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七里広志
1.研究仮説
①ICT機器について
ICT機器が各校で充実されてきているが,ICT 機器は準備に手間をとることが多いために,前任校で は授業において使用を控えたいという教師の意識が大 きいと感じていた。しかし,うまく活用すればICT 機器は生徒の理解を深めることができ,特別支援を要 する生徒の学習理解をすすめることもできると考えら れる。そこで,ICT機器を活用して授業作りをする ことで,どのような学習を仕組むことができ,どのよ うな学習効果が上げられるか検討したい。
教師にとって使いやすいICT機器は,機器の持ち 運びがしやすく器具の準備や教材の準備が手軽に行え るものであると考えられる。教室の据え付けが望まし いが,今年度までの本校の教室環境では,テレビとス クリーン,LAN端子が設置されているのみであった。
そのため,条件に合うICT機器として書画カメラの 活用を検討した。書画カメラは持ち運びが容易で,慣 れれば1分程度で設置できる。本校では,教室で40 インチの液晶テレビ画面を使えるので,組み合わせて 使うことで拡大提示をより素早く,より効果的に活用 できると考えられる。
②学習班の活用について
新学習指導要領では言語活動の充実が求められてい る。お互いの意見を交流して学習を深めていく学習形 態として学習班の活用は効果が期待できる。とくに本 校では,以前から各教科で4人による学習班での学習 を行ってきており,これは大きな財産と考えられる。
これを活用していきたい。
社会科の学習内容で,とくに考察が必要な学習にお いて各自の意見を交流し,班やクラスの意見をまとめ,
その上で個人に考察の場を返すなどして学習内容を深 めていきたい。班活動の方法や内容発表した意見のま とめ方などについて工夫を試み,言語活動の効果を高 めたい。
2.研究の方法
前述の研究の目標については,年間を通して授業の なかで意識していきたいが,とりわけ地理的分野の「身 近な地域の調査」の単元において,地形図学習のなか で効果的な学習展開を仕組むことができると考えられ る。また,新学習指導要領では「身近な地域を調べよ う」の単元を地理的分野のまとめに位置づけ,社会参 画の視点を養って公民的分野へとつなぐ学習内容とし てますます重要視されるようになっている。このよう に重要性が増す「身近な地域の調査」の学習をより深 め,より効果的に学習できる授業を提案したい。
本稿では,まず「身近な地域の調査」の学習でIC T機器として書画カメラの活用方法について報告する。
この単元では地形図に着色作業をしたり,着色作業さ れた地形図から読み取りをしたりする場面があり,書 画カメラの活用を教師や生徒が使うなかで,地形図を 拡大提示でき,作業の指示や着目のポイントをわかり やすく示すことができる。以前は拡大提示装置がなく,
すべて口頭でやりとりをしていたが,地形図で作業さ せたいポイントや考察させたいポイントを伝えるのに 限界を感じていた。(*1)
各生徒に学習班の考察を発表する際,地形図のなか 本論の要旨
本研究では,「身近な地域の調査」において,今後期待されるICT機器の利用方法として書 画カメラの活用を取り上げた。書画カメラで地形図を拡大提示し,地形図に着色作業して地域の 特色を読み取ったり,考察したりする学習活動のなかで,効果的かつ効率的な学習の手法を試み た。
また,学習班による言語活動を仕組むなかで,生徒にとって身近な地域について,特色や課題 をより深く考察する学習活動を行い,持続可能な社会の実現に向けて社会参画の視点を養うこと を目指した学習展開を実践した。
キーワード
書画カメラ ICT機器 学習班 言語活動 身近な地域の調査
で着目させたいポイントについて,書画カメラを使っ て表現させることで,学級全体で意見交流をわかりや すく行わせ,生徒にさらに深く考察させる条件を整え たい。
各自が地形図から地域の特色を読み取る場面では,
学習班を活用し読み取った内容を交流させ,考察を深 めさせたい。その際に,ワークシートを活用し,各自 の意見を持たせてから学習班や学級で交流し,そして 自分の意見をもう一度まとめる,という言語活動のプ ロセスを経ることで,地域の特色についてさらに深い 各自の考察をさせたい。
