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屋外広告物から見た街路空間の分析

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Academic year: 2021

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屋外広告物から見た街路空間の分析

 

清水智弘,吉川  眞,田中一成   

 

Analysis of Street Environment in terms of Billboard

Tomohiro SHIMIZU, Shin YOSHIKAWA and Kazunari TANAKA

 

Abstract: Recently, billboards and signs have been increasing rapidly. The attractive billboards are required to create the good and unique street environment. The authors check the visual effects of billboards on the streetscape. And they propose the effective spatial analysis method evaluating the street environment in terms of billboards. Concretely, they are analyzing the streetscape with GIS and CAD/CG integratedly, especially based on the human visual perception.

 

Keywords:  街路景観( street environment),景観分析(landscape analysis),

視知覚特性(visual perception)

             

1.はじめに 

高度成長期の画一的な都市基盤の整備により,景観 的に特徴のない雑然とした都市空間を形成することと なった.良好な都市景観を形成していくためには,開 発・整備に先行して景観を保護する措置を取る一方, 積極的によい景観を創造していくことも求められてい る.このような状況の下で,「美しい国づくり政策大 綱」が政府により掲げられ,景観法が施行された現在, 景観をより客観的・工学的に評価する手法を充実させ

ることが重要であると考えられる.  

景観に対するアプローチとして,日常的な景観であ る街路空間の眺めに着目することが有効である.人々 の生活の場であり人間が移動主体となる街路空間は,

都市空間を評価するにあたって重要な場であると考え られる.そこで,日常的な景観として街路景観を捉え るにあたり,「視覚的な騒音」と批判され,景観破壊 要因の一つとされている屋外広告物に着目した.街路 景観への評価に強く影響を与える要素には,建物壁面 だけでなく屋外広告物のような外壁の付加物や突出物 などもあげられる.良好な街路景観を形成していくた めには,付加物や突出物の主要要素である屋外広告物 を規制・誘導することは必要不可欠である.また,「景 清水:〒535-8585  大阪市旭区大宮 5-16-1 

大阪工業大学大学院  工学研究科都市デザイン工学専攻  TEL: 06-6954-4109(内線3136) 

e-mail: [email protected]

(2)

観法」の整備にあたり,「景観法の施行に伴う関係法律」

の一部として「屋外広告物法」が改正され,景観計画との 融合など景観形成への視点が強化された.その結果,

屋外広告物を除去していこうとする傾向が強いように 思われる.しかし,実際には屋外広告物を除去した街 路空間を形成することは不可能である.また屋外広告 物の存在をうまく活用することができれば,律動的な 街路空間を生み出すことができ,地域性などの特徴を 持った街路空間を創出する手掛かりになるかもしれな い.屋外広告物を一挙に除去してしまうことよりも,

都市景観の混乱を起こさせないように屋外広告物を示 すことが重要であると考える.そこで,本研究では街 路空間における屋外広告物の位置づけを明確にすると ともに,街路空間の有効な分析手法を提案することを 目的としている. 

 

2.  研究対象地

本研究では,空間データが充実している大阪府・

高槻市を対象地とする.高槻市は,京都市と大阪市の 間に位置しており,衛星都市として高度成長期にはス プロール化の進展や乱開発が起こった都市であるが,

現在,快適で魅力のある都市景観の形成を目指した取 組みが積極的に行われている。街路空間についても質 的整備の向上が進められており,場所の性格にあった 空間の創出や,統一感のある秩序をもった街路の形成 などが提唱されている.屋外広告物も改善することは 必須であり規制,誘導すべきとしている.

        図−1  対象地区

3.屋外広告物の分布 

高槻市の屋外広告物許可台帳を用いて,屋外広告物 の分布特性の把握を行った.まず,カーネル密度推定 法を用いて空間補間を行った.結果,

JR

高槻駅北口 周辺において密度が高いことがわかった.要するに,

屋外広告物が多く集積している地区であることがわか る.また,町単位で屋外広告物の各年の増加を確認し た.JR 高槻駅北口周辺は,高槻市が中核市になるに つれ,屋外広告物が急速に増加した地区であることも わかった.そこで,

JR

高槻駅北口周辺において屋外 広告物の視覚的な分析と把握を行っていく。この中で,

JR

高槻駅北地区市街地再開発事業によって新しく整 備されたアクトモールと,アクトモールに直角に隣接 しており,高槻市が目抜き通りにふさわしい都市景観 の形成を目指している「都心シンボル」の一部である 天神の森前から

JR

高槻駅までの2つの街路を対象と した.

図−2  密度分布

図−3  増加分布

(3)

4.3次元都市モデルの構築 

本研究では,GIS と

CAD/CG

を統合的に利用する ことにより,視覚的な景観分析を行っている.収集さ れたデータを

GIS

上に構築するとともに,視覚的伝 達能力に優れた

CAD/CG

と連携して,3次元的な分 析を行っている.そこで,分析を行うにあたり3次元 都市モデルを構築した.モデルの構築(山野・吉川,

2003)に際しては,

GIS

と航空機レーザ測量データを 用いて,建物モデル,地形モデルの生成を行った(図

−4).また,屋外広告物については

CAD/CG

により モデリングを行い付加している.その際には,現地調 査により撮影した写真を用いて屋外広告物の概略寸法 を割り出しモデリングに使用している. 

