• 検索結果がありません。

A Study of Teaching Practice of Music

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "A Study of Teaching Practice of Music"

Copied!
23
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

―教育支援プログラムを通して―

持 松 朋 世

はじめに

筆者が担当している「音楽科教育法Ⅰ〜Ⅳ」(全 時間)は、教職に関す る科目として開設されており、中学校・高等学校における音楽科教育の在り 方として、学習指導要領を基軸とした「表現(歌唱・器楽・創作)」と「鑑 賞」の領域に関する内容の分析や指導法の習得、また教育現場を想定した模 擬授業の充実を図ることを目的にしている。そのための学習指導案立案に向 けた教材研究や授業実践に繋げる指導方法、さらには音楽を専攻して培った 力を教科指導に繋げていくことを教授する講義である。

大学での音楽科教育法は限られた時間数の中での講義となるため、総合的 に物事を捉えて運用できるまでの学生の能力向上、模擬授業の授業準備と実 践、教育現場の視察や実習に向けて備えるには必ずしも充分であるとは言え ない。しかし今回、小学校における「歌唱」と「器楽」の教育支援プログラ ムの実践から見えてきた学生の学びは、音楽の教育支援を超えて、児童生徒 の「心に届く」深化したプログラム授業が学生自身の教育観と教育者像の覚 醒を促し、大きな成長を遂げるものとなった。児童生徒の「歌唱」や「器楽

(鍵盤ハーモニカ)」の実態を確認し、毎時の目標や指導内容の構築と実践、

反省および課題検討・次時の実践へと向上を図りながら、半年間の小学校音 楽会に向けた支援が音楽の基礎的な能力を育むのみならず、豊かな心を育む 総合的な教育支援へと変貌していく過程で、学生自身も大いなる学びを得る ことになっていった。

文部科学省が音楽の学習指導要領に掲げている理念は、小学校、中学校、

高等学校(芸術科音楽)において音楽の基礎的な能力の育成に留まらず、「生 きていく力」の礎となる児童生徒の「豊かな情操を養う」という重要な役割

(2)

を担うという位置付けがなされている。まさに「音楽科教育の存在理由が単 なる知識や技能の習得に留まるものではないこと、音楽科教育が生きる力の 育成や全人教育としての人間形成に深く関与していること(山本、

年)」( )とあるとおりであろう。今回のプログラムから児童生徒と指導者の 双方の間で紡ぎだされていくやり取りの過程の中から生まれてくる学びが心 の奥底に届き、深化した学びに繋がる真の教育の在り方に学生および筆者が 気付くことができたことは大変意義深いものである。

本研究は 年 月末から同年 月中旬に長崎市立の小学校( 年生 ク ラス 名)で小学音楽会に向けた「総合的な学習の時間」の教育支援プログ ラムからスタートした、授業実践における音楽教育の意義について考察した ものである。なお児童の学びについては次の研究課題として取り上げたい。

.音楽科教育法の現状について

本学音楽学部では中学校教諭一種免許状(音楽)と高等学校教諭一種免許 状(音楽)が取得でき、教職履修者は、 年次では教職や教科に関する科目 において基礎的理解や基礎力の育成を目指し、 年次では教科の教育法(音 楽科教育法)が始まりより具体的な基礎的理解と実技における技能の深化を 図り、 年次では次年度の実習に備えた指導法の習得を行い、 年次では実 習による実践と自己分析による課題発見力の育成といった系統的な指導に 沿ってカリキュラムが組まれている。また音楽学部独自の特色を生かし、音 楽に対する専門知識や幅広い専門技術を身に付け、演奏の実技披露の体験や ボランティア活動などを通した学びを得ることで、音楽指導者に相応しい資 質や能力を身に付けることが可能となっている。このようにシステムと内容 が充実していることは講義要項から明白ではあるが、学習指導要領を反映さ せる講義内容の検討、表現(歌唱・器楽・創作)と鑑賞教材における楽曲分 析、授業のアプローチ方法の検討、関連資料の集約、範唱・範奏・ピアノ実 技における演奏能力の向上、具体的に反映させる模擬授業とその授業の振返 り、学習指導案の立案およびプレゼンテーションを、限られた講義時間の中

(3)

内容の比較などから、小学校の内容も含めた音楽科教育の内容の関連性・連 続性における深化の過程や音楽科教育の歴史などをも教授する必要がある。

前述のように全ての学びを俯瞰的に捉え、どのようにリンクさせて教科教育 法の講義に臨めばいいのか、学びの基本を応用していかに運用していくかは 学生にとっては課題が残る点があるのは否めない。

例えば中学校の歌唱共通教材の「夏の思い出」を取り上げるとする。教材 研究を行う上で、学生は音楽理論や合唱、ソルフェージュ、ピアノ、声楽な ど多岐にわたる講義を受講していることにより、アプローチ方法として考え られる和声進行による変化、ピアノ伴奏譜から読み取れる情景把握、声楽や 合唱の講義において繰り返し指導を受ける発声は勿論、言葉の発音の仕方な ど様々な角度からの提示は多く存在する。しかし実際に学生に楽曲分析を行 わせると、「『はるかな』、の『は(Ha)』は H をはっきりと発音する」「『さい ている』、は なので小さく歌う」などといったことに留まり、楽譜の読解 に限定される。なぜ「はるかな」の「は」をはっきりと発音しなければなら ないのか、なぜ「さいている」は なのか、なぜ「水芭蕉の花」の香りが 歌詞に盛り込まれているのか、なぜ曲名が『夏の思い出』なのか、というよ うに、学生自身が「なぜ」という疑問を抱き、その問いに対する答えを教材 研究による根拠をもとに自ら導き出し、それを相手に伝えるための手段を考 える過程を検証することも音楽科教育法の役割の一つであると考える。

また器楽においても、器楽を演奏することの意味、器楽の取り組みを通し て何を学ばせるのか、学んだことをその後の取り組みにどのように活かして いくのか、という計画性が必要である。例えばアルトリコーダーの取り組み における模擬授業の目標として、技能を身に付けて演奏できる喜びを味わわ せる、アンサンブルを楽しむ、などが考えられる。しかし先ずは小学校で身 に付けたリコーダーの技能をどのように活かすのか、集団における指導の中 で気を付けたい個々のリコーダーの構え方やタンギングの仕方、運指などに も配慮しなければならない。その中で出来る児童生徒だけが楽しむ内容では なく、全員が楽しみつつ能力を伸ばしていける授業の在り方の検討、さらに は鑑賞における管楽器への興味・関心の高まりとともに、より充実した音楽