成果の確認として,生徒のワークシートや学習の様 子,研究授業での参会者の意見などをまとめて,考察 したい。
3.実践事例
①主題(単元,題材)
身近な地域の調査
②主題によせて(単元設定の理由,題材観)
地形図等の地図から地域の特色を読み取り,地域に ついて考察を加えることは,地理学的には重要な手法 で,かつ生徒が大人になって社会で活躍する時に生き る力の一つとして必要になってくると考えられる。し かし,地形図は様々な情報が含まれているために,読 み取りを行う際に着色などの作業が必要になる。また,
地形図などの地図から地域の読み取りをして考察を加 える際に多面的・多角的な見方・考え方を期待でき,
生徒の考えをより深いものにしていく必要があると考 えられる。
そこで,地形図などの地図を使って学習を進める時 に,生徒に取ってわかりやすく教材を提示し,読み取 った内容を深めていくために,本研究では学校所在地 である大津市の地形図(大津市全図)を使い,地形図 の読み取り作業と考察を徹底させる方法について工夫 したい。
まず,地形図を使って読み取り作業をするために,
地形図への着色作業を通して地形図からわかることを 丁寧に読み取らせたい。
次に,地形図の作業を指示したり,生徒が完成させ た地形図から読み取れることを伝えたりするなかで,
効果的な使用が期待できる書画カメラを使い,その長 所と短所をふまえながらわかりやすく授業を展開でき るように工夫したい。
さらに,考察作業では,学習班やクラスでの意見交 換という学習形態の中で読み取りや事象の要因につい てより深い意見を交換できるようにしたい。新学習指 導要領では,社会科においても言語活動の充実が求め られており,お互いの意見を交流した上で考察を深め
る学習は,今後重要になってくると考えられるため,
その学習方法について検討したい。
なお,新学習指導要領では「身近な地域を調べよう」
の単元は,地理的分野のまとめに位置づけ,社会参画 の視点を養い公民的分野へとつなぐ学習内容としてま すます重要視されるようになっている。滋賀県中学校 社会科研究部会の平成20年度研究発表協議会(*2)
における地理分野会の研究授業と合わせると,新学習 指導要領における「身近な地域を調べよう」の単元に おける展開例となる。
③学習目標
学校所在地である大津市の地形図(大津市全図)に 着色作業を加えることで地形図の読み方を理解し,地 域の特徴を読み取ることができる。その上で,読み取 った内容をもとに学習班による話し合い活動を通して,
大津南部地域の特徴や今後の課題について自分の意見 を持つことができる。
④評価規準
【関心・意欲・態度】
地形図への作業や学習班での話し合いなどの学習活 動について意欲的に取り組んでいる。
【思考・判断】
地形図を読み取って地域の特徴や課題について自分 の意見を持っている。
学習班で各自の意見を交流して,地域の特徴や課題 についてより深く考察している。
【技能・表現】
地形図に着色作業をすることで地域の特色を読み取 っている。
学習班で各自の意見を交流している。
【知識・理解】
地形図の決まりや地図記号などについて理解してい る。
⑤学習計画(全9時間)
第1次 主題図と地形図 /1時間 第2次 等高線と断面図 /3時間 第3次 地図記号(1) /1時間 (事例1 1/1)
第4次 地形図の読み取り(1) /1時間 第5次 地図記号(2) /1時間 第6次 地形図の読み取り(2) /2時間 (事例2 2/2)
*先述した,新学習指導要領における「身近な地域の 調査」を想定した場合(全12時間)
第7次 今後の大津南部地域の町づくりについて 各自のアイデア→学習班ごとにまとめる→クラスで 意見交流 /3時間
社 会 科
⑥本時の目標(事例1)
大津市の地形図(大津市全図)(*3)に着色作業し てわかる公的機関の分布から,その特徴を読み取る。
⑦資料・教具・準備(事例1)
・書画カメラ
・フラッシュカード:地図記号,作業指示のための 公的機関名
⑧学習過程(事例1)
学習内容・活動 指導・評価(◆)
導 入
1.前回学習し,着色作業を進めている地図 記号について復習する。
・地図記号のフラッシュカードを用いる。
展 開
10 15
20 25
40 47
2.地形図に着色作業の続きをする。
・前回までに取り上げた,市役所,税務 署,保健所,図書館,裁判所,官公署 は赤色で着色する。
3.作業した地形図を拡大提示で確認する。
