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人事調停における法の実態 : 家事調停研究序説(一)

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(1)人事調停における法の実態 一家事調停研究序説(-)〟 関 Materials. 弥. Affairs of Family 且et, 1939 (JinjiCb6tei) Cases. and. to. introduction. _An. 郎. 一. AfEairs. the. Conciliation. of Family. study. (Kaji Ch6tei)-. Conciliation. SEKI*. Yaichiro. SU MMARY Family from. July 1, 1939. procedures or formal lawsuit. under way. (Jinji Ch6tei) Act. Conciliation. Affairs. to. December. the. modern. to solve. or. Up. 31, 1947・ legal. adjust. the. in. our. had. Japanese. operated. judicial. had. any o缶cial notknown formal troubles except affairs into invariably丘t did not procedure in Since 1919・ problems・ relation. system,. the. in 1939,. enacted to 1939, we. family. strict or rigid domestic the of the due to in family relations tendency mainly the complicating accordance with that the Civil Code System", it bad been provision "Family urged so-called be Family Court the Succession be should Family revised and and should of by to be were the family relatkns established, where adjusted and regulated way,. where "characteristics". of special procedure. in 1937 the meantime, were family affairs troubles means. In. happened. there. Sin°-Japanese. lncident,. the and families・. in the bereaved especially only・ dared the procedure so the conciliation judicial authorities codify In this Civil・ other words・ revision of Code setting aside the substantial bad the due to the "Incident〃 partly prompted particular circumstances "procedure〃 A鮎ir Conciliation partly checked and of Family codi丘cation before the Succession Family the provision "material" and the revision of Affair a bill of Family to draw hastened up war II. Judicial authorities was 12 ap・ The bill wbicb proposed, conciliation Act. articles consisted of fact We in 1939・ take notice of the should promptly, proved and enforced urule any Act was this 1939 not of legal that the leading principles of Paternalism (Onj6)"・ but a "rule of Moralism (D6gi) and principle", this how be under well, the of applications・ circumstances would actual What be the factual of and function Act during meaning would nine years? It is im〃material〃? includi喝botb and the conciliation sides "procedural〃 increased to. *法学教室(Dept・. of Law).

(2) 94. 開 to. portant. under of the present But, in order paratory. a. Act to. study clue. 1948 Act under There in this. Affairs these. answer. at. the. was,. 郎. 一. that the Conciliation of view least say the of it, the antecedent the 1948 Act under (Kaji Ch6tei).. point. to. Conciliation questions. we. should. do. a. great. many. of pre-. of cわurse. to. aims to. questions. (JinjiCh6tei). Family. works,. This 丘nd. these. answer. 1939. the. 弥. the. prepare. next. study. the of. answer. the. these present. questions Family. as to possible and Affairs Conciliation. (Kaji Ch6tei). issue,. I will introduce: the ontline of legislative process of the Act (ⅠⅠ), and the actual applications the Act, based on some cases of materials and (arthat were in some County (Ill), Court's Conciliation ranged categorically) Committees at Simozuma (1), Ninohe (2), and Osaka (3).. 目. 次 はしがき Ⅰ. 総説. Ⅱ. 序説. 人事調停法(1939年)の成立. Ⅲ. 各説. 人事調停の実態. 1人事調停の実態(-)-S区裁 2. 人事調停の実態(二)-N区裁. 3. 人事調停の実態(≡)-0区裁. むすびに. は. 人事調停法の理念と横能について. しがき. 本稿の目的ほ,すでに過去の資料となりつつある人事調停の実態の一端を明らかにする ことにあるo人事調停の理解は,現行の家事調停・家事審判を歴史的位置づけの中で理解 するべく不可欠であり,ひいてほ調停制度一般の研究のための資となるであろう。その意 味で本稿は,家事調停研究のための準備作業としての前史的基礎資料の調査結果の一部で あり,. 「家事調停の研究」の序説的部分の一部である。. 私は,M地裁S支部,. M地裁N東部,. 0地裁本庁の3カ所を調査し,各所の御理解と御好 意によってそれぞれに保存中のS区裁(1), N区裁(2), 0区裁(3)の人事調停事件簿並 に調停詞書原本を閲覧する機会を得,事件の非公開性の点にほ十分の慎重を期した上,右 資料の一部を整理することが出来たoとほいえ,時間的と経済的の制約もあって調査ほ完 了しておらず,なお続行中であり,とくに(2), (3)についてほまったくわずか1, 2日 間の調査であったため,極く初期の,しかも事件簿のみを閲覧する程度で終ったものである。 しかし,次の一層突込んだ検討のために,かつまたそれにもまして各地裁の関係者各位の 御好意・御協力を無にしないために,一応ここに基礎的資料として提示しておきたい。つ いでながらそれぞれの地裁の関係各位にこの紙上をかりて厚く御礼申上げる次第であるo.

(3) 95. 人事調停における法の実態. Ⅰ総. 説. 人事調停法(昭和14年法律第11号)による人事調停ほ,現在の家事調停の前身1'と もいうべきもので,昭和14年7月から,昭和22年12月まで,約8年余の実績をのこし た(昭和22年12月法律153号で廃止).この間,全国を通じての申立件数は,昭和15 年の約7,000件をピークに毎年約4,000件から5,000件を上下し昭和22年末までにおよ (第1表参照,昭和20 そ40,000件の申立を受理し,これを処理したものと推定される。 年・ 22年の両年の数字ほ現在のところ不明である。) したがって,年平均約5,000件の人事調停が全国紛300カ所の区裁判所及びその出張所 の調停委員会で処理されたことになる。これが,昭和23年からほ一躍,年間30,000件を 超える家事調停に転化し丑',以後周知のような経過をたどっているわけである. しかし,かえりみてこの人事調停が「家族親族間ノ紛争其ノ他一般二家庭二関スル事件」 (人調法第1粂)として,だれのだれに対するどのような申立を受理し,これを「道義二本 ヅキ温情ヲ以テ事件ヲ解決ス」べく(人調法第2条)どのような調停を行ったものなのか, そしてその解決の実効性ほどうであったか等々,つまり総じて人事調停の実態がどのよう なものであったのかについて,明らかにしたものはほとんど見当らない。 1)両者の連続性は一応通説的には認められている。例えば, 最高裁事務総局「わが国における調停制度の沿革」 (司法研究報告書第4韓第6号) 安藤 覚「家事審判法の実務的研究」 (司法研究報告書第11輯第1号) 市村光一「家事調停の実証的研究」 (「家事裁判」所収91貢) 内藤療博「家庭裁判所の沿革」 (綜合法学56号)等。 山崎賢一「家事調停について」 しかし,その非連続性について注目を要するという観点を強調するものに,例えば, (ケ研27号) 川島武宜「新民法と家事調停」 唄 孝一「家事審判法第23粂研究序説」 (ケ研70号)等がある。 2)人事調停法が,現行の家事審判法に包摂された家事調停法と対比して手続法として異る主要な 点ほ次の諸点であった。 1.ある紛争について訴訟提起も調停申立も,ともに当事者・関係者の自由であった-調停自 由主義(家事調停でほ調停前置主義)0 2.離婚・離縁等の調停が成立しても,協議離婚または協議離縁の届出なしにほその効力を生 ぜず,関係者の届書なしに調停結果を実現できなかった(家事調停では,調停成立によって離暗 またほ離縁の効力が生C,関係者の届書なしに調停調書の謄本の添付によって届出可能であり, それほ報告的意義を有するのみである)0 3.婚姻の無効・取消,認知,摘出子否認等の事件は公益的であり,事件本人の任意処分不可 能の事項とされ,これにつき調停申立ほできず,必ず訴訟提起を要した(家事調停では,関係者・ 当事者間に争がなければ調停申立可能であり,裁判所ほ必要な事実調査の上,調停委員の意見を きき正当と認めた時,合意にかわる審判を可能とした。 -人訴代替審判の創設・法23粂審判) 4.調停に代わる審判が,採用されていなかった。小作調停法等でほすでに採用されていたが, (家事調停でほ'相 家事々件でほかかる強制措置の可否につき論議があり,不採用となっていた。 当と認めた時,調停委員の意見をきき,調停にかわる審判を可能とした。 法24条審判) 市川四郎「家事審判法解説」 135-6瓦市村,前掲書8貢など参照。なお, 数の文献があるが,割愛する。. -調停代替審判の採用・ 3,. 4につき,多.

