履歴型ダンパー付CFT多層骨組の地震時応答の改善法に関する研究 [ PDF
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(2) 2. 2 解析方法 2 解析はファイバーモデルの柱梁要素を用いた弾塑性. 2. 4 材料の応力−歪関係 4 材料の応力−歪関係 充填コンクリートの応力−歪関係には崎野モデルを. 骨組に対する静的及び地震応答解析である.各要素は. 用いる.鋼材に関して,履歴則は秋山等の規則に従い,. 軸方向変形,曲げ変形のみ考慮するが,設置するダン. スケルトン部分を順次履歴曲線として消費していくも. パーはせん断変形によりエネルギーを吸収するため,. のとする.ただし,バウシンガー部分の取扱いとスケ. エネルギー吸収要素である極低降伏点鋼はせん断変形. ルトン部分の移動は大井等に従い,スケルトン曲線と. を考慮した要素とする.静的解析における外力分布は. 除荷・バウシンガー曲線には Menegotto-Pinto モデルを. Ai 分布とし,劣化域は変位制御とする.地震応答解析. 用いる.応力−歪関係は,角形鋼管・H 形鋼は局部座. は Newmark のβ法(β =1/4)を用い,微少時間刻み. 屈を考慮しないモデルを用い,極低降伏点鋼はバイリ. (0.005 秒)に対する増分解析である.減衰定数は1次. ニア型で歪み硬化は考慮しないモデルを用いる. 3. 試設計建物の解析結果 3. 試設計建物の解析結果. と2次の減衰が2%のレーリー型とする.質量は柱梁 接合部に集中質量として与える. 3 2. 3 解析変数. 解析モデルの解析結果を示す.ここでは MD-0.2 と. 解析変数は表3に示すとおり, (i) ダンパー,(ii) ダン. まず図 2 に静的解析結果を示す.解析は最上層水平. パーの水平力分担率β, (iii) 入力地震波, (iv) 地震強さの. 変位が建物高さの2%に達するまでの一方向載荷解析. BD-0.2 の2種類の骨組について示す.. 4種類である.. である.図中の QB(F+D) はダンパー付フレームの第1層. 入力地震波は,El Centro 40NS と JSCA が作成した模. の設計用層せん断力である.また,図中の●は,その. 擬地震波3波(八戸港湾,神戸海洋気象台,東北大学). 時点でシアーパネルが降伏したことを表している.ど. の計4波である.模擬地震波は表層地盤の層厚 10m,. ちらの骨組もシアーパネルが降伏することに変わりは. 4). 平均せん断波速度300m/sとした建築基礎底での地震波. ないが,BD モデルの方が早期に降伏することが分か. である.. る. 表4は各層の層間変形角が 1/100 時のダンパーの水. 表3 解析変数 履歴型ダンパーの種類. ダンパーの水平力分担率β. 入力地震波. 0.2. El Centr o 40NS. 間柱型ダンパー(MD). JSCA- KOBE. 0.4. 3000. に機能する条件とは,0.1 <β<κ /(1+ κ)である.κ はダンパーの剛性とフレームの剛性の比である.表4. 100ki ne. JSCA- TOHOKU. よりどの層もこの条件を満たしており,ダンパーは効 果的に機能すると考えられる.. 3000. 1F. 1F. 2F 3F 4F. 2000. 5F 6F 7F. 1000. ▽QB (F+D). Story Shear Story Shear Force(kN) Force (kN). ▽QB (F+D). 2000. 2F. 図 3は地震応答解析により得られた最大層間変形角. 3F 4F. 分布である.各層の応答値は入力した地震波4波の応. 5F. 答値の平均をとって示している.図より,ダンパーを. 6F. 設置することで骨組の最大層間変形角が大幅に抑えら. 7F. 1000. 8F. れることが分かる.. 8F. 0. フレーム BD-0.2 MD-0.2. 