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る ほとんどの職種 (34) で 国際大会の前年に開催される全国大会が代表選考会となっている 3 参加資格は大会開催年に満 22 歳以下 ( 製造 職種系 図表 1 技能五輪国際大会の職種 ( アブダビ大会 全 51 職種 ) 職種 自動車工 (36) 自動車板金 (22) 車体塗装 (26) 航空

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技能五輪国際大会アブダビ大会の結果と

今後に向けた戦略

はじめに

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第 44 回技能五輪国際大会アブダビ大会(以 下、アブダビ大会)は昨年 10月14日から19日 までの 6 日間、アブダビ国際展示場(ADNEC) にて開催された。アブダビ大会の選手派遣国は 59 ヵ国、選手数は 1250 名であった。前回の 5 ヵ国、1189 名から約 5%増大し過去最大の 大会となった。エキスパート(競技委員)はほぼ 同数、また通訳も約 400 名で、登録した関係 者だけで 3000 名以上になり、主催者によると 大会期間中 10 万人以上の来場者があったとさ れる。とくに小中学生や高校生など多数訪れた。 日本の製造業、ものづくりへの信頼性を欠く ような不正事件が相次いだ昨年、日本がこれま で輝かしい成績を残してきた技能五輪国際大会 で、選手の活躍が期待された大会であった。残 念ながら結果は前回を下回ることとなった。競 技開始前々日の総会の最後に、日本での技能五 輪国際大会招致につき、厚生労働省の和田純一 審議官が立候補の意思を表明しており、大会で 前回を上回る結果を残して招致に弾みをつけた いところであった。 筆者は 2014 年から技能五輪国際大会の日 本事務局(中央職業能力開発協会)であるワール ドスキルズジャパンの技術代表(競技大会運営 委員会の各国委員)を託されている。本稿では、 技能五輪国際大会の概要と、アブダビ大会の結 果、今後に向けた日本チームとしての戦略につ いて述べたい。 技能五輪国際大会について

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技能五輪国際大会(WorldSkills Competition) は、1971 年以降ほぼ 2 年に一度、ワールドス キルズインターナショナル(WSI:WorldSkills International)〔1〕〔2〕によって開催される、参加 国・地域の職業訓練の振興と参加者の国際親 善・交流を目的とした青年技能者による国際競 技大会である。 この大会は、第 2 次大戦後の技能労働者不 足を背景として、1950 年にスペインの職業青 年団が提唱して隣国ポルトガルとの間で各 12 人の選手が、マドリードで技能を競ったことが 始まりである。年々、参加国数および出場選手 数ともに増加し、青年技能者の祭典として発展 してきた。技能五輪国際大会での職種について は参加者数や開催時の要請により入替わりがあ る。アブダビ大会での職種を図表—1 にまとめ る。49 の公式職種に 2 つのデモンストレーショ ン職種を加え、計 51 職種であった。この他、 1 つのエキシビション職種「水処理技術」(表彰、 公式記録はない)が実施された。 11 月に開催された技能五輪全国大会栃木大 会の職種〔3〕と比べると片方にしかない職種が ある。これについては、日本国独自の技能職 種、技能五輪全国大会以外で選手の選考を行う 職種、日本からはまったく選手を派遣しない職 種(*)が含まれる。選手を派遣しない理由は 競技課題の内容、全国大会とレベルが大きく異 なる場合や、教育訓練システムの違いで、年 齢的に出場できる選手が見込めない場合であ 職業能力開発総合大学校 教授

垣本 映

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る。ほとんどの職種(34)で、国際大会の前年 に開催される全国大会が代表選考会となってい る〔3〕 参加資格は大会開催年に満 22 歳以下(製造 チームチャレンジ、メカトロニクス、情報ネッ トワーク施工および航空機整備については満 25 歳以下)の者である。過去に参加していない 者に限る。 派遣選手は各国・地域で 1 職種に つき 1 名または 1 組(製造チー ムチャレンジは 3 名、メカト ロニクス、移動式ロボット、造 園、コンクリート施工は 2 名)、 競技時間は 15 ~ 22 時間で、 競技日数は 4 日間である。使 用言語は英語である。競技課題 の理解、交渉の対応などに通訳 の同伴が選手とエキスパートの ために認められている。 日本は 1962 年スペインの ヒホンで開催された大会から参 加しており、翌年のアイルラン ド大会の派遣選手選考が、技能 五輪全国大会を開催する契機 となった。これまで日本では 1970 年の東京大会、1985 年 の大阪大会、そして 2007 年の 静岡大会と 3 度開催されてい る。なお、2007 年については 国際アビリンピックも同時開催 されたため、2007 年の静岡大 会はユニバーサル五輪国際大会 とも呼ばれている。また、現在 は上述のように、2023 年の愛 知大会の開催立候補を国が決定 し、アブダビ大会の総会の場で 日本が表明したところである。 アブダビ大会の結果

