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1、 女 性 差 別 撤 廃 条 約 に お ける平 等 ・差 別 と締 約 国 の義 務

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司法におけるジェンダー ・バイアスー女性差別撤廃条約の適用可能性

家 機 関 の 中 に は 、 立 法 ・行 政 機 関 だ け で な く、 司 法 機 関 も含 まれ る の で あ る 。 そ して 、 「裁 判 所 が 、 条 約 を 解 釈 す る 任 務 に お い て 誤 りを 犯 す か ま た は 条 約 の 実 現 を 阻 む … 場 合 、 そ の 判 決 は 国 家 に よ る 条 約 違 反[国 家 責 任]

を 引 き起 こ す 」 こ と に な る(ArnoldD .McNair,LAWOFTREA?'IES

(1961),p.346.)。 原 判 決 は 、 女 性 差 別 撤 廃 条 約 の 解 釈 に お い て 誤 りを 犯 し、 同 条 約 の 実 現 を 阻 ん だ こ と に よ り、 す で に 生 じ て い た 条 約 違 反 の 状 態 を さ

ら に積 み 重 ね る こ と に な っ て し ま っ た 。

誤 りの 起 点 の 一 つ は 、 女 性 差 別 撤 廃 条 約 の 解 釈 を下 位 法 で あ る 均 等 法 ・ 指 針 ・施 行 通 達 の 解 釈 に無 条 件 に 従 属 させ 、 条 約 そ の もの の 趣 旨 ・目 的 に 照 ら した 解 釈 を 怠 っ た と こ ろ に あ る。 条 約 の 定 め る差 別 の 概 念 を 不 当 に縮 小 し・ 条 約 不 遡 及 原 則 を不 正 確 に認 識 した と こ ろ に重 大 な 過 誤 が あ っ た こ と は こ こ に 改 め て 指 摘 す る ま で も な い 。 控 訴 審 に は 、 女 性 差 別 撤 廃 条 約 に つ い て 精 確 な 判 断 を 下 す こ と に よ り、 司 法 機 関 に 課 せ られ た 「差 別 と な る い か な る行 為 か ら も女 子 を効 果 的 に保 護 す る こ と を確 保 す る」 義 務 を 誠 実 に履 行 す る よ う期 待 す る も の で あ る。

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神奈川大学法学研究所研究年報20 義務 に違 背 して 当該 原 告 らに損 害(精 神 的苦 痛)を 与 え た もの に ほか な ら ない 。 そ こに 「故 意」 が あ っ た とまで は い え ない まで も、差 別 につ いて の 認 識 を無 為 に誤 った 点 にお い て 重 大 な 「過 失 」 が あ っ た こ とは否 め な い。

大 阪 婦 人 少 年室 長 に よる調 停 不 開始 決 定 は 、 そ の よ うな もの と して 、 国家 賠 償 法 第1条1項 の適 用 を受 け るべ きもので あ る。

被 告 国 の主 張 に よれ ば 、 「均 等 法 に よる調 停 制 度 は 、紛 争 解 決援 助 の た めの 行 政 サ ー ビスで あ って 、原 告 らに調 停 請 求 権(調 停 を受 け る権 利)を 認 め た もの で ない こ とは もと よ り、原告 らが 主 張 す る 『調 停 を受 け る期 待 』

や 『調 停 を受 け る権 利 』 も、 未 だ法 的保 護 に値 す る権利 とは い えず 、 この 侵 害 が 国 家 賠 償 法 上 の 違 法 性 の根 拠 に は な り得 な い とい うべ きで あ る」

(最終 準 備 書 面90頁)。 この 主張 は、 原告 らが 有 す る女性 差 別 撤 廃条 約 上 の 権 利 の実 現 を阻 み、 締 約 国 の負 う条 約 上 の義 務 の履 行 を妨 げ る もの にほ か な らず、 そ こ には 、女 性 差 別撤 廃 条 約 を誠実 に履 行 し よう とい う姿 勢 は ま っ た くうかが え な い。 被 告 国 の右 主張 は、 「女 子 に対 す る差 別 」 を存 続 さ せ る もの と して、 そ れ 自体 が 条 約 第2条(c)お よび(d)と の抵 触 を問 わ

れ て しか るべ き もの であ る。

お わ り に

女 性 差 別撤 廃 条約 は、 第2条(c)に お い て 、 差 別 に あ た るい か な る行 為 か ら も女性 を効 果 的 に保護 す る よ う締 約 国 に求 め てい る。 そ の際 、 同 条 項 が 「公 の機 関」 に先 ん じて そ の責 務 の遂行 を求 め てい るの は 「権 限 の あ る 自国 の裁 判 所」 で あ る。 裁 判所 は 、行 政 訴 訟 あ るい は国 家賠 償 請 求 訴訟 等 にお い て 、特 定 の行 政行 為 や立 法行 為 等 の国 際 法適 合 性 を審査 す る責 務 を負 っ てい る。 これ は 自明 の こ と とい って よいが 、 女性 差 別 撤 廃 条約 第2 条(c)が 明示 す る よう に、 国 際 法 上 は、 司 法 機 関 も また 国家 機 関 と して

国 際法 の実 現 を担 う主体 と して位 置 づ け られ て い る。 国際 法 にお け る国 家 責 任 は 「国家 機 関」 に よ る 「国 際 義務 の違 反 」 に よ って生 ず るが 、 そ の国

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司法におけるジェンダー ・バイアスー女性差別撤廃条約の適用可能性

とった措 置 で あ り、 同法 そ れ 自体 の制 定 が 条約 に よっ て明 示 的 に求 め られ て い た わ け で は ない 。指 針 ・施 行 通 達 の 制定 につ い て も同 じで あ る。 しか し、いか な る もの で あ れ 、い った ん法令 が制 定 され る ので あ れ ば 、そ れ は 、 条 約 が 求 め る 「男 女 の平 等 を基 礎 と して 」、雇 用機 会(雇 用 に関 す る 同0 の選 考 基準 の適 用 を含 む。)や 昇 進 につ い て 「同 一 の権 利 」 を確 保 す る も の で な くて は な らな い。締 約 国 に とるべ き措 置 につ い て一 定 の裁 量 が 認 め

られ る とい う こ と と、締 約 国 の とる措 置 が 男女 問 に同 一 の権 利 を確 保 して い るか ど うか とい う こ と とは別 次 元 の 問題 で あ る。 そ して、す で に述べ た よ うに ・締 約 国 の とる措 置 が 、 男 女 の平 等 を基礎 と して 同一 の 権利 を保 障

して い るか ど うか は、漸 進 的 にで は な く即 時 に認定 で きる。

原 告 らは 、雇 用機 会(雇 用 に 関す る 同一 の 選 考 基準 の 適 用 を含 む。)や 昇 進 につ い て差 別 を受 け ない権 利 を条 約 第II条 に よ り保 障 され 、差 別 とな

る処 遇 を受 け た場 合 には 、 「公 の機 関」 に よ っ て効 果 的 に保 護 され る権 利 を第2条(c)に よ り保 障 され て い る 。締 約 国 は、 そ う した控 訴 人 の権 利 を実 現 す る法 的 義務 を負 う。 大 阪婦 人少 年 室 が こ こで い う 「公 の 機 関」 で あ る こ とは紛 れ もな く、 また 、 同室 長 が 、 女性 差 別撤 廃 条 約 上 の 「差 別」

の認 識 を誤 った こ とに よ り条 約 第2条(c)お よ び(d)に 抵 触 す る事 態 、 す な わ ち締 約 国 に よる法 的義 務 違 反 の事 態 を引 き起 こ した こ とはす で に述 べ た とお りで あ る。 そ の義 務 違 反(違 法 性)は 即 時 に認 定 で きる性 格 の も の で あ る。 「国 家賠 償 法1条1項 は 、 国又 は公 共 団体 の 公 権 力 の行 使 に当 た る公 務 員 が個 別 の 国民 に対 して 負担 す る職務 上 の法 的義 務 に違 背 して 当 該 国民 に損 害 を加 え た と きは、 国又 は公 共 団体 が これ を賠 償 す る責 に任 ず る こ とを規 定 す る もの で あ る」(最 高判1985・11・25民 集39巻7号1512頁) 。 そ して そ の法 的義 務 違 反 につ い て は、 「厳 密 な法 規 違 反 の み を指 す の で は

な く、 当該 行 為(不 作 為 を含 む)が 法律 、慣 習 、 条 理 ない し健 全 な社 会 通 念 に照 ら し客 観 的 に 正 当 性 を 欠 くこ と を も包 含 す る も の 」(東 京 地 判 1976・5・31判 時843号67頁)と も され る。 大 阪 婦 人 少 年 室 長 の 行 為 は 、 国 の公 権 力 の行 使 に当 た る公 務 員 が 原 告 らに対 して負 担 す る職 務 上 の法 的

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神奈川大学法学研究所研究年報20 同室 長 が 、原 告 らの処 遇 を女性 差 別撤 廃 条 約 の差 別概 念 に照 ら して検 討 す る作 業 を怠 っ た こ とは 明 らか で あ る。 第2条(d)は 、 条 約 第1条 が 定 め る 「差 別 」 か らの保 護 を求 め て い る。 した が っ て、 問題 とな る慣 行 ・行 為 をそ の よ うな差 別 と認 識 で きなけ れ ば 、 あ るい は 、認 識 す る努 力 を しない の で あ れ ば 、 第2条(d)を 履 行 す る ため の前 提 そ の もの が失 われ て しま