(4) 96. 閑 第1表. 弥. 一. 郎. 人事調停事件全国総数(年次別・結果別)表. (最高裁事務総局「わがE引こおける調停制度の沿革」. (昭26)より編成). 若干の資料や論述を参看し得ても,それらはおおむね,人事調停「申立趣旨」について の簡略な数字や人調制度の実際の運用についての手引きや感想程度のものであり, 「申立の 実情」の実態,あるいはその解決,とりわけ調停成立の場合の「調停条項」についてなど, その統計なり内容なりの検討・吟味にまでは及ばないものであった。個人的には,人事調 停時代からの調停主任や委員の方々,現存の家裁関係者の方々等の回顧的論談に接するこ ともあるが8),なお十分でほなかった。 唯一の公式官庁統計数字は,最高裁事務総局「わが国における調停制度の沿革」所掲の数字のみで ある。そのほかには,わずかに同法施行当初の7月・. 8月の2ケ月間の東京区裁における事件数,結. 果数が「総数159件,内謁停成立93件,取下64件,移送5件,不調1件・・-取下の中には当事者が 自ら裁判所に出頭せず裁判所外に於て示談解決したもの又ほ己に調停成立したに拘らず,調停の作成 が却って当事者の家庭生活に悪影響を及ぼす為めに,取下の形式を採らしめたものが半数以上も存す る。」. (東京区我人事調停事件詞・資料・法律時報11巻10号)と伝えられたものがある。. 実態というべきものも,わずかに山崎一郎氏(当時東京区裁人事調停主任)の「人事調停の実際」 (法律時報11巻10号)守,根本松男氏(当時民事局第一課長・司法書記官)の逐条の解説書「人 事調停法」中に散見しうる程度のものであった。 前者では「-. -解決せらるべくして解決せられなかった家庭紛争が人事調停制度の実施によって其 の解決を求めて来た〔こと〕。人事調停の特色ほ--男女間の愛憎の関係が基調を為して居るものが 非常に多い〔こと〕。 -・この愛憎問題ほ,多くの場合,一方より他方に対する極端なる好悪の感情 又は一方的共同生活の療棄と謂ふ形になって表れて来る〔こと〕。 --人事調停制度が男性よりも女 性により多く利用せられる〔こと〕. --人事調停が事変的色彩を有して居る〔こと〕--戦穀将士の遺 3)例えば,安倍恕「調停三十余年」法曹50号1京〔昭29〕。 中川善之助ほか(座談会) 「新民法と家庭裁判所」ケ研55号48京以下〔昭34〕。 ケース研究資料室編「人事詞停よもやま話一婦人調停委員に聴く-」ケ研34年10月特大 号〔昭34〕。 岩松三郎「ある裁判官の歩み一岩松三郎氏に聞く・ 5-」法律時報39巻1号..

(5) 97. 人事調停における法の実態. 族問の紛争も-家族制度的共同生活体に内在する実際の欠陥に腫胎して居るところも多い〔こと〕o」 などが指摘されている(山崎・前掲書)。 また後者では「現に裁判所に於て受理せられてゐる人事調停事件は左の如く多種多様の種類に亘つ (2)扶養並二扶養料, (3)同居, (4)分家, (5)蘇 てゐるとのことである-(1)離嬉並二慰籍料, (8)賜金分与, (9)財産分与・ (10)養子録臥(ll)慰薄 縁並二慰籍料, (6)婿姻'(7)幼児引渡, (14)蘭別, (15)扶助料, (16)財産保全並二管理, (17)内縁関係 料, (12)認知'(13)親族入籍, (22)相続人選 (20)出産費用, (21)通産相続, 解消並二慰籍料, (18)復煽請乳(19)家督相続, 定, (23)相続財産'(24)治療費並二慰籍料,. (25)親子関係確認,. (26)親権ノ喪失,. (27)別居,. (33)婚姻予約 (31)親族会同意請乳(32)妻引取, (29)後見人選定'(30)結納引渡, (38)離籍・ (39)遺留分減殺, (40) (36)復籍, (37)手切金, 不履行, (34)陳謝要求'(35)入籍・ (42)墓地選定, (43)石碑建立, (44)親族融和, (45)保険 享けチノ待遇要求'(41)墓地使用権, (28)廃嫡,. 受取人名義変更, (46)転業資金」という叙述がみられる(根本・前掲16頁)o いずれも「申立」についての実態ではあるが,その詳細は分明でなく,まして,その「解決」につ いての実態,とりわけ調停条項についての統計・知見等は全くこれを見出すことができなかったので ぁる。それは,直接には人調法第8粂によって準用された借地借家調停法第8粂の「調停手続-之ヲ 公開セズ」という原則や'また人調法卿2条の秘密漏滑の処罰規定のためと思われ,問掛こは「人事 調停法の施行は戦時体制下であり'淳風莫俗をたてまえとしていたこの制度に・理論的分析,批判が 十分になされなかった」 (磯野誠一「家事調停についての-試論」ケ研90号1頁)という歴史的・ 社会的事情の制約のためでもあろう。 とはいえ珍重すべきことに,堀内節氏(元東京家裁判事・中央大学)は人調法実施当時の司法省民 ・離婚203-204臥 事局の部内資料の一部を整理・公表され(堀内節「離婿手続」家族法大系Ⅲ 現在では昭和14年7月乃至10月における全国人事調停事件の主要種別(上位15件)並びに同14年 7月乃至12月の東京区我人事調停事件総数及び結果調が,依拠すべき-資料として加えられたo参 考のために,少し簡略に編成して次に掲げておく(第2表,第3表)o. 一見するに,第1表・第2表から,昭和14年度全国総数中の約20%は「離嬉・慰籍 料」 「扶養・扶養料」 「同居」等の申立であったことが知られるoまた第1表・第3表から, 東京区裁においてほ,調停の成立率・不成立率がさほど高くないこと,同時に取下率が割 に高いこと,などを推知しうるが,これほ,前記山崎氏の報告をうらがきしているものと いえよう。. 人調法発足当時,人事・家事裁判制度が判決手続と調停手続の複合的二重構造をなした ことほ,当時「現代の謎」4)であるといわれたo現在「戦後の新しい家事審判制度の発足 当時の混乱した事情を考えれば,臨時法制審議会の家事審判制度および人事調停にあった 問題に対して十分な理論的究明がなされなかったのも止むを得なかった・-o戦後の家事 調停に,その前史に含まれていた重要な問題がほぼそのまま受けつがれ,そこに問題ほな -て「家事審判法によって調停制度 いかと考えなおす必要はなおあろう」5)といわれ, の基本的理念を変革するというような構想はなかった」6)のだとすれば,なおさら人事詞 4)吉村弘義「民事裁判の新理念」司法研究28輯16号4-11頁o 5)磯野誠一「家事調停についての-試論」ケ研90号2瓦 179貢o 6)川島武宜「日本人の法意識」.

(6) 98. 関 第2表 月 種. 弥. 一. 全国人事調停事件主要種別(昭和14年7月乃至10月) 次. 別. 離嬉並に慰籍料. 1. 5・1776266詣3. 扶養並に扶養料 同. 居. 慰. 籍. 料. 婿. 姻 142282. 財 産 分 与 離縁並ケこ慰籍料. 12. 幼児引取・引渡 所有権移転登記 物品引渡・返還 家 子. 続. 日P. 5. 知. 7. 産. 日3. 財産保全登記. F=0. 籍. 9. 離. 別. 5. 67. 入. 51 41. 財. 組. 1201. 縁. 認 相. 9261. 分 養. 郎. 4 1. 33. (司法省民事局調・頻内節氏作成表より編成). 第3表東京区裁判所人事調停事件総数(種別・結果別). (昭和14年7月-12月分). (城内節氏作成表より編成).

(7) 99. 人事調停における法の実態. 停法の理念と現実,とりわけその成立と運用の実態を検証するという基礎的作業の必要皆 無とほいえないように思われてくるのであるo 現行の家事審判法(1948年法)の下における家事調停の実態を考究するに当っで'その 前史的部分たる人事調停の実態を先ず認識しておきたいと考えたのは,迂遠冗長のそしり をうけるかもしれないが,以上のような次第からであったo. ⅠⅠ序. 説. 人事調停法の成立. 人事調停は,調停制度の中で最も早くから問題となったが,最もおそく法制化されたも のであった。人事調停法(昭和14年法律第11号)の立法過程についてほ多くの論述があ り1),ここでは省略するが,周知のように・人事調停法が大正8年(1919年)釆の民法改 正や,家事審判法制定の審議過程の中から派生したものであったこと,大正11年(1922 午)来の各種調停制度(借地借家調停・小作調停・商事調停・労働争議調停・金銭債務臨 時調停)の創設に後続して存置されたものであったこと,そして,現行の家事調停制度へ の先駆・前身をなしたものであったことなどが重要であるoけだし,おおまかにいえば, 同法成立の時瓢i,第一次大戦を契磯に我国の資本主義が急速な発展をとげつつ,広範な 労働市場を形成し,農民層分解を促進し,失業と貧困の大衆化家度生活の経済基盤の弱 化等斬らたな矛盾を顕在化させ,社会関係,生活関係あるいは家族関係のいわば明治的様 相を払拭し,私法的諸関係の自由な展開を保障する法秩序の整序(市民法化もしくは社会 法化)を歴史的,社会的課題としていたからであるo そうして,その課題の解決を担ったのほ,民法の改正や審判所の定立ではなくして,普 さに"調停法"であったことがまた重要であろうo各種調停法の立法過程やその運用の貯 余曲折ほともかく調停制度一般は,当時の複雑化する社会関係の動向を反映し,社会的矛 盾の非-訴訟化・紛争の非-定型化を志向していたのであり,その点は,人事調停法(以 下人調法と略す)も同様であったと考えられるoしたがって,これには,旧守・刷新双方 の立場から明暗両様の期待と不安とがかけられていたoそれらは総じて私法秩序(とくに 親族・相続秩序)の修正手段としての調停の機能(実体法的修正機能)に関する点と,訴 訟法秩序の修正手段としての調停の模能(手続法的修正機能)に関する点とを問題にして いた。しかし,そのように論点が戟然と区別されていたわけではなく,甲は人調法の実体 法的修正機能に期待しつつ,手続法的修正機能には不安をもらし,乙は前者に不安を抱き っっ後者に期待し,また丙は両面に期待を,丁は両面に不安をというように論点は交々混 在し,賛否様々であったoそのうえ他方では・いわゆる日華事変勃発の局面をにらんでい るというようないわば内在的に極めて複雑な論議が,外在的な状況によって一層複掛こさ 家事資料研究会 7)家事調停の実態については,すでに若干の研究が公表されつつあるo例えば, 「転換期における家事資料の研究」 (昭38)o資料自体の性格からいって多くの困難がある匠も かかわらず,かかる研究の必要をつとに強調したのほ,戒能教授であったo戒能通草「民法と (昭31)参照o 家事調停」法律時報28-2 1)例えば,最高裁事務路局「わが国における調停制度の沿革」,同「家事審判制度二関スル調査ノ (「家事裁判」所収77-119頁)等参軌 沿革」,内藤頼博「家庭裁判所の沿革」.

