2018 年度の発達臨床センターの活動を①来所者全 体,②新規来所者,③継続来所者,④土曜外来につい て,データを基に報告する。
1.来所者全体 ① 来所者数
2018 年度の来所者数は 225 名(男 134 名,女 91 名)で
あり,昨年度の 203 名よりも増加した。男女比はおよ そ男 1.47 :女1であった。発達臨床センター開設以来,
男女比は2:1の傾向が続いていたが,このところ女 性・女児の相談が増えていることが伺える。
また最近の傾向としては,関連機関との連携がより多 くなってきたことが挙げられる。地域の療育相談機関 に通所しながら更なる対応を求めて当センターを来所 するケース,通級指導教室で対応は行うものの知能検 査を当センターにて希望するケース,医療機関から心 理教育的アセスメントとその対応を依頼されるケース などである。
② 対応(実施内容)
2018 年度来所者への対応(実施内容)の延べ件数に ついて図1に示す。 2018 年度の全対応件数(実施内容 の延べ数)は 1928 件で,前年度の 1884 件よりもやや増
加した。
対応内容の傾向は,対応数の多い順で記すと,「子
(本人)のカウンセリング」( 488 件),「子の個別治 療教育」( 347 件),「親の個別カウンセリング」( 303
件),「子のプレイセラピー」( 296 件)であった。一
方, 2018 年度幼児グループが実施されなかったことも あり,大きく減少したのが「子の集団治療教育」( 59
件)と「親の集団カウンセリング」(9件)であった。
当センターにおける幼児グループ指導のニーズは依然 としてあるものの,最近は地域の療育機関や保育園幼 稚園の巡回指導などの充実に伴い,当センターでの対 応内容も変わりつつある。
2.新規来所者 ① 来所者数
2018 年度初めて当センターに来所した人は 114 名
(男 71 名,女 43 名)であり,前年度( 77 名)より増加
した。特に女性の来所者が増加傾向により,新規来 所者の男女比は男 1.5 :女1であり,例年の男女比2:
1から変化がみられた。
② 新規来所者の居住地域
新規来所者の主な居住地域は図2のとおりであ る。近隣からの来所者が多く,三鷹市・調布市 34 名
( 30 %),世田谷区 24 名( 21 %),新宿・練馬・中野・
杉並区が 17 名( 15 %)であった。東京都以外では,神 奈川県4名,埼玉県5名,千葉県3名,山梨県1名,
栃木県1名であった。
発達臨床センターこの一年
2018 年度
図1 2018年度来所者への対応件数(実施内容)
土曜
・親個別 カウンセリン
グ 未記入
土曜
・親集団 カウンセリン
グ
土曜
・評価経過観察 土曜
・カウンセリン グ
土曜
・グ ループ指導 土曜
・個別治療教育 親の個別
カウンセリン グ
親の集団 カウンセリン
グ
子の評価
・経過観察 子のプレイセラピー 子(本人)
カウンセリン グ
子の音楽治療教育 子の集団治療教育 子の個別治療教育
0 100 200 300 400 500
347
59 145
488
296 220
9 303
16 32
0 8 3
5 0
三鷹・調布市, 34
世田谷区, 24 練馬・中野・杉並
新宿・渋谷区, 17 国分寺・立川・
八王子市, 5
武蔵野・小金井市, 5
板橋・豊島・墨田区, 3 港・大田・江東区, 4
狛江・府中・町田 稲城・多摩市, 8 横浜・川崎・厚木市, 4
埼玉県, 5 千葉県, 3
その他の県, 2
図2 新規来所者の居住地域
Annual Bulletin of Clinical Center for Developmental Disorders, Shirayuri University
34
表1 新規来所者の診断名内訳(重複あり)
③ 新規来所者の年齢区分
新規来所者の年齢区分を図3に示す。2歳から成人 に至るまで幅広い年齢の来所者があった。例年と同 様,当センターは子どもに関する相談が大部分を占め ている。学齢期を中心に2歳~中学生まで幅広い年齢 層の来所者があった。幼児期から小学校中学年頃まで は男児の方が多い傾向にあるが,年齢が上がってくる と男女数の差はみられなくなり,成人( 20 歳以上)の 来所者は女性の方が多かった。
④ 新規来所者の診断名内訳
新規来所者の診断名内訳を表1に示す。例年と同 様,発達の心配に関する相談が多い傾向にある。新規 来所者の中で,発達障害・知的障害など発達に関す
る問題ならびにその疑いと診断された人数は 87 名(新
規来所者全体の 76 %)で,その中でも自閉症スペク トラム障害