う。

大 阪婦 人 少年 室 長 は、 女性 差 別 撤 廃 条 約上 の差 別 を差 別 と認 識 しえな か った こ と に よ り、 同 条項 の 適用 そ の もの を阻害 す る事 態 を生 じさせ て しま っ た。 そ の こ との違 法性 は即 時 に認 定 で きる もの で あ る。 の み な らず ・ 同 室 長 の判 断 は 、原 告 らの被 っ た差 別 的処 遇 を容 認 す る こ とで 差別 の存 続 に 加 担 した もの で あ り、女 性 差 別撤 廃 条 約 第2条(d)に よ り公 的機 関 に課 せ られ た 「女 子 に対 す る差 別 とな る あ らゆ る行 為 … を差 し控 え」 るべ き義 務 の違 反 を も引 き起 こ した とい え る。

む ろん 、 同室 長 の判 断 は 、均 等 法 お よび指 針 ・施 行 通 達 に忠実 に したが っ た だ け だ った の か も しれ な い。 しか しそ の こ とは、女 性 差 別撤 廃 条約 違 反 の責 任 を免 れ させ る もの で は ない 。条約 法 条 約 第27条 が規 定 す る よ うに、

女性 差 別 撤 廃 条約 の不 履 行 を正 当化 す る根 拠 と して均 等 法 ・指 針 ・施 行通 達 を援 用 す る こ とは 国際 法 上 許 され な い。 また、 日本 の 国内 法秩 序 にお い て も、女 性 差 別 撤 廃 条約 が 効 力 順位 にお い て均 等法 等 よ り上位 に位 置 づ け られ て い る こ とは繰 り返 し確 認 した とお りで あ る。 指針 ・施 行 通 達 に忠 実 に したが った ため に公 の機 関 が女 性 差 別撤 廃 条 約 に抵触 す る事 態 を引 き起 こ した ので あ れ ば、指 針 ・施 行通 達 そ の もの が女 性 差 別撤 廃 条約 に抵 触 す る もの と して 、無効 とされ るか あ るい は その 解釈 を改 め られ るべ き もの と い わ な くて は な らない 。 そ れ を避 け るた め に も、指 針 等 は女 性差 別撤 廃 条 約 に適 合す る よう に解 釈 され な けれ ば な らなか っ たの で あ る。

女 性 差 別撤 廃 条 約 の 締 約 国 は、 条 約 第2条(b)あ る い は第11条 に も と づ きい か な る措 置 を とる のか につ い て相 応 の裁 量 を認 め られ て い る。均 等 法 とい う法 律 は、 日本 政 府 が そ う した裁 量 の 範 囲 内 で 自 ら適 当 と思 料 して

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司法におけるジェンダー ・バイアスー女性差別撤廃条約の適用可能性

れ た もの で あ っ た。 つ ま り、高 卒 女 子 一般 の非 効 率 等 を前提 に最 も効 率 の よい労 務 管 理 を追 求 す る 目的 で 、 高 卒 女子 に不 利 な区 分 ・職 種 を課 し、 そ の下 での 処 遇 が 、名 称 こそ変 われ 、是 正 され る こ とな く現 在 にい た る まで 継 続 して い る とい うのが 実 態 で あ る。 最 も効 率 の よい労 務 管 理 を追 求 す る とい うこ とそ れ 自体 は条 約 に抵 触 す る わ けで は ないが 、 そ う した労 務 管 理 の前 提 とな る高 卒女 子 一般 の位 置 づ けが 、 男女 の定 型 化 され た役 割 分 担 意 識 を払 拭 し、 事 実 上 の平 等 を希 求 す る女性 差 別 撤 廃 条約 の 下 にお い て は 、

と うて い正 当化 され る もの で は ない 。 そ もそ も、 条 約 の趣 旨 ・目的 と真 っ 向 か ら対 立 す る もの とい うべ きで あ る。 そ れ ゆ え、 原告 らに別 異処 遇 を課 し続 け てい る事 由 を 「客 観 的」 とみ る こ とは困難 で あ り、客 観性 が ない以 上 ・別 異処 遇 の実 態(目 的 を達 成 す るた め に とられ て い る 手段)と の 関係 で 「合 理 的」 との判 断 を導 く余 地 もな い。

結 局 の と ころ、控 訴 人 が女 性 差 別撤 廃 条約 発 効 後 に引 き続 き被 っ てい る 不 利 な処 遇 は、 客観 的 かつ 合 理 的 な事 由 に よ り正 当化 で きず 、女 性 差 別撤 廃 条 約 が撤 廃 を求 め る 「女 子 に対 す る差 別 」 に該 当 す る と思 料 され る。 ち なみ に、1995年 に行 わ れ た 日本 の 第2・3回 報 告併 合 審 査 後 の 最 終 コ メ ン トにお い て 、女 性 差 別撤 廃 委 員会 は、 本 件事 案 に か か る情 報 も勘 案 の うえ (原 審 に提 出 され た控 訴 人 の陳 述 書(甲 第58号 証7‑8頁 、 甲 第59号 証6

‑7頁)参 照) 、 「私企 業 にお い て昇 格 お よび賃 金 に関 して 、女 性 が 直 面 し て い る 間接 差 別」 に対 処 す る よ うに 日本 政 府 に勧 告 して い る(国 際 女性 の 地位 協 会編 『女 性 関連 法 デ ー タブ ッ ク』(有 斐 閣 、1998年)20頁)。

女 性 差 別撤 廃 条 約 第2条(d)に よ り、 日本 国 は 、 「公 の機 関 を通 じて差 別 と な る い か な る行 為 か ら も女 子 を効 果 的 に保 護 す る こ とを確 保 す る こ

と」 を約 束 して い る。 大 阪 婦 人 少 年 室 長 は 、 「公 の機 関」 と して差 別 とな るい か な る行 為 か ら も原 告 ら を効 果 的 に保 護 す る義 務 を負 って い た。 本 件 の場 合 に は 、女 性差 別 撤 廃 条 約 上 の差 別 にあ た る と思 料 され る行 為 が あ っ た に もかか わ らず 同室 長 が それ を差 別 と認 識 す る こ とを怠 った ため に、 そ の後 に引 き続 く効 果 的 な保 護 へ の 道 が遮 断 され て しま った 。 少 な く と も、

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神 奈 川大 学 法 学研 究 所 研 究 年 報20

条 約 の適 用 が な され るわ けで はな い。

6、 被 告 国 は 、 均 等 法 に よ る調 停 制 度 は 、 紛 争 解 決 援 助 の た め の 行 政 サ ー ビ ス で あ っ て 、 原 告 らに 調 停 請 求 権(調 停 を受 け る権 利)を 認 め た も の で な い こ と は も と よ り 、原 告 らが 主 張 す る 「調 停 を 受 け る 期 待 」 や 「調 停 を受 け る機 会 」 も未 だ 法 的 保 護 に 値 す る権 利 とは 言 え な い と主 張 して い る 。 被 告 国 の か か る 主 張 は 、女 子 差 別 撤 廃 条 約 に照 ら して妥 当 か 。

原 判 決 認 定 の とお り、 本 件 にお い て は、 「被 告 会 社 が 、一 方 で 幹 部 候 補 要員 で あ る全 社 採 用 か ら高卒 女 子 を閉め 出 し、他 方 で 事 業所 採 用 の事 務 職 を定型 的補 助 的業 務 に従 事 す る職 種 と位 置付 け 、 この職 種 を もっ ぱ ら高卒 女 子 を配 置 す る職 種 と位 置 づ け た こ と」(判 決150頁)に よ り、 「研 修 教 育 の違 い 、職 級 昇格 の違 い 、職 種 転換 の違 い 、管 理 職昇 進 の違 い」等 が 生 じ、

さ らに 「原告 ら高 卒 女子 には全 社 採 用 で採 用 され る機会 や専 門職 に転 換 す る機 会[も]与 え られ… なか った」(同155‑156頁)。 この よ うに、 区分 ・ 職種 とい う表 面 的 には性 中立 的基 準 に よ り、原 告 ら女 性 に、昇 進 等 の権 利 享 受 にあ た り不利 な影 響 が 生 じた こ とは明 らか で あ り、 しか も原 告 らは現 在 に い た る まで そ う した処 遇 を受 け続 け て い る。 「現 時 点 で は、被 告 会 社 が 採 用 して い た よ うな女子 事 務 職 の位 置 付 けや 男女 別 の採 用 方法 は受 け入 れ られ る余 地 は ない」 と原 判 決 が い う ご と くで あ る(判 決153頁)。

もっ と も、 そ う した不利 な処 遇 で あ って も、 そ れ を正 当化 す る客観 的 か つ 合理 的 な事 由 が あ れ ば 、女性 差 別 撤 廃 条約 上 の差 別 に はあ た らない 。す で に述 べ た よ う に、 「客 観 的 」 とは 、別 異 処 遇 を もた らす事 由が この 条約 の下 で 正 当 と認 め られ る 目 的 を有 して い る こ とで あ り、 「合 理 的」 とは 、 使 用 され る手 段 と追 求 され る 目的 との 間 に均 衡性 が保 た れ てい る こ とをい

う。 だ が 、 原 判 決認 定 の とお り、原 告 らの処 遇 は 、 「結 局 は、 高 卒 女 子 一 般 の非 効 率 、非 能 率 とい うこ と に よる もの」(同150頁)で あ り、 また 、男 女 の定 型 化 され た役 割 分 担 意識 をは じめ とす る社 会 意 識 に よ って もた らさ

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司法におけるジェンダー ・バイアスー女性差別撒廃条約の適用可能性

