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は じ め に
地球上にはさまざまな動物が暮らしている.どのような形態,生態の動物 が暮らしており,どれくらいの数の動物種が生息しているのか.それを明ら かにしてこようとしたのが,動物「分類学」という学問分野である.多種多 様な動物がいるため正確な数字を出すのは難しいが,地球上には現在までに 知られている種だけでも,130 万種を超える動物が存在しており,まだまだ 知られていない種も合わせると,実際には何倍もの数の種がいる.
近年,環境保護の必要性の認識も高まり,「生物多様性」という言葉を耳 にする機会がとても増えた.この生物の多様性を明らかにし,理解しようと するのが分類学であり,その歴史は古く,古代にはじまる.解剖学から分子 生物学に至るさまざまな生物学分野は,この分類学を 礎
いしずえとして派生してき たと言っても良いであろう.器官から生物体を構成する分子まで,レベルは 異なるものの,これらの分野も生物のことを記載し理解しようとする点では 同様であり,その研究成果は逆に分類学にも反映されてきた.ただし,スタ ンスはやや異なり,分類学では多様な生物の実態そのものを理解しようとし てきたのに対し,ほかの生物学分野の多くは,その中に見られる共通性に目 を向けてきた.
動物を対象とする近代的な分類学は,18 世紀,「分類学の父」と呼ばれる リンネの時代に始まったと考えられる.19 世紀半ばには,ダーウィンの進 化論によって,現在では 1 千万種を超えると考えられている動物を含むすべ ての生物は,1 つの生命体から進化によって生じたものであることが示唆さ れた.動物の多様性を生みだした力は進化であることが示されたのである.
現在,地球上で見られる動物の基本的な体のつくり,すなわちボディープラ
ンの多くは,約 5 億年前のカンブリア紀に生じた多細胞動物の大規模な適応
放散の際にでき上がったと考えられている.その後,新しい種の形成や種の
消滅がくり返され,現在の多様な動物の姿に至った.
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