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「文人たちの手紙 〜にじみ出る素顔〜」
第 6 回オール早稲田文化週間図書館参加企画と して、 5 月 13 日(月)より展示室にて標記の展覧 会を行った。会期は当初 31 日までの予定であった が、きわめて好評につき 6 月 13 日(木)まで延長し た。
展示の内容は早稲田大学図書館が所蔵する近 世・近代の文人たちの自筆書簡約 40 点。南大曹旧 蔵名家書簡集、本間久雄文庫、稲門ライブラリー、
坂崎坦宛諸家書簡集その他より、人物像や性格が よくあらわれている書簡を選んで展示した。
井原西鶴、滝沢馬琴、尾崎紅葉、夏目漱石、正 岡子規、坪内逍遥、森 外、与謝野晶子、二葉亭 四迷、太宰治など、知名度の高い文人たちの書簡 がならんだため、観覧者の興味をひいたと思われ る。
それぞれの文人について顔写真・肖像画付きの 分かりやすい解説パネルを作成した。また、展示 したすべての書簡の「読み下し文」を別刷りで示 した。「読み下し文」の多くは本間久雄編著『真蹟 図録』によったが、展示部会で読み下したものも ある。
文学者の中には、書簡も日記もあとで公開され ることを想定して書く人もいるといわれるが、た とえば次の本間久雄宛の太宰治のハガキは、太宰 治の素顔がまさににじみ出てくるようである。
先生、このたびは、本当にごめいわくを、おか け致しました。冷汗をかいてをります。御寛恕下 さいまし。御高著まで、いただき、どう御礼を申 し上げていいか、わからない気持ちでございます。
私の小著お送りしたく思ひながら、恥づかしく躊 躇してをります、でも、ちかく恭献させていただ きます………(後略)
これは本間久雄文庫に含まれる『ヴィヨンの妻』
の本間あて献呈本のなかに、なにげなくはさまれ ていたはがきである。
総観覧者数はカウントしていないが、目録の増 刷数から推測すると合計で 1000 名近く入ったもの と思われる。
「生誕 150 年記念 小野梓展」
3 月に會津八一記念博物館の企画展示室で行わ れた大学主催の「小野梓展」に展示された資料の うち、図書館所蔵資料を中心に小展示を行った。
会期は 5 月 10 日(金)〜 19 日(日)で、図書館 4 階 のラウンジで開催した。
なお同展は秋 10 月 11 日(金)より 11 月 4 日(月)
まで、小野梓の出身地である高知の高知市立自由 民権記念館でも開催され、早稲田大学が全面的な 協力をした。
いうまでもなく小野梓は「建学の父」大隈重信 の片腕として、東京専門学校の開校に尽力し、「学
2002 年度上半期展覧会開催報告
展 示 部 会
問の独立」といういまも早稲田に脈々と流れる学 風のもとをひらいた大学の恩人である。高知市で 開催の当日は早稲田大学より野口洋二理事が出向 いて挨拶をし、松下が会場にこられた方々に出陳 資料の説明をした。自由民権記念館は、さすが
「板垣死すとも・・」の板垣退助を出した自由党の 本拠ともいえる土地柄だけに、常設展示も充実し ており、今回の特別展に際しては早稲田や国会図 書館からの出品のほか、小野生誕の地である宿毛 市から昔の寺子屋の教科書などの資料の出品があ り、興味深い展示となっていた。高知市にかぎら ず、日本全国の各地方自治体における博物館・美 術館等の施設の充実ぶりは目を見張るものがある。
「番付と双六 〜庶民の楽しみと機知〜」
6 月 29 日(土)から 7 月 14 日(日)まで、静岡県 磐田市立図書館において、標記の展覧会が開催さ れた。
この展覧会は、「早稲田フェスタ in 遠州」の企画 と し て 遠 州 稲 門 会 主 催 で 行 わ れ た も の 。 過 去 、 2000 年、2001 年の「フェスタ」の際は図書館から スタッフが会場に出向いて設営・撤収などを行っ たが、今年度は資料の貸出のみで実際の作業等は 遠州稲門会及び磐田市立図書館が行った。展示の 内容は 1999 年に図書館で開催した同名の展覧会と 同様である。
主催者の報告によれば好評を博したとのことで ある。この磐田市をはじめ、鴨川、軽井沢など地 方自治体や稲門会からの展示依頼にたいしては、
このように過去おこなった展示のリメイクで対応 しているが、資料の運搬、設営、会場警備などの 点で問題がある部分もある。
館蔵「肖像画」展 −忘れがたき風貌−
10 月 18 日(金)から 11 月 29 日(金)まで展示室に おいて標記の展覧会を開催した。毎年恒例のホー ムカミングデー図書館参加企画である。
図書館が所蔵する、江戸時代および明治時代に 描かれた「肖像画」を、摸本もふくめ約 40 点選ん で展示した。
柿本人麻呂、千利休、松尾芭蕉、杉田玄白、平 賀源内、森 外、二葉亭四迷、尾崎紅葉など、歴 史上有名な人物を選んだが、女性の肖像が思いの
ほかに少なく、小野小町だけとなったのは寂しか った。しかもそれも『三十六歌仙絵巻』の摸本の 一部である。重要文化財である『大槻玄沢肖像』
も出陳した。
ポスターを作成したが、すこし遊んで、何人か の肖像を、苗字の一文字を付けてカルタのように 散らばせた構図とし、同時に作成した色刷りの
「ミニ図録」の見開きに、ポスターのこたえが並ぶ ようにした。ミニ図録のほか、出陳目録を作成し て展示室に置いた。絵につけたキャプションには、
描かれた人物に関するわかりやすい解説をつけた。
従来、図書館の資料展示においては、展示され ている資料そのものの由来を説明するのが本筋と いえるが、「見てわかりやすい展示」をめざす展示 部会では、解説はなるべく平易な表現とし、読み やすくおもしろいものを心がけている。
たとえば、柳瀬正夢画の「二葉亭四迷」(1864
〜 1909)の肖像画の解説は以下のとおりである。
戯作者のようなペン・ネームで、近代小説のさ きがけとなる作品を書いたふしぎな作家。ロシア の脅威を憂えて学んだロシア語が彼の生涯を決定 づけた。満州や中国で冒険小説そこのけの活躍を し、文学は二の次だった。
書物の展示とは違い「肖像画」というテーマは
「わかりやすくて面白かった」という意見が多く、
観覧者の数もかなり多かった。そのため、展示期 間も当初の予定より 2 週間ほど延長した。
図書館展示室における小展示はここ数年すっか り定着し、学生の間にリピーターもいるようであ る。今後も展示部会としては、なるべく従来のテ ーマのリメイクのような企画でない、新しいテー マに意欲的に取り組みたいと考えている。
(文責:松下 眞也)
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