91999,
—
9 9 9 9 ,
‑
︳ 説 一 ー
‑︱‑︱ ︱︱︱ー︱ー︱︱
︱ ︱
︱ ︱ ー ︱
ー ︱
︱ ︱
︱ ︱
︱ ︱
‑ ︳
ー
↑ 一 ー
︳ 論 ︱
‑ 9 9 9 9 9
‑ 9 9 9 9 9 9
『団塊』の世代の争点関心とそのあとに続く世代
明るい選挙推進協会のデータから一一
ぅ 申
こャ
→ の
ぇ 江 猛 げ サ 介
目 次
序
一 世 代 区 分 二 争 点 の 類 別 三 争 点 の 動 き
四 団塊世代の夢,団塊の子世代の夢 展望
序
いかなる分野においても
20
世 紀 中 の 総 括 の 上 に た っ た2 1
世 紀 へ の 飛 翔 が期待されている。投票行動においても例外でない。2 0
世紀の総括をすると い う こ と は , 何 に も 変 わ っ て な か っ た ら す る 意 味 が な い が , 対 象 に お い
(分析する主体においても)明らかに変化が認められる場合大きな意味 こ こ で は , 団 塊 の 世 代 の 子 が 成 人 し 社 会 的 に 発 言 を 始 め て い る か その世代構成と差はあるが,
て
がある。
らだ。 ベビーブーマーである米人学者が,
︱︱ 八
ジ
ー 21‑2‑302 (香法2001)
七
ェネレーション
X
との「文化戦争」に直面し「ポスト」『モダーンタイムス』(1)
のチャップリンよろしく仔立している姿が,私のアイデアの基にある。
最近,団塊世代を狙った出生コホート分析が出始めた。綿貫は,「
68
年 世 代」を世論データから読み取ることに難色を示し「もう少し軽くし」た区(2)
分を取った。その枠内ではあるが,「伝統的価値の衰退と,それへの「世代 効果」は歴然としており,そこでは,「戦前・戦争世代J 「第一戦後世代」
「団塊•新人類・団塊ジュニア世代」の 3 世代グループ間の差異が,有意
に検出される。」ことを見出している(その他は関係せず)。本稿では,この 問題を進めて団塊対団塊ジュニア間の問題として分析するのだが。 N H K の『現代日本人の意識構造[第五版]』
( 2 0 0 0
年)は,7 3
年から調査を実施し
1998
年 に 第6
回目,25
年 目 で あ り , 随 所 で コ ホ ー ト 分 析 が 施 さ れ て い る。何しろ個人の全生活面に於ける意識変化を探ると言うわけで,「政治」意識項目は
1 5
項目程度に約められている(「福祉の向上」の9 8
年を除き一 貫して一位だったことに注目した)。ただし,「争点」のところは単一回答 だから,明推協の多数回答と違う。それに,年齢層は基本的に 5歳 区 分 で ある。さらに,行論には直接関係ないが,政治的有効性感覚や,政治的知(3)
識,参加の仕方,支持政党が聞かれている。田中は,統計数理研究所の『日 本 人 の 国 民 出 の シ リ ー ズ を 使 い
5
歳毎の年齢コホートに分けて1953
から(4)
1978
年,あるいは1983
年までを分析した。(5)
年齢構造の変化に敏感な各種消費市場調査関係も活発に両世代に焦点を 当てている。日本経済新聞社は,都市圏の
49‑52
歳( 1 9 9 9
年当時)の1 , 9 2 4
名を対象に調査を実施し,568
名の人から回答を得た。消費動向では,「「我 慢派」が53.5
%で最も高」<「老後に備えようと」している意識が覗える。定年後の生活では,配偶者が一番で,子供に面倒を見てもらう考えは少な く,「「子供に遺産を残すつもりはない」が過半数」に上ると言う。「ご自分 主義」と言うわけだ。買いたいもので
1
位にパソコンを上げている(著者の1
人がホームページ「団塊世代」を立ち上げ,常時2 , 0 0 0
人の人がアクセ(6)
スすると言う)。
21‑2‑301
(香法2 0 0 1 )
‑ 2 ‑団塊の子についても多くの見解・調査が出始めた。例えば,ェイムクリエ イツ編著『団塊ジュニア市場の読み方』(ダイヤモンド社,
1 9 9 5 )
はその一 つであろう。95
年段階の調査で「今の高校生がもっとも多い」と指摘し,「①高校生(ネオ団塊ジュニア),②大学生(学生団塊ジュニア),③社会人
(働く団塊ジュニア)」に分けて,比較の中でファッション,飲食,等の各 種感性,上野アメ横などでの消費行動,それを基礎付ける哲学,団塊ジュ
(7)
