秋 田大学工学資源学部研究報告,第
2 3
号,2 0 0 2
年1
0月論 文
たた ら製鉄法に基づ く向浜砂鉄の製錬 と鋳造 一創造工房実習よ り得 られた二三の知見 一
小松芳成 *・後藤正治 *・麻生節夫 *
AnExpe r i me nt a lSt udyonl r onma ki ngoft heMukai ha mal r onSa ndBa s e dont he Ta t a r a ‑ bukiI r onma ki ngPr oc e s sa ndonCa s t l ngOft heObt a i ne dI r onBe a r
‑AFe wFi ndi ngsOb t ai ne df T r omCr e a t i veTe c hnoI Cr a f t ‑
Yos h i n a r i Ko ma t s u' ,S ho j iGo t o
'a n dSe t s u oAs o '
Abs t r ac t
A s ma l l ‑ s i z e d " Ta t a r
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ef o rl a bor a t o r y w or ki
ng‑I r o n s a nd wa sm i ne d f rom Muka iha mabe a c hi nt hec i t yofAki t aa n da p pl i e dt oi r onma ki ngba s e dont he" Ta t a r a ‑ buki "pr oc e s s .I ni t i a l l y,t he i r o ns a ndwa swa s he di nwa t e ra ndd r e s s e dma g ne t i c a ll yt or is ei r onc o nt e ntoft hes a nd.Af t e rt ha t ,t hei r ons a nd wa ss me l t e dbyme a nsoft he"Ta t a r a ‑ buki "pr oc e s sa ndi r onbea r( Ke r a )w it hl owe rphos phor ousa nds ul f ur c o nt e nt swa spr oduc e d.Thei r onbe a r wa sob t a i ne di na26% yi e l d̲Ne xt , t hei r o nbe a rwa sr e me l t e da ndc a s ti nt o amol d ma debyt hei nve s t me ntme t hodt oma kes omea r t i f a c t s .Fi na l l y,t heo pt l mum c ondi t i onsf ort he i r onma ki nga ndt hec a s tpr oc es s e swe r edi s c us s e di nde t a iLA s e r i eso fe xpe r i me nt sme nt i one da bovewa s c onduc t e d a sa na ppr o pr l a t e
Pr a c t i c eont hee duc a t i onpr og r a m "Cr e a t i veTe c hno‑ Cr a f t"f orunde r gr a dua t e s t u de nt si nt heDe pa r t me n tofMa t e r i a lsSc i e nc ea ndEng i ne e r i ng, Aki t aUni v e r s i t y.
1 . は じ め に
「たた ら製鉄
」は, 日本 において古 来か ら行 われ て きた製鉄 技術 で,江戸時代 に技術的 に完成 した 日 本独特 の製鉄 法 で あ る.「 たた ら製鉄 」で得 られ た鉄 製 品は,炭素含 有量 が 2mas s % 以下 の もの を「 ケ ラ」, それ以上の高炭 素 の もの を 「ズク
」と呼び ,ケ ラの 中で特 に品質 の 良い もの は玉鋼 ( たまはがね) と呼 ばれ た. この玉鋼 を原料 と して鍛 造 され た 日本刀 は 切れ 味が非 常 に素晴 ら しく,その うえ錆 び に くい特 長 が あるた めに古 くは 中国‑ 多数輸 出 され ,近世以 降 に西洋 の冶金 技術 者 か ら驚 嘆 され た . これは 「 た た ら製鉄
」の技 術 に よって リンや イオ ウ含 有量 の少 ない 良質 な鉄 を得 る こ とがで きた た めで あ る と考 え られ る.江戸 時代末 まで 日本 の鉄需要 の全 てを賄 っ て きた 「 たた ら製鉄
」も,明治時代 に入 って西洋 式 の釜石 製鉄 所や 官営 八幡 製鉄所が稼 動 され る と,そ の生産性 が低 い が故 に衰退 の一途 をた ど り,第 2 次 世界 大戦後 には遂 にそ の 姿 を無 く した
(1). しか し, リンや イオ ウ含 有率 の少 ない 良質 な鉄 素材 は,耐食
2002年 7月 1 8 日受理
'秋 田 大 学 工 学 資 源 学 部 材 料 工 学 科 .
De pa rt me ntof Ma t e r ia l sSc i e nc ea ndEngi ne e r l ng,Fa c ul t yofEng ine e r i ng a
ndRe s o ur c eSc i e nc e ,Aki t aUni ve r s i t y.
2 3
性 に優 れ るな どの特性 を有す る こ とが知 られ てい る ので,ハイテ ク産業 の発 達 した今 日にお い て もそれ らの特性 を必 要 とす る分野 にお い て一段 とその需 要 が増す もの と考 え られ る.
著者 らは,前報 にお いてたた ら製鉄 法 に関す る実 験 的検 討 を行 い,本製鉄 法 の特徴 につ い て明 らか に した
(2)I(3). さ らに鉄収 率 の高い製鉄 プ ロセ ス につ い て も検 討 した .それ をふ ま え,本 実 験 は この製鉄 プ ロセ ス を天然鉱 石 に適 用す る と共 に,材 料 工学科 3 年 次学 生 を対象 とした創 造 工房 実習 の一環 と して と
りあげた もので あ る
(4).従 来 の たた ら製鉄 研 究の多
くの もの は,その原材 料 と して市販 の砂 鉄や石灰 石
を用 いて行 ってい るが ,本研 究 では たた ら製鉄 が 日
本 国内のいず れ の地域 で も可能 で あ った こ とを明 ら
か にす るた めに,原材 料 と して身 近 で入 手 で きる も
の を用 いて行 った.原材 料 で あ る砂 鉄 は ,秋 田県 内
におい て過 去 に産 出 され た地域 を調 査 し,実 際 に 自
分 た ちの手 で採 取す る こ とか ら始 め た.す なわち,
前報 の結果 を踏 ま え均 質 な炉 内温度 の確 保 や 炉体 の
持 つ溶 融能 力の向上 をはか るた め,羽 口を 2 箇所 に
取 り付 け るな どの改 良 を加 えた新 た な小型 た た ら製
鉄 実験 炉 を創 造作製す る と共 に,実際 に秋 田県内 ( 秩
田市向浜) において採 取 した砂 鉄 を還 元す る ことに
2 4
小松芳成 ・後藤正治 ・麻生節夫Fi g.I Mi ni n gpol nt SOri r ons a ndi nMuka i ha ma be a c h.