全 体 を上 告 会 社 に対 す る貢 献 度 の 上 が らな い従 業 員 と断 定 す る根 拠 は な い。 … 各個 人 の労 働 能 力 の差 異 に応 じた取扱 が され る の は格 別 、一 律 に従 業 員 と して不 適 格 とみ て企 業外 へ 排 除す る まで の 理 由 は ない」 と判 示 して い た こ と(最3小 判 昭和56・3・24労 判360号23頁)、 あ るい は 、す で に昭 和22年 の 時点 で労 働 基 準 法 第4条 の い う 「女子 で あ る こ との み を理 由 とす る差 別 」 が 行 政 解釈 に よ り 「労働 者 が 女 子 で あ る こ との み を理 由 と して 、 或 い は社 会 通 念 と して 、 若 し くは 当該 事 業場 にお い て、 女 子労 働 者 が 一 般 的 、又 は平均 的 に能率 が悪 い こ と、知 能 が低 い こ と、勤 続 年 数が 短 い こ と、

扶 養 家 族 が 少 ない こ と等 の理 由」 に も とつ い て賃 金 に差 異 を設 け る こ と と され て い た こ と(昭 和22・9・13発 基17号)な どに鑑 み る と、 どれ ほ どの 正 当性 が あ るの かが 疑 わ しい ところ であ る。

もっ と も、女 性 差 別撤 廃 条 約 に関 して い え ば、 この条 約 が 日本 につ い て 効 力 を生 じたの は1985年 であ り、 昭和40年 代 に遡 及 して この条 約 を適 用 す る こ とはで きない。 女性 差 別撤 廃 条 約 が 日本 につ い て効 力 を生 ず る 日前 に 完 了 した行 為 若 し くは事 実 又 は消 滅 した事 態 につ い て 日本 国 は条約 上の義 務 を負 うこ とは な い。 た だ し、条 約 発 効 前 に行 わ れ た行 為 等 で あ って もそ れが発 効 後 に引 き続 き存 在 す る場 合 は この 限 りで は な い。 原 告 らが条 約 発 効 前 に受 け た取 扱 い は こ ん に ち まで 引 き続 き存 在 して い る もの にほ か な ら ず 、 女性 差 別 撤 廃 条 約 が 日本 につ い て効 力 を生 じた 日以後 、 同 条約 との適 合性 を問 わ れ る もの に な った とみ なけ れ ば な らな い。 この 点 は す で に指 摘

した とお りで あ る。

原 判決 は 、条 約発 効 前 に行 わ れた採 用 区分 を問題 にす るの で は条 約 に遡 及効 を認 め る こ とに な って しま う と述べ る(判 決165‑166頁)が 、 こ う し た認 識 は、 国 際 法 上 誤 りで あ る。 採 用 区分 の 設定 が発 効 前 で あ った と して

も、 そ う した区 分 あ るい は そ の下 で の処 遇 が 条 約発 効 後 も継 続 して い る場 合 に は 、 その 限 りで(つ ま り条約 が発 効 した時 点 か ら)条 約 との適 合性 が 問 わ れ る こ とに な る。 そ の 場 合 に問 わ れ る の は 条 約 発 効 後 に 引 き続 く区 分 ・処 遇 なの で あ って、 原 判 決 が 危惧 す る よ うに、発 効 前 の事 態 に遡 って

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神奈川大学法学研究所研究年報20 同時 に差 別 を構 成 す る。

募 集 ・採 用 区分 とい う基準 を通 じてで あ って も、 それ に よ って 女性 に不 利 な影響 が 生 じて い る場 合 に は、女 性 差 別撤 廃 条 約 上 の 差別 が 成 立 す る余 地 が あ る。 「配 置 や 昇 進 が 採 用 区分 や 職 種 の要 素 を加 味 して行 わ れ る場 合 に、 男 女 で それ らが異 な る こ とに よ り、結 果 と して配 置 や 昇 進 に当 た り男 女 の異 な る取 扱 い が 生ず る こ と とな って も、均 等 な取 扱 い に反す る もの と は言 え ませ ん」(被 告 国最 終 準 備 書 面22頁)と い う認 識 は、女 性 差 別撤 廃 条約 の差 別 の 定義 には 適 合 しない 。 「結 果 と して 配 置 や 昇進 に当 た り男 女 の異 な る取扱 いが 生 ず る こ と とな って」 い る ので あ れ ば 、そ こ には昇 進 に つ い ての 権利 等 の 享受 にあ た り女 性 に不利 な影 響 が 出 て い るの だか ら、 そ う した別 異 の取 扱 いが 客 観 的 ・合 理 的 に正 当化 され るの か ど うか が 問 わ れ なけ れ ば な らない 。 同一 条件(募 集 ・採 用 区分)内 にあ る者 の 間で しか比 較検 討 の対 象 に な らな い とい う大 阪 婦 人 少 年室 長 の判 断 は、設 定 され た条 件 に起 因す る差 別 的効 果 を問題 にす る女性 差 別 撤 廃 条 約 の基 本 的要 請 を踏 まえ て お らず 、 同 条 約 の 観 点 か らみ て、 著 し く妥 当性 を欠 く もの で あ っ た。

5、 一 審 判 決 は 、 原 告 らが 採 用 さ れ た 当 時 の 採 用 区 分 が 、男 女 別 の 採 用 区 分 で あ っ て も 、昭 和40年 代 に お い て は公 序 良 俗 に反 す る と ま で は言 え な い もの で あ っ た し、均 等 法 も女 子 差 別 撤 廃 条 約 も過 去 に は 遡 及 しな い か ら 、大 阪 婦 人 少 年 室 長 が 、 原 告 ら と高 卒 男 性 と は採 用 区 分 が 異 な る と して 、調 停 不 開 始 決 定 を した こ とに 違 法 は な い と判 断 した。 こ の 一 審 判 決 の 解 釈 は 、 女 子 差 別 撤 廃 条 約 に 照 ら して妥 当

か 。

原 判 決 に よれ ば 、原 告 らが採 用 され た昭和40年 代 こ ろの社 会 情 勢 に照 ら す と男女 別 の 採用 区分 であ って も公 序 良俗 に反 す る もの で は なか った との こ とだ が 、 これ につ い て は、 定年 差 別 に関 す る 日産 自動 車事 件 最 高裁 判 決 が 、 昭和40年 代 当時 に 「女 子 従 業員 各 個 人 の 能 力等 の評 価 を離 れ て、 そ の

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司法におけるジェンダー ・バイアスー女性差別撤廃条約の適用可能性 (DavidHarris&SarahJosephteds.},TAEINTERNATIONAL,COVENANT ONα 肌AM)POLITICALRIGHTSANDUNITEDKINGDOIVfLAW

(1995),p.585‑586)。 こ う して 、 自由 権 規 約 で は 、 中 立 的 な 基 準 の 適 用 に よ り特 定 の 集 団 に不 利 な 影 響 が 生 じて い て も、 そ れ が 合 理 的 か つ 客 観 的 な事 由 に よ っ て 正 当 化 さ れ る 場 合 に は 差 別 に は あ た ら な い と い う こ と に な る 。

こ う した 自 由権 規 約 の 先 例 は 、 同 様 の 差 別 の 定 義 を採 用 して い る女 性 差 別 撤 廃 条 約 の 解 釈 に あ た り きわ め て 重 要 な 指 針 を提 供 す る 。 自 由 権 規 約 の 下 で の 先 例 は 、 条 約 法 条 約 第32条 の い う 「解 釈 の 補 足 的 な 手 段 」 とな り、 ま た 、 人 権 条 約 の 体 系 的 解 釈 と 「最 恵 者 」 待 遇 の 確 保(女 性 差 別 撤 廃 条 約 第 23条)と い う観 点 か ら も、 こ れ を 参 照 す る こ とが 求 め られ て い る(な お 、

自 由 権 規 約 の 下 で の 先 例 は 、 間接 差 別 につ い て 先 進 的 な 判 断 を蓄 積 して い る 欧 州 共 同 体 裁 判 所 の 判 例 と も適 合 して い る。 この 点 に つ い て 、 た とえ ば 、 浅 倉 む つ 子 『労 働 と ジ ェ ン ダー の 法 律 学 』(有 斐 閣 、2000年)255頁 参 照)。

募 集 ・採 用 区 分 と い う雇 用 管 理 上 の 基 準 に よ る男 女 別 異 の 取 扱 い は 、 大 阪 婦 人 少 年 室 長(被 告 国)お よ び 原 判 決 に よ れ ば 、均 等 法 ・指 針 ・施 行 通 達 との 抵 触 を生 じ させ る もの で は な い とい う こ と だ が 、 女 性 差 別 撤 廃 条 約 との 関 連 で は 、 第1条 が 間 接 差 別 の 法 理 を含 み もつ 以 上 、 そ う した 取 扱 い で あ っ て も 同 条 約 上 の 差 別 を構 成 す る可 能 性 は排 除 さ れ な い(現 に 、 差 別 に あ た る と い う こ と に つ い て は 後 述 す る)。 大 阪 婦 人 少 年 室 長(被 告 国) お よ び 原 判 決 の 認 識 は 、差 別 の 有 無 の 判 定 は 同 一 の 条 件(募 集 ・採 用 区 分) を満 た す 者 同 士 の 間 で しか で き な い と い う 、伝 統 的 な 形 式 的 平 等 観 に よ っ て 支 え られ て い る。 そ れ に 対 して 、 女 性 差 別 撤 廃 条 約 は 、 不 均 衡 な 社 会 構 造 を背 景 に して 設 定 され る 条 件(募 集 ・採 用 区 分)そ の もの が 女 性 に 対 す る 差 別 を 生 み 出 す 源 泉 に な っ て い る こ と に 関 心 を寄 せ る 。 そ して 、 表 面 的 に は性 中 立 的 な 条 件 の 下 で あ っ て も、 女 性 に不 利 な 影 響 が 生 じて い る 場 合 に は 、 そ の 条 件 が 女 性 差 別 撤 廃 条 約 の 下 で 正 当 と認 め ら れ る 目 的 を 有 し、

