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F5ネットワークス事業戦略発表会 レポート 2020年に向 けた3つの事業戦略 Y. Obokata, 2018年1月12日 2017年12月13日 F5ネットワーク日本法人本社オフィスにおいて F5ネットワークス事業戦略発表会 が行われました 登壇したの は2017年10月1日付けで代表執行役員社

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2017年12月13日、F5ネットワーク日本法人本社オフィスにおいて「F5ネットワークス事業戦略発表会」が行われました。登壇したの は2017年10月1日付けで代表執行役員社長に就任した権田裕一。現在の市場環境とF5のビジネス状況、今後3年間のビジネス 戦略が語られました。ここでその概要をお伝えします。 日本でも急速な勢いで進むデジタルトランスフォーメーション。「私自身もUberの利用者であり、レガシーな世界がIT活用によってものす ごい勢いで変わりつつあることを実感しています」と権田。これを支えているのはアプリケーションであり、F5のようなインフラ企業が注力す べきものは「マルチクラウド」と「DevOps」だと語り始めます。「IDCの発表によれば、2021年までに90%のエンタープライズがマルチクラウ ドを利用するようになり、その1/3以上においてマルチクラウドを包括して管理できる仕組みの構築に迫られると指摘されています。その 一方で、2021年までに80%のアプリケーションはクラウド上で開発され、アーキテクチャもモノリシックからマイクロサービスアーキテクチャや クラウドファンクションへとシフト、マイクロサービスの95%以上はコンテナ上でデプロイされると予測されています」。

しかしF5のミッションは、これまでとは変わらないとも力説。それは「Application without Constraints(制約なくアプリケーションが利用 できる世界)」であり、そこに向かう手法が変わっていくのだといいます。

2017年に過去最高の売上を達成、しかし将来に対する危機感も

F5はこれまで、1996年~2005年まではロードバランサ、その後はセキュリティ機能も包含したオンプレミス型ADC(Application Delivery Controller)のベンダとして、ビジネスを成長させてきました。今後はこれをさらに発展させ、マルチクラウドと新しいアーキテクチャ に対応したアプリケーションサービスを目指していくのだといいます。このような決意の背景には、今後収益モデルが崩壊していくという危 機感があります。F5は2017年度(2017年9月末)に過去最高の売上を達成していますが、これがそのまま継続することはないだろうと 予想しているのです。 そのための具体的な施策をまとめたのが下の表です。 まず対象アプリケーションは、これまでは高可用性が求められていたミッションクリティカルなものに限定されていましたが、今後はあらゆる アプリケーションをカバーしていきます。デジタルトランスフォーメーションが進んでいけば、マイクロサービス化された軽量なアプリケーションモ ジュールが増えてきますが、これらもビジネスを支える要素として重要な存在になっていくからです。 インフラストラクチャは、これまでは主にオンプレミスでしたが、今後はマルチクラウドを前提にしていきます。アプリケーション提供場所が、 以前はオンプレミスのデータセンターが中心でしたが、これからはマルチクラウドへと分散していくと考えられるからです。 ライセンスモデルや製品形態も変化します。これまでの製品はハードウェアの形で提供されることが一般的で、ライセンスモデルもパーペ チュアルライセンス(永久ライセンス)でしたが、これはクラウドに適しているとはいえません。マルチクラウド時代の製品形態はソフトウェア 中心になり、ライセンスもサブスクリプション型にしていく必要があります。 そして対象ユーザも、これまではネットワーク担当者がほとんどでしたが、これからはセキュリティ担当者やアプリケーション担当者へと広げ ていきます。「特にアプリケーション担当者の皆様にF5の存在を認知していただくことは、これからのビジネス展開で欠かせないと考えて います」と権田は指摘します。

2020年に向けた3つの戦略

ではここで視点を長期的な動向から、近未来へと移しましょう。F5は2020年までの3年間で、売上を3割増加させることを目指してい ます。権田によれば「これは現実的な数字」だといいます。ではそれを達成するために、具体的にどのような戦略を掲げているのでしょう か。大きく3つの柱があります。

戦略1:新たなライセンスモデルでADCのシェアを50%に

第1の柱は「ADCシェア拡大」です。2020年までにADC市場の50%のシェアを獲得することを目指します。そのための主要施策が、ク ラウド型ライセンスの提供です。これによって対象となるアプリケーションを拡大することで、シェアを拡大していこうというのです。

その第一弾として、2018年3月には「ELA(Enterprise License Agreement:包括契約)」と1~3年の「サブスクリプション」を追加する 予定です。これらによってライセンスの自由度を高めることで、クラウド時代に求められる柔軟性を提供します。

戦略2:先進的なWAF提供でセキュリティ売上を3倍に

第2の戦略は「セキュリティ売上げアップ」です。すでにF5はGartnerの「Magic Quadrant for Web Application Firewalls」でリーダーに 位置づけられており、特に「Ability to Execute」の軸で最高の評価を受けています。今後さらに先進的なWAFを提供することで競争 力を強化し、この領域での売上を3倍にします。 そのための施策の1つが、マルチクラウドへの対応です。オンプレミス、プライベートクラウド向けの仮想アプライアンスに加え、パブリッククラ ウドで利用可能な仮想アプライアンス、クラウドベースのサービスとして利用できるWAF(WAFaaS)もラインアップ。最も幅広いマルチク ラウド環境にWAFを提供し、複数クラウド間でのセキュリティの一貫性を担保します。 もう1つの施策は、製品強化による競争力向上です。 「F5はすでに、ボット対策やクラウドシグナリング、振舞いベースのDDoS対策など、一般的なWAFにはない機能を提供し、高い競争 力を持っています」と述べるのは、権田と同席したマーケティング本部 部長の帆士 敏博です。 特にクラウド上に実装できるWAFとしては、他社とは比べ物にならないほど高度な機能を実装しており、AWSのようなクラウド事業者 からも重要なセキュリティパートナーとして認められていると語ります。「例えばボット対策では8割のトラフィックが削減された例があり、クラ ウドシグナリングではスローアタックのような攻撃を、クラウドサービスと連携して前段で止めることが可能です。またWebアプリケーションで はAPIにJSONを使用しますが、F5のWAFはJSONパラメータの中身やAPIコールの一連の振舞いをチェックする機能も装備していま す。このような機能を提供しているのはF5しかありません」。 そして直近の拡張として注目してほしいのが「DataSafe」と呼ばれるアプリケーションデータ暗号化だと帆士は指摘します。 「これは入力パラメータをブラウザ内でリアルタイムに暗号化し、BIG-IP上で復号してアプリケーションに渡す機能です。ユーザ環境に依 存したアカウントテイクオーバー問題を解決でき、中間者攻撃対策として有効です。すでにイベントでの発表は行われており、非常に 多くの問い合わせをいただいています」。

