シ ン ポ ジ ウ ムI-3
節外B細
胞 悪 性 リンパ 腫 の 病 理 形 態
高 橋
弘
長崎大学歯学部 口腔病理学講座
Histopathology
of extranodal
B-cell
lymphoma:
a comparison
of morphology,
im-munohistochemistry
and nucleolar
organizer
region staining
Hiroshi Takahashi
Department
of Oral Pathology,
Nagasaki
University
School of Dentistry
A group
of 62 B-cell
malignant
lymphomas
and 6 cases
of reactive
lymphor-eticular
hyperplasia
(RLH) in the gastrointestinal
tract
were investigated
with
mor-phological
and immunohistochemical
methods,
and one-stage
silver
staining
tech-nique of nucleolar
organizer
regions.
Sixty-two
cases of non-Hodgkin's
lymphomas
were reclassified
using the updated
Kiel classification,
which was modified
to include the categories
low-and
high-grade
mucosa-associated
lymphoid
tissue lymphoma.
There
were 13 low 1-1
grade
non-Hodgkin's
lymphomas
and 49 high 1-1
grade tumors.
Low 1-1
grade
lymphomas
comprised
mucosa-associated
lymphoid
tissue (MALT) lymphoma,
three
centrocytic
(CC) lymphoma,
six centroblastic-centrocytic
(CB-CC) lymphoma
and one plasmacytic
lymphoma.
High 1-1
grade lymphoma
comprised
40 centroblastic,
three
immunob-lastic,
one
lymphoblastic
or
Burkitt,
four
high
1-1
grade
mucosa-associated
lymphoid
tissue (High
1-1
MALT) lymphoma,
and
one
large
cell
anaplastic
lymphoma (LCAL).
The presence
of intracytoplasmic
and/or
surface immunoglobulins
were studied by
the immunoperoxidase
technique
using polyclonal
antibodies.
A monoclonal
staining
pattern
as revealed by light chain restriction,
was found in 10 cases (77%) of the low
1-1
grade non-Hodgkin's
lymphomas,
and in 43 cases (88%) of the high 1-1
grade
lymphomas.
MALT
lymphomas
were composed
of cells containing
intracytoplasmic
or surface
immunoglobulins
that was exclusively
IgM• x. In addition,
monoclonal
antibodies,
Ki-B3 and L26 gave positive staining
of about 80% of B-cell lymphomas.
MALT
and CC lymphomas
showed positive
reaction
with LN-2.
Using a silver staining
technique,
nucleolar
organizer
region-associated
proteins
(AgNORs) have been studied
in paraffin
sections
of 6 RLH and 62 non-Hodgkin's
lymphomas.
Our data demonstrated
that the mean number
of AgNORs
is related
to
the histological
grade
of non-Hodgkin's
lymphoma.
In addition,
the mean AgNORs
number of centroblast
in RLH was greater
than those of CC and MALT lymphomas.
Therefore,
this study showed that the AgNORs
score which is an indicator
of
cellu-lar
proliferation
may
reflect
the cell
size.
Furthermore,
the
mean
number
of
-385-AgNORs in the MALT lymphoma was similar to those of mantle zone and interfol-licular lymphocytes in RLH. And this result may be closely related to the his-togenesis of MALT lymphoma.
