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桜島火山降灰の配電線路への影響

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(1)

桜島火山降灰の配電線路への影響

著者

川畑 秋馬, 入佐 俊幸, 上妻 生朗

雑誌名

鹿児島大学工学部研究報告

36

ページ

65-71

別言語のタイトル

lnfluence of Volcanic Ash Fall from

Mt.Sakurajima on Distribution Lines

URL

http://hdl.handle.net/10232/12392

(2)

桜島火山降灰の配電線路への影響

著者

川畑 秋馬, 入佐 俊幸, 上妻 生朗

雑誌名

鹿児島大学工学部研究報告

36

ページ

65-71

別言語のタイトル

lnfluence of Volcanic Ash Fall from

Mt.Sakurajima on Distribution Lines

URL

http://hdl.handle.net/10232/00004619

(3)

桜島火山降灰の配電線路への影響

川 畑 秋 馬 ・ 入 佐 俊 幸 ・ 上 妻 生 朗

(受理平成6年5月31日)

lnfluenceofVolcanicAshFallfromMt・Sakurajimaon

DistributionLines

ShumaKAWABATA,ToshiyukilRISAandlkuroKOUZUMA

Distributionlinedifficultieshaveoccurredintheareashavingheavyashfall・Weinvestigate

howdistributionlinedifficultiesdependonanincreaseoftheleakagecurrentoftheinsulators

causedbythevolcanicashfall・Methodsforeliminatingtheseproblemsareexamined・The

resultsofthisinquiryaresummarizedasfollows.

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1 . ま え が き

火山降灰地域ではこれまでに,零相電圧の異常上昇 による停電事故やクランプカバーの焼損等,降灰が原 因と思われる配電線路事故が発生している。配電線路 の構成要素であるがいしやアレスタなどの汚損状態は, それらの取り付け状態及び風向きや地形など,それら が設置された場所の自然環境によりかなり異なる。ま た火山灰の‘性質も各火山の火山灰ごとに異なふよっ て電力系統の信頼‘性を向上させるためには,火山灰に よるがいしなどの配電線路の構成要素の汚損状態と配 電線路事故との関連を把握することが重要である。と ころが,塩害や雪,台風などによるがいし汚損に関し ては調査研究が精力的に行われてきているが'-5),火 山灰によるがいし汚損に関する研究は,ほとんど行わ れていない。 本論文では,火山降灰による配電線路事故を減少さ せることを目的として,火山降灰による配電線路の漏

(4)

試験用変圧器 400V/30000V 66 *火山灰:蒸留水=3009:150m’(蒸留水の粘度は1.0ImPa・sl) れ電流の増大と事故との関連を実験的に調べ,事故軽 減のための対策について検討する。そのために (1)火山灰の比電導度及び降灰量の漏れ電流特性への 影響 (2)火山降灰の高圧耐張がいし,高圧中実ピンがいし, 高圧カットアウト,アレスタなどの配電線路の構 成要素への影響 (3)火山灰汚損耐張がいしのコロナ発生と漏れ電流特 性との関連 について,桜島火山灰を用いた汚損試験により調べた。

2.実験装置とがいしの人工汚損方法

<2.1〉実験装置 図1に実験装置の概略を示す。単相200Vの電圧を 誘導電圧調整器を通して試験用変圧器で昇圧し,供試 が い し に 印 加 す る 。 供 試 が い し は 屋 外 に 設 置 さ れ た 2本の電柱間に張られた耐圧試験用裸アルミ線に取り 付けてある。供試がいしの印加電圧は試験用変圧器の 3次電圧より測定し,漏れ電流は変流器により測定し た。印加電圧をO∼7kVまで変化させた場合と, 6600/「3Vの一定電圧を印加した場合について汚損 がいしの漏れ電流特'性を測定した。 鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 3 6 号 ( 1 9 9 4 ) ︲I a 、 高 圧 耐 張 が い し b 、 高 圧 耐 塩 耐 張 が い し 図 2 供 試 が い し がいしの取り付け角度βは下向きであるが,山間部等 の上り勾配の斜面では上向きとなる。また,下向きの 場合,灰や雨ががいし下面のひだ部に入ることは少な いが,横風や下から吹き上げてくる風の場合にはその 内側に入ることも考えられる。以上より,がいしの取 り付け角度を通常の下向きから苛酷な条件を想定した 上向きまで変えて実験した。 〈2.3〉がいしの人工汚損方法 あらかじめがいしに灰が付着しやすいように水道水 を噴霧し,これに250〆mの筋を通して灰を付着させ た。降灰量は実際に配電線路事故が発生したときの降 灰量に相当する約1.2kg/m2とした。この後,噴霧器 を用いて水道水を噴霧しながら電圧を印加した。噴霧 量は雨量に換算して約10mm/時間である。火山灰は主 に桜島火山灰を使用し,比較のために雲仙火山灰も用 いた。火山灰のみ,噴霧のみ,火山灰も噴霧もない清 浄の場合についても実験した。