(4)

への自らの関与も可能であることを視野に入れる必要がある。また特に器楽 演奏においては得意・不得意な児童の差が顕著に表れる。児童生徒の前に 立って指導する教員は勿論であるが、グループ活動においては互いに教え合 う時にはどのように相手に配慮したらいいのかというところまで踏み込んで 指導することも必要であろう。さらに器楽の楽しさ、身に付けた技能を今後 の活動にどのように繋げていくのかという点では、鑑賞教材の聴き方のアプ ローチとして示すことも可能であると考える。また鍵盤ハーモニカであれば 保・幼・小と取り組んでいるところもあるため、幅広い世代との交流や、鍵 盤楽器と繋げて学習をさせることは可能であると思われる。 年 月に地 域の中学生を招いて本学で行ったコンサートでは「身近な楽器でアートしよ う!」というタイトル(中学校教諭のアイディアによる)で、学生によるア ルトリコーダーのアンサンブルと鍵盤ハーモニカとピアノのアンサンブルの 演奏に、中学生が興味を持って鑑賞していた姿は印象的であった。

このような音楽科教育法の講義の現状から考察してみると、今回の試みは 現状の模擬授業や学習指導案の作成および立案、教材や学習指導要領と向き 合いながら授業を通して児童生徒の何を育むかを考察に入れた 深化させ た 音楽科教育法を授業実践の展開に結び付けていくことができたと思われ る。今まで講義の中で得た課題を再確認し、授業実践の場でそれを体験する ことができた学生にとっては貴重な経験となったはずである。今回の長崎市 の小学校におけるボランティアでの教育支援の取り組みを経ることで、授業 実践を通して様々な挑戦が出来たこと、さらには現場体験を通して学生が自 らの学びを深化させることができたことの意義は大きい。その過程の詳細を

「 .小音会の取り組みから見えた成果と課題」に記すことにする。

.小学校音楽会に向けた取り組みについて

⑴ 小学校音楽会(通称、小音会)とは

長崎市小学校音楽会は今年で 回目となる歴史ある演奏会である。それは 終戦翌年に音楽の力で児童たちに元気になって欲しいという願いを込め、一

(5)

のである。現在では 日間にわたり午前の部、午後の部に分かれ、長崎市内 の計 校以上の小学校から長崎ブリックホールに集まって発表が行われる。

小学校音楽会(以下、小音会)の目的は「本音楽会に参加し、演奏したり 鑑賞したりする活動を通して、音楽を愛好する心情と音楽に対する感性を育 てるとともに、豊かな情操を養う。また、音楽教育の振興を図る」( )と明記 されている。通常の授業で身に付けた基礎的な能力をベースに演奏会に向け た取り組みを経験することで、学年が上がるにつれて児童個々の自信と技能 の向上へと繋がり、さらに下級生に対しての励みや刺激にもなっているのは 周知の通りであろう。また学校独自の取り組みとして小学校と中学校、そし て小学校と大学の連携にも教育的挑戦ともいえる試みが行われていることは 大変興味深い。現学習指導要領の小学校音楽科の目標には「表現及び鑑賞の 活動を通して、音楽を愛好する心情と音楽に対する感性を育てるとともに、

音楽活動の基礎的な能力を培い、豊かな情操を養う」( )とあり、小音会の目 的との比較から、この小音会は児童の音楽活動の総体を目指して行われてお り、演奏会に向けた取り組みが教師主導で行われるというよりむしろ児童自 身が自らの音楽活動を通して思いを表現することやその意図をもって音楽に 取り組むことに意味があるのではないかと考える。

⑵ 取り組み(プログラム)の経緯

小音会に向けた過程を述べる前に、経緯について述べておく。

前述のように本プログラムに関わった学生は 名で、いずれも 年生の音 楽教育専攻の学生である。小学校教諭から小音会に向けた音楽サポートの依 頼が音楽学部にあり、講義の中では行えない貴重な経験を積めること、また 学外における一種のボランティア活動ではあるが毎回全員の参加による児童 への充実した支援を目指したかったこと、そして技術的な支援だけではなく 生涯にわたって音楽を愛好する心情を育むことに繋がる試みにしたかったこ となどがあり、筆者(持松)が指導担当している教育専攻の学生 名で本プ ログラムを担うこととなった。 人の学生には次年度に教育実習を控えてい ることや、教員採用試験の対策勉強、講義など慌ただしいスケジュールの中

(6)

での取り組みであるが、このプログラムを通して学べることは中学校や高校 の音楽科教育と大きく関わりのある支援プログラムであることを伝え、学生 の快諾を得てスタートすることとなった。

名の小学校教諭と学生、筆者との初顔合わせは 年 月 日、自己紹 介後に教諭から小音会の趣旨や小学校のスケジュールなど大筋の説明ととも に支援プログラムに向けて込められた要望から、改めて実践に対する責務の 大きさを感じ、学生と共に新たなプロジェクトのスタートラインに立ったと いう緊張感を抱いた。この場で協議した内容の要点は次の三点である。

①ただ小音会に出演するだけではなく、児童の心に残るような取り組みと プロセスを築いていって欲しいということ

②学生との関わりの中で児童が変わっていく姿を見せてほしいということ

③活動そのものが心の奥底に届くものであるということ

このプログラムをまとめるにあたりこれら三点を考察してみると、①は「総 合的な学習の時間」と「音楽」の関わり、②は学生が学ぶ「音楽科教育法」

に関連する児童生徒とのやり取りの中で生まれる双方の学び、③は「生きる 力」に結びつく教育の根幹に触れる事柄であると思われる。このことから「ど のようにしたら目的を明確にした授業展開が可能となるのか」「生徒の何を 育ませたいのか」「どのようにしたらトキメキのある教材と児童生徒の出会 いが確立されるのか」「場面・状況に応じてどのようなアプローチが有効で あるか」を検討課題として学生と協議を重ねた。毎週 回、 時間( 分×

)の授業の計画を立案、準備、実践、授業風景の振返りなどによる課題発 見のサイクルを持たせながらも、決して循環型の効率重視のものではなく、

より現場にいる児童に寄り添った授業にするための学生の学びの教育的軌跡 および成果と課題を本論でまとめることにする。

(7)

