• 検索結果がありません。

豊川下流域の感潮域貝類

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "豊川下流域の感潮域貝類"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

Bulletin of Toyohashi Sozo Junior College 2008, No.25, 63-66

研究ノート

1. はじめに

豊川は段戸山に源を発し,豊橋平野に入 ると大きく蛇行し,三河湾の東部に流入し ている. 下流部は海の影響のある感潮域を形成し, ヤマトシジミを豊富に産する有数の川とし ても知られている.豊川の感潮域貝類につい ては,1997年に調査された松岡ほか(1999), 木村・木村(1999)の研究があるが,それ以 後はまとまった研究はされていない. 前回の調査から10年近く経過している現 在,貝類相の変化も予想されるために,感 潮域を代表するヤマトシジミの生息範囲を 中心に概略的な調査を行ったので報告する.

2. 調査地点の貝類

松岡ほか(1999)の豊川河口から下条大橋 上流の間の調査地点(St.1∼St.20)のうち, 河口から約2.7㎞∼約9.4㎞間の9地点を選び (第1図),干潮時に水深1m前後の場所で

豊川下流域の感潮域貝類

松 岡 敬 二* 寺 本 和 子** 鳥 居 和 孝*** 近 藤 貴 夫**** *豊橋市自然史博物館 **豊橋創造大学短期大学部 ***NPO法人朝倉川育水フォーラム ****豊橋市上下水道局 第1図 豊川下流域の調査地点 Z ⁄ I v 25 æ ¯ I 08.04.09 08:41 AM y [ W 63

(2)

底質とともに手動マングワによって試料を 採集した. 地点①:渡津橋と上渡津橋の中間地点の右 岸(松岡ほか,1999のSt.12岸寄り) 地点②:上渡津橋の下流(松岡ほか,1999 のSt.11) 地点③:豊橋橋梁(JR・名鉄)上流(松岡 ほか,1999のSt.9) 地点④:豊橋下(松岡ほか,1999のSt.8) 地点⑤:金色島側(松岡ほか,1999のSt.7 岸寄り) 地点⑥:大村樋門対岸(松岡ほか,1999の St.6) 地点⑦:創造大学西の豊川右岸(河口から 約8.7㎞) 地点⑧:牛川の渡し,豊川右岸(松岡ほか, 1999のSt.4の岸寄り) 地点⑨:神田川合流部分の中州近く(河口 から約9.4㎞) 船上で採集した試料はすべてビニール袋 に入れ,下船後に篩を使い泥分を流したも のを,約70%のアルコールを加えたポリ瓶 に保存した.分類にあたっては,各地点の 試料を,再度篩で水洗し,乾燥したものを 使用した.その結果を第1表にまとめた. 腹足類でアマオブネガイ科1種,ウミニナ 科1種,タマキビ科1種,カワグチツボ科 1種,ミズゴマツボ科1種,カワザンショ ウガイ科1種,二枚貝類でイガイ科2種, イタボガキ科1種,シジミガイ科3種,チ ドリマスオガイ科1種,ニッコウガイ科1 64 豊橋創造大学短期大学部研究紀要 第25号 種 名(和名) 地 点 ⑦ Clithon retropictus Littorina brevicula Assiminea japonica Fluviocingula elegantula Stenothyra edogawensis Batillaria multiformis Musculista senhousia Xenostrobus atratus Crassostrea gigas Corbicula japonica Corbicula fluminea Corbicula leana Coecella chinensis Macoma incongrua Mya arenaria oonogai Laternula marilina (イシマキガイ) (タマキビガイ) (カワザンショウガイ) (カワグチツボ) (エドガワミズゴマツボ) (ウミニナ) (ホトトギスガイ) (クログチ) (マガキ) (ヤマトシジミ) (タイワンシジミ) (マシジミ) (クチバガイ) (ヒメシラトリガイ) (オオノガイ) (ソトオリガイ) ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ⑧ ○ ○ ⑨ ○ ⑥ ⑤ ④ ③ ② ① 第1表 豊川下流域の貝類 第2図 調査地点④の試料採集風景 Z ⁄ I v 25 æ ¯ I 08.04.09 08:41 AM y [ W 64

(3)

