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〈論文〉近年のマネーサプライ伸び悩みの背景--パネル・データを用いた都道府県別預金の実証分析

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Academic year: 2021

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(1)7. 生駒 経済 論叢. 第4巻. 第2号2006年12月. 近 年 の マ ネ ー サ プ ラ イ伸 び 悩 み の 背 景 パ ネル ・デ ー タを用 いた都 道府 県別預 金 の実証分 析. 安 概要. わ が 国 で は,近. 年,マ. 孫. 子. 勇. ネ ー サ プ ラ イM2+CDが. 一・ 伸 び 悩 ん で い る。 デ ー タ 数 の 制 約 か. ら,全 国 ベ ー ス で は 十 分 な 計 量 分 析 が 困 難 だ が,M2+CDの. 大 部分 を 占め る預金 につ い て. は都 道 府 県 別 デ ー タ が 得 られ る。 預 金 に影 響 す る各 種 要 因 も含 め た都 道 府 県 別 の動 向 を み る と,地 域 間 格 差 は か な り大 き く,多 様 な 推 移 を 辿 っ て い る。 そ こ で,都 デ ー タ を作 成 し,M2+CD低. 道 府 県別 パ ネル ・. 迷 の 背 景 を 探 る。. 貨 幣 需 要 関 数 か らの 類 推 等 に ょ り,県 内 総 生 産,預 金 金 利 の ほ か,資 産 価 格(地 価,株 価), 貸 出 を 説 明 変 数 と した パ ネ ル 分 析 を 行 っ た。 都 道 府 県 別 預 金 の 伸 び は,貸 相 関 が み られ た 。 ま た,地. 出 の 伸 び と強 い順. 価 な ど他 の 説 明 変 数 との 間 で も,想 定 さ れ る 符 号 条 件 を ほ ぼ 満 た. した 有 意 な 推 計 結 果 が 得 られ た 。 ま た,個. 人 預 金 ・法 人 等 預 金 別 の 推 計 や,バ. 徴 を 確 認 した。 こ れ らの 推 計 結 果 か らみ て,長. ブ ル 崩 壊 前 後 別 の 推 計 も行 い,そ. れ ぞ れ の特. 引 く地 価 の 下 落 や 貸 出 の 減 少 が 近 年 の マ ネ ー. サ プ ラ イ 低 迷 の 背 景 で あ る と考 え ら れ る。. キー ワー ド. マ ネ ー サ プ ラ イ,都. 道 府 県 別,パ. ネル分 析. 原 稿 受 理 日2006年9月25日. Abstract Japan.. Sluggish growth of money supply M2+CD has recently been observed in Here I examine prefectural. nents of money supply M2+CD.. diversity. of deposits which are main compo-. I make the assumption. that prefectural. economic. growth rates, changes in interest rates, bank loans and asset prices (land and stock) influence the growth rates of deposits. Panel Data analysis shows that almost all explanatory. variables produce significant. I have also checked structural omy in Japan.. to—be—expected effects.. changes before and after the burst of babble econ-. In addition, I have divided prefectural. dividuals and those held by corporations.. deposits into those held by in-. Results suggest. that prolonged. decline. in bank lending and land prices are the main causes of recent sluggish monetary growth in Japan. Key words. money supply, prefectural. date, panel data analysis. 1 ( 133 )—.

(2) 第4巻. 1.は. 第2号. じ. め. に. 近 年 の わ が 国 の マ ネ ー サ プ ラ イ の 推 移 を み る と,M2+CDの 的 緩 和 政 策 の 時 期(2001年3月 も拘 わ らず,こ M2+CDの. ∼2006年3月)に. 伸 び が 低 迷 し て い る。 量. ハ イ パ ワ ー ドマ ネ ー が 大 幅 に拡 大 した に. う した 現 象 が 続 い て い る。 安 定 的 と思 わ れ て い た ハ イ パ ワ ー ドマ ネ ー と. 関 係 が 変 化 した謎 を 解 く一 つ の ¢c:Eは,資 産 価 格 の 動 向 や,金 融 機 関 の 貸 出 動 向. に あ る と考 え られ る。 日本 経 済 全 体 で は,デ. ー タ数 の制 約 もあ って これ らの 影 響 を 十 分 に. 捉 え る こ とが 現 時 点 で は難 し い が,都 道 府 県 別 デ ー タ を 用 い れ ば,資 産 価 格 等 の 多 様 性 を 反 映 して 解 明 で き る可 能 性 が あ る。 本 稿 の概 要 を 予 め 要 約 す る と,次 の と お りで あ る(1)。 