⑶ 取り組みの過程

①目的について

本プログラムが前の⑵で挙げた①〜③のように小音会のみを、さらには音 楽の能力育成のみを目的として行われたわけではないことを改めて明記して おく。児童が音楽に楽しく取り組むことを通して、音楽が教科の枠を超えて

「心」に届き「心」を育むことを前提に歌唱と器楽の目的を設定し、歌唱で は「世界平和・人とのつながり・輪」、器楽では「メッセージ性のある幅広 い世代の応援歌となって、それを受け継いでいく」ことを主たる目的として 掲げた。指導にあたり児童同士が互いを思いやって共助し合う力も育めるよ うな助言を心掛けること、相手(観客)に音楽を伝えるためにどのようにし たら伝わるのかを児童と学生が共に考えることなどの目的を持って指導に当 たった。さらに今回は、児童全員で歌唱と器楽(鍵盤ハーモニカ)に取り組 むことに挑戦した。個々の能力に応じた課題設定も必要であるが、今回は得 意・不得意に拘らず全員で同じ課題に取り組むことで、集団の中で児童各々 が何をしなければならないかを自ら考え実行していくかを児童が主体的に取 り組めるように心掛けた。

月中旬からは演奏の様子をビデオで撮影し、即時にプロジェクターとス クリーンで鑑賞する、児童自身の振返りによる課題発見とそれらを演奏に繋 げる取り組みを行った。またパートリーダー 名、サブパートリーダー 名 にも役割を担わせたが、リーダーとしての責務を果たそうとする過程からは 彼らの成長が顕著にみられた。児童の感想からは「音楽というものが身近に 感じました」「(できるようになったことは)仲間と協力し合うことです」「こ のとりくみできずながふかまったし音楽にきょうみをもったとおもいます」

「とてもすごいように感じます」「リーダーを中心にして昼休みなども積極 的に取り組んだことで心が一つになったと思います」といったように、音楽 の活動から音楽の教科としての枠組みを超えた主体的で創造的な取り組みが 見られたのは確かである。

(8)

②選曲について

小音会のステージが全体で 分以内(含入退場・準備)の出演時間という 限られた時間であるため、正味(演奏) 分程度の時間の中に⑵で挙げた①

〜③の意向に沿う選曲については学生と筆者で検討を重ねた。まずは何をす るにも児童の能力を知ることが先決であるということから、その前段階の児 童と音楽を通した触れ合いをしながら心を解していくことから始め、教科書 掲載曲や既習曲、よく耳にする曲などの歌唱、ソプラノリコーダーと鍵盤ハー モニカの演奏、ボディーパーカッションなどを実施した(「春の小川」「ドレ ミの歌」「森のくまさん」「子どもの世界」「Let It Go」「茶色の小びん」

「ハッピー・バースデイ・トゥー・ユー」「ゆかいに歩けば」「さんぽ」など)。

月下旬には小音会の曲として、二部合唱(歌唱)で「世界がひとつにな るまで(松井五郎作詞・馬飼野康二作曲・原由多加編曲)」と、二部合奏(鍵 盤ハーモニカ)「上をむいて歩こう(永六輔作詞・中村八大作曲・荻久保和 明編曲)」を発表し、児童の前でこれらの曲を演奏する目的や思いについて 学生から提案がなされた。伝えた当初は児童から以前に歌ったことがある、

思い出の曲であるなどといった声が挙がったこともあり、児童が納得をして 曲に取り組めるように学生からの説明を数回にわたって伝えるとともに、担 任教諭にも協力を頂きながら、皆で思いを一つにして進めてくことができた と思われる。児童の感想から(原文とおり)も「はもりや、けんばんハーモ ニカができるかしんぱいでした。あとほんばんまでにできるかしんぱいでし た」「小音会うまくいくかな。歌やけんばんだいじょうぶかな。むずかしい きょくじゃなくかんたんなのがいなと、思ってました」「こんなむずかしい きょくできっこないと思いました」「(初めは)はずかしくて声が出なかった りしました。(略)(今では)どうどうと自分の声がはっきりとでます。『こ れってどうんなふうにひくんだろう』とすぐきょうみを持ってひいたり、『音 楽って楽しいなぁ』て思います」などの意見が出て、当初は児童にとっては ハードルが高く先が見えずに不安を抱きながら選曲した曲と向き合った様子 が窺える。

(9)

③対象について

長崎市の小学校 年生 クラス(計 名)を対象とした。

④スケジュールについて

人の学生は 月〜 月は空き時間(水曜日の : 〜 : )に小学校 での活動に参加した。 月は大学が夏休みのため変則的な参加、 月は金曜 日の : 〜 : に 名ないし 名が参加、 月は月曜日 : 〜 : に 名ないし 名が参加し、筆者は可能な限り学生の指導やサポートで参加 した。

⑤実践過程について

児童の学びの過程の詳細については追加研究の対象として扱うことにして いるが、学生自身が取り組んだ主な指導内容、それに対する児童の様子、そ の過程の中で学生自身が気付いたこと、筆者の学生への課題の提示や具体的 指示を授業実践の軌跡に沿って以下に要約する(抜粋)。(児童の感想は大学 生が依頼した「感想シート」、小学校の「総合学習(の振返りシート)」、小 音会後に書いた「感想文」など、さらには全てのプログラム終了後に筆者が 依頼した「アンケート」から抽出している。児童の反応や様子は毎時間小学 校教諭によって撮影された写真と録画資料から収集し、小学校教諭や保護者 の感想は筆者が依頼した「アンケート」によるものである。さらに指導内容 や大学生自身の気付きなどは、録画資料、大学生や筆者による記録、感想に よるものであることをデータ収集方法として付記しておく。)

