力 (a⫽.48) 19. つらいことでも我慢できる方だ。 .62 33. 嫌なことがあっても,自分の感情をコントロールできる。 .53 12. 自分は体力がある方だ。 .39 C. 社交性 (a⫽.85) 23. 交友関係が広く,社交的である。 .83 9. 自分から人と親しくなることが得意だ。 .82 2. 昔から,人との関係をとるのが上手だ。 .79 D. 行動力 (a⫽.72) 34. 自分は粘り強い人間だと思う。 .77 2. 決めたことを最後までやりとおすことができる。 .69 13 .努力することを大事にする方だ。 .58 獲得的レジリエンス要因 (a⫽.72) E. 問題解決志向 (a⫽.58) 24. 人と誤解が生じたときには積極的に話をしようとする。 .64 31. 嫌な出来事があったとき,その問題を解決するために情報を集める。 .51 10. 嫌な出来事があったとき,今の経験から得られるものを探す。 .51 F. 自己理解 (a⫽.54) 4. 自分の性格についてよく理解している。 .57 25. 嫌な出来事が,どんな風に自分の気持ちに影響するか理解している。 .56 11. 自分の考えや気持ちがよくわからないことが多い。(∗) .46 G. 他者心理の理解 (a⫽.67) 14. 人の気持ちや,微妙な表情の変化を読み取るのが上手だ。 .76 35. 他人の考え方を理解するのが比較的得意だ。 .69 21. 思いやりを持って人と接している。 .50 ∗は逆転項目。数値は標準化推定値である。 因子間相関 A B C D E F G GFI⫽.933, AGFI⫽.908, RMSEA⫽.056 A – .56 .47 .46 .62 .37 .37

B – .48 .89 .46 .53 .54 C – .39 .58 .37 .52 D – .49 .42 .52 E – .62 .55 F – .59 G –

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測される。したがって,BRS の構造の妥当性と独 自性の両方が確認されたといえる。 本研究の結果を,石毛・無籐 (2006) の結果と 比較すると,「楽観性」と TCI の気質の関連につ いては同様の結果が得られ,「内面共有性」と気 質・性格の両方との関連については(「内面共有 性」は BRS の「社交性」「他者心理の理解」と内 容的に類似),本研究では「社交性」は気質と関 連し,「他者心理の理解」は性格と関連するとい うように矛盾しない結果が得られた。「意識的活 動性」と性格の関連については(「意識的活動性」 は,BRS の「問題解決志向」「行動力」と内容的 に類似),本研究では「問題解決志向」は性格と の関連が見られたものの,「行動力」については 気質との関連が見られている。これは,石毛・無 籐の設定する因子において「問題解決志向」と 「行動力」が 1 つに括られていることによる相違 であると考えられる。このことから,「問題解決 志向」と「行動力」を包括して考えると,気質的 要因よりも獲得可能な要因が勝るのではないかと 推察される。したがって,本研究の結果は先行研 究の知見と矛盾せず,細かい因子を設定したこと で,より精緻に TCI との関連を検討することがで きたと考えられる。 資質的レジリエンス要因 楽観性 「楽観性」は,性格特性としての楽観 性に焦点を当てて項目を収集した因子である。そ れは将来に対して肯定的な期待を保持する傾向 Table 4 TCI下位因子による資質的・獲得的レジリエンス要因下位因子の重回帰分析 N⫽297 資質的レジリエンス要因 獲得的レジリエンス要因 楽観性 統御力 社交性 行動力 問題解決志向 自己理解 他者心理の理解 R2 b R2 b R2 b R2 b R2 b R2 b R2 b 気質 新奇性追求 .26∗∗∗ .14∗ .21∗∗∗⫺.14∗ .30∗∗∗ .07 .27∗∗∗⫺.17∗∗ .23∗∗∗ .09 .15∗∗∗⫺.14∗ .24∗∗∗⫺.11∗ 損害回避 ⫺.29∗∗∗ ⫺.34∗∗∗ ⫺.33∗∗∗ ⫺.17∗∗ ⫺.07 ⫺.16 ∗∗ ⫺.21∗∗∗ 報酬依存 .02 ⫺.02 .26∗∗∗ .08 .00 ⫺.06 .08 TCI 持続 .10 ⫺.01 .09 .25∗∗∗ .10 .05 .13∗ 性格 自己志向 .17∗ ⫺.08 .09 .13∗ .21∗∗∗ .25∗∗∗ .05 協調性 .13∗ .16∗∗ .09 .13∗ .19∗∗ .01 .25∗∗∗ 自己超越性 .11 .17∗∗ .10 .17∗∗ .28∗∗∗ .08 .14∗ ∗∗∗ p⬍.001, ∗∗ p⬍.01, ∗ p⬍.05, R2:決定係数,b:標準偏回帰係数, …冷.25冷 以上 Figure 1 二次元レジリエンス要因尺度の高次因子分析