本 稿 で は,マ ネ ー サ プ ラ イ の 大 宗 を 占 め る預 金 に つ い て,信 頼 で き る都 道 府 県 別 統 計 が あ る こ と に 着 目 し,1976∼2003年. 度 の28年 間 の パ ネ ル ・デ ー タ に 基 づ い て,通 貨 需 要 関 数. に 準 ず る もの を 分 析 し た。 そ の 際 に は,デ ー タ の定 常 性 等 を 勘 案 して,原 則 と して 前 年 比 の計数 を用 い た。 そ の 結 果,都. 道 府 県 別 の"一 人 当 た り実 質 預 金"に"一. 人 当 た り実 質 県 内 総 生 産"の. ほ. か,地 価 や貸 出 等 が 概 ね 有 意 に影 響 を 与 え て お り,地 価 下 落 率 が 高 い ほ ど"一 人 当 た り実 質 預 金"の. 伸 び が 低 い こ と,金 融 機 関 の 貸 出 意 欲 の 代 理 変 数 と考 え られ る実 質 貸 出 が 伸 び. て い る地 域 で は"一 人 当 た り実 質 預 金"の 伸 び も高 い こ と,等 が 実 証 的 に確 認 で き た。 ま た,バ. ブル 崩 壊 の 前 後 の 期 間 に分 け て 推 計 して み た が,こ. う した 関 係 が い ず れ の 期 間 に も. 概 ね成 立 して い る こ とが 確 認 で き た。 も っ と も,バ ブ ル 崩 壊 後 に は,地 価 の 係 数 が 上 が っ た 一 方,"一. 人 当 た り実 質 県 内 総 生 産"と. 次 に,預 金 統 計 で は,そ. 実 質 貸 出 の 係 数 は低 下 して い る。. の 内 訳 と して の 個 人 預 金 デ ー タ を1980年3月. 別 で得 られ る た め,個 人 預 金 と法 人 預 金 等(公 1980∼2003年. 金 預 金,金. 末 以 降,都. 融 機 関 預 金 を含 む)に 分 け て,. 度 の24年 間 の パ ネ ル ・デ ー タ で 同 様 の 分 析 を 行 っ た 。 ま た,バ. 後 に分 け た推 計 も行 った 。 こ の 結 果,地. 道府 県. ブル崩 壊 の前. 価 上 昇 率 は"一 人 当 た り実 質 個 人 預 金"の. 増加 率. に 有 意 な 影 響 を 及 ぼ して い る一 方,"一 人 当 た り実 質 法 人 預 金"の 増 加 率 に は 有 意 な 影 響 が み ら れ な か っ た(も. っ と も,バ ブ ル 崩 壊 後 に は 法 人 等 預 金 に も有 意 な 影 響 が 窺 え る)。 こ. れ に 対 し,"一 人 当 た り実 質 県 内総 生 産"や,貸. 出意 欲 の 代 理 変 数 は,法 人 預 金 の み な ら. (1)本 稿 の作 成 に あ た り,筒 井 義郎 教授(大 阪大 学),松 浦 克 己教 授(広 島大学,原 論 文 を 日本 金 融学 会2003年 度春 季大 会 で発表 した際 の討 論者)か ら有益 な コメ ン トを多数頂 いた こ とに感謝 の 意 を表 したい。 もっ とも,あ りうべ き誤 りは全 て筆 者 の責 任 に よる もので あ る。 2(134)一.

(3) 近年 のマ ネーサ プ ライ伸 び悩 みの背景(安 孫子) ず 個 人 預 金 に も概 ね 有 意 な 影 響 を及 ぼ して い る。 ま た,バ 個 人 預 金 ・法 人 預 金 と も に 上 昇 して い る一 方,"一. ブ ル 崩 壊 後 に は,地 価 の 係 数 が. 人 当 た り実 質 県 内 総 生 産"と. 実質 貸 出. の 係 数 が 法 人 預 金 で 大 き く低 下 して い る こ とが 判 明 した 。 こ う し た 日本 経 済 の 特 性 を勘 案 す れ ば,ハ. イ パ ワー ドマ ネ ー の 供 給 だ け で マ ネ ー サ プ ラ. イ を拡 大 す る こ と は 困 難 で あ り,地 域 経 済 の 活 性 化 や 貸 出 意 欲 の 活 発 化 を 図 る ほ か,地 価 の 下 げ止 ま りを 図 る こ と も大 切 で あ る と思 わ れ る。. 2.問. 2.1.全. 国 的 に み た マ ネ0サ. 題. 意. プラ イの近 年 の特 徴. 日本 銀 行 が 量 的緩 和 政 策 を 実 施 した 時 期(2001年3月 ドマ ネ ー が 当 初3年 (M2+CD)は,月. 識. 間 に わ た り前 年 比2桁. ん2006年3月)に. は,ハ イ パ ワー. の 高 い 伸 び を 続 け た もの の,マ. 々 の 振 れ を伴 い な が ら も,前 年 同月 比+1.3∼+3.7%程. ネ ーサ プ ライ 度 の低 い伸 び に. 止 ま って い た(図1)。 こ う した差 異(換. 言 す れ ば 貨 幣 乗 数 の 大 幅 な 変 動)が. 発 生 した 理 由 は,色. 々 と考 え られ. る。 マ ネ ー サ プ ラ イ が 銀 行 な ど通 貨 発 行 主 体 の 負 債 で あ る こ とに 注 目 した 「通 貨 発 行 主 体 の バ ラ ン ス シ ー トア プ ロ ー チ 」(2)に 立 て ば,銀 行 等 の バ ラ ン ス シー ト制 約 か ら資 産 側 の 動. 図1全. 国 の マ ネ ー サ プ ラ イ 等 の 推 移(前. 年 比%). (2)日 本 銀 行 調 査 統 計 局(2001)3-10∼3-12で は,マ ネ ー サ プ ラ イ の 変 動 に関 す る分 析 手 法 の 一 つ と して,「 通 貨 発 行 主 体 の バ ラ ン ス シ ー トア プ ロ ー チ」 を 「通 貨 保 有 主 体 の バ ラ ン ス シ ー トア プ ロー チ」(マ ネ ー の 個 人 等 の 資 産 と して の側 面 に 注 目 した も の)と と も に紹 介 して い る。 -3(135)一.