0 0. 0.01. 0.02. 0.03. 0. 0.01. Story Drift Angle (rad). 0.02. 0.03. Story Drift Angle (rad). (i) MD-0.2. (ii) BD-0.2. 8. 8. 7. 7. 6. 6. 5. 5. 図 2 荷重変形関係. (a) MD-0.2 剛性比. 条件. フレーム. ダンパー系. ダンパー付フレーム. κ. κ/(1+κ). 8層. 5.018.E+04. 5.974.E+04. 1.099.E+05. 1.190. 0.54. >. 0.36. ○. 7層. 6.701.E+04. 7.930.E+04. 1.463.E+05. 1.183. 0.54. >. 0.36. ○. 6層. 9.535.E+04. 1.022.E+05. 1.975.E+05. 1.072. 0.52. >. 0.31. ○. 5層. 1.011.E+05. 1.102.E+05. 2.114.E+05. 1.090. 0.52. >. 0.30. ○. 4層. 1.095.E+05. 1.200.E+05. 2.296.E+05. 1.096. 0.52. >. 0.29. ○. 3層. 1.275.E+05. 1.371.E+05. 2.646.E+05. 1.075. 0.52. >. 0.28. ○. 2層. 1.445.E+05. 1.468.E+05. 2.913.E+05. 1.016. 0.50. >. 0.27. ○. 1層. 2.293.E+05. 1.979.E+05. 4.272.E+05. 0.863. 0.46. >. 0.20. ○. 初期剛性. 水平力分担率 β. Story Story. 表4 各層のβと条件の確認. Story Story. Story Shear Story Shear Force(kN) Force (kN). 足するか調べたものである.ここでダンパーが効果的. 50ki ne. JSCA- HACHI NOHE. 0.3 ブレース支持型ダンパー(BD). 平力分担率βiとダンパーが効果的に機能する条件を満. 地震強さ. 4. 4. 3. 3. 2. 2. 1. 1. (b) BD-0.2 剛性比. 条件. 水平力分担率. フレーム. ダンパー系. ダンパー付フレーム. κ. κ/(1+κ). β. 8層. 5.018.E+04. 1.196.E+05. 1.698.E+05. 2.383. 0.70. >. 0.32. ○. 7層. 6.701.E+04. 1.665.E+05. 2.335.E+05. 2.485. 0.71. >. 0.32. ○. 6層. 9.535.E+04. 2.164.E+05. 3.118.E+05. 2.270. 0.69. >. 0.28. ○. 5層. 1.011.E+05. 2.452.E+05. 3.464.E+05. 2.424. 0.71. >. 0.28. ○. 4層. 1.095.E+05. 2.781.E+05. 3.876.E+05. 2.538. 0.72. >. 0.27. ○. 3層. 1.275.E+05. 3.266.E+05. 4.541.E+05. 2.561. 0.72. >. 0.27. ○. 2層. 1.445.E+05. 3.580.E+05. 5.025.E+05. 2.478. 0.71. >. 0.26. ○. 1層. 2.293.E+05. 4.617.E+05. 6.910.E+05. 2.013. 0.67. >. 0.20. ○. 初期剛性. 0. 0.01. 0.02. Story Drift Angle (rad). (a) 50kine. 0.03. 0. 0.01. (b) 100kine. 図 3 最大層間変形角分布. 44-2. 0.02. Story Drift Angle (rad). 0.03.
