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本誌に関する問合せ先みずほ総合研究所 調査本部アジア調査部シンガポール駐在小林公司 * 本資料は情報提供のみを目的として作成されたものであり 商品の勧誘を目的としたものではありません また 当社が信頼で

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2010 年 4 月 5 日発行

インド農村における購買力・消費の実態

~依然として低水準、今後の拡大も緩慢な可能性

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本誌に関する問合せ先 みずほ総合研究所㈱ 調査本部 アジア調査部 シンガポール駐在 小林公司 ℡ +65-6416-0353 E-mail koji.kobayashi@mizuho-cb.com *本資料は情報提供のみを目的として作成されたものであり、商品の勧誘を目的としたものではありま せん。また、当社が信頼できると判断した各種データに基づき作成されておりますが、その正確性、 確実性を保証するものではありません。本資料に記載された内容は予告なしに変更されることがあり ます。

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要旨

1. 現状、インドの人口の 7 割が農村に居住する。今後、インドは中国を追い抜き世界最 大の人口大国となるが、都市化の進む中国と異なり、インドの人口の大部分は農村に 留まる見通しだ。このため、インドの消費動向を分析する際には、農村消費に注目す る必要がある。 2. 消費者の購買力については、インドの一人当たり名目GDPは拡大しているが、国際 的には依然として低水準に留まる。インド国内では、特に農村の水準が低く、農村と 都市との格差も拡大傾向にある。 所得サーベイ調査によると、インドの全世帯の3 分の 2 が、1 人・1 日当たり 1USド ル以下の「貧困層」に属する(05 年度)。「貧困層」のほとんどは、農村で農業に従事 する世帯とみられる。 消費サーベイ調査をみても、インドの農村では、1 人・1 日当たり 1USドル以下の消 費を行う者がほとんどだ(06 年度)。 3. 農村の購買力・消費が抑制されている背景には、雇用の問題がある。まず、雇用の絶 対量が不足している。90 年代以降に実質GDP成長率は趨勢的に高まったにも関わら ず、人口増加に見合う雇用が創出されなかったため、農村を中心に失業率は上昇した。 また、雇用の中身についても、農村雇用のほとんどは所得水準の低い農業に留まって おり、二次・三次産業への雇用シフトは緩慢である。ITやコールセンター等におけ る雇用増加は、都市を中心とした部分的な現象だった。 4. インドの雇用問題の背景には、厳格な雇用規制や外資導入の遅れなどで、雇用機会が 十分に創出されないという構造要因がある。特に農村では、教育水準が都市よりも低 いことから、農業よりも所得の高い産業への就職は困難だ。 5. 農村政策の切り札として、マンモハン・シン政権は、公共事業を通じた雇用創出 (NREGS)に取り組んでいる。この政策は、農村の底辺層に貴重な収入をもたらし、 安価な商品に対する農村消費を刺激する効果があったと一定の評価ができる。 6. 一方で、NREGS による安易な雇用保障は、農業から二次・三次産業への雇用シフトを 阻害する副作用もある。さらに、シン政権は雇用規制緩和や外資誘致といった改革を 進めておらず、教育予算の拡充も緩慢だ。農村の購買力・消費を持続的にテコ入れす る政策に関して、取組は不十分といえよう。 7. インドの経済統計は整備が遅れており、データ入手の制約は大きい。こうした中で、 本稿は可能な限り多くのデータに当たり、農村消費の動向を分析した。この結果、農 村の購買力は都市よりも拡大が遅れており、消費も低水準に留まる実態が確認できた。 この背景にある雇用問題に対して、シン政権の取組が不十分な現状から判断すると、 今後も農村の購買力・消費の拡大は緩慢に進むとの見方を本稿では提示したい。 (調査本部 アジア調査部 シンガポール駐在 小林公司)

(4)

目次

1.

はじめに ... 1

2.

農村購買力の現状 ... 3

(1) マクロ指標によるアプローチ ... 3 (2) サーベイ調査によるアプローチ ... 6

3.

農村消費の現状... 9

(1) サーベイ調査によるアプローチ ... 9 (2) 消費関連産業からのアプローチ ... 12

4.

農村の購買力・消費拡大を阻む要因と、政府の農村政策 ... 16

(1) 農村の購買力・消費拡大を阻む要因 ... 16 (2) 政府の農村政策 ... 19

5.

農村消費の今後の方向性 ... 21

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図表目次

図表 1 今後 10 年程度に有望な事業展開先(09 年調査) ... 1 図表 2 インドを有望とする理由 (09 年調査) ... 1 図表 3 農村人口比率(各国比較)... 2 図表 4 合計特殊出生率と農村人口比率 (インド、州別) ... 2 図表 5 農村人口比率(インド VS 中国)... 3 図表 6 一人当たり名目GDP (国別、08 年) ... 4 図表 7 一人当たり名目GDP (インド vs 中国)... 4 図表 8 一人当たり名目GDPと農村人口比率(州別)... 5 図表 9 インドと中国の州・省別一人当たり名目GDP格差 ... 6 図表 10 世帯年収階層別の世帯数分布(全国、01 年度価格) ... 7 図表 11 世帯年収階層別の耐久財普及率(全国、01 年度) ... 7 図表 12 職業別の平均世帯年収、世帯数(農村・都市別) ... 8 図表 13 1 人・1 日当たり消費支出の階層別人口(農村・都市別、06 年度) ... 9 図表 14 1 人・1 日当たり消費支出の階層別人口(農村・都市別、04 年度→06 年度の 増減) ... 10 図表 15 食費/消費支出(農村・都市別、06 年度) ... 11 図表 16 耐久財消費/消費支出(農村・都市別、06 年度) ... 11 図表 17 実質GDP、民間消費 (全国、前年比)... 12 図表 18 民間消費の費目別前年比寄与度 (全国)... 12 図表 19 自動車販売台数(全国)... 14 図表 20 携帯電話の新規契約件数 (農村・都市別)... 15 図表 21 携帯電話普及率(農村・都市別)... 15 図表 22 失業率と実質GDP成長率 (全国)... 16 図表 23 失業率(農村・都市別)... 16 図表 24 産業別の就業者数構成(農村)... 17 図表 25 労働生産性... 17 図表 26 アジア諸国の識字率... 18 図表 27 識字率と農村人口比率(州別)... 18 図表 28 NREGS の効果(08 年度、試算)... 20 図表 29 NREGS の対象(08 年度、試算)... 20 図表 30 McKinsey による世帯年収階層別の人口分布予測(2000 年価格) ... 22