4.公的機関の分布について,読みとれる特 徴を挙げる。
5.今回新たに加える施設を着色する。
・市民会館,琵琶湖文化館,琵琶湖ホー ル,武道館,体育館,浄化センター。
・地方卸売市場,県立アイスアリーナ,
県立美術館,血液センター,福祉セン ター(2つ),保健センター。それぞ れピンク色で。
6. 作業した地形図を拡大提示で確認す る。
7.様々な公的機関の分布から,大津市の特 徴について考える。
8.各班の意見を発表する。
・机間支援して作業が遅い生徒へ補助をする。
・足りていない施設を確認して加えさせる。
・自分の考えをノートに書いて整理させた上で,クラスで発表さ せる。
・机間支援して作業が遅い生徒へ補助をする。
・施設名を混乱しないよう,それぞれの施設の名前を書いたフラ ッシュカードを用いる。
◆地形図に着色して,地域の読み取りができる状態にしている。
(地形図回収時とテストで評価)【技能・表現】
・考察する地域を3つに分ける。
・班ごとに考察する地域を分担する。
・各自の意見をノートにまとめる。
・4人班による学習班になり,各自の意見を交流する。
・班の中で役割分担を決めておき,スムーズに話し合い活動を行 う。
・班で意見を2つにまとめる。
・机間支援して,ノートに意見を思い切って書いたり,話し合い 活動がうまく進行するように促す。
◆地形図を読み取って地域の特徴や課題について自分の意見を 持っている。(ノート回収時とテストで評価)【思考・判断】
・板書にまとめ,ノートに写させる。
ま と め 50
9.大津市の地形図からわかる,公的機関の 分布の特徴をまとめる。
大津市の公的機関の分布に関して特徴を読み取り,考察しよう
大津市の公的機関の分布を見ると,自然発生的な分布と人的要因による分 布があることがわかる。
⑨本時の目標(事例2)
着色作業した大津市の地形図(大津市全図)から,
大津市の産業の分布に関して特徴を読み取り考察する。
その成果をふまえ,今後の大津南部地域のあり方につ いて自分の意見を持つ。
⑩資料・教具・準備(事例2)
・大津市全図2枚(黒板に貼るものと書画カメラで提 示するもの)
・書画カメラ
・ワークシート
⑪学習課程(事例2)
学習内容・活動 指導・評価(◆)
導 入 5
1.前回までの学習の振り返りをする。 ・作業が済んでいる地形図を拡大提示する。
展 開
30
45
2.各班で交流したことをもとにまとめた 考察を発表する。
・着目させている視点は,水田・ため池・
畑・果樹園・工場
3.昔の大津南部地域の地形図を見て,現在 と比較する。
・前回までに準備した発表原稿を使う。
・各班1名を前に出させる。書画カメラを用いて地形図で注目さ せたい部分を示させる。
・書画カメラの拡大機能など,機械の操作の部分で教師が補助を する。
・発表を聞く生徒は静かに聞くよう注意しておき,聞き取った要 点をノートに記録させる。
◆学習班でまとめた意見をクラスの前で書画カメラを使って発 表している。(観察)【技能・表現】
◆各班が発表する内容をワークシートにまとめている。(ワーク シート回収時に評価)【技能・表現】
・約50年前の大津市南部地域の地形図をコピーしたプリントを 配布する。
・昔と今とで大津南部地域の違う点について,比較して挙げさせ る。
・大津南部地域がどのように発展してきているのかを発表させ る。
・大津南部地域のこれまでの産業の発展についてまとめる。
ま と め
50
4.これからの大津南部地域がどうあって ほしいか,自分の意見をまとめる。
・これまでの学習をふまえて,自分の意見をワークシートにまと めさせる。
・机間支援して,自分の意見を思い切ってワークシートに書くよ う指示する。
・以前に学習した公的機関の分布について,人的要因があったと いう学習内容も思い出して考える。
◆学習してきたことをもとに,これからの大津市のあり方につい て,自分の意見をまとめている。(ワークシート回収時に評価)【思 考・判断】
大津南部地域の産業に関して地形図から特徴を読み取り,大津南部地域の特徴について考察しよう。
地形図の作業やそこから読みとったことによると,大津市はこれまで水田が減って住宅地や工場が増 えてきた。地域の役割が変わってきているといえる。それでは、今後の大津市はどうあるべきだろうか。
社 会 科
4.成果と課題
①書画カメラについて
ICT機器としての書画カメラの活用については,