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中国、ロシアの躍進、ヨーロッパ勢の活躍 が印象的であった。中国は出場を始めてから 4 大会目で韓国を抜いて金メダル、またメダル の獲得数で 1 位となった(図表—2)。中国もロ シアもそれぞれ自国での国際大会、すなわち 2021 年上海大会、2019 年カザン大会の開催 図表—2 成績(金メダルの数) 図表—1 技能五輪国際大会の職種(アブダビ大会、全 51 職種) 職種系 職種 製造・ エンジニアリング ポリメカニクス (12)、機械製図 CAD (25)、CNC 旋盤 (20)、 CNC フライス盤 (22)、製造チームチャレンジ (33)、 試作モデル製作 (11)、プラスティック金型(10)、 構造物鉄工 (13)、溶接 (34)、電子機器組立て (23)、 工場電気設備 (21)、メカトロニクス (74)、 移動式ロボット (50)、産業機器組立て (11) 輸送・ ロジスティクス 自動車工 (36)、自動車板金 (22)、車体塗装 (26)、 *航空機整備 (16)、貨物輸送 (4)、重機メンテナンス (16) 情報通信 IT ネットワークシステム管理 (29)、印刷 (11)、 情報ネットワーク施工 (16)、ウェブデザイン (35)、 ビジネス業務用 IT ソフトウェア・ソリューション (27) 建設・建築 建築大工 (19)、配管 (29)、左官 (19)、*タイル張り (26)、 家具 (29)、建具 (25)、石工 (11)、*れんが積み (30)、 造園 (46)、冷凍空調技術 (23)、電工 (36)、*広告美術 (23)、コンクリート施工 (14) アート・ ファッション 洋裁 (30) 、貴金属装身具 (17)、フラワー装飾 (20)、 グラフィクデザイン (26)、*ビジュアル販売促進 (15)、3D デジタルゲームアート (9) サービス 美容/理容 (33)、ビューティーセラピー (29)、 *看護/介護 (14)、西洋料理 (42)、 レストランサービス (37)、洋菓子製造 (26)、*パン製造 (17) 注:( )内は第 44 回国際大会参加者数。 技能五輪全国大会職種との対応:ポリメカニクス=精密機器組立て、機械製図 CAD =機械製図、CNC 旋盤=旋盤、CNC フライス盤=フライス盤、溶接=電気溶接、試作 モデル製作=木型、貨物輸送と 3D デジタルゲームアートはデモ職種、*は選手を派 遣しなかった職種 順 位 国・地域名 個 数 1 位 中国 15 2 位 スイス 11 3 位 韓国 08 4 位 ブラジル 07 5 位 ロシア 06 6 位 フランス 05 7 位 台湾、オーストリア 04 9 位 日本、フィンランド 03

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を控えており、国をあげて選手強化に取り組ん でいる結果としてこの成果ありといえる。 日本選手は図表—1 のうち(*)を付した職種 を除く 40 職種に参加した。結果は金メダル 3 個、銀メダル 2 個、銅メダル 4 個、敢闘賞 17 個であった。金メダル獲得職種は「情報ネット ワーク施工」(7 連覇)、「製造チームチャレンジ」 (2 連覇)、「メカトロニクス」である。銀メダル 獲得職種は「CNC フライス盤」、「溶接」である。 また銅メダル獲得職種は「移動式ロボット」、「自 動車工」、「IT ネットワークシステム管理」、「プ ラスティック金型」である。金メダルの数で日 本は 9 位となった。前回のサンパウロ大会に 比べると金メダルの数を 2 個減らし、銀メダル、 銅メダルも 1 個ずつ減らしてメダル総数では 4 個減となった。一方、敢闘賞は全体では前回よ り 3 個増やした。前回メダルを獲得していた 職種に多い。生業系の職種では残念なことにメ ダルの獲得がなかった。 アブダビ大会まで日本は 33 大会に出場して 金メダルの数で 1 位を 8 度記録している。最 近では 2005 年のヘルシンキ大会、2007 年の 静岡大会である。1999 年のモントリオール大 会以降、サンパウロ大会までライプチヒ大会(4 位)を除き 3 位以内を確保してきた。しかし、 今回はこれまでの最低 8 位(第 34 回ザンクト ガレン大会)を下回り、史上最低の 9 位となっ た。総メダル数でも 9 位(前大会 5 位)、また 総メダルポイント数でも 9 位(前大会 6 位)、 平均メダルポイントでは 13 位(前大会 8 位)と 大きく後退した。 ここで、メダルポイントとは金 4 点、銀 3 点、 銅 2 点、敢闘賞 1 点として換算し合計したポ イントのことである。メダル獲得はその職種で の選手の卓越を示すが、メダルポイントは参加 選手数に比例した技能の総力であり、その平均 は参加した選手の平均的なレベルを示している といえる。したがって、平均メダルポイントが 下がったことは、参加した選手全体として参加 国の中で相対的な得点が下がったことを意味し ていると考えられる。 成績低下の要因