Key words: Gastrointestinal non-Hodgkin's lymphoma, Mucosa-associated lymphoid tissue lymphoma, Large cell anaplastic lymphoma, Nucleolar organizer region. は じ め に リンパ 節 以 外 の臓 器 に 発 生 す る節 外 性 リ ン パ腫 は リン パ 節 に 発 生 す る節 性 リン パ 腫 と は 組 織 型 の 出 現 頻 度 や 細 胞 像 で,そ の 趣 を 若 干 異 に し て い る1)。こ の こ とは,リ ン パ 節 と節 外 性 臓 器 で あ る 唾 液 腺 ・甲 状 腺 ・消 化 管 等 と の 解 剖 学 的 差 異 に起 因 す る も の と考 え られ て い る 。 最 近,Isaacsonら(1987)2)は これ ら節 外 性 臓 器 をmucosa-associated lymphoid tissue (MALT)の 概 念 の 下 で 包 括 し よ う と試 み,さ らに, MALTに 発 生 す る悪 性 リ ン パ 腫 は 節 性 リ ン パ 腫 と は 臨 床 的 な らび に 組 織 学 的 に著 し い 差 異 を 呈 す る と して い る 。 近 年,悪 性 リン パ 腫 に 関 す る研 究 の 進 歩 に は 目を み は る も の が あ り,従 来 の純 形 態 学 的 な リ ンパ 腫 分 類 に リン パ 球 の ク ラ ス や サ ブ セ ッ トな どの 機 能 的 概 念 の 導 入 で,現 在 広 く使 わ れ て い るWorking for-mulation for clinical usage (WF)分 類3), Lymphoma Study Group (LSG)分 類4),そ し て Kiel分 類5)な どが 確 立 され た 。 更 に,最 近 で はIgや T-cell receptorのDNAに 関 す る 遺 伝 子 の 検 討6)7) や,リ ン パ 腫 細 胞 の 増 殖 に 関 与 す るKi-67の 発 現8) な ど の 検 索 も 盛 ん に 行 わ れ る よ うに な っ て き て い る。 今 回,著 者 はi)消 化 管 に 発 生 し たreactive lymphoreticular hyperplasia (RLH) 6例 とB細 胞 性 リ ンパ 腫62例 に つ い て,病 理 組 織 学 的 並 び に免 疫 組 織 化 学 的 に検 討 し,さ ら に,ii) RLHの リン パ 組 織 構 成 細 胞 や 悪 性 リン パ 腫 の 構 成 細 胞 に つ い てnu-cleolar organizer regionsを 認 識 す る 銀 染 色 (AgNORs)に よ り細 胞 の 増 殖 能 力 を 分 析 した 結 果, 若 干 の 知 見 を 得 た の で 報 告 す る。 症 例 と 方 法 対 象 は 長 崎 大 学 医 学 部 附 属 病 院 検 査 部 病 理,同 大 学 医 学 部 第 一 外 科 お よ び 第 二 外 科 で1964年 か ら1988 年 に 亘 り検 索 さ れ た 消 化 管 原 発 のRLH並 び に 悪 性 リン パ 腫 の 手 術 例68例 を 用 い た 。 尚,悪 性 リン パ 腫 62例 の 臨 床 的 診 断 基 準 はLewin (1978)9)の 定 義 に 従 った 。 病 理 組 織 学 的 に は,摘 出 標 本 の フ ォル マ リ ン 固 定 ・パ ラ フ ィ ン 包 埋 ブ ロ ック か ら厚 さ3μmの 切 片 を 作 製 し,普 通 染 色 と してH・E染 色,Giemsa染 色, Gomoriの 鍍 銀 法,PAS反 応 な どを 施 し た 。 悪 性 リ ン パ 腫 の 組 織 型 はKiel新 分 類 に 準 拠 し た 。Kiel新 分 類 はIsaacsonら(1987)2)やHuiら(1988)10)の 考 え を 導 入 した も の で あ る 。Kiel新 分 類 と 本 邦 で 頻 用 さ れ て い るLSG分 類4)と の 比 較 対 照 を 表1に 示 す 。 免 疫 組 織 化 学 的 に は,ABC法11)お よ び 間 接 酵 素 抗 体 法(IIP)を 用 い た 。使 用 し た 一 次 抗 体 と し て,免 疫 グ ロ ブ リン はIgG・IgM・IgA・IgD・x・ λ, pan B の マ ー カ ー と し てKi-B3・L26・LN-1・LN-2, pan Tの マ ー カ ー と し てUCHL-1・MT1,組 織 球 の マ ー カ ー と し てlysozyme・ α1, -antitrypsin・cathepsin D, HLA-DR抗 原 と し てLN-3, Ki-1リ ン パ 腫 の マ ー カ ー と し てBer-H2・Epithelial membrane antigen (EMA)な ど で あ る(表2)。 尚,免 疫 グ ロ ブ リ ン やBer-H2の 染 色 で は ト リ プ シ ン 処 理 を 行 っ た 。免 疫 グ ロ ブ リン は4℃ で24時 間 反 応 させ た が, 他 の 一 次 抗 体 の 反 応 は 室 温 で60分 間 行 っ た 。 AgNORsの 検 索 に は,厚 さ3μmの パ ラ フ ィ ン 切 片 を 用 い てCrockerら(1987)12)の 方 法 に 準 じ て 染 色 を 行 い,油 浸 レ ンズ(対 物 ×100,接 眼 ×10)に て AgNORsの 陽 性 ド ッ ト数 を 算 定 し た 。悪 性 リ ンパ 腫 で は 各 症 例 の 腫 瘍 細 胞200個 の 核 内 の 陽 性 ド ッ ト数 を 算 定 し,RLHで は 反 応 性 リン パ 濾 胞 の 胚 中 心 内 に お け るcentroblast・centrocyte, mantle zoneの