ニアが形作る近未来の市場といったところまでわたる。また,土方文一郎 は,「若者社会」と「企業社会」の接点についての「都市型大学の文科系」
学生の意識をまとめた。基本的な特徴づけを拾うと,「変化志向」をもつ「お となしい保守」(またはミーイズム),で,「内心の安定」は確保されている。
「カメラ,ゲーム,クルマ,そしてパソコン通信等々」の各種ツール,そ れに携帯電話を今は上げよう。それは若者の「イマジネーション領域を広 げ」それはまた「情報の「選択と行動」へと誘な」ぃ,情報の流れと人間
(8)
心理の間に「共振作用」を起こしバーチャルな現実を作るようになる。
「学生運動」(かかわった者もそうでない者も)に関与し,そして負け企業 戦士や社会人になっていった世代と,国際化や情報化・「ミーイズム」で闊 歩する若者と世代間断絶で語り終えるのか? 基本的には,大管法(大学臨 時措置法, 69年 8月)ができて学生が負け,国際的にはその後約 20年かけ て共産主義が負け,マルクスの声が街角に聞こえなくなり,元「学生」の 間にも保守が勝利し,その子らにわが「英雄伝」を語れなくなって久しい。
断絶ではなく「保守化」は間断なく継続しているのである。しかし,政治 においては共に闘わねばならない日常がある。あるいは,やむを得ず断絶 しなければならないときもある。それは争点であろう。その観点から,明 るい選挙推進協会のデータの争点意識を選び,これらは何と何であるかを 見出そうと試みたのが小論である。
一 世 代 区 分
少子高齢化社会を現在の団塊の世代がどういう形で問題を提起するか,
‑ 3 ‑ 21‑2 ‑300 (香法2001)
, ̲
ノ
五
団塊の子がそれを支えていけるか,という基本的な構図の下で,いびつに はなっても人口図を編んでみた。団塊の世代は,その本体である
1 9 4 7
から4 9
年生まれを置き,その子は1 9 7 1
年から76
年 ま で の6
年間(子供を産む 期間を考慮して)生まれを置いた。第一に,両世代は日本に大学紛争・ベトナム反戦闘争以来目立った世代 事件がない中で,唯一の世代間継承・断絶を分析できるものである。団塊 は,この年齢層の大卒のうち 3割程度を中核にして,高卒,中卒と広がる 高度成長期の人物像のジュニアがおり何らかの影響を相互に与え合ってい
(9)
るととらえられる。
第二に,少子高齢化社会を迎える今,将来の時間スパンの中で,一時部 分的に否定された未来に対する投票を,時間のメジャーを身体的に感じえ る「未来」にまで引き戻し,もう一度選挙人は,政権は過去の経済運営の みに責任を取らせているだけか,「
R e t r o s p e c t i v e
投票」の修正は必要ない のか,明らかにしたい。争点の類別
党派間の対立・合意が高い争点を,合意・対立争点という。明推協では 質問のされ方から両者を区別できない。しかし,若干の操作をしたら大体 の推測はできるようになる。その争点を重視したものの政党支持を取りそ れを政権派,非政権派に分け(無所属は無政権派であるがこの分析からは 除外される),いずれか片方の陣営が強い場合と,両方の陣営が強い場合と,
を,全体の度数の強弱によって推定する。合意・対立争点をいずれの陣営 が取るか取りつつあるかの問題である。合意・対立は,解釈を誤る危険性 は大きいが,争点の内容から推定する。一応以下のものが(対立争点では
(10)
ない)合意争点の場合に入るだろう。
「福祉」「物価」「不況」「政治倫理」「税金」
1. 現在の段階で党派間の対立・合意が高くなった争点を,胚胎争点とい う。対象の認識にかなり政治社会のあり方の理念がかかわっている。例え 21‑2 ‑299 (香法 2001) ―‑4 ~
ば,大きい政府ー小さな政府,と言う問題である。
「不況対策」
「行政改革」
2 .
現在の段階まで党派間の対立・合意が高くなったり低くなったりした 争点を,間歌争点という。対象側(市場,政治,政策,他)から問題が生 じ,問題がなくなると急速に争点としてはしぼんでしまう特色を持ってい る。「物価」
「政治倫理」
「税金」
3 .
現在の段階で党派間の対立・合意が低い・低くなった争点を,死滅争点。
I)という。そもそも全体の度数が少なくなっている。
「農業対策」
「安保・防衛」
「憲法」
4 .
現在の段階で党派間の対立・合意があまり変化がない争点を,普通争 点という。「教育・文化」
5 .