(3) 4. 応答改善法 (1) の導出と適用 4. 法(1) (1)の 1 4. 1 導出. い,最大層間変形角応答の改善を図る. 2 4. 2 適用. 参考文献 1)では,多層ラーメン骨組における第 i 層. ここで応答改善法を適用する際の計算過程を,BD-. の層耐力の修正倍率 si を次式で提案している.. 0.2 の骨組を例にとって示す.. 1 n. BD-0.2の骨組において例えば,50kine 時の第 4層の. ∗ δ −δ (2) si = max i∗ ui ∗ δmax i − δui δ maxi:第 i 層の最大層間変形角の応答値. 最大層間変形角は図 3(a)より 0.0063rad である.また, 最大層間変形角の目標値は,各層の応答値の平均を目 標値とする.図 3(a)より,BD-0.2 の骨組の地震強さが. δ maxi* :第 i 層の最大層間変形角の目標値. 50kineの時の応答値の平均は0.0049radである.従って, δ maxi=0.0063,δ maxi* =0.0049,β i=0.27を(5)式に代入し, ダンパーの再設計を行う.他層についても同様に再設 計を行い,再び地震応答解析を行う.ただし,第1層 については応答改善法は適用しない. 4. 3 検討 3 応答改善法を適用しダンパーの耐力を修正した後の 最大層間変形角分布を図 4 に示す.図中の破線は,目 標値である.間柱型ダンパーを設置した MD モデルは ほとんど応答改善の効果は見られない.一方,ブレー ス支持型ダンパーを設置した MD モデルは目標とした 値に近づいており,応答改善の効果があると言える. これは,ダンパーの剛性の違いが大きな要因で,MDモ デルではダンパーの剛性が小さく,ダンパーがエネル ギー吸収を開始するまでフレームも変形が進んでしま うため,効果が見られないと考えられる. 損傷集中指数 n の値については,1,2,3の3通 りについて検討した.応答改善の効果が見られた BD モデルにおいて,n=1では,5層より下層では目標値近 くに修正できているが,6 層より上層では逆に応答が 大きくなったケースが多く見られる.その場合,目標 値におさまっていないが,n=2 のときが最も応答が平 滑になっている.このように n の値は骨組によって変 わるが,フレームとダンパーの耐力としてエネルギー 吸収量を考慮するなど,さらに工夫が必要であると考 えられる.. δ ui* :第 i 層の降伏層間変形角 n:損傷集中指数 この修正式(2)中のδui* は修正前の骨組の降伏層間変 形を代入するが,本研究では,修正式を簡略化するた め修正前の骨組の降伏層間変形は考慮しないものとす る.つまり,第 i 層の層耐力の修正倍率 si は次式で表す こととする. 1. δ n si ≅ max i∗ δmax i . (3). ダンパー付骨組の再設計時においては,修正式(3)を 用いて層の耐力を修正する.また本研究では,耐力の 修正を行う際,フレームの柱・梁の部材断面は変えず にダンパーのパネル部分に使用している極低降伏点鋼 の板厚を調整することで層の耐力の修正を行うことと する. 第i層の層全体の耐力の修正倍率がsi とすると,修正 後のダンパーの耐力は次式となる. s −1 ∗ (4) QDi = i + 1 ⋅ QDi βi 従って,ダンパーの耐力修正倍率 sDi は(3)式, (4)式よ り次式で表される. 1. δ n max i∗ − 1 δ sDi = max i +1 (5) βi 以上より,(5)式を用いてダンパーの耐力の修正を行. 修正前 N=1 N=2 N=3. R=0.0143. 7. R=0.0123. 8. 8. 7. 7. 7. 6. 6. 6. 6. 5. 5. 5. 5. Story Story. 8. R=0.0049. Story Story. 8. Story Story. Story Story. R=0.0078. 4. 4. 4. 4. 3. 3. 3. 3. 2. 2. 2. 2. 1. 1. 1. 0. 0.005. 0.01. 0.015. 0. 0.01. Story Drift Angle (rad). (i) 50kine. 0.02. 1. 0. 0.03. 0.005. Story Drift Angle (rad). 0.01. 0.015. 0. Story Drift Angle (rad). (ii) 100kine. (i) 50kine. (a) MD-0.2. 44-3. 0.02. (ii) 100kine (b) BD-0.2. 図 4 最大層間変形角分布. 0.01. Story Drift Angle (rad). 0.03.