リン パ 球,リ ン パ 濾 胞 間 領 域 の リン パ 球 の4種 類 に つ い て 各 症 例 ご と に そ れ ぞ れ200個 ず つ 算 定 した 。そ して,RLH・ 低 悪 性 度 群 ・高 悪 性 度 群 の 平 均 値 の 比 較,さ ら に 各 々 の 構 成 細 胞 に つ い て の 平 均 値 の 比 較 検 討 を 行 った 。 な お,平 均 値 の 有 意 差 検 定 に
はStu-表1 Kiel分 類 とLSG分 類 の 比 較
: MALT and plasmacytic type belong to low-grade and intermediate -grade lymphomas in LSG classification
表2 検 索 に 用 い た 抗 体
-387-表3 消 化 管悪 性 リンパ腫 の組 織 型 dent t testを 用 い た 。 結 果 1. 臨 床 的 所 見 悪 性 リン パ 腫62例 の 原 発 部 位 は 胃 が36例(58%), 小 腸 が16例(25.8%),大 腸 が6例(9.7%),消 化 管 内 で の 多 発 例 が4例(6.5%)で あ っ た 。 性 別 で は 男 性 が42例(68%),女 性 が20例(32%)と 男 性 に 多 く 発 生 し た 。 発 生 年 齢 は11∼75歳 に み られ,平 均 年 齢 は50歳 で あ った 。 2. 病 理 組 織 学 的 所 見 症 例 収 集 時,過 去 に お い てRLHと 診 断 さ れ た 症 例 が12例,悪 性 リン パ 腫 と診 断 され た 症 例 が56例 で あ った 。 そ の 後,こ れ らの 症 例 の 臨 床 デ ー タ ・過 去 の病 理 組 織 学 的 診 断 を ブ ラ イ ン ドに し て 再 検 討 した 結 果,RLH6例 の うち3例 がMALTリ ン パ 腫 に,他 の3例 がcentroblastic-centrocytic(以 下,CB-CC と略)型 に 変 更 され た 。 62例 の 消 化 管 原 発 悪 性 リ ンパ 腫 の 組 織 型 を表3に 示 す 。 低 悪 性 度 群 は62例 中,13例(21%)で あ り, そ の 内 訳 はMALTリ ン パ 腫 が3例,centrocytic(以 下,CCと 略)型 が3例,CB-CC型 が6例,plas-macytic型 が1例 で あ っ た 。MALTリ ン パ 腫 の 組 織 学 的 特 徴 は,i)そ の 構 成 細 胞 が 古 典 的 な centrocyteに 類 似 す る核 形 態 を 有 す る細 胞(図1) と,monocytoid B細 胞(図2)と か ら成 っ て い る, ii)腫 瘍 細 胞 が 反 応 性 リ ンパ 濾 胞 を と りま い て 濾 胞 間 領 域 に 浸 潤 す る 様 式 が 主 で あ る が,時 に は 結 節 状 を 示 す(図3),iii)腫 瘍 細 胞 の 粘 膜 上 皮 あ る い は 腺 組 織 内 へ の 浸 潤 が3例 中2例 に み られ た(図4), iv) 腫 瘍 細 胞 に お い て 核 内PAS陽 性 物 質 や 胞 体 内PAS 陽 性 物 質 を3例 中1例 に認 め た,な どで あ る。 高 悪 性 度 群 は62例 中49例(79%)を 占 め て お り,こ れ を 組 織 型 別 に 検 討 す る とcentroblastic型 が40例 と圧 倒 的 に 多 く,そ の 他,immunoblastic型 が3例, lymphoblastic型 あ る い はBurkitt型 が1例,large cell anaplastic lymphoma(以 下,LCALと 略)が
1例(図5)で あ っ た 。 さ らに,MALTリ ンパ 腫 と 高 悪 性 度 の 組 織 像 が 合 併 し て い る,所 謂,High-MALTが4例 に 認 め ら れ,高 悪 性 度 を 示 す 組 織 型 は 全 てcentroblastic型 で あ っ た 。 3. 免 疫 組 織 化 学 的 所 見 低 悪 性 度 悪 性 リ ンパ 腫 に お け る免 疫 組 織 化 学 的 検 索 結 果 を 表4に 示 す 。MALTリ ン パ 腫 で はB細 胞 の マ ー カ ー で あ るL26・LN-2が3例 と も陽 性 を示 した(表5)。 免 疫 グ ロ ブ リン の 単 ク ロ ー ン性 は 全 例 に 認 め られ,2例 がIgM・xの 胞 体 内 免 疫 グ ロ ブ リ ン を 示 し,残 りの1例 でIgM・xの 表 面 免 疫 グ ロ ブ