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1. はじめに 2008 年のリーマン・ショック以降、先進国経済が緩慢に推移する中で、経済新興国の インドに対する関心が高まっている。国際協力銀行が日系製造業を対象として09 年に実 施したアンケート調査によると、「今後 10 年程度に有望な事業展開先」として、インド は中国に肉薄する第 2 位となり、第 3 位のロシアとブラジルには大差をつけていた(図 表1)。 今後、インドの人口は増加を続け、2025~30 年にかけて中国を抜いて世界最大となり、 2050 年には 17 億人に迫ると見込まれている(国連予測)。こうした人口増加を背景に、 インドを有望視する理由としては、国内市場の成長性が圧倒的に多い(図表 2)。インド の消費市場に対する期待の大きさが伺われるといえよう。 図表 1 今後 10 年程度に有望な事業展開先 (09 年調査) 図表 2 インドを有望とする理由 (09 年調査) 0 20 40 60 80 100 中 国 イ ン ド ロ シ ア ブ ラ ジ ル ベ ト ナ ム タ イ イ ン ド ネ シ ア 米 国 南 ア フ リ カ メ キ シ コ マ レ ー シ ア (得票率、%) 0 20 40 60 80 100 優 秀 な 人 材 (得票率、%) 現 地 マー ケ ト の 今 後 の 成 長 性 安 価 な 労 働 力 組 立 メー カー へ の 供 給 拠 点 と し て 現 地 マー ケ ト の 現 状 規 模 (注)調査対象は、製造業で海外現地法人を 3 社以 上(うち、生産拠点 1 社以上を含む)有する企 業。回答企業数は 625 社(複数回答)。 (資料)国際協力銀行「海外直接投資アンケート」 (2009 年) (注) 回答企業数は 275 社(複数回答)。 (資料)国際協力銀行「海外直接投資アンケート」 (2009 年) しかし、インドの人口が世界一になるといっても、国土の広さや複雑な社会階層等を 背景として、インドの消費者は多様なセグメントに分かれる。このため、インドの消費 市場を一括りに捉えるのではなく、主だったセグメントについて理解することが肝要で ある。 本稿では、インドの消費市場を農村と都市に分類して、特に農村の消費に焦点を当て る。インド政府の統計では、①人口(5 千人以上)、人口密度(400 人/k ㎡以上)、経済活 動(75%以上の男性就業者が農業以外の産業に従事)の 3 基準について、全てを満たす

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地域が都市と定義され、それ以外の地域は農村に分類される。かつ、②全ての地方自治 機関所在地も都市と定義される1 国勢調査のデータは古く、01 年までしか判らないが、インドの総人口 10.3 億人のうち、 農村人口比率は72%(7.4 億人)、都市人口比率は 28%(2.9 億人)だった。インドの人 口分布の特徴は、他の新興国に比べて農村人口比率が高いことである(図表3)。 今後のインドの人口増加を地域別に予想する際には、以下の点に注目する必要がある。 第一に、人口の多い農村で合計特殊出生率(TFR)2が高い傾向にあることだ(図表4)。 例えば、ビハール州とウッタルプラデシュ州では、01 年時点で合計人口が 2.5 億人(総 人口の 4 分の 1)であり、2.5 億人のうち 8~9 割は農村に居住する。そして、両州のT FRは99~01 年時点で 4 を超え、全国平均の 3.2 を上回っている。 第二に、インドでは農村から都市への人口移動が不活発なことだ。人口移動を疎外す る要因について、現地エコノミストからヒアリングしたところ、①地域ごとに言語が異 なること、②交通インフラの整備が遅れていること、③都市の生活コストは高い一方で、 ある程度の教育水準でないと生活コストを賄える職業に就くことが難しいこと、といっ た意見が聞かれた。 図表 3 農村人口比率(各国比較) 図表 4 合計特殊出生率と農村人口比率 (インド、州別) 0 20 40 60 80 100 ベ ト ナ ム イ ン ド タ イ 中 国 イ ド ネ シ ア マ レ ー シ ア 日 本 シロ ア 韓 国 ブラ ジ ル (%) 40 50 60 70 80 90 100 0 2 4 6 (農村人口比率、01年、%) (合計特殊出生率、1999~2001年) ※円の直径は01年の人口を示す。 ウッタルプラデシュ ビハール 傾向線 (注)2000 年時点。

(資料)国連“ World Urbanization Prospects: The 2007 Revision Population Database”

(注)01 年の国勢調査に基づき、2 千万人以上の人 口を有する 17 の「主要州」をプロット。「主 要州」の定義は、統計・計画実施省に拠る。 (資料)Office of the Registrar General & Census

Commissioner, India“Population Projections for India and States 2001-2026”

1 McKinsey(2007) 、 Office of the Registrar General & Census Commissioner, India

(http://www.censusindia.gov.in/Metadata/Metada.htm#2b)。

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以上より、インドでは農村ほど多くの子供が産まれ、農村から都市への人口移動も不 活発なことから、2050 年にかけて人口分布の重点は農村に残ると見込まれている。国連 によると、インドの農村人口比率は2040 年まで 50%超が続き、50 年時点でも 45%と予 測される。中国のそれは2015 年頃に 50%を割り、50 年には 27%まで低下することに比 べると、インドの都市化のペースは緩慢である(図表5)。 図表 5 農村人口比率(インド VS 中国) 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 1950 2000 50 (%) インド 中国 (年) (注)2005 年までは推定値、それ以降は予測値。

(資料)国連“World Urbanization Prospects: The 2007 Revision”

このように、インドは中国を追い抜き世界最大の人口大国となるが、都市化の進む中 国と異なり、インドの人口の大部分は農村に留まる。このため、消費市場としてのイン ドを分析するためには、農村の消費実態に注目することが重要なのである。 本稿では、農村購買力の現状(第2節)、農村消費の現状(第3節)、農村の購買力・ 消費拡大を抑制する要因と政府の農村政策(第4節)について分析する。以上を踏まえ て、本稿の最後では、農村消費の今後の方向性について展望する(第5節)。 2. 農村購買力の現状 (1) マクロ指標によるアプローチ まず、国際比較の容易な一人当たり名目GDP(市場為替レート換算)を用いて、全 国平均の購買力をみる。08 年時点で、インドの一人当たり名目GDPは 1061USドルで あり、アジアの中ではベトナム(1041USドル)と同程度である(図表 6)。 インドと中国を比較すると、両者は90 年頃までは同水準だった。その後、90 年代初頭 に中国が改革・開放政策に取り組み始めた頃から、中国のリードが目立つようになった。 中国が1000USドルに達したのは 2000 年頃であり、インドよりも 10 年程度先行してい

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た。08 年時点では、中国は 3292USドルとインドの3倍である(図表 7)。中国と比べ ると、インドの一人当たり名目GDPは拡大ペースが鈍く、水準も低いことが浮き彫り となっている。 図表 6 一人当たり名目GDP (国別、08 年) 図表 7 一人当たり名目GDP (インド vs 中国)

0

5,000

10,000

15,000

20,000

ベ ト ナ ム イ ン ド フ ィ リ ピ ン イ ン ド ネ シ ア 中 国 タ イ マ レ ー シ ア 韓 国

(USドル)

0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 1980 90 2000 08 (USドル) (年) 中国 インド

(資料)国連“National Accounts Main Aggregates Database”

(資料)国連“National Accounts Main Aggregates Database” また、各国の物価水準の違いを加味した購買力平価で換算すると、08 年時点でインド の一人当たり名目GDPは2780USドルである3。これに対し、中国は5970USドルで、 インドに対する倍率は 2 倍である。インドの物価が中国よりも低いことを反映して、市 場為替レートによる換算よりも倍率は低めになるが、中国がインドを上回る関係に変わ りはない。