戦略3:DevOps関連の売上を全体の5%に

最後に、第3の戦略となるのが「DevOps売上貢献度」です。2020年までにこれを全体の5%にまで引き上げていきます。 「ここでも重要な施策になるのがクラウド型ライセンスの提供です」と権田。ベーシックな負荷分散を必要とするアプリケーション向けに、 スタートアップ開発などでも手軽に使えるライセンスを用意することで、アプリケーション開発者に直接アプローチしたいと語ります。その一 方で権田は、アプリケーション開発者とのエンゲージメントを確立できれば、F5がOpsとDevの連携を加速する役割を担うことも、可能に なるはずだと述べます。 「DevOpsを実現できている企業はまだ少ないという状況ですが、その大きな要因となっているのが、開発チームとインフラチームとのコ ミュニケーションが円滑に行えていないことです。F5製品が両方のチームで利用されるようになれば、これを足がかりに双方の要望をつ なげていくことが可能になります。その結果DevOpsが加速し、アプリケーションの価値も引き出しやすくなります」。 このような役割を積極的に果たしていくため、DevOpsを推進するための活動も展開していく予定です。具体的な活動内容は大きく3 種類あります。 第1はコミュニティの立ち上げです。これはアプリケーションディベロッパ、ネットワーク管理者、セキュリティ担当者をつなぐためのものであ り、毎回テーマを設定した議論を行い、ナレッジの共有を進めていきます。 第2は製品/ソリューション開発。ADCの軽量化やクラウドソリューションテンプレートの提供、自動化ツールとの連携、コンテナ環境にお けるServiceMesh、可視化プラットフォームの実現等によって、アプリケーション開発者にも使いやすく、活用する意義のある製品を投 入していきます。 そして第3がエコシステムの形成です。テクノロジーベンダ、クラウド事業者、DevOpsインテグレータとの連携を強化していきます。

ミッションは変えずにトランストーメーションを推進

「このようにF5のミッションは変えず、サブスクリプションシフト、マルチクラウドセキュリティ、DevOps推進によって、トランスフォーメーションを 推進していきます」と権田。「これから3年間の地道な取り組みで素地を作り、爆発的な成長につなげていきたいと考えています」と締 めくくりました。

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「F5ネットワークス事業戦略発表会」レポート~2020年に向

けた3つの事業戦略~

Y. Obokata, 2018年1月12日 2017年12月13日、F5ネットワーク日本法人本社オフィスにおいて「F5ネットワークス事業戦略発表会」が行われました。登壇したの は2017年10月1日付けで代表執行役員社長に就任した権田裕一。現在の市場環境とF5のビジネス状況、今後3年間のビジネス 戦略が語られました。ここでその概要をお伝えします。 日本でも急速な勢いで進むデジタルトランスフォーメーション。「私自身もUberの利用者であり、レガシーな世界がIT活用によってものす ごい勢いで変わりつつあることを実感しています」と権田。これを支えているのはアプリケーションであり、F5のようなインフラ企業が注力す べきものは「マルチクラウド」と「DevOps」だと語り始めます。「IDCの発表によれば、2021年までに90%のエンタープライズがマルチクラウ ドを利用するようになり、その1/3以上においてマルチクラウドを包括して管理できる仕組みの構築に迫られると指摘されています。その 一方で、2021年までに80%のアプリケーションはクラウド上で開発され、アーキテクチャもモノリシックからマイクロサービスアーキテクチャや クラウドファンクションへとシフト、マイクロサービスの95%以上はコンテナ上でデプロイされると予測されています」。

しかしF5のミッションは、これまでとは変わらないとも力説。それは「Application without Constraints(制約なくアプリケーションが利用 できる世界)」であり、そこに向かう手法が変わっていくのだといいます。

2017年に過去最高の売上を達成、しかし将来に対する危機感も

F5はこれまで、1996年~2005年まではロードバランサ、その後はセキュリティ機能も包含したオンプレミス型ADC(Application Delivery Controller)のベンダとして、ビジネスを成長させてきました。今後はこれをさらに発展させ、マルチクラウドと新しいアーキテクチャ に対応したアプリケーションサービスを目指していくのだといいます。このような決意の背景には、今後収益モデルが崩壊していくという危 機感があります。F5は2017年度(2017年9月末)に過去最高の売上を達成していますが、これがそのまま継続することはないだろうと 予想しているのです。 そのための具体的な施策をまとめたのが下の表です。 まず対象アプリケーションは、これまでは高可用性が求められていたミッションクリティカルなものに限定されていましたが、今後はあらゆる アプリケーションをカバーしていきます。デジタルトランスフォーメーションが進んでいけば、マイクロサービス化された軽量なアプリケーションモ ジュールが増えてきますが、これらもビジネスを支える要素として重要な存在になっていくからです。 インフラストラクチャは、これまでは主にオンプレミスでしたが、今後はマルチクラウドを前提にしていきます。アプリケーション提供場所が、 以前はオンプレミスのデータセンターが中心でしたが、これからはマルチクラウドへと分散していくと考えられるからです。 ライセンスモデルや製品形態も変化します。これまでの製品はハードウェアの形で提供されることが一般的で、ライセンスモデルもパーペ チュアルライセンス(永久ライセンス)でしたが、これはクラウドに適しているとはいえません。マルチクラウド時代の製品形態はソフトウェア 中心になり、ライセンスもサブスクリプション型にしていく必要があります。 そして対象ユーザも、これまではネットワーク担当者がほとんどでしたが、これからはセキュリティ担当者やアプリケーション担当者へと広げ ていきます。「特にアプリケーション担当者の皆様にF5の存在を認知していただくことは、これからのビジネス展開で欠かせないと考えて います」と権田は指摘します。

2020年に向けた3つの戦略

ではここで視点を長期的な動向から、近未来へと移しましょう。F5は2020年までの3年間で、売上を3割増加させることを目指してい ます。権田によれば「これは現実的な数字」だといいます。ではそれを達成するために、具体的にどのような戦略を掲げているのでしょう か。大きく3つの柱があります。

戦略1:新たなライセンスモデルでADCのシェアを50%に

第1の柱は「ADCシェア拡大」です。2020年までにADC市場の50%のシェアを獲得することを目指します。そのための主要施策が、ク ラウド型ライセンスの提供です。これによって対象となるアプリケーションを拡大することで、シェアを拡大していこうというのです。