3.比電導度及び降灰量の漏れ電流特性

への影響

く3.1>各火山灰の成分及び電気的特性 桜島,雲仙普賢岳の火山灰の成分及び各火山灰の比 電導度やイオン成分,粘度,PH測定結果を表1に示 誘導電圧調整器 30kVA 図 1 実 験 装 置 の 概 略 -56百│過電流継電瀞 〈2.2>供試がいし 供試がいしとして,図2に示す高圧耐張がいしと高 圧耐塩耐張がいしを使用した。また,長期間火山灰に さらされたがいしの耐汚損特‘性を調べるために,桜島 南岳の西北西約3km地点で約8年間使用されたがい しを暴露がいしとして使用したi・ がいしの取り付け方向はがいしのキャップ側を接地 する方向を順方向とする。(キャップ側に加電する方 向を逆方向と呼ぶことにする。ただし,特に断らない 限り,電圧の印加方向は順方向とする。)また,通常 表 1 各 火 山 灰 の 成 分 及 び 電 気 的 特 性 比 駈 』 9 1 j L イ オ ノ ノ p p m P H I j L ノ ) | 蝿 | S / L m j t S O 比 C l m P d 、 S I O A l O S O C l そ の 他 仏 蝿 3 0 0 1 7 5 1 4 8 1 I 9 0 0 6 0 5 6 9 I 6 7 I 3 0 5 3 2 4 6 f I l 6 0 0 2 I H O I l 6 0 3 3 0 0 0 6 5 6 3 H l 5 6 0 I 4 0 0 3 2 0 4

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○0 67 0 なお,ここで示す比電導度は灰:蒸留水=109:200m@ の割合のときの値である。火山灰の比電導度はSO42-イオンやCl−イオンの量に比例していることがわかっ た。また同じ火山の火山灰でも,爆発の状態や採取地 点などにより比電導度は異なる値を示した。採取した 火山灰の比電導度は桜島火山灰で約150∼50卯S/cm, 雲仙火山灰で約30∼80ノαS/cmであった。表1に示し た比電導度の値は各火山灰の平均的な値となってい る。 図3に火山灰濃度と比電導度の関係を示す。ここで は最近採取できた降灰直後の雲仙火山灰(比電導度= 48卯S/c、)と桜島火山灰で最も比電導度が高かった 火山灰(比電導度=100卯S/c、)についても測定し た。比較のために,海水,水道水,蒸留水の比電導度 も合わせて示してある。これにより湿潤の仕方によっ ては,比電導度は海水に近い値にまで上昇することが わかった。 30 2 3 4 5 6 7 印加電圧(kV) 耐張2個 火山灰十噴霧、β=15. O桜島(1000戸S/c、) ●桜島(360戸S/c、) ○。。。 on。○ 。○

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︵くE︶填懸慕曝 ○◎︽U。◎●可 0.0︽U■︾ oQU0−■ 。︽巳 。︽HU 。○ 0.. .○ O■ロ 0 30 ◎桜島(黒神) 火山灰十噴霧、β=15° ◎雲仙(480戸S/c、) ●雲仙(80座S/c、) 耐 張 2 個