日付 主な指導内容 児童の反応 ・大学生自身の気付き

●筆者による学生への課題の提示 ➡具体的指示

初回

・歌唱では児童の歌声、音 域、重唱の能力を確認する。

・歌唱と身体運動の能力の 確認やリズム感を確認する。

・音楽に接する楽しさを感 じてもらう。

・「ドレミの歌」

・「森のくまさん」

・「子どもの世界」

・「Let it Go」など

・ドレミ〜の音程に合わせてポーズ をする。音の進行に合わせてポーズ を変えることは難しそうであったが 楽しそうに挑戦していた。

・簡単なリズムでボディーパーカッ ションをする。

・歌唱への取り組みは積極的である が、合唱の成立には厳しい状況であ る。しかし合唱に対する「すごい」

「ハモるという事はこういう事か」

と感じていることが感想から窺える。

・ポーズの提示は黒板にイラストを貼って 行ったが、先生が間違ったポーズをすると児 童も間違え混乱が生じていたため、前に立っ て指導に当たる際は責任を持つことの大切さ に気付いた。

・全体的に指導する学生 人での打合せの会 話が多く、その度に児童の集中力が切れてい たため、責任者一人を中心に進めた方がよい。

●「前に立って指示をする」という教育のス タイルを授業実践をもって学んでいくこと。

●事前準備(教材研究、範奏含む)の徹底。

(10)

●小学校教諭や筆者の児童への指示の方法な どの観察。

➡実践記録 DVD(小学校教諭作成)による 振返りの徹底と、記録の指示をする。

・本プログラムの目的につ いて伝える(音楽を通して

「楽しむ事」「感じる事」

「聴 き 合 う 事」「伝 え る 事」について)。

・ 部合唱から歌唱の能力 を確認する。

・目標:

①楽しく歌を歌い、音楽の メッセージを感じよう。

②演奏するパートを知って 楽しく演奏しよう。

・「春がきた」

・「茶色の小びん」

【歌唱】

・発声練習をする(口の開け方、表 情、発音などに注意して)。

・様々な発声練習を行ったので、難 しさを感じた児童もいた様であるが、

楽しそうに取り組む姿が見られた。

・合唱は二度目の挑戦で「ハモる」

という事に難しいと感じながらも楽 しく取り組んでいる様子である。

【鍵盤ハーモニカ】

・教科書を開いて階名が載っている ページを探して一つ一つの音を確認 する姿が見られた。

・階名を書くことや鍵盤ハーモニカ の演奏を難しいと感じている児童と 楽しかったという児童、理解してい く楽しさを感じている児童もいる。

【歌唱】

・児童は合唱に関しては楽しいと思って取り 組むことができる。しかし継続することや難 易度の高い曲にどこまで挑戦できるかは不明 である。

・学生による具体的な指示(楽譜を持って立 つ、楽譜を見るのか楽器を見るのかなど)が 明確ではなく、児童の注意が散漫である。

【鍵盤ハーモニカ】

・児童の能力や興味関心に差があるため、そ れらに対応した指導が必要である。

・学生の範唱を正確に演奏する(楽譜通りの リズムや音程ではないため)。

●児童の能力の把握。観察と検討の実践。

(「授業実践」が主となり検討が行えなかっ たことが、学生と児童双方の気持ちの緩みに 繋がった。)

●事前準備の徹底。

●指示の明確化(宿題の提示含む)。

●実践の振返り。

➡記録 DVD の活用と実践記録の指示。

学生自身による記録の徹底が行えず、課題探 しの欠如と計画性のない実践がもたらす負の 影響が窺える。

・小音会の曲についての伝

・合唱曲の鑑賞

・発声練習

・歌唱、鍵盤ハーモニカ 目標:

①メロディーを覚えて元気 に歌おう。

②メロディーを弾けるよう になろう。

・「やさしい風」

・「世界がひとつになるま で」

「上を向いて歩こう」

【歌唱】

・小音会に向けた選曲について反対 の児童の理由:「歌ったことがある から」「他の曲にチャレンジしてみ たいから」

・この曲のメッセージ性の強さなど 大学生の意見を伝え、前とは異なっ て合唱にチャレンジをすることで納 得して取り組む。

・新曲を鑑賞して歌唱の活動に移っ たが、難しそうと消極的な姿が見ら れバラバラで揃わなかった。

【鍵盤ハーモニカ】

・楽譜を見ると難しく感じてしまう 児童がいると思い、リズムのみのリ ズムを重視した練習を行うと皆が前 を向き意欲的に取り組む。

・「もっと遅かったらできる」の声 があり、遅いテンポで始めるが、出 来る児童がどんどん進み速くなって いく。苦手な児童が焦ったり、難し くて嫌になる様子が窺える。

【歌唱】

・児童全員が納得することが必要であり、み んなで頑張る気持ちをつくるためには立ち止 まって話し合いをすることが重要である。反 対意見の児童には全員意見を言わせ聞くこと で「この曲に決まったからこれでいいや」と 思うのではなく、それぞれが意見を持って納 得して臨む事の大切さに気付いた。

・「まわりの声を聴きながら歌おう」という 目標で進めていて輪になって歌うなどしたが、

大学生自身も理解に時間がかかったことから、

難しいと思われる。

【鍵盤ハーモニカ】

・苦手な児童、得意な児童も全員が楽しめる 授業をしたいと思い工夫をして進めてみたが、

できる児童はやっぱり全部弾いていたので不 満であったと思う。出来る児童も何か新たに 学べたり出来るようになるようなみんなが楽 しい授業をしたい気持ちはあるが、なかなか 難しいことであると感じた。

●選曲に至るまでの児童とのやりとりと、曲 の選び方、それを伝える事に至るまでの責任 感と教材研究の充実の必要性。

➡ただ曲を演奏し技能の演奏発表だけが音楽 の目的ではないことを伝える。

●できないことに対するアプローチ方法の研 究。

(11)

●音楽科教育法の模擬授業における指摘(臨 機応変な対応力)が実践を通して現れている ことの確認。

●実践の振返り。

➡記録 DVD の活用と実践記録の指示(夏課 題の明確な提示や児童の気持ちを繋ぐなど)

・児童の様子の観察(個々 に注目)

・「世界がひとつになるまで」

・「上を向いて歩こう」

・宿題の提示

歌唱:それぞれのパートの 音源を聴いて歌えるように しておくこと。

鍵盤ハーモニカ:本日練習 をした新しい部分を吹ける ようにすること、吹き口を 短いもので練習することに 挑戦することなどを伝える。

(* 月 日と 日は終日 学級の中で児童の様子や担 任教諭とのやり取り、指導 な ど の 観 察・参 観 を 行 っ た。)

【歌唱】

・合唱の良さについて知る。皆で一 つの曲を作っていくことについて知 る。(「誰かが歌わなくてもいい」や、

「誰かだけが大きな声を出す」ので はなく、「皆で周りを聴き合いなが ら歌いましょう。」)