か つ 、 当 該 目的 と使 用 さ れ る 手 段 との 間 で 均 衡 性 が 保 た れ て い な い 限 り、

差 別 に あ た る とす る 。 む ろ ん 、 こ う した 取 扱 い は 、 自 由 権 第26条 の 下 で も

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神奈川大学法学研究所研究年報20 こ の 差 別 の 定 義 に 留 意 し、 「自 由 権 規 約 は た しか に 間 接 差 別 を禁 止 して い る」 と言 明 して い る 。

ち な み に 自 由 権 規 約 は 、 第26条 に お い て 、 平 等 ・差 別 の 禁 止 を独 立 した 権 利 と して 性 格 づ け 、 ま た 、 私 人 間 に も適 用 が あ る もの と し て い る。 自 由 権 規 約 委 員 会 が い う よ う に 、 第26条 は 「そ れ 自体 で 自律 した 権 利 を規 定 す る も の で あ る 。 同 条 は 、公 的 機 関 が 規 制 しお よ び 保 護 す る あ ら ゆ る分 野 に お い て 法 律 上 、 事 実 上 の 差 別 を禁 止 す る もの で あ る 。 し た が っ て 、 第26条 は 、 法 の 制 定 お よ び適 用 に 関 して 締 約 国 に 課 せ ら れ た 義 務 に か か わ る 。 締 約 国 が 制 定 す る 法 律 は 、 そ の 内 容 が 差 別 的 で あ っ て は な ら な い と い う第26

条 の 要 件 に適 合 し て い な くて は な らな い 。 換 言 す れ ば 、 第26条 の 定 め る 差 別 禁 止 原 則 が 適 用 され る の は 、 規 約 の 規 定 す る 権 利 に 限 ら れ る わ け で は な い 」(一 般 的 意 見18、 第12項)。 ま た 、 自由 権 規 約 委 員 会 は 、2000年3月 に 採 択 した 、 男 女 の 同 権 に 関 す る 「一 般 的 意 見28」 に お い て 、 自 由 権 規 約 の

も と で の 性 差 別 の 禁 止 が 私 人 間 に 及 ぶ こ と を 明 瞭 に確 認 した(Josephet.

aL,Id.,p.635>。 自 由 権 規 約 の 下 で の 性 差 別 と女 性 差 別 撤 廃 条 約 の 下 で の 性 差 別 と は 、 ほ ぼ 同様 の 内 容 を もつ もの とみ て よい 。

自 由 権 規 約 委 員 会 が 取 扱 っ た 人 権 救 済 申 立(個 人 通 報)の 中 に は 、 基 準 (法 律)が 表 面 的 に 中 立 で あ っ て も 、 特 定 の 集 団 に 差 別 的 な 「効 果 」 が 生

じれ ば 、 第26条 の 差 別 に あ た る こ と を認 め た も の が あ る(Josephet.al., Id.,P.534)。 も っ と も、 差 別 的 な 「効 果 」 が 生 じ る こ と か ら た だ ち に条 約 違 反 が 認 定 さ れ て い る わ け で は な い 。 「取 扱 い に 区 別 が あ っ て も 、 そ の 基 準 が 合 理 的 か つ 客 観 的 で あ り、 そ の 目 的 が 規 約 の 下で 正 当 と さ れ る 目 的 を

達 成 す る た め で あ れ ば 、 こ の 区 別 が す べ て 差 別 とな る わ け で は な い 」(一 般 的 意 見18、 第13項)。 自 由 権 規 約 委 員 会 が 扱 っ た 人 権 救 済 申 立 の 事 例 に

は こ の 基 準 を 具 体 的 に 適 用 した も の が 少 な く な い が 、そ れ ら を 分 析 す る と 、 区 別 は 、 自 由 権 規 約 の 下 で 正 当 と認 め ら れ る 目 的 を有 して い る場 合 に 「客 観 的 」 と判 断 さ れ 、 さ ら に、 使 用 され る 手 段 と追 求 さ れ る 目的 との 間 に均 衡 性 が 保 た れ て い る 場 合 に 「合 理 的 」 と 判 断 さ れ て い る こ とが わ か る

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司法におけるジェンダー ・バイアスー女性差別撤廃条約の適用可能性

差 別 撤 廃 条 約 と ほ ぼ 同 様 の 差 別 の 定 義 を 第1条1で 採 用 して い る が 、 同 条 約 の 履 行 状 況 を 監 視 す る 人 種 差 別 撤 廃 委 員 会 は 、1993年 に採 択 した 「一 般 的 勧 告 」14(条 約 第1条1の 解 釈 適 用 に 関 し人 種 差 別 撤 廃 委 員 会 の 見 解 を 示 した もの)に お い て 次 の よ う に 述 べ 、 同 条 約 が 直 接 差 別 の み な らず 間 接 差 別 も禁 止 して い る こ と を確 認 して い る 。 「委 員 会 の 見 解 に よ れ ば 、 取 扱 い の 区 別 は 、 区 別 の 基 準 が 、 条 約 の 趣 旨 及 び 目 的 か ら判 断 して 正 当 で あ る 場 合 … に は差 別 を構 成 し な い 。 … 委 員 会 は 、 あ る 行 為 が 条 約 に 反 す る効 果 を 有 す る か 否 か を決 定 す る に あ た り、 人 種 、 皮 膚 の 色 、 世 系 又 は 民 族 的 若 し くは 種 族 的 出 身 に よ っ て 区 別 さ れ る 集 団 に対 して 、 そ の 行 為 が 正 当 化 し え ぬ 不 利 な 影 響 を も た らす か ど うか を検 討 す る で あ ろ う」(邦 訳 に あ た り、

反 差 別 国 際 運 動 日本 委 員 会 『人 種 差 別 撤 廃 条 約 と反 差 別 の 闘 い 』(解 放 出 版 社 、1995年)123頁 を 参 照)。

自 由 権 規 約 も同 様 に 間 接 差 別 の 法 理 を差 別 の 定 義 に 包 摂 して い る 。 自 由 権 規 約 委 員 会 の 一 般 的 意 見 第18は 次 の よ う に い う。 「委 員 会 は 、 本 規 約 で 用 い られ て い る 『差 別 』 とい う用 語 は 、 人種 、 皮 膚 の 色 、 性 、言 語 、 宗 教 、 政 治 的 意 見 そ の 他 の 意 見 、 国 民 的 若 し くは 社 会 的 出 身 、 財 産 、 出 生 又 は 他 の 地 位 な どあ ら ゆ る 理 由 に も とつ く、 あ らゆ る 区 別 、 排 除 、 制 限 又 は 優 先 で あ っ て 、 す べ て の 人 が 平 等 の 立 場 で あ らゆ る 人 権 と 自 由 と を認 識 し、 享 有 し又 は行 使 す る こ と を無 効 に し、 又 は 害 す る 目 的 又 は効 果 を有 す る もの を 意 味 す る と理 解 さ れ るべ き もの と考 え る 」(第7項 。 邦 訳 は 、 日本 弁 護 士 連 合 会 『国 際 人 権 規 約 と 日本 の 司 法 ・市 民 の 権 利 一 法 廷 に活 か そ う国 際 人 権 規 約 』(こ う ち書 房 、1997年)439頁 。 な お 、 「一 般 的 意 見 」 と は 、 自 由 権 規 約 第40条4に も とつ い て 自由 権 規 約 委 員 会 が 作 成 す る も の で 、 女 性 差 別 撤 廃 条 約 に お け る 「一 般 的 勧 告 」 と 同 様 の 機 能 を も つ も の で あ る)。

自 由 権 規 約 の 包 括 的 な コ ン メ ン タ ー ル で あ る 、SarahJoseph,Jenny Schultz&MelissaCastan,THEINTERNATI(Jl>A、 乙COVENANTON

CIVILANDPOLITICALRIGHTS:CASES,MATERIALS,AND

COMMENTARY(2000),p.533は 、 「効 果 」 に 言 及 す る 自 由 権 規 約 委 員 会 の

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神奈川大学法学研究所研究年報20 女 性 差 別撤 廃 条 約 第1条 は 、女性 に対 す る差 別 を 「性 に基 づ く区別 、排 除又 は制 限 で あ っ て、 政 治 的 、経 済 的 、社 会 的、 文 化 的 、市 民 的 そ の他 の い か な る分 野 にお い て も、女 子(婚 姻 を して い るか い ない か を問 わな い。) が男 女 の 平等 を基 礎 と して 人権 及 び基 本 的 自由 を認 識 し、享 有 し又 は行 使 す る こ とを害 し又 は無 効 にす る効 呆 又 は 目的 を有 す る もの」 と定 義 す る。

こ う した差 別 は私 人 間 の行 為 に も適 用 され る。 条 約 第2条(e)に よ り企 業 に よる差 別 が この条 約 の射 程 に入 る こ とは明 らか で あ る。 「人権 及 び 基 本 的 自由」 は多 岐 に わた るが 、世 界 人権 宣 言 や 自由権 規 約 、 社 会権 規 約 を は じめ とす る 国際 人権 諸 文 書 に含 まれ て い る もの が そ の代 表 的 な もの に な ろ う。 こ こで は 、 さ しあ た り、労働 にか か わ る諸 権 利(特 に女性 差別 撤 廃 条 約 第11条 に も規 定 された 、 同一 の選 考基 準 の適 用 を含 む雇 用 機 会 ・昇 進 等 につ いて の権 利)を 想 定 す れ ば よい 。女 性 に よるそ う した権 利 の享 有 ・ 行 使 を害 す る 目的 ・効 果 を もつ 区別 ・排 除等 が 「女 子 に対 す る差 別」 とい