高齢化社会(あるいは革命とか,反動とか)に関係し,遠くない未来 に運営責任が問われるものを近未来争点と言う。「福祉」
「公害」
争点の動き
1 . 胚胎争点
「不況」は
9 0
年 ま で50%
を超えなかった。団塊が若干高めであった。全 部 が60%
を超える,9 2
年を境に,皆等しく同じ動きをするようになった。この項は,どちらかといえば不況を争点と感ずる
9 0
年までは政権,非政‑ 5 ‑ 21‑2 ‑298 (香法2001)
四
【各年度の有効サンプル数
l
年度 76年 80年 83年 86年 89年 90年 92年
I
93年I
96年 I98年 サンプル敷 1860 1921 1843 1815 1799 . 1893 1461I
1804 ¥ 1945I
1583図表 I‑1 不況対策(考慮%)
90%
80%
fー一~---+--団塊以前 ■ 団塊
口 塊 間
70% 塊の子
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0% 76年 80年 83年 86年 89年 90年 92年 93年 96年 98年
図表 I‑2 不況対策(党派性)
20 15 10 5
゜
‑5
‑10
‑15
‑20 76年 80年 83年 86年 89年 90年 92年 93年 96年 98年
21‑2‑297 (香法2001) 6
権派とも同じぐらいの量であった。
89
年から団塊間,団塊共に政権派から の関心が実に大きかった(図表I‑I, 2)
。「行政改革」は
93
年までほとんど2
割を切っていた普通の争点であった(図表
II‑I , 2)
。ところが9 6
年に2
割を超えた。特に,団塊世代が牽 引役を果たしている。団塊の子も9 8
年には第1
位を覗った。この年とりわ け,「橋本龍太郎首相は次期政権を「行革政権」と位置付け,「第三臨調」ともいうべき首相直属機関を発足させるとともに中央省庁の半減など抜本 的な行革断行へ向け本格的に取り組む意向だ。」「自民党は選挙で中央省庁 の半減,国家公務員の一括採用を公約。行革実現のための具体的な手順と
して,橋本首相が首相直属機関を設置し,一年後をめどに,霞が関の改革
⑫
に乗り出す意向を表明している。」という自民党の「断固たる」動きに反応 したものである。
「不況対策」は,
8 0
年代は政権,非政権とも同じ程度に問題にしていたが,90年代になって非政権側の争点となることが多くなった。
これから,同じ胚胎争点でも,胚胎するとき政権側か,非政権側が先取 したか途中で入れ替わったかによってその発展と解決の仕方がずいぶん異 なるのである。
2 .
間歌争点物価という対象の属性の上下に従って関心が上下する。世代間の差は「の 子」世代を除いてない。まだこの年代までは「の子」は 20代で,物価高を 感じ取るまで至っていない。「の子」としたのは世代に関係なく 20代では 物価高に反応が鈍いという意味である(図表III‑1, 2)。
「物価」問題は,物価が高くなるとき問題となる。
7 6 , 80
年と高く,それ から一時( 9 3
年)を除いて50%
を切った。図に見るように,80
年代初頭ま で物価は高かったが,以後落ち着いた。 90年の初頭地価が跳ね上がり,ゃ はりサンプルも関心の高さを示す。政権派,非政権派,大体おなじ程度に 関心を向け, 90年代になると「団塊以前」世代の政権派も引き込んで関心―‑7 ‑ 21‑2 ‑296 (香法2001)
図表
n‑1
行政改革(考慮%)40%
ー◆一団塊以前 35% H ―•—団塊
ー ▲ 団 塊 間 30%ロ 一 沃 一 団 塊 の 子 25%
20%
15%
10%
5%
0%
20 15 10 5
゜
‑5
‑10
‑15
‑20
76年 80年 83年 86年 89年 90年 92年 93年 96年 98年 図表][‑2 行政改革(党派性)
76年 80年 83年 86年 89年 90年 92年 93年 96年 98年
21‑2 ‑295 (香法2001) ‑ 8 ‑
図表m‑1 物価(考慮%)
80%
‑‑+‑団塊以前
70% ‑II‑団塊
ー ← 団 塊 間
60% I
一
ヽ \ , ~ 団塊の子50%
40%
30%
20%'
~