図1 MALTリ ン パ 腫 の 組 織 像:centrocyteに 類 似 す る 腫 瘍 細 胞. HE染 色,×270。 リ ン が 確 認 さ れ た(図6, 7)。 尚,IgDは 全 例,陰 性 で あ っ た 。CC型 はKi-B3とLN-2が3例 全 例 に お い て 陽 性 で あ っ た 。 免 疫 グ ロ ブ リ ン は2例 に 単 ク ロ ー ン 性 が 証 明 さ れ,λ 鎖 を 示 し た(表6)。CB-CC 型 は6例 全 て に お い てLN-1・LN-2が 陽 性 で あ り, Ki-B3・L26・LN-3が5例 に 陽 性 を 示 し た 。 免 疫 グ ロ ブ リ ン に つ い て は,4例 で 単 ク ロ ー ン 性 が 証 明 さ れ,全 て λ 鎖 陽 性 を 示 し た(表7)。Plasmacytic型 はKi-B3陽 性 でIgM・ λ の 単 ク ロ ー ン 性 を 示 し た 。 高 悪 性 度 群 の 免 疫 組 織 化 学 的 所 見 は 表8に 示 す 。 Centroblastic型 は 免 疫 グ ロ ブ リ ン の 単 ク ロ ー ン 性 ・Ki-B3・L26・LN-1・LN-2が そ れ ぞ れ35例(87.5 %)・34例(85%)・34例(85%)・34例(85%)・34 例(85%)に お い て 確 認 さ れ た 。 免 疫 グ ロ ブ リ ン の 軽 鎖 はx鎖 が17例,λ 鎖 が18例 に 証 明 さ れ た 。Im-munoblastic型 は3例 全 て がKi-B3・L26・LN-1・ LN-2・LN-3陽 性 で あ り,免 疫 グ ロ ブ リ ン は2例 で x鎖 を,1例 で λ 鎖 の 陽 性 を 示 し た 。Lymphoblastic 図2 MALTリ ン パ 腫 の 組 織 像:mouocytoid B細 胞 の 浸 潤. HE染 色,×270. ま た はBurkitt型 と し た1例 で は,Ki-B3・L26・LN -2が 陽 性 で あ り,免 疫 グ ロ ブ リ ン に つ い て はIgM・ λ が 証 明 さ れ た 。High 1 - 1 MALTやLCAL(図 8・9)は 免 疫 グ ロ ブ リ ン の 単 ク ロ ー ン 性,LN-2・ LN-3の 陽 性 が 全 例 に お い て 確 認 さ れ た 。 な お, LCALはBer-H2陽 性 ・EMA陰 性 で あ っ た 。 4. AgNORsの 検 討 図10はRLH, B細 胞 性 低 悪 性 度 リ ン パ 腫,B細 胞 性 高 悪 性 度 リ ン パ 腫 の3群 に お け る 構 成 細 胞 の 核 内 に お け るAgNORsの 陽 性 ド ッ ト数 を 示 し,3群 間 の 比 較 を 行 っ て い る 。RLHに お い て は そ の 平 均 値 が2.27±1.76,低 悪 性 度 群 で は4.18±2.59,高 悪 性 度 群 で は8.23±3.28と3者 間 に は そ れ ぞ れ 有 意 差 が 認 め ら れ た(P<0.01)。 図11はRLH,低 悪 性 度 リ ン パ 腫,高 悪 性 度 リ ン パ 腫 の 構 成 細 胞 そ れ ぞ れ に つ い て のAgNORsの 陽 性 ド ッ ト数 を 示 し,細 胞 間 の 比 較 を 行 っ て い る 。RLHで は 反 応 性 リ ン パ 濾 胞 の 胚 中 心 内 に お け るcentroblast・centrocyte, mantle
-389-図3 MALTリ ン パ 腫 の 組 織 像:腫 瘍 細 胞 の 反 応 性 リン パ 濾 胞 間 領 域 に お け る 浸 潤 と結 節 性 増 殖 . HE染 色,×25. zoneの リ ン パ 球,リ ン パ 濾 胞 間 領 域 の リ ン パ 球 な ど 4種 の リ ン パ 組 織 構 成 細 胞 の 核 内 のAgNORsの 陽 性 ド ッ ト数 を 算 定 し た 。RLHに お け るcentroblast で の 平 均 値 は4.54±1.50で あ り,centrocyte (3 .28± 1.22), mantle zoneの リ ン パ 球(1.33±0 .67),リ ン パ 濾 胞 間 領 域 の リ ン パ 球(1 .34±0.71)な ど よ り も 高 値 を 示 し た(P<0.01)。 低 悪 性 度 群 に お い て は CB-CC型 のcentroblast・centrocyte, CC型 の centrocyte, MALTリ ン パ 腫 の 腫 瘍 細 胞 の 核 内 AgNORsの 陽 性 ド ッ ト数 の 平 均 値 を 算 定 し た 。CB -CC型 のcentroblastで の 平 均 値 は6 .57±2.49で あ り,CB-CC型 のcentrocyte (3.44±1.47), CC型 の centrocyte (4.23±1.77), MALTリ ン パ 腫(1 .41± 0.75)(図12)に 比 べ て 著 し い 高 値 を 示 し た(P< 0.01)。 さ ら に,高 悪 性 度 に お い て はcentroblastic型 と そ の 他 の 組 織 型 に お け る 腫 瘍 細 胞 の 核 内 AgNORsの 陽 性 ド ッ ト 数 の 平 均 値 を 示 し た。 Centroblastic型 で の 平 均 値 は8 .18±3.19で あ り, 図4 MALTリ ンパ 腫 の 組織 像:腫 瘍 細胞 の腺 組 織 へ の浸 潤 . PAS反 応,×160. immunoblastic型,lymphoblastic型 ま た はBurkitt 型,LCAL(図13)を 含 む そ の他 は8.69±4,03を 示 し た 。 尚,High-MALTの4例 は 高 悪 性 度 部 の 組 織 像 か らcentroblastic型 に 包 括 さ れ た 。 考 察 本 邦 に お い て 節 外 性 リン パ 腫 と節 性 リン パ 腫 の 発 生頻 度 の 比 は ほ ぼ1:1で 節 外 性 非 ホ ジ キ ン リ ンパ 腫 の 相 対 的 頻 度 の 高 い こ と が 特 徴 と され て い る1)。 消 化 管 原 発 悪 性 リン パ 腫 は,節 外 性 リンパ 腫 の 中 で も っ と も多 く,悪 性 リン パ 腫 全 体 の5∼20%を 占 め る1)13)14)。組 織 像 は リン パ 節 に発 生 す る 悪 性 リン パ 腫 に 類 似 す る と され,そ の 組 織 学 的 分 類 も同 様 の 歴 史 的 変 遷 を た ど っ て きた 。 今 日,広 く使 わ れ て い る 分 類 は 国 際 的 に はWF分 類3),Kiel分 類5),国 内 的 に は LSG分 類41)などで あ る。WF分 類 ・LSG分 類 は低 ・ 中 ・高 悪 性 度 群 に 分 け ら れ,こ の3群 分 類 は 予 後 と の 相 関 が 良 い と さ れ て い る 。 一 方 ,Kiel分 類 は各 細