地図学習のなかで作業指示や見せたり考えさせたりし たいポイントをテレビ画面に映すことができ,指示が わかりやすいものとなった。以前に教材提示ができな いなかで地形図学習を進めていたときにはできなかっ た授業内容となり,生徒の理解も格段に早くなったと 考えられる。
また,生徒が地域の特色を発表する場面では,生徒 も書画カメラを使って地形図を提示し,地形図のどの あたりに着目してほしいかを伝えることができた。教 師でだけでなく生徒も書画カメラを使うことで,それ ぞれの意見を交流し,お互いの意見を深めていけて言 語活動を円滑に進めることができたと考えられる。
課題について,今回は手軽に使えるようにするため 教室の40インチの画面に提示したが,40インチと いう大きさは教室の中では必ずしも大きい画面とはい えず,示したいものが広範囲になると文字が小さくな るなどの欠点もあった。また,液晶画面が教室の前の 方の生徒には見えにくい角度になってしまった。対応 策として,液晶プロジェクターによるスクリーンへの 提示が考えられるが,現状の教室環境では設置に手間 取ってしまうという欠点がある。
また,地図をテレビ画面で拡大提示すればするほど 地図のどこを示しているのか,見ている生徒にはわか りにくくなってしまう場面もあった。そのため,後半 の授業では地形図を黒板に貼って,今拡大提示してい るのは地形図のこの部分だと指してからテレビ画面を 見せるようにした。
使用した書画カメラは,カメラ部分の前後移動の稼 働がしにくいタイプのもので,拡大提示したい部分を 変えたいときに地形図の方を動かすことが必要な場面 が多く,手間取ることもあった。カメラの位置を前後 左右上下に簡単に変えられる書画カメラであればこの 問題は解決すると考えられる。
②学習班の活用について
学習班の活用については,ワークシートを活用した り,意見交流や発表のルールを確認したりしたことで 大きな混乱はなく一連の言語活動が行えた(資料1)。 生徒が個々で考えていたところから,班やクラスの意 見と接していくなかで,さらに自分の意見を培ってい くことができた。そのため,初めにワークシートで自 分の意見を持たせてから学習班の話し合いに望ませる こと,学習班やクラスでの意見交流の後にもう一度自 分の意見をまとめさせることが重要だと考えた。この 結果,滋賀県南部地域の特色や課題について,各自が 深く考え,自分の意見を持つことができたと考えられ
資料1 参会者の意見(研究発表大会の研究授業とし て実施)
・発表の仕方の約束ごとがあったので生徒は安心 して発表できた。拍手が起こるのも発表しやす くてよい。
・守山市の中学生を対象にしたアンケート調査 で,「意見や考えを発表する授業」を期待する 生徒は0%。今まであまり行ってこなかった ためか。今後は言語活動の充実の必要もあり,
意見や考えを発表する授業の必要は増えそ う。「手を挙げた生徒を先に当てる」,「意見を まとめると大きく3つで,○○とあとは?」
等の発問のように,授業の方法を守山市でも 検討しており,今後の研究を期待したい。
る。
また,資料1から学習班で話し合うなどの言語活動 は,全くないと生徒の意識が下がるということからも 今後の実践や研究が期待されることがわかる。
学習班での話し合いにおける課題として,まず,時 間がかかることが挙げられる。本来は授業のなかで気 軽に意見交流ができ,各自の考察が高められるとよい が,時間がかかるために,基本的な知識を確認したり 作業したりしてから意見交流,各班の発表,まとめと いうプロセスで授業を組むと,どうしても1時間では 完結しない。本稿において,事例1はこのプロセスを 1時間で計画していたが,授業時間内で終えることは できなかった。事例2は2時間の扱いのなかでこのプ ロセスを行った。そのため,班活動による話し合いや 言語活動を考えるとどうしても単元や年間指導計画と いう大きな枠組みのなかで効果的に仕組んでいく必要 が生じる。
また,学習班を4人で組んでいるために,4人が近 い内容のことを考えている班では,あまり意見を深め られていないケースもあった。班を6人などもう少し 大きくするといいのか,学級での意見交流の時間を丁 寧にとることが大事なのか,さらに研究を進めたい。
③地域の特色の考察について