(8) 100. 閑. 弥. 一. 郎. れていたのである2)o. 臨時法制審議会や帝国議会の審議過程にも反映したであろうこれらの世論ほきわめて興 味深いが,割愛するoただとくに,ここで引用しておきたいのは,人調法に対する世論の 賛否伸ばする中でも,あえて弁護士法曹の反対意見を批判し,紛争を「予防的乃至調停的」 解決にむけるべしとLた上,とりわけ人事・家事紛争解決のための調停制度に独自の存在 意義と理論的根拠を示した次のような見解であるoこの中でいわゆる「身分法規定の強行 法規性」という「独断的信条」の打破を説き,「身分関係の自治」という観点を打ち出して. いる点は,現在の家事調停や家事審判の制度,とくに,法第23条審判制度の理論的根拠 等を考える上でも,注目すべき意見といわねばならない。 「司法当局に家事調停法制定の意ありと伝ふ。吾人の双手を上げて賛意を表せんとす ‥‥o元来社会の諸関係中には比較的調停に適するもの否との区別があるが,中でも 親族関係ほ最も調停に適するものであるo親族関係は永続的の関係である。たとへ一 時の紛争ありと錐も,之を訴訟的の方法で一刀両断的に裁断したのでほ反って後に永 いうらみを残す虞があるo寧ろ調停的な方法で当事者相互の諒解の下に-ツキリした 勝負をつけずに事を和解的に片付けた方がよい●. ●. ●. -0. 尚,家事調停法の制定上是非考へねばならないのほ,在来,実際の必要以上にほび こってゐる「身分法の諸規定は強行法規である」と云ふ独断的信条を打破することで あるo身分法の諸競定ほ事人情風俗道義に関するが故に公益的であラ,従って強行法 規なりとする考方が従来法律家一般の問にほ相当広く行き亘ってゐるが,此種の考方 が力強く行ほれている限り,たと-家事調停法が制定されても十分その活用を望むこ とほ出来ないo 〔人事・家事〕関係当事者の間に異存がなければ,在来学者が一般に ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. 唱-てゐるよりほ遥かに広く身分関係の自治を許していいのだと思ふ。殊に調停制度 が出来て実情を精確に調べる手立が十分整うのであれば,成るべく自治を許して実情 に応じた解決を与へるやうにするのが,家庭関係の円満平和を計る上から云っても甚. 2)人調法に肯定的姿勢を示している例として,例えば次のようなものがある。 a)司法制度改善に関する産業団体の意見-帝国農会(資料)法律時報7巻3号〔昭和10年〕 b)司法制度改善に関する弁護士会の意見一束京第一弁護士大会(資料)法時7-3 〔昭10〕 c)穂積重遠,大森洪太,末弘厳太郎,我妻栄,山田わか,大浜英子,谷野節子(座談会) 「婦人と法律」法律時報7巻7号16貢以下〔昭和10年〕 d)末弘厳太郎「家事調停法」 (法律時観)法律時報8巻4号〔昭和11年〕 これらに対して,人調法に否定的姿勢を示している例として,例えば次のようなものがあるo a)司法制度改善に関する弁護士会の意見一大阪弁護士会(資料)法時7-3 〔昭10〕 b)中有馬・調停制度療止運動協議会における意見(資料)法律時報9巻5号〔昭和12年〕 c)司法制度改善に関する学会の意見一九州帝大法文学部(資料)法時7-3 〔昭10〕 なお,大森洪太氏(当時司法省民事局長)ほ,人調法案提出直前の昭和13年12月22日東大法 理研究会で「家庭事件の詞掛こついて」講演をしており,立案要路者の啓蒙的見解として注目 すべきものである(法協57巻2号132-133貢参照)0 同氏ほ人調法案委員会を羊おける政府委員の一人であり,同法案の提出動機,内容説明,質疑応 答等にあたっていた。後掲註4)参照o.

(9) 101. 人事調停における法の実態. 〔昭14〕). (「家事調停法の制定を望む」 (法律時観)法時11-1. だ望ましいのである--o」3'. 〔傍点,句読点等ほ筆者・以下同様〕 1. ともあれ,人調法案は,昭和14年1月28日第74帝国議会に政府案として提出され, 月31日衆議院に上提された。提案理由は塩野法相によって次のように説明されたo ●. ●. ●. ●. 「親族間ノ紛争其ノ他家庭二閑スル事件二付キマシテ-,之ヲ道義二本ヅキ温情ヲ 以テ解決スルコトカ我国古来ノ淳風美俗卜特有ノ家族制度トニ照シテ最モ望マシイノ ●. ●. ●. ●. デア.). --。随テ裁判所ノ調停二依り当事者ノ和衷妥協ヲ図り,家庭二閑スル事件ヲ 円満二処理解決スル途ヲ開クコト-,多年各方面カラ要望サレテ毘夕処・・・・.司法省 ●. ●. 二於キマシテ-嚢二臨時法制審議会二於テ決定サレマシタ基本要綱二則り,民法親族 編及ビ相続編ノ全般的改正並二之二附帯スル家事審判制度ノ制定二付テ予テ調査中デ ァリマシテ,家事審判制度ヲ制定スル際ニ-之二調停制度ヲ採入レル積リデアツタノ デアリマス。然ルニ今日ノ非常時局二際会致シマシテ,家庭二閑スル紛争ノ円満ナル ●. ●. ●. ●. 解決ヲ,調停ノ方法二依ツテ解決スル途ヲ開キマスコト-,正二焦眉ノ急務トナツテ 参ツタノデアリマシテ,民法改正案等-未ダ提出ノ運ビニ至ラヌ事情二在リマスケレ ドモ,人事調停ノ制度-急速二之ヲ確立スべキモノト認メマシテ,立二本案ヲ提出ス ルニ至ツタ次第デアリマス」 7月の日華事変の勃発にともなう国 ここにいう「非常時局」ほ,昭和12年(1937年) 内戦時体勢の局面をさしていることは疑いない.砂山両面にわたり,いわゆる銃後の備え を強化し,前線の将軍兵士が家庭を顧みて憂うることないように,むしろ紛争のないこと, その予防のこと,起ればこれをすみやかに解決することが要請されたわけである.現実に は,戦笈将兵の遺族間の恩給・下賜金・扶助料等をめぐる紛争が続出しつつあったといわ れ,「焦眉ノ急」の迫った実情は,審議経過でも重要なポイントをなしたようである4)o 前に示した論説は「身分関係の自治」を強調し,調停の本質を「和解的」に考えていた のに対し,ここでほ,「道義」と「温情」を事件解決の指導理念とし,当事者の「和衷妥協」 (家族制度の維持・強化)杏,まさしく国家的・権力的 を促して,家庭事件の「円満処理」 な要請として提示している。このようなニュアンスの相異ほ,前者が調停を身分関係紛争 の理論的必然から説くのに対し,後者がそれを「非常時局」に際会しての政策的必然から 説いていることによるのであろう。このことは,人事調停法案委員会の審議を経たのちの, 次の衆議院特別委員長の報告により一層明らかであり,人調法立法のポイントの微妙な推 移を裏書きするものであるo. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. 「委員会二於キマシテ-,本法案卜親族・相続法トノ関係,早晩改正セラルべキ親 ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. 族・相続法卜共ニ,新二制定セラルべキ家事審判所トノ閑鼠. ●. ●. ●. ●. ●. 一般裁判所ノ和解トノ 関係,殊二憲法上与-ラレタル裁判官ノ裁判ヲ受クルノ権利ヲ侵犯スル虞ナキヤ否ヤ ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. トノ点,民法,親族法,相続法,民事訴訟法,恩給法等ノ改正卜本法案トノ関係,或 3)おそらく末弘教授の執筆になるものと推測される。 4)詳細ほ, 21回にわたる審議をかさねた「人事調停法案委員会議録」(74帝国議会衆議院委員会議 録・昭和14年所収)参照。. ●.