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本原稿の執筆時点では、大会に参加した各職 種のエキスパートからのアンケート結果の整理 や、総括検討委員会(5. 参照)が進行中である。 したがって、大会前や大会中に確認できた職種 に限定される情報ではあるが、考えられる要因 を 5 つあげる。 ① インフラリスト(大会組織が提供する部材、 機材)の変更、競技課題の変更、度重なるス ケジュールの変更 ほとんどの職種で、インフラリストの準備状 況に関して言えば、少なくともここ 10 年内で 最低の大会であったと思われる。部材や機材が そろわず、競技課題をキャンセル、また変更し た職種が多数あった。また、競技日初日の実施 が不可となった職種もあった。 ② 外部作成競技課題の増加 前大会 6 職種から今大会 28 職種で外部作成 競技課題を取り入れた。事前公開とする競技課 題では公開時期が遅く訓練する時間が十分とれ ない職種があった。 ③ 競技課題の内容 国際大会の競技課題がもともと全国大会の 競技課題とかい離している職種に限らず②の点 もあり、多くの職種で課題内容の差が広がった といえる。 ④ 通訳抽選制 今大会からすべての職種において、通訳の抽 選制(不正防止のため大会 4 ヵ月前にくじで職 種を変更する)が導入された。製造系 15 職種 からすべての職種へ拡大となり、十分な事前訓 練ができなかった職種もあった。また、専門的 な知識の欠如から、誤訳につながったケースも 一部聞かれた。 ⑤ 選手、エキスパートの対応力、適応力不足 これまで、事前公開された課題は繰り返し練 習して技能を高めるといった課題が中心であっ た。外部作成課題など、実際の仕事の中で求め られる課題、それまで培った技能を問う課題に 変わってきている職種に対しては、対応力が欠

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如していたのではないかという意見があった。 これまでの選手強化策

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ワールドスキルズジャパンの選手強化策に ついてはどうなっているのか。実は、4 年前の ライプチヒ大会の結果を受けて、同年、日本が 好成績を得るために今後どうして行くべきか、 長年、国際大会での選手の訓練に関わられた専 門家やエキスパート経験者を委員とした検討会 を開いた。その結果が報告書にまとめられてい る〔4〕。以下の 5 点が提言された。 ① 全国大会の競技課題を国際大会の競技課題 の内容、レベルともに上回るものとする ② 日本代表選出から国際大会までの訓練期間 を長く取れるよう、全国大会を早期に開催する ③ エキスパートの経験、知識を、所属の壁を 越えて継承していけるよう文書化する。ま た、エキスパートが国際大会で活躍し、課題 作成など採点など積極的に関わるような能 力を高めるなど、コーチ、通訳それぞれに選 手の支援体制を見直す ④ 国際大会のノウハウを蓄積する ⑤ チームジャパンの結束力を向上する 提言がまとめられた翌年のサンパウロ大会 では金メダルの数で 3 位となり、メダルの総 数も 1 個増えて 13 個となった。通訳抽選制が 15 の製造業系職種で取り入れられ、結果が懸 念されたが、一部の職種を除き大きく影響され ることはなかった。しかし、提言の実施状況や 達成度の管理など、そのときのエキスパートや 所属企業、一部業界の技能五輪専門家に任され たままであった。 この頃から、ワールドスキルズにも動きが あった。参加国、参加選手の増加を踏まえて、 競技規則の改正が進められた。競技大会運営組 織の改編、通訳抽選制の全職種への展開、競技 課題の外部作成の促進、外部評価者の導入、エ キスパートへの事前研修の義務化、罰則の強化 など、透明性・公平性を推進する取組みである。 こうした状況を踏まえ、ワールドスキルズ ジャパン(中央職業能力開発協会)では昨年度か ら新たな選手強化の仕組みを取り入れた。図 表—3 に示す選手強化委員会のスキームであ る。左側半分は次期代表選手が選考されるまで、 右側半分はその後大会終了までの体制を示す。 選手を選考する全国大会まで総括検討委員会を 本部に立ち上げ、かつ職種ごとに職種別検討委 員会をサンパウロ大会参加選手の所属団体を主 に拠点として立ち上げることとした。 総括検討委員会は日本チーム全体の総括、選 手強化戦略 ・ 訓練計画の方針の策定、各職種エ キスパートの認定を行い、職種別検討委員会で は職種ごとの選手強化訓練計画の策定、エキス パート養成計画等を策定する。ここには全国大 会の競技委員に加え、エキスパートも加わり、 エキスパートのノウハウが継承されるプラット フォームとなる。 代表選手の決定以降は、総括検討委員会が総 括実行委員会に、また職種別検討委員会が職種 別実行委員会にそれぞれ移行し、選手強化訓練 計画の進捗管理等を行う。 昨年の総括検討委員会では以下の 8 つの戦 略が打ち出された。 ① 重点職種を選定し、メダル獲得を目指し、 重点的に強化する。選手、エキスパート、通 訳には海外での競技会を経験させる ② 国際大会の訓練に専念できる環境の確保を 行う。生業系職種については、業界団体を通 じて支援する ③ 勝つための競技のポイントの分析を徹底的 に行う。また、エキスパート、コーチ、選手 それぞれが持つべきノウハウを収集し、その 徹底を図る ④ エキスパートの能力向上を図る ⑤ 通訳の能力要件を現状の逐次通訳から見直 す。通訳については、大会ごとに能力を評価 し(実績をポイント化し評価)、国際大会に適 した能力の高い通訳の確保に必要なデータ を蓄積する。専門用語対訳リストを作成し、 それを使用させることにより誤訳の減少に 努める