Fi g.3 Was h i ngoft heMuka iha mai r ons a ndwi t h wa t e r .
よって よ り良質 の鉄 を作 り出す こ とに した. さらに 本実験 で は,得 られ た鉄 を高周波 炉 で再溶解 しイ ン ベ ス トメ ン ト法 を用 い て手作 りの鋳 鉄製 品 を作 る こ とも試 み た.原材料 の採 取 か ら製 品 の完成 まで一連 のプ ロセ ス を実休験 させ る こ とに よって学生 の "も の作 り' 'に対す る興 味 を高 め る とともに,創 造す る こ との悦 びや難 しさを休験 させ る こ とで材料 工学 の 重 要性 の理解 を さ らに深 め させ る こ とも本 実験 の 目 的で ある.
2. 原材料 の採 取および調製 2.1 砂鉄 ,貝殻 および粘 土の採 取
秋 田県 内 におい て過去 に砂 鉄 が産 出 され た地域 を 秋 田大学 附属 図書館 お よび附属鉱 業博物館 な どの資 料 を も とに調査す る とともに,たた ら製 鉄 に用 い る 原材 料 で あ る砂鉄 を 自分 た ちの手 で採 取す る こ とに した .調査 の結果 ,以前 よ り砂 鉄 の存在 が知 られ て
Fi g. 2 Abe dort heMuka i ha mai r ons a nd.
い た秋 田市の 向浜地 区 を候 補 地 と して選 定 し実際 に 現地 に出かけて砂 鉄 の採 取 を行 った.
秋 田市の 向浜 で は,海岸線 を保護す るた め沖合 い に設 け られ た消波 ブ ロ ックの 内側 に広 が る砂 浜 を中 心 に,海 岸線 を歩 きなが ら 目視 で帯状 あるい は層 状 に黒色 の砂 が確認 で き る地点 を手分 け して探 した.
黒味 を帯 びた砂 が存在 す る位 置 におい ては磁 石 を使 用 して探 査 ( Fi g.1参 照) を行い ,磁 石 に付着す る 砂 が多 く存在 す る場所 を特定 し砂 鉄 の採 取位 置 を決 定 した. Fi g.2には表層 部 に薄い黒色 の砂鉄層 が存 在 す る地 点 にお いて , さ らにそ こを掘 削 した時 の地 層 の一例 を示 した.写真 で は判別 しが たいが極薄 い 砂鉄 の層 が幾重 に も重 な りあ っていた. この よ うに 砂鉄 の含 有 量 が多い と考 え られ る数箇所 か ら合 わせ
て約 72. 3k g の砂 を採 取 した.
また,砂鉄 の採 取 と同時 に 向浜海岸 において貝殻 を約 2k g 採 取 した. これ は製 鉄操 業時 に酸化鉄 中の けい酸 な どと結 合 して低融 点 の鉱 韓 (ノロ) を形成 させ るた めに用 い られ る石灰 石 の代替 に使用す る も ので ある.
さ らに,た た ら製鉄 炉 の作 製 の際 に炉体や羽 口の 接合 部 に必要 な耐火 性 の高い 良質 の粘 土 として,秩 田大学構 内の工 事現場 に発 生 した 土砂 の 中か ら粘 土 質の部分 を約 1 5 kg 採 取 して準備 した.
2.2 砂鉄 の選 鉱
まず最初 に,採 取 した砂鉄 を Fi g.3に示す よ うに 丹念 に水洗 い を施 し粘 土分や 塩分 を取 り除いた.そ の後 一旦 自然 乾燥 した後 , 400K に保持 した乾燥器 を 用 いて十分 に乾燥 した. その後 プ ラスチ ック製 の容 器 ( 直径 60mm ,深 さ 70mm) に磁 石 を挿入 した も の を用 いて磁 力 を利 用 した選 鉱 を行 い砂 鉄品位 を高 めた.Fi g.4にその様 子 を示 した .容器 の底部 に磁 力線 に沿 うよ うに砂 鉄 が付着 してい る こ とがわか る.
プ ラスチ ック容器 に磁石 を挿 入 して使 用 したのは,
たた ら製鉄法 に基づ く向浜砂鉄の製錬 と鋳造 ‑創造工房実習 よ り得 られた二三の知見‑
Fi g‑4 Ma gne t i cs e pa r a t i onoft heMuka i ha ma i r ons a nd.
容器 か ら磁 石 を取 り出す こ とで,簡便 に容器 の底 部 に付着 した砂 鉄 を取 り除 くこ とが可能 で あ るか らで あ る. この よ うな水 洗 い と磁 力選鉱 を施す こ とに よ り,向浜 におい て採 取 した砂 72. 3kg か ら品位 の高 い 砂 鉄 1 2. 0kg が得 られ た.そ の採取率 は 1 6. 6%で あっ た. Ta bl elに磁 力選鉱 前 と後 の向浜砂 鉄 の化学分析 結果 を示す .す なわ ち,上述 の方 法 で水 洗 い と磁 力 選鉱 を行 うこ とに よ り,Si 02 を激減 させ る とともに Fe の含 有 量 を 33. 7%か ら 53. 7 %まで向上 させ る こ と がで きた.
