【諭 文】 UDC :624
.
072.
2 ;539.
386 L・
日本建 築学会構造系論文報告集.
第 375号・
昭 和 62 年5月有
限要
素
変
位
法
に
よ
る
は
り
断
面
の
せ ん
断流解
析
正 会 員藤
谷
義
信
寧1.
序 初 等は り理論に おいて は, 曲 げ応 力お よび 曲げ ね じ り 応 力につ り合うべき せ ん断応力を, 変位 解か ら直接計算 す ること が で き な い。
その た め,
材料力学で は材軸方向 の 応 力の つ り合い 方程 式 を 用い て, 曲げ応 力や曲げ ね じ り応 力を積分す るこ と に よ りこの せ ん断応 力を求め る手 法が と ら れ て い る。 こ の せ ん断 応 力 計 算 法 はsemi−
inverse method (半逆 法 )n と よ ば れ,
薄 肉 断 面は りの場合の この計算理論は, shear
flow
theory (せ ん断 流 理論 》と よばれ てい る
。
多室薄肉 閉断面材のせ ん断応 力計算法の研究は,
古く.
よ り特に航空工学の分 野で行われ てお り, わ が国で も不 静 定せ ん断流の概念を導入 し て,
ね じ りを受け る場合に つ いて は渋 谷2, が,
曲げ を受け る場 合につ い て は稲葉3) が, 実用的計 算法を示し ている。 その他にも種々 の計算 法が提案さ れ て き た。 現在で は,
この分 野の教科書 4 )−
6) の 中にみ ら れ る よ うに,
不 静 定せ ん断 流を未 知 数と す る 多 元の連立方程式を組み立て て解く組 織 的な計 算 法が確 立さ れ てい る。 川 井ら T}・
S}は,
こ れ を マ トリ』
ッ クス応力 法で定式化し,
曲げ お よ び ね じ り を受け る多 室 薄 肉 閉 断 面材のせ ん断応力の解 析 例を示して いる。 Bruhn9 )は,
この不静 定せ ん断流 を求め る に当た り,
骨組 構造に お け るモー
メ ン ト分 配法に似た実用的 計算法 を紹 介し,
ね じ りを受ける 2室薄肉閉断面材の せ ん断応力の計算手 順を 示し ている。 な お,
初等は り理論の解 (材
軸 方向応 力) とつ り合う せ ん断 応 力を解 析す る という点におい ては,
と くに曲げ を受け る場合と ね じ り を受け る場合の解析を 区別す る 必要は な く,
文献10
)に記さ れて い る ように 両者 は統一
的に議 論す るこ と がで き る。 これ らの計 算法は応 力法と し て位置づ け ら れ,
最 終 的 に求め るべき未知数の数が少ない という利点が あ る が,
任 意 断 面 形の解 を 求 め る た めの汎 用 性 のあ る 計 算プロ グ ラム は作 成しにくいとい う難 点が ある。
これ ま での とこ ろ,
薄 肉は り断 面 内の いわゆる せん 断 流 を解 析す るに当 た り,
変位法に基づ く有限 要素法を適 用し た研 究 報 告は 見 当た ら ない。
本 論 文は, こ の断面 内の せん断応 力計 算法を変位 法の 手 法で定 式 化し, そ の実 用的計算法 を提 案す る も ので,
その計 算プロ グラムは標準 的な有限要素 変位法の ア ル ゴ リ ズムがそ の ま ま適 用で き容 易に作成す る こと が で き る。 著者はすで にせ ん断 変 形 を考 慮 した は りの曲 げおよ び ね じり解 析 法を提 案し て い るllL12 }。
こ の解析 法は は り全 体の応 力 や変 形が解 析で き るので, は りの3
次元せ ん断 変形 解 析 法とよぶこと ができ よ う。
これに対して本論文 で提 案す る せ ん断 応 力解 析 法は, 断面とい う2
次元面 内 の解
析 法であるの で,
は りの 2次 元せん断変 形解析
法 と し て位置づ け ら れ る。