・歌唱においては、発声練習で学ん だことを思い出し、身体を動かしな がら挑む児童がいる。

・副旋律を歌うグループは合唱には 繋がらない(メロディーを歌唱して しまう)。

【鍵盤ハーモニカ】

・リズム♩♩♩♩→♩♩♩♫の部分 が曖昧に捉えられており理解できて いない。

・テンポが速く、理解は出来るが演 奏に繋がらないもどかしさが感じら れる。

・分からない所は児童自らが学生に 声をかけるようになった。

・周囲を見たり、児童同士で教え合 う姿が見られる。

・リズム練習をすることで具体的な 理解に繋がった。

・まだ♭や♯の間違いが目立つ。

【歌唱】

・副旋律の音取りでは旋律の動きを具体的に 提示すること。

・歌唱しながら一人一人に注目し、前時まで に行った内容を思い出させるような言葉かけ をする。

・行動範囲が狭く、全体を見渡して個々への 対応が不十分である。

・学生同士の打合せが出来ておらず、それぞ れがどう動くべきか理解できていないことが、

混乱に繋がる。

【鍵盤ハーモニカ】

・テンポがバラバラであるため、テンポの感 じ方を伝える。

・パートを つに分けるが、それぞれのパー トに主旋律がくるように工夫して分ける。

・全員が楽しいと思えるように「協力をして 音楽を創っていこう」と声をかける。(出来 る児童は出来ていない児童に教え合うなど。)

・時間を区切って課題を与える。

・学生の指導内容に前時の振返りの内容がみ られる。

・次の時間までの宿題の提示が出来るように なった。

●指導計画と本時授業の目標の達成を図るこ と。

➡本時に何をするのか、次時に何をするのか を明確に伝えることで、授業全体像を児童に も理解させ、授業者である学生も全体の計画 の中の本時を意識して取り組む。

●前回の小学校教諭との打ち合わせによる、

課題の明確化とそれに対するより深化した授 業内容の構築、課題の提示。

➡指導だけではなく、児童同士が互いに学び 合えるようにしていくための気付きを持つこ と。

●教材研究。

➡音楽科教育法との関連性。歌唱における歌 詞と表現の工夫を具体的に示すための実践方 法の研究。

●観察力の育成(音楽的な能力の育成、豊か な心情を養うための活動に繋げていくため)。

・課題の確認

・パート練習を中心に

・合奏・合唱

・宿題の提示

歌唱:歌詞について考える。

歌い方について(歌詞の意 味を考える)。

鍵盤ハーモニカ:何度も自 分のパートを練習する。

【歌唱】

・歌詞から表現(歌い方)を考える

(まぶしい→明るい、まぶしい感じ。

優しい日差し、ギラギラではないな ど)。

・休符について知る。

【歌唱】

・合わせて練習をするというよりは、パート 練習の大切さに気付いた。

・リーダーの役割について伝える。リーダー とは、命令をしたり気取るものではない。み んなで頑張ろう!と周りを励まし、自分も努 力をする児童。誰かが、出来ない、と悩んだ 時に一緒に練習しよう!と言える児童にお願 いをしたい。

(12)

・パート練習では、音を取りながら 歌唱するとつられないが、ピアノで 別のパートを弾きながら歌うと他の パートにつられてしまう。それぞれ がパート練習で自分の音をしっかり と理解すること。

・全体合唱でも、お互いのパートで つられている。

【鍵盤ハーモニカ】

・前回から 日しか経っていなかっ たが、課題についてしっかり練習し ていた。前回とは異なり、音が合っ ていること、児童が音を聴き合おう としているのが分かった。

・まだ演奏で間違えている児童がい るので、音を間違えないようにする。

【鍵盤ハーモニカ】

・もっと周りの音を聴くこと。聴き合うこと。

そのためのパート練習の進め方、児童一人一 人をどの様に見て指導していくのかが課題で ある。

●歌詞の意味と表現を繋ぐ実践を試みるが、

実践に精一杯で児童の様子の把握までは至ら ないこと。

➡実践のための教材研究は勿論であるが、指 導者自身の感じる力が無ければ言葉は無力で ある。教員(筆者)を交えた勉強会の通り行 うのではなく、自分自身の言葉に置き換えて 伝える事が大切である。

●音程がつられる時の指導法の研究。どうし て音程が取れないのか、どうやったら音程が 取れるようになるのか、音程の確立について の学び。

●合唱指導法。

➡大学での合唱の講義や声楽の授業をどのよ うに応用するか具体的に提示する。

●児童の自ら学ぶ力と仲間を思いやる力の育 成。(リーダー発表に伴い、リーダーの役割 について音楽的な面だけではなく、他者を意 識し理解するという責任も伝える。さらに児 童自ら学び合う素地育成も行う。)

●器楽の指導法の研究。

➡課題をクリアできる児童と時間がかかる児 童を一人でどのように指導したらいいのかを 考える。(音楽科教育法との繋がり)

・本番の演奏のシュミレー ション

・ビデオによる前回練習の 振返り

・感想発表

・パートリーダーとの打合

・練習

【歌唱と鍵盤ハーモニカ】

・始まりの、いつ楽器をかまえるの か、いつ足を開くのか、などの指示 をしていないのでバラバラであった。

・ブレスの箇所が揃っており、課題 の克服が見受けられる。リズムに のって楽しそうに歌えている児童が いる。

・ビデオによる振返りにおいては、

多くの児童が発言をしており、課題 を見付けようとする姿が見受けられ る。

・歌唱の最後の手をつなぐ場所が曖 昧であったが、直前にも関わらず合 わせようと取り組む姿が見られ、本 番への期待が窺える。

【歌唱と鍵盤ハーモニカ】

・ビデオをただ観るのではなく、どこに注意 して観るのかといった観点を提示すると気付 きがたくさん出てきていた。提示の仕方も 様々であり、その場に応じて何が必要かと判 断できることが必要である。

・学生同士で指導中に話し合う回数が多く、

無駄な時間もあり、もっと有効的に時間を使 えたらと感じた。

・「このように歌いましょう」→「歌う」流 れの中で音楽を一旦止めて指導を入れていた が、歌唱の最中に言葉掛けをしたり、歌いな がら表現の工夫に繋がる言葉掛けをすると流 れが生まれ、相手に伝わりやすいと思った。