近年、BOP(Bottom of the Pyramid)と呼ばれる経済的貧困層を対象としたビジネ

スが注目を集めているが、購買力平価換算で一人当たり年間所得が3000USドル以下を BOPという4。この定義をあてはめると、中国の一人当たり名目GDPは経済的貧困層 を抜け出す一方、インドのそれは依然として貧困層に留まっていることになる。 次に、インドの地域別一人当たり名目GDPをみると、農村人口比率が高い州ほど小 さい傾向が認められる(図表8)。07 年度時点で、特に貧しい州はビハール州(1.2 万ル ピー≒300USドル5)とウッタルプラデシュ州(1.8 万ルピー≒450USドル)であり、 3 IMF“WEO Database”に拠る。 4 国際金融公社、及び世界資源研究所の定義。詳細は Hammond et al.(2007)。なお、本パラグラフの記 述は塚越(2010)を参考にした。 5 換算レートは、07 年度平均の 1 ドル≒40 ルピー。

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北朝鮮(07 年、601USドル)をも下回る。かつ、両州の人口だけで総人口の 4 分の 1 に達し(01 年)、全国平均の一人当たり名目GDPを押し下げる方向に作用している。 図表 8 一人当たり名目GDPと農村人口比率(州別)

40

50

60

70

80

90

100

0

1

2

3

4

5

6

7

(農村人口比率、01年、%) (一人当たり名目GDP、07年度、万ルピー) ビハール ウッタルプラデシュ ※円の直径は01年の人口を示す 傾向線 (注)01 年の国勢調査に基づき、2 千万人以上の人口を有する 17 の「主要州」 をプロット。「主要州」の定義は、統計・計画実施省に拠る。 (資料)CEIC、Office of the Registrar General & Census Commissioner,

India(2006) “Population Projections for India and States 2001-2026”

それでは、一人当たり名目GDPの州別格差に関して、時系列推移はどうであろうか。 Barro and Sala-i-Martin(1995)等の手法に基づき、各州の一人当たり名目GDPにつ いて格差指標を計測した。なお、比較対象として、中国の省別一人当たりGDPについ ても格差の計測を行った。 この結果、①所得格差としてはインドの各州よりも中国の各省ごとのほうが大きいも のの、②所得格差の方向としては中国では縮小し始めているのに対し、インドは拡大を 続けていることが伺われた(図表 9)6。インドでは、都市化の進んだ豊かな地域がます ます豊かになり、相対的に貧しい農村地域は取り残されているとみられる。 6 Wu(2008)も、インドと中国の地域別所得格差について同様の結論を得ている。劉(2009)も、所得 ではなく消費水準について中国の地域格差を分析し、格差は依然として大きいものの、06 年以降は格差 拡大に歯止めが掛かりつつあるとしている。

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図表 9 インドと中国の州・省別一人当たり名目GDP格差 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 2000 01 02 03 04 05 06 07 (分散) (年) 格 差 大 ↑ ↓ 格 差 小 中国 インド (注)1)東郷(2000)に従い、格差指標は以下の式で算出。なお、y は1人当 たり名目GDP、i は州・省、t は各年、nは州・省の数、μは log(y)の各 州・省平均 2) インドは 2 千万人以上の人口を有する 17 の「主要州」、中国は 31 の省 および直轄市 (資料)CEIC を基にみずほ総合研究所作成。 (2) サーベイ調査によるアプローチ インドの個人所得に関する代表的なサーベイ調査は、国立応用経済研究所(National Council for Applied Economic Research 、 NCAER ) の 「 家 計 市 場 調 査 ( Market Information Survey of Household、MISH)」である。MISH は 30 万世帯をサンプルと

し、インドの全世帯の所得動向を推計する。直近の調査実施年は 04 年度と少し古いが、 世帯所得のおおまかな動向を把握することが可能である。 MISH により世帯年収別の世帯数分布をみると、インド全体では世帯年収 9 万ルピー 以下(01 年度価格)の階層が最も多く、05 年度(実績見込)は 1 億 3 千万世帯だった。 この階層をNCAER は「貧困層(Deprived)」と定義しており、全世帯数の 65%に相当 する。次いで、同9~20 万ルピーの「希望層(Aspires)」75 千万世帯、同 20~100 万 ルピーの「中間層(Middle Class)」が 2 千万世帯だった(図表 10)。 さらに、時系列の世帯数変化をみると、95 年度から 05 年度にかけて、「希望層」が+ 2 千万世帯、「中間層」が+1 千万世帯の増加、「貧困層」も微増していた。所得を増やす 世帯がある一方で、総世帯の過半を占める「貧困層」の絶対数の削減は進まなかった8 7 「希望層」が、いわゆる「新中間層」に相当する。 8 ドイツ銀行は、インドの中間層は依然として最大の階層にはなっていないと結論している(Saxena (2010))。

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図表 10 世帯年収階層別の世帯数分布(全国、01 年度価格) 0 20 40 60 80 100 120 140 ~9万ルピー 「貧困層」 9~20万ルピー 「希望層」 20~100万ルピー 「中間層」 100万ルピー~ 「富裕層」 2005年度(実績見込) 2001年度 1995年度 (100万世帯)

(資料)国立応用経済研究所(2005)“The Great Indian Market”

各階層の購買力を検討すると、「貧困層」の世帯年収(9 万ルピー以下)は、市場為替 レート換算で2 千USドル以下9、1 人・1 日当たりでは 1USドル以下10に相当する。こ の程度の所得だと、耐久財を購入する余裕はほとんどない(図表11)。同様に、「希望層」 は世帯年収で2 千~4 千USドル、1 人・1 日当たり 1~3USドルに相当する。オートバ イやカラーテレビ、冷蔵庫といった耐久財にようやく手が届き始めるレベルである。エ アコンや自動車を購入し始める世帯は、「中間層」(世帯年収4 千~2 万 2 千USドル、1 人・1 日当たり 3~13USドル相当)以上に限定される。 図表 11 世帯年収階層別の耐久財普及率(全国、01 年度) 0 20 40 60 80 100 ~9万ルピー 「貧困層」 9~20万ルピー 「希望層」 20~100万ルピー 「中間層」 100万ルピー~ 「富裕層」 (%) オートバイ カラーテレビ 冷蔵庫 エアコン 自動車

(資料)国立応用経済研究所(2005)“The Great Indian Market”

9 換算レートは、01~09 年平均の 1 ドル≒45 ルピー。

10 05 年度の平均世帯人員数は、農村が 4.9 人、都市が 4.3 人(統計・計画実施省調べ)。これを、05 年の

農村・都市人口比率(Registrar General & Census Commissioner による見込値)で加重平均すると、

(13)

