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島嶼域におけるヤムイモ栽培とその品種保存 - 南西諸島におけるヤムイモ類 -

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Academic year: 2021

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(1)

西諸島におけるヤムイモ類

-著者

遠城 道雄, 一谷 勝之, 冨永 茂人, 日高 哲史

雑誌名

南太平洋海域調査研究報告=Occasional papers

42

ページ

131-135

別言語のタイトル

Yam's strains and their preservation

cultivated in Nansei Islands, Japan

URL

http://hdl.handle.net/10232/10155

(2)

島嶼 域 に お け る ヤ ム イ モ 栽 培 と そ の 品 種 保 存 -南 西 諸 島 に お け る ヤ ム イ モ 類-遠 城 道 雄1・ 一 谷 勝 之1・ 冨 永 茂 人1・ 日高 哲 史2 1鹿児 島大学 農学部 ・2鹿児 島大学 多 島圏研 究セ ンター 要 旨 南西諸 島で栽培 され るヤ ムイモ類 を収集 し、塊 茎の形態的特徴や 塊茎 タ ンパ ク質 につい て、調査 を行 った。その結果、ダイ ジ ョでは多 くの系統が存在す る可能性 が示唆 されたが、 聞き取 り調 査 では、 ヤムイモ 栽培 は減少傾 向にあ る ともの と認 め られ た。 キー ワー ド:遺 伝 資源保 存 、 ダイ ジ ョ、南西諸 島、 ヤムイモ

Yam' s strains and their preservation

cultivated

in Nansei

Islands,

Japan

ONJO Michio 1, ICHITANI

Katsuyuki 1, TOMINAGA

Shigeto 1

and HIDAKA Tetsushi 2

1

Faculty of Agriculture,

2

Research Center for the Pacific Islands, Kagoshima University

Abstract

Yams(Dioscorea spp.) cultivated in Nansei Islands in Japan have been collected. The

morphological characters and proteins using electrophoresis

of the collected tubers of yams were

investigated.

It was considered

that many strains of water yams were cultivated

in this area. However,

the cultivation of yams would be declining.

Key words: Genetic resources , Nansei Islands, water yam, yams

(3)