その第一弾として、2018年3月には「ELA(Enterprise License Agreement:包括契約)」と1~3年の「サブスクリプション」を追加する 予定です。これらによってライセンスの自由度を高めることで、クラウド時代に求められる柔軟性を提供します。

戦略2:先進的なWAF提供でセキュリティ売上を3倍に

第2の戦略は「セキュリティ売上げアップ」です。すでにF5はGartnerの「Magic Quadrant for Web Application Firewalls」でリーダーに 位置づけられており、特に「Ability to Execute」の軸で最高の評価を受けています。今後さらに先進的なWAFを提供することで競争 力を強化し、この領域での売上を3倍にします。 そのための施策の1つが、マルチクラウドへの対応です。オンプレミス、プライベートクラウド向けの仮想アプライアンスに加え、パブリッククラ ウドで利用可能な仮想アプライアンス、クラウドベースのサービスとして利用できるWAF(WAFaaS)もラインアップ。最も幅広いマルチク ラウド環境にWAFを提供し、複数クラウド間でのセキュリティの一貫性を担保します。 もう1つの施策は、製品強化による競争力向上です。 「F5はすでに、ボット対策やクラウドシグナリング、振舞いベースのDDoS対策など、一般的なWAFにはない機能を提供し、高い競争 力を持っています」と述べるのは、権田と同席したマーケティング本部 部長の帆士 敏博です。 特にクラウド上に実装できるWAFとしては、他社とは比べ物にならないほど高度な機能を実装しており、AWSのようなクラウド事業者 からも重要なセキュリティパートナーとして認められていると語ります。「例えばボット対策では8割のトラフィックが削減された例があり、クラ ウドシグナリングではスローアタックのような攻撃を、クラウドサービスと連携して前段で止めることが可能です。またWebアプリケーションで はAPIにJSONを使用しますが、F5のWAFはJSONパラメータの中身やAPIコールの一連の振舞いをチェックする機能も装備していま す。このような機能を提供しているのはF5しかありません」。 そして直近の拡張として注目してほしいのが「DataSafe」と呼ばれるアプリケーションデータ暗号化だと帆士は指摘します。 「これは入力パラメータをブラウザ内でリアルタイムに暗号化し、BIG-IP上で復号してアプリケーションに渡す機能です。ユーザ環境に依 存したアカウントテイクオーバー問題を解決でき、中間者攻撃対策として有効です。すでにイベントでの発表は行われており、非常に 多くの問い合わせをいただいています」。

戦略3:DevOps関連の売上を全体の5%に

最後に、第3の戦略となるのが「DevOps売上貢献度」です。2020年までにこれを全体の5%にまで引き上げていきます。 「ここでも重要な施策になるのがクラウド型ライセンスの提供です」と権田。ベーシックな負荷分散を必要とするアプリケーション向けに、 スタートアップ開発などでも手軽に使えるライセンスを用意することで、アプリケーション開発者に直接アプローチしたいと語ります。その一 方で権田は、アプリケーション開発者とのエンゲージメントを確立できれば、F5がOpsとDevの連携を加速する役割を担うことも、可能に なるはずだと述べます。 「DevOpsを実現できている企業はまだ少ないという状況ですが、その大きな要因となっているのが、開発チームとインフラチームとのコ ミュニケーションが円滑に行えていないことです。F5製品が両方のチームで利用されるようになれば、これを足がかりに双方の要望をつ なげていくことが可能になります。その結果DevOpsが加速し、アプリケーションの価値も引き出しやすくなります」。 このような役割を積極的に果たしていくため、DevOpsを推進するための活動も展開していく予定です。具体的な活動内容は大きく3 種類あります。 第1はコミュニティの立ち上げです。これはアプリケーションディベロッパ、ネットワーク管理者、セキュリティ担当者をつなぐためのものであ り、毎回テーマを設定した議論を行い、ナレッジの共有を進めていきます。 第2は製品/ソリューション開発。ADCの軽量化やクラウドソリューションテンプレートの提供、自動化ツールとの連携、コンテナ環境にお けるServiceMesh、可視化プラットフォームの実現等によって、アプリケーション開発者にも使いやすく、活用する意義のある製品を投 入していきます。 そして第3がエコシステムの形成です。テクノロジーベンダ、クラウド事業者、DevOpsインテグレータとの連携を強化していきます。

ミッションは変えずにトランストーメーションを推進

「このようにF5のミッションは変えず、サブスクリプションシフト、マルチクラウドセキュリティ、DevOps推進によって、トランスフォーメーションを 推進していきます」と権田。「これから3年間の地道な取り組みで素地を作り、爆発的な成長につなげていきたいと考えています」と締 めくくりました。

(3)

2017年12月13日、F5ネットワーク日本法人本社オフィスにおいて「F5ネットワークス事業戦略発表会」が行われました。登壇したの は2017年10月1日付けで代表執行役員社長に就任した権田裕一。現在の市場環境とF5のビジネス状況、今後3年間のビジネス 戦略が語られました。ここでその概要をお伝えします。 日本でも急速な勢いで進むデジタルトランスフォーメーション。「私自身もUberの利用者であり、レガシーな世界がIT活用によってものす ごい勢いで変わりつつあることを実感しています」と権田。これを支えているのはアプリケーションであり、F5のようなインフラ企業が注力す べきものは「マルチクラウド」と「DevOps」だと語り始めます。「IDCの発表によれば、2021年までに90%のエンタープライズがマルチクラウ ドを利用するようになり、その1/3以上においてマルチクラウドを包括して管理できる仕組みの構築に迫られると指摘されています。その 一方で、2021年までに80%のアプリケーションはクラウド上で開発され、アーキテクチャもモノリシックからマイクロサービスアーキテクチャや クラウドファンクションへとシフト、マイクロサービスの95%以上はコンテナ上でデプロイされると予測されています」。

しかしF5のミッションは、これまでとは変わらないとも力説。それは「Application without Constraints(制約なくアプリケーションが利用 できる世界)」であり、そこに向かう手法が変わっていくのだといいます。