それでは、職業別にみた農村の所得階層分布はどうなっているのか。NCAER の Shukla (2009)によると、世帯の主要な稼ぎ手が従事する職業別にみた場合、農村では自営農 業世帯が5 千 8 百万世帯、小作農を中心とする肉体労働世帯が 5 千 2 百万世帯にのぼり、 両者だけで農村世帯の8 割を占める(図表 12)。自営農業世帯の平均世帯年収は 5 万ルピ ーで、肉体労働世帯のそれは3 万ルピーに過ぎず、いずれも 9 万ルピー以下の「貧困層」 に該当する。農村で平均世帯年収が 9 万ルピーを超えるのは給与所得世帯のみであり、 その世帯数は15 万世帯に留まる。 図表 12 職業別の平均世帯年収、世帯数(農村・都市別) 0 2 4 6 8 10 12 14 (世帯平均年収、万ルピー) 肉体労働 自営農業 自 営 非 農 業 給 与 所 得 給 与 所 得 自 営 非 農 業 52 58 16 15 23 19 農村の世帯 都市の世帯 (世帯数、百万世帯) (資料)Shukla(2009) 対照的に、都市の給与所得世帯と自営非農業世帯は平均年収が11 万ルピーを超え、そ の合計は4 千 2 百万世帯である。したがって、MISH で増加が確認される「希望層」や、 それよりも上位の所得階層は、都市の給与所得世帯や自営業世帯が中心と考えられる。 農村の給与所得世帯も都市並みの所得を得ているが、その世帯数は限定的だ。農村にお いては、ほとんどの世帯が農業に従事しており、都市世帯の半分以下の所得を得ている に過ぎない。 購買力に関する分析を整理すると、インドの一人当たり名目GDPは拡大しているが、 国際的には依然として低水準である。地域別では、農村人口比率の高い州ほど一人当た り名目GDPが低く、しかも農村と都市との格差は拡大傾向にある。特に農村ほど、購 買力の拡大は緩慢なことが伺われる。 サーベイ調査をみると、「希望層」や「中間層」の世帯数が増える一方で、総世帯の過 半を占める「貧困層」も微増していた。「貧困層」の所得は 1 人・1 日当たり 1USドル 以下であり、耐久財を購入する余裕はない。こうした貧困層のほとんどは、農村で農業 に従事する世帯と考えられる。

(14)

3. 農村消費の現状

(1) サーベイ調査によるアプローチ

インドの個人消費に関する代表的統計は、統計・計画実施省の「全国標本調査」 (National Sample Survey、NSS)だ。NSSは、1~10 万世帯をサンプルとして毎

年調査を行い、消費支出額に応じて農村・都市の全人口を 12 階層ずつ(計 24 階層)に 分類して推計する。両地域の消費支出階層は、地域別の消費格差を勘案して区切り方が 異なる。農村の場合、1 人・1 日「0~8 ルピー」から、「39 ルピー以上」までの 12 階層 である11 最新の06 年度調査によると、農村では 1 人・1 日当たり「23~30 ルピー」の支出階層 が最も多く、1 億 2 千万人にのぼる(図表 13)。また、農村の最上位支出階層は「39 ル ピー以上」であるから、1USドル≒45 ルピーで換算とすると、農村人口のほとんどが 1 日1USドル以下の消費階層となる。 都市では、同「37~46 ルピー」の支出階層が最も多く、3 千 2 百万人である。同様に 1USドル≒45 ルピーで換算すると、1 日 1USドル以上の消費を行うのは「37~46 ル ピー」よりも上位の階層が中心であり、都市には7 千 4 百万人が存在する。 図表 13 1 人・1 日当たり消費支出の階層別人口(農村・都市別、06 年度) 0 20 40 60 80 100 120 0-8農 村 8-9農 村 0-11都 市       9-11農 村 11-12農 村 11-13都 市       12-14農 村 14-15農 村 13-16都 市       15-17農 村 16-19都 市       17-19農 村 19-23都 市       19-23農 村 23-26都 市       23-30農 村 26-31都 市       31-37都 市       30-39農 村 39-  農 村 37-46都 市       46-63都 市       63-85都 市       85- 都 市       (100万人) (消費支出階層、ルピー) 農村 都市 (注)1)横軸の数値は、各階層の消費支出額を示す(月額で公表される消費支出額を日額換算)。 2)消費支出は名目値 3)農村・都市の 12 階層区分を組み合わせ、24 階層の人口を図示。 (資料)統計・計画実施省「全国標本調査」 11 月額で公表される区分を日額換算した(以下、同じ)。

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消費支出の階層別人口について、時系列変化をみると、農村・都市ともに支出階層の 低い層で人口が減少し、高い層では増加する傾向がみられる。ただし、農村の最底辺に ある「0~8 ルピー」及び「8~9 ルピー」の階層については、減少幅が小幅に留まる(図 表14)。このことは、第 2 節の所得に関する分析で確認したように、農村における底辺層 の圧縮が緩慢なことを伺わせる。 図表 14 1 人・1 日当たり消費支出の階層別人口(農村・都市別、04 年度→06 年度の増減) ▲ 30 ▲ 20 ▲ 10 0 10 20 30 40 0-8農 村 8-9農 村 0-1 1都 市       9-11農 村 11-12農 村 11-1 3都 市       12-14農 村 14-15農 村 13-1 6都 市       15-17農 村 16-1 9都 市       17-19農 村 19-2 3都 市       19-23農 村 23-2 6都 市       23-30農 村 26-3 1都 市       31-3 7都 市       30-39農 村 39-  農 村 37-4 6都 市       46-6 3都 市       63-8 5都 市       85- 都 市       農村(04年度→06年度の増減) 都市(〃) (100万人) (消費支出階層、ルピー) (注)図表13 の注参照 (資料)統計・計画実施省「全国標本調査」 消費支出の構成をみると、消費支出水準の低い階層ほど、食費の支出割合(エンゲル 係数)が高い傾向にある。都市と農村を比較しても、支出階層ごとのエンゲル係数はほ ぼ同水準である。消費水準の最も低い階層では、いずれの地域とも 60%程度にある(図 表15)。 農村・都市ともにエンゲル係数は同水準であるが、その意味は異なるようだ。NSS では、農家による農産物の自家消費も、市場価格に換算して消費支出にカウントするか らだ。したがって、同じエンゲル係数でも、農村の場合は自家消費による部分が多く、 都市の場合は金銭の支払いを伴う部分が多いと考えられる。特に、支出階層の底辺では エンゲル係数が 60%程度なため、農村の底辺層では消費全体に占める自給自足的な割合 が高く、都市の底辺層ほどには貨幣経済に晒されていないとみられる。 耐久財消費については、消費全体に占める割合が高まるのは農村・都市ともに最上位 の支出階層に限定される。農村では1 人・1 日「30~39 ルピー」以上の階層、都市では 同「46~63 ルピー」以上の階層から耐久財消費支出の割合が顕著に高まる(図表 16)12 12 都市では、農村よりも消費支出階層の高い段階になって、ようやく耐久財消費の割合が高まる。この背

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図表 15 食費/消費支出(農村・都市別、06 年度) 0 10 20 30 40 50 60 70 0-8農 村 8-9農 村 0-11都 市       9-11農 村 11-12農 村 11-13都 市       12-14農 村 14-15農 村 13-16都 市       15-17農 村 16-19都 市       17-19農 村 19-23都 市       19-23農 村 23-26都 市       23-30農 村 26-31都 市       31-37都 市       30-39農 村 39-  農 村 37-46都 市       46-63都 市       63-85都 市       85- 都 市       農村 都市 (%) (消費支出階層、ルピー) (注)図表13 の注参照 (資料)統計・計画実施省「全国標本調査」 図表 16 耐久財消費/消費支出(農村・都市別、06 年度) 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0-8農 村 8-9農 村 0-11都 市       9-11農 村 11-12農 村 11-13都 市       12-14農 村 14-15農 村 13-16都 市       15-17農 村 16-19都 市       17-19農 村 19-23都 市       19-23農 村 23-26都 市       23-30農 村 26-31都 市       31-37都 市       30-39農 村 39-  農 村 37-46都 市       46-63都 市       63-85都 市       85- 都 市       農村 都市 (%) (消費支出階層、ルピー) (注)図表13 の注参照 (資料)統計・計画実施省「全国標本調査」 景には、都市では家賃や交通費、教育費といった非耐久財の支出割合が高いという事情がある。都市に おいて、都市ならではの生活コストがかかるため、最上位階層以外は耐久財購入費を捻出することが容 易ではない。

