NII-Electronic Library Service
真
言
宗
智
山
派
に
お
け
る
教
化
活
動
と
し
て
の
阿
字
観
小
山
龍
雅
N工工一Electronlc Llbrary Servlce
真 言宗智 山派における教化 活動 と して の阿字観 (小 山)
は
じ
め
に
平 成 十 二年
度
に墓
言 宗 智山
派
の 教 化年
次
テ ー マ と し て 阿 字 観 が 取 り 上 げ ら れ た の を 機 に 、 檀 信徒
を 対象
と し た 阿字
観
作
法 で あ る 『 阿 字 観作
法
』 が 発 行 さ れ 、 檀 信徒
に 阿 字 観 を 指 導 す る 教師
の 研 修機
会 と し て 「 阿 字観
指
導
者 養 成講
座 」 が 開 設 さ れ る よ う に な っ た 。 そ れ ま で 本宗
に お け る 阿字
観
と い え ば 、次
第 と し て 『作
法
集 」 に収
め ら れ た 「 阿字
観
略 作 法 」 ( 下 巻 ・ 八 一 頁 ) があ
る も の の 、 教 師 の 阿 字観
研
修 機会
と いう
点 で は、 本宗
の 教 師 資 格 取得
の た め の 所定
の行
位 、教
育 の 中 に 阿 字観
の伝
授
、 教育
は 組 み 込 ま れず
、 自 ら が 阿字
観
を 意 識 し な い 限 り 阿 字 観 に 接 す る機
会 は な か な か 得 ら れ な か っ た 。 つ まり
、大
切 な 作 法 で あ る と認
識
さ れ て は い る も の の 、 実際
に 実修
す る と な る と な か な か手
に お え な い と い う 状 況 で あ っ た 。 こ の 状 況 は 、 例 え ば 、 御詠
歌 を お唱
え し た こ と が な い 、 御詠
歌 に 接 し た こ と の な い 教 師 が 教化
活
動 に 御 詠 歌 を取
り 入 れ る こ と が で き な い の と 同 じ よう
に 、 教 化活
動
に 阿宇
観 を 取 り 入 れ る こ と の 困難
さ を も の が た っ て い る 。 そ の 状 況 を 、 智 山 教 化 セ ン タ ! が お こ な っ た 本宗
の 阿字
観
に 関 す る調
査 ( 『 年 報 』 三 号 ・ 一 五 二 ) に 見 る と 、 平 成 九年
の 段 階 で 檀 信徒
を 対象
に 阿字
観
を行
っ て い る と答
え た宗
内 の寺
院 ・ 教会
は 十 一 力寺
。 さ ら に 、 そ の 寺 院 を 対 象 一187
一NII-Electronic Library Service 智 山学報第五 十一輯 に 平
成
十 一年
に 行 っ た 追 跡 調 査 の 結 果 で は 、 実質
的 な活
動 を 運 営 し て い る寺
院 は ニ カ寺
に す ぎ な い と いう
実 状 で あ っ た 。 そ こ で 本 稿 で は 、 そ の よう
な 実 状 に あ っ た 平 成 十 二年
度 以 前 の 本 宗 の 阿字
観 を 「 次第
」 と 「 教化
資料
」 か ら ふ り か え り 、 次 い で 、 平 成 十 二年
度 に 教 化年
次
テ ー マ と し て 阿 字 観 が取
り 上 げ ら れ た の を機
に新
た に 始 ま っ た 、 阿 字 観 の 研 修 会 が 本宗
教 師 に 何 を も た ら し た の か を 、 阿字
観 研 修 会 参 加 者 を対
象 に 実 施 し た ア ン ケ ー ト 結 果 を紹
介 す こ と で 報 告 し 、 本宗
の 教 化 活 動 と し て の 阿 字観
の 現 状 を み て み た い と 思 う 。 一次
第
の
な
か
の阿
字
観
「 阿 字観
略
作
法 」 は 『作
法
集 』 下 巻 ・ 八 一頁
に お さ め ら れ て い る 。現
在使
わ れ て い る 『 作 法集
』 は、平
成 九年
十 】 月 十 九 日 に 「第
六 十 七 化 主隆
敬晋
山 記念
」 と し て 総 本 山 智 積 院 よ り 発 行 さ れ た も の で あ る が 、 『 作法
集 』 そ の も の の 成 立 過 程 に つ い て は 、 布施
浄慧
先
生 の 論文
に 以 下 の よ う に 解説
さ れ る 。 「 三 宝 院 流 報 恩 院方
( 幸 心 流 ) に伝
わ る 作 法集
は 、 逓 智 院 成賢
(=
六 ニ ー 一 二 三 一 ) の 編纂
し た も の を更
に幸
心 流 々 祖 憲 深 (=
九 ニー
= 一 六 三 ) が増
補 し て 五 十 四 帖 に 集 成 し た も の で あ る 。 そ の 後 そ の 中 の行
法
次第
す ら も 現 実 用 い ら れ る 機 が 減 っ た り 、 必 要 に せ ま ら れ て 他書
に あ る も の を 摂 り 入 れ た り す る 方法
な ど が 行 わ れ 、 行 法数