10%
0% 76年 80年 83年 86年 89年 90年 92年 93年 96年
図表皿ー 2 物価(党派性)
30 20 10
゜
‑10
‑20
‑30
‑40
‑50
‑60
‑70 76年 80年 83年 86年 89年 90年 92年 93年 96年
゜
‑ 9 ‑ 21‑2 ‑294 (香法2001)
を高める。内容的には,もち ろん 合意 型( 物価 を安 定さ せる べき だ)であ る。
「政治倫理」問題は,それと関係のあることが起こったら重要問題化する。
ロッキード事件,金丸佐川急便事件,に代表されるだろう。
7 6
年から8 3
年 にかけて上がっているのが口事件を示す。9 3
年 に 上 昇 を 見 せ る の が 金 丸 事 件である。 70年代末では比較的ゆるい政権派批判であった。9 3
年には,実に 激 し く 政 権 派 批 判 と な っ て い る ( 図 表
IV‑1 , 2)
。「税金」問題は,税金を上げるという動きを示すとき問題となる。
8 6
年に「大型間接税」を示唆し,
8 9
年 に は 上 げ ら れ た 消 費 税 に 非 自 民 の 流 れ で 抵 抗し,9 0
年にもつづいた。その次の9 3
年,9 5
年は元に戻ったが,9 6
年に は 「 自 民 党 が 勝 利 を 収 め た こ と に 加 え , 新 党 さ き が け と 民 主 党 も 「 引 き 上 げ 容 認 」 で は 足 並 み を そ ろ え て い る た め , 平 成 9年 4月 か ら の 消 費 税 率 5(13)
%への引き上げは実施される見通しだ。」と言う,
+2%
の再引き上げが予 定されていた。度数のグラフはこの流れが素直に表れている(図表V ‑1 ,
2)。しかし,消費税反対をいう主体が非政権派から政権派へ相当部分が入 れ替わっている。
0
九3. 死 滅 争 点
「農業対策」は,「
1 9 9 3
年のガット(関税および貿易に関する一般協定)の ウ ル グ ア イ ・ ラ ウ ン ド ( 新 多 角 的 貿 易 交 渉 ) で 日 本 は , 国 内 消 費 量 の
4 , ‑ ‑ ‑ . . ̲ ̲ , , 8 %
の 範 囲 内 で 米 の 輸 入 を 受 け 入 れ る ( 米 輸 入 の 部 分 開 放 ) こ と を 決 定(14)
し,
1 9 9 5
年から米の輸入がはじまりました。」に代表されるように,8 0
年 代 末 前 後 は 米 の 輸 入 自 由 化 で あ る 。 そ れ が 上 の よ う に 「 解 決 」 を 見 る と 急 速 に 争 点 と し て は し ぼ ん で 行 く 。 争 点 の 関 心 の 流 れ を 見 る と は っ き り し ている(図表
VI‑1 , 2)
。大体高齢者で,9 0
年あたり革新系が入ってくると き若干政権派の割合を減らすものの,常に政権派が1
位 を 占 め て い た 。 現 在 に な る と , 高 年 層 の1 0
%を残し,5 %
をきっている。「安保・防衛」問題は基本的には非政権派が取り上げ政権派を攻める争点 21‑2‑293 (香法 2001) ~10~
図表N‑1 政治倫理(考慮%)
45%
40%
35%
30%
25%
20%
15%
10%
5%
0% 76年 80年
● 団塊以前
■
団塊▲ 団塊間
—米一団塊の子
83年 86年 89年 90年 92年 93年 96年 98年
図表Y ‑ 2 政治倫理(党派性)
0 0
0 0 0 0 0 0
1 1 2 3 4 5 6
︱
︱
︱
︱
︱
︱
76年 80年 83年 86年 89年 90年 92年 93年 96年 98年 八
0
‑ 11 ‑ 21‑2 ‑292 (香法2001)
図表V‑1 税 金 ( 考 慮 % ) 80%
● 団塊以前 70%日
‑ ‑ ‑ a . ‑
団塊一 団 塊 間 60%
□
十 団 塊 の 子50%
40%
30%
20%
10%
0% 76年 80年 83年 86年 89年 90年 92年 93年 96年 98年
図表V‑2 税 金 ( 党 派 性 ) 5
‑5
゜
‑10
‑15
‑20
‑25
‑30
゜