う こ とに なる 。

均 等 法 お よび指 針 ・施 行 通 達等 は 、女 性 の権 利 行 使 を害 す る 「目的」 を 有 す る もので は ない 。 しか し、募 集 ・採 用 区 分 に よる別 異 処遇 を雇 用 管 理 上 の取 扱 い の差 異 と して一律 に正 当化 す る こ とは、女性 の権 利(た とえば、

雇 用 機 会 ・昇 進 につ い て の権 利)行 使 を害 す る 「効 果」 を容 認す るこ とに つ なが りか ね な い。 女性 差 別 撤 廃 条約 は 、募 集 ・採 用 区分 とい った性 中立 的 な基 準 で あ っ て も、 女性 の権 利 行使 を害 す る 「効 果」 を もつ もの で あれ ば 、 「女 子 に対 す る差 別 」 にあ た る こ とを認 め てい る。 す で に述 べ た よ う

に、 「効 果 」 に か か わ る部 分 は 、 表 面 的 に 中立 的 な基 準 に よ りい ず れ か の 集 団 が 正 当 な理 由 な く不 利 な影 響 を被 る場 合 こ れ を差 別 とみ な す とい う

「間接 差 別 」 の法 理 を反 映 した もの で あ る。

女性 差 別撤 廃 条約 第1条 の解 釈 に あ た って は 、解 釈 の補 足 的 な手段 と し て、 また 、 人権 条 約 の体 系 的解釈 あ る い は 「最 恵者 待 遇」 の確 保 とい う観 点 か ら、他 の 人権 条 約 の実 践 を参 照 す る必 要 が あ る。 この 点 で 、 「あ らゆ る形 態 の 人種 差 別 の撤 廃 に関 す る国 際 条約 」(人 種 差 別撤 廃 条約)は 女性

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司法におけるジェンダー・バイアスー女性差別撤廃条約の適用可能性 たい。

女性 差 別 撤 廃 条 約 は 、 日本 につ い て効 力 を生 じた 時 に 日本 の国 内 法 にそ の まま受 容 され 、 法 律 よ りも上 位 の効 力 順 位 を与 え られ た 。 した が って 、 この条 約 に抵 触 す る法 令 は無 効 で あ り、 そ の よ うな事 態 が 生 じない よ うに 関係 法 令 を解釈 す る こ とが 求 め られ てい る。 これ は 、 国際協 調 主義 を体 現 す る 日本 国憲 法 第98条2項 の 要請 で もあ る。被 告 国 が い うよ う に、均 等 法 は、 女性 差 別 撤 廃 条 約批 准 の た め の国 内 法整 備 の一 環 と して制 定 され た も の で あ るが 、す で に述べ た よ うに、 この よ うな国 内法 が制 定 され た こ とに よって 、条 約 それ 自体 の 国内 的 効力 が失 わ る わ けで はな く、均 等 法 を含 む 関係 法 令 は、 制 定後 も、上 位 法 で あ る女 性 差 別撤 廃 条 約 との適 合性 を絶 え ず審 査 され る もの で あ る。

被 告 国 と原 審判 決 は、 こ う した 日本 の 国内秩 序 にお け る女性 差 別 撤 廃 条 約 の位 置 を不正 確 に認 識 し、 あ た か も、均 等 法 の 解 釈 を示 す 指 針(「 事 業 主 が 講 ず る よ う に努 め るべ き措 置 につ い て の指 針 」(昭 和61年 労働 省 告 示 第4号))や 施行 通 達(昭 和61年3月20日 婦 発 第68号 、職 発 第112号 、能 発 第54号)が 同条 約 の 解釈 を決 す るか の よ うな認 識 をみ せ て い る。 均 等 法 は 女性 差 別 撤 廃 条 約 の 実施 法 で あ り、 そ の実 施 法 の下 で の判 断 で あれ ば条約 違 反 には あ た らない とい う論 理 の展 開 だが 、 こ れ は明 白な誤 りで あ り、控 訴 審 に お い て是 正 され な くて は な らな い。 均 等 法 お よび そ の指 針 ・施行 通 達 等 こそが 女性 差 別 撤 廃 条 約 の 自律 した解 釈 に照 ら しそ の適 法性 を審査 さ

れ るべ き もので あ る。

さて、 大 阪婦 人少 年 室 長 は、男 女 で異 な る取 扱 いが 生 ず る こ とにな っ て も、そ れ が募 集 ・採 用 区 分 に よる もの で あ れ ば 、 同一 の 条 件 下 で の比 較 対 象 に な らな い の だ か ら、均 等 な取 扱 い に反 す る こ とに は な らな い とい う。

被 告 国 は 同室 長 の こ う した解 釈 を均 等 法 の指 針 ・施行 通達 に よ り正 当化 す るの だが 、 本 意 見 書 に求 め られ て い る の は、 同室 長(し た が っ て被 告 国) の認 識 が 女 性 差 別撤 廃 条 約 に照 ら して ど う判 断 され るか 、 とい う もの で あ

る。

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神奈川大学法学研究所研究年報20 あ っ て も、 そ の基 準 を と りま く社 会 構 造 あ るい は意 識 が女 性 に不利 には た

ら くもので あ れば 、 当該 基 準 は、女 性 差 別 を再 生 産 し、 そ れ を制 度 的 に固 定 化 す る効 果 を もつ こ とに な る。女 性 差 別撤 廃 条約 は、 そ う した事 態 の 変 革 を求 め る もの にほ か な らない 。

大 阪婦 人少 年 室 長 の調 停 不 開始 決 定 は、 「本 来 、 男女 の均 等 取扱 い あ る い は機 会 の均 等 とは、 同 一 の条 件 を満 た す男 女 間 で議 論 され るべ きもの で あ り、 そ の意 味 で募 集 ・採 用 区分 の異 な る男 女 に対 す る均 等 な取扱 い は均 等 法 が 当 初 か ら予 定 して い ない もの で あ る」(被 告 国最 終 準 備 書 面48頁)

との 認識 に も とつ い て い る。 募 集 ・採 用 区 分 の異 な る男 女 は 「同一 の条件 を満 た す 男女 」 で は ない ので 、 両 者 間 にお け る配 置 ・昇 進 にお け る格差 は 均 等 法 の 禁ず る とこ ろで は な い とい う こ とであ る。原 判 決 も被告 国 の認識 を支持 し次 の よ う に述 べ てい る。 「均 等 法8条 が事 業 主 に求 め る配 置 、昇 進 につ い ての均 等 取 扱 い は、結 果 の平 等 で は な く、 機 会 の平 等 を意味 す る もの で あ り、機 会 が均 等 か 否 か は 、被 告 国 が 主張 す る とお り、条件 が 同0 の 男女 間 で判 断 され るべ きこ とで あ る。 事 業 主 が採 用 区 分 を設 定 して コー ス 別 の 人事 管 理 を行 うの は、 労働 者 の活 用 の ため 、採 用 後 の 勤務 条 件 や処 遇 を異 に して い るか らで あ り、そ の た め 、採 用 条件 … も採 用 区 分 に応 じて 異 な っ てい るのが 通常 で あ る 。 その よ うな場 合 に、採 用 条 件 や採 用後 の 勤 務 条 件 、 処 遇 の異 な る労働 者 間 での 昇 進 の違 い を比 較 して も、そ こ に差 が あ るの は む しろ当然 の こ とで あ り、 それ を もって差 別 と称 す る こ とはで き ない」(判 決162頁)。

被 告 国 お よび原判 決 の示 す こ う した平 等観 は 、女 性 差 別撤 廃 条 約 が 克服 し よ う と して い る旧 来 か らの 平等 観 そ の もの とい って よい 。 そ こで は、 設 定 され た基 準 そ れ 自体 の差 別 性 あ るい は そ の背後 に ひそ む社 会構 造 と女性 差 別 との密 接 なつ なが りへ の 関心 が きわ め て稀 薄 で あ る。 そ こ に この条 約 との齪 酷 を生 じさせ る決定 的 な契 機 が 生 じる わ けだ が 、 この点 につ い て論 ず る前 に 、被 告 国 の主 張 お よび原 判 決 が 、 日本 の国 内法 秩 序 にお ける女 性 差 別撤 廃 条 約 の位 置 づ け を根 本 か ら違 えて い る こ とにつ い て一 言 して お き

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司法におけるジェンダー ・バイアスー女性差別撤廃条約の適用可能性

しか るべ き も の で あ る 。 被 告 企 業 は 、 不 法 行 為 に よ る 損 害 賠 償 と して 、 差 別 的 処 遇 が な け れ ば 存 在 しな か っ た で あ ろ う差 額 賃 金 相 当 額 の 支 払 い を 求 め ら れ て しか る べ きで あ る 。

こ う した被 告 企 業 の 是 正 義 務 の い っ さ い を認 め ず 、 慰 謝 料 す ら認 め な い 原 判 決 は 、 「差 別 とな る い か な る 行 為 か ら も女 子 を効 果 的 に 保 護 す る こ と を」 司 法 機 関 に 求 め る 条 約 第2条(C)に 照 らす ま で も な く、 女 性 差 別 撤 廃 条 約 の 効 力 ・解 釈 を 見 誤 っ た もの で あ り、 妥 当 性 に欠 け る もの とい わ な け れ ば な ら な い 。

4、 大 阪 婦 人 少 年 室 長 は 、右 調 停 不 開 始 決 定 を行 うに あ た っ て 、均 等 法 の 指 針 「事 業 主 が講 ず る よ う に 勤 め る べ き措 置 」 に お い て 「募 集 又 は採 用 区 分 ご と に 、 女 子 で あ る こ と を理 由 と して募 集 又 は採 用 の 対 象 か ら女 子 を排 除 しな い こ と」 と あ る こ と を理 由 と して 、 配 置 ・ 昇 進 の 均 等 法 違 反 の 有 無 も募 集 ・採 用 区 分 ご と に 行 うべ き で あ る と