の 増 減 や 、 行法
目 的 種 類 の 出 没 が あ っ て今
日 迄受
け 継 が れ て 来 た 。 」 ( コ ニ 宝 院 流 報 恩 院 方 相 承 『 作 法 集 』 本 文 と 口 訣 書 の 資 料 対 照 及 加 注 ω 」 『 佛 教 文 化 論 集 第 六 輯 』 川 崎 大 師 教 学 研 究 所 編 一 五 〇 頁 。 ま た 「 作 法 集 の 研 究 」 『 佛 教 文 化 論 集 第 一 輯 』 四 五 頁 に は 、 前記
作法
集 成 立 の 過 程 の ほ か 、 さ ら に 二 、 三 の 『 作法
集 』 成 立 の伝
統
的 定 説 を紹
介
さ れ て い る 。 ) そ し て 、 収 め ら れ た 作法
に つ い て 、 同 じく
前 記 「 作 法 集 の 研究
」 に お い て 、 勝賢
の 『 秘鈔
』 と 、 成賢
、 憲 深 の 『作
一188
一 N工工一Electronlc LlbraryNII-Electronic Library Service 真言 宗智 山派における教化 活動 として の阿 字観 (小 山〉
法
集
』 、 本宗
発 行 の 二 つ の 『作
法集
』 ( 昭 和 三 十 一 年 版 、 昭 和 四 十 一 年 版 ) の 内 容 の 同 異 を 示 し次
の よう
に 述 べ る 。 「 現 流 の 二 本 中、 最 初 の 昭 和 三 十 一 年 版 の作
法 集 を見
る に 秘 鈔 と 正 本 の作
法
集
と較
べ る と 、 大部
内 容 を 異 に し て い る こ と が わ か る 。 秘 鈔 に収
録 さ れ た も の を 取 り 入 れ た 作 法 は 、僅
か 六 法 に 過 ぎず
、 正本
作法
集 の作
法
に 収 め ら れ た 十 法 を こ こ に 移 し 、 そ の他
の作
法 は抜
次 第 。 十 結等
随
所 よ り 引き
出 た 三十
二 法 を 加 え 、 合計
五 十 三法
の 内 容 と し て い る 。 ま た 最新
の 作 法 集 で あ る 昭 和 四 十 一年
版
の も の を 同様
見 る に 、 作 法 の 数 は 全 体 を 三 十 五 法 と 減少
さ せ 、 そ の 殆 ん ど が 昭 和 三 十 一 年 版 の 中 よ り 抽 出 し 、 現在
最 も行
わ れ る 行 法 を 中 心 に 編 じ た 意 図 は 明 ら か で あ る 。 即 ち 、 三 十 五行
法 中実
に 二 十 六 法 を 取 り 入 れ 、 残 る 九法
を 先 行 の 秘 鈔 、 正 本 作 法 集 よ り 受 け継
い で い る 。 」 そ こ で 、 こ こ に 示 さ れ た内
容
同 異 か ら 「 阿 字観
略 作法
」 に つ い て 見 る と 、 「 秘鈔
』 、 正本
『作
法集
」 に は 「 阿 字観
略作
法
」 は収
め ら れ て お らず
、 昭和
三 十 一年
版 、 昭 和 四 十 一 年 版 の 『 作 法集
』 に の み 収 め ら れ て い る こ と が わ か る 。 と いう
こ と は 、 「 阿 字 観略
作 法 」 は 「 必 要 に せ ま ら れ て 他 書 に あ る も の 」 か ら 摂 り 入 れ た 作法
で あ り 、 「現
在 最 も行
わ れ る 行 法 」 と し て 「 抜 次 第 。 十結
等 随所
よ り 引 き 出 た 」 作 法 と し て 昭 和 三 十 一年
版
の 『 作 法 集 』 か ら取
り 入 れ ら れ た作
法 と いう
こ と に な る 。 つ ま り 、 昭和
三十
一年
に は 、 本宗
に お い て 「 阿字
観
」 は 「 必 要 で あ り 」 「 最 も行
わ れ る 行法
」 で あ る と 認 識 さ れ て い た の であ
る 。 と こ ろ で 、 『 作 法集
』 に収
め ら れ た 「 阿 字観
略
次
第
」 に つ い て は 、 か ね て よ り そ の 誤 植 が多
く の方
よ り指
摘
さ れ て い る が 、 高井
観
海 能 化 が 著 さ れ た 「 密教
事
相 大系
』 の 「 切 紙 」解
説 、 「禅
観 略作
法 」 の 項 を み る と 、 「密
教 の 観行
は 金 胎 の 大 法 を 初 め 十 八 道 、 そ の 他 七 支 、 五 支 念 誦等
種 々 あ り と い へ ど も 、所
詮
こ の 阿字
観
の廣
略 に他
な ら な い の で あ る 。 従 っ て こ の観
法 の 次第
口 決 は 諸 流 に 亙 り て 、 百 数 十 種 あ ら う と いう
の で あ る 。今
こ の次
第
は奥
書
に 依 り て 一189
一 N工工一Electronlc LlbraryNII-Electronic Library Service 智 山学 報 第五十 一輯 見 れ ば 、
寛
順 僧 正 は 檜 尾 記并
に 勝 覚 の 阿 字観