2017年に過去最高の売上を達成、しかし将来に対する危機感も

F5はこれまで、1996年~2005年まではロードバランサ、その後はセキュリティ機能も包含したオンプレミス型ADC(Application Delivery Controller)のベンダとして、ビジネスを成長させてきました。今後はこれをさらに発展させ、マルチクラウドと新しいアーキテクチャ に対応したアプリケーションサービスを目指していくのだといいます。このような決意の背景には、今後収益モデルが崩壊していくという危 機感があります。F5は2017年度(2017年9月末)に過去最高の売上を達成していますが、これがそのまま継続することはないだろうと 予想しているのです。 そのための具体的な施策をまとめたのが下の表です。 まず対象アプリケーションは、これまでは高可用性が求められていたミッションクリティカルなものに限定されていましたが、今後はあらゆる アプリケーションをカバーしていきます。デジタルトランスフォーメーションが進んでいけば、マイクロサービス化された軽量なアプリケーションモ ジュールが増えてきますが、これらもビジネスを支える要素として重要な存在になっていくからです。 インフラストラクチャは、これまでは主にオンプレミスでしたが、今後はマルチクラウドを前提にしていきます。アプリケーション提供場所が、 以前はオンプレミスのデータセンターが中心でしたが、これからはマルチクラウドへと分散していくと考えられるからです。 ライセンスモデルや製品形態も変化します。これまでの製品はハードウェアの形で提供されることが一般的で、ライセンスモデルもパーペ チュアルライセンス(永久ライセンス)でしたが、これはクラウドに適しているとはいえません。マルチクラウド時代の製品形態はソフトウェア 中心になり、ライセンスもサブスクリプション型にしていく必要があります。 そして対象ユーザも、これまではネットワーク担当者がほとんどでしたが、これからはセキュリティ担当者やアプリケーション担当者へと広げ ていきます。「特にアプリケーション担当者の皆様にF5の存在を認知していただくことは、これからのビジネス展開で欠かせないと考えて います」と権田は指摘します。

2020年に向けた3つの戦略

ではここで視点を長期的な動向から、近未来へと移しましょう。F5は2020年までの3年間で、売上を3割増加させることを目指してい ます。権田によれば「これは現実的な数字」だといいます。ではそれを達成するために、具体的にどのような戦略を掲げているのでしょう か。大きく3つの柱があります。

戦略1:新たなライセンスモデルでADCのシェアを50%に

第1の柱は「ADCシェア拡大」です。2020年までにADC市場の50%のシェアを獲得することを目指します。そのための主要施策が、ク ラウド型ライセンスの提供です。これによって対象となるアプリケーションを拡大することで、シェアを拡大していこうというのです。

その第一弾として、2018年3月には「ELA(Enterprise License Agreement:包括契約)」と1~3年の「サブスクリプション」を追加する 予定です。これらによってライセンスの自由度を高めることで、クラウド時代に求められる柔軟性を提供します。

戦略2:先進的なWAF提供でセキュリティ売上を3倍に

第2の戦略は「セキュリティ売上げアップ」です。すでにF5はGartnerの「Magic Quadrant for Web Application Firewalls」でリーダーに 位置づけられており、特に「Ability to Execute」の軸で最高の評価を受けています。今後さらに先進的なWAFを提供することで競争 力を強化し、この領域での売上を3倍にします。 そのための施策の1つが、マルチクラウドへの対応です。オンプレミス、プライベートクラウド向けの仮想アプライアンスに加え、パブリッククラ ウドで利用可能な仮想アプライアンス、クラウドベースのサービスとして利用できるWAF(WAFaaS)もラインアップ。最も幅広いマルチク ラウド環境にWAFを提供し、複数クラウド間でのセキュリティの一貫性を担保します。 もう1つの施策は、製品強化による競争力向上です。 「F5はすでに、ボット対策やクラウドシグナリング、振舞いベースのDDoS対策など、一般的なWAFにはない機能を提供し、高い競争 力を持っています」と述べるのは、権田と同席したマーケティング本部 部長の帆士 敏博です。 特にクラウド上に実装できるWAFとしては、他社とは比べ物にならないほど高度な機能を実装しており、AWSのようなクラウド事業者 からも重要なセキュリティパートナーとして認められていると語ります。「例えばボット対策では8割のトラフィックが削減された例があり、クラ ウドシグナリングではスローアタックのような攻撃を、クラウドサービスと連携して前段で止めることが可能です。またWebアプリケーションで はAPIにJSONを使用しますが、F5のWAFはJSONパラメータの中身やAPIコールの一連の振舞いをチェックする機能も装備していま す。このような機能を提供しているのはF5しかありません」。 そして直近の拡張として注目してほしいのが「DataSafe」と呼ばれるアプリケーションデータ暗号化だと帆士は指摘します。 「これは入力パラメータをブラウザ内でリアルタイムに暗号化し、BIG-IP上で復号してアプリケーションに渡す機能です。ユーザ環境に依 存したアカウントテイクオーバー問題を解決でき、中間者攻撃対策として有効です。すでにイベントでの発表は行われており、非常に 多くの問い合わせをいただいています」。

戦略3:DevOps関連の売上を全体の5%に

最後に、第3の戦略となるのが「DevOps売上貢献度」です。2020年までにこれを全体の5%にまで引き上げていきます。 「ここでも重要な施策になるのがクラウド型ライセンスの提供です」と権田。ベーシックな負荷分散を必要とするアプリケーション向けに、 スタートアップ開発などでも手軽に使えるライセンスを用意することで、アプリケーション開発者に直接アプローチしたいと語ります。その一 方で権田は、アプリケーション開発者とのエンゲージメントを確立できれば、F5がOpsとDevの連携を加速する役割を担うことも、可能に なるはずだと述べます。 「DevOpsを実現できている企業はまだ少ないという状況ですが、その大きな要因となっているのが、開発チームとインフラチームとのコ ミュニケーションが円滑に行えていないことです。F5製品が両方のチームで利用されるようになれば、これを足がかりに双方の要望をつ なげていくことが可能になります。その結果DevOpsが加速し、アプリケーションの価値も引き出しやすくなります」。 このような役割を積極的に果たしていくため、DevOpsを推進するための活動も展開していく予定です。具体的な活動内容は大きく3 種類あります。 第1はコミュニティの立ち上げです。これはアプリケーションディベロッパ、ネットワーク管理者、セキュリティ担当者をつなぐためのものであ り、毎回テーマを設定した議論を行い、ナレッジの共有を進めていきます。 第2は製品/ソリューション開発。ADCの軽量化やクラウドソリューションテンプレートの提供、自動化ツールとの連携、コンテナ環境にお けるServiceMesh、可視化プラットフォームの実現等によって、アプリケーション開発者にも使いやすく、活用する意義のある製品を投 入していきます。 そして第3がエコシステムの形成です。テクノロジーベンダ、クラウド事業者、DevOpsインテグレータとの連携を強化していきます。

ミッションは変えずにトランストーメーションを推進

「このようにF5のミッションは変えず、サブスクリプションシフト、マルチクラウドセキュリティ、DevOps推進によって、トランスフォーメーションを 推進していきます」と権田。「これから3年間の地道な取り組みで素地を作り、爆発的な成長につなげていきたいと考えています」と締 めくくりました。

