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J・C・C・マックキンゼイ﹁ゲじムの理論序説﹂
匂.Oρ嵐︒国一蕊①ざH暮3皆o島8ε夢①亭8曙9αq曽日㊦︒︒︒
2①白団o﹃ぎ冒︒O冨辛口已ヒロ8犀○︒巳鵠曙鳴︒β一〇誌.娼㍗メ+G︒コ
武隈良一
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最近維濟理論にゲームの理論が取入れられるようにな
り︑この理論に封一する關心が急に高まつている︒この
機会にゲームの理論を一通り咀囎しておくことは有意
義なことではあるが手頃の書物がない︒尤もq・<o胃
屠魯暴嘗どρ臼︒韓蚤Φ導による罠8芝︒h
撃B①ロoβ脅ΦoOβO影ざびΦ冨ユ93ゆ昌騒.o働.(H㊤ト司)なる
書物はあるが︑彪大すぎて讃破する閑がないといつた歌
態である︒数学を專攻した入費なくとも讃み易いもつと
手頃な書物はないかと期待されるのであるが︑.マックキ
ンゼイの書物はまさにこの要求に答えるものである︒・
原書は新制大学及び大学院学生のための教科書として 書かれたものである︒從て高度の数学知識を要求してお
らない︒微分積分学の初歩の知識さえあれば十分である︒
行列のことや︑分布函数スティールチェス積分なども詳読
されてあるので初学者にも難解なことはない︒
読明の仕方は先す具燈的例から始まつて一般の定理へ
と導かれているのでいわば素人向きの解読である︒各章
の絡りには歴史的註と参考文献が掲げられてあるので進
んで学ぶ者にとつては好都合である︒演習問題も附加さ
れてあるのでゆつくり学脅することが出來る︒
著者マ噸クキンゼイは加州スタンフォード大学の哲学33科教授として古くから論理学を專攻し︑最近はゲームの4
J・C・C・マックキ.yビイ﹁ゲームの理論序説﹂
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噂
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商學討究第四巻第三號
理論に關する業蹟を獲表している︒
本書の紹介に際しては全燈を概観的に述べるといつた
方法はとらない︒それは殆んど無意味なことである︒そ
れ故今はその前孚だけを可成詳細に述べて見ようと思
う℃原書を見なくとも本紹介だけで可成の鮎まで理解で
きるようにというのが實は狙いである︒後牛については
後日た譲る(小樽商大人文研究︑第八輯︑一九五四年七
月嚢行︑に掲載の豫定)︒
第一章矩形ゲーム
一︑序︑本書は方略宏育暮oσq望)のゲームの鍛学的理
論を取扱うものである︒方略のゲームのうち室内で行わ
れるものとしては︑チェス︑ブリッジ︑ポーカー等がある︒
各人は互に出抜こうと工夫をこらすのであるが︑これと
同様に︑封立利害(8β濤︒試聲σq言酔亀$訂)があつて得
謡(o賃酔ooBo)が爾方の側から統制されるような場合に
は︑ゲームの理論を一般に適用することが出來る︒経濟
学︑就会学︑政治学︑軍嘉学の問題で蜀.立情勢に關する
ものは非常に多いので︑ゲームの理論は一暦その重要性
を増すといえよう︒
實際問題としては︑偶然(9碧8)が働く場合が多 い︒例えぱカー下の配られ方︑軍事作職に於ける天候等
は偶然に支配されるものであるが︑偶然の加わる問題は
本書に於ては取扱わないととにする︒方略のゲームと偶
然ばかりのゲームとの差異は前者に於ては知性と技術を