等 に 依 り て 略 作 法 を作
ら れ た の で あ る 。 」 と 記 さ れ 、 『 作法
集
』 に 収 め ら れ る 「 阿 字観
略 作法
」 と ほ ぼ 同 一 の 「 禅観
略 作 法 」 が 示 さ れ て い る 。 そ こ で 、 『作
法
集
』 の 「 阿字
観 略 作 法 」 と 切紙
の 「 禅 観 略作
法 」 と の相
違 を 対 比 す れ ば 次 ぎ の よう
に な る 。 ( 点 注 筆 者 ) ・ 『作
法 集 』 「 阿 字 観 略 作法
」 ( 八 + 二 頁 ) 「 五大
願 」 「法
門 無 辺 なり
誓
願 し て覚
せ ん 」 切 紙 「 禅観
略 作 法 」 「 法 門 無 辺 なり
誓
願 し て 学 せ ん 」 ・ 『作
法 集 』 「 阿 字 観 略 作法
」 ( 八 + 二 頁 ) 「 五大
願 」 「 如 来 無 辺 なり
誓
願 し て事
え ん 」 切 紙 「 禅観
略 作 法 」 「 如 来 無 辺 なり
誓
願 し て 仕 え ん 」 ・ 『 作 法集
』 「 阿 字 観 略 作法
」 ( 八 十 四 頁 ∀ 「法
界
定印
入禅
観
」 ( ※ こ の 箇 所 が か ね て よ り 誤 植 が 指摘
さ れ て い る 箇所
で あ り 、 こ れ は 明 ら か に 誤 植 で あ る と 思 わ れ る 。 ) ロ リ 「 こ の 時 眼 を細
く 開 き、 鼻端
の 浄 月 を 守 り 、 舌 を ア ギ ト の 問 に付
け て 輪 三 口少
し く 開 い て 浄 月 の 気息
綿
々 微 々 と し て 之 を 出 入 し 、月
昧 に 入 る 、 一 座 の終
り に 入 我 我 入 観 あ り 」 切紙
「 禅観
略 作 法 」 コ 「 こ の 時 眼 を細
く 開 き、 鼻端
の 浄 月 を 守 り 、 舌 を ア ギ ト の 間 下歯
内 程 に 付 け て 口 少 し く開
い て 浄 月 の ロ気
息 綿 々 微 々 と し て 之 を 出 入 し 、 月 輪 三昧
に 入 る 。 一 座 の 終 り に 入 我 我 入観
あり
。 更 問 」 一190
一 N工工一Electronlc LlbraryNII-Electronic Library Service 真言 宗智 山派における教化活動 とし ての阿字観 (小 山)
二
教
化
資
料
のな
か
の阿
字
観
平
成 十 二 年 度 以前
の 本 宗 教化
資
料
で 「 阿字
観
」 を取
り 上 げ た も の に 「 こ れ か ら の寺
院 行事
』 ( 昭 和 四 十 七 年 二 月 二 十 一 日 発 行 ) が あ る 。 『 こ れ か ら の寺
院 行事
』 で は 行事
を 「報
恩 の 行 事 」 「 祈 願 の 行事
」 「廻
向
の行
事 」 = 生 の行
事
」 「研
修
の行
事
」 と に 分 け 、 そ れ を さ ら に 「 仏 に 関す
る 行事
」 ( 「 報 恩 の 行 事 」 「 祈 願 の 行 事 」 「 廻 向 の 行 事 」 V と 「自
己 に 関す
る 行事
」 ( ⊃ 生 の 行 事 」 「 研 修 の 行 事 」 ) と に 分 け て そ れ ぞ れ の 行事
を 解 説 し て い る が 、 こ の 中 で 阿 字 観 は 、 「 第 二 章行 事 の 解 説 第 二
節
自 己 に 関 す る 行 事
2
研 修 の 行
事
」 と し て 紹介
さ れ て い る 。 こ の 「 自 己 に 関 す る 行事
」 と し て の 「 研修
の 行事
」 と は 、 「 自 己 の 内 な る 仏 性 の 開 顕 を め ざす
た め の行
事
で あ る 。 」 と さ れ 、 「密
教寺
院 の 行事
と し て は よ り 基 礎 的 で あ り 、密
教 教 理 の 修 証 の 場 で も あ る 。 」 と位
置
付
け ら れ 、 同 じ よ う な 研修
と し て 「 写 経会
」 「法
話
会 」 「 法 輪 会 」 「 団参
」 「 信 仰 ・ 生 活 相 談 」 が 取 り 上 げ ら れ て い る 。 こ こ で 阿 字観
は 、檀
信
徒
教 化 に取
り 入 れ る た め に 、 そ の 「 意 義 」 「 目 的 」 「 準備
」 「 プ ロ グ ラ ム 」 「留
意 点 」 と に 分 け 丁寧
に解
説 さ れ て い る 。 特 に 留意
点 に お い て 「檀
信
徒
が い つ で も ( 阿 字 観 を ) 実 修 で き る よう
、 常 設 の 道 場 を 用 意 す る か 、 毎 月 日 をき
め て 行う
等
の 方法
を考
え る 。 」 と い う 提 言 が な さ れ 、 こ れ か ら の寺
院行
事
に 阿 字 観 を 取 り 入 れ て い こう
と す る 意気
込 み が み て と れ る 。 こ れ は 『 こ れ か ら の寺
院 行事
』 発行
当
時 の 本宗
教
化