日本 で 栽 培 され るヤ ム イ モ(Dioscorea属)は 、 温 帯原 産 の ナ ガ イ モ(D. opposita)、 ジ ネ ン ジ ョ(D. japonica)お よび 熱 帯 原 産 の ダイ ジ ョ(D. alata)な どで あ る。ナ ガ イ モ は さ らに 、 ナ ガ イ モ 群 、 イ チ ョウイ モ 群 、 ツ ク ネ イ モ 群 に分 け られ 、 北 海 道 か ら九州 で 栽 培 さ れ る 。 ジ ネ ン ジ ョ は本 州 か ら九 州 で の 山 中 に 自生 し、 一 部 が 栽 培 され て い る。 一 方、東 南 ア ジ ア 原 産 の ダイ ジ ョは 、低 温 に弱 い た め、 ほ とん どが南 九州 以 南 で 栽 培 さ れ て い る。 と くに 南 西 諸 島で は 、古 くか らダ イ ジ ョが 栽 培 され て い る が 、最 近 は 、 商 品 作 物 の導 入 や 食 生活 の 変 化 な どに よ り、 これ らマ イ ナ ー な 作 物 類 は急 速 に減 少 しつ つ あ る。 しか し、 ダ イ ジ ョは 台 風 に よ る地 上 部 の損 傷 か らの 回 復 も早 く、 亜 熱 帯島嶼 環 境 に適 した 特 産 品 の 開発 とい う可 能 性 か ら見 て も、重 要 か つ 貴 重 な作 物 で あ る と考 え られ る。そ こで 、 本 研 究 で は 、 南 西諸 島 で 栽 培 され る ヤ ムイ モ類 の 栽 培 状 況 につ い て 、奄 美 大 島 、 与論 島 、 沖 縄 島 の3島 で 聞 き取 り調 査 を行 う と とも に、 上 記3島 に屋 久 島お よび 石 垣 島 を加 えた 計 5島 か ら塊 茎 を 収 集 し、 そ れ ら塊 茎 の 形 態 とタ ンパ ク質 に つ い て 比 較 調 査 を行 っ た。 材 料 お よ び 方 法 調 査 は 、2003年12月 か ら2004年1月 に か け て 、 与 論 島 、 沖 縄 島お よび 奄 美 大 島 の順 で行 っ た。 ヤ ム イ モ 類 の 栽 培 につ い て 聞 き 取 りを行 う と とも に、 塊 茎 を収 集 した 。 な お 、 屋 久 島 お よび 石垣 島 の ヤ ムイ モ は 、 両 島 の在 住者 に 収 集 を依 頼 した。 収 集 した塊 茎 は 、 形 態 的 な調 査 を 行 っ た の ち に、塊 茎 の 中心 部 を く りぬ き 、 これ を た だ ち に 、-20℃ に冷 却 し た アセ トンを 入 れ た 乳 鉢 内で 磨 り潰 して 、 吸 引 ろ過 し、 ア セ トンパ ウダー を作 成 した 。 次 に こ の ア セ トンパ ウ ダー か らタ ンパ ク質 の抽 出 を行 い 、 電 気 泳 動 法 に よ り、 タ ンパ ク質 の 違 い を検 討 した 。 な お 、 含 水 率 は 、 アセ トンパ ウダ ー 作 成 に用 い た もの と同様 の塊 茎部位 を85℃ で4日 間 以 上 通 風 乾 燥 させ て 、 生 体 重 と乾 物 重 の 差 か ら求 め た 。 結 果 お よ び 考 察 表1に 塊 茎 の 形 態 的 特 徴 、 含水 率 お よび ア セ トンパ ウダ ー 収 量 を示 した。 収 集 した 系 統 は 、屋 久 島1系 統 、奄 美 大 島2系 統 、与論 島3系 統 、沖 縄 島4系 統 お よび 石 垣 島1系 統 の 計11系 統 で あ っ た 。 な お 、本 報 告 の 系統 名 に つ い て 、 い ず れ の 系 統 と も収 集 地 で は 、 普 通 名 詞 で 呼 ば れ て お り、 品 種 レベ ル で の 固 有名 詞 は 認 め られ ず 、収 集 系統 に は 、 同 一 の も の が 含 ま れ る 可 能 陸が あ るた め 、個 体 を 区別 す る必 要 上 、 便 宜 的 に収 集 した 島名 と島 ご と の番 号 ま た は 塊 茎 色 を 系 統 名 と して 付 与 した 。 収 集 した11系 統 中 、10系 統 は ダ イ ジ ョ(D. alata)で あ った が 、 「沖 縄4」 は別 種 の タ マ ゴイ モ(D. esculenta) で あ っ た 。 タマ ゴイ モ も ダ イ ジ ョ と同様 に 東 南 ア ジ ア原 産 と さ れ 、 トゲ ドコ ロ ま た はハ リイ モ な ど と も呼 ばれ る が 、 こ こで は 、米 盛(1979)に 準 じて タ マ ゴイ モ の名 称 を使 用 した 。 米 盛(1979)は 、1972か ら78年 に か け て 、石 垣 、西表 の 両 島 で タ マ ゴイ モ の 栽 培 状 況 を調 査 して い る が 、 す で に約30年 前 に 、 タマ ゴイ モ は希 少 作 物 に な っ て い る と指 摘 して い る。 今 回 、 沖 縄 島で 栽 培が 確 認 され た の で 、 今 後 調 査 範 囲 を

(4)