2.3
原 材 料 の 調 製水洗 い と磁 力選鉱 に よって得 られ た純度 の高い砂 鉄 は, さ らに十 分乾燥 したの ち粉砕 処理 して 6‑48
メ ッシ ュ ( 4. 2‑0. 5mm)程度 に整粒 して製鉄換 業 に 供 した.一方 ,石灰 石 ( Ca CO3 ) の代 替 と して 向浜
b ・ ons a ndO r o no r e ) Cha r co a l
L i mes t one( S h e
ll)U【 perf ur T l a Ce‑ う
トM i ddlefumace‑うト
L o werfumace
B u mingreaction
C +02 =CO2
C +CO2=2CO
T
Tle
m OCOuPle(No.1)T T l er m
OCOuPle(No.2)1 00mm 寧『 『 『旦
Addki ono fma t er i al s
OI
i v i nes a nd 2 5
←
Oi 暮ca L n Re
duc t i on
o fi r ons a nd ( Remov i ngox y g en) 3F e2 03 +CO
=2F e3 04 +Col F e3 04 +CO
=3F e
O+CO2 77 β♂K
FeO+CO
=Fe+C O2 1 500K
C
hs er va t i on
1 7 0OK
J r・ ‑ F i r eb r i ck Ta p
hole1 50
CKt s t eelp l a t e Concr e t eb l ock Cha r coa lp owd er Fi g.5 Sc he ma t i ci l l us t r a t i onoft hes mal l ‑ s i ze d u Ta t a r a ‑ buki "f ur na c e.
海 岸 で採 取 した貝殻 は, よ く洗浄 乾燥 の ち大型 の乳 鉢 で細 か く粉砕 した もの を 1 0メ ッシュ ( 2. 5 mm)
以下 にふ るい分 け して用 い た. また ,燃 料 と しての木 炭 は,岩 手 県工業技術セ ンター か ら提 供 され た良質 の木炭 をナ タを用い て 20‑30mm 角 にな る よ う折 っ て使用 した .そ の際 ,約 1 / 3程 度 は粉 状 になって し ま うがそれ は製鉄炉 を設 置す る時 に湿 気 を防止す る た めに炉体底部 の構築 に効率 よ く利 用 で きた.
Ta bl e1 Che mi c a lc ompos i t i onoft heMuka i ha mai r ons a nd.
Che mi c a lc ompos i t i on( ma s s %)
T . Fe 一e o Si O2 Ca Al P S Cu Ti Mg
Be f or eMa gne t i cs e pa r a t i on 33. 7 5. 9 33. 0 1 . S 1 . 6 <0. 1 <0. 1 <0. 1 6. 0 4. 5
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小松 芳成 ・後藤正治 ・麻生節夫Fi g. 6 Se t t i n go ft h el o we rf ur na c e .
3. 実 鼓 3.1 たたら製鉄実鼓 炉 の作 製 3.1.1 実鼓 炉 の作 製
本 実験 で使 用 した炉 の構 造 と製 鉄 プ ロセ スの概 念 図 を Fi g.5 に示す .炉 体 の基本 的構 造 は前報 で使 用 した小型製鉄 炉 と同様 で あ り, 上か ら順 に上, 中, 下段炉 の 3 段 式分離型 とな って い る
(2H 5).炉 の内壁 は,耐火 レンガまた は粘 土 で裏 張 りす る方 法 が一般 的 で あるが,本実験 で は築 炉 後 の乾燥 が ほ とん ど必 要 な く,耐熱性 ,断熱性 に富 む CO
2プ ロセ ス に よ り 作製 した.CO 2 プ ロセ ス とは,砂 と水 ガ ラス ( けい 酸 ソー ダ)の混練物 に炭 酸 ガ ス を通す こ とに よって, けい酸 ゲル を生 じさせ これ に よって砂粒 子 を結合 さ せ るもので あ る.
本 実験 で作製 した炉 で は,それ ぞれ の炉体 の外壁 用 に 20L のオイル 缶 ( 外径 300mm , 高 さ 360mm) を転用 した.オイル 缶 のふ た を取 り除 き底部 には ¢ 21 0mm の穴 をあけ, それ と同心 に な る よ うに外径 21 0mm の塩 ビ管 を缶 の 内側 にセ ッ トした.そ のの ち 塩 ビ管 とオイル 缶の間隙 にオ リビン砂 と水 ガ ラスの 混錬物 を十分 に充填 し,塩 ビ管 を静 か に引 き抜 き と って炉体 を形 作 った. さらに炉 体 内面か ら炭 酸 ガス を均等 に吹 き付 けて炉壁 を硬 化 させ て 円筒状 ( 外径 300mm , 内径 21 0mm ,高 さ 360mm) の各 炉 を完成 させ た. この方法 に よ り,耐火 レンガ に匹敵す る強 固な裏張 りを有す る炉体が得 られ た.
3.1.2 実鼓 炉の設置
f ■ i g.6に炉 体基礎 部分 を構 築 し下段 炉 を設 置 した 後 に羽 口を取 り付 けた状態 を示 した.炉体基礎 の部 分 は厳密 に地 面か らの水 分 を遮断 され るこ とと十分 な断熱 を行 うこ とが求 め られ る.そのた めに コンク リー トブ ロ ックの上 に鋼 板 ( 厚 さ 6mm) を載せ て, その上 に耐火 レンガ ( sK‑32) を敷詰 め, さらに木 炭粉 を 20‑ 30mm 厚 さに敷 い た.下段 炉 の安 定性 を 保 つ た めに さ らに厚 さ 3mm の鋼 板 を置いた.以 上 の よ うに,基礎 部分 を 4 層構 造 とす る こ とに よ り地 面か らの水分 の遮‑ い を図 り十分 な断熱 を行 うとと
もに炉体 の安定性 を確保 した .
