1997 年から 2006 年までに分離されたインフルエンザ菌,
肺炎球菌の薬剤耐性推移
県立広島病院小児科
坂野 堯 捻橋 紀久 古江 健樹 木下 義久 小野 浩明 大田 敏之
(平成 20 年 12 月 10 日受付)
(平成 21 年 4 月 9 日受理)
Key words : Haemophilus influenzae, Streptococcus pneumoniae, drug resistance, child
要 旨
1997 年から 2006 年までの 10 年間に当科で分離されたインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)606 株,
肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)502 株を対象として薬剤耐性の推移をみた.インフルエンザ菌では,
1997〜1998 年には β-lactamase nonproducing ampicillin-susceptible H. influenzae (BLNAS)が 72.0%,1999〜
2000 年は BLNAS 69.6% で耐性株の比率も比較的低かった.以後は著明に耐性株が多くなり,2005〜2006 年には BLNAS は 31.0% と減少し,intermediate-resistant+β-lactamase nonproducing ampicillin-resistant H. influenzae(BLNAR)は 65.5% と増加した.年齢 3 歳未満では 3 歳以上に比較して,早期から著明に intermediate-resistant+BLNAR の 比 率 が 増 加 し て い た.肺 炎 球 菌 で は,1999〜2000 年 に は penicillin- susceptible S. pneumoniae(PSSP)は 18.4% のみと耐性化が著明であったが,2005〜2006 年には PSSP が 38.2% となり,耐性株の比率が減少しつつある.年齢 3 歳以上では早期に penicillin-intermediate S. pneumo- niae(PISP)+penicillin-resistant S. pneumoniae(PRSP)の比率が減少し始め,3 歳未満では遅れてみられ た.これらの年齢による耐性株分離比率の変動の違いは,3 歳未満での集団生活のはじまり,免疫学的未熟 性,抗菌薬使用状況の違いが関与していると推察されるが,耐性化の推移をみるには年齢別に検討すべきと 考えられた.BLNAR に対する cefditoren(CDTR),cefcapene(CFPN)の minimum inhibitory concentra- tion(MIC),および,PRSP に対する CDTR,CFPN,faropenem の MIC は 10 年間での明らかな悪化はな かったが,BLNAR の著増に対して一般診療における初期治療の基準の再検討が必要である.
〔感染症誌 83:347〜354,2009〕
序 文
インフルエンザ菌,肺炎球菌は小児の呼吸器感染症,
中耳炎,細菌性髄膜炎の主要な原因菌であるが,ペニ シリン結合蛋白(PBP)の遺伝子変異による β ラクタ ム系薬への薬剤耐性化が問題となっている.当科では 1997 年以後,これらの分離菌株について経口薬剤へ の耐性の推移を検討している.今回,これらの菌の耐 性株の比率の年齢別年次的推移と一般に頻用されてい る抗菌薬に対する感受性の推移について報告する.
対象と方法
1997 年 1 月から 2006 年 12 月に県立広島病院小児 科へ受診した患児から分離されたインフルエンザ菌
606 株,肺炎球菌 502 株を対象とした.検体は咽頭,
上咽頭など上気道分泌物が主体であるが,血液からイ ンフルエンザ菌 2 株,肺炎球菌 3 株,髄液からインフ ルエンザ菌 4 株,肺炎球菌 2 株が分離されている.菌 株については毎年 1 月 1 日から 12 月 31 日までの 1 年 間に同一症例につき初回に分離された 1 株のみを対象 とした.薬剤感受性試験は CLSI に準拠した微量液体 希釈法(MIC2000,栄研化学)にて測定した.測定プ レートは栄研化学のフローズンプレートを用いた.イ ンフルエンザ菌の β ラクタマーゼ産生の有無はニト ロセフィン法で検索した.これらの菌株は,CLSI の M100-S13 の耐性判定基準
1)に準じ以下のごとく分類 した.インフルエンザ菌の分類は, β ラクタマーゼ産 生菌 ( BLPAR ; β-lactamase-producing ampicillin-
原 著別刷請求先:(〒734―8530)広島市南区宇品神田 1―5―54
県立広島病院小児科 坂野 堯
Table 1 Numberofisolatesand patientgenderand age S.pneuoniae H.influenzae
Year
age (y,mean±SD) f
m age (y,mean±SD) f
m
2.76±2.88 40
39 3.14±3.44
56 62 1997-1998
2.64±2.27 33
65 3.45±3.22 ※ 61
74 1999-2000
2.32±1.66 13
44 3.17±2.60
35 48 2001-2002
2.86±4.26 50
74 2.86±2.90
55 73 2003-2004
2.77±3.21 61
83 2.74±3.08 ※ 67
75 2005-2006
※ p< 0.01
Fig. 1 Changes in the proportion (%) ofβ-lactamase nonproducing ampicillin-susceptible H.influenzae (BLNAS), intermediate-resistant (intermediate),β-lactamase nonproducing ampicillin-resistantH.influenzae (BLNAR), and β-lactamase-producing ampicillin-resistant H.influenzae(BLPAR)over10 years.The isolatesforevery 2 yearswere pooled and the pro- portionsofintermediate+ BLNAR among the groupswere analyzed statistically.