●演奏を録画しその場で直ぐ振返れる環境を 整えること、さらにその必要性を理解すること。

➡児童個々の小音会に向けた取り組みの積極 的な姿勢が顕著にみられ、その姿から指導者 が児童に何をすべきか、どの程度までの指導 をすべきかを判断することの大切さ。

●児童の理解や納得に繋がる指摘の必要性。

➡ビデオ鑑賞後の課題発表の提示。

●教材の具体的な指導法。

●パートリーダーへの信頼関係の構築。

➡パートリーダーに課題と練習方法などを提 示して自分たちの演奏会という意識、課題克 服のための方法を考えさせるといった児童主

(13)

公民館祭への出演 ・初めて人前での演奏であったが、

緊張をすることを通して、学んだこ とも多かったのではないかと、演奏 後の児童の表情や感想から窺える。

・テンポキープ、楽器の構え方、歌 の表情、視線、動きの不一致など、

音楽に関すること、演奏の仕方に関 することなど練習でどのようにして 理解に結び付けていくかは課題であ る。

・指導者としての役割や配慮などを先生方か ら学んだ。

・演奏から得た課題を次の練習にどのように 活用するか、あと一度しかない練習をどのよ うに行うのか計画を立てる。

●具体的な歌唱と器楽の指導法の実施。

●翌日の実践で児童からの気付きとして挙げ られる課題の予測とその課題克服に向けた指 導法の研究。

・前日の「公民館祭」のビ デオ鑑賞による振返り

・本 番 の 会 場(ブ リ ッ ク ホール)を想定した動きの 確認をする。

【歌唱と鍵盤ハーモニカ】

・前日の演奏の振返りでは大学生が 挙げた観点について意欲的に発表が 成され、意見が多く出された。

・鑑賞中に皆が鑑賞に集中でき、メ モをとるパートリーダーの姿が見ら れる。

・ 列目演奏、 列目手拍子→ 列 目演奏、 列目手拍子を互いに手拍 子や演奏の様子を見合いながら行う 事で気付きを得る。

・音楽の要素の話「メロディー、ハー モニーとリズム」の話をすると、児 童の間に身体でカウントをとる姿も 見受けられる。

・全体的に静かにして!の声が多い。

・前を向いて演奏している児童が多 くなった。

【歌唱と鍵盤ハーモニカ】

・揃える事の意味を伝える。(音の間違いが ない、音を揃えることの素晴らしさを伝える)

・「ハモリが大変良かったが、表情がまだあ と一つ足りないので意識を持つ」など、課題 を提示することで「慣れ」ではなく、「向上」

を目指す勢いのある指導になるが、課題が大 きすぎても「向上」に繋がらず、その都度の 瞬時の判断が難しく感じる。

・入場の仕方や「堂々と!笑顔で!」など声 かけや等間隔をあけて並んだ際に手をつなぐ ことができる間隔の提示の仕方に課題を感じ た。

・「みんなが動きを揃えていい演奏を創りま しょう」は具体性に欠ける。

・休み時間一生懸命練習していて、まだ♭が 難しい、と困っている児童がいた。全員が出 来ていると思いこんでいたが、一人一人の状 況を気に掛けることが出来ていなかった。

・笑顔にするためににこにこマークの絵を準 備した。「笑顔」の言葉掛けからの気付きで はなく、マークを見て感じ、それを歌に反映 させることで表情が変わり、声も明るくなっ たと感じた。

●「させる」から児童に「どうしようか」と 考えさせる、任せるという互いに信頼関係を 築くことができるようになったことの確認。

●休み時間にも児童一人一人に配慮すること。

➡児童生徒から送られている何かしらのサイ ンをキャッチするために周りを見渡すこと、

感じることの大切さ。

●指示の仕方(随分簡明になってきてる)。

●演奏会直前練習で指示する内容と具体的解 決策に瞬時に判断することの必要性。

・小音会当日

・直前練習を行う。

・大学生や担任教諭から本 番に向けたアドバイスを聞 く。

・始めと終りの部分の動き の最終確認。

・小音会直前という事もあって、直 前練習は緊張感漂う練習となった。

・パートリーダーを中心とした動き が随所に見られる。

・細かい指示を出せるようになった。

・見守ることができるようになった。

・簡明なアドバイスが出来るようになった。

・「支援」という立場をわきまえた行動に徹 することができた。

●立場の認識。

➡児童の演奏会であることの再確認と出演前 の簡明なアドバイスの在り方についての指示。

●演奏会のサポートの役割(小学校教諭の役 割)の学び。(バスに乗る時の配慮、注意事 項なども含む)

(14)

.小音会の取り組みから見えた成果と課題

⑴ 児童および保護者、小学校教諭から見た学生の学びについて

児童にとって学生は「お姉さん先生」、小学校の先生は「先生」、筆者は「大 学の先生」と呼称して接していた様である。休み時間には学生自身が児童と 同じ目線で触れ合っていたこともあり、より身近な存在であったことは明ら かである。筆者が行ったアンケートから、児童に学生と小学校の先生・大学 の先生との違いを尋ねたところ、「(略)お姉さん先生(学生)は笑顔が多く、

普段より明るい授業で、いつもより楽しかった」「やさしく教えてくれまし た」「小学校の先生はきちんとどうしたらいいとか教えてくれるけど、お姉 さん先生たちは音楽の細かい所まで教えることが違ったと思った」「お姉さ ん先生たちはしゃがんで(ぼくたちに目線をあわせて)教えてくれた」など の感想が寄せられた。またこのプログラムの最後のお別れ会の際には一人一 人から心の込められたメッセージを頂き、児童の心に届いた取り組みであっ

・演奏会の舞台では極度に緊張して いる様子もなく、今まで取り組んだ ことが現れる舞台となった。このプ ログラムを通して学んだ音楽の基礎 力、伝える力、相手を思い遣る力、

仲間と協力して物事に当たる力は勿 論、自分たちで課題を見付けてそれ に取り組んでいく力といった「自 信」みなぎる演奏であった。

●音楽の活動を通して様々な力が総合的に育 まれたプログラムであったこと、音楽を通し た活動の力の大きさ、伝える言葉、責任につ いての学び。

・学習発表会(小学校にて)