が 、 「 つ く し あ い 運 動 」 の も と 活 性期
に あ っ て 、 さ ま ざ ま な 寺院
活
動
が 模 索 さ れ た 結 果 と い え る か も し れ な い 。 こ の よう
に 、 「 つ く し あ い 運 動 」 と いう
教 化 活動
の も と 、 『作
法 集 』 が 発行
さ れ た 昭和
三 十 一年
に 続 き 、 昭和
四 十 七年
に は 再 び 、 本宗
に お い て は 「 阿 字観
」 の 必要
性 、 特 に 檀 信 徒 教 化 に 取 り 入 れ る 教化
活動
と し て の 阿字
観 の 重 要 性 が 認 識 さ れ て い た 。 一191
一 N工工一Electronlc LlbraryNII-Electronic Library Service 智鐵学報第五十一輯
三
本
宗
教
師
に
と
って
の阿
字
観
以 上 、平
成 十 二 年 度 以 前 の 本 宗 の 阿 字 観 を 「次
第
」 と 「 教 化 資 料 」 か ら ふ り か え っ た わ け で あ る が 、 次 第 、 資 料 が 発 行 さ れ た そ れ ぞ れ の 年 に は 阿字
観
の 必 要 性 、 重 要 性 が 認 識 さ れ て い た に も 関 わ らず
、 そ の 後 の 本宗
の 阿字
観 に 対 す る取
り 組 み 、 本宗
寺
院 の 教 化活
動
へ の 阿字
観
の 取 り 入 れ に つ い て は 鬪 頭 で み た と お り で あ る 。 そ こ で こ こ で は 、 実 際 に 阿字
観
を実
修 し、 阿 字 観 を 教化
活 動 に 取り
入 れ る 、 本宗
教
師
の 阿 字 観 に 関 す る 認 識 の 現 状 を み て み た い と 思う
。 ま ず 、平
成 卜 二 年 七 月 に 実 施 さ れ た 総 合 調 査 で は 、 次 の よう
な 調 査結
果 で 明 ら か に な っ て い る 。 「 阿 字観
に 関 す る 項 冒 」 で 本 宗 教 師 の 阿 字 観 に 関 す る認
識 が 阿 掌 観 儀 授 に つ い て ( サ ン プ ル 数 鳳 二 八 ご 。 「 伝 授 さ れ た 」 四 三 、 一 % 。 「伝
授
さ れ な い 」 五 四、 翅%
。 こ の 「 伝 授 さ れ た 」 の 中 に は 、 平 成 十 二年
四 月 の 阿 字観
伝 授 会 と 阿 字 観指
導
者養
成
講
座 に参
加 し た 教 師 も 恐 ら く 含 ま れ て い る と 思 わ れ る の で 、 教化
年
次 テ ー マ に 阿 字 観 が 取 り 上 げ ら れ る 以 前 の段
階
で は も っ と 少 数 で あ っ た こ と が 予 測 で き る 。 阿 字 観 を 実 施 す る 頻 度 に つ い て 。 ( サ ン プ ル 数 九 八 四 ) 「 い つ も 行 う 」 四、 二 % 。 「 時 々行
な う 」 二 五 、 八 % 。 「行
な わ な い 」 六 九 、 五%
。 阿字
観
を伝
授 さ れ た も の の そ の後
に 奚 践 す る教
師 は お よ そ … 諜 割 で あ る 。 こ の こ と は 阿 字観
を 行う
た め の に紜
授 を 一192
一 N工工一Electronlc LlbraryNII-Electronic Library Service 受 け る と い
う
よ りも
、 阿 字 観 の伝
授 を 受 け る こ と が 目 的化
し て い る と 解 釈 で き る 。 阿 字 観 の必
要
性 に つ い て 。 ( サ ン プ ル 数 一 一 一 四 一 ) 「 必 要 と 思 う 」 七 四 、 六%
。 「 必 要 と 思 わ な い 」 一 一 一 、 六%
。前
項
の 調 査結
果 とあ
わ せ る と 、 阿 字 観 は 「 必 要 と 思う
け れ ど 、 実 際 に は な か な か 行 え な い 」 と いう
教 師 の姿
が 浮 か ん で く る 。N工工一Electronlc Llbrary Servlce
真言 宗智 山派における教化 活動 として の阿字観 (小 山) こ の
結
果
を み る と 、 「 必 要 と 思う
け れ ど 、 実 際 に は な か な か行
え な い ( 行 わ な い ? ) 」 と い う教
師
の苦
悩
に は 、 阿 字観
が 、 例 え ば加
行 の よう
に 、印
や墓
言 、 所 作 を修
得 し て 、次
第
を 追 っ て い け ば す む と い う も の で は な く 、観
法 ( 瞑 想 ) と い う 特殊
な も の ( 活 動 ) で あ る と い う 問 題 が大
きく
関 わ っ て い る と考
え ら れ る 。 そ こ に は、 何 を観
る の か、 ど の よ う な 精神
状態
に な る の か 、 な ど と い っ た 言 葉 で は説