し、 募 集 ・採 用 区 分 の 異 な る男 女 間 で の 処 遇 の 格 差 は 、女 子 で あ る こ と を理 由 とす る格 差 に あ た ら な い との 解 釈 を行 っ た 。 こ の よ うに 募 集 ・採 用 区 分 の 異 な る男 女 間 での 処 遇 の 格 差 を、 女 子 で あ る こ と を理 由 と す る格 差 に あ た らな い と す る こ と は 、 女 子 差 別 撤 廃 条 約 に 照 ら して妥 当 か 。

女 性 差 別撤 廃 条約 は 、形 式 的 平等 の追 求 が 女性 に対 す る差 別 の解 消 を も た ら さなか った との反 省 に た ち、差 別 を再 生 産 す る構 造 ・意 識 の 変 革 に ま で義 務 の射 程 を拡 張 して作 成 され た もの で あ る。 「女 子 に対 す る差 別 」 の 定 義 も、 この 目的 を踏 まえ、 「間接 差 別 」 を含 む もの と して 構 成 され て い る こ とはす で に述 べ た。

形 式 的 平 等 の基 底 を なす 平 等 観 は 、 「等 しい者 は等 し く、 等 しか ら ざる 者 は等 しか ら ざる よ うに扱 う」 とい う命題 に よ り知 られ て い るが 、 この命 題 が既 存 の不均 衡 な社 会的 関係 を正 当 化 す る機 能 を もつ もの で あ る こ とは す で に述 べ た とお りで あ る。 表 面 的 には性 中立 的 に設 定 され て い る基 準 で

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神 奈 川 大 学 法 学研 究 所研 究 年 報20

す る には 、均 等 法 の努 力 規 定(現 在 で は禁 止規 定)を 原 告 ら との 関係 で誠 実 に履 行 し、必 要 な是正 措 置 を講 ず る必 要が あ った。

是 正 とは 、差 別 的 な 処遇 を実 質 的 に除去 す る こ とに よって 達 成 され る。

是 正措 置 は 、 国 際法 に照 ら して い え ば、 「可 能 な限 り、 違法 行 為 の すべ て を除去 し、 そ の行 為 が 行 わ れ なか っ た な らば おそ ら く存 在 しなか った で あ ろ う状 態 を 回復 」 す る こ とをめ ざす もの で な け れ ば な らない 。 そ の た め に まず 求 め られ るの は条 約 に適合 しな い状 態 の停 止 で あ る。本 件 にお い て は 原 告 らに不 利益 を もた ら してい る原 因が 職 種 の 固定 にあ る こ とは明 らか で あ り、 した が って職種 の転 換 を可 能 にす る機 会 が原 告 らに与 え られ ない 限 り、女性 差 別撤 廃 条 約 に違 背 す る状 態 は治 癒 され ない こ とに なる 。 この 機 会 は実 質 的 な もので な くて は な らず 、 い たず らに 「形式 的平 等」 を追 求 す る もの であ って は な らない 。 一貫 して不利 な処 遇 を受 け て きた者 に、有 利 な処 遇 を受 け て きた者 をモ デ ル とす る転換 の機 会 が 無 条件 で与 え られ る の で は、逆 に差 別 を固定 化 す る こ と に もな りか ね な い。 機 会 が実 質 的 とい え る に は、単 な る形式 的 な機 会 の提 供 に と どま るの で は な く、 職種 の転換 を 可 能 にす るだ け の環境 が併 せ て原告 ら に用 意 され る必 要 が あ る。 も と よ り

こ う した 一連 の是 正措 置 は、 原 判 決 が恐 れ る 「結 果 の 平 等」(判 決159頁) の確 保 をめ ざす もので は ない 。求 め られ るの は あ くまで差 別 を もた らす 状 態 の 除去 で あ る。 是正 措 置 は、 「結 果 の平 等 」 とい う よ り、む しろ 、 「機 会

の実 質 的平等 」 を確 保 す る ため の もの とい うべ きで あ る。

女性 差 別 撤 廃 条 約 に適 合 しない状 態 が 停 止 され て も、 条 約 が発 効 して か ら当 該 停 止 時 点 まで の 間 に原 告 らが 被 った 損 害 が 払 拭 され るわ け で は な い。 国際 法 は 、不 正 な状 態 の停 止 を求 め る一 方 で 、不 正 な状 態 が続 い た こ とに よっ て生 じた損 害 の すべ て を取 り除 くよ う要 請 して い る。 す で に述 べ た よ うに、企 業 にお け る差 別 の撤 廃 を明示 的 に求 め る女性 差 別撤 廃 条 約 は、

民 法 第90条 の公 序 良俗 の 内容 をなす もの と解 す る こ とが で きるの で あ り、

被 告企 業 が 原告 らに対 し是 正措 置 を まっ た く講 じなか った こ とは女性 差 別 撤 廃 条約 に違 背 す る事 態 を存続 させ る もの と して公 序 良俗 違 反 に問 われ て

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司法におけるジェンダー ・バイアスー女性差別撤廃条約の適用可能性

一般 に、国 際 法 に反 す る事 態 が生 じた場 合 に は 、 まず 、 当該 事 態 の停 止 が 求 め られ 、 そ の うえで 、 原状 回復 、金 銭賠 償 、 そ の他 の措 置(陳 謝 、再 発 防 止 措 置 等)が 求 め られ る。 こ う した措 置 は 、 「可 能 な 限 り、 違 法 行 為 の す べ て を除去 し、そ の行 為 が行 わ れ なか った な らばお そ ら く存 在 しなか っ たで あ ろ う状 態 を回復 」 す る ため に と られ る もの で あ る(常 設 国際 司 法 裁 判所 ホ ル ジ ョウ工 場事 件 判 決 、PCIエSeriesA,No.17,p.47)。 女性 差 別撤 廃 条約 に適 合 しない状 態 の是 正 も、 こ う した 国際 法 の 基本 原 則 を踏 まえて な され るべ きもので あ る。

女 性 差 別撤 廃 条 約 は、 原告 らと被 告 企 業 との 間 に実 体 私 法 を介 して適 用 され るの だ か ら、条 約 に違背 す る事 態 の 是正 も、基 本 的 に は実 体 私 法 を通 じて行 わ れ る こ とに な る。 この点 で均 等 法 は、事 業 主 に対 し、労 働 者 の 募 集 ・採 用 につ い て、 女子 労 働 者 に対 して 男 子 と均 等 な機 会 を与 え る よう に 努 め る こ と(第7条)、 お よび 、配 置 ・昇 進 につ い て も、女 子 労 働 者 に対

して男 子 労 働 者 と均 等 な取 扱 い をす る よ うに努 め る こ と(第8条)を 求 め る もの であ った 。一 定 の教 育 訓練 、福 利 厚 生 措 置 、定 年 ・退 職 ・解 雇 に つ い て差 別 的取 扱 いが 明文 で 禁 止 され て い たの に比べ 、募 集 ・採 用 、 配置 ・ 昇 進 が 努 力義 務 に と どめ られ た こ とは女性 差 別撤 廃 条 約 第U条 との 関係 で 重 大 な問題 を提 起 した とい え るが 、 ここで は この点 につ い て は立 ち入 らな い。 た だ 、 配置 ・昇 進等 にお け る均 等取 扱 い が努 力 義 務 に と どめ られ た こ とが 女 性 差 別 撤 廃 条 約 に違 反 す る もの で な か っ た と仮 定 す れ ば な お さ ら に、条 約 に適 合 しない原 告 らの処 遇 は 、 当該 努 力 義務 の誠 実 な履 行 を通 じ て 是 正 され るべ き もの で あ っ た。1999年 に均 等 法 が 改 正 され て 以 後 、 配 置 ・昇 進 につ い て も差 別 的 取扱 い が禁 止 され る こ とに な っ たが 、原 告 らの 処 遇 を是 正 す る義 務 は、 す で に改 正 前均 等 法 の段 階 か ら、被 告 企 業 に課 せ られ て い た とい え る。被 告 企 業 が 原 告 らの 処遇 を是 正 す る ため の措 置 を と ら な か っ た こ と は 、 均 等 法 に よ っ て 課 せ ら れ た 努 力 義 務 の.,,,:怠で あ り (1999年 以 後 は禁止 規定 に抵 触)、 女 性 差 別撤 廃 条 約 に違 背 す る事 態 を存 続 させ る もの に な った とい わ な けれ ば な らな い。 条 約 に適 合 す る事 態 を確 保

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神奈川大学法学研究所研究年報20 女 子 差 別 撤 廃 条 約 に照 ら して妥 当 か。

原 判 決 は 、被 告企 業 に課 せ られ る是 正義 務 を、 是 正義 務 が 発 生 した 「以 後 、採 用 にお い て女子 に も均 等 な機 会 を与 え る ようにす る義 務 に過 ぎないJ と し、 「原 告 らの主 張 は結 局 の とこ ろ 、被 告 会 社 が 過 去 に行 って きた 、 当 時 と して は違 法 とはい え なか った採 用 方 法 や そ れ に基 づ く処 遇 まで も現 在 の違 法 性 の判 断基 準 に照 ら し、過 去 に遡 って評 価 し直 し違法 評 価 を行 う も の とい うほか な く、法 的 安 定性 を欠 く」 と述べ る(判 決158頁)。 この 認 識 は 、均 等 法 施行 前 の差 別 的 処 遇 が均 等 法 とい う名 の も とに固 定 され る こ と

