岩木
)I十河 日地形変動特性 に関す る研究
佐 藤 正 視
要 旨
本研究 は ,過 去の岩木川河 国の地形変動特性 ,並 びに現岩木川河 口河道内流量・流速特性 につい て研究 を行 なった。本研究対象の岩木川河 回は一級河川の岩木川河 口に位置 し ,十 三湖の湖 口で も あ り ,現 地では水戸 口 (み とぐち )と 呼んでいる。岩木川河 回の水戸 回は青森県の津軽半島西岸 に 位置 し ,岩 木川の河川水 は ,十 三湖 を経て ,1947年 に完成 した水戸 国の突堤導流堤か ら ,日 本海 に 流れている。過去 に岩木川河 回は幾度 とな く閉塞 し ,現 河 口を除 けば全てが閉塞 に至 っている。本 研究 は ,1918年 か ら 1924年 までの間に当時の内務省岩木川改修事務所が観測 して作成 した河 口地 形図を入手 し ,こ の地形図を整理 ,解 析 し ,当 時の河 回地形変動の特徴 を調べ , この地形図を元 に 河 口地形変動の予測 を試みた。
河 口地形変動予測 は河 国の移動距離 を表す微分方程式 を提案 し ,そ れにより河 回の南北への移動 を予測 した。 また ,河 口の南北への移動 は南や北への漂砂 により起 こるので ,岩 木川河 口前面海域 における沿岸漂砂量 を明 らかにした。河 口地形変化 を予測す る過程 において大正時代 の波浪 を推算 す る必要があ り ,波 浪推算方法 を検討 した結果 ,既 往の波浪推算方法では妥当な波高 を予測で きず
,風速 より波高 を求 める推算方法 を提案 した。岩木川河 口前面海域 における沿岸漂砂量 は現在 も同 じ で ,現 河 口河道内に搬入 されている。 しか し ,そ の堆積 した漂砂 は河道内に生 じている順流や逆流 の交番流 によ リフラッシュされお り ,こ の交番流 について十三湖水位 を用いて算出 し ,順 流・逆流 の流量 な らびに交番流の特性 を明 らかにした。
第 1章 で は ,研 究の目的 ,研 究方法お よび論文の構成 について述べた。
第 2章 では ,現 岩木川河 口水戸 口河道の流れを湖水位 よ り算定 し ,予 測値 は実測値 と定性的な一 致 を示 してお り ,河 川流量の多い ときは順流が河道 内の堆積土砂 をフラッシュで きること ,ま た ,通 常 は潮位変動 に伴い発生す る順流 。逆流が河道内に入 って くる漂砂 を掃 き出す ことがで きることを 示 した。第 2章 の主な結論 は以下のようになる。
十三水位観測所 と若宮水位観測所では若宮水位観測所で観測 されている水位が十二湖観測所で観 測 されている水位 よ り平常時 には約 005m,水 位が上昇 した場合 01〜 0.2m程 度差があるが 2地 点 の水位変化 の挙動 は殆 ど同 じである。十二水位観測所 と若宮水位観測所 それぞれの実測水位値 を使 用 し ,水 戸 口流量 を岩木川流量 (五 所川原地点 ),十 三湖面積 と十三 と若宮水位観測所のそれぞれの 水位実測値 を使用 した式 より導いた水戸 口河道の流量 を見 ると ,順 流では岩木川流量の多い 日に流 量が多 く最大で約 800m3/sの 流量 を算出 した。十三・若宮水位観測所の水位か ら算出 した流速 と現 地観測鉛直平均流速 は ,順 流 ,逆 流の最大値 は多少違 いが見 られ るが ,ほ ぼ同様 な流速 の変化 を示 してお り ,水 位 によ り算出 した水戸 口河道の流速 を用いて水戸 口河道の掃 き出す流速 を推定 した。 水 戸 国の河床変化 と流速の関係 は ,逆 流時 には河床の上昇が見 られた場合 ,ま たは ,変 化が見 られな
学位記番号 と学位 :博 第 37号 ,博 士
(工学
)授与年月 日 :平 成 19年 3月 20日
授与時の所属 :大 学院工学研究科土木工学専攻博士後期課程
い場合 ,順 流 時 に も河床 の低下 が見 られた場合 ,ま た は ,変 化 が見 られ ない場合 が あ るた め ,流 速 の変化 は河床 に対 して変動 の条件 で はあ るが,一 断面 だ けでの河床 の高低変化 を検討 してい るた め
,順 流・逆 流 に よる河床 変化 を断定 す る事 は出来 なか った。水戸 回沖 3km地 点 の波 高 と気象庁が観測 してい る風速 は傾 向が似 てい るた め水戸 口沖 で発生 す る波 は風 に よる影響 が強 い事 が伺 えた。
第 3章 で は ,内 務省 作成 の古地 図 を元 に ,岩 木 川 河 回の地形 変動特性 を明 らか に してい る。地形 図 の比 較 に よ り ,河 国の地形変動量 は冬期 の方が夏期 よ り大 きい こと ,河 口閉塞 が冬期 に多 いの は それ に起 因 してい る ことを明 らか に した ,ま た ,河 口閉塞 は河 口が南 に移動 して生 じた場合 と北 へ 移動 して生 じた場合 とが あ り ,一 方 的 な方 向へ の沿岸漂砂 に よ り閉塞 す るわ けで ない ことを明 らか
に してい る。第 3章 の主 な結論 は以下 の ようにな る。