七 76年 80年 83年 86年 89年 90年 92年 93年 96年 98年21‑2‑291 (香法2001) ‑ 12 ‑
図表VI‑1 農業対策(考慮%)
25
20
15
10
5
ー◆一団塊以前
■
団塊十 団 塊 間 一 団 塊 の 子
゜
76年 80年 83年 86年 89年 90年 92年 93年 96年 98年図表VI‑2 農業対策(党派性)
30 25 20 15 10 5
゜
‑5
‑IO
‑15
‑20 76年 80年 83年 86年 89年 90年 92年 93年 96年 98年
0
六‑ 13 ‑ 21‑2‑290 (香法2001)
である。
86
年までに中曽根政治との関係で「安保・防衛」は盛り上がったが,関心が低かった「団塊以前」世代も,他二世代と歩を揃え始め非政権派に 移行を始める。
9 3 , 9 6 , 9 8
と絶対数も少なくなり,この時点では争点としての意味を無 くす。死滅争点である。9 2
年は,PKO
法案をめぐり国論が沸騰したが,団塊以前のクラスは非政権派のみ動員され,団塊クラスでは政権派が「賛 成の」方向で初めて動員され,その後もその論議の中に居残った。民意が このような時に,アメリカの軍事基地問題のさまざまなトラブル,「首相公 選制」を出汁にした憲法改正というものを日米のエリートが持ち出す「好 機」と見られているのが悔しい。せめて,間歌争点として残る道はないだ ろうか?「団塊の子」は,ひとり
98
年にかけて「非政権争点」をあらわそ うとしている(図表VII‑1, 2)。「憲法」問題では,データがある限りでは
5%
を前後する低調さである。非政権派が関心を示すことが多いが数が少ない。政治家が憲法「改正」問 題を喧喧誇誇と言う割には国民は関心を示してない。ま,こういう時がど さくさにまぎれて何かをするチャンスではあるのだが(図表VIII‑1, 2)。
0
五4. 普 通 争 点
「教育・文化」は,
1 0
から20%
を動き,世代間の差は団塊以前が関心が 低い程度である。政権・非政権間差は余りない。8 3 , 86
年が度数が若干高 い(図表IX‑1, 2)
。それは以下の事情が反映している。日本の歴史教科 書が中日戦争における日本「侵略」を「進出」と書き換えたことに端を発 する外交関係にまで発展した問題があり,それは 80年同日選挙の圧勝により「戦後教育の民主化と平和主義化を過去の天皇制体制へ引きもどす国家
U5)
主義の強化」の線上にあった。
1 9 8 6
年でも教科書問題に対して政府は同じ(16)
態度を取り,結局中・韓によって訂正させられた。
21‑2 ‑289 (香法2001) ‑ 14 ‑
図表VJ[
一
1 安保・防衛(考慮%)30
. ■ 団塊以前団塊
25日 → ー 団 塊 間 ぅ< 団塊の子 20
I
15 10 5
゜
76年 80年 83年 86年 89年 90年 92年 93年 96年 98年図表VJ[‑2 安保・防衛(党派性)
10 5
‑5
゜
‑10
‑15
‑20
‑25 76年 80年 83年 86年 89年 90年 92年 93年 96年 98年 I
゜
四‑ 15 ‑ 21‑2 ‑288 (香法2001)
図表珊ー 1 憲 法(考慮%)
25
I —•
ト「]塊以前‑‑‑‑‑団塊 20←→ I —沃一団塊の f-• [·•t] 塊間
I
15 1
10
3
゜
76年 80年 83年 86年 89年 90年 92年 93年 96年 98年 図表遁ー 2 憲 法(党派性)
2
゜
‑2
‑4
‑6
‑8
1
0 1
︱ ︱
‑10 76年 80年 83年 86年 89年 90年 92年 93年 96年 98年21‑2 ‑287 (香法2001) ‑ 16 ‑
図表区ー 1 教育・文化(考慮%)
35
● 団塊以前
30
■
団塊一
十 団 塊 間X 団塊の子25 20 15 10 5
゜
76年 80年 83年 86年 89年 90年 92年 93年 96年 98年図 表 区 ー2 教育・文化(党派性)
15 10 5
゜
‑5
‑10
‑15
‑20
‑25
‑30
‑35
‑40 76年 80年 83年 86年 89年 90年 92年 93年 96年 98年 I
゜
‑ 17 ‑ 21‑2 ‑286 (香法2001)
5 .