resistant Haemophilus influenzae),および,β ラクタ マーゼ非産生株のうち,ampicillin(ABPC)に対す る MIC が 1µg! mL 以 下 を β-lactamase-nonproducing ampicillin-susceptible H. influenzae(BLNAS),2µg!
mL を intermediate-resistant(intermediate),4 µ g ! mL 以 上 を β-lactamase-nonproducing ampicillin- resistant H. influenzae(BLNAR)とした.肺炎球菌 は benzylpenicillin(PCG)に 対 す る MIC が 0.06µg!
mL 以下を penicillin-susceptible Streptococcus pneumo- niae (PSSP),0.12〜1µg! mL を penicillin-intermediate S. pneumoniae( PISP ), 2 µg ! mL 以上をpenicillin- resistant S. pneumoniae(PRSP)と し た.こ れ ら の 菌株は 2 年間毎の群にまとめ,3 歳未満の症例からの 分離株と 3 歳以上の症例からの分離株につき耐性率の 推移を検討した.各種経口抗菌薬に対する感受性につ い て は,イ ン フ ル エ ン ザ 菌 で は ABPC,cefditoren
(CDTR)お よ び cefcapene(CFPN)の 3 剤 に つ き,
肺 炎 球 菌 で は PCG,CDTR,CFPN,faropenem
(FRPM)の 4 剤について記載した.各群の年齢の差
については t 検定で検討し,各年度群,および,年齢 別 の intermediate+BLNAR,PISP+PRSP の 比 率 の 比較についてはフィッシャーの正確検定を用いた.
成 績
インフルエンザ菌は男子 332 例,女子 274 例から検 出され,肺炎球菌は男子 305 例,女子 197 例から分離 された(Table 1).各群の年齢の比較では,インフル エンザ菌 で 1999〜2000 年 と 2005〜2006 年 と で 有 意 差がみられたが,他の群間では年齢の差はみられな かった.肺炎球菌では各群の年齢に有意差はなかった.
インフルエンザ菌の耐性の推移では,1997〜1998 年 に は BLNAS が 72.0%,1999〜2000 年 は BLNAS 69.6% であり,耐性株の比率も比較的低かった(Fig.
1).しかしながら,それ以後の菌株では著明に耐性株 が多くなり,1997〜1998 年群に比較して 2001〜2002 年以後の各群ではいずれも有意に耐性率が上昇してお り(p<0.01),2005〜2006 年 に は BLNAS は 31.0%
と 減 少 し intermediate+BLNAR が 65.5% と 増 加 し
た.BLPAR は 1997〜998 年 は 11.0%,1999〜2000 年
Fig. 2 Differencesin the proportion (%)ofintermediate-resistant(interme- diate)+ β-lactamase nonproducing ampicillin-resistant H.influenzae (BLNAR)between patientsolderand youngerthan 3 years.The isolates for every 2 years were pooled and the proportions of intermediate+
BLNAR among the groupswere analyzed statistically.
