1
論 文】UD ¢ :691 ;159
.
9日本建築 学会構 造 系 論 文 報 告 集 第 419 号
・
1991 年 1月Journal ef Strvct
.
Constr.
Engng,
AIJ,
No.
419,
Jan,
,
1991.
建 築 仕
上 げ
材
の
触 覚 的
特
性
に
及
ぼ
す
温 度
の
影 響
に
関
す
る
研 究
・
THE
EFFECT
OF
TEMPERATURE
ON
THE
TACTILE
RESPONSE
・
OFBUILDING
MATERIALS
岡 島 達 雄
* ,呉
健
丹 * * ,堀 越
哲 美
* * * , 河 辺伸
二 * * * * ,武 田
雄
二 * * ** *,志 村 欣
一
** ****I
Tatsuo
』
OKAJIMA
,Jian
−
dOn
WU
,
Tetsumi
H
’
ORIKOSffl
,Shinji
kA
’
WABE
,
’
y
擁
TAKEDA
andKinichi
SJMUR
’
A
The object of this paper is to clarify the effect of temperature on the tact五
le
response of.
building
mater 三als.
.
The tactjle (warmth,
hard冂ess, roughness ,
dryness
, comfort >values of sixty materialswere experimentally
determined
at the temperature oflO,20
and30
℃.
Within the room temperature of 10℃ to 30℃
,
psychological va1 “es ofbardness
, τoughness and
dryness
are constant.
Warmth
values canbe
obtainned』
by
thefollowing
eq’
ttation.
略= 鴎o十〇
、
030 (T −
20)、
圏
’
Where
W7
is
tactile warmth value at T℃,
隅ois
tactile wamth value at 20℃,
and T is the roomtemperature
°
Cl’
・
The ta』tile comfort values can
be
expressedby
thefollowing
’
equation
.
.
A
,=
(− 0.10
T
十2.
0
)WT
十(O.063
T −
0,
63)H7一
ト(−
0.
096 1「十 〇.
96 )R
,Where A,
is
tactile comfort value atT
℃,
貼 is tactile warm しh value atT
℃,
H
τis』
tactile hard・
ness value at T℃,
R,is tactile roughness value at T℃ andT
is
the room temperature ℃.
The
tactiledryness
values canbe
expressedby
thefollowing
equation.
・
正)τ
=
0,
40R20十 〇,
60 1弔〜oWhere
D
, is tactiledryness
value atT
°
C ,
R20
is tactile roughness value at 20℃,
ad
鵬o is tac・
tile warmth value at 20℃
.
KegWOixts
:building
maten’
ats,
tactite・
resPonse,
’酬 力餌 ‘μr8 搬 ‘ε,
Psychological
valuesh
1.
は じめ に 建 築 空間を構 成す るに当たっ て,
建 築 仕 上げ材の選 択 は極めて重要な こ と だ と考え ら れ る。建 築 仕上 げ材に は,
「強 度」や 「耐 久 性 」とん・っ た柳
理 的,
化 学 的,
力 学 的 性 質 だけで な く,
「温か さ」汗 硬さ」,
「気持ち よ さ」とい っ た感覚的性 質も重要な特 性ρ
軌とつ とし て考え られる。
しか し, 人間の感 覚 的 評 価 を 決定 する要 因は複 雑で,
実 体と して と らえに くい。
本研究は建築仕 上げ材の触 覚 的 特 性に及ぼす温 度の影 響を明ら か に す ることを目的と し, 数 十 種の建 築 材 料 を 選び 出し,
各 触 覚 〔温 冷 感,
硬 軟 感,
粗 滑 感,
快・
不 快 感, 乾湿感)「
の特性につ いそ)”
10
, 20,
3b°
C
め 気 温 下 で心 理 実 験 を行い,
それ らを尺 度 化し て,
心 理 量 を求め た。
そ し て,、
気 温に よ る各感覚の変 化と各感 覚 間の相 関 を調べ,
評 価した。 以 上によ り,
建 築 仕上げ 材 料の 選 定 における触 覚の取 扱い を容 易に し,
建物
を設計す る時の 有 効な資 料となる。 建 築 仕 上 げ材の触 感に関する研 究は岡 島ら文1・
21が常 温 で温 冷 感, 硬軟感,
粗 滑感,
乾湿感および 快・
不 快 感の 総 合的評価にっ い て研 究して い る。
気温 に よ る温 冷 感の 変化につ い て は松 井 ら文3 ) 大 釜畑 に よ る報 告が ある。
本論 文の一
部は既に文 献S,
9)に おいて発表し た。
* 名 古 屋工業 大 学 教授・
工博 * * 名 古 屋工業 大 学 大 学 院生・
工修 * * * 名 古屋 工業 大 学 助 教 授・
工博 * ¥ * * (株 )rNAX・
工 博 * * *i* 今 宮工業 高 校 教 諭・
工博 * * 艸 * * (株 }中 部 電 力・
工修Prof
、
of Nagoya Institute of Techno[ogy、
Dr.
