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風疹と麻疹(はしか)

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No.4

滋賀学保健管理センター 〔2004.5〕

風疹と麻疹(はしか)

風疹

風疹(rubella)は、発熱、発疹、リンパ節腫 脹を特徴とするウイルス性発疹症である。先天 性風疹症候群予防のために、妊娠可能年齢およ びそれ以前の女性に対するワクチン対策が重要 である。 感染から 14-21 日の潜伏期間の後、発熱、 発疹、リンパ節腫脹(ことに耳介後部、後頭 部、頚部)が出現するが、三徴候のいずれか を欠くものについての臨床診断は困難で、確 定診断のために検査室診断を要することが少 なくない。発疹は紅く、小さく、皮膚面より やや隆起して全身に拡大する。リンパ節は発 疹の出現する数日前より腫大し、3-6 週間位持 続する。ウイルスの排泄期間は発疹出現の前 後約 1 週間とされているが、解熱すると排泄 されるウイルス量は激減し、急速に感染力は 消失する。基本的には予後良好な疾患である。 風疹に伴う最大の問題は、妊娠前半期の妊 婦の初感染により、風疹ウイルス感染が胎児 におよび、先天異常を含む様々な症状を呈す る 先 天 性 風 疹 症 候 群 ( congenital rubella syndrome:CRS)が高率に出現することにある。 CRS は妊娠中の感染時期により重症度、症状の 発現時期が様々である。先天異常として発生 する場合は、先天性心疾患、難聴、白内障な どがおこる。 予防には、弱毒生ワクチンが実用化され広 く使用されている。我が国では従来、中学生 の女子のみが風疹ワクチン接種の対象であっ たが、平成 6 年の予防接種法改正に伴い 1995 年4月から、 生後 12-90 カ月未満の男女(標準 として生後 12 カ月-36 カ月以下)に、風疹ワク チンが接種されることとなった。また風疹ワ クチンを受けたことがない者に対する経過措 置として、 (1)1995 年度 に小学校1-2年生 でかつ生後 90 カ月未満の者、 (2)1996-1999 年度に小学校1年生、 (3)2003 年9月 30 日ま での間は、 1979 年4月2日-1987 年 10 月1日 に生まれた 12 歳以上 16 歳未満の男女(標準中 学生) が接種の対象とされた。ところが、 風 疹ワクチン経過措置分(3)の接種率が極めて 低く、 このままこの年代の小児が成人し、 妊 娠時に風疹の流行がおこると先天性風疹症候 群(CRS)多発の可能性があることが危惧され ていた。2001 年 11 月7日、 予防接種法一部改 正により、 2003 年9月 30 日までの暫定措置 として 1979 年4月2日-1987 年 10 月1日まで に生まれた男女(2003 年3月1日時点、 15 歳 5カ月∼23 歳 10 カ月)全員が経過措置の対象 となった。風疹に対する免疫を有しない女性 が妊娠した場合に風疹の初感染を受ければ、 先天性風疹症候群発生の危険性が高いことは

(2)

明らかで、現時点では自身の風疹抗体の状況 を把握し、積極的にワクチンで免疫を獲得し ておくことが望ましい。

麻疹(はしか)

発熱と発疹を主徴とするウイルス発疹性疾 患で、暴露を受けると殆ど感染・発病する。 全世界の感染症による死亡数の 6.24 %を占 め、単独の病原体としては最大の死亡原因で ある。我が国における麻疹患者数は減少して いるものの、未だ年間約 10-20 万人と推計さ れている。小児にとって麻疹は重症度の高い 疾患であり、近年は成人での発症も問題とな っている。我が国では春から夏にかけて、毎 年地域的な流行が反復している。発生する患 者の殆どが予防接種未接種者で、そのピーク は 1 歳であり、約半数が 2 歳未満である。成 人麻疹(18 歳以上)の報告例も 20 歳代前半を 中心に増加傾向にあり、これらの症例の多く は入院を要するような比較的重症例であると 考えられる。 麻疹の二大死因は合併する肺炎と脳炎であ る。肺炎には麻疹ウイルスによるものと細菌 性肺炎がある。脳炎はおよそ 2,000 例に 1 例 程度の割合で合併する。年長児や成人に起こ りやすく、麻疹の重症度との相関はない。約 60 %は完全に回復するが、20-40 %に中枢神 経系の後遺症(精神発達遅滞・痙攣・行動異 常・対麻痺など)を残し、致死率は約 15 %と される。亜急性硬化性全脳炎は麻疹ウイルス 感染後、数年以上を経て徐々に発症する特殊 な病態で、変異した麻疹ウイルスによって起 こる。発症から平均 6-7 年で死の転帰をとる、 進行性の予後不良疾患である。およその発生 頻度は、麻疹罹患者 100 万例に 16 人、麻疹ワ クチン接種者 100 万人に 1 人とされる。 特異的治療法がなく、高度弱毒生ワクチン による予防が最も重要である。母体由来の麻 疹特異抗体があると、接種したワクチンで十 分な免疫が誘導されないため、母体由来の抗 体がほぼ消失する生後 1 歳以降の児に接種を 行う。我が国における現行の予防接種法では、 生後 12 カ月-90 カ月未満を接種年齢としてい るが、感染力の強さ、疾患に罹患した場合の 重症度から考えて、ワクチン接種は接種年齢 に達した後なるべく速やかに、概ね生後 12-15 カ月に接種することが望ましい。ワクチンに よる免疫獲得率は 95%以上と報告され有効性 は高い。 接種後の副反応としては発熱が約 10-20 %、 発疹は約 5-10 %に認められる。一時期問題と されたアナフィラキシーはゼラチン除去(あ るいは低アレルゲン性ゼラチン)製剤の使用 により報告例は著明に減少している。ごく稀 に(麻疹に罹患したときの脳炎の発症率に比 べると遙かに低い)脳炎を伴うことが報告さ れている。

参照

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