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「F5ネットワークス事業戦略発表会」レポート~2020年に向

けた3つの事業戦略~

Y. Obokata, 2018年1月12日 2017年12月13日、F5ネットワーク日本法人本社オフィスにおいて「F5ネットワークス事業戦略発表会」が行われました。登壇したの は2017年10月1日付けで代表執行役員社長に就任した権田裕一。現在の市場環境とF5のビジネス状況、今後3年間のビジネス 戦略が語られました。ここでその概要をお伝えします。 日本でも急速な勢いで進むデジタルトランスフォーメーション。「私自身もUberの利用者であり、レガシーな世界がIT活用によってものす ごい勢いで変わりつつあることを実感しています」と権田。これを支えているのはアプリケーションであり、F5のようなインフラ企業が注力す べきものは「マルチクラウド」と「DevOps」だと語り始めます。「IDCの発表によれば、2021年までに90%のエンタープライズがマルチクラウ ドを利用するようになり、その1/3以上においてマルチクラウドを包括して管理できる仕組みの構築に迫られると指摘されています。その 一方で、2021年までに80%のアプリケーションはクラウド上で開発され、アーキテクチャもモノリシックからマイクロサービスアーキテクチャや クラウドファンクションへとシフト、マイクロサービスの95%以上はコンテナ上でデプロイされると予測されています」。

しかしF5のミッションは、これまでとは変わらないとも力説。それは「Application without Constraints(制約なくアプリケーションが利用 できる世界)」であり、そこに向かう手法が変わっていくのだといいます。

2017年に過去最高の売上を達成、しかし将来に対する危機感も

F5はこれまで、1996年~2005年まではロードバランサ、その後はセキュリティ機能も包含したオンプレミス型ADC(Application Delivery Controller)のベンダとして、ビジネスを成長させてきました。今後はこれをさらに発展させ、マルチクラウドと新しいアーキテクチャ に対応したアプリケーションサービスを目指していくのだといいます。このような決意の背景には、今後収益モデルが崩壊していくという危 機感があります。F5は2017年度(2017年9月末)に過去最高の売上を達成していますが、これがそのまま継続することはないだろうと 予想しているのです。 そのための具体的な施策をまとめたのが下の表です。 まず対象アプリケーションは、これまでは高可用性が求められていたミッションクリティカルなものに限定されていましたが、今後はあらゆる アプリケーションをカバーしていきます。デジタルトランスフォーメーションが進んでいけば、マイクロサービス化された軽量なアプリケーションモ ジュールが増えてきますが、これらもビジネスを支える要素として重要な存在になっていくからです。 インフラストラクチャは、これまでは主にオンプレミスでしたが、今後はマルチクラウドを前提にしていきます。アプリケーション提供場所が、 以前はオンプレミスのデータセンターが中心でしたが、これからはマルチクラウドへと分散していくと考えられるからです。 ライセンスモデルや製品形態も変化します。これまでの製品はハードウェアの形で提供されることが一般的で、ライセンスモデルもパーペ チュアルライセンス(永久ライセンス)でしたが、これはクラウドに適しているとはいえません。マルチクラウド時代の製品形態はソフトウェア 中心になり、ライセンスもサブスクリプション型にしていく必要があります。 そして対象ユーザも、これまではネットワーク担当者がほとんどでしたが、これからはセキュリティ担当者やアプリケーション担当者へと広げ ていきます。「特にアプリケーション担当者の皆様にF5の存在を認知していただくことは、これからのビジネス展開で欠かせないと考えて います」と権田は指摘します。

2020年に向けた3つの戦略

ではここで視点を長期的な動向から、近未来へと移しましょう。F5は2020年までの3年間で、売上を3割増加させることを目指してい ます。権田によれば「これは現実的な数字」だといいます。ではそれを達成するために、具体的にどのような戦略を掲げているのでしょう か。大きく3つの柱があります。

戦略1:新たなライセンスモデルでADCのシェアを50%に

第1の柱は「ADCシェア拡大」です。2020年までにADC市場の50%のシェアを獲得することを目指します。そのための主要施策が、ク ラウド型ライセンスの提供です。これによって対象となるアプリケーションを拡大することで、シェアを拡大していこうというのです。

その第一弾として、2018年3月には「ELA(Enterprise License Agreement:包括契約)」と1~3年の「サブスクリプション」を追加する 予定です。これらによってライセンスの自由度を高めることで、クラウド時代に求められる柔軟性を提供します。

戦略2:先進的なWAF提供でセキュリティ売上を3倍に

第2の戦略は「セキュリティ売上げアップ」です。すでにF5はGartnerの「Magic Quadrant for Web Application Firewalls」でリーダーに 位置づけられており、特に「Ability to Execute」の軸で最高の評価を受けています。今後さらに先進的なWAFを提供することで競争 力を強化し、この領域での売上を3倍にします。 そのための施策の1つが、マルチクラウドへの対応です。オンプレミス、プライベートクラウド向けの仮想アプライアンスに加え、パブリッククラ ウドで利用可能な仮想アプライアンス、クラウドベースのサービスとして利用できるWAF(WAFaaS)もラインアップ。最も幅広いマルチク ラウド環境にWAFを提供し、複数クラウド間でのセキュリティの一貫性を担保します。 もう1つの施策は、製品強化による競争力向上です。 「F5はすでに、ボット対策やクラウドシグナリング、振舞いベースのDDoS対策など、一般的なWAFにはない機能を提供し、高い競争 力を持っています」と述べるのは、権田と同席したマーケティング本部 部長の帆士 敏博です。 特にクラウド上に実装できるWAFとしては、他社とは比べ物にならないほど高度な機能を実装しており、AWSのようなクラウド事業者 からも重要なセキュリティパートナーとして認められていると語ります。「例えばボット対策では8割のトラフィックが削減された例があり、クラ ウドシグナリングではスローアタックのような攻撃を、クラウドサービスと連携して前段で止めることが可能です。またWebアプリケーションで はAPIにJSONを使用しますが、F5のWAFはJSONパラメータの中身やAPIコールの一連の振舞いをチェックする機能も装備していま す。このような機能を提供しているのはF5しかありません」。 そして直近の拡張として注目してほしいのが「DataSafe」と呼ばれるアプリケーションデータ暗号化だと帆士は指摘します。 「これは入力パラメータをブラウザ内でリアルタイムに暗号化し、BIG-IP上で復号してアプリケーションに渡す機能です。ユーザ環境に依 存したアカウントテイクオーバー問題を解決でき、中間者攻撃対策として有効です。すでにイベントでの発表は行われており、非常に 多くの問い合わせをいただいています」。