明 し に く い 要 素 が 含 ま れ る 。 だ か ら こ そ師
資 相承
が 大 切 であ
る と 言 わ れ る の だ ろ う 。自
ら が 修 し た観
法
の様
子 、観
た こ と 、 観 じ た こ と を 、 阿 闍 梨 に 伝 え て指
導 を受
け る の が真
言
密 教 の精
神 世界
、 本 来 の姿
な の で あ ろう
。 だ か ら 、 こ の よう
に 一 回 か ら数
回 の 伝 授 や 研修
で 、 阿字
観
を 修 す る確
信
が 得 ら れ な い教
師 が 多 い の だ ろ う し 、 だ か ら こ そ前
記 の よう
な 研 修 者 の苦
悩 が ア ン ケ ー ト か ら 見 え て く る の で あ ろう
。 こ の よう
な 現 状 の 中 で 、 平成
十 二 年 度 の教
化
年次
テ ー マ を受
け て 設 け ら れ た 阿 字観
の 研 修 機会
は次
の と お り で あ る 。 阿字
観
伝
授会
( 平 成 + 二 年 四 月 二 十 日 実 施 ) 教師
総 合 研修
会 第 五 分 科 会 ( 平 成 + 二 年 六 月 入 日 実 施 ) 一193
一NII-Electronic Library Service 智 山学 報 第五十 一輯 阿 字
観
指 導者
養
成 講 座 第 一 回 ( 平 成 + 二 年 六 月 二 + 八 日 実 施 ) 阿 字観
指 導者
養
成 講 座 第 二 回 ( 平 成 + 二 年 九 月 七 日 実 施 ) 教 区 講 習 会 … … 六 教 区 実 施 教 区 教 化 研 究会
… … 八 教 区実
施
檀 信徒
教 化推
進
会議
… … 九 教 区 実 施N工工一Electronlc Llbrary Servlce
宗 派 が 主 催 し た 阿
字
観 伝 授会
、 教 師 総 合研
修 会 、 二 回 に わ た る 阿 字観
指導
者
養 成 講 座 に は 、 の べ 二 百名
に お よ ぶ 教 師 が受
講 し た 。 一年
聞 に こ れ だ け の 教 師 が 阿 字観
を 受講
し た の は 、 こ れ ま で に も 例 の 無 い こ と で あ り 、 教 化 年次
テ ー マ で 阿 字 観 を取
り 入 れ た 成果
の 一 端 と言
え る だ ろう
。 し か し 、 前 記 の 如 く 一 回 か ら 数 回 の 伝 授 や 研修
で 、 阿字
観
を 修 す る 確 信 が得
ら れ な い 教師
に こ の よう
な 数 回 の 阿字
観
研修
は 何 を も た ら し た の だ ろ う か ? こう
し た 研修
機
会 は 、 檀 信 徒 教 化 の ひ と つ の あ り 方 と し て の 阿字
観 を 研修
す
る 場 で あ る か ら 、 研修
機会
を 開 催 し て参
加 者 が 多 く て 良 か っ た 、 と い う こ と で片
づ け ら れ る 問 題 で は な い と 思 わ れ る 。 こ れ ま で に な い 研 修 テ ! マ であ
り 、 阿字
観 が 檀信
徒
教 化 と し て 教 師 に 認 知 ・ 浸 透 し て 、 は じ め て 、 成 果 が 現 れ た と い え る の で は な い だ ろう
か 。 そ の た め に も 、 こ の 年 度 の 研修
が 教 師 に何
を も た ら し た の か 、教
師 が 何 を感
じ意
識 し た の か を 探 り 、 今後
の 教化
推
進 の 一 助 と し な け れ ば な ら な い 。 そ こ で 、 平 成 十 二年
度
が 明 け て 間 も な く本
研 究 会 で ア ン ケ ー ト を 作 成 し 、 阿字
観
の 研修
機 会 の参
加 者 を 対 象 に し た 阿 字観
に 関 す る ア ン ケ ー ト 調 査 を実
施 し た 。質
問 項 目 は 以 下 の と お り で あ る 。 ( ア ン ケ ー ト は 参 加 者 名 簿 が 入 手 で き た 、 「 阿 字 観 伝 授 会 」 「 教 師 総 合 研 修 会 第 五 分 科 会 」 「 第 一 回 阿 字 観 指 導 者 養 成 講 座 」 「 埼 玉 第 一 教 区 教 化 研 究 会 」 の 参 加 者 を 対 象 に 実 施 し た 。 発 送 数 二 〇 九 。 対 象 数 一 九 八 。 回 収 八 七 。 回 収 率 四 三 % で あ っ た 。 ) 一 194 一NII-Electronic Library Service 真言宗智山派に お け る 教化 活動 と して の阿字観 (小 山〉 智 山 派 に お け る 阿 字 観 に
関
す る ア ン ケ ー ト ( 平 成 十 三 年 四 月 十 二 日 実 施 )年
齢 ()
才
・性
別
( 男 ・ 女 ) ・ 教 区 () 一 、 あ な た は、 こ れ ま で に 阿 字 観 に 関 す る ど の よ う な 研 修 機 会 に 参 加 さ れ ま し た か ?