Fig. 3 Changesin the proportion (%)ofpenicillin-susceptible S.pneumoniae(PSSP), penicillin-intermediate S.pneumoniae (PISP), and penicillin-resistantS.pneumoniae (PRSP)over10 years.The isolatesforevery 2 yearswere pooled and the propor- tionsofPISP+ PRSP among the groupswere analyzed statistically.
は 10.4% であったが,以後,次第に減少し 2005〜2006 年分離株では 3.5% となった(p<0.05).
インフルエンザ菌の耐性株の占める割合は 3 歳未満 の群が 3 歳以上の群よりも高かった(Fig. 2).耐性 株の比率の変動では,3 歳未満では 1997〜1998 年に 比較して 1999〜2000 年にはすでに急速かつ著明に in- termediate+BLNAR の比率が増加し,3 歳以上の年 齢では 2003〜2004 年になってから有意な耐性率の変
動がみられた.
肺 炎 球 菌 の 耐 性 の 変 動 を Fig. 3に 示 す.PSSP は
1997〜1998 年 に は 29.1% で あ り,PISP+PRSP が
70.9% を 占 め て お り,さ ら に,1999〜2000 年 に は
PISP+PRSP が 81.6% と頂値となっていた.以後は
少しずつ PISP+PRSP の比率が減少し,2005〜2006
年には PSSP が 38.2% と有意に増加したが,インフ
ルエンザ菌の変動に比較すると緩やかであった.
Fig. 4 Differencesin the proportion (%)ofpenicillin-intermediate S.pneumoniae(PISP)+ penicillin-resistantS.pneumoniae(PRSP)be- tween patientsolderand youngerthan 3 years.The isolatesfor every 2 yearswere pooled and the proportionsofPISP+ PRSP among the groupswere analyzed statistically.
Fig. 5 Changesin cumulative minimum inhibitory concentration curvesof(a)ampicillin forH.influenzaeand (b)benzylpenicillin forS.pneumoniae.
肺炎球菌においても年齢 3 歳未満と 3 歳以上の比較 では,耐性株の比率は 3 歳未満に高かった(Fig. 4).
耐性率の変動では,3 歳未満群では PISP+PRSP の比 率は 1997〜1998 年にはすでにほぼ頂値に至っていた が,3 歳 以 上 の 群 で は 1997〜1998 年 よ り も 1999〜
2000 年にさらに増加して頂値となった.以後,3 歳以 上の群では,統計学的有意差はないものの,2001〜2002 年から耐性株の比率が減少傾向にあった.3 歳未満で は 3 歳以上の群より遅れ,2005〜2006 年になってか ら耐性株の比率が減少した.
インフルエンザ菌の ABPC に対する感受性の推移 をみると明らかに耐性が進行しているが,PCG に対
する肺炎球菌の感受性は大きな変化がなかった(Fig.
5).小児で使用頻度の高い経口薬剤である CDTR,
CFPN に対するインフルエンザ菌の感受性は低下して きているが,CDTR が CFPN よりも明らかに良好な 結果であった(Fig. 6).BLNAR のみでの感受性の推 移をみると 1997〜1998 年に比較して,1999〜2000 年 の感受性は低下していたが,以後のさらなる耐性化は 明らかでなかった.
肺炎球菌の経口薬剤に対する感受性では,CDTR,
CFPN,FRPM ともに大きな変動はみられなかった
(Fig. 7).また,PRSP のみにおいてもこれらの薬剤
に対する明らかな感受性の悪化はみられなかった.
Fig. 6 Changesin cumulative minimum inhibitory concentration (MIC)curvesforH.influenzae.The cumula- tive MIC curvesofcefditoren for(a)allisolatesand (b)β-lactamase nonproducing ampicillin-resistantH.in fluenzae(BLNAR),and ofcefcapene for(c)allisolatesand (d)BLNAR are shown.