本 論 文で は, 3次 元せ ん断変形解 析 理 論 より出 発し て, こ れ を2次 元化す ること に よっ て はり断 面 内の せん 断 変 形 解 析 理 論 が 導か れ る こ とを示 す。 そ して,
こ の解 析 理 論に基 づいて せ ん断応 力解析の た め の有 限 要素剛性方程式を導く。 次に,
こ の せん 断 応 力解を利用して, せ ん断変形を考 慮 し た た わみま た はねじ り角 を求め る た めに必要な断面 の有 効せ ん断係 数の実用的 計算法を提 案し,
簡 単な薄 肉 は り断 面 形につ き解 析例を示す。2
: は りの3
次 元せん 断 変 形 理論11,・
12, 著 者は,
初 等は り理 論の材軸方向の変位関 数にWs
と い う項 を付 加 した 次 式の形の変位 関数を提案し てい る。U
(ユ y,Z》; Us(Z}一
(y−
Ye
}θ(2) v(x,y
, x )=
vk )十(x一
エ8)θ(z)w
(コc・
y・z}=
w(z)一
τ垢(z)−
yv99 ) +ω顧工,y )θ ’ (z)+WKx ,
y,
2) 本論文の一
部は,
文 献8),
15)におい て発表し た。 零 広 島 大学 助 教 授・
工 博 (昭 和 61 年 9 月 9 日原稿 受 理 } y 図一
1 ばりの 解析に用い る座 標 系一 37 一
………・
……・
…・
…・
・
…・
……
(1
) 座 標 形は,
図一
1に示 す よ うに断面の図 心を座 標原点と し, 断面の主軸をx,y
座 標, 材 軸 方 向 をz 軸とする直 交座標系である。 Xs, Y。はせ ん断 中 心の x,
y
座 標で あ る。
Us, v。
は せ ん断 中 心 軸の 曲 げた わみ,
ω は断面の 軸方向平均 変 位, θ は断 面のね じ り角で ある。 ま た,
螺 τ,
ω=
ω貳コo, y)−
xys + yx, で an は断 面の 正規化さ れ た ゆ がみ関 数で,
’
は z に関す る常微分を表す。
この 変位 関数に基づ く場 合, 応 力 成 分は次 式で表さ れ る。 a。−E
(
td−
x ・;一
・・z
+ ・・,.…讐
)
t。 。iG
{
(
籌
一
y)
e
’ ・讐
}
勉一
d
(
咎
・・恥
黌
}
…………・
…一 ・
一 ………・
・
(2
) こ の は りの 3次 元せ ん断 変形理論に よれ ば, 変 位 成 分Ws
を求めること に よ り,垂
直応 力につ りあ うせ ん断応 力,
shear−lag
(せ ん断 遅れ)現 象および章
ん断変形の 影 響 を含む変位解が直接求め られ る。3
.
は りの2
次元せ ん断変形理 論いま
,
初等は り理論に よっ て得 られ た応 力につ り合う せ ん 断 応 力 を 求 める問題を考え る。
そ の ためには, 前 節op
3次 元せ ん断変形理
論の変位 関数 (1 )の中
の, 変 位 成 分 w,
Us,
v。,
θ を 既知量 と し,
Ws を未知
攣
とし た定 式 化を行えばよいe 変分は 耽 でとられるの で, は りの 有す るひずみエ ネル ギー
V の変 分は次 式で表 され る。δ…
∫
∬[
E
(
碗 罵一
y・・re
・ a・.
b
〃
+讐
)
・
s
(
∂Ws
∂2)
・ ・隴
一
の
h
・
・讐
}
・(
讐
)
・・
{
(
咎
一
x)
b
・ ・黌
}
・(
讐
)
]
・・d
〃d
・…・
一 …………・
一 …・
一 …
(3 )記
号の上の横線は 既知 量 を 意味する。 本解析 問題は, 与 えられ た2
次元断面内のW
。(x,y
) 分布を求め る問題 で ある の で,
(3 )式の右 辺 第 1項は Z で部分積 分を行っ てお く必 要が あ る。
ま た, 第2項と第 3 項の既 知 変 位に 関 する項は,
部分積分を 施し たの ち飾 の特 性を利用す れば消滅す る。
したがっ て,2
軸曲げと ね じ り変 形 問 題 の 場合の 単 位 長さの は り の有す る δV は次 式で表さ れ る。
・v−
∬
卜
E
←xVs− yiX
・a…ine
)・Ws
・
.