戦略3:DevOps関連の売上を全体の5%に

最後に、第3の戦略となるのが「DevOps売上貢献度」です。2020年までにこれを全体の5%にまで引き上げていきます。 「ここでも重要な施策になるのがクラウド型ライセンスの提供です」と権田。ベーシックな負荷分散を必要とするアプリケーション向けに、 スタートアップ開発などでも手軽に使えるライセンスを用意することで、アプリケーション開発者に直接アプローチしたいと語ります。その一 方で権田は、アプリケーション開発者とのエンゲージメントを確立できれば、F5がOpsとDevの連携を加速する役割を担うことも、可能に なるはずだと述べます。 「DevOpsを実現できている企業はまだ少ないという状況ですが、その大きな要因となっているのが、開発チームとインフラチームとのコ ミュニケーションが円滑に行えていないことです。F5製品が両方のチームで利用されるようになれば、これを足がかりに双方の要望をつ なげていくことが可能になります。その結果DevOpsが加速し、アプリケーションの価値も引き出しやすくなります」。 このような役割を積極的に果たしていくため、DevOpsを推進するための活動も展開していく予定です。具体的な活動内容は大きく3 種類あります。 第1はコミュニティの立ち上げです。これはアプリケーションディベロッパ、ネットワーク管理者、セキュリティ担当者をつなぐためのものであ り、毎回テーマを設定した議論を行い、ナレッジの共有を進めていきます。 第2は製品/ソリューション開発。ADCの軽量化やクラウドソリューションテンプレートの提供、自動化ツールとの連携、コンテナ環境にお けるServiceMesh、可視化プラットフォームの実現等によって、アプリケーション開発者にも使いやすく、活用する意義のある製品を投 入していきます。 そして第3がエコシステムの形成です。テクノロジーベンダ、クラウド事業者、DevOpsインテグレータとの連携を強化していきます。

ミッションは変えずにトランストーメーションを推進

「このようにF5のミッションは変えず、サブスクリプションシフト、マルチクラウドセキュリティ、DevOps推進によって、トランスフォーメーションを 推進していきます」と権田。「これから3年間の地道な取り組みで素地を作り、爆発的な成長につなげていきたいと考えています」と締 めくくりました。

(5)

2017年12月13日、F5ネットワーク日本法人本社オフィスにおいて「F5ネットワークス事業戦略発表会」が行われました。登壇したの は2017年10月1日付けで代表執行役員社長に就任した権田裕一。現在の市場環境とF5のビジネス状況、今後3年間のビジネス 戦略が語られました。ここでその概要をお伝えします。 日本でも急速な勢いで進むデジタルトランスフォーメーション。「私自身もUberの利用者であり、レガシーな世界がIT活用によってものす ごい勢いで変わりつつあることを実感しています」と権田。これを支えているのはアプリケーションであり、F5のようなインフラ企業が注力す べきものは「マルチクラウド」と「DevOps」だと語り始めます。「IDCの発表によれば、2021年までに90%のエンタープライズがマルチクラウ ドを利用するようになり、その1/3以上においてマルチクラウドを包括して管理できる仕組みの構築に迫られると指摘されています。その 一方で、2021年までに80%のアプリケーションはクラウド上で開発され、アーキテクチャもモノリシックからマイクロサービスアーキテクチャや クラウドファンクションへとシフト、マイクロサービスの95%以上はコンテナ上でデプロイされると予測されています」。

しかしF5のミッションは、これまでとは変わらないとも力説。それは「Application without Constraints(制約なくアプリケーションが利用 できる世界)」であり、そこに向かう手法が変わっていくのだといいます。

2017年に過去最高の売上を達成、しかし将来に対する危機感も

F5はこれまで、1996年~2005年まではロードバランサ、その後はセキュリティ機能も包含したオンプレミス型ADC(Application Delivery Controller)のベンダとして、ビジネスを成長させてきました。今後はこれをさらに発展させ、マルチクラウドと新しいアーキテクチャ に対応したアプリケーションサービスを目指していくのだといいます。このような決意の背景には、今後収益モデルが崩壊していくという危 機感があります。F5は2017年度(2017年9月末)に過去最高の売上を達成していますが、これがそのまま継続することはないだろうと 予想しているのです。 そのための具体的な施策をまとめたのが下の表です。 まず対象アプリケーションは、これまでは高可用性が求められていたミッションクリティカルなものに限定されていましたが、今後はあらゆる アプリケーションをカバーしていきます。デジタルトランスフォーメーションが進んでいけば、マイクロサービス化された軽量なアプリケーションモ ジュールが増えてきますが、これらもビジネスを支える要素として重要な存在になっていくからです。 インフラストラクチャは、これまでは主にオンプレミスでしたが、今後はマルチクラウドを前提にしていきます。アプリケーション提供場所が、 以前はオンプレミスのデータセンターが中心でしたが、これからはマルチクラウドへと分散していくと考えられるからです。 ライセンスモデルや製品形態も変化します。これまでの製品はハードウェアの形で提供されることが一般的で、ライセンスモデルもパーペ チュアルライセンス(永久ライセンス)でしたが、これはクラウドに適しているとはいえません。マルチクラウド時代の製品形態はソフトウェア 中心になり、ライセンスもサブスクリプション型にしていく必要があります。 そして対象ユーザも、これまではネットワーク担当者がほとんどでしたが、これからはセキュリティ担当者やアプリケーション担当者へと広げ ていきます。「特にアプリケーション担当者の皆様にF5の存在を認知していただくことは、これからのビジネス展開で欠かせないと考えて います」と権田は指摘します。

2020年に向けた3つの戦略

ではここで視点を長期的な動向から、近未来へと移しましょう。F5は2020年までの3年間で、売上を3割増加させることを目指してい ます。権田によれば「これは現実的な数字」だといいます。ではそれを達成するために、具体的にどのような戦略を掲げているのでしょう か。大きく3つの柱があります。

戦略1:新たなライセンスモデルでADCのシェアを50%に

第1の柱は「ADCシェア拡大」です。2020年までにADC市場の50%のシェアを獲得することを目指します。そのための主要施策が、ク ラウド型ライセンスの提供です。これによって対象となるアプリケーションを拡大することで、シェアを拡大していこうというのです。

その第一弾として、2018年3月には「ELA(Enterprise License Agreement:包括契約)」と1~3年の「サブスクリプション」を追加する 予定です。これらによってライセンスの自由度を高めることで、クラウド時代に求められる柔軟性を提供します。