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︵くE︶矯綴暮嘆

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︵xU■ ◎0 00 ○◎ ︹5● 。◎● ○◎● 川畑・入佐・上妻:桜島火山降灰の配電線路への影響 ることがわかる。これは,表1に示すように雲仙火山 灰の粘’性が高いので,がいし表面から火山灰が流れ落 ち難くなっていることによると考えられる。 〈3.3>降灰量の影響 図6は降灰量を変えたときの漏れ電流のピーク値を 示したものである。このときの印加電圧は最大7kV である。降灰は0.15∼2.4kg/㎡とした。これより降 灰量が約0.3kg/㎡から漏れ電流は増大し始めている ことがわかる。降灰量0.3kg/㎡以下では,噴霧によ 0 図5火山灰の種類による漏れ電流特性への影響 102 〈3.2>比電導度の影響 火山灰の比電導度の違いによる高圧耐張がいしの漏 れ電流特’性への影響を調べた。取り付け角度は上向き のβ=15。とした。桜島火山灰及び雲仙火山灰につい ての結果を図4に示す。各火山灰とも,漏れ電流の最

大値は比電導度の値にほぼ比例して増大した。また,

桜島火山灰では印加電圧とともに漏れ電流値は増加し ていくのに対し,雲仙火山灰では3kV付近でピーク を迎えその後横ばいもしくは減少する特性を示した。 図5は比電導度が同程度の桜島と雲仙の火山灰を用い た,6600/,r3Vの一定電圧下での漏れ電流の時間変 化を示したものである。これより雲仙火山灰の方が桜 島火山灰より漏れ電流の減衰する割合が遅くなってい 火山灰十噴露 耐張2個、β=15. 海水 図4比電導度の漏れ電流特性への影響 ◇桜島(有 ●霊仙(島 ◆霊仙(有 0 2 4 6 8 10 12 時間(min) 0

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1 1 1 ︵EC、のE︶腿縛翻封 30 図3 桜島(36卯S/c、) 火山灰十噴霧 耐張2個、β=15. 6600/1r3V

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くE︶填綴慕曝︵くE︶填留暮曝 0-2 6600/ヘr3V 102 103 火山灰濃度(g/,) 火山灰濃度と比電導度の関係 0 1 雲仙(480〆S/c、)

(6)

I 68 7 4 図'7 図 6 降 灰 量 の 漏 れ 電 流 特 性 へ の 影 響 桜島(1000浬S/c、)耐張2個 桜島(1000煤S/c、)耐張2個0∼7000V 火 山 灰 十 噴 霧 、 6 = 1 5 。 ○ 0 6 ︵くE︶ 火 山 灰 十 噴 霧 、 8 = − 7 。 【 。

32

︵くE︶矯瞬黒嘆 oクランプカバー有り

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煙一心lme潅卿暮哩 た 。 こ れ に 対 し ク ラ ン プ カ バ ー が 有 る 場 合 は , 漏 れ 電 流はやや増大し,変動も大きくなった。これは,クラ ンプカバーを取り付けることにより,がいしのひだの 部分にクランプカバーが入り込み,がいしの沿面距離 が短くなったことによると考えられる。 〈4.2〉がいし表面の温度分布 6600/「3Vの一定電圧下におけるがいしの温度分布 を調べるために,その表面をサーモグラフイによって 観測した。図8はβ=15.における汚損時の高圧耐張 がいしと暴露高圧耐張がいしの表面の温度分布を示し たものである。噴霧を開始すると,漏れ電流の増加に 伴いがいし表面の温度が,がいしのひだの部分から徐々 に上昇し,高温部が外側へと広がっていく様子が観測 された。これは,ひだの部分に溜まった火山灰と雨水 によって電流が流れやすくなり,コロナの発生Iこよっ

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, 6 画 口 口 画 U︺ ロ 1H ロ 0 . 6 1 . 2 1 . 8 2 . 4 降灰量(kg/m2) Ⅱ 2 3 4 5 6 印加遍圧(kV) クランプカバーの有無による 漏れ電流特性の変化 鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 3 6 号 ( 1 9 9 4 ) 耐 張 が い し 2 個 ( 灰 + 噴 霧 , β = 1 5 。 ) 暴 露 耐 張 が い し 2 個 ( 灰 + 噴 霧 , β = 1 5 。 ) 図 8 が い し 表 面 の 温 度 分 布 舞唇 一 ・ 重 電 置 震 慮一謹急=霊〕. り火山灰が流れ落ちてしまい,大きな漏れ電流の増加 にはつながらなかったと考えられる。なお,鹿児島市 内の平年の月平均降灰量は約0.2kg/㎡である6)。