を認 め る に等 し く、雇 用 にお け る男 女 平 等 を推 進 す る均 等 法 の趣 旨に明 白 に違背 す る もの と考 え られ るが 、 女性 差 別 撤 廃 条 約 の観 点 か らみ て も明 ら か に誤 った認識 とい わ な くて は な らな い。

女性 差 別撤 廃 条 約 上 、雇 用 ・昇 進 等 にお け る差 別 か らの保 護 は、均 等 法 施 行前 に採 用 され た原告 らに も疑 い な く及 ん で い る。 この条 約 は、差 別 か らの保 護 を、均 等 法 施行 後 あ る い は条 約発 効 後 に採 用 され た女 性 に限定 し て 及 ぼ す もの で は ない 。 条 約 が 日本 につ い て効 力 を生 じて 以後 、(日 本 の 管 轄 下 にあ る)す べ て の女性 に条 約 の 保護 を及 ぼ して い るの で あ る。また、

この条 約 は 日本 につ い て効 力 を生 じた 日にそ の ま ま国内 法 に受 容 され たの だか ら、 同 日以後 は 、条 約 を適切 に実 施 す る こ とが 国内 法秩 序 の 「法 的 安 定性 」 に資 す る よ うに な っ た とみ なけ れ ば な らない 。上 位 法 た る女 性 差 別 撤 廃 条約 に適 合 しない 国 内法 令 の解 釈 こそが 、 憲法 の要 請 に反 し、 国 内法 秩 序 の 「法 的安 定 性 を害 す る」 もの とな った ので あ る。

被 告企 業 に よる原 告 らの処 遇 は、女 性 差 別撤 廃 条約 が効 力 を生 じた時 点 にお い て 同条 約 の規 律 を受 け る もの とな っ た。 したが って 、 その 時点 にお い て条 約 に適 合 しない 処遇 が 継 続 して い た とす れ ば 、 そ う した事 態 は た だ ち に条 約 に適 合 す る よ う是 正 され な けれ ば な らな い もの で あ っ た(現 に、

条 約 に違背 す る処 遇 、 す なわ ち 「女子 に対 す る差 別」 に該 当す る処遇 が継 続 してい た と考 え られ る。 この点 につ い て は後 述 す るが 、 こ こで は、便 宜 上 、そ う した差 別 的 処遇 が 継 続 して い た こ と を前提 に して論 述 を進 め る。)。

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司法におけるジェンダー ・バイアスー女性差別撤廃条約の適用可能性

も引 き続 い て起 るか又 は存 在 す る場 合 は この 限 りで な い 。具 体 的 には 、原 因行 為 と同 一 の行 為 が 引 き続 き行 わ れ る場 合 か 、 あ る い は、 原 因行 為 の結 果 と して生 じた特 定 の事 態 が 条 約 発 効後 に引 き続 く場 合 に、条 約 との適 合 性 が問 われ る こ とに な る。

原 告 らの 受 け た処 遇 が 採用 当 時 の公 序 良俗 に反 す る もの で あ った の か ど うか は別 と して 、 そ う した処 遇 は こん に ち まで 引 き続 き存在 して い る もの で あ る。条 約 法 条 約 の 要 請 あ る い は 自由権 規 約 委 員 会 にお け る先 例 に照 ら して み る と、 原 告 らの受 け た処 遇 は、 女性 差 別 撤廃 条約 が 日本 につ い て効 力 を生 じた1985年7月25日 以 後 、 同条 約 との適 合性 を問 わ れ る もの に な っ た とみ な けれ ば な らな い。 も とよ りここ で は、 条約 発 効 前 に な され た男 女 別 採用 そ れ 自体 の条 約適 合性 が 問題 に な るの で は な く、 そ う した採 用 区分 の 下 で の別 異 処 遇 が 、条 約 発 効 日以 後 も引 き続 き存在 して い る こ との 問題 性 が問 われ るの であ る。

したが っ て、原 告 らの 採 用 時点 が女 性 差 別撤 廃 条約 発 効 前 で あ る とい う こ とを理 由 に して、 ただ ち に この条 約 の 適 用 可能 性 を排 除 す る こ とは で き ない 。採 用 が条 約 発効 前 で あ って も、発 効 後 に引 き続 く区 分 ・処 遇 は 、 そ の 限 りで条 約 の規律 対 象 にな る。原 告 ら と被 告 企 業 との 関係 に は実 体 私 法 を通 じて女 性 差 別撤 廃 条 約 が 適 用 され る の だか ら、 関連 国 内法 令 は上位 法 で あ る条約 との適 合性 を損 なわ な い よ う に解 釈 され な けれ ば な らない 。

3、 原 告 ら は 、右 の 被 告 企 業 が 負 うべ き是 正 義 務 の 内 容 と して 、 原 告 ら高 卒 女 性 に対 し、高 卒 男 性 が 受 け た と同 様 の 教 育 ・訓 練 な らび に 仕 事 の 配 置 を行 い 、 希 望 者 に は 転 換 試 験 を受 験 さ せ る な どの 措 置 を 講 ず る べ きで あ る と主 張 した。こ れ に対 し、一 審 判 決 は 、原 告 らが 高 卒 男 子 と 同 じ採 用 試 験 に 合 格 した 者 で な い こ と を主 な理 由 と して 、 原 告 らが 主 張 す る 是 正 義 務 は 「結 果 の 平 等 」 を求 め る も の で あ っ て 不 当 で あ る と し、 是 正 義 務 を否 定 した 。 か か る一 審 判 決 の 解 釈 は 、

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神奈川大学法学研究所研究年報20 を構 成 して い る の で あ り、 しか も効 力 に お い て 民 法 よ り も上 位 に 位 置 づ け ら れ て い る 。 そ う で あ る 以 上 、 女 性 差 別 撤 廃 条 約 は 、 憲 法 に ま して 、 民 法 90条 の 公 序 良 俗 の 内 容 を な し、 ま た 、 不 法 行 為 の 解 釈 を規 律 す る もの とみ る べ きで あ る。 む ろ ん そ れ は 、 上 記 判 決 が い う 「男 女 平 等 の 原 理 」 を い っ そ う拡 充 す る こ と に もつ な が る 。

実 体 私 法 を通 じた 人 権 条 約 の 間 接 適 用 可 能 性 を否 定 す る学 説 は な く、 む し ろ 、 こ の 問 題 を 自覚 的 に取 り扱 っ た 岩 澤 教 授 は 、 女 性 差 別 撤 廃 条 約 は 公 序 良 俗 の 内 容 を な し、 私 人 間 で 適 用 さ れ る もの で あ る と い う見 解 を示 して い る(lwasawa,op.clt.,pp.91T92)。 判 例 に お い て も 、 「国 際 人 権規 約 は … 個 別 的 な 実 体 私 法 の 各 条 項 を通 じ て 間 接 的 に適 用 さ れ[る]」(大 阪 地 判 平 成5・6・18判 時1468号130頁)と か 、 「本 件 の よ う な 個 人 に対 す る 不 法 行 為 に 基 く損 害 賠 償 請 求 の 場 合 に は 、[あ ら ゆ る 形 態 の 人 種 差 別 の 撤 廃 に 関 す る 国 際]条 約 の 実 体 規 定 が 不 法 行 為 の 要 件 の 解 釈 基 準 と して 作 用 す る も の と考 え ら れ る」(静 岡 地 浜 松 支 判 平11・10・12判 時1718号101頁)と い う よ う に 、 人 権 条 約 の 私 人 間(間 接)適 用 を認 め る 判 断 が 示 さ れ て い る こ と は す で に 述 べ た と お りで あ る 。 女 性 差 別 撤 廃 条 約 は 、 国 際 人 権 規 約 、 人 種 差 別 撤 廃 条 約 以 上 に 、 私 人 間 の 行 為 を 規 制 対 象 に取 り込 ん で い る 。 国 際 人 権 規 約 や 人 種 差 別 撤 廃 条 約 が 実 体 私 法 を通 じて 私 人 間 で 適 用 さ れ う る もの で あ る な ら 、 そ れ は 、 女 性 差 別 撤 廃 条 約 に つ い て な お い っ そ う妥 当 す る こ

とで あ る 。

2、1項 に お い て 適 用 が あ る と した場 合 に 、 被 告 企 業 は原 告 らの 採 用 時 点 が 、女 子 差 別 撤 廃 条 約 批 准 前 で あ る こ と を理 由 に 、本 件 に お け

る適 用 を否 定 す る こ と が で き る か 。

条約 法 条 約 第28条 が 定 め る よ うに、女 性 差 別撤 廃 条約 が 日本 につ い て効 力 を生 ず る 日前 に完 了 した行 為 若 し くは事 実 又 は消 滅 した事 態 につ い て 日 本 国 は条 約 上 の義 務 を負 うこ とは ない 。 た だ し、す で に述べ た よ うに・条 約 の発 効 前 に行 わ れ た か又 は生起 した行 為 、事 実 又 は状 態 が 、条 約 発効 後

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司法におけるジェ.ンダー ・バイアスー一女性差別撤廃条約の適用可能性 の と な っ て い る 。

ま た 、 女 性 差 別 撤 廃 条 約 は 、 私 法 の 一 般 原 則 を 定 め る民 法 を 通 じて も適 用 さ れ る 。 日産 自動 車 事 件 に お い て 東 京 高 裁 は 、 「性 に よ る 差 別 を受 け な い こ と を定 め た 憲 法 の 趣 旨 を受 け て 、 私 法 の 一 般 原 則 で あ る 民 法 は 、 そ の 冒 頭 の1条 ノ2に お い て 、 『本 法 は 個 人 の 尊 厳 と両 性 の 本 質 的 平 等 を 旨 と して 解 釈 す べ し』 と規 定 して い る 。 か く して 、 性 に よ る不 合 理 な 差 別 を 禁 止 す る とい う男 女 平 等 の 原 理 は 、国 家 と国 民 、国 民 相 互 の 関 係 の 区 別 な く、