Eng.
Graduate
Student of Nagoya lnstitute of Techno【ogy,
Ms.
EngAsseciate Prof
.
o正Nagoya Inst{しute of Technology,
Dr.
Eng.
Research Eng】neer Df INAX Co
.
Ltd,
Dr.
Eng.
Jnstruc亡or of Imamiya Tech皿ical High School
,
Dr.
Eng.
CHUBU
Electric
Power Company Inc、
Ms.
Eng2.
心 理 量の 測定2.1
実験計画 心 理量 を測 定し た の は温 冷 感,
硬 軟 感,
粗 滑 感,
乾 湿 感およ び快・
不 快感の 5感覚で ある。
そ の う ち,
温冷感,
硬 軟 感,
粗 滑 感の 3つ は“
対象か らの刺 激と直 接 対 応し,
そ の他の感 覚か ら の独 立 性が高く.
,
かつ その刺 激に対す る受 容 器との関 係が 比 較 的 明 ら か な もの”
と 言 え る。
そ ういう意 味で こ の 3感 覚を“
基本感覚”
とい うa5} 。 測 定 方法と し て図式評 定尺度法N]] を採用 し た。 本 方 法は, 被 験 者に, 試 料か ら与え ら れ た各々 の 刺 激を,
毎 回, 固定した 2つ の標 準 試 料と比 較さ せて,
受 けた感 覚 の強さを線 分の長さで表さ せ る もの であ る。 ア ンケー
ト用 紙とし て,
快・
不 快感につ い ては図一
1 の よ うな評 定 用 紙 (全 線 分の長さ12cm )を用い る. 温 冷 感にっ いて は,
図一
2の ようなA−B
間8cm ,
線分の 長さ ユ2cm の 評 定 用 紙を 用い た。
A,
B
は 標 準試 料を示 す。 硬 軟 感,
粗 滑 感,
乾湿感につ いて は温 冷 感と同 様な 形 式の用 紙を使っ た。 ま た,
温 冷 感に対して は標 準 試 料 自 体の温 冷感が温 度に よっ て変 動する た め の影 響を調べ る た めに, 標 準試 料な し の快・
不 快 感と同様の方法 を用 い た実験 を 追 加し た。
試料の選定に あ たっ て は, そ れよ り受け
.
る感 覚に偏り が ない よ う, で き る限り建築仕 上 げ材 全 般に わ た るよう 注意し た。 本実験に 用い た試 料 を表一
ltlnに示 す 。 試 料 は表一
2に示す標 準試料お よ び チェ ック試 料 を含めて材 質 別に9
種 類,
合 計66 種類である。
な お, こ れ ら の試 料は すべて その試料名が示す材 料の一
つ のサンプル とし て実験者が 選 んだもの である。
標 準 試 料は そ れ ぞ れ の感 非 需に不快 どち らでもない 1 トー 一 一 一一
→一一
†一一一
一 一
一 非 鵠 に 快 い 2一
3 一一}一
「 4广
一一
一一一
「 r}一
fS 广一一 一
一 ・一
表一
1 試 料 図一
1 快・
不 快 感のアンケー
ト用 紙 材 買 番 号 試 料 名 A 金 属§
言
箏
考
アル ミニ ウム 〔5mm ) ア ル ミニ ウ ム 〔O.
3mm ) ア ル ミニウム 〔:mm ) ア ル ミ ニ ウ ム 【ユmm鹽
AA80 〕 アル ミニ ウム Umm.
AA :30 〕 ステンレ ヌ.
(1mm 〕 ス テ ン レ ス (O:5mm , ス テ ン レ ス (O.