表4 B細 胞 性 リンパ腫 低 悪 性 度 群 の免 疫 組 織化 学 的 検 討結 果
図5 Large cell anaplastic lymphomaの 組 織 像: 大 型 か つ 異 型 性 の 強 い 腫 瘍 細 胞 の 増 殖. HE染 色,×270. 胞 型 に 応 じ て 悪 性 度 を 決 め,小 型 の-cyticと 大 型 ・ 小 型 の 混 合 を-blastic-cyticと し て 低 悪 性 度,そ し て-blasticを 高 悪 性 度 の2群 に 分 け た 。こ の 点,実 用 性 よ り は む し ろ 細 胞 学 的 に 腫 瘍 細 胞 の 組 織 発 生 を 重 視 し た 分 類 と 言 え る 。 近 年,節 外 性 リン パ 腫 は 臨 床 的 並 び に 病 理 組 織 学 的 に 節 性 リ ン パ 腫 と 異 な る こ と が 確 認 さ れ て い る2)15)。特 に,消 化 管 原 発 悪 性 リ ンパ 腫 の診 断 に 際 し て 次 の2点 に 留 意 す る 必 要 が あ る。 第 一 点 は,消 化 管 に はRLHな る疾 患 概 念 が 存 在 し,低 悪 性 度 群 の 悪 性 リ ンパ 腫 と の 鑑 別 で あ る。 第 二 点 は,消 化 管 の MALTを 発 生 母 地 と す る 悪 性 リン パ 腫 の 存 在 が 提 唱 さ れ て い る点 で あ る。 この 第 二 点 目 のMALTリ ン パ 腫 の 概 念 を と り入 れ たB細 胞 性 リ ン パ 腫 の 分 類 と し てKiel分 類 が あ る。 今 回,消 化 管 の 悪 性 リ ンパ 腫 の 病 理 学 的 特 徴 を よ り明 ら か にす る 目的 で,長 崎 地 方 で 経 験 し た6例 の RLHと62例 のB細 胞 性 リ ン パ 腫 に つ い て 種 々 の 面 か ら検 討 を 加 え た 。 そ の 結 果,消 化 管 のB細 胞 性 リ ン パ 腫 の 組 織 型 の 多 く はLSG分 類 の び ま ん 性 大 細 胞 型 に 相 当 す るcentroblastic型 の 特 徴 を 有 し て い た 。 さ ら に,本 研 究 で は,MALTリ ンパ 腫,High 1 -1 MALTお よ びLCALな ど が 少 数 例 な が ら 確 認 さ れ た 。 消 化 管 リン パ 腫 の 免 疫 組 織 化 学 的 検 索 で は い ず れ の 報 告 に お い て もB細 胞 性 が 高 頻 度 に み ら れ,T細 胞 性 や 真 の 組 織 球 性 リン パ 腫 は 少 な い と さ れ て い る16)17)18)19)。フ ォル マ リン 固 定 ・パ ラ フ ィ ン包 埋 組 織 を 用 い て の 今 回 の 検 討 で は,B細 胞 の マ ー カ ー と し て 免 疫 グ ロ ブ リン ・Ki-B3・L26・LN-1・LN-2, T 細 胞 の マ ー カ ー と して はUCHL-1・MT1,組 織 球 の マ ー カ ー と してlysozyme・ α1-antitrypsin・cathep-sin Dを,そ し て,そ の 他LN-3, Ber-H2, EMA
な ど を 使 用 し てB細 胞 性 リン パ 腫 の 同 定 を 行 っ た 。 B細 胞 性 リン パ 腫 の 確 定 に は,免 疫 グ ロ ブ リ ン軽 鎖 の 一 方 が 陽 性 で あ る こ と を 必 要 と し,反 応 性 病 変 と 腫 瘍 性 増 殖 の 鑑 別 が 可 能 と な る 。 今 回 の 免 疫 グ ロ ブ
-391-図6 MALTリ ン パ 腫 の 免 疫 染 色:表 面 免 疫 グ ロ ブ リ ン(IgM)の 陽 性 像. IIP法,×270. 図7 MALTリ ン パ 腫 の 免 疫 染 色:表 面 免 疫 グ ロ ブ リ ン(x)の 陽 性 像. IIP法,×270. 表5 消 化 管 のMALTリ ンパ 腫 リン の 検 索 で は,ト リ プ シ ン処 理 を 行 わ ず に 一 次 抗 体 を 室 温 で60分 間 反 応 さ せ る 日 常 的 な方 法 で はB 細 胞 性 リン パ 腫 全 体 の6割 の 症 例 だ け が 免 疫 グ ロ ブ リ ンの 単 ク ロ ー ン性 を 証 明 し た の に 対 し て,ト リプ シ ン 処 理 を 行 い 一 次 抗 体 を4℃ で24時 間 反 応 させ る こ とに よ り約9割 の 症 例 で 免 疫 グ ロ ブ リン の 単 ク ロ ー ン 性 が 確 認 で きた 。 MALTリ ン パ 腫 は 節 外 性 リ ン パ 組 織 に 発 生 す る 腫 瘍 と し て,最 近 提 唱 さ れ た 疾 患 概 念 で あ り,RLH との 鑑 別 が 度 々 困 難 で あ る。 本 研 究 で ,著 者 は,従
表6 消 化 管 のcentrocyticリ ン パ 腫
表7 消 化 管 のcentroblastic-centrocyticリ ン パ 腫
表8 B細 胞 性 リンパ 腫高 悪 性 度 群 の免 疫 組織 化 学 的 検 討結 果