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(Brissette, Scheier, & Carver, 2002) であり,それに よって逆境に直面しても目標に向けて努力を続け ることができるという(伊澤,2004)。重回帰分 析の結果,TCI の「損害回避」からの負の影響が 示され,不安による行動制御のなさが関与してい ることが推測されることから,「楽観性」は,「将 来に対して不安をもたず,肯定的な期待をもって 行動できる力」であると捉えられる。 統御力・行動力 「統御力」は,体調や感情の ような,生物学的条件に規定されやすくコント ロールしにくい部分を統御する力として項目が収 集された因子である。また,「行動力」は,物事 に対して目標や意欲をもち,それに向かって努 力・達成できる能力として項目が集められた。「統 御力」と「行動力」は高い因子間相関を示した が,この 2 つはどちらも自己統制力という概念に 近いものであると考えられる。自己統制力は,不 安などの感情を統制する力である negative self controlと,自分の意志の実行を統御する力である positive self controlから構成されていると言われ ている(柏木,1983)。つまり個人のコントロー ルや耐性には,負の方向と正の方向があり,「統 御力」と「行動力」は,それぞれ負のコントロー ルと,正のコントロールの側面を反映している可 能性が推測される。重回帰分析の結果,「統御力」 には TCI の「損害回避」からの負の影響が強いこ とが示され,不安の少なさが示唆されることから, 「もともと不安が少なく,ネガティブな感情や生 理的な体調に振り回されずにコントロールできる 力」であると捉えられる。一方,「行動力」には TCIの「持続」からの大きな正の影響が示されて いることから,「目標や意欲を,もともとの忍耐 力によって努力して実行できる力」であると捉え られ,両者はどちらも自分をコントロールする力 として共通性をもつと推察される。 社交性 「社交性」は,もともと他者と関わる のを好み,コミュニケーションをとるのが容易で ある傾向を表わす項目が集められた因子である。 社交性には,対人場面における不安や緊張といっ た情緒の不安定さと,他者に対する安心・信頼感 の有無が影響していると言われている( 小林, 1997)。重回帰分析の結果においても,TCI の「損 害回避」からの負の影響と,「報酬依存」による 正の影響が示されており,他者への不安の少なさ と愛着が関連していると考えられることから,「社 交性」は「もともと見知らぬ他者に対する不安や 恐怖が少なく,他者との関わりを好み,コミュニ ケーションを取れる力」であると捉えられる。 以上の 4 要因を概観すると,資質的レジリエン ス要因とは,ストレスや傷つきをもたらす状況下 で感情的に振り回されず,ポジティブに,そのス トレスを打破するような新たな目標に気持ちを切 り替え,周囲のサポートを得ながらそれを達成で きるような回復力であると示唆される。 獲得的レジリエンス要因 問題解決志向 「問題解決志向」は,問題を積 極的に解決しようとする志向性,および解決スキ ルを学ぼうとする傾向に焦点を当てて,項目を収 集した因子である。これと似た概念に,達成目標 志向性の中の学習目標志向がある。純粋に自分の 能力の伸長を重視する学習目標志向をもつ者は, 評価重視の遂行目標志向をもつ者に比べて,不安 などの情緒的・心理的要因に左右されにくいと言 われている(上淵,1995)。また,重回帰分析の 結果,TCI の「自己超越性」や「自己志向」から の正の影響が示されたことから,自分の意志で行 動を決定しようとする動機づけによって人生への 満足感が高まる状態が背景にあると推測される。 これらをふまえ「問題解決志向」は,「状況を改 善するために,問題を積極的に解決しようとする 意志をもち,解決方法を学ぼうとする力」である と捉えられる。 自己理解・他者心理の理解 「自己理解」は, 自分自身の考えや特性について理解し把握する力 として項目が集められた因子である。また,「他 者心理の理解」は,他者の心理を認知的に理解す