(10) 102. 閑. 弥. 郎. 一. -目下事変二際シマシテ,出征軍人ノ達家族間ノ家庭争議等二付テ必要二迫ラレテ居 ルト云フ関係上,臨時的立法卜為スコトガ適当デアリヤ否ヤトノ息是等二付キマシ. テ各委員諸君ヨリ極メテ重要適切ナル多数ノ質問ガアツタノデアリマス,之二対シマ ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. スル政府ノ説明-本法ノ目的-権利義務ノ関係ノミナラズ,親族,家族ニアラザル所 ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ノ,例-バ内縁ノ関係,或-古キ本家,分家ノ関係等,其ノ他権利二立脚セザル所ノ ●. ●. ●. ●. ●. 家庭ノ紛争等二付テ,道義二本ヅキ温情ヲ以テ調停スルモノデアツテ,親族,相続法, 家事審判所卜両立致スモノデアル,民法,親族,相続法ノ改正マデノ中間立法ニモア ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ラズ,又軍人達家族問ノ頻発スル事件二付テ,最モ緊急ノ必要アルモノデ-アリマス ルガ,法ノ性質-臨時的ノモノデ-ナイ,永久的ノ立法デアリ,又裁判二至ルマデノ 事件ノ調停デアリマシテ,殊二強制調停ヲ認メテ居ナイノデアリマスルカラ,憲法上 ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ノ裁判官ノ裁判ヲ受クルノ権利ヲ剥奪侵犯スルヤウナ虞-ナイト云フコトニ終始一貫 ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. 致シテ居リマス,殊二出征軍人達家族問ノ紛争事件二付テ-甚ダ深刻ナルモノガアリ ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. マシテ,頗ル急速救済ヲ要スル事情二迫ラレテ居ルト云フコトガアリマシテ,委員会 ハ再三速記ヲ中止致シマシテ,政府委員ヨリ其ノ事情ヲ聴取致シタノデアリマス,. -. -討論ノ多数ノ希望卜致シテ,民法,親族,相続法改正案ヲ次期議会二提出スルコト ,恩給法ヲ適当二改正スルコト,家事審判所ヲ速二設クルノ方法ヲ講ズルコト等ガ拳 ゲラレテ居リマス,蓋シ是等法律ノ不備欠点ガ,大多数ノ家庭紛争ヲ発生セシムル原 因デアルトノ見地カラ,其ノ弊源ヲ除カソトスルノ御趣意デアリマス,斯クテ本案慎重審議ノ結果満場一致賛成ノ決議ヲ致シタノデア1)マス,司法大臣-各委員諸君ノ 御希望二付テ,其ノ希望二副フヤウニ努力ヲ致スト云フ御挨拶ガアツタノデアリマス」 (法律年鑑(昭和14年版)第二部. 立法5-6貢)0. 衆議院は,親族・相続法改正案の提出,恩給法の改正,. 「家事審判所ヲ速力ニ設クル方法. ヲ講ズルコト」等を希望意見として附した上,昭和14年2月16日満場一致で人調法案 を議決し,直ちに貴族院に送付,同院ほ2月20日の本会議に上提, 3月5日同院を通過し た占かくて,人調法は3月17日「昭和14年法律第11号」として公布され,附則によっ て委ねた勅令第361号を以って同年7月1日より施行された5)0 5)人調法は施行後「司法省近来のヒット」といわれ, 「第74議会の民事立法中最も重要なもの」 といわれながらも,やはり施行前からの明暗両様の期待と不安とほあとをひいたようである。 例えば,末川博「第74議会の新法律解説」法律時報11巻5号6頁以下〔昭和14年〕。 穂積重遠教授の次の言説はこのことを端的にのべている。 「法律〔人調法〕ほ簡単だが,仕 事ほ中々複雑だ。玄人なら玄人だけ,素人なら素人だけ,法律なら法律だけ,道徳なら道徳だ け,権利義務なら権利義務,義理人情なら義理人情,そして一方的に断定するならまだやさし いが,玄人と素人が寄って法律と道徳と両方の顔を立て,権利義務と義理人情とを噛み交ぜた 折合を附けようというのだからむずかしい」 (「片山哲・人事調停法概説」序文)0 また,人調法の運用ほ民法改正なしには不可能であるとする次のような見解もあった。今日 の時点からみて,まことに卓見であるといわねばならない。 「・今回人事調停法が制定されたに付いてほ, 〔民法〕改正法の立案上是非共これとの関係 を十分に考慮されたい- ・若しも身分法上の規定ほ事公益に関するが故にすべて強行法規であ るとすれば,たとえ人事調停の制度が出来ても,身分法的の諸関係を調停によって和解調整す.

(11) 103. 人事調停における法の宋態. 成立した人事調停法は,全文12ケ粂及び附則から成り,借地借家調停法の規定を25ケ 粂,準用している(後掲「参照条文抄」参照)o人事調停が借地借家関係の修正秩序をいわば 下敷きにして構想されたことにも多くの問題があろうが,それはさておき・人調法の規定 中,最も注目させられるのほ,第1条,第2免第5条,第7条であるoこの4ケ条ほ人 調法の基調をなすといっても過言ではないであろう。 すなわち第1粂によると調停対象は「家族親族間ノ紛争其ノ他一般二家庭二閑スル事 件」であるが,これは第5条によって「申立ガ淳風二副-ズ叉-権利ノ濫用其ノ他不当ノ 目的二出ゾルモノ」であるときは,申立ほ却下されそもそも調停対象とならないことにな るoといっても,淳風不適,権利濫用,不当目的などの要件はあまりに広義で不明確であ り,いわばこの調停要件のチェック次第によっては・手続的整序が実体的整序に転化して しまうわけである。さらに第2条ほ調停対象となった事件を「道義二基ヅキ温情ヲ以テ」 解決することをかか杭≫法iにもとづかないといういみで,親族・相続法等の実定法・判 例法秩序を修正潜脱する可能性を開いたといえるo かくして,調停が成立すればそれは第7条によって「裁判上ノ和解卜同一ノ効力」を有 する。しかし,この上に,当時の調停に特有の「認可」の手続をかぶせられることがあり 27条, 28条の準用),この調停の認否は裁判所の専権であっ (借地・借家調停法26粂, た。この場合,調停には和解的色彩がうすれ,裁判的色彩がつよめられることになる。調 停は,かりに私的自治を本質とするとしてもそれを完全にほ貫徹しえない仕組みになって いたといえるであろう。. 要するに,人調法第5条によってフルイにかけられた調停対象は,和解の形で,法に基 っかない道義的温情的解決を得たとしても(第2条),さらに裁判所の「認可」のフルイに かけられることになっていたのであって,手続法としての人調法が,そのワクを出て実体 法として機能する仕組みをこの辺りにうかがい知ることができようo. ることは事実到底不可能である。而かも身分法上の争議は性質上多く訴訟に依るよりは寧ろ調 停的方法によって解決されることが望ましいのであるから,改正法の立案にあたっては, ・L・・・此 点を十分考慮に入れて,調停の余地を大に広くする用意がなければならないo -人事調停法 むこよる調停をして争議の実情に即した適当のものたらしめる為めにほ,身分法上の法規を広く 強行法規とする立前それ自身に根本的修正を加える必要があるo -. ‥. ・. ・家庭内部の財産関係にしても,現行民法は余りにも之を財産法的原理のみに依って規定 しやうとし過ぎてゐる。例-ば夫婦の共同生活に関する法定財産制の如き,夫婦間の情義を顧 慮しつつ,ゲー7イソシャフト的原理を基礎とするに依ってのみ適当に規律せらるべきものであ るに拘らず,現行民法ほ夫婦を互に個人的対立者であると云ふ考方に立脚しつつ,専らゲゼル シャフト的原理に依って其関係を規律せんとしてゐるo これほ要するに民法起草者が人事関係の規律について余りにも多く財産法的原理に捉ほれ過 ぎてゐる為めに生まれた結果であって,若しも今回の改正に於て此立前が根本的に揚棄されな いとすれば,財産関係に関してだけでも人事関係の諸問題を争議の実情に即して適当に裁判し (「民法改正事業の再進行」 調停することは到底不可能であろうと吾々は確信するものであるo」 〔昭14〕) (法律時観)法時11-7.

(12) 104. 開. ⅠⅠⅠ各 説. 弥. 一. 郎. 人事調停の実態. 人事調停の実態として,. S区裁(1),. N区裁(2),. 0区裁(3)の資料をそれぞれ概説・分 説するが前述のような制約のため,ここではさしあたり(1) S区裁の概説と分説の一部 (同居調停申立事件と離婚詞停申立事件)及び(2) N区裁の概説, (3) 0区裁の概説のみ にとどまらざをえない。. S区裁ほ関東地方Ⅰ県の農村部に位置し,現在はM地裁・家裁の甲号支部である。 N区裁は東北地方Ⅰ県の山村部に位置し,現在ほM地裁・家裁のZ号支部である。 0区裁は関西地方0府0市の中心部に位置し,現在は0地裁・家裁本庁である。 それぞれ農村部・山村部・都市部の人事調停ということになる。 なお,資料は「. 」内に片カナ(原文から略記)をもって示し,申立人をⅩ,相手方を. Y・その他の関係者を適宜ABCなどで略示する。事件の進行番号,いわゆる事件番号は ( )印で表示した。たとえば, 充,注意等は〔. (14-1)ほ昭和14年(人)第1号の意味である。筆者の補 〕印またほ傍点で示した。. 1.人事調停の実態(-)-S区戴における(1)概. 説. S区裁の人事調停の年次別と結果別の件数ほ別表1のとおりである.昭和15年の34件 をトップに例年20件を越える申立が受付けられている。昭和22年の件数は原資料に接し 得なかったため分明でないので,ここでは昭和14年から同21年までの214件について述 べることにする。全国総数表(前掲第1表)に比べてみると,成立率が低く,取下率が高 いように思われる. 別表1. S区我人事調停事件(年次別・結果別)表(S区域・昭14-21). 事件の標目別結果別の件数ほ,別表2のとおりである.総数欄の(. )内は同一事件で, 二つ以上の申立趣旨を包含している場合,該趣旨をわけて各別に算入したものである。.