-393-図8 Large cell anaplastic lymphomaの 免 疫 染 色:腫 瘍 細胞 のBer-H 2陽 性 像.ABC法,× 270. 来RLHと 診 断 さ れ た12例 を 免 疫 組 織 化 学 的 に 再 検 討 した 結 果,6例 に 免 疫 グ ロ ブ リ ン の 単 ク ロ ー ン 性 を 証 明 で き,組 織 学 的 に は3例 がMALTリ ンパ 腫, 他 の3例 がCB-CC型 に 分 類 さ れ た 。 従 っ て,従 来 RLHと 診 断 さ れ た 症 例 の 中 に はMALTリ ン パ 腫 が 少 な か らず 混 在 し て い る 可 能 性 を 示 唆 す る もの で あ る 。 Isaacsonら(1987)2)はMALTリ ン パ 腫 の 病 理 組 織 学 的 診 断 基 準 と し て,リ ン パ 濾 胞 間 領 域 に お け る centrocyte様 の 腫 瘍 細 胞 の 浸 潤 ・増 殖,腫 瘍 細 胞 の 粘 膜 上 皮 や 腺 組 織 へ の 浸 潤 像 な ど を あ げ て い る。 著 者 はMALTリ ンパ 腫 の 組 織 学 的 特 徴 と し て,上 述 の 診 断 基 準 に加 え て,次 の2点 に 着 目 して い る。 第 1点 と し て,腫 瘍 細 胞 に は,典 型 的 なcentrocyteを や や 小 型 に し た 細 胞 と 共 にmonocytoid B細 胞 の 出 現 を み る こ と で あ る。 第2点 は 腫 瘍 細 胞 が 核 内 PAS陽 性 物 質 や 胞 体 内PAS陽 性 物 質 を 有 す る こ と
図9 Large cell anaplastic lymphomaの 免 疫 染 色:腫 瘍 細胞 の胞 体 内 免疫 ブ ロ ブ リン(x)陽 性 像. IIP法,×270. で あ る。 免 疫 組 織 化 学 的 に はMALTリ ンパ 腫 の 腫 瘍 細 胞 は 胞 体 内 免 疫 グ ロ ブ リン(IgM・x)の 単 ク ロ ー ン性 増 殖 が 特 徴 と さ れ て い る が2) ,著 者 の3例 の 低 悪 性 度MALTリ ン パ 腫 に お い て は,2例 が 胞 体 内 免 疫 グ ロ ブ リ ン(IgM・x)陽 性,1例 が 表 面 免 疫 グ ロ ブ リ ン(IgM・x)陽 性 を 示 し た 。 そ の 他 の 免 疫 組 織 化 学 的 知 見 と して は,LN-2が3例 に お い て 陽 性 を 呈 し た 点 で あ る。LN-2は 胚 中 心 の 中 細 胞 や mantle zoneの リン パ 球 に 対 し て 陽 性 を示 す こ とか ら,MALTリ ン パ 腫 の 組 織 発 生 にmantle zoneの
リン パ 球 と の 関 連 性 が 示 唆 さ れ る 。 今 回 の 消 化 管 原 発 の 悪 性 リン パ 腫 の 検 索 で,MALTリ ン パ 腫 が3 例 認 め られ,本 邦 に お い て もそ の 存 在 が 確 認 さ れ た 。 著 者 が 経 験 しえ た 西 ドイ ッKiel大 学Lymph Node Registryで は,消 化 管 原 発 の 低 悪 性 度 非 ホ ジ キ ン リ
ンパ 腫122例 中,110例(90%)がMALTリ ン パ 腫 で あ り20),欧 州 と 日本 との 発 生 頻 度 に 差 が あ る も の と
RLH: reactive lymphoreticular hyperplasia 図10 消 化 管 の リ ン パ 組 織 増 殖 性 疾 患 とAgNORs
の 関 連.
思 わ れ る。 こ の 疫 学 的 差 異 の 原 因 究 明 が 待 た れ る と 同 時 に,今 後,MALTリ ン パ 腫 とintermediate lymphocytic lymphomaやmantle zone lymphomaと の 異 同 も興 味 の あ る 点 で あ る 。 低 悪 性 度 の 悪 性 リ ン パ 腫 はRichter症 候 群21)に代 表 され る よ うに 高 悪 性 度 の 組 織 型 に 移 行 す る こ とが 知 られ て い る。 同 様 の 現 象 は 胃 に お い て も 発 生 す る も の と考 え られ て お り,Brooksら(1983)22)は58例 の 胃 原 発 悪 性 リ ンパ 腫 に お い て 低 悪 性 度 と 高 悪 性 度 の 合 併 した6例 を 報 告 し た 。 高 橋 ら(1989)20)は,欧 州 に お け る消 化 管 原 発 のMALTリ ン パ 腫 に 合 併 し た 高 悪 性 度 群 の17例 中13例 はcentroblastic型 で あ り,そ の 他,LCALあ る い はimmnunoblastic型 と の 共 存 を 確 認 し て い る。 一 方,今 回 の 本 邦 例 の 検 索 で は,4例 に お い てMALTリ ン パ 腫 とcentroblas-tic型 の 合 併 が 確 認 さ れ た 。 さ ら に,興 味 の あ る知 見 と し て は,免 疫 組 織 化 学 的 にMALTリ ン パ 腫 の 病 変 部 とcentroblastic型 の 部 位 とで,免 疫 グ ロ ブ リ ン 軽 鎖 ・重 鎖 の 染 色 態 度 が と もに 同 一 で あ っ た 点 で あ る 。 この 所 見 はMALTリ ンパ 腫 と高 悪 性 度 の 病 変
MZL: mantle zone lymphocyte IFL: interfollicular lymphocyte
RLH: reactive lymphoreticular hyperplasia
others: immunoblastic, lymphoblastic and large cell anaplastic lymphomas
図11 消 化 管 の リ ン パ 組 織 増 殖 性 疾 患 に お け る 構 成 細 胞 とAgNORsの 関 連.