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(2) 消費関連産業からのアプローチ NSSの調査結果は06 年度までしか公表されておらず、その後の消費動向を詳細に示 すデータは存在しない。 ここで、06 年度以降のインド経済の全体像を振り返ると、実質GDP成長率は 07 年度 に3 年連続となる+9%成長を遂げたものの、08 年度にはリーマン・ショック等で+6.7% まで減速し、09 年度も 4~12 月平均で+6.7%で推移している。実質GDPのうち民間消 費は、07 年度+9.8%、08 年度+6.8%、09 年度(4~12 月平均)+3.5%だった。09 年 度に実質GDP成長率は財政支出の拡大によって支えられたが、民間消費の伸びは成長 率を下回った(図表17)。 民間消費については、08 年度まで大まかな費目別の内訳が公表されている。民間消費 全体の変化率に対する各費目の寄与度をみると、08 年度は「食品」、「衣類」といった分 野で寄与度の縮小が目立った。これに対し、「交通・通信」は寄与度を高めて消費全体の 減速に歯止めを掛けていた(図表 18)。「交通・通信」のなかでも、自動車購入等の“交 通”の寄与度は横ばいだったが、“通信”の寄与度が顕著に高まった。携帯電話関連の支 出が拡大していた模様である。 09 年度の民間消費については、自動車販売台数は回復し、携帯電話契約数も伸び続け たことから、引き続き「交通・通信」は堅調だったとみられる。その他の費目について は、関連指標の整備が遅れているため詳細は明らかでないが、消費全体の停滞は「交通・ 通信」以外の弱さを反映していると考えられる。 図表 17 実質GDP、民間消費 (全国、前年比) 図表 18 民間消費の費目別前年比寄与度 (全国) 0 2 4 6 8 10 12 07 08 09 民間消費 GDP (前年比、%) (年/期) ▲ 0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 食 品 衣 類 家 賃 ・ 光 熱 家 具 ・ 家 電 医 療 交 通 ・ 通 信 教 養 ・ 娯 楽 そ の 他 2007年度 08年度 (%ポイント) (資料)CEIC (資料)統計・計画実施省

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以上が近年の消費動向に関する全体像だが、農村消費はどのように展開してきたのだ ろうか。以下では、消費関連の主要産業に関する現地でのヒアリング情報と、業界統計 によって農村消費にアプローチを試みる。

①FMCG 業界

FMCG(Fast Moving Consumer Goods)業界とは、シャンプーや歯磨き粉といった 日用品業界である。この業界は、所得水準の低いインドでは代表的な消費財産業として 注目されている。 現地でヒアリングしたA社は、小分けして価格を抑えた商品を販売するなどして、農 村の低所得者マーケットに浸透している。09 年末時点で、A社の販売の 45%が農村向け であり、55%が都市向けである。安価な日用品という商品の性質上、リーマン・ショッ クの影響は農村・都市ともに軽微だった。特に農村では、09 年に歴史的な干ばつが発生 して農業生産に悪影響がみられたものの、現政権が06 年度から導入した全国農村雇用保

障計画(National Rural Employment Guarantee Scheme、NREGS)13等の農村政策が

奏功し 、農村販売は堅調に推移した。 A社は今後、農村マーケットの開拓を続けると同時に、相対的に所得水準の高い都市 のマーケットにも二正面作戦を仕掛ける方針だ。農村向けに安価な小分け商品を販売す る一方で、都市を対象にアンチ・エージングや美白クリームといった高付加価値商品の 販売に取り組むという。低価格品が主体の農村マーケットに比べて、都市のマーケット は収益性の点で期待ができるということだろう。 ②自動車業界 自動車販売台数は、08 年 9 月のリーマン・ショック直後に急減したが、早くも 09 年 初には底打ちした(図表19)。当時の状況を現地大手自動車メーカーのB社にヒアリング したところ、リーマン・ショック直後は都市で悪影響が大きかったのに対し、農村の販 売は堅調に推移したという。都市では金融やIT等の給与所得者がローンを組んで自動 車を購入するのが一般的だったが、世界的な金融危機の余波でインドでも貸し渋り的な 現象が発生し、販売が苦戦した。これに対し、農村では、ある程度のキャッシュを持っ た地主が購買層のため、貸し渋りの影響は現れにくかった。結果的に、B社の国内販売 に占める農村のシェアは、08 年の 12%から 09 年は 15%に上昇した。 09 年末時点で、金融危機の悪影響は緩和され、B社の都市販売も回復している。B社の 今後の戦略としては、農村販売にも力を入れるが、引き続き都市の販売にも力を入れる とのことだった。農村の住民は、一般にローンの収入条件を満たすことが難しく、かつ 十分な資産を持っていないので、一部の地主階層を除いて購買層としては想定できない 13 NREGS の詳細は第 4 節(2)で記述。

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との見解が聞かれた14。自動車販売の主要マーケットとしては、依然として都市に期待し ているようだ。 図表 19 自動車販売台数(全国) 0 5 10 15 20 25 30 2008/1 09/1 10/1(年/月) (万台) (注)乗用車及び商用車。原数値。 (資料)CEIC ③携帯電話業界 インドの携帯電話市場は、09 年末時点で累計契約件数が 5 億件に達した。インドの統 計では、契約件数とは契約者情報を記録したSIM(Subscriber Identity Module)カー

ドの販売枚数を意味する15。筆者がヒアリングした携帯電話事業大手のC社によると、契 約の9 割がプリペイド型で、プリペイドのSIMカードは 150 ルピー(3USドル16)で 販売している。SIMカードを別売りの端末に装てんすることで通話が可能となり、カ メラ機能のない基本的な端末であれば 900 ルピー程度(20USドル)から販売されてい る。 09 年以降、1秒当たり1パイサ(約 2 銭)といった通話料の引き下げ競争が事業者間で 勃発し、契約の拡大に弾みがついている。このところの新規契約件数は市場全体で毎月1 ~2 千万件のペースが続いており、この中には初めてSIMカードを購入するケースもあ れば、安価な事業者に乗り換える目的等でSIMカードを買い増すケースも含まれる17 14 インドでは、農村と都市の格差だけでなく、農村の内部にも格差が存在する。すなわち、農村には一握 りの富裕な地主階層が存在する一方で、一般的な自作農・小作人の所得水準は低い。後者の方が圧倒的 に多いため、図表12 に示されるように、平均的な農業所得は低水準である。 15 したがって、契約件数は端末台数とは一致しない。後述のSIMカードを買い増すケースを考慮すると、 端末台数は契約件数を下回るとみられる。 16 換算レートは 1USドル≒45 ルピー。 17 SIMカードを買い増す場合、既存の端末を使ってSIMカードを差し替えるだけであることから、端 末を新たに購入する必要はない。プリペイド契約が一般的なので、SIMカードを何枚保有しても月額 基本料が追加的に発生することはない。実際に、インドの都市では、1人で複数のSIMカードを保有