(13) 105. 人事調停における法の実態 別表2. 総. 目. 標 同. (S区域・昭14-21). S区裁人事調停事件(標目別・結果別)表. 居・復. 帰(等) 嬉(等). 離 婿姻(予約)履行・継続 熔解(予約)解消・離別 意 婿 姻(届)同. 数. 立. 成. 不成立. 43. 20. 4. 23. CO. 5. り山. 1. 12. 2. 3. 1. 2. 2. 1. 3(+1). 知 認 扶養(料) ・養育(料)等 幼児引取・引渡・保護. 18(+2). 1o. 4(+2). 4. 所有権移転登記. 10. 7. 2. 還. 10(十2). 4. 2. 与. 7(+4). 3. 4. 4. 財. 産. 品. 財. 産 分 与・贈. 物. 返. 金円分与・返還等 損害賠償・慰籍料等 分. 家(同. 15(+5). 意)等. 別. 居. 養子縁組(同意)等 養. 離. 子. 縁. 離籍(同意・無効)等 共. 有. 物. 分. 他. の. そ 合. 割. 6. 8. 3. 6. 3. 5. 3. 6(+4). 1. ・4. 3. 2. 2. 1. 20. CO. 計. (a)申立(趣旨と実情) 申立は主として「趣旨」と「実情」とから成る。申立趣旨のうち最も数の多いのは,「同 「姫姻(局)履行」 「解約・婿姻予約 居」調停を求めるものである。次いで「離婿・離別」, 解消」, 「扶養方法・扶養料・養育料」等の咽でつづく。その他,実に多種多様の申立趣旨 が認められるが,以下贋を追って分説する. 申立の実情ほまったく個別的でほあるが,類似の実情から別異の趣旨が生じたり,別異 の実情から類似の趣旨が生じたりすることがある。 (b)結果(調停条項) 調停結果は,その実体的終結を示す具体的・実質的態様(申立趣旨の受容ないし不容)1) と,その手統的終結を示す抽象的・形式的態様(成立・不成立・取下など)とにわけて考 1)趣旨受容・不審の用語は熟してはいないが,調停申立趣旨が実質的結果においては貫徹してい ると思われるときに「受容」(α),しからざるときに「不審」(β)として用いる。訴の趣旨,審判 「棄却」 「却下」などの用例は,調停においては不適当と思 の趣旨等との関連からみれば「認容」 い, 「受容」 「不容」をあえて用いた(とくに人事調停でほ成立した調停条項をさらに「認可」す るという手続が後続するので)。したがって,調停の手続的な始終は「申立一結果(成立・不 成立・不為・取下・移送等)」であるが,実体的な始終は「申立趣旨-結果内容(受容・不容 等)」というような区別が必要と思われる。.

(14) 106. 開. 弥. 郎. 一. えなければならない。その上に裁判所の「認可」がかぶせられる意義ほ前述した。ここで は,調停の実質的結果の内容,それも主として調停条項に着日してみるが,各条項が,令 意の内容であるとともに認可の内容でもあることに大きな意味があろう. (2)分. 説. (A)同居調停事件の実態 同居調停事件は,総数43件,当事者間の関係からみると, 件,. (ii)夫婦間の事件7件,. (iii)親子間の事件3件,. (i)婚姻外男女間の事件5 (iv)その他の親族間の事件4件,. (Ⅴ)不明の事件24件である。 (i)婿姻外男女間の同居調停事件 (a)申. 立. 申立ほ,女から男に対するもの3件,男から女に対するもの2件である。 女から男に対する申立は,例えば 「昭和17年5月Ⅹ女-Y男卜婿姻予約,. Y男方二同棲後,昭和17年12月,嫁入道具. ノ不足分ヲ調整ス-ク許ヲ得テ実家二帰リーケ月余シテ--Y男カラ婚姻解消ノ通告 アリ--Ⅹ女-既二妊娠分娩間近ク心痛二堪-ズ,従前通り同居シ,円満二捌国ヲ履 行スル様」にしたい(18-5) ●. ●. ●. ●. ●. というような,女から男方へ女の同居を求めるもの(ほかに19-20)と,女が戸主であっ ●. ●. ●. ●. ●. たため,女から女方へ男の復帰入籍を求めたらしいもの(19-13)とがある. 男から女に対する申立は,例えば 「昭和15年1月,. Ⅹ男-Y女卜婚姻〔予約〕昭和15年11月長男出生, Y女-生家二 帰り現在二至ル--速ヤカニⅩ男方二帰来,同棲シ且婚姻届ヲ為ス様」にしたい(18 -22) とか,また例えば,. 約6年間の「内縁関係」継続中のⅩ男Y女の間で「--何時頃ヨリカY女-町内ノ職 人某卜情交関係ヲ結ビ本年4月無断失綜--其方二寄寓シ居ル・-此際Y女二改心ノ 情アラバ従前通り同棲シ度キニ依り同居ヲ求ム」 ●. ●. ●. ●. (15-15). ●. とかいうような,いずれも男から男方-女の帰来・同棲を求め,かつほ解姻届出をも求め るというものであるo (b)結. 果. 結果ほいずれも成立である。その実質的内容のみをみれば,当事者関係の継続・形成で 終結するものと,その解消・清算で終結するものとがあるが,同居という申立趣旨からみ れば,趣旨受容と趣旨不容という対応を示す。 例えば,女からの申立の結果内容では, 「①Ⅹ女-女戸主ナル処,隠居ノ上Yl男卜婚姻届ヲ為シ, ⑧Ⅹ女-Y五万ニYl男卜共二同居スルモノトス。 ⑧Y2. 〔Ylの父〕 -右婿姻二同意スルコト」. (19-13). Y2方二入籍スルコト..

(15) 107. 人事調停むこおける法の実態. 「Ⅹ女-昭和19年10月15日マデニY皇〔Ylの父〕ノ住所二復帰シ,Yl男卜同居スルコり (19-20) などほ男女関係の継続・形成の例であり,趣旨受容(α)のものであるoまた, 「①Ⅹ女トYl男問ノ磨姻予約-合意解除, ⑧yl・Y皇〔Ylの兄?〕. -Ⅹ女工金330円支払フ, Ⅹ女二結納金返還請求ヲ為サザルコト,. ⑨yl等-. ④Ⅹ女分娩ノ女児-Yl男認知ノ上Y方二引取ルコト, ⑤Ⅹ女ノ衣額・調度-Y等ガ引渡スコト」. (18-5). のように,該関係の解消・清算の例もあり,趣旨不容(β)のものであるo いずれもY男方にその父または兄が同居している事例であることが注目されるo 男からの申立の結果内容では, 「①y女-Ⅹ男方二帰来同居シ円満夫婦生活ヲ為スコト, ⑧Ⅹ男-Y女二同居二堪-ザル虐待ヲ為サザルコト' ⑧前項違反ノトキ-双方異議ナク離婿スルコト, ④此場合長男子-Ⅹ男二引渡ス, ⑤同居後オソクトキ6ケ月内二婿姻届ヲ為スコト」. (18-22). という事例が継続・形成の例で(α)あり,. 「③Ⅹ男・ Y女-内縁関係ヲ止ムルコト, ●. ●. ●. ●. ●. ●. ②y女-Ⅹ男二手切金金百円ヲ交付〔分割払〕ノコト, ③Ⅹ男-Y女二衣輯等ヲ返還, ④爾後Ⅹ. ・. Y問二金銭其ノ他ノ関係ナシ,. ⑤費用-各自弁。」. (15-15). というのが解消・清算の例(β)である。 前者に一子あり,後者には子がないこと,後者でほY女が有責的であることなどが注目 される.なお前者の例ほ,数カ月後y女からⅩ男を相手方に離嬉調停申立(18-25)があり, 不調の結果になっている。 (ii)夫婦間の同居調停事件 (a)申. 立. 申立は,妻から夫に対するもの5件,夫から妻に対するもの2件であるo 妻から夫に対する申立ほ,例えば, ry夫-A女ヲ妾トシテ同女卜東京デ生活,. Ⅹ妻等ノ生活ヲ顧ミズ5人ノ子女ヲ抱工. 困難シ居ル--Y夫-右妾卜手ヲ切りⅩ妻卜同棲,家業二従事スル様ニ」. (14-9). 「夫婦間二六男一女アルモ,両人問疎隔シ将来同居生活不能状態ニナル--円満生活 ヲ望ム,同居不可能ノ場合-無条件デ協議離婚スルコト」. (19-5). などがあり,これらほ子の数からみても,おそらくかなり長期の嬉姻生活ののちに破綻し た例であり,また,. 「〔婚姻約6ケ月後〕--Y夫-Ⅹ妻ヲ嫌フノ風アリⅩ妻ヲ置去リニシテ郷里-帰ル-.