-395-図12 MALTリ ン パ 腫 のAgNORs:腫 瘍 細 胞 の 核 内 に1∼4コ のAgNORsが 出 現.AgNORs 染 色,×500。 部 が ほ ぼ 同 一 の ク ロ ー ンか ら発 生 して い る こ と を 強 く示 唆 す る も の で あ る。 低 悪 性 度 の 病 変 が 高 悪 性 度 の 病 変 に 先 行 す る とい う報 告 は リン パ 節 や 皮 膚 に お い て な され て き た21)23)。こ こで ,消 化 管 の 全 て の 高 悪 性 度 リン パ 腫 がRLHや 低 悪 性 度 リン パ 腫 か ら発 生 す る の か,ま た はde novoに 発 生 す る 症 例 も存 在 す る の か ど うか と い う問 題 が 生 じて く る。 著 者 の 高 悪 性 度 リン パ 腫49例 中,4例(8%)に お い てMALT リン パ 腫 の 合 併 が 証 明 され,そ の 他 で は リ ンパ 腫 の 病 変 部 周 囲 に 常 に反 応 性 リ ンパ 濾 胞 を 伴 っ て い た 。 しか し,こ れ らの 反 応 性 リ ンパ 濾 胞 が 悪 性 リン パ 腫 の 先 駆 病 変 で あ る の か,ま た は 悪 性 リン パ 腫 に 対 す る反 応 性 病 変 で あ る の か は 明 ら か で な く,消 化 管 原 発 悪 性 リン パ 腫 の 組 織 発 生 を考 察 す る 上 で 重 要 な課 題 とみ な さ れ た 。
未 分 化 大 細 胞 型 リン パ 腫(Large Cell Anaplastic Lymphoma; LCAL)は,い わ ゆ るKi-1リ ンパ 腫 と してi)悪 性 組 織 球 症 ・未 分 化 癌 ・悪 性 黒 色 腫 。ホ
図13 Large cell anaplastic lymphomaの
AgNORs:腫 瘍 細 胞 の 核 内 に き わ め て 多 数 の
AgNORsの 出 現.AgNORs染 色,×500 .
ジ キ ン 病 に 類 似 す る 特 異 な 病 理 組 織 像,ii) CD30 (Ki-1な い しBer-H2), EMA, HLA-DRが 陽 性, iii) T・B関 連 抗 原 に つ い て は 文 献 上,T細 胞 形 質 を 示 す こ とが 多 い,な ど の 特 徴 を 有 して い る。中 村 ら28) は 本 疾 患 を"ポ ジキ ン病 に 極 め て 近 接 し た 位 置 を 占 め る(T細 胞 性)非 ポ ジ キ ン リ ンパ 腫"と み な し て い る が,本 研 究 に お い て はBer-H2陽 性,EMA陰 性,IgA・xの 免 疫 グ ロ ブ リン 陽 性 を示 すLCAL例 を 経 験 し た 。LCALの 大 多 数 はT細 胞 の 表 面 形 質 を 示 す が,少 数 例 と してB細 胞 関 連 抗 原 あ る い は 二 重 表 現 型 を 示 す もの の 存 在 も 指 摘 さ れ て い る24)27)。ま た,Delsolら(1988)27)は 免 疫 組 織 化 学 的 な 面 か ら LCALを4型 に 分 け,そ の1型 のBer-H 2陽 性, EMA陰 性 のLCALはB細 胞 起 源 を 示 唆 して お り, 著 者 の検 索 例 が そ の範 疇 に 属 す る も の と思 わ れ た 。 従 来,LCALの 報 告 の 大 多 数 は リン パ 節 ・皮 膚 に お い て な され て き た が,稀 に,消 化 管 で も確 認 さ れ る よ うに な っ た29)30)。こ の よ う な 非 定 型 例 の 蓄 積 が
LCALの 悪 性 リン パ 腫 全 体 で の 位 置 付 け を 更 に 明 確 に す る も の と思 お れ る 。ま た,CD30陽 性 細 胞 の 存 在 はT細 胞 性 リ ン パ 腫immunoblastic型 に お い て も指 摘 され て い る こ と か ら11),LCALの 診 断 に 際 し て は 病 理 形 態 学 的 特 徴 の把 握 が 肝 要 で あ る 。
