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東日本大震災 危機発生時の対応について考える:1.固定電話と通信サービス-東日本大震災における初期対応-

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Academic year: 2021

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(1)3.11 大震災. 東日本大震災 危機発生時の対応について考える. 特別企画. 1. 固定電話と通信サービス─東日本大震災における初期対応─ 小出利一 (株)NTT-ME<元 東日本電信電話 (株) >. 固定電話ネットワークの運行. 制御回線が地震の影響ですべて切断され,遠隔起動. トラフィックコントロール. できない状況が発生していた.このため接続制御装.  大規模な災害等が発生すると,その直後から,い. 置を予備センタの装置に切り替え,予備センタで装. わゆる「安否確認や見舞いのための通信」が大量に発. 置を直接操作・起動してサービスを開始した.. 生する.その通信量は,平常時の数倍から場合によ.  震災の翌日には 1 日で約 79 万件(録音と再生の. っては数十倍となり,交換機が次々と処理不能とな. 総件数),1 カ月で約 300 万件もの利用回数を記録し,. ること(=異常輻輳)が懸念される.一方で重要な通. これは過去最高利用の新潟県中越地震(約 30 万件). 信は接続する必要があるため,一般通話のトラフィ. を大きく超えている.. ック制御が必要となる.今回も,地震発生直後から.  地震発生日から翌日にかけては,首都圏の帰宅困. トラフィックが急増し,ピーク時約 70%(被災地向. 難者による利用など,これまでにない利用形態があ. け通話) の接続規制を実施して重要通信確保に努めた.. ったことも特筆すべき点である..  接続規制値について,最大約 90%と言われている.  災害時に「確実につなぐ」大事なコミュニケーショ. のは,被災地向け通話でなく,関東エリアの帰宅困. ンツールである災害用伝言ダイヤルについて,今回. 難者による通話急増への規制ピーク時の数値であり,. の震災を通じて改めてその重要性を実感し,災害時. 被災地向けだけで言えばピーク時 70%規制であった.. の通信確保のあり方について早急に検討を進め,改 善していくことが重要と再認識した.. 通信利用状況からの考察  固定電話サービスでは,阪神・淡路大震災 および新潟県中越地震 (2004.10.23) (1995.1.17) が観測されたのに対し,今回は 8 倍から 9 倍 のトラフィックにとどまっている (図 -1) .  この理由として考えられるのは,①以前に 比べ携帯電話の利用が増加し,固定電話利用 が減少した,②地震による影響が広いエリア. 全国⇒宮城県向けトラフィックは, (参考)      平常時の約9 倍. 全国⇒岩手県向け:約8 倍 全国⇒福島県向け:約8 倍. Call/分. で,いずれも平常時の約 50 倍のトラフィック. (加わった呼 数). 15時03分. 地震発生 1 4:4 6 平日再繁時(2 0 1 1. 3/7(月) ) 1 2 :0 0. 1 8 :0 0. 0 0 :0 0. 0 6 :0 0. 3月1 1日(金). って使用できない通信端末があった,などが 挙げられる.. 1 2 :0 0. 1 8: 00. 3月1 3日(日). 災害時の被災地への安否確認呼等の殺到による輻輳緩和を目的とし, 全国約50カ所に音声蓄積装置を分散配置 (被災地内の電話番号下3桁により振り分けて伝言を蓄積) 音声蓄積 装置. 全国約50台 音声蓄積 装置. 発生時に被災地への通信が増加し,つながり. 音声蓄積装置. 音声蓄積 装置. ルサービスを提供している (図 -2) .. 音声蓄積 装置. 100. 録音. 199. 再生. ∼. にくい状況となった場合,災害用伝言ダイヤ. 1062 情報処理 Vol.52 No.9 Sep. 2011. 0 6 :0 0. 図 - 1 全国から宮城県への通信トラフィック.  NTT 東日本では,地震や噴火などの災害. めに複数の接続制御装置があるが,この遠隔. 0 0 :0 0. (注:NTT 東日本が提供する固定電話,ひかり電話向け). 災害用伝言ダイヤルの提供.  災害用伝言ダイヤルでは,信頼性確保のた. 1 8 :0 0. 3月1 2日(土). に及んだため,結果としてトラフィックのエ リア分散が図られた,③広域停電の影響によ. 1 2 :0 0. 登録電話番号 022 -***- *111. 音声蓄積 装置. 図 - 2 災害用伝言ダイヤルの設置概要.