(4) 第4巻. 第2号. き が 重 要 な 要 因 と され る。 こ の 観 点 か らは,量. 的緩 和期 の マ ネ ーサ プ ライ の伸 び低 調 の背. 景 と し て,銀 行 等 の 貸 出(3)が低 調 だ っ た こ と が 指 摘 で き る。 日本 銀 行 の 公 表 デ ー タ 「マ ネ ー サ プ ラ イ(M2+CD)増 以 降,貸. 減 と信 用 面 の 対 応 」 に 基 づ い て 要 因 分 解 した と こ ろ,2000年. 出 が マ ネ ー サ プ ラ イ前 年 比 を,バ. て い る様 子 が 窺 え る(図2,こ は,1990年. 押 し下 げ. の 統 計 は2003年 末 ま で で 発 表 が 取 り止 め られ た)。 こ の 点. 頃 ま で 貸 出 の 増 加 と マ ネ ー サ プ ラ イ の 増 加 が ほ ぼ パ ラ レル に動 き(図3),貸. 図2M2+CD増. 図3M2+CD増. (3)民. ラ ンス シ ー ト制 約 を 通 じて2∼3%方. 減 の 信 用 面 の 対 応(寄. 与 後,%). 減 の 信 用 面 の 対 応(1975∼95年,寄. 与 後,%). 間 向 け貸 出 と地 方 公 共 団 体 向 け 貸 出 の 合 計 で グ ラ フ を 作 成 した。 -4(136)一.

(5) 近年 のマネ ーサ プ ライ伸 び悩 みの背景(安 孫子) 出 の 伸 び が 預 金 の 伸 び を もた ら した 可 能 性 が 高 い の と は,対 照 的 な 姿 と な っ て い る。 安 孫 子(2006)第8章. で も指 摘 した 信 用 創 造 の 機 能 不 全 の メ カ ニ ズ ム が 働 い た と考 え られ る。. こ う した マ ネ ー サ プ ラ イ の 動 き を 分 析 す る際 に は,通 貨 需 要 関 数 の 考 え 方 が 用 い られ る こ と が 多 い 。 そ の 前 提 と して,貨 幣 数 量 説 を意 識 して,"実. 質 マ ネ ー サ プ ラ イ と実 質GDP. の 間 に は 長 期 的 に み る と安 定 的 な 関 係 が あ る"と 言 わ れ て い る。 そ こ で,対 数 グ ラ フ を作 成 した と こ ろ,近 年 は 両 者 の 関 係 が 不 安 定 に な っ て い る よ う に み え る(図4の. 楕 円 の 中)。. ま た,宮 尾(2006)は,第4章. ほか に金 利. を 説 明 変 数 に 加 え たM2+CDの M2+CDベ. で 貨 幣 需 要 関 数 を 論 じて い る が,実 質GDPの. 貨 幣 需 要 関 数 を 推 計 した と こ ろ,共 和 分 関 係 が 見 出 せ ず,. ー ス で は 貨 幣 需 要 関 数 が 不 安 定 で あ る と指 摘 して い る。 も っ と も,デ ー タ数. の 制 約 か ら,計 量 分 析 に よ りそ の 背 景 を 探 る こ と は 容 易 で は な い 。 も し,マ ネ ー サ プ ラ イ の デ ー タ を 都 道 府 県 別 に と る こ とが で き れ ば,地 域 経 済 の 多 様 性 を 反 映 して,そ の 変 動 要 因 を 詳 し く分 析 で き,デ ー タ数 の 制 約 を 克 服 で き る可 能 性 が あ る。 こ の 条 件 を100%満 る 「 預 金 通 貨+準. た した 統 計 は残 念 な が ら存 在 し な い が,マ 通 貨 」(両 者 で マ ネ ー サ プ ラ イ の 約9割)に. 図4実. 質GDPと. ネ ーサ プ ライ の大宗 を 占め つ い て は,都 道 府 県 別 の デ ー. 実 質 マ ネ ー サ プ ラ イ(M2+CD) 5(137)一.