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⑥ 選考会を兼ねる技能五輪全国大会の競技課 題を、技能五輪国際大会にできるだけ合わせ ることとする。全国大会で絞り込み、選考会 で代表選手を選考する場合は、選考会の競技 課題は国際大会と完全に合わせることとする ⑦ 将来的に国際大会の時期に合わせ、訓練期 間を確保するため全国大会の日程を調整で きるようにする ⑧ 日本の技能、職業訓練、および職業能力評 価システムの国際標準化のため、重要国や新 規参加国などに対して、(国際大会のトレー ニング等を通じた)人材育成に積極的に取り 組む ①については、日本から派遣する 40 職種の うち、16 の職種を重点職種として認定し、そ の助成を利用して 13 の職種で海外の競技会、

技能五輪国際大会出場選手強化委員会について

中央職業能力開発協会 第43回 国際大会出場選手 所属機関 第44回 国際大会出場選手 所属機関 職種別検討委員会 職種別実行委員会 〔実施事項〕 ・第43回国際大会の総括 ・強化戦略の検討(重点強化職種の選定を 含む) ・強化訓練計画の方針・骨子の策定 ・各職種の選手強化訓練計画の審査および 指導(計画変更命令を含む) ・各参加職種のエキスパートの選任および 養成計画の策定 ・エキスパートの派遣交流対象職種の選定 〔実施事項〕 ・第43回国際大会の職種別総括 ・職種別強化戦略の検討 ・具体的な選手強化訓練計画の策定 ・具体的なエキスパート養成計画の策定 ・総括検討委員会への報告および総括検討 委員会の指導等を受けた対応 〔実施事項〕 ・選手強化訓練計画に基づく具体的な実施 計画の策定および選手の育成強化 ・エキスパート養成計画に基づく具体的な 実施計画の策定およびエキスパートの養成 ・総括実行委員会への報告および総括実行 委員会の指導等を受けた対応 〔実施事項〕 ・強化訓練の実施状況の評価および指導 ・その他必要な事項 ・全体的な戦略の提示 ・強化訓練計画の方針の提示 ・国際大会関係情報の提供 ・各種指示、指導等 ・戦略、計画案 の提出 ・各種報告等 ・各種  報告等 ・必要に応じ関係情報の提供 ・各種指示、指導等 総括検討委員会 総括実行委員会 移行 移行 図表—3  技能五輪国際大会 選手強化委員会〔5〕

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フレンドリーマッチに参加した。結果として、 海外での競技会経験を積むとともに、アブダビ 大会に参加予定の国の選手やエキスパート、ま た運営に携わる予定の職種競技マネージャや チーフエキスパートと知り合い、コミュニケー ションをとりやすい関係を築くことができた。 ④についてはエキスパート基礎編(ワールドス キルズの基礎知識)、応用編(採点の基礎知識)、 通訳活用の仕方、メンタルトレーニング、さら にワールドスキルズから義務化されたアクセス プログラムの内容など、多数の研修を実施した。 ⑤については 3 社から TOEIC 900 点以上で ウィスパリング対応可能な通訳が選定された。 この選手強化委員会の仕組みの中で、エキ スパートの意識、能力が高まるとともに、チー ムジャパンとしての一体感を醸成できたと考え る。職種間のつながりも支えとなろう。 今後の戦略