近 未 来 争 点「福祉」問題を巡る問題領域はこの
2 0
年の間に少子高齢化問題として収 敏して行った。時系列的には「福祉」問題は,
8 6
年 ま で35%
前後,その後上下はあるも のの40%
を超え,9 8
年 に は4 9 . 1
%と半数に達する。胚胎争点でもあるが,次第に現実のものとなる高齢社会に対する危惧が現れてくるわけで,これ は近未来争点と呼んだほうがいい(図表
X‑1, 2)
。団塊世代が
9 8
年までに団塊前世代に対し「福祉」問題関心において9 0
年 代に2
度も上回った。大体,「福祉」問題はほぼ年齢を追って関心が高くな るライフサイクル的構造をしている。それが,団塊世代については高齢者 に対して肩を並べるほどに成長しているわけである。本来,
7 , 8 0
年代と非政権派の争点であったが,9 0
年代は政権・非政権 派とも掲げる合意・対立争点型となってきた。団塊世代の子世代は,驚くことに
9 6 ,9 8
年 と 他2
世代に追随してきてい る。データからはそれ以上分からないが,老後は「自分でまかなうように」という意識でないことを祈る。
「公害」問題は
2
波あるようである。7 0
年を前後して団塊らが問題とした 公害と,それらを含みつつもより国際化した公害と,の二つである。この データでは,前者は7 0 ,8 0
年 代 と 最 も 低 い 時 で 全 体 で6 . 1
%と,その終わりが出ている。様相は
9 0
年代に一変する。全体で,9 0
年ー1 4%, 92‑23
%, 93‑17 %, 96‑14 %, 98‑21
%でおしなべて1 0
%を超え,20%
を超 える年もある。しかもその殆どで団塊が高く,団塊の子は一層高い。世代 間継承と,それを超える a も示している。尚,
9 0
年代型「公害」問題は,図で見るように,第1
次「公害」問題と〇 異なり,非政権型である(図表XI‑1, 2)。 四 団 塊 世 代 の 夢 , 団 塊 の 子 世 代 の 夢
世代共通の争点はあるか? 特定の世代が,その争点に関して特別な動 21‑2‑285 (香法2001) ‑ 18 ‑
図表X‑1 福 祉 ( 考 慮 % ) 60
● 団塊以前
‑‑‑団塊
50日 → ー 団 塊 間
_ 団 塊 の 子
40
I
30
20
10
゜
76年 80年 83年 86年 89年 90年 92年 93年 96年 98年図 表X‑2 福 祉 ( 党 派 性 ) 0
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76年 80年 83年 86年 89年 90年 92年 93年 96年 98年
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‑ 19 ‑ 21‑2 ‑284 (香法2001)
図表XI‑1 公 害 ( 考 慮 % ) 35
● 団塊以前 30 日玉—団塊
▲ 団塊間 十 団 塊 の 子
25 20 15 10 5
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76年 80年 83年 86年 89年 90年 92年 93年 96年 98年図表XI‑2 公 害 ( 党 派 性 ) 25
20 15 10 5
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九 76年 80年 83年 86年 89年 90年 92年 93年 96年 98年 九
21‑2 ‑283 (香法2001) ‑ 20 ‑
きをせず,共通して動くという争点である。
胚胎争点の「不況対策」,「行政改革」である。年齢間の違いはない。非・
政権派は前者では一寸わからないが,行政改革ではその歩みののろさに,
多くの人が非政権派に移りつつある。これはとりあえず共闘出来るだろう。
間歌争点は,みなが一緒になって闘って来たので記憶に新しいところであ る。「物価」,「政治倫理」問題,「税金」問題などそうだが,発生する時は 反対にもえ,問題が消え去るとしぽむ,このようなものがおおい。これら は政治の日常的なものである。特定の世代が夢を持つようなものではない。
団塊世代は孤立しているか? 堺屋太一著『団塊世代』 (1980)では彼ら が 激 し い 競 争 に 打 ち 勝 抜 い て き た 世 代 が 40前 後 に な っ て デ モ グ ラ フ ッ ク な自分に気づく(子供の数が多かったりして変とは思っていたが),そうい う話が多い。
「く大倉社長や吉藤室長に見込まれたのは,本当に幸せだっただろうか〉
富田はそんなことを考えている自分に気付いて驚いた。優等生一有名大学 の真面目学生ー大企業のエリート社員,という道を一直線に進んできた富 田にとって,これは生まれて初めて感じた,人生に対する「弱気」であっ
(17)
た。」これが20年前のことである。いまは「弱気」におわらない。不況の 真っ只中である。「福祉」に対する関心は, 90年代は半分を超え上昇中であ る。 50の半ばに入り,定年延長が議論されるのはまだいいとして,リスト ラにあった人,倒産にあった人,組織替えが各所で議論され,など,普通
(18)
でない 50代をすごす人がおおい。
