第 1 章 サハ リン石油 ・天然ガス開発 プ ロジェク ト の概要 と動 向
社会情報学科 山本 充
本章は、章末 に掲載 した既往資料お よびサ‑ リンの開発主体、国内行政機 関、シンクタ ンク等の有識者への ヒア リングに基づきサハ リンにおける石油 ・ガス開発プ ロジェク トの 概要 と動 向についてまとめたものである。 .
第 1 節 経緯
サ‑ リンにお ける石油開発の歴史は古 く 、1 91 9 年 ( 大正 8 年)に、 日本石油等が出資 し た北辰会 とロシア商会 との合弁によ り石油開発が始め られている。その後 、1 9 2 4 年の 日ソ 国交修復条約が結ばれ、その翌年 には北サハ リン油田の一部の開発権 を 日本に与える有効 期間 45 年間の利権条約が結ばれているO 日本側 は国策会社である 「 北樺太石油株式会社」
が開発 を担 当 し 、1 9 2 6 年には 、3 3 , 0 0 0 トンの石油採掘に成功 し 、1 9 2 9 年には 1 8 6 , 0 0 O トン 余 りを産出 した。 ,並行 して ソ連独 自の開発 も行われ 、1 9 28 年に石油採掘会社 「 サハ リンネ フチ」 トラス トが設立 され 、1 9 4 0 年代には間宮海峡 を越 えて大陸側 に原油を輸送す る海底 パイプラインが建設 され、戦前には年間 6 0 0 , 0 0 0 トン以上が生産 されて 日 ・ソ双方へ供給 されていた。 ,しか し 、1 9 4 4 年 には、当時の国際情勢に もよ り、ソ連側 に油 田の開発利権を 返還 し、条約 に基づ く石油採掘は終了 した
でその後 、1 9 7 2年 ( 昭和 4 7 年)の第 5 回 日ソ経済合同委員会で ソ連か らの要請 により、
日ソ共同プロジェク トとして石油資源開発が検討 され始め、 日本側 は近距離にあるエネ/ レ ギー資源 を入手可能にす ることによってエネルギー資源の調達先の多様化 を図れ ることが、
そ して ソ連側 は極東地域のエネルギー 自給率 向上 と石油やガスを原料 とす る化学工業を発 展 させ るとい う目標を、西側資金 を導入 して促進す ることが、それそれ 可能になる と期待
した0
1 9 7 4 年には資源探査事業に 日本側か ら参画す るため、石油公団な どの出資によ りサハ リ ン石油開発協力 ( S ODECO) が設立 され 、1 9 7 7年 にはオ ドプ ト鉱床で石油資源の存在が確 認 された。 しか し 、1 9 7 9 年 1 2 月の ソ連軍によるアフガン侵攻 に対す る経済制裁 、1 9 8 0 年 代 の石油価格低迷 による 日本側 の投資資金の回収 不安な どにより、サハ リン大陸棚開発 プ
ロジェク トは約 1 8 年間にわた り停滞 した。
このよ うに西側 との協力が進 まない中で、 ソ連側 は独 自に資源探査 を進 め 、1 9 7 O年代 に
日本 との協力で発見 された鉱 区 ( オ ドプ ト、チャイ ヴオ)のほかに、 ピ/ レトウン ・アス ト
フ、ルニな ど大規模な資源があることを確認 していた。
そ して 、1 985 年か ら旧ソ連で始 まったペ レス トロイカによ りサハ リン石油 ・天然ガス開 発プ ロジェク トは ようや く生産 に向けた本格的な動 きを始 めたのである。
サハ リンと北海道
サハ リン l
オ ドブ ト鉱 ピリトウン湾
サハ リン I l
チャ イウオ湾
匡亘 頭
サハ リン l
亀 9
1. トミンスカヤ
2. ナ ングシンスカヤ 3. 北カイガンスカヤ 4. カイガンスカヤ
5. 糞力イガンスカヤ 6. 東オ ドプティンスカヤ
7 .ロシンスカヤ 8. 南口シンスカヤ 9. バ ウティンスカヤ
10. アイアシュスカヤ ll.モンギンスコエ
12. モンギンスカヤ 13. ウス トナビルスカヤ 14. ヴェニンスカヤ 15. ナ ビルスカヤ
16. キ リ ン ス カ ヤ
17. 南ル ンスカヤ
18. 南キ リンスカヤ 19. ナビルスカヤ沖 アルケ トン ・ダギ鉱床
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0 10 20k m サハ リン Ⅰ& Ⅲの開発対象鉱区
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第 2 節 サハ リン Ⅰの概要 と動 向
【 開発主体 :プ ロジェク トオペ レー ターはエ クソン】
サハ リン lは、ロシア と SODECO ( 1 996 年 3 月、サハ リン石油ガス開発㈱ ‑新 soDEC O l
となる) との共同開発 プ ロジェク トであったが、原油の多いアル ク トウン ・ダギ鉱床 の追 加、エ クソン ・ネ フテガス ( プ ロジェク トオペ レー ター)の参加な どを経て 1 995 年 6 月 「 生 産物分与協定」が結ばれ、現在 、このプ ロジェク トは、ロシア側か ら地元企業のサハ リン ・ モ ルネ フテガス とロスネ フテ ィ ・サ‑ リンの 2社が加わった形態 となってい る。
【 鉱 区の特徴 】
サハ リン I プ ロジェク トの鉱 区は、チャイ ヴォ鉱床、オ ドプ ト鉱床、アルク トウン ・ダ ギ鉱床 である。 .この うち、チャイ ヴオ鉱床、 ( 主 としてガス)、オ ドプ ト鉱床 ( ガス、石油) については、1 98 3年までに 22本 の試掘を行い、埋蔵量が確定 している。 しか しなが ら、
9 3年 1 1月に新たに追加 されたア/ レク トウン ・ダギ鉱床 については埋蔵量が確定 されてい ないで このため、96‑97 年に、アル ク トウン ・ダギ鉱床で 4 本の井戸の掘削 ( 97 年 3 本) を行い、併せ てアルク トウン ・ダギ鉱床 とチ ャイ ヴォ鉱床で地震探鉱 を実施 してい る。3 本の試掘結果に よると、 1 本の井戸で、原油、ガスの埋蔵が確認できなかった ことが分か っている。 .この点については、 ロシア側で もかねてか ら油層がない とい う評価 を行 ってお り、 コン ソー シアム側 も全体の埋蔵量に関す る評価 を大きく変 えるものではない と指摘 し てい る。 、ア/ レク トウン ・ダギ鉱床 における埋蔵量確認作業は、今年 も引き続 き行われ る。
【 鉱 区の開発順序はアル ク トタン ・ダギ鉱床の開発 を先行】
プ ロジェク トオペ レー ターであるエ クソン社は、原 油の生産が見込 まれ るア/ レク トウ ン ・ダギ鉱床J )油層開発 を先行 させ、次いで主 としてガスを埋蔵す るチャイ ヴォ鉱床、 さ らにこの 2 床か ら離れているオ ドプ ト鉱床 を開発す る予定 としている0
埋蔵量が未確認 のアル ク トウン ・ダギ鉱床 の開発 を先行 させ る理 由は、 この鉱床が最大 の埋蔵量を持 っているので、投資効果の面か ら先行 させ ざるを得ないためである。 また、
チャイ ヴォ鉱床がガス、オ ドプ ト鉱床が石油 とガスの鉱床であ り、ガス需要 との関係か ら
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