±
,G
(
∂Ws
∂δWe
∂We ∂δ肱 ∂口じ∂ロじ + ∂
y
∂〃
)
]
・珈
N
・
・
・
・
・
・
・
…
一・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…『
・
・
噛
r・
・
…
く4} は り 理論に よ れ ば, x,
y
軸 方 向の横せ ん断 力Vx,
Vv お よび 付 加ね じ・
り モー
メ ン トM
:は変 位 成 分と次式 で 関係づ け ら れ る。
紅
場
瀞
馬=一
嘱卜
一 ・
・
… こ こに,翫,堀 は y,X 軸 まわ りの断 面2次モー
メ ン ト,
瑠 は断 面 ゆ がみモー
メ ン トである。
一
方, 曲 げおよび ね じ り変 形 問 題におい ては,
断 面上 の 肌 に な す外 力の仮 想 仕 事 δω は 0であるこ と を考 慮 すると,
仮 想 仕 事の原 理 δω一
δW=O
よ り,
未知 変位Ws
に関する次のよ うな仮 想 仕 事 方 程 式が得ら れ る。∬
・(
∂四ax
』∂δ
w
. ∂Ws
∂δw
. ∂x + ∂y∂y
)
d
・dy
−
∬
(
罍瞭
・一
夥
嚇)
・w・
dxdy−・
一・
・
…
卩
…
一・
・
・
・
・
…
曾
・
幽
凾
…
凾
幽
一・
(6
>本論 文で提 案す る方 法は
,
初 等は り理論の解 (材 軸 方 向 応 力 ) を 既 知 量と して,
そ れ につ り合うべ き せ ん断応 力 を 変 位 法 有 限 要素法で計算 する方 法,
すな わ ち,
semi−inverse
method を変 位 法で定 式 化す る方 法を提 案し たもの である。 この種の解 析法に関して は, 文献
13
) に解 析 解と有 限 要素 解を重ね合わ せ る方法が す で に提 案 され て い る。
文 献13)の 方 法は,
特 異 点の解 析 関数に 有限要素解 を重ね合わ せて最 終 的に応 力の境 界 条件を満 足 させ よ う と する解 法であ るの に対して,
本論文で提案 す る方 法は, 文 献 13 )の方 法と異なり,
初 等はり理 論 解以 外の無 視されていた応 力 を復 活 させて有 限要素法に よ り応 力のつ り合い条 件 を満 足 させよ うとする解 法であ る と考え る こ とがで きよ う。4.
薄肉は り断 面の2
次 元せ ん断 変 形 解 析 前 節で は,
断 面 形が中実の場合につ いて2
次元せ ん断 変形理論の定 式 化を行っ た が,
建 築 構造部 材と し て重 要 である薄 肉は り断 面の場合は次の よ う に定 式化さ れ る。
ま ず, せん 断 応 力と して は,
薄 肉断面の厚さ方向成 分は 無視で きる の で, 次 式の よ う な薄 肉 中心線 方向s のせ ん断応 力 r。z の み考 慮 すれば よい (図一2
(a)参照)。瑜 一 翫
{
露
・螺
一
G
[
(
讐
一
瑠
・・謝
ダ・響
1
…………・
…・
…・
「
………
(7
) こ こ に, 未知 変位はWs
(8)で ある。
前 節と同様の定 式 化 ns唱
ゆ 節 点 丶ト
!
j
薫
⊥
要 素ii
(a) s−
n 座標 (b) 要 素分 割 図一
2 薄 肉は り断面の線要素に よ るモデル化によ り次式を得る
。
tは薄 肉断面の板厚で あ る。
dWe
d
δ鴎f
G石
一
ds tds==
f
(
Vx
1
M
望tSr
コc+ 」詔
万 野 婦)
tds − ・
一
(・>5.