2mm 〕 鯖 B 木 材曾
茸
盞
乙
⇔
鬢
}
き
ラワ ン 杉 柚 槍 (AA80 } 檜 い A30 ) 檜 {塗 装, 槽 【AA80,
塗装 ) 檜 〔AA30,
塗 競 ) ぶ な ぶ な (AA80 ) ぶな (AA30 ) ぶな (孅 〕 ぶ な (AA80,
堕 藾 ) ぶな (AA30,
望厳 ) ハー
ドポー
F インシュレー
ションホー
ド C セ メ ン ト 1曾
巷
ド リ ゾー
ル 木毛 セメ ント板 セ メ ン ト モ ル タ ル 板 ALC 石綿セ メ ン ト板 D 石 材 123 ブラ スチック テ ラ ゾー
テ ラゾー
大 理 石 (荒 播 仕 上 》 大理 石 (水 晒 皀) E ガ ラ ス 陶 磁 器 1彗
含
薈
、8
型 板 ガ ラ ス 〔梨 地 } 型 板 ガ ラス {か すみ } 型 板 ガ ラ ス (っつ れ ) 型 板∬ ラス (石 目 》 透 明板 ガラ ス {3m 皿) 透 明板ガ ラス {5mm ) すり ガ ラス タ イル レ ンガ ク リ ン カー
タ イ ル F 石 膏・
石 灰 石 膏板 G 研プ ラスチック 古 成 樹 胴会
§
勇
アクリ ル板 アクリ ル累吹 付 材 リ シ ン {細 目 ) リ シ ン (荒 目 ) ブラ スチック タ イル ブラ スチ ッ ク タイル (エ ンポス) ブラスチックタイ ル (AA80 〕 ブ ラ ズ チック タ イル (AA30 ) エ ポキシ板 H 繊 帷 12 じゆう た ん 【ウー
ル} じゅう た ん 〔ア ク リル ) じゅう た ん ‘バイ ル織} 【 モ の 他 1234567 9 畳 皷 なめ し皮 ふすま バ・
ンクスキン コル ク くA ) コル ク 【B) ζ ざ 発 泡スチロー
ル板!
1
{ 】 234567 へ B− 一
一 za一
一 一 冷
・
@一 一
一 (∂・
沮一一一
一
t
−一
一
一
一
一
一
一
+一一一一一
十一一一
冷・
一 一
+一 一一
トー
+一一
・
ig− −
fr
− 一一一一 一
セー一
覗
一一
1
− 一一一 一 一 一
トー
†一一一
ta・
図一2
温 冷 感のアンケー
ト用紙 表一
2 標 準試料お よびチェ ック試 料 標 準 資 料 A (冷 硬・
滑 湿) B(温・
軟・
粗 乾》 チェック資料 温 冷 感 A−
6 H−
1 B−
1 硬 軟 感 A−
6 H−.
1 B−・
1 粗 滑 感 A−
6 G−−
4 B−・
上 乾湿 感 A−
6 G−
4 B−・
1 快・
不快感 B−・
1一
2
一
覚でほ ぼ その両 極 端の評 定 値を もつ
2
つ の 試 料で あ り,
被験者の判 断を容易にす る た め の も ので あ る。 ま た チェ ッ ク試料と は,一
回の実 験 中に5
回 同 じ試 料 を呈 示 す ることに よ り, その評 定値の ばら?きか
ら, 各被験者 の評定値の信頼性を 調べ る た め に 用い る試 料で あ る。
実 験は恒 温 恒 湿 室で行っ た
。
主 とし て常 温’
(’
使われる.
建
築 材料とい う・
ことで, 室 内条 件は気温 をそ れぞれ 10 ±0.5
℃,20
±0.
、
5
℃,.
3Q
±.
0.
5
℃ で一
定 (外 気 温は そ れぞ れ 10±2
℃,20
圭2
℃,
’
30
±2
℃ であっ た),
湿 度 を60−
70 % に設定し た。 いずれも試料は恒温恒湿室内に1
日間放置し, 設定し た室内温度に達し た後, 実験
に供 し た.
また,
実験に先立ち,
被 験 者を そ れ ぞ れの環 境に 少しで も順 応さ せ る た め,
30分 間その 実験 室に滞 在さ ぜた。 被験者は年 齢20〜24
歳の名古屋 工業大学建築系 学 生で,
男女 合わせ て 16名であ る。
(既 往の研 究文 1・
2 }に よっ て , 男 女の心 理 量 評価 値は差が ない こ と嫉明ら か で ある。
)実 験は被 験 者の視 線 を 遮っ た状 態で手 掌で試 料 に触 らせ た。
試 料は乱 数 表 を用い てランダムに呈 示さ れ た。一
人の視 験 者が 1回の実 験で 5つ の触 感覚を別々 に 評 価し た。 すな わ ち,
ま ず温 冷の全 試 料を評 価さ せ,
次 に硬 軟の全試 料を,
以 下 粗 滑,
乾湿,
快・
不快感の順に 評 価さ せ た。一
人当たり ユ回の 実験に 要し た 時 間 は約 30分で,
疲 労に関す る申 告 はな かっ た。 2.