表1南 西 諸 島 か ら収 集 したヤ ム イモ 塊茎 の 特 徴(2003年12月 ∼2004年1月) 系 統 名* 重 さ (9) た て (cm) 横 (cm) 幅 (cm) 含 水 率 (%) アセトンパ ウダー収 量 (%) 皮 相 色 塊 茎色 塊 茎 の 変色 屋 久島 137.0 9.5 5.2 4.9 65.6 39.9 白 白 な し 奄美1 1588.9 32.0 9.3 9.1 68.0 37.6 一 部 茶 奄美2 177.9 5.5 8.0 7.2 71.4 29.4 紫 白紫 な し 与論 赤1 384.5 17.9 6.2 5.5 78.6 24.4 うす 紫 茶 与論 赤2 328.0 16.1 6.7 6.0 78.3 23.1 紫 うす 紫 うす茶 与論 白 17.5 5.2 2.8 2.2 79.9 31.1 黄緑 白 うす茶 沖縄1 423.0 16.1 7.6 6.8 73.1 32.1 薄 い 紫 沖縄2 658.2 23.5 7.7 7.3 77.8 26.9 白 白 一 部 茶 沖縄3 521.0 13.7 12.0 6.5 80.0 21.1 白紫 な し 沖 縄4** 72.9 7.9 4.1 3.8 64.6 35.5 白 白 な し 石 垣 1087.4 26.0 9.3 8.8 70.8 29.7 な し *:本 調 査 で 収 集 し た 島 と 塊 茎 数 か ら 便 宜 上 、 命 名 し た 。

**:タ マ ゴ イ モ(Dioscorea esculenta)、 そ れ 以 外 は す べ て ダ イ ジ ョ(D. alata),

さ ら に広 め る必 要 が あ ろ う。 ダイ ジ ョ塊 茎 の 形 態 は 縦長 型(例:奄 美1)か ら丸型(同:奄 美2)、 扁 平 型(同:沖 縄3) ま で 、様 々 で あ っ た 。 塊 茎 色 お よび 皮 相 色 もダ イ ジ ョ系 統 を 区別 す る 上 で重 要 な 要 素 の ひ とつ で あ る。 皮 相 色 は 紫 色 が 多 く見 られ た が 、塊 茎 色 が 紫 色 の 系 統 が 、11系 統 中、5系 統 に及 び 、紫 色 の 状 態 も紫 か ら うす 紫 ま で ち が い が あっ た 。 また 、 白色 と紫 色 が ま だ ら に 入 る 系 統(白 紫)も 認 め られ た 。 ダイ ジ ョ紫 系 統 の場 合、 塊 茎 上 部(芽 が つ い て い る剖 立) と塊 茎 下 部 で は 、 紫 色 の パ ター ン が異 な る こ とが あ るた め、 本 来 は 、 両部位 の 断 面 を見 る 必 要 が あ る。 しか し、 本 調 査 で は 、 上部 を繁 殖 に利 用 した た め、 中央 部 か ら下部 の み の 塊 茎 色 を 見 て お り、 現 在 試 験 栽 培 を 開始 して い る これ ら系 統 につ い て 、2004年 の収 穫 後 に 再 度 の調 査 を 予 定 して い る 。 とこ ろ で 、 比 較 的 短 期 間で の 調 査 に もか か わ らず 、 収 集 系 統 に は紫 色 の ダ イ ジ ョが 半 数 を 占め て い た こ とは 、 た い へ ん 興 味 深 い 。 堀 田(2003)は 、奄 美 大 島 で は 、赤 と 白の ダイ ジ ョが栽 培 され 、1月 中旬 に こ の紅 白のイ モ で イ モ 正 月 を祝 う習 慣 が あ り、 これ は 南 方 系 の作 物 が儀 式 を 伴 っ て 持 ち込 まれ た例 で あ る と述 べ て い る。 与 論 島 で は 、紫 色 の 大 きな ダ イ ジ ョの み を ア カ ヤ マ ン と呼 ん でい る が 、 白色 系 統 には と くに呼 び 名 は な く、 区別 して い る よ うで あ る 。 八 重 山諸 島で も紫 系 統 のみ を ボ ー ウ ン と呼 ぶ と され る。 これ らの こ とか ら 本 調 査 に お け る紫 系 統 の 多 さは 、儀 式 と何 らか の つ な が りが あ る可 能 性 も推 察 され る。 次 に 、塊 茎 タ ンパ ク質 の 電 気 泳 動 に よるバ ン ドを 見 る と、 ダイ ジ ョ系 統 間 で は 一 部 に差 異 が認 め られ た が 、バ ン ドに よ り塊 茎 色 を 区分 で き る よ うな ちが い は 、認 め られ な か っ た 。 電 気 泳 動 の結 果 と塊 茎 形 態 な どを併 せ て考 え る と、 収 集 した ダイ ジ ョは 、 多 くが 異 な る系 統 で あ る もの と推 察 され る。 ま た 、沖 縄4の タ マ ゴイ モ は 、 バ ン ドパ ター ンが ダ イ ジ ョ と は 明確 に 異 な っ て お り、 塊 茎 に含 まれ る タ ンパ ク質 が 、 種 の 間で は か な り違 っ て い る こ と が 明 らか とな っ た 。