(6) 第4巻 タ を 時 系 列 で 得 られ る(4)。そ こで,マ パ ネ ル ・デ ー タ を 用 い て,預. 2.2.都. 第2号. ネ ー サ プ ラ イ 分 析 の 第 一 次 接 近 と して,都. 道府 県 別. 金 変 動 の 要 因 分 析 を 試 み る。. 道 府県 別預 金 の 多様 な動 き. そ こ で,預 金(全. 国 銀 行+相. 県 別 の 動 き を 日本 銀 行 統 計(店 こ ろ,地 域 別 に は,決. 互 銀行 の計数. マ ネ ー サ プ ラ イ の 約3/4に. 相 当)の 都 道 府. 舗 所 在 地 べ 一 ス で 各 都 道 府 県 に 分 類)に 基 づ い て み た⑤ と. して 一様 で は な い。 前 年 比 伸 び率 が 最 大 の 都 道 府 県 と最 小 の都 道 府. 県 を 比 べ る と,年 毎 の 振 れ を伴 い つ つ,6∼27%ポ. イ ン トの 乖 離 が み られ る(図5,1976. ∼2003年 度 の 平 均11 .8%ポ イ ン ト)。 こ う した 差 異 が 生 じた 理 由 を,地. 域 経済 な どの影 響. も含 め て,多 面 的 に 検 討 す る こ と と した い。 ま た,預 金 統 計 に つ い て は,1980年3月. 末 以 降,内 訳 で あ る 個 人 預 金(個. 人 企 業 分 も含. む)の 都 道 府 県 別 統 計 が 得 られ る(日 本 銀 行 『都 道 府 県 別 経 済 統 計 』,金 融 広 報 中 央 委 員 会 ほ か)。 全 国 銀 行 の個 人 預 金 は,2003年. 図5預. 度 末 の 全 国 銀 行 預 金 の64%と. 金(前. 年 比%)の. 過 半 を 占め て い る. 推移. (4)マ ネ ー サ プ ラ イ(M2+CD)は,現 金 通 貨(銀 行 券+コ イ ン),預 金 通 貨(要 求 払 預 金),準 通 貨(定 期 性 預 金 等),CD(譲 渡 性 預 金)に よ り構 成 さ れ る が,預 金 通 貨 と準 通 貨 の合 計 額 で あ る 「預 金 額 」 に つ い て は,都 道 府 県 別 の デ ー タ を 日本 銀 行 が 公 表 して い る。 マ ネ ー サ プ ラ イ(M2+CD)の 集 計 対 象 金 融 機 関 は,全 国 銀 行,在 日外 銀 信 用 金 庫,信 金 中 金,農 林 中 金,商 工 中金 等 で あ る が,以 下 の 分 析 で は,預 金 通 貨 の8割 強 を 占 め る全 国 銀 行(旧 相 互 銀 行 を 含 む)の 計 数 を 用 い た。 都 道 府 県 別 で 個 人 預 金 デ ー タ が 継 続 して 得 られ る の は,全 国 銀 行 の み だ か らで も あ る 。 (5)日 本 銀 行r都 道 府 県 別 経 済 統 計 』 ほ か で 得 られ た 年 度 末 値 の 対 前 年 比 に よ り グ ラ フ を 作 成 し た 。 年 度 末 値 は,金 融 機 関 の 「期 末 嵩 上 げ」 に よ り実 体 以 上 に膨 らん で い る恐 れ が あ る が,① 過 去 の 相 互 銀 行 の 時 系 列 が3月 末 分 しか得 られ な い こ と,② 期 末 嵩 上 げ の 程 度 が 大 き く変 動 しな い か ぎ り,前 年 度 末 比 へ の 影 響 は 限 定 的 で あ る こ と,か ら年 度 末 値 を用 い る こ と と した 。 -6(138)一.

(7) 近 年 のマ ネーサ プライ伸 び悩 みの背景(安 孫子) が,こ. の 推 移 を み る と,都 道 府 県 別 に 大 き な 差 異 が 窺 え る 。 前 年 比 が 最 大 の都 道 府 県 と最. 低 の 都 道 府 県 を 比 べ る と,毎 年5∼17%ポ 度 の 平 均8.2%ポ. イ ン トの 乖 離 が み られ る(図6,1980∼2003年. イ ン ト)。. ま た,都 道 府 県 別 の 預 金 全 体 か ら個 人 預 金 分 を差 し引 く こ と に よ って,法 (公 金 預 金 や 金 融 機 関 預 金 を 含 む,2003年. 度 末 の全 国銀 行 預 金 の36%)が. 得 られ る。 法 人 等. 預 金 の前 年 比 は,個 人 預 金 よ り も都 道 府 県 別 格 差 が ず っ と大 き く,11∼47%ポ 離 が み られ る(図7,1980∼2003年. 度 の 平 均23.8%ポ. 図7法. 人 預金(前 年比%)の. 人 預 金 等(前 一7(139)一. イ ン トの 乖. イ ン ト)。 法 人 預 金 等 の 大 き な 変 動 が. 預 金 全 体 の 変 動 に も少 な か らず 影 響 して い る様 子 が 窺 え る。. 図6個. 人等 の預金 額. 年 比%)の. 推移. 推移.