4 火 山 降 灰 の 配 電 線 路 へ の 影 響

く4.1>クランプカバーの有無による高圧耐張がいし の 漏 れ 電 流 特 性 クランプカバーの焼損の原因を調べるために,クラ ンプカバーの有無による汚損時の漏れ電流特性を調べ た。この試‘験では,実際の配電線路に取り付けられて いる2個連の高圧耐張がいしを用いた。このときの, がいしの取り付け角度は下向きのβ=−7。である。図 7はクランプカバーが有る場合と無い場合での漏れ電 流特性の違いを示したものである。クランプカバーが 無い場合は,漏れ電流は小さく,変動もほとんどなかつ 色 ユ 烹霊憲扉術. 一 角 童 尋 置 屋 産 墓屋 鷺.?唇産gき =.,霊冬璽嘗 霊堂 垂琶 重量 霧雪一霊 重言 塁忘琶馨 ︾・煙 "’….湾『ざ.'" 1−。.,、.貝.‘・' 型 一 . $ L 1 # 壁 ; 謡=婁識 幅』『

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︵くE︶填麓冥嘆 69 20 て温度が上昇したためと考えられる。また,暴露高圧 耐張がいしは,高圧耐張がいしよりも高温部が広いこ とが観測された。これは,暴露高圧耐張がいしでは, 長期間にわたる降灰,風雨のためにその表面が浸食さ れ,火山灰が流れ落ち難くなっているためと考えられ る。高圧耐張がいしと暴露高圧耐張がいしの最高温度 は,ともに約70℃に達した。 このように,降灰,降雨によってがいしが汚損され るとがいしのひだの部分から温度が上昇した。クラン プカバーがある場合は,熱がその内部にこもり温度は さらに上昇することが予想され,またクランプカバー を取り付けたほうが漏れ電流が増大し変動することか ら,漏れ電流が増大するような悪条件が重なった場合 にクランプカバーの焼損に至ると推測される。 〈4.3>がいしの取り付け方向による高圧耐張がいし の漏れ電流特性 図9は高圧耐張がいし2個連について,がいし取り 付け方向を順方向と逆方向にした場合の漏れ電流特性 を比較したものである。取り付け方向を逆方向にする と,がいし内側のひだ部分が火山灰により汚損され難 くできるため,漏れ電流を低い値に抑さえられた。 ○○ 謡圧カットアウト 桜島(1000脚S/C、) 火山灰十噴朔 6600/r3V 0 1 くE︶濯雷尋隣 00 0 2 1 ︵くE︶震曹尋購 0 ア レ ス タ 桜島(1000牌S/C、) 火山灰十噴鱒 6600/、r3V 0 2 4 6 8 10 時間(min) 図10高圧カットアウト及びアレスタの 漏れ電流特性の一例 では約20mAと,漏れ電流は1桁以上増大しコロナ も発生した。このときの高圧カットアウト及びアレス タの漏れ電流の時間変化を図10に示した。汚損状態 によらず,ほとんど漏れ電流の増加しなかった高圧中 実ピンがいしに対し,高圧カットアウトおよびアレス タは,この中実ピンがいしと同様にその内側が火山灰 で汚損され難い構造であるにもかかわらず,漏れ電流 は増大し,激しく変動した。

5.コロナ発生と漏れ電流特性の関連

〈5.1>取り付け角度に対するコロナ発生電圧 コロナの発生により漏れ電流の変動が激しくなるこ とから,ここではコロナ発生と漏れ電流特性の関連に ついて詳しく調べた。図11は高圧耐張がいし2個連 でのがいしの取り付け角度に対するコロナ発生電圧を 30 2 3 4 5 6 7 印加電圧(kV) 桜島(1000脚S/c、)耐張2個

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○。 川畑・入佐・上妻:桜島火山降灰の配電線路への影響 − 3 0 ‐ 1 5 0 1 5 3 o がいし取付角度8(de9) 図,,コロナ発生電圧のがいしの取付け角度依存性 0..○●