2 実 験 結 果 名 感 覚に対する評 定 値は, すべ て ア ンケー
トの線 分の 左 端か ら被 験 者のつ けた印ま での距 離で表し た。 チェ1
ッ ク試 料の各 被 験 者5回の評 定 値の標 準 偏 差の全被 験 者の 平 均 値は温 冷 感 1,
34cm (以 下 単 位 省 略・
),
硬 軟感 ユ.
27,
粗 滑 感1.
15,
乾 湿 感1.
30,
快・
不 快 感1.
42,
ま た各試 料の全 被 験者間の評定値の標準偏 差の平均 値は 温冷 感 1.
92cm、
(以 下 単 位 省 略)硬 軟 感1,
67,
粗 滑感 1.
57,
乾 湿 感1.
72, 快・
不 快 感2.
03であっ た。
そ こ で,
本 研 究で は, チェ ッ ク試 料の評 定 値の標 準 偏 差が,
これ ら5 感の各 試 料の全 被 験 者 間の評 定 値の標 準 偏 差の平 均 値の 最 小 値1.
57 cm を超え る被 験 者の評 定 値を除 外し た。
各 試 料の 評 定 値の代 表 値として 中 央 値 コCtを 用いる。
それ ぞれ の温 度に おける心 理 量の中 位 点Xe を,
被 験 者 の半数が“
温”
,“
軟”
,“
粗”
,“
乾”
と判 断する際の評定 値と し た (快・
不 快 感の中 位 点はど ちら でもない とい う 点で 6cm で あ る)。
.
各 試 料の 心 理 量Z
‘は各 試 料の 瓦 をXe と標準偏 差 σ で基 準 化し, 次の ように求めた。
Z
,;
(X,−
Xe)/σ……・
………・
・
……・
・
…・
(1)実 験 結 果の分 散 分 析を しπとこ ろ
,
快・
不 快,
温 冷,
硬 軟,
粗 滑,
.
乾 湿 感 は,
いずれの室 温におい て も,
各試 料の評 定 値の問には, 個人間のそ れに比べ て,1
%の危 険率で有 意の 差が あ る と判 定され た。
こ の こ と か ら,
本 図式評定尺度 法が上の試 料 を評 価するのに有 効な方 法で あ る と認め ら れ る。、
.
,
3.
触感覚心理量の評 価3,1
各 感 覚 と 温 度各 感 覚ご との温 度に よる影 響 を調べ る ために
分
散 分 析 (乱 塊 法 )EZ)を 行っ た。
そ の結 果は 1% の危 険 率で ,快・
不 快 感 と温 冷 感に は温 度に よる心 理 量に差があるとい え るが,
硬 軟 感,
粗 滑 感,
乾 湿 感は有 意な差が あ る と は言 え な い。
温 度の差による各 感 覚 材 料判断の順 位の
一
致 性 を検 定 し たところ,
温 冷感,
硬 軟 感,
粗 滑 感,
乾 湿 感につ いて は一
致性があるとい え るが, 快・
不 快 感につ い て は順 位 の一
致 性は み られなか っ た。 冷←
% lo℃ 5D,
⇔
温 冷←
t
96 20 ℃ D 5 M ー0 図一3
温 冷 感 中央値 頻度分 布’
(10℃ ) 12国→
招 冷←
% 30 ℃ mo 0 5 59 10 図一
4 温冷感 中央値 頻 度 分 布 (ZO℃ ) 12願→
渦.
図一5
温 冷 感 中 央 値 頻 度 分 布、
(30℃ )’
.
心
理量 温3
2
1
o
1
一
一
2
一
3
●
■ ● o 1’
1 3●
1 813−
1 0 c−
2 21一
}
GFE−
7ノ
父
二
t
01
02
30
滬
度〔
℃〕
図一
6 室 温に よ る温冷感 心 理 量の変 化 以下, 本論で は, 温冷感 をW
, 硬軟感をH
, 粗 滑 感 をR ,
乾湿感 をD ,
快・
不 快 感 をA,
ま た摂 氏に よる 温 度をT
と表す。 ま た,
5感覚の そ れ ぞ れの 記 号に サ フィッ クスの付いた もの は, そのサ フィ ッ クス の温度に お け る感 覚 量 を示す。
例え ば 貼 はT
℃ に お け る 温冷 感, ん。は 20℃ に お ける快・
不 快 感 を 表す もの と す る。 3.