こういう時に,団塊の子世代が上3世代を追いかけている,というのは
「喜ばしい」ことだ。しかし,ますます小市民化する意識を持っている彼 らが,虎の子をはたくというのは考えられない。党派的亀裂の図がなによ りもこのことを物語っている(まだ数は, 5人=政権派, 4人=非政権派,
と少ないし,むしろ
9
人=無政権派に以後注意すべきだろう)。堺屋が想定 しなかった世代間亀裂がもっとも残酷な形で現れようとしている。「現代家 族」を気取って颯爽と登場した団塊にしっぺい返しがすぐそこに来ている。九八
―‑21 ‑ 21‑2 ‑282 (香法2001)
九七
団塊の子世代は新しい争点を手がけ始めているか? 団塊世代は,その 子 た ち が 新 世 紀 で , 自 分 た ち は も う エ ネ ル ギ ー は な い が , そ の 子 た ち が 新 しいエネルギーで時代が作る新しい問題に立ち向かうことを願っている。
夢といえればそれぐらいかもしれない。
エイムクリエイツは『団塊ジュニア市場の読み方』の中で,団塊世代の 子 の 「 特 性 」 を 『 マ イ イ ズ ム 』 と 定 義 づ け す る 。 彼 ら は , 戦 後 の 団 塊 世 代 の「平等で子供の意見も尊重する家庭に」育てられ,更に,海外旅行はあ たりまえ,
USJ,
ディズニーランド,ディズニーシーの開園,ファミコンの 発売など,「国際感覚を含む多角的・広角的視野を自然と身に着け,バラン スのよい価値観」をもち,かつ「情報に流されずに個々の確かな視座に立(19)
ち,そして編集,活用する術」を身につけている。
フランスの水爆実験に現地で反対し,日本ヘプルトニウムを運ぶ船にし つ こ く つ い て い っ て 体 当 た り し , ま た カ ン ボ ジ ア ヘ ボ ラ ン テ ィ ア と し て 参 加 し , 云 々 と , ベ ト ナ ム が 遠 い 地 の は て に あ っ た 団 塊 に と っ て は 思 い も つ
かない行動はジュニアでないと分からないだろう。
「公害」問題も国際化・情報化している。例えば,国立環境研究所環境情 報 セ ン タ ー は 「 情 報 内 容 の 索 引 に つ い て 」 広 範 な 国 際 的 分 野 を 含 む 諸 問 題 をあげ,それに対応する国際モニターリング計画として国内的・国際的組
(20)
織を上げた。
問 題 は , こ れ ら の 団 塊 以 後 の 動 き が , 団 塊 以 前 と ど の よ う に 結 び つ く の か? 彼らは公害問題で街頭に出たりする力はない。それに関して,三田 の言う
NPO
とのかかわりに大きな可能性を見てもいいだろう。いずれに閻しても,全共闘の時代のように体は動かないから,今だったらインターネ ットであろう。例えば,団塊世代は『団塊世代はなぜインターネットが苦
四)
手か』(三木光範)を乗り越えようと格闘している。団塊世代は今よりもっ と長く生きるだろうし,世界大のコミュニケーションで団塊以後と合体す る日もくるであろう。
テーマとの関係で,簡単に要約しておこう。
21‑2 ‑281 (香法2001) ―‑22 ‑
(1) 全 世 代 が 闘 わ ね ば な ら な い 日 常 的 な 争 点 が あ る 。 (2) 判 断 す る の に イ デ オ ロ ギ ー が 必 要 な 争 点 が あ る 。
(3) 世 代 に と く に 関 係 す る 争 点 が あ る 。 し ば ら く の 観 察 が 必 要 だ ろ う 。
展 望
団 塊 の 子 が や っ と 働 き 始 め , か な り 拡 散 し た よ う に 見 え る が , い ま そ の フ ォ ロ ー ア ッ プ を 始 め る 時 期 に 来 て い る 。 総 括 が 要 求 さ れ た 団 塊 の 世 代 だ
(23)
け で は な い 。 団 塊 の 子 世 代 と 共 に あ ら ゆ る 分 野 に お い て 協 力 を 志 向 せ ね ば な ら な い 。 政 治 学 の 投 票 行 動 と 言 う 狭 い 分 野 で あ る が , い ろ い ろ な 課 題 を 残している。
本 論 で は , サ ン プ ル と し て も ま だ ぐ っ と 少 な く 調 査 拒 否 も 多 い 年 齢 層 へ の 投 票 者 に 限 定 し た 質 問 へ の 回 答 を 分 析 し た 。 や は り 投 票 者 限 定 で は あ る が , メ デ ィ ア 接 触 行 動 の 項 目 で , 団 塊 は テ レ ビ ま で だ が , 「 の 子 」 は イ ン タ ー ネ ッ ト が ふ ん だ ん に 入 っ て く る 。 こ の イ ン タ ー ネ ッ ト の 動 き は す で に 米 国 で は
96
年 か ら 始 ま っ た こ と で は あ る が , 選 挙 文 化 で は 遅 い 日 本 で は 今 か ら 始 め ね ば な ら な い 。 そ の ほ か , 棄 権 者 を 含 め て 聞 く と こ ろ と し て , 政 党 支 持 や 政 治 不 満 な ど を 両 世 代 の 関 係 に お い て 分 析 す る と 言 う 課 題 な ど 沢 山 残っている。(1) ピーター・サックス(後藤訳)『恐るべきお子さま大学生たち』 (2000)14頁,他に,