(*交 通 事 情 に よ り 不 参 加)

・今までの練習の様子を口頭やスラ イドを使って発表し、演奏をする。

( 日のお別れ会の感想や保護者の 感想より、児童の残念な様子や他学 年の仲間や保護者に精一杯学んだ成 果を伝えようとする姿があったよう である)

●演奏会当日のやむをえないアクシデントへ の対応について。

●学生自身の想像力や判断力等の育成に繋 がったことの確認。(学生自身、自分たちの 取るべき行動や自己中心的な自身の行動が影 響することへの自覚を得たようである。)

・「お別れ会」今までの軌 跡の振返り(写真や感想も 含む)が児童、学生、担任 教諭から行われた。

(*児 童 が 企 画 し た 会 で あったが、企画自体が児童 から大学生への心からの大 きな贈り物であった)

・ 時間を「お別れ会」という事で、

歓迎の音楽から児童が計画を立て実 行する。

・一人一人との感謝の触れ合い(握 手とプレゼントの受け取り)を行っ た。

・児童一人一人から、感謝を文章に して発表がなされた。また学生や筆 者に対して、また仲間に対して「相 手を思いやる」姿が見受けられた。

●保護者の参加が見受けられ、プログラムを 通して育まれた児童の確かな成長を見守る前 向きな励ましと温かな見守りを感じたこと。

●大学生一人一人から短くも思いの詰まった メッセージを送ったが、内容や発表の仕方に おいて、指導者としての責任感ある姿が見ら れたこと。

●このプログラムはこれで終了となるが、音 楽を通して育まれた強い絆(交流)はこの後 も続いていくような確信が持てたこと。

(15)

て触れ合うことが出来たことは教育の核心に触れるものであると実感した。

そこには

a.技術的な支援だけではなく児童の心に残るような取り組みと指導過程 を築けたこと

b.児童と学生との関わりの中で双方が変化し成長したこと

c.全員が集まって音楽を体験することで個や集団の様々な反応がみられ、

「心」から感じる力・考える力・伝える力・創造する力・協同する力・

問題を解決する力・主体的に行動する力が生まれたこと

d.この音楽プログラムを通して積極的に「生きる力」を児童とともに学 生自身も身に付けていったこと

が明らかであり、教育の総体がそこには内包されていると思われるからであ る。

児童の保護者からも温かいメッセージを頂いた。約半年間の長い取り組み であったことや児童と同様に演奏曲に対する負担もあったことがアンケート から窺えるが、家庭の中で練習をしていた様子、児童が徐々に自信や責任感 を付けていく様子、児童同士の友情やリーダーを中心に築かれる仲間として の信頼性、先生から褒められたことへの喜び、衣装(オリジナル T シャツ)

制作に対する関心など様々であるが、学生の指導目的の確かさと真剣さへの 高い評価、謝辞が多くあったことに、このプログラムを温かく受け入れてく れた保護者の姿勢に筆者としては心強く感じるところである。

また毎回の練習に数多く参加して頂いた保護者からも、学生の成長の様子 が窺える心の込められたコメントを頂いた。「学校の勉強もあるのに、本当 に子どもたちのために、前向きに向き合って一つ一つ一歩一歩支えて前へ進 めてくださいました先生方へ親としては感謝の言葉しかありません。(略)

(児童に)当たり前ではない日々を与えて下さった先生方に心より感謝!!

ありがとうございました。先生方がバスからおりて来られる時のスマイル忘 れられません。(学生が通学に利用していたバスから降りてくる様子をみ て)」「始めの頃は どう接していこうか と戸惑ったり、空回りしたりと、

初めての取り組みに緊張している様子も感じられましたが、最初から最後ま

(16)

で通して 音楽は楽しいんだよ お姉さん先生たちは音楽が大好きなんだ よ という熱意はそばでみていてずっと伝わってきました。回を重ねるごと に伝え方を工夫してみたり、分かりやすく図に示してみたりと皆さんですご く話し合ったり提案+反省をしてそこから次の方法を考えて、という作業を 丁寧にして下さっているのを感じました。(略)接する時間が長くなっていっ ても変に甘やかすことなくきちんと 先生として 子どもたちと向き合うと ころはさすが先生の卵だと思えたし、ちゃんと信頼関係を築けているから子 どもたちも必死で 応えよう と頑張ったのだと思います。 愛情をもって しっかり指導して一緒に目標をめざす という大仕事をやってのけた 人の 学生さんの半年間での成長は本当に素晴らしく、これからも誇りにしてもら えたらと思います。 人のこれからが本当に楽しみです。」

さらに小学校 年の担任教諭には半年間にわたって児童のサポートのみな らず、学生への指導をして頂くこととなったが、教育の挑戦に相応しいきっ かけやアドバイスを頂けたことは大変貴重であった。担任教諭に支援プログ ラム後に依頼したアンケートへの回答を以下に抜粋する。

①学生と児童の距離について

「人懐っこく寄ってくる子どもとの触れ合いが当初は目立っていた。しかし 鍵盤ハーモニカの練習が始まったころから一人一人の子どもと接してよく声 をかけ、指導される姿が見られた。子どもと同じ目線で腰をおろし、常に笑 顔で話しかけていて、子どもたちとの距離がどんどん縮まるのを感じた」「そ れぞれの授業への真剣な姿勢が子どもたちに直感的に伝わったことが最も大 きな点であったと考える。本気で自分達に向き合ってくれていると感じたと き、子どもというのは黙っていても近づいてきてくれるものである。週ごと に変化していく関係性・距離は驚きであった。」

②学生の児童に対する話し方、指示の仕方、指導の方法について

「当初は話し方や指示の仕方がくどくなっていたり、子どもたちにとっては 伝わりにくかったりする部分も見られたが、回数を重ねる度に工夫されて いったように思われる。指示も簡潔で分かりやすく、 時間の時間配分を考

(17)

り、子どもたちのだらけた雰囲気が無くなっていった。」「授業を展開してい くための技術が磨かれていったのは、授業後の反省と確認が学生自身によっ て行われていたことによる、と捉えている。だれに対して話しているのか明 確でなかったのが、一人一人の子どもに伝えるための話し方になり、これか ら学ぶことに必要な子どもの側としてすべきこと具体的な分かりやすい指示 となり、目の前にいる子どもたちの持っている力を生かし尊重する指導の方 法となっていたことが挙げられる。」