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地域別に新規契約件数をみると、農村・都市ともに拡大傾向にあるが、都市のほうが 農村をほぼ一貫して上回っている(図表20)。これを反映して、農村と都市では普及率(= 累計契約件数/人口)の格差が拡大しており、09 年 9 月時点で農村の 17%に対し、都市 は 95%である(図表 21)。この背景としては、①通話料・端末価格が先進国の基準から すると安価とはいえ、農村のインド人にとっては依然として手が届きにくいこと、②都 市では携帯が個人のツールとなっているのに対し、農村では普及の遅れた固定電話の代 替物として、1世帯当たり1台が普及の目安になっていることなどが指摘されている18 図表 20 携帯電話の新規契約件数 (農村・都市別) 図表 21 携帯電話普及率(農村・都市別) 0 5 10 15 20 25 30 35 2007 08 09 都市 農村 (100万台) (年) 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 08/7-9 09/1-3 7-9 都市 農村 (%) (年/期) (注)原数値

(資料)Telecom Regulatory Authority of India (2008、2010)

(注)普及率=累計契約件数/人口

(資料)Telecom Regulatory Authority of India (2008、2010) 消費に関する分析をまとめると、06 年度時点で、インドの農村では 1 日 1USドル以 下の消費を行う者がほとんどである。1 日 1USドル以上の消費は、都市を中心に全人口 の7%程度に過ぎない。時系列変化をみると、農村・都市ともに消費者の支出は総じて増 加傾向にあるが、農村の底辺層では増加ペースが緩慢だった。 近年では、08 年のリーマン・ショック以降にインド全体の消費が停滞した。こうした 中で、農村では政府の雇用保障政策(NREGS)でカネが回るようになり、比較的安価な 日用品の農村消費は支えられているようだ。しかし、自動車購入は農村でも一部の地主 層に限られ、携帯電話契約は依然として都市を中心に拡大している。「最近の農村消費は 堅調」との見方もあるが、安価な日用品の消費が中心であり、自動車など耐久消費財の 購入は一部の富裕層に限られた行動とみられる。 するケースが珍しくない。

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4. 農村の購買力・消費拡大を阻む要因と、政府の農村政策 (1) 農村の購買力・消費拡大を阻む要因 これまでにみたように、農村の購買力と消費は依然として低水準であり、拡大ペース も緩やかである。それでは、購買力・消費の基礎となる雇用情勢は、どのようになって いるのだろうか。 まず、インドの全国的な雇用情勢を概観する。インドの包括的な雇用統計は、消費と 同様にNSSであり、04 年度まで調査結果が公表されている。これによると、インド全 体の労働力人口は99~04 年度に年率+2.8%、就業者数は同+2.6%だった。労働力人口 よりも就業者数の増加率が低かったため、失業率は99 年度の 7.3%から 04 年度は 8.3% にまで上昇した。90 年代以降に実質GDP成長率は趨勢的に高まったにも関わらず、人 口増加に見合う雇用が創出されなかったため、失業率は上昇したことになる(図表22)。 NSSの他に、組織部門(公共部門、及び民間部門のうち従業員10 人以上の事業所) に限った雇用統計もある。99~04 年度に、組織部門雇用は年率▲1.1%だった。したがっ て、この期間にインド全体の雇用が同+2.6%だったことは、専ら非組織部門の雇用増加 に依存していたことになる。零細な非組織部門の所得水準は、組織部門よりも低いこと が容易に想像される。 図表 22 失業率と実質GDP成長率 (全国) 図表 23 失業率(農村・都市別) 0 2 4 6 8 10 12 1977 83 93 99 2004 失業率 実質GDP成長率(年率) (%) (年度) 0 2 4 6 8 10 12 1977 83 93 99 2004 農村 都市 (%) (年度) (注)失業率は調査日時点ベース (資料)統計・計画実施省「全国標本調査」、計画 委員会“Databook for DCH”、インド準備 銀行 (注)失業率は調査日時点ベース (資料)統計・計画実施省「全国標本調査」、計画 委員会“Databook for DCH”、インド財務 省“Economic Survey2030-10”

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次に、農村の雇用情勢をみる。農村の失業率は04 年に 8.2%で、都市の 8.3%とほぼ同 じだった。ただし、90 年代以降に都市の失業率は 8%前後で横ばいなのに対し、農村で は5%台から 8%台へと上昇している(図表 23)。インド全体の雇用悪化は、主に農村の 状況を反映している。近年はIT企業やコールセンター等での雇用増加が報じられてい たが、都市を中心とする部分的な動きとみられる。 農村就業者数の内訳を産業別にみると、農業のシェアは93 年度の 78%から、04 年度 は73%へと 5 ポイント低下した(図表 24)。同期間のGDPに占める農業のシェアは、 27%から 18%へと 10 ポイント近く低下したことに比べると、農業から他産業への雇用 シフトは緩慢である。 農業の雇用圧縮が進まなかった一方で、農業の付加価値は伸び悩んだことから、農業 の労働生産性(一人当たり付加価値)は 93 年度から 04 年度にかけて横ばいだった。こ のことは、農業従事者の所得が停滞したことを示唆する。これに対し、非農業分野では 労働生産性が緩やかに上昇し、農業従事者と非農業従事者との所得格差は広がったとみ られる(図表25)。 図表 24 産業別の就業者数構成(農村) 図表 25 労働生産性 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 04 99 93 (年度) (%) 農業 製造 建設 流通 運輸 サービス 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 1993 1999 2004 農業 非農業 (万ルピー) (年度) (資料)統計・計画実施省「全国標本調査」 (資料)計画委員会 “Databook for DCH” 失業率の上昇が示すように、インドでは人口に比して雇用の絶対量が不足している。 雇用の中身についても、一部のITやコールセンターといった組織部門を除き、ほとん どが所得水準の低い非組織部門(主に農業)に集中している。これらの結果、農村を中 心として、インド全体の購買力・消費が抑制されていると考えられる。 こうした雇用問題の背景には、様々な構造要因が指摘できる。例えば、企業は雇用規

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制に直面している。事業所規模が100 人以上になると規制が厳しくなることから19、従業 員数が100 人に近づくと、企業は雇用拡大に慎重になるとの見方がある20。また、インド 政府は国内産業育成の観点から、外資優遇政策を採用していない。このため、中国をは じめとする東アジア諸国が辿ってきた「外資誘致→輸出拡大→雇用創出」といった発展 パターンは、インドでは生じ難い。そして、個人には読み書きのできない者が多く(図 表26)、教育水準が低いと賃金の高い職業に就くことは困難である。特に、農村では都市 よりも識字率が低く(図表27)、このことが第二次・三次産業への雇用シフトを阻害して いるとみられる21 したがって、購買力・消費を拡大させるためには、雇用機会を創出する必要があり、 その手段としては雇用規制の緩和や、外資の積極的な誘致などが課題となる。特に農村 では、所得水準の低い農業から、第二次・三次産業への雇用シフトを促すことが重要で あり、そのためには教育水準の向上が求められる。 図表 26 アジア諸国の識字率 図表 27 識字率と農村人口比率(州別) 0 20 40 60 80 100 イ ン ド ベ ト ナ ム イ ン ド ネ シ ア マ レ ー シ ア 中 国 フ リ ピ ン タ イ (%) 40 50 60 70 80 90 100 40 60 80 100 (農村人口比率、01年、%) (識字率、01年、%) ※円の直径は01年の人口を示す。 (注)ベトナムは99 年、それ以外の国は 07 年。 (資料)総務省「世界の統計」 (注)01 年の国勢調査に基づき、2 千万人以上の人 口を有する17 の「主要州」をプロット。