2 温 度による温 冷 感の差 図一
3,
4,
5は温 冷 感 中 央 値 頻 度 分 布 図で ある。
材 料 の温 冷感は,
気 温 が低く な る と,
冷と判 断さ れ る割 合が 増え る。 こ れ は中位点付近の もの で,30
℃ では温と判 断さ れ ていた も の が,10
℃ と下が る につ れて,
冷と判 断さ れ る よ うにな る た めであ る。
図一6
は気温によ る 温冷感心 理 量の変化を そ れ ぞ れの 材 質グルー
プの中か ら1
試料ずつ取り出し,
示 し た も の であ る。図に示す よ うに,
10℃−
30°
C
の温度上昇に よっ てほとんどの材 料の温 冷 感の評 定 値が ほ ぼ同 じ幅で冷か ら温の方 向へ 移 動して いる。 そ こ で,
10℃〜
30℃ の範 囲の気温 τの温 冷 感の評 定 値WT
は20℃ の温 冷 感の評定 値隅D と温度T
(°
C
>の一
次式と して,
次の よ うに表すこと が で き る。
貼=
隅。十 〇.
030(T−
20)…一 …一 …・
……
(2) 上の推 定 式に よ り得ら れ た W,。 と Wl、とそ の測 定 値 との対 応は図一7,8
で あ る。
相関係数 は そ れ ぞ れ0.96
とO.
97で あ り,
高い相関文“} といえる。 こ の ことか ら式 (2)に より,
20℃ 温 冷 感の評 定 値が分かれ ば, 10℃〜30
℃ 温 冷 感の評 定 値 を推 定できることが判 明し た。
4
3
測 ●徭
温 2 ● ● 1 ・o ・ ● 温 3−
2 州 澎゜ ■ ● ●1
推 定値 o ・● 朔 ● ● ● ● 図一
フ 温 冷感の推 定 値と測 定 値 (10℃ ) 3響
温 2 望 1 ● ● イ3
−
2一
1 1 ● 8 .{ 拍 ・ o ● 司 ■ ’ ● ● 8 図一
8 温 冷 感の推 定 値と測 定 値 (30℃ } 温 推 定値 温 31 無 )0
℃ 図一
9 標 準 試 料 有 無による温 冷 感心 理量の相 関 (10℃〉
31
(有〉.
温 2 ●.
.
1 ● ● ■ ●●.
温 3一
2 ● ■ ● ● 朔 ●・・
8
● .° ● ● ●’
朔 ●.
電 憮 ) 3 ● ・8 ● ・ ● ● ● ● 20QC 図一
10 標 準試料 有 無によ る温 冷 感心理 量の相 関 (20℃ ) 3’
侑 ) 温 2 ●.
●1
・
● o ●● ● ● ● ●● ● 温 3
一
21 4 ● ● ●● o ・ 1 0 ● ● ● ● . ● イ 3 (無〉 ● o ● ● ・・.
●・
腎
30
℃印
図一
11 標 準 試 料 有 無による温 冷感 心 理 量の相 関 (30℃ ) 温 冷 感の評 定 値に対 する標 準 試 料の有 無の関 係を図一
9,
10,
11に示す。
いずれ も横 軸が標 準試料無 しの 評 定 値,
縦 軸は標 準試料 有りの評 定 値で あ る。 それぞれの温 度で高い相 関関係を示 している。
分 散 分 析の結 果, 標準 試 料な しの場 合の個 人差は標 準 試 料 ありの場 合の そ れ に 比べて, 相対 的に大き くなっ て はい るが, 温 冷 感につ い て標 準 試 料の有 無によっ て差 が あ る とは言客
ない。 3.
3 温 度による快
・
不 快 感の差3
.
零と同様, 各 材 質グルー
プか ら 1試料を とり,
気 温 に よ る快・
不 快 感の差 を 見て み ると,
そ の傾 向は以 下の よ うにな る。
図一12
の よ うに,
金 属, 石材, ガ ラス, 石膏お よ び タイル は温 度の上 昇に伴っ て, 不快一
快の方 向へ 変化 し,
温 度との 関 係が強い。
’
.
心
理量快
心理
量快
3
図一
12 室 温による快・
不 快 感心 理 量の変 化2
’
1
一
へ \o
1
一
一
2
一
3
\
』
\,
\\
、
\
\
\ \ \覧
\」
\ \、
\ \ H_
31
>
y−・
_
.
。.