当
て は ま る も の す べ て に○
を お 付 け 下 さ い 。 ア 、 阿字
観 伝 授 会イ 、 教 師 総
合
研 修 会ウ 、 阿 字 観
指
導
者養
成 講 座 工 、 阿字
観 指導
者 養 成講
座オ 、 教 区 講 習 会
力 、 教 区 教 化 研
究
会キ 、 そ の 他 二 、 こ れ ま で の 阿 字 観 の 研
修
機
会 を 何 で知
り ま し た か ? 当 て は ま る も の す べ て に ○ を お付
け 下 さ い 。 ア 、 宗 達イ 、
智
山 派 宗報
ウ 、 チ ラ シ エ 、 ポ ス タ ー オ 、
知
人 に聞
い て カ 、 そ の 他 三 、 昨 年 度 に智
山 派 が 発 行 し た 「 阿 字観
作
法
( 次 第 ) 」 に つ い て ご 意 見 を お 聞 か せ く だ さ い 。 ア 、 と て も 良 いイ 、 良 い
ウ 、 ふ つ う
エ 、
良
く な いオ 、
あ
ま り良
く な い カ 、 わ か ら な い 四 、 ご 回 答 い た だ い た 理 由 を具
体 的 に お 聞 か せ 下 さ い 。 五 、智
山 派 発行
の 「 阿 字 観指
導
法 」 に つ い て ご 意 見 を お 聞 か せ 下 さ い 。 一195
一 N工工一Electronlc LlbraryNII-Electronic Library Service 智 山学 報第五十 一輯 ア 、 と て も 良 い
イ 、 良
い
ウ 、 ふ つ
う
エ 、
良
く な いオ 、 あ ま り
良
く な い カ 、 わ か ら な い 六、 ご 回 答 い た だ い た 理 由 を 具体
的 に お 聞 か せ 下 さ い 。 七、 清 浄 体 操 に つ い て ご 意 見 を お 聞 か せ 下 さ い 。 ア 、 と て も 良 いイ 、 良 い
ウ 、 ふ つ
う
エ 、
良
く な いオ 、
あ
ま り 良 く な い カ 、 わ か ら な い 八 、 ご 回 答 い た だ い た 理 由 を具
体 的 に お 聞 か せ 下 さ い 。 九、 研 修 機 会 で の 阿 字 観 の実
修
指 導 に つ い て ご 意 見 を お 聞 か せ 下 さ い 。 ア 、 と て も 良 いイ 、 良 い ウ、 ふ つ う エ 、
良
く な い オ 、 あ ま り良
く な い カ 、 わ か ら な い十
、 ご 回 答 い た だ い た 理 由 を具
体 的 に お 聞 か せ 下 さ い 。 十 一 、 こ れ ま で の 研 修 機会
で の 実 修 ( 月輪
観 ・ 阿 字 観 ) に つ い て 具 体 的 に お 聞 か せ 下 さ い 。 ご 本尊
( 月輪
・ 阿 字 ) を 取 り 込 む こ と が で き ま し た か ? 一196
一 N工工一Electronlc LlbraryNII-Electronic Library Service 真言 宗智 山派にお ける教 化 活動と して の阿字 観 (小 山 ) ア 、 う ま く で き た
イ 、 だ い た い で き た
ウ、 良
く
で き な か っ たエ 、 よ く わ か ら な い
十
一1
一 、 ア 、 イ と お答
え の 方 に お 尋 ね し ま す 。 取 り 込 ん だ ご 本尊
さ ま を 大 き く し た り 、縮
め た り す る よ う に 、 イ メ ー ジ で き ま し た か ? ア 、う
まく
で き たイ 、 だ い た い で き た ウ、 良 く で き な か っ た エ 、 よ く わ か ら な い
十
一−
一 一 、 最 後 に ご 本尊
さ ま を も と に 返 す こ と が で き ま し た か ? ア 、う
ま く で き たイ 、 だ い た い で き た ウ 、 良 く で き な か っ た エ 、 よ く わ か ら な い
十
二 、実
際
に 阿字
観 を 修 し て ど の よ う な イ メ ー ジ や精
神
状 態 に な り ま し た か ? ア 、 す が す が し いイ 、 や す ら か ウ 、 ぼ ん や り し て い る
エ 、 精
神
が 研 ぎ 澄 ま さ れ た よう
オ、 違和
感
を 覚 え るカ 、 気 分 が 良 く な い
キ 、 そ の 他 十 三 、 あ な た は 現
在
、 清浄
体 操 を行
っ て い ま す か ? ア 、 い つ も行
っ て い るイ 、 と き ど き 行 っ て い る
ウ 、
行
っ て い な いエ 、 そ の 他 十 四、 あ な た は 現
在
、 阿字
観 、 又 は 月輪
観 を 行 っ て い ま す か ?197