振舞うことが出來るが後者に於ては全然使えないことで
ある︒
ポーカーやチェス丈ならば軍なる遊戯としてつまらな
いかも知れぬが︑費買に始まる経濟行動を考慮するとす
ればゲームの理論は経濟理論に於て必須である︒ロビン
ソン・クルーソーの問題は︑軍一の個入と自然との間に
演ぜられるゲームであり︑二人以上の枇会に於ける維濟
行動は︑それらの人々の蘭に行われるゲームである︒
ゲームの理論は二十年程以前にノイマン(白oげ昌くo口
寝o昌目碧口)によつて始め隔て導かれたものである︒在來の経濟理論に於ては︑極大及び極小を見出すのに︑解析
学を用いたのであるが︑彼は方略の室内ゲームと同じ理
論で極大と極小を求める方が一暦適切であると述べた︒
経濟理論へのこのアプローチはその後敏学者並に経濟学
者にょつて行われてきた︒
二︑術語とゲームの分類
用いる語の意義を明らかにしておこう︒先づゲーム
■
●
137
﹁チェスは將棋よりも難かしいゲームである︒﹂などと
いう︒遊びといつたらゲームの規則と協定に從つて行わ
れた個々のものをいう︒例えば﹁昨晩はチェス(のゲー
ム)を三回遊んだ﹂などということにして﹁昨晩チェス
(の遊び)を三回遊んだ﹂とはいわないことにする︒
一回の遊びに於て生する各々の場面を段階ρ暮oぐo)と
いう︒從て各段階に於ては競技者(覧曙05は様々な手
(鈎崔o§暮才①)のうちから一つの手を選び出すのである
が︑これを手の選繹(oげoざ①)という︒例えば﹁ブラッ
クは十番目の段階で︑すばらしい選揮により勝った﹂な
どという︒拷o︿oには差し手と駒を動かすという意義が
あつて︑手と選揮を爾方ともに意・味するのでこΣでは明
確に三者の匹別をしておくのである︒
ゲtムは先す競技者の敏によつて分類される︒一入ゲ
ーム︑二人ゲーム等々と︒但し何人かが組んでいる場合
は一人と見なされる︒例えばブリッジは四入で遊ぶが︑
南北と東西とが組むとき二人ゲームである︒
遊びの絡りに於ては一般にゲームの規則により金鏡上
の支挑(娼3舅①馨)がなされる︒もつとも輩に記録 〆
(σq蟄冨①)と遊び(覧ξ)との匠別であるが︑ゲームとい囎濁(・︒︒︒目Φ)をとつたり︑勝(白︒昌)又は負(H︒︒︒酔)と判
つたら誓籔する規則と協定の饗呈いう.例羨礎するだけの場ム︑もあるが︑こきは轟といつたら金
J.C・Cマックキyゼイ﹁ゲームの理論序説﹂ 臓額(看・巳βoh目83)を意味するものとする︒
さてn人ゲームがあつて︑その競技者をP‑︑島︑・:⁝
P︑とし遊びの絡りに於てR︑になされる支佛を恥とす
る︒このとき鰭が支梯わねばならぬとせぱ恥は負なる
ものとする︒然るときもしも
図悼110
一町一
ならば︑この遊びは零和(N①NOーロ駐dr白)であるという︒そ
してゲームのすべての遊びが零和ならばゲーム自身を零
和という︒普通の室内ゲームに於ては遊びの進行に於て
富がつくられたり減らされたりすることはないので︑金
鈍を賭けた場合に零和である︒しかし非零和ゲームは非
常に重要である︒というのはゲームの理論に於て経濟過
程のモデルを探そうとすると︑非零和ゲームを考えなく
てはならないからで︑それは経瀕過程は富をつくつたり
減じたりしているからである︒
ゲームはまた段階の敏によつて分類される︒しかし多
くのゲームに於てはこの数は一定ではない︒段階の敷が
有限であり︑各段階に於ける手の敏が有限のとき︑その
商學討究第四巻第三號
を有限ゲームといΣ︑然らざるとき無限ゲームと