下段炉底 部 には, さ らに木 炭片 を 20‑30mm 厚 さ に敷 詰 め,そ の上 に 5%の水 ガ ラス を含 むオ リビン 砂 を 1 0mm 程度 , 中心部 が凹 状 になる よ うに成形 し て固化 した. この部 分 が ノ ロ ・ケ ラの生成箇所 で あ り,凹底 部 が ノロ出 し口と高 さが一致す るよ うに作 製 した.
次 に羽 口の構 造 につ い て説 明す る.前報 で述 べた よ うに安 定 した製鉄 操 業 を行 うた めには安定 した均 質 な炉 内温度 を確保 す る とと もに,炉体 の持 つ溶融 能力 を向上 させ る こ とが必要 であ る (
2),(3).そ こで本 実験 で製作 した小型 たた ら製 鉄炉 では この こ とを考 慮 して改 良 を加 え,羽 口を 2箇所 に設置す るこ とと
した
(4).Fi g.6 に示 す よ うに , 羽 口は炉底 か ら約
1 00mm 高 さの位 置 で,送風方 向を炉 直径 の対角線 上
の炉底 が確認 で き る角度 ( 25
0) とな るよ うにア ク
リル製 の専用 分度器 を作製 しそれ を用 い固定 した.
たた ら製鉄法に基づ く向浜砂鉄の製錬 と鋳造 一創造工房実習 より得 られた二三の知見‑
N
Ju .a Jn le Ja d∈
310 0 2i.1
3. 6 7. 2 1 0. 8 14. 4 1 8. 0 21 . 6 Ti me ,t/ ks
Fi g・7 Cha n gei nt e mpe r a t ur ei nt h ef ur na c ed ur i ngt h eTa t a r a ‑ b uk iope r a t i on.
これ よ りも急 な勾配 では ノロや ケ ラに直接 送風 され る こ ととな り, ケ ラの再酸化 が危倶 され た .また逆 に低い角度 で は炉底 部 の温度 低 下や ,羽 口先端 の溶 損 な どが起 こ りやす くな る.羽 口‑ の送風 には工作 用 のプ ロア‑ を用い ,排 水用 のホース な どを使用 し て 2 箇所 の羽 口‑分配 した. さらに左右 の羽 口に設 けたボール バル ブの調整 と変圧器 ( ス ライ ダ ック) で回転数 を調整 す る こ とで送風量 の制御 を行い ,炉 体 内部 にお い て十分 に木炭 を燃 焼 させ るこ とで均質 な炉 内温度 の維 持 と溶融能力 の向上 を図 った.
3.2 実操 業 3.2.1 立ち上 げ
立 ち上げ ( 吹 き入 れ) にお け る火 入 れ の作業 は次 の順序 で行 った .炉 体基礎 の上 にセ ッ トされ た下段 炉 体 に少 量の木 炭 を装入 し点火 したの ち,弱い送風 を開始 し次 第 に木炭 を積 み増 してい く.木 炭が下段 炉 上面 に達 した ら, 下段 炉周 辺の炉壁 上部 に粘 土 を 一様 に敷 き中段 炉体 を載せ る.そ の後 また上述 と同 様 の方 法 を繰 り返 して木炭 を積み増 し,上段炉体 上 面 ( 炉 口) まで木炭 を装入す る.そ の結果 上段 炉 の 炉 口か ら火 炎 が 立ち昇 り,そ の火 炎 が青み を帯 び る こ とで木炭 の燃 焼 が定常状態 に達 した こ とを 目視確 認 した. さ らに炉休底 部 と羽 口レベル の位 置 に取 り 付 けた熱電 対 に よって炉 内部 の温度 を レコー ダーで モニタ リング して温度測 定 を行 った.
3.2.2 製鉄操 業
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製鉄 操 業終 了後,装入 物層 の表 面位 置 (ス トック ライ ン)が炉 口か ら 300 S間で 1 0‑ 15cm 程 度 降下す る よ うな燃 焼速度 にな る よ うに送風 量 を調整 してか ら砂鉄 と貝殻粉 の混合物 を十能 を用 い て木炭 上面 中 央 部 に一様 に振 りまいて装入 し,つい で木炭 も装入 した. この ときの砂鉄 と貝殻 粉 の割 合 は 1 0:1 で 1 回 当 りの総 重 量は 220g ,木炭 は 400g で あ った.そ
して, この一連 の作業 を 30‑40 回繰 り返 し行 った.
また ,1 0 回 の砂 鉄装入 毎 にで き るか ぎ りス ラグ分 だ け を炉 か ら放 出す よ うに注意 を払 い なが ら,炉体底 部 か らノロ出 しの作 業 を行 った .取 り出 した ノロを 十分 に冷却 しその質 量 を測定 した.
3.2.3 吹きおろし
製鉄操 業終 了後,砂鉄 お よび木 炭 の装 入 を中止 し 最 後 の ノロ出 しを行 い, ス トック ライ ンが 中段炉体 の上面 まで降下 した の ち送風 を 中止 した.そ の後 , 上段炉体 を安全 な場所 ‑移 動 し中段 炉体 に蓋 を した.
炉 体 が冷却 したのち, 中段炉 体 と下段 炉 体 との間 に 鉄板 を挿入 し,木炭 の落 下 を防止 しつつ 中段 炉体 を 砂 床 に移 した.十分冷却 した の ち,残 りの木炭 を回 収 し,下段 炉体 か ら 「ケ ラ
」と 「ノ ロ
」を取 り出 し て,水 で冷却後それぞれ の質 量 を測 定 した.