(ASD)とその疑いと診断された数が多かっ た(計 36 名)。これら自閉症圏内の子どもたちに関す る認知度と社会的ニーズの高まっていること,当セン ターで行っている集団療法の一つである
SCP(
Social Communication Project)が主にコミュニケーション問 題の改善に焦点を当てていることなどが関連している と思われる。発達の問題以外の診断の中では,適応障 害(4名)が多かった。
3.継続来所者 ① 継続来所者数
2018 年度の継続来所者数は 111 名(男 63 名,女 48 )
であり,前年度( 141 名)と比較して減少した。
② 継続来所者の年齢区分・対応内容
2018 年度継続来所者の年齢区分を図4に示す。継続 来所者は例年通り学齢期を中心に幼児期から成人まで 幅広く分布している。また近年の傾向として成人の継 続来所者も多かった。男女別では,年齢が低い時期に は男児が女児よりも多い傾向にあるが,思春期頃から ほぼ同数となり,成人では女性の来所者が男性よりも 2倍以上多かった。
③
継続来所者の対応内容
2018 年度継続来所者の対応内容を図5に示す。対応 件数は 1371 件で,前年度 1379 件とほぼ同数であった。
対応件数の多い内容としては,「子(本人)カウンセ リング」( 397 件),「子の個別治療教育」( 285 件),「子
のプレイセラピー」( 273 件),「親の個別カウンセリン グ」( 151 件)の順に多く,個々のニーズに合わせた対 応を行ってきたといえる。
図3 新規来所者の年齢区分(人)
0 2 4 6 8 10 12
20歳以上 19歳 18歳 17歳 16歳 15歳 14歳 13歳 12歳 11歳 9歳 10歳
8歳
7歳
6歳
5歳
4歳
3歳
2歳
1歳
男 女
診断名(suspect含) 人数(重複あり) 計
ADHD/ADD 15
87
ASD 36
LD 11
BorderlineIQ 8
MR 8
言語発達の問題
0コミュニケーション障害
2発達性協調運動障害
1てんかん
3脳性まひ 1
染色体異常 1
低出生体重児 1
神経症
113
不安症
1分離不安
1うつ状態
1不登校
1適応障害
4強迫神経症
1人格障害
2カサンドラ症候群
1その他
2診断名未
31問題なし・正常
3計 136
図4 2018年度継続来所者の年齢区分 (人)
*2018.4.1時点 02 4 6 8 10 12 14
20歳以上 19歳 18歳 17歳 16歳 15歳 14歳 13歳 12歳 11歳 10歳
9歳
8歳
7歳
6歳
5歳
4歳
3歳
2歳
1歳
男 女 発達臨床センター この1年
35
④ 継続来所者の診断名内訳
2018 年度継続来所者の診断名内訳を表2に示す。発 達障害・知的障害ならびにその疑いと診断された人は
91 名(継続来所者全体の 75 %)で,前年度までの傾向 と変わらない。その中でも自閉症スペクトラム障害
(ASD)
とならびにその疑いと診断された数が多かった
(計 42 名)。発達の問題以外では,神経症(8名)・適 応障害(7名)が多かった。
4.土曜外来
土曜外来は 2011 年度に試みとして開設し, 2012 年第
2回臨床センター運営会議にて発達臨床センターの 事業として承認されて以降,毎月第3土曜日(8月と 3月は除く)に外来を開設している。スタッフはセン
ター長の五十嵐一枝教授を中心に,助教・研究員・研 修生が対応にあたっている。 2018 年度の新規来所者数
ならびに継続来所者数については上述のデータに含記 した。
以上, 2018 年度発達臨床センターの活動について報 告した。
五十嵐一枝・中石康江 図5 継続来所者の対応内容
土曜
・親個別 カウンセリン
グ
土曜
・親集団 カウンセリン
グ
土曜
・評価経過観察 土曜
・カウンセリン グ
土曜
・グ ループ指導 土曜
・個別治療教育 親の個別
カウンセリン グ
親の集団 カウンセリン
グ
子の評価
・経過観察 子のプレイセラピー 子(本人)
カウンセリン グ
子の音楽治療教育 子の集団治療教育 子の個別治療教育
0 100 150
50 200 250 300 350 400
285
46 117
397
273
39 8
151
16 32
0 0 0 7
表2 継続来所者の診断名内訳(重複あり)
診断名(suspect含) 人数(重複あり) 計
ADHD/ADD 11
91
ASD 42
ASD+MR 10
LD 12
BorderlineIQ 4
MR 4
言語発達遅延
4協調運動障害
1学力学習の問題
2染色体異常
1低出生体重児
1神経症
824
かん黙
1分離不安
1うつ状態
4不登校
2適応障害
7人格障害
1強迫性障害
2PTSD
1診断名未
7計 122
白百合女子大学 発達臨床センター紀要 №22 2019