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選手強化委員会の取組みは、今回が初めての 実施であり、たとえばエキスパート向けの通訳 の活用法の研修にしても 1 回 12 時間を 2 回な ど、十分実施できていたとは言いがたい。次期 大会に向けての戦略は、この仕組みの着実な実 施を第一としてあげたい。さらに、以下の点が あげられる。 ① 海外競技大会の参加については適切なタイ ミングで参加するよう訓練計画に織り込む ② 通訳については国際大会経験者を増やして 候補者を認証することとし、リザーブする ③ 日本の選手は企業所属がほとんどである。 エキスパートが毎回変わらざるを得ない職 種が約半分と多い。どの企業が代表選手派遣 となった場合にも対応できるよう、国際大会 に関するエキスパート研修を受講した者を 増やしリザーブする 今回は準備状況が最低ともいえる異例の大 会であったが、これも踏まえた戦略として次の 点を加えたい。 ④ 訓練の中に選手にとって不測の事態を取り 入れる ⑤ 通訳に頼り切るのでなく課題を推測できる 英語力を選手につけてもらう。そのため、ま ず TOEIC などで自分の現在値を把握しても らう ⑥ 選手選考を前年度でなく、可能なものは 前々年度に行い、訓練期間を確保する。すで に CNC 旋盤、CNC フライス盤に関し、かね て全国大会の課題と国際大会の課題のかい 離が問題となっていたことを受けて、前々年 度に候補者を 5 名ずつ選び、次年度 CNC を 用いた課題で最終選考することとなった。5 名の選考が栃木大会で実施されている ⑦ 日本が得意な職種を立ち上げる、または再 導入する。現在、ロシア、フランス、韓国が 産業用ロボットを用いた職種の立上げを検 討している。ロシアのパートナーはドイツの KUKA、フランスのパートナーはファナック である。産業用ロボット生産台数世界 1 位 だった日本にとり、期待できる職種になりう る。また今大会で、曲げ板金職種が選手数の 不足により公式職種から外れた。もともと日 本がメダルを獲得していた職種である。この 再導入に日本も協力することが考えられる ⑧ 最後に、国際大会招致の成功を見据えて、 2023 年大会で活躍できる人材を早くから発 掘することが考えられる。出場時の年齢制限 は 22 歳であるから、今の 16 歳までが対象 である。中学生を対象としたジュニアスキル 大会などを実施して強化選手を選ぶことが 考えられる おわりに

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技能五輪国際大会の概要、また 10 月に開 催された技能五輪国際大会アブダビ大会の結 果、ワールドスキルズジャパンによる選手強化 策と、今後の戦略についてまとめた。愛知大 会の招致については約 1 年後に正式立候補し、 2019 年カザン大会にて決定する。中国、ロシ アの躍進、韓国の活躍は日本選手が上位に入る

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うえで、大きな壁であるとして、従来から得意 とする職種での捲土重来を期待したい。 ■参考文献 〔1〕 ワールドスキルズインターナショナル http://www.worldskills.org 〔2〕 中央職業能力開発協会技能五輪国際大会のページ http://www.javada.or.jp/jigyou/gino/kokusai/index. html 〔3〕 岡部眞幸:技能五輪全国大会の実施状況と現状分析, プラントエンジニア 8 月号,日本プラントメンテナンス 協会,pp.43-51,2017 〔4〕 技能五輪国際大会の成績を踏まえた人材育成のあり方 の検討委員会:「技能五輪国際大会の成績を踏まえた人材 育成のあり方の検討委員会報告書」,中央職業能力開発協 会,2014 http://www.javada.or.jp/jigyou/gino/kokusai/42_ kentou_houkokusyo.pdf (2017.12.5 アクセス) 〔5〕 技能五輪国際大会出場選手強化総括検討委員会:「技能 五輪国際大会出場選手強化総括検討委員会報告書」,中央 職業能力開発協会,2016 ■著者プロフィール 垣本 映 〈資料請求番号−303〉 1990 年 東京大学大学院工学系研究科精密機械工学専攻博士課程修了。工学博士。現在、 職業能力開発総合大学校教授(能力開発院 新成長分野系 福祉ユニット)。精密工学会、 ライフサポート学会等に所属。2013 年技能五輪技術委員長、2014 年から技能五輪国 際大会技術代表

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