3.3 インベストメント法 による鋳 造 品の製 作
イ ンベ ス トメ ン ト法 とは, ロス トワ ックス法 あ る
い はろ う型 法 とも呼 ばれ , ろ うで作 られ た模型の周
囲 に耐火物 ス ラ リー を流 し込み ,加 水 分解 させて骨
2 8
小松芳成 ・後藤正治 ・麻生節夫材 の耐火 物 を凝結 させ た後 に模 型 の ろ う(ワ ックス) を加 熱溶 出 させ ,続 い て高温 で加 熱 し焼成 して鋳型 を得 る方 法で あ る.耐火 物 ス ラ リー には石 膏 を粘結 材剤 と し、耐火 補助 剤 と して シ リカ を配合 したイ ン ベ ス トメン トを用い た. これ に よ り模 型 と同形 状 の 空隙 を鋳型 の内部 に作 る こ とがで き,一般 的 な割 り 型 な どで は不 可能 な複雑 な形 状 の鋳 造 品 を製 造す る の に適 してい る.本 実験 で は実際 に採 取 した砂鉄 を 小型 たた ら製鉄 実験 炉 に よって還 元 し,得 られ たケ ラを高周波誘 導加熱 炉 に よ り再溶 解 して溶 銑 と し, これ を上述 のイ ンベ ス トメ ン ト法 で作製 した鋳型 に 鋳造 した.
4. 実鼓 結 果 および考 察 4.1 製鉄 操業
製 鉄 換 業 に お け る経 過 時 間 と炉 内 温 度 の 関係 を Fi g.7に示 した.火 入れ を開始 して木 炭 を徐 々に装 入 しなが ら下段炉 か ら上段 炉 まで炉体 を組 み上 げ約 5. 3ks 後 に立 ち上 げ を完 了 した.その後 ,木 炭 のス ト
ックライ ンが 上段炉 口か ら300 S間 で 1 0‑ 1 5c m 程度 降 下す る燃 焼 速度 が得 られ る よ うに, 2 箇所 の羽 口 に設 け られ た ボール バル ブ に よ り送風 量の調整 を行 い なが ら,約 4. Oks間木炭 の装入 を繰 り返 した.火 入れ 開始 か ら約 9, 3ks 後 に炉 口か ら青 み を帯びた火 炎 が立 ち昇 り,木炭 の燃 焼 が定常状態 に達 した こと が 目視 で確認 で きた. ちなみ に,溶 融鉄 を得 るため には , Fe‑C系平衡 状態 図で示 され る共晶 点 ( 1 420K) 付 近 まで炉 内温度 を上昇 させ る こ とが必要 で あ るが,
この時点 において は Fi g.7 か らわか る よ うに炉 内下 部 におい て炉 内温度 ( No. 2) が 1 470Kに達 してお り, 砂鉄 を溶 融す るには十分 な炉 内温度 を確 保 で きた と い うこ とがで きる.そ こで Fi g. Sに示す よ うに砂鉄 と貝殻粉 の混合物 を装 入 し製鉄 操業 を開始 した.操 業 開始 か ら 1. 2ks 後炉 内温度 は若 干低 下 した ものの, 観 察窓か らは砂鉄 が半溶 融 状態 で雫 とな って木炭片
をっ た って炉底部 に滴 下 してい る こ とが確 認 で きた.
しか し,それ か ら 600 S後 に は炉 内底 部 の温度 ( No. 2) が 1 420K まで降 下 し,羽 口 レベル の炉 内温度 ( No. 1 ) もそれ と連動す るよ うに降 下 が始 ま った .送風 量の 調整 な どに よって温度 の回復 を試 み たが , 2 箇所 あ る羽 口の うち一方 の一部 にス ラグが付着 し十分 に送 風 され ない状 況 となったた め ノ 口出 しが可能 であ る か確認 した. ス ラグが付着 してい ない羽 口の観 察窓 か ら光高温温度計 を用 い て 間接 的 に炉 内温度 を同定 した結果 1 450K以 上 の温度 が確保 され てお り,熱電 対 に よる炉 内温度 のモ ニ タ リングか らは温度 が降 下
Fi g.8 0pe r a t i onoft heTa t a r a ‑ bukii r onma ki ng pr OC e S S ・
してい る もの の ,少 な くとも炉 内の片側 半分程度 以 上 にお いて は依然 と して砂鉄 を溶 融 で きる温度 が十 分維持 され てい るこ とが判 明 した. これ は羽 口の一 方 の一部 にス ラグが付着 した た め に,炉体 内におい て送風 量の ア ンバ ラ ンス が生 じ,その結果木炭 の均 質 な燃 焼 が確 保 され な くな り,炉 体 内壁 の片側 にス ラグが蓄積 され た こ とが原 因 であ る と考 え られ た.
す なわ ち,熱 電 対 か ら得 られ た炉 内温度 の低 下は, 炉 内全 体 の温度 低 下 を示す もので はな く,熱電対 を 設置 した側 の炉 体 内壁 にス ラ グが徐 々 に蓄積 され て 行 った こ とに起 因す る こ とが判 った. したが って光 高温計 に よる観 察窓 か らの測 温 を も とに 1 420K以 上 の炉 内温度 が維 持 され てい る間は操業 を継続す る こ とと し,さ らに 3. 6ks 間製鉄操 業 を続 けて停止 した.