(8) 第4巻. 3.推. 3.1.先. 第2号. 計 式 とデ ー タ. 行研究. マ ネ ー サ プ ラ イ の分 析 で は,通 貨 需 要 関 数 の 推 計 が 行 な わ れ る こ と が 多 い。 本 稿 で は, 都 道 府 県 別 預 金 の 動 向 に つ い て,基. 本 的 に は通 貨 需要 関数 の考 え方 を用 いて 分析 を進 め. る。 マ ク ロ経 済 全 体 の通 貨 需 要 関 数 を 推 計 した先 行 研 究 は 多 数 み られ る。 近 年 の わ が 国 で の 研 究 で は,説. 明変 数 と して,従 来 か ら用 い られ て い る実 質GDPの. 残 高 を 加 え た 推 計 が 行 わ れ,土. ほ か,地 価 や 金 融 資 産. 地 な ど の 資 産 価 格 の 動 向 が 通 貨 需 要 に概 ね 有 意 に影 響 して. い る こ と が 指 摘 され て い る(日 本 銀 行(1997))。. ま た,単 位 根 の 関 係 で,マ. と所 得 の 間 に 共 和 分 の 関 係 が あ る か ど う か が 問 題 と され る こ と も多 い(同,細 三 平(2001),宮 次 に,ク. 尾(2006)ほ. ネー サ プ ライ 野 ・杉 原 ・. か)。. ロ ス セ ク シ ョ ンあ る い は パ ネ ル ・デ ー タ を 用 い て 分 析 した先 行 研 究 と して は,. ま ず,MulliganandSala-i-Martin(1992)が. 挙 げ られ る。 こ の 論 文 は,1929年. ∼1990. 年 の 米 国48州 別 の 預 金 デ ー タ 等 を 用 い て 分 析 し,金 利 と物 価 が 各 州 で 同 一 な ど と い っ た仮 定 の も と で,被 説 明変 数 を"一 人 当 た り預 金 額"(現. 金 通 貨 を 含 ま な い),説. 人 当 た り所 得",状. と した 推 計 を行 って い る。 そ の結 果,. 態 変 数(人. 口,人. 口密 度 な ど)等. 長 期 間 に亘 っ て通 貨 需 要 関 数 が 驚 くほ ど安 定 的 で あ っ た こ と(大 不 況 期,石. 明 変 数 を"一 ・. 油危 機後 の イ. ン フ レ期 を 含 む),通 貨 需 要 の 所 得 弾 力 性 が 概 ね1を 超 え て い る こ と(大 体1.1∼1.3と して い る),な. どを 指 摘 して い る。 も っ と も,こ の 推 計 で は,州 毎 の 物 価 上 昇 率 の 差 異 を 勘 案 し. て い な い こ と等 に 注 意 を 要 す る 。 わ が 国 の 通 貨 需 要 関 数 を パ ネ ル ・デ ー タ で 分 析 し た 先 行 研 究 と して は,Fujikiand Mulligan(1996)が1955∼1990年 て,通 をCPIで. の都 道府 県 別 の預 金 お よび県 民所 得 の年 次 デ ー タを用 い. 貨 需 要 関 数 を推 計 した もの が あ る。 こ の 論 文 は,都 道 府 県 別 の"一 人 当 た り預 金 額 実 質 化 した もの"(対. 実 質 化 し た もの"(対. 数 値)や. 数 値)を. 被 説 明 変 数 と し,"一 人 当 た り県 民 所 得 をCPIで. 「金 融 取 引 技 術 の 各 県 に お け る相 違 の 代 理 変 数 等 を 含 む 説. 明 変 数 の ベ ク トル 」,「県 別 預 金 統 計 と 県 民 所 得 統 計 の 不 整 合 性 に対 処 す る た め の 変 数 」 を 説 明 変 数 と して 推 計 を 行 っ て い る⑥。 色 々 な 推 計 の 結 果,通. 貨 需 要 の 所 得 弾 力 性 は1.2∼. (6)FujikiandMulligan(1996)の 推計 式 の表記 に 当た って は,藤 木(1998年)p175∼p183の 表 現 を用 い た。 同論文 で は,「金 融取 引技術 の各 県 に お ける相違 の代 理 変数 等 を含 む説 明変 数 のべ/ -8(140)一.