考 察
本邦においては,肺炎球菌,インフルエンザ菌の抗 菌薬耐性化が問題となっており,これまでも多くの報 告がみられるが,ひとつの医療機関において 10 年間 という長期的な薬剤耐性の推移についての報告は少な い.肺炎球菌の耐性化は 1980 年代後半からと考えら れ,1990 年代から急速に進行してきたとされている が,これらの耐性機序は PBP の遺伝子変異が主体で
ある
2)〜4).インフルエンザ菌においても β ラクタマー
セ産生以外にも PBP の遺伝子変異による耐性株が拡 大してきている
3)4).
今回,肺炎球菌の耐性の推移の検討では 1999〜2000 年 分 離 株 で も っ と も PSSP が 少 な く 18.4% の み で あった.以後は,次第に PISP+PRSP の減少がみら れ,PSSP の比率は 38.2% にまで増加してきている.
本邦で通常使用される経口セフェム系薬は一般に血中 濃度もそれほど高くならず,組織移行も低く,臨床的 には耐性肺炎球菌に対して必ずしも強いとはいえな い.また,セフェム系薬の投与頻度が高いことが耐性 肺炎球菌の拡大に関与している
4).このため,耐性肺 炎球菌の蔓延を考慮して,2000 年前後から耳鼻科領 域を中心にペニシリン系薬使用が推奨されてきた
5).今 回当科分離株でみられた耐性肺炎球菌の比率が減少し てきた一因として,近隣の小児科,耳鼻科などの一般
診療で,呼吸器感染症に対しセフェム系薬を控えペニ シリン系薬の使用が増加したこと,また,抗菌薬をで きるだけ使用しないように心がけていることによる可 能性がある.これについて,2008 年 10 月に小児科・
耳鼻科を標榜する当院近隣の一般診療所 30 施設にア ンケート調査を行ったところ 19 施設から回答があり,
2001 年から 2006 年にかけて,セフェム系薬からペニ シリン系薬・マクロライド系薬の使用への変化が 18 施設(複数回答),できるだけ抗菌薬を使用しなくなっ たとの回答が 6 施設あった(未発表).また,肺炎球 菌の増殖は PSSP>PISP>PRSP の順に早いとの報告 もあり
6),これも PSSP の比率増加に関与していると 考えられる.
インフルエンザ菌では 2000 年以後,急速に耐性化 が進んでおり,2005〜2006 年群では intermediate+
BLNAR の比率が 65.5% と著明に増加してきている.
肺炎球菌と異なり,インフルエンザ菌の耐性化が著明 となった背景のひとつとしては,ペニシリン系薬感受 性が不良であることが考えられる.実際に,当科で分 離されたインフルエンザ菌のペニシリン系薬に対する 感受性は肺炎球菌よりも低く,ペニシリン系薬使用頻 度の増加により BLNAR を主とした耐性インフルエ ンザ菌の比率が増加した可能性がある
6).
一 方,ペ ニ シ リ ン 系 薬 使 用 頻 度 が 増 加 す れ ば
Fig. 7 Changesin cumulative MIC curvesforS.pneumoniae.The cumulative minimum inhibitory concentra- tion curvesofcefditoren for(a)allisolatesand (b)penicillin-resistantS.pneumoniae(PRSP),ofcefcapene for (c)allisolatesand (d)PRSP,and offaropenem for(e)allisolatesand (f)PRSP are shown.
BLPAR が増加しやすいと考えられるが,実際には当 科で分離された BLPAR の比率は減少しつつあった.
この理由は明らかでないが,ペニシリン系薬の使用が 増加しても,一般診療の場ではまだ BLPAR に抗菌力 をもつ経口第 3 セフェム系薬の使用が多いためとも考 えられる.