③指導の内容について

「どのような授業を展開していきたいのかが明らかになっていくにつれて、

事前の授業検討が緻密になっていき、そのことが指導の内容の重層化という べきものをもたらしてくれていたように感じている。指導する側がどれだけ 熟慮したかによって、一つの指導が多方面への広がり、技術だけでなく意欲 にまでも、さまざまなことが個人として集団としてみることができた。ただ し学生の側の思いの強さや深さがいつも子どもたちに届いていたわけではな い。相手である子どもたちとの歯車の合わせ方がどれだけ大切で困難である かを学んでくれたことを期待している。」「お客さんではなく、一人一人が主 役になるような演奏と歌唱の指導、基本の指導を丁寧にして頂いたことで音 楽の基礎を学ぶことができた。(児童に課題を与えるなど)どんどん負荷を 与えることで子どもたちがうかうかしてはいられない状態へと導き、『やら なければ』という意識が高まった。 人のリーダー、 人のサブリーダーを うまく使い動かすことで、子どもたち自身で考え行動する力もついてきたと 感じる。次回までの課題を明確に与えることで、課題を意識した練習ができ た。」

上記の内容から、実りある音楽指導のプログラムであったことが実感させ られる。また同時に担任教諭は授業実践においてはサポートに徹し、実践後 に学生に授業規律に対する助言や児童の実態についての説明など、的確なア ドバイスを与えて頂いた。さらに校長先生や担任教諭の温かな見守りの中で このプログラムが進むことができたことへの感謝は尽きない。

(18)

教育は進行形のものであり影響力の大きさは確かであるため、教員は児童 生徒への言動に対し即座に何をすべきか判断し行動に移す必要があり、その ための研究は枚挙に遑がないものである。教員を目指す学生が何をすべきか と考える時、十分な教材研究や、柔軟な指導に対応できるアプローチ方法の 会得、目の前にいる児童生徒の個々が何を求めているかをキャッチするアン テナを如何に張り巡らせるかといった周到な気配りが求められる。学生が教 育の実際に触れて感じ、考え、それをより具体的に効果的に伝えるためには どのようにしたらいいかを思考することの重要性をこのプログラムを通して 学んだのではないかと思われ、大変貴重な学びの実践となったことは確かで ある。

⑵ 学生自身の学びの深化についての考察

「 −⑶ 取り組みの過程」において実践を通して学んでいった事柄をも 時系列に書き出しているが、学生と筆者との間で支援プログラムの実施の度 に行われた反省会において筆者からみた学生の学びの様子は次のとおりであ る。 月、 月の段階では学生自身の計画性の欠如や、行動や言動への責任 に対して内向的で消極的な行動や言動がみられた。 月に入り小音会が間近 に差し迫ってくると、系統だった内容や課題の提示をするようになり、児童 の能力や反応を見て効果的な方法でやってみようという積極的な発言も顕著 になり、それを実行に移していけるようになった。また児童の演奏を聴いて 即座にアドバイスを与える判断力や臨機応変に対応する力、発言の内容も簡 明で力強く且つ適切なものになっていった。さらに小学校教諭や筆者に対す る学生の意欲的な要望も増え、筆者もそれに応じて学生への指導を学生自身 のさらなる学びの深化の領域へと踏み込んでいくことができた。

ここで学生自身が、支援プログラムを通して①実践を通して気付いたこと、

②実践を通して出来るようになったこと、③今後の課題、について挙げてい る三点を以下に列挙する。

①実践を通して気付いたこと

(19)

得)

・個々の児童の実態の理解(活動以外の観察をも含めた気付き)

・児童への伝え方(言葉遣い、声掛けの方法、抑揚、間の活用、指示の徹 底など)

・周りを見て行動すること(教師としてのスタンス、細部まで配慮するこ と)

・事前準備の徹底の大切さ(教材研究、学生間や教諭・教員との打ち合わ せ)

・範唱・範奏の大切さ(個人練習の積み重ね)

②実践を通して出来るようになったこと

・口癖の自覚と改善(録画資料による振返りなど)

・児童の出来ていない箇所への気付き、児童が出来るようにする指導

・計画を立て、目標に即して展開をする授業の構築

・周囲の観察と配慮

・指示・抑揚においてメリハリを持たせた話し方(相手に伝え納得させる こと)

③今後の課題

・言葉遣いの確かさ

・周りを見渡す余裕と自信(変化に気付くこと)

・範唱・範奏の確実性

・臨機応変な対応力(児童の発言を理解するなど)

・事前準備(教材研究、ピアノや歌の練習)の徹底

音楽の教科に関するものや教科の枠を超えて教育者としての重みと意義が 学生の心に刻み込まれてきていることは、大学の講義の中での課題探究する 姿や、支援プログラム初日と最終日の学生の言動の比較から明白である。

音楽の教育支援に技術的な支援のみの関わり方で完結するのではなく、「音 楽の力」や「豊かな心」、「感性」などの全てを包括した教育概念を持って取 り組むことが音楽科教育の真の価値を探求していく意味があり、「生きる力」

の育成に繋がっていくものと考える。実践を通して音楽の教科を学ぶ者とし

参照

関連したドキュメント

Thus, we use the results both to prove existence and uniqueness of exponentially asymptotically stable periodic orbits and to determine a part of their basin of attraction.. Let

Applications of msets in Logic Programming languages is found to over- come “computational inefficiency” inherent in otherwise situation, especially in solving a sweep of

Shi, “The essential norm of a composition operator on the Bloch space in polydiscs,” Chinese Journal of Contemporary Mathematics, vol. Chen, “Weighted composition operators from Fp,

Section 3 is first devoted to the study of a-priori bounds for positive solutions to problem (D) and then to prove our main theorem by using Leray Schauder degree arguments.. To show

[2])) and will not be repeated here. As had been mentioned there, the only feasible way in which the problem of a system of charged particles and, in particular, of ionic solutions

This paper presents an investigation into the mechanics of this specific problem and develops an analytical approach that accounts for the effects of geometrical and material data on

Beyond proving existence, we can show that the solution given in Theorem 2.2 is of Laplace transform type, modulo an appropriate error, as shown in the next theorem..

Khovanov associated to each local move on a link diagram a homomorphism between the homology groups of its source and target diagrams.. In this section we describe how this