(5)

図1塊 茎タンパク質による電気泳動像 与論 島、沖縄 島お よび奄 美大 島での聞き取 り調査 において、ヤ ムイモ栽 培は、非常 に少 な く、ほ とん どが家庭菜園規模 であった。 一方 で、少 しで はあるが、奄美大 島では島内の 市場 な どに出荷 してい るケース も見 られ 、また、沖縄島で は、地域 の物産 品販売所 や那覇 空港 内の店舗 において、お土産用 として販売 されていた。奄美大 島 や沖縄 島は、与論 島 に 比べ て面積 が大 きいた め、調査地域 も限定 され、短 期間の調査で は季節性 のあ るヤムイモ 栽 培を把 握で きた とは言いがたい。 しか し、与論 島では、 ほぼ 島内全域 を回 ることが出来 たに もかかわ らず、ヤムイモ栽培 はほ とん ど行 われていなか った。 また聞き取 り調査 を行 ったほ とん どの方 か ら、以前 は栽 培 していたが、今は してい ない との回答 を得 た。同島で は、ヤムイモ以外の在来作物 ・野菜 類の調査 も行 ったが、与論カ ボチ ャ、島ダイ コン、 タ イモ(サ トイモの1種)が わずか に栽 培 されてい るだけで あった。 以上の結果 は、在来 の作 物類 が急速 に消滅 しつ つ ある現状 を端 的に示す1例 と言 える。 本 調査 で収集 したヤムイモ は、現在農学 部附属農 場指宿植 物試験場 で試験 栽培 を行 って お り、今後 葉 ・茎 な ど地上部 形態やDNAレ ベル で の検討 を行 う予定 であ る。 謝 辞 本 調査 を遂行す るに あた り、 ご協力 いただきま した与論町役 場 沖野一雄 氏、大 島新聞社

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与 論 通 信 員 林 初 枝 さん 、 奄 美 ゆ い の郷 の 皆様 、 沖 縄 県 在 住 の 永 山和 仁氏 、永 山紀 世 さ ん 、 な らび に 聞 き取 り調 査 を 快諾 して 下 さっ た 多 くの 方 々 に厚 く御 礼 を 申 し上 げ ま す 。 ま た 、電 気 泳 動 法 に つ きま して 、 ご指 導 賜 りま した鹿 児 島 大 学 農 学 部 教 授 松 尾 友 明博 士 に 深 く感 謝 い た しま す 。 引 用 文 献 堀 田 満:九 州 南 部 か ら南 西諸 島 の 自然 環 境 と人 々 の暮 ら し-交 流 と重 層 と隔離 の歴 史-. 人 環 フ ォ ー ラ ム13、40-45(2003) 米 盛 重 友:ヤ マ ノイ モ 属 生 態 に 関す る研 究 第1報 八 重 山地 方 にお け る タマ ゴイ モ の 栽 培 に つ い て.熱 帯 農 業23,63-67(1979)

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