65 豊川下流域の感潮域貝類(松岡・寺本・鳥居・近藤) 種,オオノガイ科1種,ソトオリガイ科1 種であった. 今回の調査と松岡ほか(1999)と異なる 点は,感潮域の上部域(地点⑥∼⑨)にタ イワンシジミが確認され,マシジミの生息 域では大半がタイワンシジミに置き換わっ ていることである.愛知県でのタイワンシ ジミは,1997年に刈谷市,2000年に知立市 から報告されている(原田,2000). 2005年9月には「どこでもミュージアム エコ」(豊橋市自然史博物館・国立科学博 物館・東京学芸大学・朝倉川育水フォーラ ム共催行事)において,豊川支流の朝倉川 水系で確認されていたが,豊川本流でも確 認されたことになる. 地点①から採集されたカワグチツボとエ ドガワミズゴマツボ(=ウミゴマツボ)は, 愛知県レッドデータリストでは,準絶滅危 惧に位置づけられている(愛知県環境部編, 2002).エドガワミズゴマツボとクログチは, 松岡ほか(1999)では確認されていない. 地点①ないし地点②で確認されたクチバガ イ,ヒメシラトリガイ,オオノガイ,ソト オリガイは幼貝のみであった.オオノガイ, ソトオリガイは愛知県レッドデータリスト の準絶滅危惧(愛知県環境部編,2002)で ある. 豊川から記録のあるタケノコカワニナ, ヒロクチカノコ,オカミミガイ(愛知県科 学教育センター,1967;松岡,2003)のう ち,渡津橋上流から1967年と1972年に採集 されたヒロクチカノコ,オカミミガイが豊 橋市自然史博物館に寄贈された貝類標本に 含まれていた.両種は1970年代初頭まで豊 川に生存していたことを示すものである. 豊川以外の生息地では,愛知県レッドデー タリストの絶滅危惧Ⅱ類(愛知県環境部編, 2002)に分類され,生息地の環境悪化によ り県内全体で個体群が減少している.

3. まとめ

1999年以降の貝類相の変化のうち,外来 種のタイワンシジミが淡水域から感潮域の 上部で繁殖していることが最も大きなこと である.タイワンシジミの消長と他種への 影響については,追跡調査する予定である. 既知の種については,愛知県のレッドデー タリストに分類された2種が含まれている. 今回の調査方法はヤマトシジミ用の手動 マングワであったために,小型種が抜け落 ちた可能性があり,マングワの改良が必要 である. なお,調査に当り,豊川下流漁業組合の 方々に協力していただいた.ここに記して 謝意を表する. 参考文献 1)愛知県科学教育センター(1967)愛知の動物.愛知県科学教育センター. 2)愛知県環境部編(2002)レッドデータブックあいち・動物編.愛知県. 3)原田一夫(2000)タイワンシジミが愛知県に侵入.かきつばた,(26):10. 4)木村昭一・木村妙子(1999)三河湾および伊勢湾河口域におけるアシ原湿地の腹足類相.日本ベントス学会誌,54,44-56. 5)松岡敬二(2003)蜆塚遺跡出土のタケノコカワニナの意義. 浜松市博物館報,(16), 11-15. 6)松岡敬二・木村妙子・木村昭一・三谷水産高等学校増殖部・山口啓子・高安克己(1999)豊川下流域の貝類相.豊橋市自 然史博研報,(9):15-24. Z ⁄ I v 25 æ ¯ I 08.04.09 08:41 AM y [ W 65

(4)

66 豊橋創造大学短期大学部研究紀要 第25号 第3図 豊川下流域の貝類 1.イシマキガイ(殻高11.6㎜) 2.ヤマトシジミ殻表のイシマキガイの卵嚢 3.カワザンショウガイ(殻高4㎜) 4.ウミニナ(殻高27.6㎜) 5.カワグチツボ(殻高4.3㎜) 6.エドガワミズゴマツボ(殻高3㎜) 7.タイワンシジミ(殻長20.2㎜) 8. クチバガイ(殻長11.5㎜) 9.ヒメシラトリガイ(殻長12.0㎜) 10.オオノガイ(殻長21.0㎜) Z ⁄ I v 25 æ ¯ I 08.04.09 08:41 AM y [ W 66

参照

関連したドキュメント

Declaration concerning the Interim Committee for coordination of investigations of the lower Mekong basin, signed by the representatives of the goverments

また、完了後調査における鳥類確認種数が 46 種で、評価書(44 種)及び施行 前(37

平成 19 年度において最も多く赤潮の優占種となったプランクトンは、 Skeletonema costatum (珪 藻類) 及び Thalassiosira

事後調査では、ムラサキイガイやコウロエンカワヒバリガイ等の外来種や東京湾の主要な 赤潮形成種である Skeletonema

第1条

放流先 合流下水道 分流下水道 公共用水域 施設種類 特定施設 貯蔵施設 有害物質 の 使用 有 無.

産業廃棄物の種類 排    出   量. 産業廃棄物の種類 排   

D