は り の2
次元せ ん断変形 問題の有 限要棊解析 中実断面の場 合は, 断 面 を三 角 形 要素また は矩 形 要 素 に分割し, 要素 内の Wsの分布を仮定し (6 )式を要 素 節点の 肱 値に関し て離散化す ること に よ り, 要素剛性 方 程 式 を 誘 導す ること がで き る。
こ こで は,
(8
)式に 基づ き薄肉断面の場 合の要 素剛性方程 式を導く。 いま, 図一2
(b
)の よ う に. 薄 肉は り断面を い くつ か の線 要 素に分 割する。
その要 素 内で 肌 が 線 形に変 化 す る もの と仮定す れ ば,Ws
は要 素両 端の 節点値 隅,
鵬 を用い て次式の よ う に表すことがで き る。1
は要 素長さ であ る。
肌 ω
一
(
i−
s
)
w
・+i
w
・一 ・
一 一 一
(9
) ま た,
要素の 中心線の座標x(s),
y(s}お よ び要素 内の a,ns(s>も上式と同様の形に表現で き る。し た がっ て,(9
) 式等を (8
)式に代入 し て要素内で積分 す る と,
次の よ う な要素剛性 方程式が得ら れ る。甼
[
− 1
1・
−1
1
]
撒
・瓷
y、
ly.
,M
摎1
醫一
号
[
ll
]
(
Σ
三
憶
ω鰓 ‘ ω)nsj)
・
………
(1
・〉 こ こ に,
x‘,
yt,
ft」rtStは そ れ ぞ れi
節点の x, y座 標 値お よ び ahO の値であ る。6.
せん 断 流 解 析 例 [1 ] 横せ ん断力を受け る薄 肉 箱 形 断面のせん断 流 解 析14〕 前 節で導い た要素剛性 方程式 (10 )に お い て, 右 辺はVx
の関 係 項の み考慮す ればよい。
図一
3(a)に示 すよ うに,
2 軸対称断面で あるの で, 1/4断 面で解 析で き,
これ を2要素分割し た場合は, 要素 , の剛 性 方 程 式 は, “咢
G
[
1111
]
1
畿
嚠
1
、 こ の二つ の式を重ね合わ せ,
VxO .
01
×5
し6O
」 0り
三
1
]
臣
翌
゜毒
X3惟
…・
・
…
:……・
…・
・
………
(a ) 既=
0より,
8
,。[
3
−
3− 38
]
淵
一基
{
:
:
ll
:
}
・撒
ト
譱
聞
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…一・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(b
) y卜
「 6−
H32
0.
01 1 10V 輔> 0 x X 1己
2.
16 XX 口stfS
)…广
一
6厂
12
0.
01 1 10 齶 Z1 国撃
15 り1N
・ロ 1要 素 分 割
02 要 素分割 x
1
ロ2要 累 分 割 t o4 要 素 分 割一 t一
ト
1 塁寶
呈 (a ) ト 100(V /G匸 } X XX1
一
ZS τ.
引
「1
,
ぞ
,
tfi
〆
β__
H100 (哩
/GI艶
τ sと 懈⊥
』
Hlo (v } X 薄 肉箱 形 断 面 図一
3 H1 〔哩
) (b) 薄 肉H形 断 面 有限 要素法による せ ん断 流 解 析 した がっ て, 要 素 内の せん 断 応 力は,
(7)式の最 後の 項 と (9)式 より,驫一G
禦
1
占菰
一一
・・
47
・Vx
瑠一G
学
譱
一一 33
砺・
……
(c > 図一
3(a)には4要素分 割の場 合の 解 も合わ せて示し た。 これ ら の解は厳 密解1°1 に対し て良い収 束性を示し てい る。 [2 ] 付 加ね じりモー
メ ン トを 受 ける薄 肉H
形 断 面の せ ん断 流 解 析ω こ の場 合は,
(10)式の右 辺は MX のみ考 慮す る。 フ ランジのみ に せ ん断応 力が発 生 する か ら,
片 側フ ランジ の半 分 を1つ の要素で解 析 する場 合は,H
形 断 面の a),tS 分 布6憾 用い て,・°
v
°’[
1−
1− 1
1]
淵
一一
黔
゜き
X5鬪
……一・
…・
……
(・・W
,=O
を適用す る と, 隅=125M
望/G
瑠 と なる。 要 素 内の せん 断 応 力は £=
1.