(16) 108. 閑. 弥. 一. 郎 (14-14). -Y夫ノ実家-赴キタル処人家ヲ拒絶・-円満同棲シ得ル様」 などがあり,これほ短期間に破綻している例である。. いずれにしても妻を置去りにして夫が同居を廃しているらしいものが多く(他に19-23), 妻が夫を置去りにした例ほ少いようである(20-19)0 夫から妻に対する申立ほ,いずれも事案は不明である。 (b)結. 果. 結果ほいずれも成立であるo趣旨通りに復帰・同居の結果内容で終了するものは少く (2件),ほとんどが離婿とか別居とかそれに伴なう金品の給付(授受)を決めて終了して いる。. 妻から夫への申立の結果内容ほ,例えば. 「①Y夫は本年〔昭和19年〕. 9月30日限り本籍地000,利害関係人方-復帰シ,. Ⅹ妻卜同居スルコト ⑧但シⅩ妻-,第1項ノ期日迄,. Y夫ノ居住地00村二於テY夫卜同居スルコト ③Y夫-5月ヨリ9月迄5ケ月間毎月25日限,金10円Ⅹ妻-交付スルコト」. (15-5). とか,. 「①Ⅹ妻-y夫方二明日復帰スルコト, ②Ⅹ. ・. Y-円満二同居生活ヲ為スコト」. (20-19). とかいう趣旨受容(α)の調停がみられるが, 「①Y夫-Ⅹ妻二昭和14年10月以降毎月金13円宛(12月-金14円宛)ヲ,昭和15年 以降-毎月金10円宛ヲ,各扶養料及小作料ノ内トシテ支払フコト, ②. Y夫-Ⅹ妻二毎年未限,小作料〔支払いの為〕金100円宛ヲ支払フコト」. (14-9). のように趣旨不容(β)であるが, 5人の子女をかかえて小作に出ていると思われる妻に対 し別居中の夫から扶養料・小作料の継続的支払いをきめて調停した例がある。 また同じく趣旨不容でさらに離婚にまで至る例がある。例えば, 「①当事者-協議離婿ヲ合意シ,昭和14年10月25日マデニ之ガ届出ヲナス事 ②Y夫-Ⅹ妻二荷物ヲ引渡ス事 ⑧Ⅹ妻-y夫二金100円ノ内ヨリⅩニ於テ下ゲ戻シタル貯金30円ヲ控除シタル残金 70円ヲ昭和14年12月31日マデニ支払フ事」 「①Y夫-,. (14-14). Ⅹ妻卜離婿,利害関係人乙卜離縁ノ事. ⑧Ⅹ妻・ y夫問ノ子等〔三男一女〕. -Ⅹ妻二於テ養育スルコト」. などである。. 夫から妻-の申立の結果内容では,例えば 「①Ⅹ女トY妻-離婚スルコトヲ互二承認 ⑧ⅩY間ノ子〔一女〕. -y妻ノ実家二入籍シY妻ガ養育スルコト ③金銭上ノ請求-互イニー切為ザザルコトヲ承認」 (19-24)とか 「①Ⅹ夫トYl妻-離婿. (19-23).

(17) 109. 人事調停における法の実態. ⑧Ⅹ夫ニY等-金300円交付ス ⑧他互二何等ノ請求セズ ④調停費用-各自弁トス」. (18-15). のように,いずれも同居調停が離婿調停に転化し,趣旨不容(β)となったものばかりであ る.後者の調停免項第2項の金品ほ,申立趣旨によれば,「医薬料」に当るもののようでこ の点だけは趣旨受容(α)の内容になっている。 (iii)親子間の同居調停事件 (a)申. 立. 申立は,親から子に対するもの2件,子から親に対するもの1件である。 親から子に対する申立趣旨は,例えば 「子Y-親Ⅹノ次男ニシテ法定推定家督相続人デアルガ,昭和11年1月,. 4年期. ヲ以テ利害関係人A方二傘製造見習奉公ヲ為シ昭和14年5月,年期ヲ終リタルガ, 何故カⅩ方二帰来セズ, Ⅹ-老令,生活ニサシツカ-ル状態ナルヲ以テ速ヤカニ帰 来シ, Ⅹ方二同居シ傘製造業ヲ開始スルヨウ調停ヲ求ム」. (14-3). というもので,申立の主要趣旨ほ,同居扶養とみることができる。営業開始の点ほいわば 附随趣旨であろう。ほかに「同居及親権行使」を求めた例(20-6)もあるが,事案ほ不明 である。 子から親に対する申立趣旨は,例えば, 「子Ⅹ-親Yノ長男ニシテ法定推定家督相続人タル処,子Ⅹノ嫁Aト親Yト-折合悪 Y夫婦-冷遇シ同居二堪 ク協議離嬉ヲセシガ再ビ同人Aと〔事実上の〕嬉姻ヲシタ, 〔次子に〕第ニノ嫁ヲ迎-之二相続セ Y夫婦-ザル虐待ヲスル為00市二別居中。 シムべク〔Ⅹの廃除を〕準備中o. X-無一物デ追ヒ出サレタルゴトクナ1)将来不安ニ. ッキ,同居ヲ求メ円満二生活スル様調停ヲ」. (15-3). というものである。 (b)結. 果. 結果は,成立2件(14-3,. 15-3),取下1件(20-6)である。 親から子への同居申立の結果内容ほ, 「③利害関係人A-昭和14年9月ヨリ昭和15年8月末日マデYヲ雇人トシテ使用スル ②A-,. Yノ給料トシテ,昭和14年中-月20円,昭和15年以降-月25円宛ヲ 支給スルコト. ⑧A-Yニ支給スべキ給料ノ内金15円ヲ毎月末マデニYノ父, ④右第1項期間中,. A-Yニ対シ,日帰リノ場合-毎月1回,. Ⅹニ送付スルコト 1泊ノ場合-2ケ月1. 回ノ公休ヲ与-ルモノトス (参第1項期間満了ノ上-Y-Ⅹ方二復帰スルコト ⑥Ⅹ及ビY-右期間内ニ,相当ノ貯蓄ヲナシ,モツテY復帰後ノ開業資金卜為スコ り(14-3).

(18) 110. 関. 弥. 一. 郎. というもので,親子同居調停が,雇主・奉公人間のいあば年期奉公契約調停と貯蓄奨励調 停の如くに転化しているoとくに第3項で,労賃を親の元に送って金銭扶養の実質を確保 している点が注目される。人事調停開始当時の条項として極めて興味深いものがある。 子から親への同居申立の結果内容は, 「①親Y-自己所有ノ左記土地二付,子Ⅹヲシテ自由二耕作収益ヲ為サシムルコト(山 林五反余ノ処-現小作人ヨリ返還ヲウケⅩガ耕作スルガ,ソレマデⅩガ小作料ヲ受 領ス). ②Y-昭15年11月末マデニ右五反余ノ土地内-,適当ナ古家ヲ見ツケ建坪15坪 位ノ木造草葦家屋一棟建設シ, Ⅹノ住居トシテ与フルコト ③右土地ノ公租公課-Ⅹニ於テ負担スルコト ④爾今,当事者-父子関係ヲ円満ニスルコト」. (15-3). というもので,同居調停が,いわば土地家屋贈与契約調停に転化している。なお贈与を受 くべきこととなった土地は,山林5反5歩(実状は畑),畑約2.5反位のようである。 (iv)その他の親族間の同居調停事件. (a)申. 立. 当事者間の関係は義父から嫁に対するもの(14-1,. 18-19?),姪から叔父・従弟等に対 するもの(16-6),嫁孫等(?)から義父(祖父)(?)に対するもの(19-3)などであり, 事案の詳細ほいずれも分明ではない。例えば 「Y女-Ⅹ(義父)ノ次男Aノ妻ナル処,昭和9年11月3日A死亡スルヤー子Bヲ残シテ 実家二帰り,其俵今日二至リタルモノナリ,同居ヲ求ム」 「Ⅹ女トY等(Yl・Y2)ト---本分家ノ関係ア1), 家, Y乏-ソノ長男デアル.. (14-1)とか,. Yl-Ⅹ女ノ先代ノ弟,. Ⅹ家ヨ1)分. X女-単身戸主ニテ老令二達シ将来憂慮二耐-ズ,何等. カノ方法ニヨリ,問居又-適当ナル方法ニテ生活補助ヲ受クル様」希望する(16-6). とかいうものである。同居調停とはいえ,前者ほ子の扶養,後者ほ老人扶養の問題のよう である。. (b)結. 果. 結果ほいずれも成立である。が,同居という趣旨受容のものほなく,ほとんど物品また ほ金円の形成的給付とか,家籍の変動についての合意とかの結果内容で終り趣旨不容(β) のものである。例えば, 「①Ⅹ. (義父) -Y女(嫁)ノ実家復帰二同意スルコト〔嫁男別居状態の確認〕 ⑧Ⅹ-YガⅩ方二出入シ,円満交際--自由ニ〔Yの〕長女Bニ会フヲ許容スルコト 〔交通面按の許容〕. ⑧Ⅹ-法定家督相続人タル孫Bニ,将来相続人廃除等ヲナサザル-勿論,ソノ教養及 ピ将来生活二支障ナキヨウ財産ヲ留保シ,将来之ヲ相続セシメルコト〔相続契約的〕 ④Ⅹ-Yニ居所指定権二基ク離籍届ヲナサザルコト〔戸主権制限〕」. (14-1).