装入総 量は砂 鉄 2. 8kg ,貝殻粉 280g ,木炭 5. 6kgで
1 4 回 にわた って装 入作 業 を行 った結果 ,ケ ラの総 量
は 730gで収 率 は 26%で あった.得 られ たケ ラの全
体像 を Fi g.9 に示 した .本 実験 で得 られ た鉄 収 率
26 %は,前 報 にお い て市販 の砂 鉄 を用 いて行 った場
合 に得 られ た収 率 27%にきわ めて近 く,非常 に良好
な もの と思 われ る.従来 のた た ら製鉄研 究 におい て
報告 され てい る鉄収 率 も大略 同程度 で あ るこ とか ら
たた ら製鉄法 に基づ く向浜砂鉄の製錬 と鋳造 ‑創造工房実習 よ り得 られた二三の知見‑
Fi g.9 0ve Ⅳi e wort wol umpsort h ei r onbe a r( Ke r a )obt a i ne di nt h i se xpe r i me n t
すれ ば,向浜砂鉄 とい う低 品位 の原料 で も比較 的高 い収率 が得 られ た もの と思 われ る.す なわ ちたた ら 製鉄 法 で は,原 料 の品位 に対 してそれ ほ ど厳密 な制 約 が な くとも同程度 の鉄 収 率 を得 る こ とが可能 で あ
った もの と推 察 され る.
本 実験 で用 い た炉体 は前報 の結果 を踏 ま え
(2),(3), 安 定 した均質 な炉 内温度 を確 保す る とともに,炉体 の持 つ溶 融能 力 を向上 させ 安 定 した製鉄操業 を行 う た めに改 良を加 えて,羽 口を 2 箇所 に設 置 した もの で あ る( 4 ) .それ に よって送風 量が増加 して十分 な木 炭 の燃 焼 が確 保 され ,操 業 開始 当初 は高い炉 内温度 を実現 で きた . しか しなが ら,上述 した よ うに操業 の途 中で一方 の羽 口の一部 にス ラグの付着 が生 じ, それ に よ り均 質 な炉 内温度 が維持 で きな くなった.
その こ とが原 因 とな って炉 内の片側 においてス ラグ の蓄積 が徐 々 に進行 し,最 終 的 には羽 口が十分機 能 しな くな り操 業停 止 とい う事態 を招 いて しまった.
その問題 点 を挙 げ る と,羽 口位 置やそ の挿入角度 の 調整 にわず か なず れ が あったた めに,送風バル ブの 調整 だけで は炉 内全 体 に均 質 に空気 を送 り込む こ と が 出来 な くな った.そ の結 果 ,一方 の羽 口付近 にス ラグを付着 させ る原 因 を生 じさせ て しまった こ とが 考 え られ る. した が って,さ らに改 良す るた めには
2 9
正確 な羽 口角度 の調整 とともに,羽 口位 置 のセ ッ ト におい て も 2 方 向か らの送風 量が炉 内の 中心部で均 等 に衝 突す るよ うに十分 に注意 を払 わ な けれ ばな ら ない といえ る.
4.2 ケラの分析 および顕徴 集組港 観 察
Ta bl e2 には得 られ た ケ ラの発 光 分 光 分析 に よる 分析結 果 を示 した.
C量 は 4. 1 2%で鉄 一炭 素 系平衡 状態 図か らみ る と,共晶点 の C量 4. 3%よ りも低 い値 を示 してお り亜共晶組成 で あ る こ とがわ か る.一般 に銑鉄 を論 じる場合 C 量 のほか に Si や p を考慮 し な けれ ばな らないが,Si は 0. 01 %で極 めて小 さく,p も 0. 1 34%と小 さな値 とな ってお り,現代 の高炉法 で 得 られ る銑 鉄 の Si 濃度 が 0. 2‑0 . 4%で あ る こ とと非 常 に異 な ってい る. これ はたた ら製 鉄 法 で は高炉法 と比べ る とよ り低い温度 でかつ よ り高い酸 素分圧 で 製錬 を行 ってい るた めで , この こ とは p濃度 が低 く な る原 因 に もな ってい る
(6). ま た硫 黄濃 度 が低 い の は,高炉法 では燃 料 に S を含 んだ コー クス を使用 し てい るの に対 し,た た ら製鉄 法 で は木 炭 を使 用 して い るこ とがその理 由 と考 え られ る. この よ うにたた ら製鉄 法 の特徴 は,現代 の高炉製鉄 法 で は な し得 な い不純物 の少 ない良質 の栂や銑 を作 る 日本 古来の製 鉄 技術 で, 冶金 学的 に も非常優 れ た技術 で あ る とい
Ta bl e2 Che mi c a lc ompos i t i onoft heob t a i ne di r onbe a r( Ke r a ) . Che mi c a lc ompos i t i on( ma s s %)
C Si Mn P S Mg Cu Ni Sn Cr Ti Fe
3 0
小松芳成 ・後藤正治 ・麻生節夫Fi g. 1 0 0pt i ca l phot omi c r ogr a ph s howi ng t he mi c r o‑ s t r uc t ur e or gr a y c as t i r on obs e r ve d t he obt a i ne di r onbe a r( Ke r a ) .
うこ とを本 実験 で得 られ た結果 か らも再確 認 され る.
次 に,得 られ た ケ ラを任 意 に数 箇所 切 断 して研磨 を行 い ,光学 顕微鏡 を用 い て組織観 察 を行 った.そ の結果 の一例 を Fi g.1 0に示 した.腐 食 は 4%ピク リ ン酸 アル コール を用 い て行 った. これ は一般 にねず み鋳鉄 と呼 ばれ る組織 で あ る.図 中 におい て黒 く分 布 してい る ものが片状黒鉛 で あ る. この黒鉛 の周辺 を中心 に腐食 されず に 白 く分布 してい る ものが炭素 濃度 の低 い フ ェ ライ ト相 (αFe) で あ る. それ 以外 の部分 ,す なわ ち基地 は縞 状 あ るい は層状 の組織 を 呈 してお り, これ は フェ ライ ト相 (αFe) とセ メン タイ ト相 ( Fe 3 C) が層 状 に同時 に現れ たパ ー ライ ト 組織 (αre+Fe 3 C)で あ る.パ ー ライ トは立体 的 に は板 状 の フェ ライ ト相 とセ メンタイ ト相 が交互 に重 な りあって構 成 され てい る もので あ るか ら,顕微鏡
Fi g.l l Wa xpa t t e msf orc as t i ng.