戦略2:先進的なWAF提供でセキュリティ売上を3倍に

第2の戦略は「セキュリティ売上げアップ」です。すでにF5はGartnerの「Magic Quadrant for Web Application Firewalls」でリーダーに 位置づけられており、特に「Ability to Execute」の軸で最高の評価を受けています。今後さらに先進的なWAFを提供することで競争 力を強化し、この領域での売上を3倍にします。 そのための施策の1つが、マルチクラウドへの対応です。オンプレミス、プライベートクラウド向けの仮想アプライアンスに加え、パブリッククラ ウドで利用可能な仮想アプライアンス、クラウドベースのサービスとして利用できるWAF(WAFaaS)もラインアップ。最も幅広いマルチク ラウド環境にWAFを提供し、複数クラウド間でのセキュリティの一貫性を担保します。 もう1つの施策は、製品強化による競争力向上です。 「F5はすでに、ボット対策やクラウドシグナリング、振舞いベースのDDoS対策など、一般的なWAFにはない機能を提供し、高い競争 力を持っています」と述べるのは、権田と同席したマーケティング本部 部長の帆士 敏博です。 特にクラウド上に実装できるWAFとしては、他社とは比べ物にならないほど高度な機能を実装しており、AWSのようなクラウド事業者 からも重要なセキュリティパートナーとして認められていると語ります。「例えばボット対策では8割のトラフィックが削減された例があり、クラ ウドシグナリングではスローアタックのような攻撃を、クラウドサービスと連携して前段で止めることが可能です。またWebアプリケーションで はAPIにJSONを使用しますが、F5のWAFはJSONパラメータの中身やAPIコールの一連の振舞いをチェックする機能も装備していま す。このような機能を提供しているのはF5しかありません」。 そして直近の拡張として注目してほしいのが「DataSafe」と呼ばれるアプリケーションデータ暗号化だと帆士は指摘します。 「これは入力パラメータをブラウザ内でリアルタイムに暗号化し、BIG-IP上で復号してアプリケーションに渡す機能です。ユーザ環境に依 存したアカウントテイクオーバー問題を解決でき、中間者攻撃対策として有効です。すでにイベントでの発表は行われており、非常に 多くの問い合わせをいただいています」。

戦略3:DevOps関連の売上を全体の5%に

最後に、第3の戦略となるのが「DevOps売上貢献度」です。2020年までにこれを全体の5%にまで引き上げていきます。 「ここでも重要な施策になるのがクラウド型ライセンスの提供です」と権田。ベーシックな負荷分散を必要とするアプリケーション向けに、 スタートアップ開発などでも手軽に使えるライセンスを用意することで、アプリケーション開発者に直接アプローチしたいと語ります。その一 方で権田は、アプリケーション開発者とのエンゲージメントを確立できれば、F5がOpsとDevの連携を加速する役割を担うことも、可能に なるはずだと述べます。 「DevOpsを実現できている企業はまだ少ないという状況ですが、その大きな要因となっているのが、開発チームとインフラチームとのコ ミュニケーションが円滑に行えていないことです。F5製品が両方のチームで利用されるようになれば、これを足がかりに双方の要望をつ なげていくことが可能になります。その結果DevOpsが加速し、アプリケーションの価値も引き出しやすくなります」。 このような役割を積極的に果たしていくため、DevOpsを推進するための活動も展開していく予定です。具体的な活動内容は大きく3 種類あります。 第1はコミュニティの立ち上げです。これはアプリケーションディベロッパ、ネットワーク管理者、セキュリティ担当者をつなぐためのものであ り、毎回テーマを設定した議論を行い、ナレッジの共有を進めていきます。 第2は製品/ソリューション開発。ADCの軽量化やクラウドソリューションテンプレートの提供、自動化ツールとの連携、コンテナ環境にお けるServiceMesh、可視化プラットフォームの実現等によって、アプリケーション開発者にも使いやすく、活用する意義のある製品を投 入していきます。 そして第3がエコシステムの形成です。テクノロジーベンダ、クラウド事業者、DevOpsインテグレータとの連携を強化していきます。

ミッションは変えずにトランストーメーションを推進

「このようにF5のミッションは変えず、サブスクリプションシフト、マルチクラウドセキュリティ、DevOps推進によって、トランスフォーメーションを 推進していきます」と権田。「これから3年間の地道な取り組みで素地を作り、爆発的な成長につなげていきたいと考えています」と締 めくくりました。

(6)

「F5ネットワークス事業戦略発表会」レポート~2020年に向

けた3つの事業戦略~

Y. Obokata, 2018年1月12日 2017年12月13日、F5ネットワーク日本法人本社オフィスにおいて「F5ネットワークス事業戦略発表会」が行われました。登壇したの は2017年10月1日付けで代表執行役員社長に就任した権田裕一。現在の市場環境とF5のビジネス状況、今後3年間のビジネス 戦略が語られました。ここでその概要をお伝えします。 日本でも急速な勢いで進むデジタルトランスフォーメーション。「私自身もUberの利用者であり、レガシーな世界がIT活用によってものす ごい勢いで変わりつつあることを実感しています」と権田。これを支えているのはアプリケーションであり、F5のようなインフラ企業が注力す べきものは「マルチクラウド」と「DevOps」だと語り始めます。「IDCの発表によれば、2021年までに90%のエンタープライズがマルチクラウ ドを利用するようになり、その1/3以上においてマルチクラウドを包括して管理できる仕組みの構築に迫られると指摘されています。その 一方で、2021年までに80%のアプリケーションはクラウド上で開発され、アーキテクチャもモノリシックからマイクロサービスアーキテクチャや クラウドファンクションへとシフト、マイクロサービスの95%以上はコンテナ上でデプロイされると予測されています」。

しかしF5のミッションは、これまでとは変わらないとも力説。それは「Application without Constraints(制約なくアプリケーションが利用 できる世界)」であり、そこに向かう手法が変わっていくのだといいます。