△ c_
201
02
30
温度〔℃ 図一
13 室 温に よる快・
不 快 感 心 理 量の変 化 図一
13の よ うに,
木毛セ メン ト板,
じゅ うた ん類は 温 度の上 昇に伴っ て,
快一
不快の方 向へ 移動 した a 図一
ユ4の よ うに,
木 材,
ござな どの材 料は ほ ぼ小さ い幅で変化 している。
”唱
心
曜
快
図一
14 室 温 に よ る快・
不 快 感 心 理 量の変 化 3.
4 快・
不 快感 と他の感覚と 温度一
般 的に建築 仕上 げ材 料の触覚 的性能 と して取 り上げ ら れ るのは 「さ わ り心 地の良さ」で ある。
こ の 「さわ り 心 地の良さ」にもっ と も直 接 的に結びつ く材 料の触 覚 的 特性は快・
不快感であり, こ れ は基 本 感 覚の温 冷 感, 硬 軟感, 粗 滑 感などが総 合され たもの と してと らえる こと がで きる。
筆 者らN7]は,
常 温 (20°
C
)にお け る快・
不快感は硬 軟感と粗 滑 感に よっ てt 表さ れ ること を提案し てい る。 こ こ で は,
こ れを 簡 単に次式IF・
3 )で表す。A
!o=0.
63正匹D− 0.
96RZD’
tt・
・
・
・
・
…
一
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(3) 上の推 定 式に よ り得ら れ た本 研 究20°
C
の快・
不 快 感 の推 定 値 とその測 定 値 との対 応は図一
15で ある。
相 関 係 数は 0.
85で あ り, 高い相 関とい え る。 こ の ことか ら 式 (3 )で 20℃ の 快・
不 快 感の評定値を ほ ぼ 推定で き る と判 断し た。10
℃ の 快・
不快 感 は,
温冷 感との関 係 が 深い ことが 実 験結果か ら推 測され た。
そこ で, 単 純に次の よ うに表 すこと に し た。
A
,。=w
,。・
…………・
…・
…………・
・
………・
…
(4) 式 (4)に よ る 10℃ の快・
不快感の推定値と そ の測 定値と の対応は図一16
で あ る。相関係 数は0,
97
であり,
高い相 関とい え る。 この こと か ら,
式 (4)に よ り,
10
℃ 快・
不 快 感の評 定 値 も推定することができ る と言 え る。
また, 式 (4)は,
式 (2)を代入 する ことにより6 一
糴
3 快 2o ■ ● ● oo ●● o oo ° ・ 謹 ● ・ ●● ●● ● 快 壱 4 . ● ● 1 推定値 ● ○● o ● 朔 ● ●一
● o20
℃一
図一
15 快・
不 快 感の推 定 値と 測定 値 (20℃ )3
推 定値.
o℃ 図一
16 快・
不快感の推 定値と測定値 〔10℃ )測 3
徭
快. ● 2 ● ●
2
。。8
、 ° ・ o 1 ■ o ・ ● 0 01 ● 快一
3 ● を・
も 。 . ・ o ● o ・ ●・ ● ● ● ● ● 朔一
推 定値 唱30
℃ 3 図一
17 快・
不快 感の推 定 値と測 定 値 (30℃ )澄匸o
=
W20−
0.
30・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
∵・
・
・
…
一
齟
・
・
…
一・
一
…
一
(4 )’
と,
20℃ の温 冷感で表示で きる。
1 30℃ にお け る,
』
快・
不 快感 は 温冷感,
硬 軟感,
粗 滑 感の いずれ とも関 係 する と考え ら れ る。 そこ で,
次 式 を 仮 定して,
’
Ar;
(αT十b
)貼 十(cT 十d
)Hr十〔eT 十f
)R,・
:・
…
・・
…………・
……・
・
・
・
・
…
(5 ) A.,
W,,
.
H,,
R,は lodC〜
30°
C
の範囲の温度.
T の時の 各感覚の評定値で あ る。
3.
1 か ら,
温 度に より,
硬 軟 感 と粗 滑 感の 評 定値が変化 し ない 」 そこ で,A
. は20
℃ の評定値で表す と,
.
’
・
AT
= (aT 十t
〕)}1弔ちo十 〇.
030(T−
20)1
十(cT 十〔t}Hio 十(e.
T
十f
)R20tt・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
tt・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(5)’
1 (3 ),
(4 ) t 式 を (5)’
式に代 入して,
次の式が得ら れ た。
AT=
(−
0,
10 T十2.
0)11
聾o十〇.
030(T −
20)1
十(0.