一 N工工一Electronlc LlbraryNII-Electronic Library Service 智 山学 報第五十 一輯 ア 、 い つ も
行
っ て い るイ 、 と き ど き 行 っ て い る
ウ 、 行 っ て い な い
エ 、 そ の 他 十 五、 月 輪 観 ・ 阿 字 観 を 修 し て
何
か 疑 問 ・ 不 安 等 あ り ま し た ら お 書 き 下 さ い 。 十 六、 今 後、 阿字
観 に 関 す る 研修
機会
を 希 望 し ま す か ? ア、 希 望す
るイ 、 希 望 し な い 十 六
1
一 、 ア と お 答 え の方
に お 尋 ね し ま す 。特
に ど の よ う な 研 修 を 希 望 し ま す か ? ア 、 伝授
イ 、 阿 字 観 (
観
想法
) に関
す る講
義 ・解
説
ウ 、
実
修
工 、 指導
法
オ 、 そ の 他 十 七、 今 後、 阿 字 観 を ど の よ う な か た ち で
活
動 に 取 り 入 れ よ う と お 考 え で す か ア 、 阿字
観
道 場 を 開 設 す るイ 、 教 師 の
勉
強 会 で 研修
し て い くウ 、 自 分 の
修
行 と し て 行う
エ 、 取 り 入 れ な いオ 、 そ の
他
十
八 、 ご 回 答 い た だ い た 理由
を 具 体 的 に お聞
か せ 下 さ い 。 こ の ア ン ケ ー ト の 結 果 を分
析
す る と 次 こ と が 見 え て く る 。 一 . 研 修 機会
に 複 数 参 加 し た 人 が 全 体 の 三 八 % を占
め 、 積 極 的 な 研修
意 欲 が伺
え る 。 一 198 一 N工工一Electronlc LlbraryNII-Electronic Library Service 真 言宗智 山派における教化 活動 と して の阿字観 (小 山) 二 . 「 阿 字 観 作 法 ( 次 第 ) 」 は と て も
好
評 と 言 え る 。好
評 の 理由
は 「 分 か り や す い 」 「簡
潔
明
瞭
」 が 圧倒
的
で 、 使 い やす
さ を 挙 げ る 場合
も あ る 。 三 . 「 阿 字観
指導
法
」 は と て も好
評 で あ る 。 し か し 、 こう
し た 指 導法
に若
干 の 戸惑
い が伺
え る 。好
評 の 理 由 は 「 分 かり
や す い 」 「 具 体 的説
明
が 檀 信 徒 指導
に 役 立 つ 」 と の声
が多
い 。 そ の 一 方 で 、檀
信
徒
に指
導
す
る こ と に疑
問 を 呈す
る も の も あ る 。 四.清
浄
体
操 は 概 ね好
評
で あ る 。 好 評 の 理 由 に は 「 分 か り や す い 」 「 リ ラ ッ ク ス で き る 」 「 瞑 想 に 入 り やす
い 」 と いう
声
が多
い 。体
操
の 必 要性
が 理 解 さ れ な い 部 分 も あ る 。 五.研
修
機 会 の 実修
指
導
は好
評 で あ る 。 反 面 、 不 満 も見
受
け ら れ る 。好
評 の 理由
と し て 「瞑
想 に 入 り や す い 」 「 補 助的
な 役 割 を 果 た す 」 と いう
認 識 が多
い 。 不 満 は 「実
修
時 間 が 足 り な い 」 が 最 も多
く 、 ま た 檀信
徒
に指
導す
る 際 の疑
問 が幾
つ か挙
げ ら れ て い る 。 六.実
修
で は 「 本尊
を取
り 込 む の が 上手
く 出 来 た 三 五 % 」 は 三割
を 越 え る 。 「 良 く 出来
な い 」 「 わ か ら な い 」 が 五 八 % と 半数
を 越 え る 。 実修
後
の感
想 は 「 や す ら か 二 五 % 」 「 ぼ ん や り す る 十 九 % 」 「す
が す が し い 」 と 「 研 ぎ 澄 ま さ れ る 」 は各
十 % と な る 。 七.研
修
後 に 阿字
観
・ 月 輪観
を 行 っ て い る か どう
か に つ い て は 、 清 浄 体 操 と 同 じ よ う な 結 果 と な っ て い る 。 「 行 な っ て い な い 」 が 六 四 % と 半 数 を は る か に 越 え て い る 。 上手
く 出来
な い ・ わ か ら な い と いう
参
加 者 は 、 そ の 後 、行
わ な い と 読 み取
れ る だ ろ う 。 八. 疑 問 ・ 不 安 に つ い て は、 自身
の 実修
が 上手
く 行 か な い点
、 檀 信徒
に 指導
す る 点 と に 分 か れ る 。 研修
機会
で の実
修 時 間 が 足り
な い 、 研修