( 資 料 ) 計 画 委 員 会 、Office of the Registrar General & Census Commissioner, India (2006 ) “ Population Projections for India and States 2001-2026”

19 解雇やレイオフ、事業所閉鎖に際して、州政府の許可が必要となる(太田(2006))。

20 Krueger(2009)など。

21 Eswaran et al.(2009)など。また、絵所(2008)は、インドの労働市場が教育水準によって階層化され、

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(2) 政府の農村政策 04 年の総選挙で、国民会議派を中核とする統一進歩同盟(UPA)が、インド人民党 (BJP)を中心とする連立政権に勝利し、マンモハン・シンを首班とする現政権が成 立した。政権交代の背景には、BJP連立政権が経済構造改革を推進し、経済成長に一 定の成果を上げたものの、雇用の拡大といった成果を有権者に浸透できなかったことが ある22。特に、所得水準の低い農村の不満は強く、大票田の農村で支持を失ったことがB JPの敗因になった23 こうした文脈のなかで、シン政権は「万人が成果を享受できる経済成長(Inclusive Growth)」をスローガンに、人口の集中する農村のテコ入れに取り組んでいる。まず、 06 年に公表した第 11 次 5 か年計画(07~11 年度対象)では、経済成長率を+10%、農 業部門の成長率を+4%まで高める目標を設定し、農村重視の方針を打ち出した。この方 針に沿って、具体的な農村政策を次々に打ち出している。また、農村だけを対象として いるわけではないが、教育への財政支出も拡充している24 各種の農村政策のうち、シン政権のフラッグシップ(旗艦的)政策と位置づけられて いるのが、全国農村雇用保障計画(NREGS)だ25。その内容は、農村の希望者に対して、 世帯当たり1 人、年間 100 日を上限に公共事業での職を提供するというものである。具 体的な仕事の内容は、道路の穴埋め、ゴミ用の穴掘り、用水路の掃除など、単純な肉体 労働がほとんどであり26、参加者には法定最低賃金相当の日当が支給される。06 年 2 月 に200 県で開始され、08 年度からは 604 の全県で実施されている。 NREGS は、農村の低所得層に貴重な収入をもたらした。08 年度のデータによると、 NREGS に参加したのは 4 千 5 百万世帯であり、全農村世帯の 3 割に相当し、参加世帯 人口は2 億 2 千万人27にのぼる。これに対し、NREGS 予算のうち、賃金として支給され た金額は1820 億ルピー(名目GDPの 0.4%)だった。これを参加世帯数で割ると、世 帯当たり年間支給額は4000 ルピー程度(90USドル程度28)であり、1 人・1 日当たり 2.3 ルピー程度(0.05USドル=5 円程度)に相当する(図表 28)。 NREGS が農村の貧困層をターゲットとしていることを念頭に、NREGS がカバーした 2 億 2 千万人と、農村における消費支出階層別人口(直近の 06 年度)の対比を試みた。 これによると、1 人・1 日当たりの消費が最も少ない「8 ルピー以下」から、「14~15 ル ピー」までの階層の累計人口が2 億 3 千万人であり、NREGS の参加世帯人口 2 億 2 千 22 前掲図表 22、23 23 外務省(2008) 24 本パラグラフと次のパラグラフの記述は、井上(2009)を参考にした。

25 正式名称は、Mahatma Gandhi National Rural Employment Guarantee Scheme。マハトマ・ガンジ

ーの名を冠していることからも、シン政権の意気込みが読み取れる。 26 Luce(2007)。Luce によれば、NREGS によって、貧困に対するインドと中国のアプローチの違いが明 確に示されている。中国では、官・民・外資による積極的な投資を刺激することで、間接的に雇用を創 出する方法を選んだ。これに対し、インドでは国が直接、雇用を保障する方法を選んだ。 27 農村世帯人員の目安は、06 年度のNSSによる 4.8 人。 28 換算レートは 1 ドル≒45 ルピー。

(25)

万人に重なった(図表29)。 1 人・1 日当たりの消費支出が 15 ルピー以下の階層にとって、毎日 2.3 ルピーの追加 所得は無視できない。NREGS は、高額な耐久財消費の購入には足りないが、1 袋が 1 ル ピーのシャンプーなど、安価な商品に対する農村消費を刺激する効果はあったと評価で きる29。政治的にも、09 年の総選挙でUPA政権が予想以上の大勝を収め、シン政権の 続投に繋がった最大の要因として、NREGS に対する農村の支持を指摘する見方が現地で は有力だ。 図表 28 NREGS の効果(08 年度、試算) 図表 29 NREGS の対象(08 年度、試算) 参加世帯数 (参加世帯/全農村世帯) (対象世帯人口) 4 千 5 百万世帯 (3 割) (2 億 2 千万人) NREGS 賃金総額 (名目GDP比) 1820 億ルピー (0.4%) 世帯当たり年間受給額 (1人・1 日当たり) 4000 ルピー (2.3 ルピー) (注)世帯人員(4.8 人)は 06 年度時点。 (資料)統計・計画実施省、インド準備銀行、農村 開発省の資料を基に、みずほ総合研究所が 試算。 0 20 40 60 80 100 120 0-8 8-9 9-11 11-12 12-14 14-15 15-17 17-19 19-23 23-30 30-39 39-(100万人) (1人・1日、ルピー) 08年度のNREGS 対象世帯人口 (2.2億人) 2.3億人 ≒ 消費支出階層別 の農村人口 (注)試算の詳細は図表28 参照。 (資料)統計・計画実施省、インド準備銀行、農村 開発省の資料を基に、みずほ総合研究所が 試算。 しかし、NREGS はあくまでもセーフティーネットであり、農村の購買力・消費を長期 的に押し上げる政策ではない。また、農村では NREGS で安易に最低賃金が得られるた め、第二次・三次産業への雇用シフトは阻害されている可能性がある30 さらに、雇用規制緩和や外国資本誘致など、雇用創出につながる改革に関しては、シ ン政権は着手していない。「万人が成果を享受できる経済成長」を標榜しているため、雇 用の不安定化や外国企業との競争激化を招くような改革には慎重のようだ。また、教育 予算も拡充しつつあるが、2010 年度予算では連邦予算全体の 2.8%の配分であり、 NREGS 予算の同 3.6%を下回る。慢性的な財政赤字で予算全体が制約を受ける中で、長 期的に雇用者のスキルを改善する教育支出よりも、当座の効果が見込めるセーフティー ネット政策に重点を置いた形となっている。 29 第 3 節(2)の①参照。

