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Academic year: 2021

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(1)

送電損失を最小化する配電系統の復旧論理の開発

‐電圧調整法の開発‐

日大生産工(院)  ○山越  直樹    日大生産工  佐藤  正弘

1.はじめに

  電力系統は,送電系統と配電系統から構成さ れており,配電系統は配電変電所から放射状構 成されている。日本では樹枝状配電方式が主に 使用されており,配電系統は他の配電系統と開 閉器によって連系しているが,平常時は開放さ れている。配電変電所が機器故障等により停止 した場合,その配電変電所が受け持っていた配 電系統全体が停電する。そこで,停電区間を周 りの配電系統に接続して電力の融通を受け復 旧させる。その際に線路損などの電力損失を最 小にするような系統構成するための復旧論理 を開発することが目的である。

今回は系統構成の変更により設定した電圧 の変化を調整するために調相設備によってノ ードの無効電力を調整し,線路損失の軽減を目 的として最低限必要な調相設備の数や設置場 所を検討する。

2.停電復旧の考え方

  発電所で作られ,送電線によって消費地の近 くの変電所(配電変電所)まで送られてきた電 気を需要家に送り届ける電線を配電線といい,

配電変電所以下の系統を配電系統という。

  現在ではほとんどの配電系統が交流定電圧 方式で運用されており,負荷を線路に並列に接 続し,交流の電圧,電流によって電力を供給す る。この場合,各電圧の端子電圧はほぼ等しく,

負荷の変動に応じて電流が増減する

(1)

  配電系統の基本構成は図1を用いて説明す ると,変電所から最初のノードまでの部分 (1,6,11,17)をフィーダと言い,フィーダ以降の 主要部を幹線,幹線から分岐したものを分岐線 という。新規需要の発生に応じて樹枝状に幹線 と分岐線を延長していく方式で,線路状態は地 域の需要形態に即したものとなっている。幹線 は常時は閉じている区分開閉器によって適当 な区分に分割されており,事故が発生した場合,

事故点を含む区間のみ選択的に遮断されて停 電区間がその区間に限定される。分割された各 区間は連系線および常時は開放されている連 系開閉器を通じて隣接幹線と連系できるよう になっており,停電区間は連系開閉器によって 供給できるようになっている

(1)

  そこで,送電損失を最小化する配電系統の復 旧論理の開発を目的とする。

  図1において配電変電所Bが故障した場合,

その変電所のノード番号を選択し,その配電系 統内のブランチを全て開放する。つぎに,その 系統と隣接した配電系統を検出する(今回の場 合はAとCである)。その後,隣接した系統の 中で応援可能電力が大きいほうを優先して選 択し,線路の抵抗値が小さい連系開閉器のブラ ンチを選択する。線路損とその先のノードの供 給電力を応援可能電力から引き 0 以上なら接 続し,応援可能電力が 0 以下になるまでこの動 作を続ける。この動作が終了したら他の隣接

Development of restoration logic for distribution network with the minimum loss

−  Development of voltage adjustment method −  Naoki YAMAKOSHI , Masahiro SATO

−日本大学生産工学部第42回学術講演会(2009-12-5)−

― 25 ―

2-8

(2)

        した系統でも同じ動作をし,隣接した系統がな

くなるまでこの動作を続ける。その後,他の経 路を通った場合と比較し,損失が最小のものを 選択する。

3.電圧調整法について

  低圧需要家の電圧は電圧降下によって決ま る。電圧降下は場所的、時間的に変化しており、

需要家の電圧を一定に保つことができない。し たがって、需要家の供給電圧が使用機器の使用 に影響のない程度の電圧変化範囲にすること が電気事業法によって定められている

(1)

。   配電系統の電圧は末端に近づくほど降下す るため,各柱上変圧器のタップを調整する。変 圧器の一次側のタップを高圧配電線の電圧に 合わせて調整し,二次側の電圧をほぼ一定に保 つようにする

(2)