全 て の 法 律 関 係 を通 じた 基 本 原 理 と さ れ た の で あ っ て 、 こ の 原 理 が 民 法90 条 の 公 序 良 俗 の 内 容 を な す こ とは 明 ら か で あ る」 と判 示 し、 最 高 裁 も こ れ を 支 持 す る 判 断 を示 して い る(東 京 高 判 昭54・3・12労 判315号18頁 、 最 3小 昭56・3・24労 判360号23頁)。 こ の 判 決 が 示 唆 す る よ う に 、 学 説 ・判 例 の 通 説 は 、 性 差 別 が あ れ ば 当 該 差 別 の 合 理 性 を根 拠 づ け る 特 段 の 事 情 が な い 限 り、公 序 違 反 が 成 立 す る とい う もの だ が 、eS判 決 は こ れ と異 な り、

労 働 基 準 法 が 賃 金 以 外 に つ い て性 差 別 を禁1Lし て い な い の で採 用 に お け る 男 女 差 別 も著 し く不 合 理 で な い 限 り私 的 自治 の 原 則 に よ っ て 有 効 と さ れ る と い う少 数 説 の 立 場 を 踏 襲 し て い る も の と解 さ れ る(判 決151頁 以 下 。 林 弘 子 「雇 用 差 別 裁 判 の 現 状 」 国 際 女 性14号(2000年)143‑一 一144頁参 照)。

こ の 点 に 一 審 判 決 の 特 異 性 の 一 端 が 現 わ れ 出 て い る が 、 た だ 、 通 説 に して も少 数 説 に して も、 企 業 に お け る性 差 別 の 適 否 は 憲 法 の 「趣 旨」 を 受 け て 判 断 さ れ る とい う点 で は 共 通 して い る(た だ し、 「す べ て 国 民 は 、 … 性 別

… に よ り、 … 経 済 的 … 関 係 に お い て 、 差 別 され な い 」 と定 め る 憲 法14条1 項 の 規 定 は 、 本 来 的 に 私 人 間 に も直 接 に 適 用 され る も の で あ る と説 く有 力 な 学 説 もあ る 。 た と え ば 、 森 英 樹 「憲 法14条 を活 躍 させ よ う」 金 融 労 働 調 査 時 報2001年2月 号4頁 以 下)。

こ れ に 対 して女 性 差 別 撤 廃 条 約 は 、 私 人 に よ る 差 別 、 特 に企 業 に お け る 差 別 を明 文 で 撤 廃 の 対 象 に 指 定 して い る 。 企 業 に よ る 女性 差 別 は 、 条 約 の

「趣 旨 」 を受 け て そ の 適 否 を 判 断 さ れ る の で は な く、 条 約 上 そ の 撤 廃 を 明 示 的 に 指 示 さ れ て い る の で あ る 。 そ う した 条 約 が 日本 の 国 内 法 秩 序 の 一 部

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神奈川大学法学研究所研究年報20 直接 に設 定 して い る もの と解 され るの で あ れ ば 、 日本 の憲 法 秩序 はそ れ を そ の ま ま国内 法化 す るの だか ら、私 人 間で の直 接 適 用 も十分 に肯 定 され る 余 地 が 出 て くる。 女 性 差 別 撤 廃 条 約 は 第2条(e)で 企 業 に よ る差 別 の撤 廃 を求 め 、 第11条 で雇 用 機 会 、 昇 進等 につ い て差 別 を受 け ない権 利 を女性 に保 障 し、 第2条(c)で は企 業 に よる差 別 か らの効 果 的 な保 護 を裁 判 所 に要 請 して い る。 こ う した諸 規 定 の解 釈 を通 じ、 この条 約 の私 人 間直 接 適 用 に肯 定 的 な回答 を示 す こ ともけ っ して不 当で はあ る まい。 だが 、他 の人 権 条 約 につ い て そ うで あ る よ う に、現 時 点 まで にお い て 、女 性 差 別撤 廃 条 約 の私 人 間直 接 適 用 をは っ き りと認 め た学 説 、判例 は な いの が実情 で あ る。

この 条約 の私 人間へ の適 用 は、現 状 で は、 実体 私 法 を通 じて 間接 的 に な さ れ る とみ るのが 妥 当で あ る。

原告 ら と被 告企 業 との 問 にお い て女 性 差 別撤 廃 条 約 の 要 請 を実 現 す る国 内法 と して まず 想 起 され るの は、 同条 約 批 准 の ため の 国 内法 整備 の一 環 と

して制 定 され た均 等 法(「 雇 用 の分 野 にお け る男 女 の均 等 な機 会 及 び待 遇 の確 保 等 女 子 労 働 者 の福 祉 の 増 進 に関 す る法 律 」。 本 意 見 書 で は 、基 本 的 に改 正 前 の均 等 法 を前 提 にす る。)で あ る。条 約 第2条(b)、(e>あ る い は 第11条 は、 職場 にお け る女 性 差 別 を禁止 ・撤 廃 す る措 置 を とる よう締 約 国 に求 め てお り、 そ の要 請 に したが って 日本 で は均 等 法 が制 定 され た 。 こ

う した法 律 の制 定 に よ り条 約 の 国 内的 実 施 が潤 滑 に行 われ 、 条約 義 務 の効 果 的 な履 行 が はか られ る こ とはい う まで もない 。 しか し、誤 解 して な らな

いの は、 この よ うな実 施 法 が 制 定 され た こ とに よって 、条 約 そ れ 自体 の 国 内的効 力 が失 われ るわ け で ない とい う こ とで あ る。女 性 差 別撤 廃 条 約 は依 然 と して 日本 の 国内法 で あ り、 均等 法 よ りも上位 の法 的効 力 を与 え られ て い る。 女性 差 別 撤 廃 条 約 は条約 法 条約 の解 釈 規 則 にの っ と り自律 的 に解 釈 され な けれ ば な らな い。 そ して、 それ に よ り均 等 法 との抵 触 が あ る こ とが 判 明 した場合 には 、均 等 法 の 関連 規 定 を無 効 とす るか あ る い はそ の解 釈 を

条約 に適合 す る よ う に変 更 しな くて は な らない 。女 性 差 別撤 廃 条 約 は、 こ の よ うに、均 等法 を通 じて、原 告 ら と被 告 企 業 との 間 に適 用 され るべ きも

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司法におけるジェンダー ・バイアスー女性差別撤廃条約の適用可能性

を 求 め る憲 法 上 の 要 請 に よ りあ る い は 国 際 法 を法 律 よ り も上 位 に位 置 づ け る 日本 の 国 内 法 秩 序 の 要 請 に よ り、 国 内 法 の 解 釈 を誘 導 し う る もの と位 置 づ け ら れ て い る の で あ る(自 動 執 行 力 が な い と され る 国 際 法 規 で あ っ て も

国 内 法 の 解 釈 基 準 と して広 く利 用 され て い る こ と に つ い て 、岩 澤 『前 掲 書 』 333頁 参 照)。

皿 、鑑 定 依 頼 事 項 に つ い ての 所 見

1、 わ が 国 が 昭 和60年 に批 准 した 女 子 差 別 撤 廃 条 約 は 、被 告 企 業 と そ れ に 雇 用 され た原 告 ら との 間 に お い て も適 用 が あ る か 。

女 性 差 別撤 廃 条 約 は1985年7月25日 に 日本 につ い て効 力 を発 生 し、 国際 法 の 一般 的受 容 を指 示 す る憲 法 第98条2項 に したが い 、 同 日を もって 日本 の 国 内法 秩序 にそ の まま編 入 され た。国 内法 と して の女 性 差別 撤 廃 条 約 は、

効 力 にお い て、 法律 よ りも上 位 に位 置づ け られ る。 したが って 、下 位 法 た る法 令 は女性 差 別撤 廃 条 約 に抵触 す る限 りで無効 で あ り、 そ う した事 態 を 回避 す るた め に 同条約 に適 合 す る解 釈 が 求 め られ る。

女 性 差 別 撤 廃 条 約 は、 「女子 に対 す る あ らゆ る形 態 の差 別 の撤 廃 」 をめ ざす もの で あ り、第2条(e)(d)や 第5条(a)が 定 め る よ うに、企 業 を 含 む私 人 の差 別 行 為 も明確 に条 約 の射 程 に入 れ て い る。 締 約 国 は 、私 人 に よ る差 別 を規 制 す る法 的義 務 を この 条 約 に よ り課 せ られ て い る。 日本 は 、 そ の よ うな条 約 をそ の ま ま国 内法化 した の で あ り、 した が って 当然 に、 原 告 に対 す る被 告 企 業 の行 為 も この 条 約 との 適 合 性 を問 わ れ う る こ と に な る。

もっ と も、原 告 と被 告 企 業 との 間 に女 性 差 別撤 廃 条 約 が どの よう に適用 され る の か に つ い て は、 憲 法 の私 人 間適 用 を議 論 す る場 合 と同 じよ う に、

二 つ の形 態 が 考 え られ る。 一 つ は直 接 適 用 で あ り、女 性 差 別撤 廃 条約 の 関 連規 定 が そ の ま ま私 人 間 の紛 争 に適 用 され 、裁 判 判 決 の根 拠 を提 供 す る と い う もの で あ る。 この条 約 が 私 人 間(原 告 と被 告 企 業)の 権 利 義 務 関係 を

参照

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