(19) 111. 人事調停における法の実態. 「①Y2ノ次男〔Ylの孫〕 AヲⅩ女ノ養子卜為スコト,ソノ届出-近ミ之ヲ為ス, ⑧Yl・Y皇-Ⅹニ対シ毎年飯米トシテ4斗入三俵ヲ給与スルコト,右-2・6・10月ノ 三回三分割シー俵ヅツ給与スルコト,但シ昭和16年-10月二一俵給与ノコト, (16-6) ⑧調停費用-各自弁」 「①Y女〔媛?〕. -実家タル00方二親族入籍ヲ為スコト, ②y-入籍後,ソノ長男A次男Bヲ引取り入籍スルコト,但シ長男A-Ⅹノ家督相続 ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. 人二付, Ⅹニ於テ家督相続人廃除ノ訴訟ヲ提起シ判決ヲ受ケルコト, ⑧Ⅹ. y双方-右入籍及ビ廃除二協力スルコト, ④Ⅹ-同居及ビ扶養料ノ請求ヲ放棄スル ・. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ●. ⑤爾今,双方互イニ何等ノ請求ヲシナイコト ⑥調停費用-各自弁ノコト」 「①y. 〔戸主?〕. -,. (18-19). Ⅹ1〔嫁?〕ニ対シ金1,000円ヲ交付スルコト,右金円-本日当事. 者間二授受ヲ了シタリ, ②Ⅹ1・Ⅹ畠〔Ⅹ1の子?〕 -Yニ対シ右以外何等請求ヲ為サザルコトヲ確認ス, ⑧Ⅹ1・Ⅹ乏-A (19-3) 〔Ⅹ1の弟・Ⅹ2の叔父〕ノ下二親族入籍ヲ為スコト」 等々みないずれの同居申立も家族制度の法的諸条件に屈しながらもその実質的な要求を貫 くべき合意を模索しているわけである。 (Ⅴ)当事者関係不明の同居調停事件 (a)申. 立. 申立は,当事者同志が同姓のもの17件,異姓のもの7件であるが,事案ほ不明である。 同姓老問の申立でほ,申立人が男である場合が多く(lo件),女である場合ほそれより も少ない(7件)。相手方についてほ男女の区別でとくに注目されることはない。また, 申立人は1人(単数)である場合が多く,. 2人以上(複数)である場合ほ少ない(1件の. み17-27)0. ところが,相手方をみると,道に1人である場合と(8件),. 2人以上の複数である場合. とはぼ括抗してくる(9件)。概していえば,申立人たる男は1人で数人の関係人を相手方 に同居を申立てがちのようであり(10件中6件),申立人たる女ほ1人でむしろ,. 1人の. 関係人を相手方に同居を申立てがちのようである(7件中4件)o 異姓著聞の申立では,すべて申立人が男である場合であり,女である場合はない(但し 申立人が複数である場合(3件)の共同申立人の姓別ほ不明である)0 総じて資料上,当事者関係不明の同居調停では,男からの申立が圧倒的に多いというこ とだけほいえる.. (b)結. 果. 結果はほとんどが取下であり(18件),不調(4件)と成立(2件)は少い。 同姓・異姓による結果内容の差異もとくにみられない。推定であるが,おそらく取下の 大部分のものほ,. 「同居」ないしそれに準ずる実質的結果を得るか,得る見込みをもった.

(20) 112. 閑. 弥. 一. 郎. ものであろう。 成立例の2件は次のようなものである。. 一つほ,同姓男から同姓男に対する結果内容で例えば 「①Y男-自己名儀ニカカル畑約3反歩以外ノ田畑--ヲ昭和19年9月15日限りⅩ男 二引渡ス事,但シⅩ-右引渡ヲ受クべク〔該〕土地ノ本年度収穫米中供出量ヲ控除 (19-15) 12月25日限1)分与ノ事」 シタル新米ノ6分1ヲYニ本年〔昭和19年〕 というのがあり,おそらく相続人同志(兄弟か?)の事案と推定される。同居申立が土地 引渡・物品分与の条項に転化しているわけである.. また,他の一つは,同姓女から同姓男に対する結果内容で,例えば 「①Ⅹ女-Y男及ビ利害関係人A及ビ医師ト00村00方二同居スルコト ②Ⅹ女-現住地00村00万力ラ明28日〔前項の住所地に〕復帰スルコト」. (20-16). というものがあり,申立趣旨ほ受容されているが,医師との同居を合意している点がやや 特異である. 以上,. (親と子夫婦間の事案であろうか?). S区裁の同居調停事件の実態である。. (追)離婚等調停事件の実態. 離婿調停事件は総数23件,数においてほ前述の同居調停に次ぐ。いずれも法律上の夫 婦間の紛争であるが,.ほかに事実上の夫婦(内縁夫婦)の間の紛争で「離別」調停事件が みられる(便宜上,後述の婚姻予約調停事件の項で扱う)0 申立趣旨は「離婚」のみならず「離縁」 「慰籍料」 「扶養料」 「幼児引渡」等を附随せし めていることが多い点に注意を要する。 (a)申 立 申立ほ,妻から夫に対するもの8件,夫から妻に対するもの14件,不明のもの1件, 計23件である。. 妻から夫に対してほ,例えば 「Ⅹ妻トY夫トヲ離婿ス, Ⅹ-. Y-Ⅹニ対シ金2,400円・-・支払-。. 〔紛3年前〕 yト婚姻・同棲・届出ヲ為シタガ,. 場女工Aト情ヲ通ズルヤⅩヲ疎ジ,其母卜共ニⅩヲ冷遇,. Y-. 〔約1年前〕近所ノ製糸工 〔約1年前〕実家二帰ルノ. 止ムナキニ至り,其後数回復帰ヲ交渉シタガY不応。. Y-Ⅹノ荷物ヲ送付,離婚届出 方ヲ迫ルモⅩ不応。今日二至リタルカY-前記Aト〔事実上〕結婚シ引続キ同棲シ, Ⅹニ対シ重大ナル侮辱ヲ与-タルヲ以テ請求趣旨記載ノ判決ヲ求ム」. (15-18,受訴裁. 判所が職権で調停に付したものらしい) というような,一方がかなり婚姻義務違反的ではあるが,他方は婚姻解消の合意に至って いないと思われる事案がある。 (17-10)があるが,多くはない。. 「慰籍料」も附随趣旨となっている例ほ,ほかにただ1件. これに対し,義務違反的な事情がさほど分明でほないが,双方とも婿姻解消にほ異議なく 「慰籍料・扶養料」なども問題にせず,形式的には単に「離婿」を申立てている例は多く.

(21) 113. 人事調停における法の実態 (18-17, 18-18,. 18-25.. (15-25)もみられる。. 19-2,. 20-25等),極端な場合ほ,単に「離婚届出」の趣旨のもの. (しかし,実際には離嬉以外の多様な要求をひそめていることほ調. 停条項から連推しうる。)例えば, 「Ⅹハ〔約8年前〕 Yト婿姻予約,. 〔その約2年後〕届出・爾来同棲o. Y-酒癖悪ク・. Y-行動ヲ改メズ無気力デ肺甲斐ナク Ⅹハ飲酒殴打暴行二耐-ザルタメ実家-帰ルo (18-8) 将来ノ見込ミナキモノデ,此ノ際協議ノ上離嬉シタイ」 というものなど後者の典型例であろう。 夫から妻に対しては,例えば 「Ⅹ夫-. 〔約7年前〕 Yl妻卜宿敵東京二居住・同棲,. 〔その約半年後〕婚姻届出, 〔昭和. y2・Y3夫婦卜養子縁組届出直後〔昭和14年〕現役兵トシテ召集ヲ受ケ入隊o 17年6月〕除隊。. Y等-Ⅹ夫ヲ冷遇シ漸次冷淡トナル--9月頃Y等卜協議離婚・ (20-7) 離縁シソノ手続ヲ為ス筈ナリシカ, Yカ履行セズ,ソノ履行ヲ求ム」 というように,. 「離縁」とともに離婚を申立てる例が比較的多い(ほかに, 16-22・. 16-17・ 19-7)。しかし形式的にはおおむね「離賂」のみで(16-8, 20-3, 20-18, 20-15, 2ト17), 「慰籍料」を附帯するものは少い(16-18,. 15-21,. 16118・. 17-32・. 19-19,. 20-10)o事案は. ほとんど不明である。. 申立関係不明の1件ほⅩ1男・Ⅹ空からYl男・Y2に対する「離嬉及幼児引渡」調停事 件で, Ⅹ2. (b)結. ・Y望のいずれが夫でいずれが妻か不明であるo 果. 結果は,成立8件,不成立5件,取下10件で比較的取下が多いo 妻から夫への申立の結果ほ成立3,不成立2,取下3であるo 成立した調停条項には,費用各自弁の条項(仮に「自弁条項」と称す)があること,また 爾後何ら請求しない旨の条項(仮に「不求条項」と称す)があることは,いずれも共通であ る。不求条項では「双方本件殖姻二関シ慰籍料ソノ他何等ノ請求ヲシナイコト」(18-8)と か「〔2,400円の請求に対し, 200円安払う合意あり〕其余ノ請求-拙棄スルコり(15118) (ママ). 「双方本日迄ノ所存二付キ将来之力責任ヲ追窮スル権利ヲ軸棄ス(18117)」とか表. とか,. 現は多様で,ことに最後の例ほかなり道義的表現である。 申立の主要趣旨たる離婚はいずれも. されてし・る。表現や付款は多様である。例えば. 「①Ⅹ妻トY夫-協議上離嬉シ,昭和15年9月16日迄二届出ヲ為スコトo ②y夫-Ⅹ妻二慰籍料金200円ヲ支払フコト。 ⑨Ⅹノ其余ノ請求-軸棄ノコト。 ④右金円ヲ昭和15年9月16日迄二支払フコト。 ⑤昭和15年(メ). 12号事件及手続ノ費用-各自弁クルコト」. (15-18). のような条項が典型的で,ほかに妻の所有衣類・調度など物品引渡条項(18-8,. 18-17)と. か,慰籍料を妻から500円支払う旨の条項(18-17)とかがみられるoこの最後の例では 「Ⅹ妻不行届ニッキ実父卜共ニY夫方ニイキ陳謝スルコりという条項がみられるのが注 意をひく。.