で観 察 した場 合 にはそ の切断 面 に よって,縞 状 あ る い は層 状 とな って観 察 され る
(7). ところで,一般 に 鋳鉄 は強度 特性 を有効 に利 用 した構 造材 料 と して使 用 され る場 合 が多い が,本 実 験 で得 られ た よ うな硬 いセ メ ンタイ トと軟 らかい フ ェライ トの混合相 で あ るパー ライ トを基地 に持 ち,方 向性 の ない片状 の黒 鉛 が均 一 に分布 してい る鋳鉄 は,他 の黒鉛形態 の鋳 鉄 に比 べ強度 的 に優 れ てお り,また黒鉛 の存在 に よ って機 械加 工性 や耐摩耗 性 ,減衰 能 な どにおい て も 優 れ た特性 を有 してい る もの と推 察 され る.
4.3 鋳造 品の製作
イ ンベ ス トメ ン ト法 (ロス トワ ックス法)は,4000 年 以前 にエ ジプ トで これ に似 た方 法 が行 われ てい た
ともい われ , 日本 で も奈 良時代 に この技術 に よって 仏 像や 美術鋳物 がつ く られ て いた
(8). この鋳造 法 の 大 きな特徴 のひ とつ に,前述 した よ うに一般 的 な割 り型 の鋳型 を用 い る方 法 では作製 不 可能 な複雑 な形 状 の品物 を一 回 で鋳 造 で き る ことが挙 げ られ る.近 代 工業 にお いて はそ の利 点 を生 か して ジェ ッ トエ ン ジ ンに代表 され るよ うな複雑 な部 品 を高精度 で生産 す る技術 が確 立 され て, この分野 のみ な らず一般機 械 部品の製 造 におい て も欠 くことので きない鋳造法 とな ってい る.本 実験 で は美術鋳物 に代表 され る よ うな複雑 形 状 の鋳物 を, たた ら製鉄 で得 られ た銑鉄 を再溶解 して古代 か ら行 われ て きたイ ンベ ス トメン ト法で鋳 造 し,砂鉄 の還 元 か ら鋳物 の製造 まで を行 うこ とで古人 ( い に しえび と) の ロマ ンを実体験す る とともにその技術 の奥深 さを知 る こ とを 目的 と し た.
その作製 過程 を説 明す る.Fi g.1 1には 目的 とす る 鋳 造品 と同 じ形 状 の模 型 を製 造過程 中の膨 張収縮 を 見込ん で ワ ックスで作製 した もの を示 した. 次 に Fi g.
1 2に示す よ うに,後 に湯 口とな る粘 土 を支 えに し湯 道 を取 り付 けてその先端 に上述 した ワ ックスで作製 した模 型 を取 り付 け,微 粒 子 の高級 耐火 物 と粘 結材 をまぜ た泥状 の もの を塗布 した.そ して, これ に鋳 枠 とな る銅 製 のパイ プ をセ ッ トし,イ ンベ ス トメ ン トに水 を加 え泡 立て ない よ うに注意 しなが ら混合 し たス ラ リー を静 か に流 し込み模 型 を埋没 して,そ の 後 乾燥 した.そ の際 ,鋳 枠 にハ ンマー を用 いて軽 い 振動 を与 え気泡 を取 り除 くよ うに した.乾燥後マ ッ フル炉 を用 いて 373‑393K で 3. 6ks 間加 熱 して ワ ッ クス を溶 融 流 出 させ て脱 ろ うを行 った . さ らに , 900K まで昇温 した の ち,1 0. 8ks 間加 熱 焼成 して鋳型
を得 た.
一方 ,たた ら製鉄 に よって得 られ た銑鉄 は,高周
たた ら製鉄法 に基づ く向浜砂鉄の製錬 と鋳造 一 創造工房実習 よ り得 られた二三の知見‑
Fi g.1 2 Ca s t l ngS ys t e m f わri n ve s t me n tc a s t l n g.
波誘 導炉 を用 い て 2 番 黒鉛 るつ ぼで再溶解 して溶 湯 を得 た.溶解 温 度 は C量 が 4. 1 2%で あ る こ とか ら鉄 一炭素 系平衡状 態 図 よ り 1 550K と した.す ばや くマ ッフル 炉 か ら加 熱焼 成 した鋳型 を取 り出 し,鋳 込み 温度 1 55 0K で高温 の鋳型 に溶湯 を鋳込 んだ.
Fi g. 1 3 は,鋳 型 を室温 まで冷 却 したのち型 ば ら し を行 って得 られ た鋳 造 品 の一部 を示 した もので ある.
Fi g.
11に示 した,ワ ックスで作製 され た模型 をおお よそ トレー ス してい る こ とが わか る.しか しなが ら, 正確 に模型 を再現 した鋳 造 品 を作 る ところまで には 至 らなか った.鋳肌 を観 察す る と, ワ ックス模型 で 作 った細 か な紋 様 が 現 われ てお らず , また全体 の形 状 も十分 トレー ス され てい ない こ とがわか る.湯 口 下部付 近 で はそ の下 にあ る湯道 が細 くなってい るこ とも観 察で き る. これ は鋳造 品が凝 固収縮す る過程 におい て湯 口の 下部 が鋳 造 品 よ りも早 く凝 固 して し ま ったた め に,十分 な押 し湯 の効果 が得 られず この 部分が 引け る形 で細 くな った か らで あ る.結果的 に 湯 廻 り不 良 を起 こ し, きちん と した形 状 を得 るこ と が できなか った こ とにな る. この解決策 は非常 に基 本 的な こ とで は あ るが, 目的 の鋳 造 品 に対 して鋳造 方案 を よ く検討 して ,湯 口,湯道 な どの大 き さ,位 置 を決 定す る と ともに鋳型 の加熱 温度や鋳 込み温度 を調整 す る こ とな どが挙 げ られ る.上述 の よ うに, 技術の発 達 した現在 のイ ンベ ス トメン ト法 を行 って も,著者 らが満 足 で き る鋳 造 品 を作 る こ とはで きな か った . これ に対 し,技術 の発 達 してい なかった古 人 にお いて さえ も種 々の美術鋳造 品が製造 され てい る. この こ とは,古 人 の経 験 的 な技術 の奥深 さをあ らた めて認識 させ られ る ものであ る.