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る力に焦点を当てて項目が収集された。自己の存 在の理解は,他者をはじめとする関係性の中で育 まれるものであり(別府,2000),他者の理解は, 自己と他者の同一視を通じて行われることがある (岩下,1975)というように,自己理解と他者理 解は関連し合いながら発達するものであると考え られている。重回帰分析の結果,「自己理解」に は TCI の「自己志向」からの正の影響が大きいこ とが示されたことから,意志によって目標や行動 を調整できる力が関わっていることが推測され, 「自己理解」は「自分の考えや,自分自身につい て理解・把握し,自分の特性に合った目標設定や 行動ができる力」と捉えられる。また,「他者心 理の理解」には TCI の「協調性」による正の影響 が示されたことから,他者と同一化し受容できる 状態として説明できると考えられ,「他者心理の 理解」は「他者の心理を認知的に理解,もしくは 受容する力」であると捉えられ,両者は関連し合 いながら発達するものであると推測される。 以上の 3 要因を概観すると,獲得的レジリエン ス要因とは,自分の気持ちや考えを把握すること によって,ストレス状況をどう改善したいのかと いう意志をもち,自分と他者の双方の心理への理 解を深めながら,その理解を解決につなげ,立ち 直っていく力であると示唆される。 本研究の限界と課題 今後の重要な課題として,資質的レジリエンス の時間的安定性の検討があげられる。再検査信頼 性の検証を行い,尺度の信頼性・妥当性をより精 緻に高めていく必要性があるといえる。また,BRS を,個人のもつレジリエンスを資質的要因と獲得 的要因とのバランスの中で考える指標とする中で, 資質的要因の個人差をふまえた有用な介入のあり 方や,後天的なレジリエンスの身につけ方を探求 していくことが望まれる。 引用文献 安藤史高・中西良太・小平英志・江崎真理・原田一 郎・川井加奈子・小川一美・崎濱秀行 (2000).多面 的楽観性測定尺度の作成 名古屋大学大学院教育発 達科学研究科紀要 心理発達科学,47, 237–245. 荒木 剛 (2005).いじめ被害体験者の青年期後期にお けるリズィリエンス (resilience) に寄与する要因につ いて パーソナリティ研究,14, 54–68. 別府 哲 (2000).自閉症幼児における鏡像認知 発達 障害研究,22, 210–218.

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A Study of the Classification of Resilience Factors:

Development of the Bidimensional Resilience Scale (BRS)

Mari H

IRANO

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Resilience is a characteristic of everyone, but some aspects of resilience are easy to imbibe, whereas others are not. This study developed a Bidimensional Resilience Scale (BRS) using Cloninger’s Tempera-ment/Character model (TCI) as the criteria to consider separately the innate factors and acquired factors of resilience. A questionnaire was administered to 246 college students, and seven factors were extracted through factor analysis according to their relevance based on the TCI. Innate resilience factors included optimism, control, sociability, and vitality; acquired resilience factors included attempting to solve a problem, self-understanding, and understanding others. The resulting BRS questionnaire was administered to 759 peo-ple. The bidimensional structure and the validity of the BRS were examined through higher-order factor analysis and comparison of relevancy with existing measures. Finally, criterion-related validity was examined for the resulting terms of the relevancy of innate/acquired resilience factors and the temperament/character factors from the TCI.

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