40 0 0 図9がいしの取付け方向による漏れ電流特性の変化 桜島(1000脚S/c、) 火山灰十噴覇 ◎耐張2個 △暴露耐張2個 ロ耐塩十耐張

765432

漏 れ 電 流 〈4.4>高圧カットアウト及びアレスタの漏れ電流特 性 火山灰で汚損した高圧カットアウト及びアレスタ印 加電圧に対する漏れ電流を測定した。実験に用いた高 圧カットアウト・アレスタは桜島で約8年間暴露され てきたものである。6600/「3Vの一定電圧下において, 漏 れ 電 流 は 清 浄 時 で 高 圧 カ ッ ト ア ウ ト ・ ア レ ス タ と も に 約 1 m A で あ っ た 。 こ れ に 対 し 火 山 灰 で 汚 損 し た 場合には,高圧カットアウトで約10mA,アレスタ くE︶埋心I型e填麓暮曜

000321

皇︶因瀞昧圏トロ、 0

(8)

ロ 70 0 0 2 3 4 5 時間(min) 図14暴露がいしの漏れ電流,有効電力,力率 示したものである。下向きの場合には漏れ電流が小さ いため,印加電流が7kV迄ではコロナは観測されな かった。上向きの角度が大きくなると,漏れ電流が増 大するためコロナ発生電圧も低下した。暴露がいしに おいては,がいし表面の火山灰による浸食により,非 暴露がいしより漏れ電流が大きいため,コロナ発生電 圧も非暴露より低い値を示した。また,耐張がいしの 1個を耐塩がいしに置き換えると漏れ電流値が小さく なり,そのため6kV付近までコロナは発生しなかっ た。 図12に高圧耐張がいしにおけるコロナの発生箇所 を示す。コロナは主にがいしのキャップ付近と火山灰 や水の溜まりやすい内側のひだ部分で発生した。 60 50 鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 3 6 号 ( 1 9 9 4 ) 7 1 2 3 4 56 印加電圧(kV) 図15耐張がいしの漏れ電流特‘性 図 1 3 が い し の 印 加 電 圧 と 漏 れ 電 流 の 関 係 80 甑 ︵U否■畠 1.0 〆 : コ ロ ナ 発 生 箇 所 ︵くE︶膿曙尋蛭 図 1 2 コ ロ ナ の 発 生 箇 所 5

05

、 一 ヂ 0 4 侭眉授仰 冊 0.5‘R 〈5.2〉コロナ発生時の漏れ電流波形 図13は印加電圧と漏れ電流の関係を示したものであ る。清浄図は図13(a)のように電流は電圧に対し進み 電流となるが,火山灰により汚損させると電流と電圧 はほぼ同相となり,コロナ発生時には図13(b)のよう に歪み波形となった。図14は暴露がいしの取り付け角 度β=15・に対するがいしの漏れ電流,有効電力,力 率を示したものである。6600/「3Vの一定電圧印加時 におけるそれぞれの時間変化を示しており,力率はほ ぼ1である。 暴露高圧耐張がいし2個連では噴霧を開始すると急 激に漏れ電流は増大し,ピーク値に達した後も電流は しばらく減衰しなかった。暴露がいしの漏れ電流はが いし表面の浸食により,非暴露がいしの漏れ電流より 増大し,また変動の振幅も大きくその時間も長くなった。 〈5.3>コロナ発生とがいしの連結長の関係 図15は高圧耐張がいし1個と2個の印加電圧に対す る漏れ電流特性を示したものである。汚損時の漏れ電 流は,コロナ発生時において一旦乾燥のため減少する が,再び湿潤すると増大し,乾燥と湿潤を繰り返しな がら変動することがわかった。6600/「3Vの一定電圧 20 ロ 2 C 405 10 5 ︵くE︶濃曙異喋

00

F l M p l R o 耐 張 1 個 O 耐 張 2 個 ⑨ 桜島(1000〆S/c、) 火山灰十噛蛎、0=15。

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︵くE︶矯綴暮嘆 、、QHRU RUo︽Hけ ○R︾0。④O公り 、、。。角︶角︺ 、。︹UOcQU④ QO︵凶QMu −D︽xU②QU 「 1 1 1 ト1 L 』 罰 [M︼︽輿︺容具 、︹×ロ負切 / 力案 桜島(1000#S/cm〉| 火山灰:暗霧.β=1月。’ 電 圧 電 流