(2) 状況把握とサービス確保. [設 置 回 線 / 設 置 個 所] 2500. 広域停電の影響  ネットワーク設備の被災状 況把握は初動として重要であ. 2000 設置回線 1500. る. し か し今回 の震 災 では,. 1,400 の通信ビルで停電が発生).. 5/5. 5/1. 4/25. 4/20. 図 - 3 特設公衆電話等の設置状況. 状況把握ができず,他の周辺 情報から判断して対応を実施した(ピーク時には約. 4/15. 4/10. 4/5. 4/1. 続 い た. 特 に 停 電 の 正 確 な. 0. インターネット設置個所. 3/25. 握が行えない状況がしばらく. 500. 3/20. 響を受け,正確な被災情報把. 設置個所. 3/15. 断され,監視制御用回線も影. 1000. 3/12. 中継伝送路約 90 ルートが切. 大規模災害時の支援 公衆電話無料化と特設公衆.  通信ビルには,バッテリと非常用エンジン(大き.  NTT 東日本では,震災発生の夕方から順次,東北. な通信ビルのみ)があり,さらに非常時には移動電. から関東エリアにかけた広い範囲の公衆電話を無料. 源車が駆けつけて給電することとなっているが,あ. 開放した.その期間は,関東エリアでは震災から約. まりに広い範囲の停電で対応が追いつかず,一部地. 1 週間,被災地域ではおおむね 1 カ月であった.首. 域ではサービス停止となる事態が発生した.. 都圏でも,震災直後の帰宅困難者に提供し,災害時.  一方で電力会社の復旧作業によって電力供給が回. の通信確保の重要性を再認識した.. 復した通信ビルでは,その後,通信設備の再起動や.  また,被災地の避難所などに,無料で利用できる. 遠隔による試験などを実施して通信サービスの正常. 特設公衆電話を設置して通信サービスの提供に努め,. 性を確認した上で,移動電源車を電力未復旧の別の. さらにインターネット利用のための無料 PC の設置. ビルに移動させるなどの対応を行った.. を進めるなど(図 -3),被災者や支援者の利用環境.  今後,バッテリの保持時間や移動電源車配備など. の整備を行っている.. を含めて,災害時の停電発生に備えた通信ビルの電 源確保について,改めて検討する必要があると考え. 今後に向けて. ている..  阪神・淡路大震災,新潟県中越地震などの経験を 通じて,さまざまな改善施策やネットワークの強化. 津波の影響. を図ってきたが,今回の大震災は【広範囲,長時間.  前項で述べたとおり,一部の監視制御線が途絶し. 停電,津波被害(原発事故含む)】であり,どれも想. たため,震災直後からしばらくは正確な状況が把握. 定を超えた規模で,大規模災害への備えや対応につ. できない事態に陥った.特に沿岸部の通信ビルにつ. いて改めて考え直す必要があると認識した.. いては,停電状態か/津波で通信ビル自体が破壊さ.  通信設備のさらなる信頼性向上や迅速な復旧のた. れたのか/監視制御線だけが途絶したのか,などが. めの災害用機器の配備拡充,災害用伝言ダイヤルのサ. 正確に把握できず,震災発生翌日以降の現地視察に. ービス性向上など,災害に強いネットワークを目指し. よって詳細が判明した.. て,今後もさまざまな改善に取り組むこととしている..  津波による直接被害としては,通信ビルの損壊,建 物の浸水,中継ケーブルや加入ケーブルの損傷,中 継ビル(親局)損壊による影響などであった.その後, 各々の被害に応じた設備回復措置とサービス復旧の対 応に追われた.. (2011 年 5 月 23 日受付). 小出利一 ■ [email protected]. NTT 東日本で,ネットワーク設備の大規模故障などに備えた危機管 理や施策の安全評価を担当.東日本大震災では,NW 運行チームリ ーダとして,通信サービスレベルの維持・回復に奔走.2011 年 7 月 より(株)NTT-ME に所属.. 情報処理 Vol.52 No.9 Sep. 2011. 1063.

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