67M 望と な る。 図一3
(b
)に2
要 素 分 割の解および厳 密 解コ゜)も合わ せて示しておい た。
一
39
一
」
、
1.
41941.
4153一
5°°一
一一 一
跚
= =
=
±
.
219
=
a
.
(a) 要素 分 割・
「色 0.
7944−
0.
3306 1.
1597 0,
フ944一
〇.
3306−
1.
0903 1.
1597一
1.
D903−
0.
7342 0.
1658−
0.
7342 0.
1658 ノ器
L8060等.
8018 1.
92171,
9175.
A
(対 ・5V ,/・y,),
上 段 :本 方 法に よ る解 下 段 :厳密解 L54281,
5386「
.
囲 [3
]一
多室薄肉閉断面のせ ん断流解析 図一4
(a)に示す3
室箱形 薄肉 断面が曲げ を受け る場 合のせ ん断 流 解 析を行っ た。
断 面の上半分の部分 を24
要 素25節点に要素分割し た。 本有限要 素法に よ り得らO
.
Ol
1
[
ゴ
ト
・
− 10−
9
(b) せん 断 応力分布 (τ.) 曲 げ を受ける3室薄肉箱形 断面のせん断流解析1
.
」
一_ _
25
(a)
要素分割1
.
粤
筍
・
’,
・
一
覧
口
,)1
s
、
、 り,
「
一
「
’
,
一
一一 2
次 元せ ん 断変形 解,
勺
一
3
次元せ ん断 変形解(
b
) せん 断 応力
解 図一
S 薄肉箱形断面は り の せ ん断応力,
O解丶
れ た せ ん断 応 九を要素 中心点でプロ ッ ト し,
その値を上 段に示 し た (図一4
(b
))。 下段の値は,
文献5
に説 明さ れて いる方 法で求め た厳 密 解であ る。 ウエ プの部 分で小 さな誤 差が みられ る が,
この 部 分の要素分 割 数を増せば 精 度 を上 げること がで き る。
応力法に比尽れば最終的に 解くべ き未蚰
数の数は多いが,
変位 法に基づ く有 限 要素 法 を 用い て い るの で入 力 デー
タの作 成が容 易であ り,
出 力デー
タも物 理 的 意味が明確であ り,
任意形 の多室 閉断 面の せん断流 解 析に非 常に有 効であ る。[4]
は
e,
の 2次元せん断変形 解析解と3
次元せ ん断 変 形 解 析との比較S〕図
一
5(a>に示す よ うな 先 端に集 中 荷重
を受け る薄 肉 箱 形 断 面 片持は りの曲 げ 問題 を,
前 述の3
次 元せ ん断変 形 解 析 法 と2次 元せ ん断変形 解 析法の2
つ の方法で解析 した。
後者の方 法で は, 断面の 1/4部 分を 8要 素に分割 し, 前 者の方 法で は,
さ らに は りを長さ方 向に 5分 割し た。
図一
5(b.
)に これ らの方 法に よっ て得ら れ た せ ん断 応 力解を 示す。
固 定 端に近い部 分を除き,
2次 元せ ん断 変 形 解は3次 元せ ん断 変 形 解と同一
と な り, 2次元せ ん 断変形 解 析法の有効性を確 認す ること が で き る。
7.