(9) 近年 の マ ネーサ プ ライ伸 び悩 みの背景(安 孫子) 1.4程 度 と推 定 し て い る。 こ の 研 究 は 本 稿 の 問 題 意 識 に か な り近 い が,① 1990年 と,バ. 推 計 の終 期 が. ブ ル 崩 壊 後 の デ ー タ を 含 ん で い な い こ と,② 地 価 な ど資 産 価 格 に 関 す る説 明. 変 数 が み られ な い こ と,③ 成 長 ト レ ン ドの 強 い 時 期 に デ ー タ の 定 常 化 を あ ま り意 識 せ ず 回 帰 分 析 して い る こ と,④ 個 人 預 金 ・法 人 預 金 別 の 特 性 につ い て 分 析 して い な い こ と,等 が 本 稿 の 設 定 と大 き く異 な って い る。 こ の ほ か,個 人 の 通 貨 需 要 に 関 す る研 究 と して は,松 浦 ・竹 澤(2001)が1993,1994年 の 貯 蓄 動 向 調 査 と家 計 調 査 の 勤 労 者 世 帯1,812サ ン プル を 対 象 に,所 得 ・消 費 弾 性 値 を 推 計 した 研 究 が あ る。 具 体 的 に は,実 質 預 金 残 高(銀 被 説 明 変 数 に,実 質 所 得 あ る い は 実 質 消 費(い あ る い は 税 引 後 金 利 差),被. 説 明 変 数 の1期. 行 の通 貨 性 預 金+定 ず れ も対 数 値),利. 期 預 金 の 対 数 値)を. 子 率(税. 引後 銀 行 金 利. ラ グ,「 所 得 に 関 す る 指 標 」,「資 産 に 関 す る指. 標 」,「地 域 間 の差 を 表 わ す 指 標 」,「家 計 の 属 性 等 」 を 説 明 変 数 に して 精 緻 な 推 計 を 行 って い る⑦。 こ の 結 果,所. 得 あ る い は 消 費 の 弾 力 性 は1よ. り も小 さ い,等. の推 計 結 果 を 得 て い. る。 「資 産 に 関 す る指 標 」 の な か で,「 地 価 変 化 率 ×持 ち 家 ダ ミー 」 が 説 明 変 数 に加 え られ て い る が,4つ. の パ タ ー ン の 推 計 の い ず れ で も この 変 数 が 有 意 に 実 質 預 金 残 高 に影 響 して. い る と い う結 果 は得 られ て い な い 。 土 地 売 却 に よ る収 入 等 が 原 デ ー タ で は 捉 え き れ て い な い 可 能 性 が あ る。 ま た,① 特 定 の 時 期 の デ ー タ に 基 づ く分 析 で あ り,長 期 の安 定 性 に つ い て 保 証 す る も の で は な い,② 収 入 の デ ー タ が 得 られ る勤 労 者 世 帯 の 分 析 に 限 られ て お り, 地 主 な ど は勤 労 者 と行 動 様 式 が 異 な る可 能 性 が あ る,等 な お,通 貨 需 要 関 数 と異 な る範 疇 で は,地. に注 意 す る必 要 が あ る。. 域 金 融 の 関 係 で,安. 孫 子 ・吉 岡(2003)が. 「ク レ ジ ッ ト ・ ビ ュー 」 に 立 ち,都 道 府 県 別 貸 出 の 動 き を パ ネ ル ・デ ー タ で 分 析 して い る 。 具 体 的 に は,都 道 府 県 別 貸 出(名 年 度 の 県 内 総 生 産(前. 年 比,名. 目値)の 目値),地. 前 年 比 増 加 率 ⑧ を 被 説 明 変 数 と し,1975∼1999 価(同)の. 増 加 率 な ど を 説 明 変 数 と した パ ネ ル. \ク トル」 と して,「都 市化 進 展 の代理 変数 と して」 の人 口密 度 や 「都市 化 が遅 れ て い る こ との代 理 変数 と して」の1次 産 業 の県民 所得 へ の貢 献度 な どを試 して い る。 ま た,「県 別預 金統 計 と県民 所 得統計 の不 整合 性 に対処 す るた めの変数 」 と して,「大 都市 を含 む県 を サ ンプル か ら落 とす」, 「 県別 ダ ミー を入 れ る」,「 有効 求人倍 率 を用 いた操 作変 数法 によ る通 貨需 要 関数 の推計 」な どの手 法 を用 いて い る。 ⑦ 「 所 得 に関す る変 数」 と して は,女 性収 入 比率,ボ ー ナ ス比 率,大 企 業 ・公務 員 ダ ミー を,「資 産 に関す る変 数」 と して は,資 産所得 比率,住 宅 ロー ンダ ミー,消 費 者 ロー ンダ ミー,地 価 変化 率*持 ち家 ダ ミー を,「地域 差 に関 す る変数」 と して は,都 道 府県 の人 口1,000人当た り銀行 店舗 数 を,「世 帯 構成 に関す る変 数」 と して は,家 族 人 員,仕 送 りダ ミー,世 帯 主 の年 齢 お よび その 2乗 項,を 用 いて いる。 (8>都 道府 県別 貸 出 には,東 京都 と大 阪府 の合計 だ けで 全国 の過半 とな るほ ど集 中度 が 高 い(人 口 では2割 に満 た な い)と い う特 性 があ るほか,時 系 列 デ ー タには トレ ン ドが強 く,定 常性 に疑 問 な しと しな い。 この ため,前 期 比 とい うかた ちで1階 の階差 に準 じた扱 い を行 った と ころ,特 定 都府 へ の過度 の集 中 とい う問題 も併 せて ク リアで き るた め,前 年 比 で計 測 した。 -9(141)一.