(26)

5. 農村消費の今後の方向性

インドの消費動向を2025 年まで予測したものに、McKinsey & Company(2007)が

ある。本稿の最後では、これをベースとして、農村消費の長期的な方向性を展望したい。 McKinsey 予測の主な前提は、2005~25 年の間に、①実質GDP成長率は年率+7.3%、 ②人口増加率は同+1.3%というものだ。インドの潜在成長率は一般に+8%台といわれて おり、成長率の前提としては無理がない。人口増加率も国連予測を基にしており、妥当 な設定といえる。 成長率と人口に関する現実的な前提条件により、一人当たり実質GDPは年率+5.9% と設定されている。このペースだと、予測起点の05 年から 17 年後(2022 年)に、イン ドの一人当たり実質GDPが05 年時点の中国の水準(1435USドル)に追いつく計算と なる。インドは、時間をかけて中国を追いかける展開になりそうだ。 もう一つの重要な前提として、③業種別ではサービス業を中心に経済成長が続くと見 込まれている。ただし、このシナリオが実現する可能性は、農業からサービス業への柔 軟な雇用シフト、雇用規制緩和や市場開放といった改革の進展、教育支出の拡大等に依 存すると McKinsey は記述している。農業からサービス業への雇用シフト等は、前節で 論じたインド経済の課題に他ならない。 一連の前提条件を基に、McKinsey は世帯年収階層別の人口分布を予測している。都市 の場合、2025 年に世帯年収 20~100 万ルピーの「中間層」が 4 億人に迫り、人口分布の ピークとなる(図表30)。前掲図表 11 によれば、世帯年収 20~100 万ルピーの購買力は、 エアコンや自動車といった高額な耐久財に手が届き始めるレベルと考えられる。 農村では、同9~20 万ルピーの「希望層」が 4 億人に達し、最大の所得階層を形成す る。この階層の購買力は、オートバイやカラーテレビ、冷蔵庫といった耐久財に手が届 き始めるレベルとみられる。また、「中間層」も2 億人となり、都市ほどではないが厚み を増す。その一方で、「貧困層」も3 億人弱ほど存在し、農村の貧困問題は根強く残る見 通しとなっている。

(27)

図表 30 McKinsey による世帯年収階層別の人口分布予測(2000 年価格) ①都市 ②農村 0 100 200 300 400 500 100万~ ルピー 「富裕層」 20~100万 ルピー 「中間層」 9~20万 ルピー 「希望層」 ~9万 ルピー 「貧困層」 2005年 2025年 (100万人) 0 100 200 300 400 500 100万~ ルピー 「富裕層」 20~100万 ルピー 「中間層」 9~20万 ルピー 「希望層」 ~9万 ルピー 「貧困層」 2005年 2025年 (100万人)

(資料)McKinsey & Company(2007)

McKinsey 予測に対しては、本稿の第 4 節に基づき、③の前提に関してリスクケースが あることを指摘したい。マッキンゼー予測が公表された07 年以降、サービス業中心の成 長を担保するような各種の改革は進捗しておらず、教育支出の拡充も緩慢だからだ。農 業からサービス業への雇用シフトについては、NREGS によって却って抑制される可能性 も生じている。 農業からの雇用シフトが柔軟に進まず、サービス業中心の経済成長が抑制されるリス クケースでは、所得階層分布は異なる姿になるはずだ。所得の低い農業分野に雇用が滞 留するため、農村の「貧困層」人口は図表 30 に示されるよりも高水準に留まるだろう。 この裏返しの現象として、農業よりも所得の高いサービス業の雇用は抑制されるため、 農村・都市ともに「希望層」と「中間層」の人口は伸び悩むことになろう。 インドの経済統計は整備が遅れており、データ入手の制約は大きい。こうした中で、 本稿は可能な限り多くのデータに当たり、農村消費の動向を分析した。この結果、農村 の購買力は都市よりも拡大が遅れており、消費も低水準に留まる実態が検証できた。 中国との比較では、都市化のスピードや、外資を含めた投資主導の発展パターン、教 育水準など、インドとの対照性を確認した。インドでは、農村人口比率が高い一方で、 農村を中心に雇用機会が不足している。かつ、農村では教育水準が低いことから、農業 よりも所得の高い産業への就職は困難だ。こうした雇用問題を背景として、インドの消 費は農村を中心に拡大が抑制されており、中国に対しても遅れを取っているとみられる。 今後については、雇用問題に対するシン政権の取組が不十分な現状から判断すると、 農村消費の拡大は引き続き緩慢との見方を本稿では提示したい。McKinsey 予測等で期待 されているよりも、農村の「貧困層」は高止まりし、「希望層」や「中間層」は伸び悩む

(28)

可能性が大きいとみる。 インドの消費をテコ入れするためには、雇用規制の緩和や外国資本の誘致など、雇用 機会の創出につながる改革が必要である。特に農村消費については、農業から2 次・3 次 産業への雇用シフトを促すため、セーフティーネット政策である NREGS への依存を見 直し、労働スキルの向上をもたらす教育政策に予算の重点を移すことが求められる。 インド議会(下院)の任期は5 年であり、次の総選挙は 2014 年までに実施される。民 主主義国家のインドでは、総選挙の 1 年前になるとバラマキ策が行われるといわれてお り、既得権益を損なう政策も難しくなると考えられる。したがって、各種の改革やNREGS の見直しは、この1~2 年が正念場といえよう。 (以上)

(29)

【参考文献】

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図表 9  インドと中国の州・省別一人当たり名目GDP格差  0.020.030.040.050.06 2000 01 02 03 04 05 06 07(分散) (年) 格差大↑↓格差小中国インド (注)1)東郷(2000)に従い、格差指標は以下の式で算出。なお、y は1人当 たり名目 GDP、i は州・省、t は各年、nは州・省の数、μは log(y)の各 州・省平均  2)  インドは 2 千万人以上の人口を有する 17 の「主要州」、中国は 31 の省 および直轄市  (資料)CEIC を基にみずほ
図表 10  世帯年収階層別の世帯数分布(全国、01 年度価格)  0 20406080100120140 ~9万ルピー 「貧困層」 9~20万ルピー「希望層」 20~100万ルピー「中間層」 100万ルピー~「富裕層」2005年度(実績見込)2001年度1995年度(100万世帯)
図表 15  食費/消費支出(農村・都市別、06 年度)  010203040506070 0-8農村 8-9農村 0-11都市    9-11農村 11-12農村 11-13都市    12-14農村 14-15農村 13-16都市    15-17農村 16-19都市    17-19農村 19-23都市    19-23農村 23-26都市    23-30農村 26-31都市    31-37都市    30-39農村 39- 農村 37-46都市    46-63都市    63-85都市   
図表 30  McKinsey による世帯年収階層別の人口分布予測(2000 年価格)  ①都市  ②農村   0100200300400500 100万~ ルピー 「富裕層」20~100万ルピー「中間層」9~20万ルピー「希望層」~9万ルピー「貧困層」2005年2025年(100万人) 0100200300400500 100万~ルピー 「富裕層」20~100万ルピー「中間層」9~20万ルピー「希望層」~9万ルピー「貧困層」2005年2025年(100万人)

参照

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