(4) 5. 応答改善法 (2) の提案と適用 5. 法(2) (2)の 1 5. 1 導出. を修正し,最大層間変形角応答の改善を図る. 2 5. 2 適用と検討. 4 節で示したように,耐力のみを考慮した応答改善 法(1)では精度よい修正が得られなかった.そこで新た. 適用方法は 4 節と同様に行う.なお,αはダンパー. な改善法として,ダンパーのエネルギー吸収能力を耐. の地震力との比とし,図 5 より,MD-0.2 ではα =0.6,. 力に換算して扱う.. BD-0.2 ではα =1.25 として修正を行った.. ダンパーのエネルギー吸収能力を考慮したダンパー. 応答改善法(2)を用いて修正した後の最大層間変形角. の耐力をフレームのα倍と考えると,. 分布を図 6に示す.改善法(1)を適用した際に見られた. ∗. 付骨組の50kine・100kineの応答と等しくなるフレーム. n=1 での 6 層より上層の応答の逆転は抑えることがで. ∗. QFi + QDi = si ⋅ (QFi + QDi ). (6). = si ⋅ (QFi + α ⋅ QFi ). きている.改善法(2)を用いると,若干応答改善の効果 は上がるが,大きな差はない. 結論 6. 6. 間柱型ダンパーとブレース支持型ダンパーの2種類. となり,QF* =QF なので,修正後のダンパーの耐力は次 式で表される. ∗. QDi =. si ⋅ (α + 1) − 1 ⋅ QD α. の履歴型ダンパーを設置した骨組に対し,提案する応. (7). 答改善法を適用し,以下の結論を得た.. (7)式よ 従って,ダンパーの耐力修正倍率sDiは,(3)式,. 1)最大層間変形角応答の平滑化に対する効果は見. り次式となる.. られた. 1 n. 2)間柱型ダンパーに対しては n=1,ブレース支持. δ max i∗ ⋅ (α + 1) − 1 δ (8) sDi = max i α 応答改善法(2)として, (8)式を用いて ダンパーの耐力. 型ダンパーに対しては n=1 または 2 が適当であると考 えられる. 3)ダンパーのエネルギー吸収能力を耐力に換算し た改善法(2)も十分ではなく,さらに精度を上げるため には,ダンパーのエネルギー吸収の効果をより適切に. フレーム BD-0.2 MD-0.2. 考慮する必要があると考えられる.. 8. 7. 7. 6. 6. 5. 5. Story Story. 4. 4. 3. 3. 2. 2. 1. 参考文献 1)川上秀二郎,河野昭彦,岡本勇紀:CFT構造ラーメン骨組の地 震時の応答層間変形角分布の改善法について, 日本建築学会構造 系論文集,第 585 号,pp.223-229,2004.11. 2) (社)日本鋼構造協会, (社)鋼材倶楽部:履歴型ダンパー付 骨組の地震応答性状と耐震設計法,1998.9. 3) 桑村仁,佐々木道夫,加藤勉:降伏耐力のばらつきを考慮した 全体崩壊メカニズム骨組の設計,日本建築学会構造系論文報告 集,第 401 号,pp.151-162,1989.7. 4)(社)日本建築構造技術者協会:建築構造の計算と監理,2002.6. 5)形山忠輝,徐培蓁,河野昭彦,崎野健治:極低降伏点鋼を用い たせん断型ダンパーの履歴モデル,鋼構造論文集,第 10巻第 37 号,2003.3.. 1 0. 0.01. 0.02. 0.03. 0. Story Drift Angle (rad). 0.01. 0.02. 0.03. Story Drift Angle (rad). (a) 50kine (b) 100kine 図 5 最大層間変形角分布 R=0.0143. 8. 7. R=0.0049. 修正前 N=1 N=2 N=3. R=0.0123. 8. 8. 7. 7. 7. 6. 6. 6. 6. 5. 5. 5. 5. Story Story. 8. Story Story. Story Story. R=0.0078. Story Story. Story Story. 8. 4. 4. 4. 4. 3. 3. 3. 3. 2. 2. 2. 2. 1. 1. 1. 0. 0.005. 0.01. Story Drift Angle (rad). (i) 50kine. 0.015. 0. 0.01. 0.02. 1. 0. 0.03. Story Drift Angle (rad). 0.005. 0.01. Story Drift Angle (rad). 0.015. 0. 0.01. 0.02. Story Drift Angle (rad). (i) 50kine (ii) 100kine (ii) 100kine (a) MD-0.2 (b) BD-0.2 図 6 最大層間変形角分布. 44-4. 0.03.
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