4.4 創造 工房 実 習 としての検 討
31
Fi g‑ 1 3 Cas t l ngSmadeby i nves t me n tc as t i ng pr OC eS S ・
本実 験 で は,学生 の ̀ ̀もの作 り" に対す る興味 を 高 め る とともに,実験 プ ロセ スを創 造 し体験 させ る こ とで材 料 工学 の重 要性 を理解 させ る こ とを 目的 の 一 つ と した.オ イル 缶 を利 用 した′ J 、 型 炉 の作製や 向 浜 で採 取 した砂 鉄 と貝殻 を原 料 と した, たた ら製鉄 実験 お よび得 られた鉄 を用い た鋳鉄 製 晶 の試 作 な ど は,い ろい ろな作業 工程 におい て学 生 の創 造意欲 を 高 め るの に十分 な もので あった.身 近 で得 られ る素 材 を用 い て も容易 に製鉄や鋳造 な どがで きる こ とを 学 生 た ちは実感 した .さらに,材 料 工学 にお け る ̀ ̀ も の作 り' 'の工程 の一 部 を理解す る こ とが で きた. し た が って,得 られ た実験成果 は材料 工学 の重要性 を 理解す る上で十分教 育価 値 の ある もの と判 断 され た.
す なわ ち, たた ら製鉄 法 は創 造 工房 実習 の課題 と し て適 当な もの と考 え られ る.
5. ま と め
たた ら製 鉄 に使用す る原料 を調査研 究 し,実際 に 必 要 な砂 鉄 な どを採 取 した.その砂 鉄 を磁 力選鉱 に よ り精 選 して純度 を高 め,改 良を加 え新 た に作製 し た小型 たた ら製 鉄炉 を用 いて製鉄操 業実験 を行 った.
さ らに,得 られ た鋳鉄 を再溶解 して イ ンベ ス トメ ン ト法 に よる鋳 造 実験 を行 った.以 上 の こ とか ら次 の こ とが明 らか となった.
1
. 向浜 か ら採 取 した砂 鉄 を水 洗 い して磁 力選鉱 を す る こ とに よ り, Fe の含有 量 を 33. 7%か ら 53. 7 %
まで 向上 させ るこ とがで きた.
2. 改 良を加 えて羽 口を 2 箇所 に した小型 たた ら実
験製 鉄 炉 を製 作 した こ とで ,操 業 開始 当初 は よ
り高 い炉 内温度 を確保 で きた. しか し,炉 内温
度 を均 質 に保 持す るた め に は正確 な羽 口角度 の
調整 と ともに,羽 口位 置のセ ッ トお い て も 2 方
3 2
小桧芳成 ・後藤正治 ・麻生節夫向か らの 送風 が炉 内 の 中心 部 で 均 等 に衝 突 す る よ うに注 意す る こ とが重 要 で ある.
3. 装 入砂 鉄 2. 8 kg か らケ ラ 7 3 0 g が得 られ ,収 率 は 26 % で あ った.本実験 で得 られ た ケ ラは ,高炉 法 に よる もの と比較 して Si や pな どの不 純 物 が少 ない極 めて良質 な もので あった.
4. ケ ラの組 織 の大 部 分 はパ ー ライ ト基 地 に片 状 の 黒鉛 が方 向性 な く均 一 に分布 し,機 械 的 性 質 に 優 れ る片 状黒鉛 鋳鉄 で あ る と推 察 され た.
5. 得 られ た ケ ラを再溶 解 して イ ンベ ス トメ ン ト法 に よ り鋳 造 品 を作 製 した が . そ の 作 製 に は鋳 造 方 案 が き わ め て重 要 で あ る こ とを再 確 認 す る と
ともに, 古 人 の経 験 的 な技 術 の 奥 深 さを あ らた めて認 識 させ られ た.
6. 本研 究 で 行 った たた ら製鉄 法 は創 造 工房 実 習 の 課題 と して適 当な もので あ る.
謝 辞
本 研 究 を進 め る に あた り室 蘭 工業 大 学 の桃 野 正 教授 には 貴重 な参考 資料や ビデ オテ ー プ を提 供 して 頂 くとと もに,様 々 な ご教授 を頂 い た . また ,材 料 工学科 ,伊 藤 信 雄 技 官 ,三浦敏秋 技 官 , 田中春美 技 官 な らび に事 務 部 工作室 ,清水金 光 技 官 には炉 体 の 羽 口作製 にお い て材 料 の提 供 お よび加 工 を して頂 い た.さ らに, 岩 手 県工業技術 セ ン ター か ら桂木 炭 を, 秋 木 製鋼 ㈱ か らはオ リビンサ ン ドを提 供 して頂 い た.
なお ,本 研 究 は材 料 工学科 平成 1 3 年 度 3 年 次 学 生 , 天 野博 紀 君 ,宇 野 努君 ,黒木 泰 洋 君 ,高 山裕 矢君 ,
斎藤 聡 君 , 田森 博幸 君 と共 同で遂行 され た もので あ る.以 上の方 々に心 よ り感 謝 申 し上 げます .
文 献