  電力用コンデンサや静止形無効電力補償装 置などを用いて,配電線に流れる無効電力を調 整することにより,電圧調整を行うことができ る。

  配電線に並列コンデンサを接続すると力率

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3 4

5

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: 連系開閉器

: 区分開閉器

: 負荷

(数字) :ブランチ番号 数字 :ノード番号

黒:ON 白:OFF

図1 配電系統図 A

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: 連系開閉器

: 区分開閉器

: 負荷

(数字) :ブランチ番号 数字 :ノード番号

黒:ON 白:OFF

: 連系開閉器

: 区分開閉器

: 負荷

(数字) :ブランチ番号 数字 :ノード番号

黒:ON 白:OFF

: 連系開閉器

: 区分開閉器

: 負荷

(数字) :ブランチ番号 数字 :ノード番号

黒:ON 白:OFF

図1 配電系統図

負荷

図3 調相設備

:電力用コンデンサ

:分路リアクトル 負荷

図3 調相設備

:電力用コンデンサ

:分路リアクトル

:電力用コンデンサ

:分路リアクトル

図 2  系統復旧の手順

図 3  調相設備

図 1  配電系統図

― 26 ―

(3)

改善により設置店から電源側の電圧降下を軽 減することができ,同時に線路損失の軽減と配 電容量の増大にも効果がある。

  配電線の負荷電流は昼夜では負荷が変化す ることで,力率が大きく変化することにより,

コンデンサだけでは電圧調整が困難である。こ のような場合,一般にコンデンサと並列接続し たリアクトルの無効電流を交流変換機で調整 する図 3 の LC 並列形が用いられる

(1)

4.電圧調整の方法

  まず,ノードの理想電圧,調相設備の位置を 設定し,そのノードに流れる電流を算出するた めに式(1)を使う。

(1) v

jQ i P

そして、キルヒホッフの第一法則に従い、ブラ ンチの電流を算出していく。

  全ブランチの電流の算出が終わったら、式 (2)を用いて各ノードの電圧を算出する。

(2) i z v v

t f

  各ノードの電圧V

i

の誤差を求め,許容誤差 範囲内に収まらず,プラスならΔQを加算し,

マイナスならΔQを減算していく(ただしこの ときのΔQは一定である) 。その後,もう一度 同じ手順を繰り返し,1 度目のV

i1

の値と 2 度 目のV

i2

の値を比較しΔQがVに与える感度 を求める。

(3)

41 42

31 32

21 22

11 12 2

1

V V

V V

V V

V V

V V V

n

(4) V k Q

(5)

2 1

1 2

1

n n

V V V k

k k Q

式(3)よりΔVを算出し,式(4)でΔV の変化 によるΔQの増幅量を求め,さらに式(5)より,

全てのノード電圧の誤差を反映したΔQの値 を求め誤差が収束条件内を満足するまで続け る。

5.シミュレーションによる確認 5.1  シミュレーションの条件

配電所Aの場合と配電所Dの場合で検討した。

また,今回はタップ調整を考えないので,全て のノード電圧が 1.00 に収束するようにし,収 束条件の最大値を 0.04 とし,各ノードの電圧 と位相差,無効電力の大きさを算出した。

5.2 シミュレーションによる結果

表 1-1,1-2 には調相設備による電圧調整後

のノード電圧を表している。Aの系統ではノー ド 4 で誤差が最小であるが,Dの系統では,ノ ード 18 とノード 19 の値が収束し,他の位置 では発散していき初期状態の収束条件でしか

P+jQに一定の 無効電力分を加算

v jQ i P

i z v vt f

開始

終了 理想電圧 ブランチのインピーダンス

消費電力 の入力

41 42

31 32

21 22

11 12 2 1

V V

V V

V V

V V

V V V

n

2回目以降

誤差範囲内に

収まる

V

k Q

n n

V V V k k k

Q 2

1

1 2 1

を加算

図4 電圧調整の手順 No

No Yes

Yes

P+jQに一定の 無効電力分を加算

v jQ i P

v jQ i P

i z v vt vf zi vt f

開始

終了 理想電圧 ブランチのインピーダンス

消費電力 の入力

41 42

31 32

21 22

11 12 2 1

V V

V V

V V

V V

V V V

n 42 41

31 32

21 22

11 12 2 1

V V

V V

V V

V V

V V V

n

2回目以降

誤差範囲内に

収まる

V

k Q V k Q

n n

V V V k k k

Q 2

1

1 2 1

を加算

n n

V V V k k k

Q 2

1

1 2 1

を加算

図4 電圧調整の手順 No

No Yes

Yes

図 4  電圧調整の手順

― 27 ―

(4)