 

5.景観分析 

「景観とは対象(群)の全体的な眺めにほかならない.

しかし、それは単なる眺めではなく人間の評価と本質的 な関わりがある」(中村,1977)という景観の定義に見られ るように,街路空間といった空間の眺めに着目する場合,

人間の視覚イメージが重要である.そこで,景観の評価 基準として人間の視知覚特性を計量評価した視覚指標 値を用いることにより,景観分析の定量的な評価手法を 充実させるとともに,より高度な景観分析の評価システム への展開を目指している. 

 

5.1.60°コーンの適用 

分析を行うにあたり屋外広告物が視野内でどれだけ 目に映るかを把握する必要がある.本研究では,

「60°コーン」を景観分析を行うための基本的な視 野としている.街路モデルへの適用では,擬似的な視 野として 60°のスポットライトを設定し,光の当た っている広告物,すなわち見えている広告物と考え,

その抽出を行っている. 

 

5.2.見えの面積比分析 

また,視野内で大きく目に映れば,景観の主対象と なりやすく視野空間を支配することになる.視点から 見た際の屋外広告物に対する角度(視線入射角)や距 離によって実際の見え方は大きく異なるため,実際に 人の目に入る量を定量化した指標である「見えの面積

比」(安藤・吉川,2000;伊倉ほか,2002)の算出を 行い,視点場評価値を求めた(図−5). 

 

5.3.  首の負荷 

「見えの面積比」分析だけでは,本質的な視覚イメ ージとは言えず,視点場を評価するには不十分であり,

より精緻な評価を行う必要があると考えた.そこで,

頭部を動かすことによって首に負荷がかかり視覚イメ ージに影響していると考え,人間の頭部の動作を新た な指標として合わせて算出することにした(図−6).  

 

< 地 形 モ デ ル の 生 成 >       < 建 物 モ デ ル の 生 成 >

 

交 差 点 ポ リ ゴ ン       建 物 ポ リ ゴ ン

     

TIN生 成       建 物 モ デ ル 生 成

図−4  3次元都市モデルの構築  

図−5  見えの面積比の分析結果  

(4)

図−6  首の負荷の算出結果  

5.4.クロス集計 

  「見えの面積比」分析と首の負荷の2指標に対し,

それぞれ5段階にランキングを行ったうえでクロス集 計することにより,街路空間内で屋外広告物が大きく 目に映り首への負担が少ない地点,あるいは屋外広告 物が大きく目に映るが頭部の動作による首の負担が大 きい地点といった特徴的な視点場の把握を試みた.屋 外広告物が大きく目に映り,首への負担が少ない地点 では,広告物の存在感が大きく,認識されやすい.し かし,同様に屋外広告物が大きく目に映る地点であっ ても,首への負担が大きくなれば認識が低下してしま う.このようなさまざまな性質を持つ視点場を

GIS

上で抽出している.くわえて構築した3次元都市モデ ル上にマッピングすることで視点場の検証を行った

(図−8). 

 

図−7  クロス集計結果

  

   

 

図−8 

CG

による検証  おわりに 

「見えの面積比」分析を行うことで実際に街路空間 内に見える広告物の大きさを把握することができた.

また,新しい指標として首の負荷を取り入れたことで 人間の視知覚特性を考慮した分析を行うとともに特徴 的な視点の存在を確認することが出来た.今後も引き 続いて分析結果の検証と視点場の改善手法を考察して いくことにしている.とくに,人間の首の負荷特性をより精 緻に数値化することが必要であると考えられる.また効率 化をテーマとして,どんな街路にも適用可能なシステム への展開が,今後の課題である. 

  謝辞 

本研究を行うにあたり,高槻市都市産業部都市政策室, 

総務部情報管理室情報システム課から屋外広告物許可 台帳など,データのご提供をはじめ多大な御協力を頂 いた.ここに記して謝意を表する. 

 

参考文献 

安藤友浩・吉川眞(2000)

GIS

CAD/CG

による流 域開発の把握,「地理情報システム学会講演論文集」,

9,355-360. 

伊倉理恵・山野高志・吉川眞・杉森直樹・胡木伸予・

鈴木拓也(2002)GIS と

CAD/CG

による高架橋の景 観把握,「地理情報システム学会講演論文集」,11,

13-16. 

中村良夫(1977)「景観原論」,土木工学大系

13,彰国

社.

山野高志・吉川眞(2003)空間データを活用した3次 元都市モデリング−航空機レーザ測量データの高度利 用手法の構築−,「日本建築学会第 26 回情報・システ ム・利用・技術シンポジウム論文集」,13-18. 

見えの面積比:小 首の負荷 :大

見えの面積比:大 首の負荷 :小

参照

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