(10) 第4巻 分 析 を 行 っ た 。 こ の 結 果,都 こ と,バ. 第2号. 道 府 県 別 の 貸 出 額 に こ れ らの 説 明 変 数 が 有 意 に影 響 して い る. ブ ル 崩 壊 前 後 の 時 期 に 分 け て 分 析 し て み て も,地. し て い る こ と,等. を 指 摘 し て い る 。 ま た,安. 価 な ど の説 明 変 数 が 有 意 に影 響. 孫 子(2005)は,こ. れ を発 展 さ せ た 分 析 を 行 っ. て い る。 こ う し た 知 見 を 踏 ま え,我. が 国 の 都 道 府 県 別 預 金 に 対 し て,ど. の よ う な要 因 が 影 響 して. い る か 検 討 して い き た い。. 3.2.推. 計式. 通 貨 需 要 関 数 は,以. 下 の(1)式 の 形 で 表 さ れ る こ と が 多 い(藤. 木(1997),松. 浦 ほか. (2001))a. LogCNI/P)t=ao十a,LogCY/P)t十aZRt十a3LogCM/P)t-1十(3'Zt十Et(1). こ こ で,Mは Zは のtは. マ ネ ー サ プ ラ イ,Pは. 物 価 水 準,Yは. そ の 他 の 説 明 変 数 の ベ ク トル(従. 所 得,Rは. マ ネ ー 保 有 の 機 会 金 利,. っ て β も ベ ク トル 表 記),ε. は 誤 差 項 で あ り,添. 字. 時 期 を 意 味 して い る。. も っ と も,日. 本 銀 行(1997)や. 細 野 ・杉 原 ・三 平(2001)で. は,実. 実 質 所 得 の 関 係 が 非 定 常 過 程 で あ る こ と を 検 証 し た 上 で,前. 期 比(正. 質 マネ ーサ プ ライ と 確 に は 対 数 前 期 差). を 用 い て 推 計 して い る 。 本 稿 で は,デ. ー タ の 定 常 化 を 図 る と い う意 味 で,上. 記 に 準 じ て,以. 下 の(2)式 を 推 計 す る. こ と と す る(9)。. (M/P)、. の 前 期 比=α. 。+α1{(Y/P)、. +β'{Z、. こ こ で,マ 金 金 利(マ. の 前 期 比}+α2{R、. の 前 期 比}+ε. 、(2). ネ ー 保 有 の 機 会 金 利 と して は,運 ネ ー 保 有 に よ り得 ら れ る 金 利)の. 期 差 を 用 い て い る が,こ. れ は,1990年. の 前 期 差}. 用 金 利 の 代 理 変 数 とみ な せ る貸 出金 利 と預 差 を 用 い た 。 ま た,推. 計 式 で は,こ. こ だ け前. 代 後 半 に な っ て 短 期 金 利 が ゼ ロ に 近 く な る 中 で,前. (9)パ ネ ル ・デ ー タ の 計 量 分 析 に 当 た って,被 説 明 変 数 の1期 ラ グ を 入 れ れ ば,ダ イ ナ ミ ッ ク ・パ ネ ル と な り,推 計 値 の 一 致 性 が な くな る こ とが 知 られ て い る(例 え ばBaltagi(2001)の8章 を 参 照)。 従 って,以 下 で は1期 ラ グ を 入 れ な い 形 で 推 計 す る こ と と した 。 -10(142)一.