0631「− 0◆
63)Hio
十(− 0.
096
T
十 〇.
96
)Rio
・
…
一・
・
…
7…
7r7
・
…
77・
・
…
77
(5)” 30℃ の時に,
Aao=一
(1
碗o十 〇●
30
)十1,
26
H20− 1.
92
Rzo・
・
…
(6
)式 (6)
.
に より得 ら れ た30℃ の快・
不快感の推定
値 とそ の 測定 値との 対 応は 図一
17 で あ る。
相 関 係 数 は 0.
83で あ り,
高い相関とい え る。
こ のこ と は本研究の 結果に関し て,
(6 )に よ り,30
℃ の快・
不 快 感の評 定 値 を ほ ぼ 推 定する こ とhsiで き る。
3.
5
基本感覚によ.
る乾 湿 感の推 定・
筆 者ら.
N2)は 常 温 (20℃ )に おける,
乾 湿 感は温 冷 感 と粗滑感に よっ て 次 式で表せ る こと を既に提 案 し て い る。
Dzo
;
O.
40 R20十 〇.
601醜o・
・
99・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
1.
一
・
∵鹽
…
(7)
、
式 (7) によ り得られ た本 研 究20℃ の乾 湿 感の推 定 値と その測 定 値 との対 応は図一
18で ある。
相 関係数は 0.
87で あ り,
高い相 関といえ る。 こ の こと は本 研 究の 結 果に関 し て,
式、
(7 )に よ「
り,
』
20℃ の乾湿感の 評 定 値を ほ ぼ推 定す るこ と がで き る。また
,
3.
1 から,
温 度に より,
乾 湿 感の評 定 値が変 化 しな い。
そ こ で,
10℃〜
30『C
の 範 囲 内で乾 湿 感の評 定 値は次の式で表ずこと がで きる。
D,=
O.
40R20十 〇.
60Wze・
・
一・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
t・
・
・
・
・
…
(7)’
4.
触 感 覚心 理 量評価の適合性の検証以上
,
外気 温,
室温,
試料温度が と も に ユ0
℃,2.
0℃ あ るい は30℃ の 建築仕 上 げ材料の触 感覚を,
心 理実験 を す るこ とに よ り 評 価 した,
そ して 10℃ あ るい は30
°
C
の触 感 覚はい ずれ も20QC の温.
冷, 硬 軟お よ び粗 滑の基 本 感 覚 と温 度の関 数 として求め られ ること を確 認 し た。
そこで, こ こで は
1p
°
C
, 20℃ あ るい は30
℃ 以外の 10°
C 〜
30℃ の温度で,
上 記の考え方が成り立つ か否か を検 証 する。
検 証は,
外 気 温,,
室 温お よび試 料 温 度が ]5°
C
と 25℃ につ い て以 下の ような条 件で行う。 実験 は2.
1と 同 じ方 法で 5感 覚に つ い て行っ た。
室 内 条 件は気温 そ れ ぞ れ,15
±0.
5
℃ と25
±0.
5
℃, 湿度を 60−
70% に設定 し た。
被 験 者は年 齢 20−
24歳の名 古 屋 工 業 大 学 建 築系学生で,
男女 合わ せ て 10名で ある.
試 料は表一
1で, その 番 号に○ 印 を 付け たもの 10種 類 を 用い た。
15°
C
と 25℃ の 実 験 結 果を10℃,
20℃ お よ び 30℃ の実 験 結果と比 較して,
分 散 分 析 をし たところ,
温 度の 差に よ る,
10個の 試 料の 硬 軟 感, 粗 滑 感,
、
乾 湿 感の心 理 量の評 定 値は1
%の危険率で有 意な差があるとは言え ない。 測徭
3 乾.
L「
2 ●.
● 1 ● ● ● ● ”.
● 乾3
一
2
朔 ・L
’
丶8
「
・ ●● ・ ●, 擁 1 3 推定値、
● ● ● ■ ● ● ● ● ● o 図一
18 乾 湿 感の推 定 値 と 測 定 値 (20℃ ) 図一
19 温冷感の推定 値と 測定 値図
一20
快・
不 快 感の推 定 値と測 定 値 ま た,
式 (2
)に よ る15
°
C
と25
℃ 時の温 冷 感 臥5 と 肱 と その測 定値との対 応は図一
19である。
相 関 係 数は 0.
97
であ り, 高い相 関と言え る。 さ ら に,
式 (5)”
に よる 15℃ と25
℃ 時の快・
不 快 感Ai5,
ん5 と そ の測 定 値との対 応は図一
20で あ る。
相 関 係 数は 0.