地形図を題材にして地域の特色を読み取ったり,課 題を考えさせたりすることについて,時間をかけて考 えさせることができたと考えられる(資料2)。生徒の 考察は,全体的には「開発だけではなく今ある素材を しっかり生かした街づくりが必要だ」という意見が多 かった(資料3)。
参会者からは,地理的分野の他の学習との関わりの なかで,今回生徒にさせた身近な地域に対する考察を 今後どのように高めていくのかについて指摘を受けた
(資料4)。また,他地域と比較する事で身近な地域の
資料2 生徒のワークシートから
○班の人の意見を聞いて,大津南部地域について 自分が「なるほど」と思ったこと
A.水田
・県庁近くにあまりない。川沿いに水田が多くあ る。
・川が水田には必要。山に近いなど,建物があま りないところで土地が広く使えるから。
B.ため池
・晴れが続いて水が足りなくなった時,ため池か ら水を送るために水田の近くや山の近くに多 い。
・山の斜面にあった方が使う水を運ぶのに便利。
C.畑
・水田が多くあるところにある。住宅街や線路沿 いにもある。
・水田と同時に水を使いやすいから。水田と畑を 両方管理されている方がいるから。
D.果樹園
・水田の近くにまとまっている。
・広い土地が必要で,水はけがよく,余った土地 についでに果樹園を作ったから。
E.工場
・鉄道や高速道路の近くなので荷物を運びやす い。
・川や琵琶湖の近くだと,工業用水を使いやすい。
資料3 生徒のワークシートから
○大津南部地域がこれからどのようになってい ってほしいか。
・これ以上,田や畑を減らさないように,自然 をこわさないようにしたいです。なぜなら,
昔ながらの伝統などを大切にしていきたいと 思っているからです。
・大津市,草津市は発展しつつ,農業もさかんに なっていってほしい。大津市は広いので,県庁 所在地のある辺りはさかえていても別の所は 発展していないのでその辺をもっと考えてい きたい。
・大津には果樹園・畑が少ないので,果樹園・畑 向きでない土地でも育てられる品種を開発し て増やしてほしいです。また,大津には琵琶湖 があるので,それを活用してホテルや観光船な どのリゾートも発展してほしいです。また,三 井寺や石山寺などの歴史や文化も大切にしつ つ,市街地が活性になってほしいです。
・今は農業より工業の方が栄えていて人口も増え
ているけれど,私は,自然豊かな町になってほ しいと思います。今は日本全体でも農業をやる 人が減っているので大津がリードして,日本全 体を自然豊かな国にしたいと思います。いつか は大津をエコの町と言ってもらいたいなと思 います。
資料4 参会者の意見から
・地形図学習は小学校でも大学でも扱う。それだ け重要な学習なのだが,発達段階に応じて学習 内容を考えておく必要がある。地形図を読むこ とは難しいので,どのような支援や発問を心が けるか。
・比較から地域の事象を関連づけ,総合的に判断 する力をつける必要がある。
・「メロン」の栽培の話について,草津は栽培し,
大津が栽培しないのはなぜかなど,地域を比較 することで大津の地域的特色についてもっと 考えさせることができる。
・これからの地域をどう考えるかについて,もう 少し見通しがあるとよい。新学習指導要領の地 理的分野の学習のまとめになる部分でもある ので,またそのときにはもう一度地域のことを 考える授業をして各生徒の意見を多面的・多角 的に深める必要がある。
特色がさらにはっきりするのではないかという指摘も 受けた。今後は比較の視点も取り入れながら,様々な 単元のなかで何度か身近な地域の特色や課題の考察を 仕組んで,持続可能な社会の発展について生徒が考え,
社会に参画していく態度を身につけさせるような社会 科の授業を試みていきたい。
*1 七里広志「地形図を楽しく読み取る授業の工夫」, 東京書籍『教室の窓』Vol.12,2008年,pp.6-7
*2 七里広志「社会を作る力を育てる社会科学習~
基礎基本を身につけ,社会とつながり,社会を考え る授業を展開しながら~(地理的分野会今年度の取 り組み)」,滋賀県中学校教育研究会社会科部会地理 分野会,滋賀県中学校教育研究会研究紀要『社会科 教育のあゆみ』第3号,2008年,pp53-76
*3 大津市(志賀町と合併前の状態)全体を国土地理 院発行の25000分の1地形図をつなぎ合わせる 形で編集し,発行されている地図。大津市内全域を扱 うと着色作業が繁雑になるので,学校所在地付近に限 定し,着色する場所を「大津南部地域」と称した。