断面 の有効
せ ん断 係 数15, rはり断面の有効せ ん断 係
数
は, 以 下に示す よ うにチモ シェ ン コ は りの曲 げ理 論16)か ら定 義さ れ る 。チモ シェ ン コ は り
瓔
論の 変位関数は次式で与え ら れト
,
る。 こ こ で はly
軸ま わ りの 曲げの場 合で, せ ん断 中心 と 図 心 が一
致す る場 合 を考え て し)る。隠 饗 翻
鵬 = °}
一 ・
・
一
・1・)これ より
,
せ ん断 応 力 Txx はG
(u’
一
φ)で表され断 面内 で一
様 分 布と な る。 実 際のせ ん断応力は断面形に特有の 分 布 形 状 を示 すので,
ひずみエ ネルギー
の レベル で両者 の値が等し く な る ように次 式の よ うに有 効せ ん断係数kx
が導 入さ れ る。kx
∬ム
G
(u’
Tip
)’d
・dy
−
∬
、も
1
扁傭
岫・
…………・
・
(12) こ こ に,
τs。 は単 位の横せ ん断力が作用す る と きのせ ん 断応力分布す な わ ち2 次元せ ん断変形解である。
ここで』
Vr=GhxA
(u’
一
φ}の関係を (12
)式に代入 し,
薄肉 断 面の場 合につ い て 観 の 表 現 式を導く と次の ように な る。
11
h’
;
ny
・k
・ds
=
A
Σ1
・’t
(隅一
曜 ・II………・
・
・
………
(13) この式の最右辺は,5
節で説 明した 有 限 要 素 法で得ら れ た単位のVx
に よ る Wsの節 点 値 表 現であり,
Σ1
は全 要 素に関する総和を表す。
は り の ね じ り問題に お け る断 面の有 効 せ ん 断 係 数 醍 も同様に して以 下の よ う に定 義す ることがで き る。
はり の ね じ り問題の変位関数を次のよ うに お く。
寵
緋 濃 瀞
払 9}=
τθ叫
・
…一 …………・
…一
∵一 ・
(14) これ よ り, せ ん断応力は次式の よ う に表 現さ れる。 ∂ωn TXt−G
(
(
∂x−
y)
et−
y(e
’
− x
)一
(
∂ωn ∂x−
y)
(e
’
− x
)}
t,z− G
{
(咎
・x)
e’
・x(e’
− x
)一
(
∂晦 十コc ∂y)
(び到
…
一・
・
…
(15
) 右辺の 第 1項はサンブ ナン の ね じ り応 力である。 M 望=
G
鳳ち一K
}(θ’
− x
)の関係 を 用い, 曲 げの場 合と同 様に ひずみエ ネル ギー
の式 を補 正 することに よ り,
ね じ りの 場 合の有 効せ ん断 係 数 kzが次 式の形で定 義さ れ る。 こ こ にIp
,K
は断 面の極 2次モー
メ ン ト,
サンブ ナンの ね じ り定 数である。
1
彪=
(・p
一
κ)f
・ktds
−
(、。.
。)Σ1
、≒
儡.1
,,) ・ /、ll
……・
・
……
(・5) た だ し,
薄 肉開断面の場合はIp
》K
であるの で. κ は 無視す るこ と がで き る。
8.
有 効せ ん断 係 数の計 算例 6節で取り上 げた薄 肉 箱 形 断 面とH
形 断 面にっ い て,
衷一
1 断 面の有 効せん 断係 数の解 析 (a)
薄 肉箱 形 断 面(
b
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密 解 そ れ ぞ れ曲 げ有 効せ ん断 係 数hx
と ね じ り有 効せ ん断係 数 観 を (13 ), (15)式 を 用い て計 算を行っ た。 要 素分 割数に対す る解の変化を表一
1に示 す。
表の中の厳 密 解 は,
図一3
に示す せ ん断 応 力の厳 密 解 を 直接 積 分して得 ら れ た値で あ る。
この計 算 結果か ら,
本 方 法により実 用 的な解が得ら れ ること が わか る。
、
9.
結 論、
従 来,
半逆 法 ま たは せん断 流理論に よ り計 算さ れ て い た は り断面のせ ん断応 力解析問題 を, 2次 元せん断 変 形 理論に よ り定 式 化し,
有限 要 素 変位 法 を適 用 して計 算 す る方 法を提案し た。
ま た, こ の解 を利 用する と,
は りの 曲 げおよび ね じ り問題にお ける断面の有効せ ん断 係 数 も 容 易に計算で き ることを示し た。
謝 辞 本 論 文 をま とめる に当た り御 助言い ただき ま した東京 理 科 大 学の川 井 忠彦教授に深く感謝致し ま す。
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In
this paper,
afinit
とelemelltdisplacbment
methodis
applied to the analysisproblem
of shear stressdistribu
・
tions
i
且beam
sections whichhas
been
usually calculatedby
the semi・
inverse
method or the曲earflow
theoryin
.
the
field
of material mechanics.
1
巨s also confirmd that the effective shear coefficie飢s canbe
easily obtainedby
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