本邦で分離された肺炎球菌とインフルエンザ菌の耐 性株の比率について,砂川ら
7)は,2002 年から 2003 年にかけて全国の小児科外来を受診した,初診小児呼 吸器感染症児から分離された肺炎球菌,インフルエン ザ菌の耐性率を調査し,PSSP が 33% であり,BLNAS 60% と報告している.当科での耐性状況は,2001〜
2002 年で PSSP が 26.3%,BLNAS 50.6%,2003〜2004 年は PSSP 25.8%,BLNAS 35.2% であり,肺炎球菌,
インフルエンザ菌ともに感性菌の比率が少ない.これ については,今回のインフルエンザ菌,肺炎球菌が分 離された症例は当科初診だけでなく,当科受診前に近 隣の一般診療所ですでに抗菌薬で加療されていた症例 も多いことから,当科での肺炎球菌,インフルエンザ
菌の耐性株の比率が高いという結果になったと考えら れる.このため,当科での分離株の感受性が必ずしも 幅広く広島医療圏全体の現状ともいえず,また,当科 での治療方針の変化が影響しているともいえない.し かしながら,近隣の一般診療所で加療後の症例が含ま れていることは 10 年前と同様であることから,当院 を 含 め 近 隣 で の intermediate+BLNAR の 著 明 な 増 加,また,PISP+PRSP の減少という傾向は明らかで ある.今後,このインフルエンザ菌の著明な耐性拡大 を考慮し,一般臨床の場でペニシリン系薬,セフェム 系薬をいかに使い分けていくかなど初期治療の再検討 が課題である.
乳幼児が保育園などの集団生活に入ると肺炎球菌,
インフルエンザ菌を保有するようになり高い保菌率を
維持するが
8),今回の検討では,3 歳未満の症例では
インフルエンザ菌の耐性化が 3 歳以上の症例より先行
することが示された.一方,肺炎球菌においては 3 歳
未満の群の耐性率は 1997〜1998 年にすでに頂 値 と
なっていたが,3 歳以上の群では 3 歳未満の群に遅れ
て,1999〜2000 年に PISP+PRSP の比率が頂値となっ た.1996 年以前のデータがなく十分解析はできない が,インフルエンザ菌と同様,肺炎球菌においても 3 歳未満では 3 歳以上よりも耐性化が先行してみられた ものと考えられる.以後は肺炎球菌では著明ではない ものの耐性率が減少しており,3 歳未満の群では 3 歳 以上の群に比較して耐性株の比率低下の始まりが遅れ ていた.この年齢による耐性率の変動に違いがみられ る理由として,ひとつには集団生活の開始とともに免 疫学的未熟性の関与が考えられる.特異抗体産生から みると,肺炎球菌および莢膜をもつインフルエンザ菌 では莢膜多糖体に対する IgG2 抗体が感染防御に重要 であるが,3 歳未満の乳幼児では血中 IgG2 が十分で なく,ときには一過性の低 IgG2 血症,および,特異 的な IgG2 抗体産生の遅れがある症例も知られてい る
9)10).一方,中耳炎,気管支炎などで大部分を占め る無莢膜型インフルエンザ菌に関しても,インフルエ ンザ菌共通抗原である膜蛋白 P4,P5,P6,protein D などに対する免疫応答はあるが,抗 P6 抗体は生後 6 カ月から 2 歳ころまでは低値である
11)〜14).免疫学的未 熟性があっても初期の感染時に耐性菌罹患が多いとは いえないが,耐性菌に感染した後は抗菌薬による除菌 が困難であること,および,獲得免疫の遅延があるこ とから耐性菌を長く保有する比率が高くなると推察さ れる.また,3 歳未満の乳幼児に対しては近隣の医療 機関での抗菌薬の使用頻度が多い可能性も否定できな いが,いずれにしても,耐性化の推移をみるには 3 歳 未満と 3 歳以上で年齢別に検討すべきである.
インフルエンザ菌に対する CDTR,CFPN につい ての全体の抗菌力は経年的に悪化しているが,これは intermediate+BLNAR の増加によるものと考えられ る.これらの薬剤についての BLNAR のみでの検討 では,1997〜1998 年の BLNAR と 1999〜2000 年株と で MIC の変動があるが,これは,1997〜1998 年株数 が 5 株と少ないためとみられ,以後の BLNAR のさ らなる感受性の悪化はみられていない.同様に PRSP のみでみても感受性の悪化はみられなかった.これら は既知の PBP 遺伝子変異以外の更なる変異を含め,新 しい耐性機序出現がないことを示唆している可能性も 考えられるが,これを明らかにするためには遺伝子検 索などの詳細な検証が必要である.
文 献
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