2017年に過去最高の売上を達成、しかし将来に対する危機感も

F5はこれまで、1996年~2005年まではロードバランサ、その後はセキュリティ機能も包含したオンプレミス型ADC(Application Delivery Controller)のベンダとして、ビジネスを成長させてきました。今後はこれをさらに発展させ、マルチクラウドと新しいアーキテクチャ に対応したアプリケーションサービスを目指していくのだといいます。このような決意の背景には、今後収益モデルが崩壊していくという危 機感があります。F5は2017年度(2017年9月末)に過去最高の売上を達成していますが、これがそのまま継続することはないだろうと 予想しているのです。 そのための具体的な施策をまとめたのが下の表です。 まず対象アプリケーションは、これまでは高可用性が求められていたミッションクリティカルなものに限定されていましたが、今後はあらゆる アプリケーションをカバーしていきます。デジタルトランスフォーメーションが進んでいけば、マイクロサービス化された軽量なアプリケーションモ ジュールが増えてきますが、これらもビジネスを支える要素として重要な存在になっていくからです。 インフラストラクチャは、これまでは主にオンプレミスでしたが、今後はマルチクラウドを前提にしていきます。アプリケーション提供場所が、 以前はオンプレミスのデータセンターが中心でしたが、これからはマルチクラウドへと分散していくと考えられるからです。 ライセンスモデルや製品形態も変化します。これまでの製品はハードウェアの形で提供されることが一般的で、ライセンスモデルもパーペ チュアルライセンス(永久ライセンス)でしたが、これはクラウドに適しているとはいえません。マルチクラウド時代の製品形態はソフトウェア 中心になり、ライセンスもサブスクリプション型にしていく必要があります。 そして対象ユーザも、これまではネットワーク担当者がほとんどでしたが、これからはセキュリティ担当者やアプリケーション担当者へと広げ ていきます。「特にアプリケーション担当者の皆様にF5の存在を認知していただくことは、これからのビジネス展開で欠かせないと考えて います」と権田は指摘します。

2020年に向けた3つの戦略

ではここで視点を長期的な動向から、近未来へと移しましょう。F5は2020年までの3年間で、売上を3割増加させることを目指してい ます。権田によれば「これは現実的な数字」だといいます。ではそれを達成するために、具体的にどのような戦略を掲げているのでしょう か。大きく3つの柱があります。

戦略1:新たなライセンスモデルでADCのシェアを50%に

第1の柱は「ADCシェア拡大」です。2020年までにADC市場の50%のシェアを獲得することを目指します。そのための主要施策が、ク ラウド型ライセンスの提供です。これによって対象となるアプリケーションを拡大することで、シェアを拡大していこうというのです。

その第一弾として、2018年3月には「ELA(Enterprise License Agreement:包括契約)」と1~3年の「サブスクリプション」を追加する 予定です。これらによってライセンスの自由度を高めることで、クラウド時代に求められる柔軟性を提供します。

戦略2:先進的なWAF提供でセキュリティ売上を3倍に

第2の戦略は「セキュリティ売上げアップ」です。すでにF5はGartnerの「Magic Quadrant for Web Application Firewalls」でリーダーに 位置づけられており、特に「Ability to Execute」の軸で最高の評価を受けています。今後さらに先進的なWAFを提供することで競争 力を強化し、この領域での売上を3倍にします。 そのための施策の1つが、マルチクラウドへの対応です。オンプレミス、プライベートクラウド向けの仮想アプライアンスに加え、パブリッククラ ウドで利用可能な仮想アプライアンス、クラウドベースのサービスとして利用できるWAF(WAFaaS)もラインアップ。最も幅広いマルチク ラウド環境にWAFを提供し、複数クラウド間でのセキュリティの一貫性を担保します。 もう1つの施策は、製品強化による競争力向上です。 「F5はすでに、ボット対策やクラウドシグナリング、振舞いベースのDDoS対策など、一般的なWAFにはない機能を提供し、高い競争 力を持っています」と述べるのは、権田と同席したマーケティング本部 部長の帆士 敏博です。 特にクラウド上に実装できるWAFとしては、他社とは比べ物にならないほど高度な機能を実装しており、AWSのようなクラウド事業者 からも重要なセキュリティパートナーとして認められていると語ります。「例えばボット対策では8割のトラフィックが削減された例があり、クラ ウドシグナリングではスローアタックのような攻撃を、クラウドサービスと連携して前段で止めることが可能です。またWebアプリケーションで はAPIにJSONを使用しますが、F5のWAFはJSONパラメータの中身やAPIコールの一連の振舞いをチェックする機能も装備していま す。このような機能を提供しているのはF5しかありません」。 そして直近の拡張として注目してほしいのが「DataSafe」と呼ばれるアプリケーションデータ暗号化だと帆士は指摘します。 「これは入力パラメータをブラウザ内でリアルタイムに暗号化し、BIG-IP上で復号してアプリケーションに渡す機能です。ユーザ環境に依 存したアカウントテイクオーバー問題を解決でき、中間者攻撃対策として有効です。すでにイベントでの発表は行われており、非常に 多くの問い合わせをいただいています」。

戦略3:DevOps関連の売上を全体の5%に

最後に、第3の戦略となるのが「DevOps売上貢献度」です。2020年までにこれを全体の5%にまで引き上げていきます。 「ここでも重要な施策になるのがクラウド型ライセンスの提供です」と権田。ベーシックな負荷分散を必要とするアプリケーション向けに、 スタートアップ開発などでも手軽に使えるライセンスを用意することで、アプリケーション開発者に直接アプローチしたいと語ります。その一 方で権田は、アプリケーション開発者とのエンゲージメントを確立できれば、F5がOpsとDevの連携を加速する役割を担うことも、可能に なるはずだと述べます。 「DevOpsを実現できている企業はまだ少ないという状況ですが、その大きな要因となっているのが、開発チームとインフラチームとのコ ミュニケーションが円滑に行えていないことです。F5製品が両方のチームで利用されるようになれば、これを足がかりに双方の要望をつ なげていくことが可能になります。その結果DevOpsが加速し、アプリケーションの価値も引き出しやすくなります」。 このような役割を積極的に果たしていくため、DevOpsを推進するための活動も展開していく予定です。具体的な活動内容は大きく3 種類あります。 第1はコミュニティの立ち上げです。これはアプリケーションディベロッパ、ネットワーク管理者、セキュリティ担当者をつなぐためのものであ り、毎回テーマを設定した議論を行い、ナレッジの共有を進めていきます。 第2は製品/ソリューション開発。ADCの軽量化やクラウドソリューションテンプレートの提供、自動化ツールとの連携、コンテナ環境にお けるServiceMesh、可視化プラットフォームの実現等によって、アプリケーション開発者にも使いやすく、活用する意義のある製品を投 入していきます。 そして第3がエコシステムの形成です。テクノロジーベンダ、クラウド事業者、DevOpsインテグレータとの連携を強化していきます。

ミッションは変えずにトランストーメーションを推進

「このようにF5のミッションは変えず、サブスクリプションシフト、マルチクラウドセキュリティ、DevOps推進によって、トランスフォーメーションを 推進していきます」と権田。「これから3年間の地道な取り組みで素地を作り、爆発的な成長につなげていきたいと考えています」と締 めくくりました。

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