表 1-1  電圧調整後のノード電圧(2 で調相)

Node  |V|  angle  P+jQ 

1  1  0  0  0 

2  0.994753  -2.69806  1  -1.365  3  0.990282  -3.28962  1  0  4  0.985917  -3.88645  1  0  5  0.981661  -4.4886  1  0 

表 1-2  電圧調整後のノード電圧(3 で調相)

Node  |V|  angle  P+jQ 

1  1  0  0  0 

2  0.991267  -2.60887  1  0  3  0.997301  -3.46295  1  -1.024  4  0.982401  -3.80071  1  0  5  0.978129  -4.40464  1  0 

図 5  誤差の修正(2 で調相)

安定せず,発散した。発散した理由は,調相設 備を設置したノードの電圧調整が終わったの にもかかわらず,他のノード電圧が収束せず,

他のノード電圧を調整するために無効電力を 変化させても収束条件を満足したノード電圧 が変化し,収束条件を満足しないからである。

図 5 は収束条件を 0.02 としたとき,ノード 2 に調相設備を設置した場合の調整回数に対 する誤差の修正具合を表したものである。ノー ド 2 はすぐに収束条件を満足しているが,ノー

ド 5 は収束条件内満足するまでに時間がかか っている。この原因として考えられるのは,ノ ード 5 は配電変電所から離れており,電圧降下 による誤差が大きかったことと調相設備から も離れていたため,調相設備の影響を受けにく かったからであり,ノード数が多くなると調相 設備の影響も変わっていくと推測される。

今回は調相設備が 1 個だけであった。 2 個以 上の場合は複雑になるので,適切なノードに設 定しないと安定している場所があるとは限ら なくなる。また,今回タップ調整を反映してい ないが,タップ調整を考慮すると誤差の値は少 なくなると推測する。

6.まとめ

  今回の研究では電圧調整の開発を目的とし ていたが,ノード数が少ない場合について電圧 調整が可能した。しかし,調相設備が 1 個では 系統全体の電圧を調整しきれないので,今後は 2 個以上で,設置場所を考慮する必要がある。

  また,電圧調整法は今回述べたもの以外でも さまざまなものがあるので今後その方法も踏 まえて電圧調整を考慮していく。

  また,今回は復旧論理については手順しか触 れられなかったので,送電損失を最小化する論 理を開発する。そして,今回の方法は系統が隣 接している場合を想定したので,隣接した配電 変電所の応援可能電力がなくなった場合,停電 区間をなくすことはできない。そこで,さらに 隣接した 配電変電所から供給を受けるように するためのアルゴリズムを検討する。

参考文献

(1) 電気学会, 電気工学ハンドブック  第 6 版,

オ-ム社,(2001)p1331,1377-1378 (2) 辻村順一ほか,電力系統の制御 / 野田権

祐編,電気書院(1986)p216 -0.035

-0.03 -0.025 -0.02 -0.015 -0.01 -0.005 0

0 5 10

ノード2の 誤差 ノード5の

0

誤差

0.005 0.01 0.015 0.02 0.025 0.03 0.035

0 2 4 6 8

修正回数

ノード電圧の誤差

ノード2の誤差 ノード5の誤差

― 28 ―

表 1-1  電圧調整後のノード電圧(2 で調相)  Node  |V|  angle  P+jQ  1  1  0  0  0  2  0.994753  -2.69806  1  -1.365  3  0.990282  -3.28962  1  0  4  0.985917  -3.88645  1  0  5  0.981661  -4.4886  1  0  表 1-2  電圧調整後のノード電圧(3 で調相)  Node  |V|  angle  P+jQ  1  1  0  0  0  2  0

参照

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