機 会 が ま だ 少 な い 等 に 起 因 す る も の が多
い と 思 わ れ る 。 九. 「今
後 の 研修
を 希 望 す る 」 が 八 四 % と大
変多
い が 、 「希
望 し な い 」 と態
度 を 明確
に し て い る の も 十 四 % い る 。 一 ユ99
一 N工工一Electronlc LlbraryNII-Electronic Library Service 智 山学 報第五十一輯 研
修
内 容 は 「 実修
を 希 望 す る 」 が 三 五 % と 最 も多
い 。 実 修 を た っ ぷ り と 繰 り 返 し 行 な っ て 、 阿 字観
を 会得
し た い と い う 意 識 が 見 え て く る 。 十.今
後
の 活動
で は 「 自 分 の 修 行 」 「 研 修 」 が 五 〇 % と 半 数 に な る 。 一 方 で 阿字
観
道
場 開 設 を視
野 に 入 れ て 教 化 活 動 に 取 り 入 れ る 姿 勢 が 二 〇 % を 越 え る の は 注 目 に 値 す る 。 十 一 . そ の 理 由 は 、 檀 信 徒 に 指 導 す る前
に 自 分 が実
践 し て み て と いう
慎 重 な 態 度 が多
く見
ら れ る 。 ま た 、 檀 信 徒 の 要 望 に 応 え た い 、 他 の行
事
に 併 せ て 何 と か 取 り 入 れ た い と いう
積
極 姿勢
も 幾 つ も 見 ら れ る 。N工工一Electronlc Llbrary Servlce
今 ま で あ ま り 接 す る 機 会 の な か っ た 阿
字
観
に 関 し て こ の よ う な 研修
機
会 が 本格
的 に 開 か れ た こ と に つ い て 、 本 宗 教 師 の 興味
は と て も 高 い も の だ っ た と 言 え る } 方 、 実 際 に実
修 す る に は と て も難
し い 、 上手
く 出 来 な い と感
じ た 教 師 が多
か っ た こ と も事
実 で あ る 。 し か し 、今
後
も 研 修 を 希 望 す る 教 師 が 圧 倒 的 に多
い と いう
結
果
か ら は 「 も っ と じ っ く り 身 に 付 け た い 」 「次
の 研 修 段 階 に 進 み た い 」 と いう
意 識 を 強 く持
っ て い る教
師 が多
く い る と いう
こ と を 物 語 っ て い る 。 今 回 の ア ン ケ ー ト 結 果 に は 、 阿字
観
研 修 に参
加 し た 教 師 の は っ き り と し た 意 識 と 、今
後 の 阿 字 観 研 修 と 、 阿 字観
の 教 化 推 進 の あ り 方 に つ い て多
く の ヒ ン ト が 隠 さ れ て い る と い え る 。 一200
一四
そ
し
て これ
か
ら
の教
化
活
動
と
し
て
の阿
字
観
以 上 、 平 成 十 二年
度 に 教 化 年次
テ ー マ と し て 阿 字 観 が取
り 上 げ ら れ る ま で の本
宗
の 阿字
観 へ の関
わり
を 「次
第
」 「 教 化資
料 」 か ら ふ り か え り 、 ま た、 本宗
教 師 の阿
字
観 研 修 会 へ の 反 応 か ら 本 宗 教 師 の 阿 字 観 に対
す る 意 識 の 現 状 を み て き た 。 こ れ ら現
況 に 対 す る こ れ か ら の課
題 は 片 野 論 文 に 譲 る と し て 、 こ こ で み て き た様
々 な 現 況 は 何 を も の が た る の だ ろ う か 。NII-Electronic Library Service 平 成 十 二 年
度
、 教 化年
次 テ ー マ の 展開
と と も に 『 阿 字観
作
法 』 の 発 行 、 「 阿 字 観本
尊
」 の 製 作 、 「 阿字
観 指導
者養
成 講座
」 の 開 設 を は じ め 、 阿字
観
に 関 す る 環 境 が宗
派
を あ げ て 整備
さ れ た 。 し か し 、 昭和
三 十 一年
の 阿 字 観作
法 の 整 備 と 平 成 十 二年
の 阿 字観
作
法
の 整 備 を く ら べ た 時 、 『 こ れ か ら の寺
院 行事
』 に 阿字
観
が取
り 上 げ ら れ た こ ろ の意
気
込 み と 「 教化
年
次 テ ー マ 」 を 設 け て 阿 字 観 を 取 り 上げ
る 現在
の 状 況 と を く ら べ た 時 、 そ こ に ど ん な 違 い が あ る の だ ろう
。N工工一Electronlc Llbrary Servlce
真 言宗智 山派における教化 活動 と して の 阿字観 (小 山)