(22) 114. 関. 弥. 郎. 一. 夫から妻-の申立の結果は,成立5,不成立3,取下6である. 成立した調停条項ほいずれも主要趣旨の「離婚」を受容している。しかも多くほ「本日 合意,本日午後届ノコト」. 「本月○日迄二届出ノコト」など,比較的早期の月日を明足し. て婚姻解消に合意していることが,妻から夫-の申立の場合とやや異る。 また,子の処置を合意する条項が多いことも目立つ。例えば「長女-Y妻ガ,次女-Ⅹ 夫ガ引受ケ, Y妻-次女ヲ引渡スコト」(20-10)とか「子A-Ⅹ夫二引取養育シ,. Y妻トA. ガ将来交際スルコト-承認スル」 (20-15)とか「ⅩYノ長男A-学令二達スルマデY妻ガ 養育スル」 (21-17)とかいうものである. 金円の給付条項は,むしろ少ない。例えば 「Ⅹ夫-Y妻-150円交付,授受ヲ了シタ」. (20-7). 「Ⅹ夫-Y妻-1,500円,. Ⅹ夫ノ父ノ責任二於テ支払フ」 (20-15) 「Ⅹ夫-Y妻-養育料昭和21年11月より毎月末日限り金100円宛送金スル」(2ト17). などである。. かえって,慰籍料請求権放棄を合意した2例(16-8,. 20-10),扶養料請求権放棄を合意. した1例(20-10)が注目される. 以上,. S区裁の離婿等調停事件の実態である。. 2・人事調停の実態(ニ)-N区裁における(1)概. 説. N区裁における人事調停の申立と処理結果の年次別件数は別表1のとおりである。 申立受理件数ほ例年10件前後,年次による有意差もなく, 8年間にわずか68件の申 立を受理したにすぎない。農村部S区裁,都市部0区裁に比して格段の差である。処理結 果ほ,成立が半数の34件,不成立1件,取下10件で,あとほ不明である。しかし,この. 不明のほとんどは未済のまま昭和23年からの家事調停にもちこされたものと推定され,お 別表1. N区我人事調停事件(年次別・結果)別表(N区裁・昭14-22).

(23) 115. 人事調停における法の実態. そらくかなりの数が成立に達したものと思われる。. (家事調停による結果については,磯会. を改めるo). 成立率が高い点は都市部0区裁とほぼ同傾向であり,取下率が低い点ほ農村部0区裁の 取下率の高いのに比し対遮的である。 申立主要趣旨の種別・結果別件数ほ別表写のとおりである. 等」が上位にあり,とりたてて特異な様相ほ見出されない。. 「離賂」 「財産分与」 「慰籍料 「その他」の中で「妨害排除」. 「財産保全」等のいわば物権的請求が目を引き,また単に「人事」という標目で受理され ている数件が紛争の包括性を推測させる程度である。 別表2. N区我人事調停事件(標目別・結果別)義(N区裁・昭14-22). 3.人事調停の来意(≡)-0区裁にぉける(1)概. 説. 0区裁の年次別人事調停申立件数ほ,別表1のとおりで,昭 和15年の247件をピークに例年100件を越える申立が受付け 22年からま られていたが,昭和20・21年にほ100件を割り, (昭和16・ 19両年度の数ほ不明である。) た上昇へ転じている。 昭和22年度は1月から5月までと,. 5月から12月までとに二. 分・されて,受付けられている。 申立趣旨と,終局結果の類別ほ昭和14年度についてのみし か整理できなかった。 昭和14年の申立受理総数143件中,成立95件,取下24件, 不成立3件,不為1件,移送4件,不明(未済一次年度まわし) 16件であった。成立率が高く,取下率が低い点は他区裁に比し 特徴的である。. 別表1 0区裁人事調停事件 (年度別)受理数 (o区裁・昭14-22).

(24) 116. 閑. 弥. 郎. 一. 申立主要趣旨(標目)の種別及び結果別件数は別表2のとおりである。 「離婿」等の身分形成的申立が上位で,. 「同居」等の原状回復的申立は少なくなる(農村部. S区裁と対比せよ)が,かわって「損害賠鏡・慰籍料」等及び「財産・遺産の分与・贈与」 等の給付的申立が上向傾向を示す点が特徴的である。身分を身分として形成的調停物にす るよりは,むしろ,それを価値化して金品の給付的調停物にしていくのが都市部の傾向で あろうか。 別表2. 0区我人事調停事件(標目別・結果別)義(o区裁・昭14). 趣. 旨. 総. 結 成. 嬉. 姻. 離. 立. 下. 取. 婚〔離. 移. 送. 不. 為. 不. 明. 意. 別〕 (等). 3. (等). 1. 扶養(料) ・養育(料) (等) 入 籍・離 籍(等). l. 同 居〔復 縁〕 .(等) 遺産分配・引渡(等). 2. 損害賠償・慰籍料(等). 2. 認. 不成立. (等) 同. ・. 果. 数. 知. 子の監護・引渡(等) 2. 1. 1. 4. 不行跡行為禁(停)也(等). 1. 物件の返還・引渡(等). 2. 財産の分配・返還(等) 金員の分配・返還(等). 4. 所有権移転登記手続(等) 養. 子. 離. 縁(等). 相. 続. 辞. 退. (等). 蘇 絶入籍代講請求 隠 居行為有効確認. 逮 言実行方法変更 義 子縁組有効確認 別 訴. 居 訟. 取. 下. 要. 1. 求. 名 誉回復処分要求 営 業名義回復要求 質 借権存在東認. 1. 1 1 1. 木目 続権存在承認. 共有権存在承認 贈. 与. 義. 務. 履. 行. 注目写れる点を列挙すると,まず第1に「不行跡行為禁(停)止請求」. 〔親権関係事件.

(25) 117. 人事調停むこおける法の実態. か?〕 「名誉回復処分要刺,. 「営業名義回復要刺,. 「訴訟取下要求」など,やや特異な紛. 争を予想させる申立に注目させられるoこれらほ農村部たるS区裁にはほとんどみられな かったもので,道徳的責任の調停的創設を期待したものであろうかo また,第2に慰籍料,扶養料,養育料等のいわば特殊-身分責任ともいうべき領域の金 「退職手当金」 「委託金」 「下賜金」 「特 円給付をめぐる紛争とならんで,やや異質な「給料」 別賜金」等々の一般-民事責任領域と思われる金円給付をめぐる紛争が申立てられているo ●. ●. これらが人事調停として受理されていることほ,民事的責任を調停的に修正することを期 待したものであろうか。. また第3に,婿姫,離婚,認知,離縁等々の身分形成的調停申立とならんで,「隠居行為 有効確認」 「養子縁組有効確認」 「相続権存在承認」 「共有権存在確認」 「賃借権存在承認」 等々の身分確認的と思われる調停申立がみられるoこれらほ,訴訟的紛争可能性を調停で 予防することを期待したものであろう。 いずれにもせよ,都市部たる0区裁の人調資料は,農村部S区裁,山村部N区裁のそれ とかなり趣きを異にするところがあると思われるo昭和14年の事件受付簿のみによって 速断することば医しまねばならないし,今後なお機会を改めて検討しなければならないが・ とりあえず,事件の申立趣旨その結果の大要を概覧した。 むすぴに. 一人事調停法の理念と機能について-. ゎが国における家族共同体ないし親族共同体の法的秩序は,原則的には民法-とりわ け親族・相続規定-の中にいわを,fその理念型を見出すことができるoこの理念秩序自体 に内在する個人法的原理と団体法的原理の矛盾が一方にあり・またこれが家族共同体の現 実秩序と常に一定の距離を保ちつつ定立されるいう外在的矛盾が他方にある。現象的には 裁判規範秩序と行為規範秩序の轟離という歴史的社会的事実を,われわれは第一次大戦後 の大正から昭和へかけての制定法,判例法の中にうかがうことができる1)o 人事調停法が,民法改正の審議過程で誕生したこと,そしてまさに調停法として,訴訟 汰,審判法とは別異の現実整序手続として誕生したことは決して偶然ではないであろうo けだし,理念秩序は,主として自らの内在矛盾の整序にもっぱら苦慮していたとしても・ 訴訟法と調停法とほ,ともに現実秩序の整序に奉仕する機能を担い,訴訟法が裁判規範を担 ●. ●. 任し,詞停法が行為規範を担保すべき手段としてそれぞれ独自の自己運動をなしうる可能 性と現実性を有し得たのであったから。ここに提示した資料がこのことを実証するように 思われる。そしてついには,既にみてきたところでうかがえるように,手続法としての人. 調法が,実体的理念秩序の破綻を弥縫するものとして磯能するに至るのである0 哲「市民法学」 (日本近代法発達史7所収)0 1)たとえば,磯村 (社会科学研究11-3)参照。 利谷信義「家団論に関する覚書」 なお,我妻 栄「家事調停論序説」(穂積追悼・ 『家族法の諸問題』所収) (同上)など参照。 川島武宜「穂積重先達生の家族制度観」.

参照

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