ノ V V V V 燕

(b)火山灰・I噴霧〈覇ロナ発生時)

/ V V V W

(a)清浄時

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謝 辞

71 川畑・入佐・上妻:桜島火山降灰の配電線路への影響 下での漏れ電流の時間変化を図16に示す。耐張がいし 1個では,噴霧開始直後からコロナが発生するため, 電流値はそれほど大きくならない。しばらく激しい変 動が続くが,火山灰が流れ落ちてその量が減少すると コロナが消失し,湿潤により漏れ電流が増大する。こ のときコロナは発生していないためにその変動は小さ くなっている。耐張がいし2個連はこの電圧ではコロ ナの発生頻度が低かったので,降灰量を通常試験の 3倍としたときの結果を図16には示してある。 電圧の変動を小さくでき,遮断器の動作による停 電事故を軽減できる。 (4)山間部など,配電線路が上り勾配になる場合に は,がいしの取り付けを逆方向とすることにより, 火山灰や雨水ががいしの内側に溜まることがない ので,漏れ電流を小さくできる。 (5)コロナ観測から,がいし内側ひだ部分の電位傾 度が大きいことが予測される。よって,耐塩耐張 がいしと同様に,高圧耐張がいしの内側の内筒長 を長くして沿面距離を増加させると,漏れ電流は 減少し変動も小さくなると考えられる。 (6)火山灰による汚損対策は,火山灰の比電導度や 降灰量だけでなく,その粘性も考慮に入れて行う 必要がある。

6 . あ と が き

火山降灰による配電線路事故を減少させることを目 的として,火山降灰による人工汚損試験を行い漏れ電 流の増大と配電線路事故との関連について調べ,事故 軽減のための対策について検討した。その結果を要約 すると以下の通りである。 (1)がいし内側のひだ部分に火山灰が溜り小雨など により湿潤すると,がいしの絶縁抵抗が低下し漏 れ電流が増大する。さらにコロナの発生を伴い, その変動も大きくなる。 (2)火山降灰により耐張がいしの漏れ電流は増大す るが,中実ピンがいしの漏れ電流はほとんど増加 しない。また高圧カットアウトやアレスタも火山 灰により漏れ電流は増大する。 (3)配電線路において,高圧耐張がいしに耐塩耐張 がいしを組合せて使用することにより,火山灰汚 損時でもコロナの発生を抑さえられるので,零相

熱;郷『 ”

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︵くE︶填翻暮嘆︵くE︶填留暮嘆 8 耐張2個火山灰十噴露、6=15・ 桜島(1000脚S/c、) 6600/イ3V 本研究を行うにあたり,実験機材の提供を始め多大 のご支援を頂いた九州電力株式会社の関係各位に感謝 します。また本研究に有益なご助言を賜わった本学元 教授山口純一氏,同助教授前田純雄氏並びに実験に協

力頂いた松山幹男技官に感謝致します。なお,本研究

の一部は文部省科学研究費(一般研究C)によったこ とを記し,謝意を表します。

参考文献

(1)碍子汚損特性影響要因調査専門委員会:「がい し類の汚損特’性に関する現状技術の調査」,電気 学会技術報告,(Ⅱ部)第450号(1993) (2)川崎憲介・松延多喜之助・関谷昌之:「気象デー タを用いた汚損がいしの等価塩分付着密度の推定」, 電学論B,101,241-246(1981) (3)高須和彦・松田久一:「交流送電線における冠雪 がいしの耐電圧特性」,電学論B,110,404-412 (1990) (4)高須和彦・今野良雄:「汚損・雪に対する直流耐 電圧特性」,電学論B,112,42−48(1992) (5)山崎隆・瀧野陽一・松岡良輔・伊藤進:「交直変 換所交流側がいしの短時間過電圧に対する汚損特 性の研究」,電学論B,112,787-794(1992) (6)中建介・大木章・前田滋:「鹿児島の大気汚染調 査(第6報)」,鹿児島大学工学部研究報告,35, 29−37(1993) 0 2 4 6 時間(min) 図16漏れ電流の時間変化の一例

参照

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