62, 89, 107, 133, 17 4, 178 !90, 192頁など参照のこと。
(2) 綿貫譲治,三宅一郎著『環境変動と態度変容』 1997年, 25‑26頁。行論と関係があ る点でいうと, 1944‑53を団塊世代, 1969ーを団塊ジュニア世代とおいている。出生 において拡散してしまう団塊ジュニアはともかく,団塊世代の時代経験において日韓 条約反対闘争(65年6月)と,佐藤首相訪ベトナム阻止闘争(67年10月)とでは異な
る。
(3) NHKの『現代日本人の意識構造[第五版]』 (2000年)。必ずしも政治でいわれてい る争点ばかりでない。「治安や秩序を維持」,「経済を発展」,「福祉を向上」,「権利を守 る」,「学問や文化」,「参加」,「外国との友交」,の7アイテム中 1つを選ぶ。 74,75頁。 (4) 田中愛治「国民の政治意識における 55年体制の形成」(中村他『過渡期における 50
年代』 1997年所収)。
(5) エイムクリエイツ編著『団塊ジュニア市場の読み方』(ダイヤモンド社, 1995)。日
九六
‑ 23 ‑ 21‑2 ‑280 (香法2001)
九五
経産業消費研究所『団塊男性の定年・消費』(日本経済新聞社, 1999)。 (6) 日経産業消費研究所,同書, 21, 24, 26頁。
(7) エイムクリエイツ編著,同書, 25頁。
(8) 土方文一郎『団塊ジュニアの見方・活かし方』(日本経営者団体連盟広報部, 1996), 3 ‑4, 15, 74, 18, 23, 118‑119頁。
(9) 蓑輪紀子『新潟発団塊の世代史』(越書房制作室, 1995)。 (10) 三宅一郎『投票行動』 (1989, 134頁)
(11) 争点の時系列上の登場と,崩壊を追ったものとして, Agendasand instability in American politics, by F. R. Baumgartner and B. D. Jones, 1993, 参照。
(12) 産 経 新 聞WEBより, 1996.10.20。 03) 産 経 新 聞WEBより, 1996.10.20。 (14) 農 林 水 産 省web, 2001。
(15) 柚 正 夫 編 『 日 本 の 総 選 挙 1983年』九州大学出版会, 1985。 (16) 柚 正 夫 編 『 日 本 の 総 選 挙 1986年』九州大学出版会, 1987。 (17) 堺屋太一著『団塊世代』 (1980, 38頁)
(18) 碓井優『団塊の世代諸君!』(ナユタ出版会, 1985)は2000年代を見通すものとして,
まだ明るく書いている。ところが,団塊問題研究会編『団塊の世代が国を滅ぽす』(早 稲田出版, 1994)は暗い図式に立っている。
(19) エイムクリエイッ,前掲書, 19‑21頁。
(20) 例えば,「AMAP 北極域監視評価計画,EARTHWATCH 地球監視計画,EMAP 環境モニタリング評価計画, EOP 地球監視計画, GAW 全球大気観測計画, GCIP 大 陸 規 模 国 際 計 画(GCP),GCOS 地球気候観測システム,GEMS/Air 都 市 大 気 モ ニ
タリング計画, GEMS/Food 食物汚染モニタリング計画, GEMS/HEAL 人 間 曝 露 評価計画, GEMS/IBM 総合環境モニタリング計画, GEMS/Water 陸 水 水 質 評 価 計画,GERMoN 全球環境放射線監視網, GLOSS 全球海面レベル監視システム,
GNIP 降 水 中 同 位 体 全 球 ネ ッ ト ワ ー ク ,G030S 全球オゾン観測システム, GOS 地球監視システム, GTOS 全球陸上観測システム, HELCOM バ ル ト 海 洋 環 境 保 護 委員会, IBMS 総合生物モニタリングシステム, ICPIntegrated Monitoring ICP統 合モニタリング, ICPs 国際協力計画, IM 統合モニタリング, IMP 統合モニタリ
ング国際パイロット計画, ITSU 太平洋津波予報システム, MAPEF 森 林 へ の 大 気 汚染影響監視, MARL 河川・湖沼酸性化モニタリング, MARPOLMON 海 洋 汚 染 モニタリングシステム, MON 環境モニタリング研究計画, NAPAP ア メ リ カ 国 家 酸性雨評価計画, NDSC 成層圏変動探査ネットワーク, SEAMOS 海 洋 環 境 モ ニ タ
リングシステム, SEASTARS 海洋リモートセンシングシステム, WGMS 世 界 氷 河モニタリングサービス, W¥VW 世界気候監視計画」(国立礫境研究所環境情報セン
ター 2001年・wEBより)。
(21) 三 田 誠 広 『 中 年 て 何 ? 団 塊 の 世 代 は こ れ か ら ど う 生 き る か 』 (2000)。 (22) 三木光範『団塊世代はなぜインターネットが苦手か』 0998年), 26頁。
土方文一郎『団塊ジュニアの見方・活かし方』(日本経営者団体連盟広報部, 1996) (23) 寺 島 実 郎 『 団 塊 の 世 代 わが責任と使命』 (1999年)などを参照のこと。
21‑2 ‑279 (香法 2001) ‑ 24 ‑