Nucleolar organizer regions (NORs)は 核 小 体 形 成 に 関 与 す る 遺 伝 子 で あ るribosomal RNAを 有 し,1980年 に,Howellら31)に よ り,簡 便 で 再 現 性 の 高 い 銀 染 色 法(AgNORs染 色)が 報 告 さ れ た 。 こ の 染 色 法 に よ り,染 色 さ れ るAgNORs数 が 細 胞 増 殖 と関 連 す る こ とが 指 摘 さ れ32)33),Ki-67陽 性 細 胞 数 と の 相 関34)お よ びBrd U標 識 率 と の 相 関35)も報 告 され て い る。著 者 の 検 索 結 果 か ら,AgNORsの 核 内 に お け る 陽 性 ド ッ ト数 は,RLH,低 悪 性 度 リ ンパ 腫, 高 悪 性 度 リ ン パ 腫 の 三 群 間 で 明 瞭 な 差 が あ り, Crockerら(1987)12)の 報 告 と 類 似 して い る。さ ら に, 各 構 成 細 胞 に つ い て 詳 細 に 検 討 す る と,ま ず, centroblastはRLH, CB-CC型,centroblastic型 の 3者 間 で1%以 下 の 危 険 率 で 有 意 差 が 認 め ら れ た が,各 れ の 場 合 も 平 均 値 が4以 上 と高 値 を 示 した 。 RLHの 胚 中 心 内 に お け るcentroblastAgNORs の 平 均 値 は 低 悪 性 度 群 のCC型 やMALTリ ン パ 腫 の 腫 瘍 細 胞 よ りも 高 値 を 示 し,こ の 点 か ら,細 胞 の 増 殖 能 力 は 細 胞 の 大 き さ と も関 連 性 の あ る こ とが 示 唆 さ れ た。ま た,RLHに お け るmantle zoneお よ び 濾 胞 間 領 域 の リ ン パ 球AgNORs値 とMALTリ ン パ 腫 の 腫 瘍 細 胞 の そ れ との 間 で は極 め て 近 似 し た 値 を 示 し た 。MALTリ ン パ 腫 で は 形 態 学 的 に centrocyteに 類 似 し た細 胞 も 出 現 す るが,増 殖 能 力 な ど の 点 か ら 古 典 的 なcentrocyteと は か な り異 質 の も の とみ な され,む し ろ胚 中 心 外 のmantle zone な い し は濾 胞 間 領 域 の リン パ 球 との 機 能 的 関 連 性 あ る い は 組 織 発 生 上 で の 関 連 性 が 示 唆 され た 。 結 語 消 化 管 原 発 のRLH6例 とB細 胞 性 リン パ 腫62例 を 検 討 し た 結 果 を ま と め る と以 下 の 様 に な る。(1)悪 性 リン パ 腫 の 組 織 像 は,胚 中 心 由 来 のCB-CC型 や centroblastic型 が 極 め て 多 い 。(2)従来,RLHと 診 断 さ れ た 症 例 の うち,MALTリ ンパ 腫 あ る い はCB-CC型 な ど の 低 悪 性 度 リ ン パ 腫 の 範 疇 に 属 す る もの が しば しば 存 在 す る 。(3)本 邦 に お い て もMALTリ ン パ 腫 の 存 在 が 確 認 され た 。(4) B細 胞 性 でBer-H2 陽 性,EMA陰 性 のLCALの1例 が 確 認 され た 。(5) 細 胞 増 殖 に 関 連 す る と さ れ て い るAgNORsの 検 討 か ら,高 悪 性 度 の 症 例 ほ ど核 内 の 陽 性 ド ッ ト数 が 高 値 を 示 した 。(6)構成 細 胞 別 の 検 討 で は,RLHの 胚 中 心 内 で のcentroblastのAgNORs値 はCC型 や MALTリ ン パ 腫 の 腫 瘍 細 胞 よ り高 値 で あ り,非 腫 瘍 性 の 大 型 リン パ 球 は 腫 瘍 性 の 中 型 リ ンパ 球 よ り増 殖 能 力 の 高 い こ と が 示 唆 され た 。(7) MALTリ ン パ 腫 の 腫 瘍 細 胞 のAgNORs値 はRLHに お け る 反 応 性 リ ン パ 濾 胞 の 濾 胞 間 領 域 やmantle zoneの リ ン パ 球 と 類 似 し た デ ー タ を 示 し た 。 組 織 学 的 に, MALTリ ン パ 腫 の 拡 が りが 濾 胞 間 領 域 を 中 心 と し て い る 点 を 考 え 合 せ る と,そ の 組 織 発 生 を 考 察 す る 上 で 興 味 の あ る 結 果 と み な さ れ た 。 謝 辞 稿 を 終 え る に あ た り,本 研 究 の 資 料 を 快 く提 供 し て 下 さ い ま した 長 崎 大 学 医 学 部 附 属 病 院 検 査 部 病 理 津 田 暢 夫 助 教 授,同 大 学 医 学 部 第1外 科 学 教 室 ・第 2外 科 学 教 室 の 諸 先 生 方 に 深 謝 い た し ま す 。 多 大 な 御 協 力 を い た だ き ま し た 西 ド イ ッLymph Node Registry, Lennert教 授 とDr. Hansmannに 感 謝 い た し ます 。 ま た,終 始 御 支 援 を い た だ き ま した 当教 室 の 教 室 員 ・技 官 の 皆 様 方 に 深 謝 い た し ます 。
文
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