にゲームを情報の分量(蟄日8暮Oh旨hOH基菖05)
て分類する︒チェスのように封手が如何なる手を
か︑過去の選揮がみな分るものもあるし︑ブリッ
うに如何なるカードの他の人に渡つたか分らない
やある︒然し同じブリッジでも最初にだけカードを
うことにすれば情報の分量が攣って別なゲームに
矩形ゲームの定義
一人ゲームは一人が零しか獲得しないので問題は
また非零和一人ゲームは一人の競技者が普通の極
を解くことになるのでこれもさしたることはな
て二人ゲーム以上について考えよう︒
こ人零和ゲームについて考える︒いま各競技者は
の段階しか持ち得ないものとして︑{人の競技者
の正整激の中から一つを選び︑次にそれを知らさ
となくして他の競技者がn個の正整敏の中から一
ミぶ︒そして爾方の整数を比較して︑ゲームの規則
支佛がなされるものとする︒か﹂るゲームを矩形
(目oo言5磐智目讐葺⑦)という︒ 例えば次の表により競技者Lが(ド鵠・coVの中から一
つを選び︑これを知らされることなくして他の競技者が
(昌﹄・Go.鮮)の中の一つを選ぶ︒そして爾方の欄を辿つ
て得られ.る数がP州がR.に支佛う金額である︒
H卜●
二・・ ω"
同冒目
・︒一︒一‑二HM
・・一‑三よ‑二H
例えば疏がーを選び︑P﹃が3を選ぶと︑鳥はLに10弗
支梯わねばならぬ︒Lが3を選び乳が2を選べぱL︑は
P﹁に与弗︑即ちR.はP甥に5弗支佛わねばならぬ︒
簡翠のためにこのゲームを軍に︑利得行列(娼曙o臨
居暮昌凶)
薦 口⁝ 匪
を與之ることによつて表わそう︒
そこで問題となるの滋︑矩形ゲームを遊ぶのに最適の(o娼萬冨旦)の方法があるか即ち爾者を満足せしめる鮎
'
'
尋
︑
139
︑ があるかということである︒今の例ならばR■がーを選
ぶことが最適であり︑乳は2を選ぶことが最適であるか
ら問題は解決される︒然しこの例では第1行(同o嵜)の
元が他の行のそれに封恋する元よ少も大きく︑叉第2列
(8ぼ日昌)の元が他の列のそれに封懸する元よりも小
さいという特別の性質があつたから解決されたのである
が︑一般には如何にこれが解決されるであろうか︒
四︑鞍瓢を有する短形ゲーム・ノ
∴ 霧 継 .
を利得行列に有す菊矩形ゲームを考えよう︒P﹁がーを選
ぶならば少くとも第1行の元の最小値の支彿を鳥から
受ける︒即ちその値は冨}昌"︑﹄である︒一般にi行を
選ぶならば少くとも塁唱瀞この支佛を受けることは確か
である︒その上目場9二を最大ならしめるように選ぶこ
とが出來る︒そこで勲は少くとも
一β蟄図]Bμ昌"二
一﹄
J・C・C・マッグキyぜイ︻ゲームの理論序設﹂ を確保する選揮のあることは間違いのない塵である︒
同様にして︑鳥の受ける支彿はAの元の符號を攣えた
ものであるから︑馬は少くとも
B卸図]BHロー2U
U"
を確保する選揮のあることは間違いのない庭である︒
さて著図混"童".昂護即図‑︹著層僧・じ
ロノー‑1一BH昌§蟄自瀞ごU﹄
なるを以て︑馬は少くとも1目男裾擁9ごを得ること
は確かである︒從て耳.は多くとも冒唱日瑠卸凶﹄しか得
られない︒
以上を綜合すれば︑Lは少くとも岩噌国目}口欝り﹄を得る
ことは確かであるが︑鳥は日唱謂帥図欝一︑以上には取ら
れないというのである︒
盧でいま諺図混昌蟄二"謁昌嶋図魯.﹄H<⁝⁝(昌)が
成立するときは︑爾者はともに異存なく︑最適の方法が
見出されたことになる︒然し行列Aに於てはつねにこの
等式が成立するとは限らない︒そこでこの等式が成立す