90で あり,
高い相 関と言え る。
以 上,
15℃ と25
℃ の実 験 結果か らも, 本研 究に お ける触 感 覚の評 価が有効であ ること が判 明した。
5.
結 論 外 気 温,
室温,
試 料温度が10°
C
か ら30℃ の範 囲の 建 築 仕上 げ材の触感覚につ い て,
次の ことが言え る。
(1) 硬 軟 感,
粗 滑 感お よ び乾 湿 感の 心 理量は温 度に よっ て変わ らな い。
(2) 温冷 感 心 理 量は,
標 準 試 料の有無に よっ てその値 に影 響 が ない。 (3) 温 度の上昇によっ て温 冷感の心 理 量は温の方 向へ 移 動する。 その関係 は 次のと お りである。
貼=
鵬D十 〇.
030
〔T −
20} (4 )快・
不 快 感の心 理 量は次 式で表さ れ る。AT
= (−
O.
10 T十2.
0)捗佐o十 〇.
030 (T − 20
)} 十(0.
063T−
0.
63)H20十(− 0.
096
T
十 〇.
96)Reo
す な わ ち, 快
・
不 快 感は10℃ の時 , 温冷 感と強い相 関 を示 し,
20℃ の時に,
硬軟感と粗 滑 感に よ り表 現で き て, 30℃ の場 合,
3感 覚の いず れ と も関係してい る。
(5
) 乾 湿 感の心 理 量は次式で表さ れ る。1
)T; 0.
40Rzo十 〇.
60旧匹o (6
> 以 上か ら,IODC〜
30“
C
の 範 囲で の温 冷,
硬 軟,
粗 滑,
快・
不 快 感お よ び乾湿感は20
℃ の温 冷,
硬 軟お よ び粗 滑の 3基 本 感 覚で表示さ れ る。
これ は設 計をする際の材料選択の一
指 標とし て役 立て る8
こと が で き る。
謝 辞 本研 究 を進め るにあ た り,
大きな刺 激 を与え て い た だ い たISO
TC
159SC
5 接触 温 熱環 境 委 員 会 (委 員畏 吉 田あ きら 日本 大 学理 工 学 部 教 授〉 委員の各位に厚 く お礼 申し上げ る。 実 験にあ た り, 被験 者と して貴重な時 間を割い て い ただいた名 古 屋 工 業 大 学の学 生 諸 君に感 謝 す る。 ま た,
卒業 研究と して本 研 究の一
部を担っ て い た だいた伊藤辰彦 (現クポタハ ウス株 式 会 社), 長 谷 川 利 樹 (現中部 電 力 株 式 会 社 )の両 氏に厚く謝 意 を表す る。なお
,
本研究の一
部は文 部省科 学 研 究 費一・
般C
によっ ている。
記して謝 意 を表 する。 注 1) 各 試料の表面状 態を 写真一
1に示す。
2) 分 散 分 析の結 果 を表一
3に示 す。 3> 参 考文 献文7) に よ ると,
快・
不 快 感は硬 軟感と粗 滑感に よっ て次 式で表され るe AtO‘
O.
63 HtO−
0。
96 R20十 〇.
05 本 研 究で は,
こ の常 数 項を省略 して いる。
な お.
,
本 論 と 参考文献は 硬軟感の符 号の取り方 が逆 転し てい る。
表一
3 温 度 差の分散 分 析 感 覚 姻 偏 差 平 方和 自由度 平均平方 不鰯 撒 比 F臼 磁 58,
9 229.
439,
9一
快・
不快感 構事 97,
562 王.
572.
13’
噛
残差 91,
5124O,
74 全 体 248188 釀 2.
76 21.
3821,
9鹽
’
温冷欟 材料 169622.
7243,
3鱒
腿 7.
811240.
063 鮴 179188 磁 工.
26 20.
632.
82 欄 材料 191623,
0713,
9鹽
’
腱 27.
3124O.
22 錐 219188 醜 1.
.
15 20.
582.
41 親渭感 棚 336625.
4222,
6”
腿 29.
81240.
24 全体 36718B 醗 2.
02 21.
013.
25 囓 材料 279624.
5014.
5鹽
’
殲 38,
4 正240.
31 全 体 319 ユ88’
噛
:1% の危険串で有意の差があり-s:FK.,.ISbuza:t・
l,iSlg
eee..l"sAacY,.
-
M-ssss
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Tfi-1artIiFoft[ni81F.E.
/参考 文 献 1) 岡 島 達 雄