1918年 (大 正 7年 )9月 3日 〜 1924年 (大 正 13年 )3月 26日 まで の期 間 に閉塞 は 15回 起 きて お り ,北 偏 4回 ,南 偏 8回 ,中 央部 で は 2回 となった。 1918年 (大 正 7年 )9月 3日 か ら 1924年 (大 正 13年 )3月 26日 まで の期 間 の閉塞記録 か ら北偏 閉塞 で は河 口へ与 えた強 い波浪 は西 もし くは南 西 方 向か ら加 え られた と推測 で ぎ ,南 偏 閉塞 で は河 口へ与 えた強 い波 浪 は西 もし くは北西方 向か ら 加 え られた と推 測 で きた。 夏期 の河 口地形変動 の特徴 は両岸 とも地形変化 が小 さ く ,地 形変動 もあ ま り見 られ ない。冬期 の河 口地形変動 の特徴 は ,右 岸 は河 口中央部 へ延 伸 ,左 岸 は十三湖 内 に拡大
,また ,河 口中央部 へ延伸 す る傾 向が見 られた。
第 4章 で は ,河 口の地形変形 を与 える予測 モデル の提案 に よ り ,河 回の移動距離 お よび移動後 の 位 置 の予測 を行 った。河 回の地形変動 が沿岸漂砂 に起 因 してい る ことか ら河 口地形変形速度が沿岸 漂 砂量 に比例 す る もの と仮定 し ,比 例 定 数 を用 いて河 日の地形 変動 を表 す微分 方程式 を導 いた① こ
の比例定数 は次元 を持 ってい るため ,現 象 に関係 してい る因子 とな る ,河 口幅 ,底 質 の水 中質量 ,河
川 固有流量 を用 いて無次元化 し ,河 口地形変動 を再現 す る微分空間 を提案 した。現象 には波浪が関 係 してお り ,当 時 の波 高 お よび波 向が計算 に必要 な ことか ら波浪推算 方法 を検討 し ,既 往 の予測 手 法 で は妥 当な波高が得 られ ない ことを示 し ,新 た に風速 と波高 の関係式 を作 り ,こ れ に よ り波高 を 推 算 した。 この波浪推算方法 は強風域 が広範 囲 に発生 した ときに精度良 く波高 を予測 す る方法で あ り ,他 の海岸 において も適 用で きる もので あ る。 当時 の天気 図か ら波高 お よび波 向 を再現 し ,河 口
地形 変動予測式で河 日の移動量 な らび に河 口位置 を予測 した。 その結果 はほぼ満足 ので きる もの と な ってお り ,同 様 の河 口 を持 つ海岸 において本手法が応用で きる ことを明 らか に した。第 4章 の主 な結論 は以下 の ようにな る。
1918年 (大 正 7年 )9月 3日 か ら 1924年 (大 正 13年 )の 天 気 図 よ り算 出 した海岸線単位長 さ当 た りの波 のエ ネル ギ ーフラ ックス を用 いる とことで ,南 偏 。北偏 へ至 る漂 砂 を日 月らか にす る こ とが で きた。沿岸漂砂量 と地形変形過程 は ,時 間 △ t内 の河 口部 の移動量 に ,沿 岸漂砂量 と係 数 C,河 口 幅 ,河 川 流量 ,海 水 の重量 ,潮 汐 の周期 を考慮 したモデル に よ り ,河 口中心位置 を特定 す る ことが で きた。
第 5章 の結論 で は ,こ れ まで の章 で述 べた結論 よ り ,水 戸 回の地形 変動 の北偏 は ,河 口へ与 え ら れた強 い波浪が南西方 向か ら力日え られた こ とによ り起 き ,河 回の南偏 は ,河 口へ与 え られた強 い波 浪 が北西 方 向か ら加 え られた ことに よ り起 きてい る。現在 も水戸 口河道 の流積 が維持 されてい るの は ,波 浪 に よって水戸 口河道 内 に運 ばれ る漂砂 が河道 内の流 れ によって掃流 され るか らで あ る と結 論 を述 べた。
主指導教員 佐 々木幹夫
Study on geomorphology changes characteristic of river mouth
for lttraki river WIasashi SATOU
Abstract
In this study,geographical change characteristic in past lttraki river― mouth and discharge volume in channel and no、 〃 velocity characteristic in present IM〆 aki river― mouth IMraki River in Aomori prefecture,Japan,nOws across the Tsugaru plains to lake」 usan and into the Sea of Japan. Iヽ ヽ ‐ aki River is a lst class river managed by the AIIinistry of Land,Infrastructure and Transport The lttraki river― mouth is blockaded on countless occaSiOns in the past Present
river―