(11) 近年 の マネ ーサ プ ライ伸 び悩 み の背景(安 孫子) 期 比 の数 字 を と れ ば大 き な数 字 に な り過 ぎ,実 態 を反 映 しな い と考 え た た め で あ る 。 こ の 点 に つ い て は,長 短 金 利 の 絶 対 値 が 小 さ い 中,対 数 前 期 差 の 線 形 近 似 と して 前 期 差 を 用 い た,と 説 明 す る こ と もで き よ う。 な お,Zの. 中 に は,地 価,実. 質 貸 出 残 高(貸. 出残 高 を 物 価 上 昇 率 で 割 っ た もの),長. 短. 金 利 差 等 を 入 れ る こ と とす る。 この う ち,地 価 は,実 物 資 産 価 格 の 代 理 変 数 と考 え て 入 れ た もの で,地. 価 が 上 昇 す れ ば,. ①. 不 動 産 売 買 に 付 随 す る貨 幣 の 取 引 需 要 が 増 え る こ と,. ②. 個 人 の 土 地 所 有 者 が 不 動 産 売 却 で 得 た 資 金 を(少. な く と も一・ 時 的 に は)預 金 で 持 つ. 可 能 性 が 高 い こ と, 等 か ら預 金 を 拡 大 さ せ る と考 え られ る(想 定 さ れ る係 数 は プ ラ ス)。 ま た,実 質 貸 出 残 高 は,地 域 の 金 融 機 関 の 貸 出 意 欲 の 代 理 変 数 と考 え て 入 れ た も の で あ る。 こ こで,実 質 貸 出残 高 が増 加 す れ ば, ①. 「通 貨 発 行 主 体 の バ ラ ン ス シ ー トア プ ロ ー チ 」か ら み て,そ もそ も貸 出 に は マ ネ ー サ プ ラ イ を 拡 大 させ る効 果 が あ る こ と(も っ と も,他 の バ ラ ン ス シ ー ト項 目 もあ るた め, 必 ず し も1対1で. ②. 増 減 す る訳 で は な い),. 貸 出 は,一 般 に は 借 り手 の 預 金 口座 に 資 金 を 振 り込 む 形 で 行 わ れ て お り,個 別 銀 行 の 預 金 と し て 歩 留 る割 合 は 低 い が,都 道 府 県 と い っ た 集 計 値 レベ ル で は,預 金 者 を 転 々 と しつ つ も,預 金 と して 残 る割 合 が 小 さ くな い と み られ る こ と,. 等 か ら,預 金 を 拡 大 させ る と考 え られ る(想 定 さ れ る 係 数 は プ ラ ス)。 さ らに,長 短 金 利 差 の 拡 大 は,金 利 の 期 間 構 造 の 理 論 を 敷 術 す る と,将 来 の 金 利 上 昇 を 予 測 す る こ と を意 味 す る と解 釈 で き る。 そ こ で,貯 蓄 主 体 に と って は,「長 期 金 利 が 上 げ 止 ま る ま で は長 期 の 金 融 資 産 の 購 入 を 控 え,短 期 の 金 融 商 品 で あ る預 金 で 運 用 しよ う」 と い う イ ンセ ンテ ィ ブ を 与 え る と考 え られ る(想 定 さ れ る 係 数 は プ ラ ス)。 この ほ か,資. 産 価 格 の ひ とつ の 指 標 で あ る株 価(全. 国 一 律)も. 預 金 の増 減 に影 響 す る可. 能 性 が あ る と考 え られ る(想 定 さ れ る係 数 は プ ラ ス)。. 3.3.デ 3.3.1.被. ータ 説 明 変数. 被 説 明 変 数 に つ い て は,一 般 の 通 貨 需 要 関 数 に倣 って,都 象 金 融 機 関 は 全 国 銀 行+相. 互 銀 行)と. あ た っ て は,総 務 省 統 計 局(2001)等. した。 こ こ で,名. 道 府 県 別 の 実 質 預 金 残 高(対. 目預 金 額 の デ ー タ を 実 質 化 す る に. に 基 づ き,都 道 府 県 別 のCPI接 一11(143)一. 続 指 数(平 成12年 を.

(12) 第4巻 100と した もの)を 用 い た⑩。 ま た,人. 第2号. 口 が 増 加 して い る 都 道 府 県 で は,そ れ に み あ っ て 預. 金 額 が 当 然 増 加 す る と考 え られ る こ とか ら,預 金 額 を人 口(住 民 票 基 本 台 帳 べ 一 ス 〈 預金 デ ー タ と 同 じ3月 末 時 点 〉 を 使 用)で. 割 って,"一. 人 当 た り実 質 預 金 額"の. デー タを作 成. した 。 "一 人 当 た り実 質 預 金"の. 絶 対額 をみ る と. ,2003年. 1位 ・東 京 都 の1,198万 円,2位. 度 末 時 点(全. 国 平 均 は407万 円)で,. ・大 阪 府 の591万 円 か ら47位 ・宮 崎 県 の183万 円 ま で,最 大. 6.5倍 の 格 差 が み られ る⑪。 本 稿 で は こ う した 格 差 が 生 じた 原 因 に 立 ち 入 らな い が,簡 単 化 の た め に,そ の 原 因 が短 期 間 で は 変 わ らな い も の と仮 定 す る。 この よ う に仮 定 す る と,上 記(2)の定 式 化 で 前 年 同 期 比 を と る こ と に よ り,各 都 道 府 県 間 の レベ ル 格 差 の 問 題 を 回 避 で き る。 な お,地 域 間 の 一 人 当 た り預 金 格 差 の 問 題 につ い て は,今 後 の 研 究 が 待 た れ る と こ ろ で あ る。 次 に,"一. 人 当 た り実 質 預 金"の. 前 年 比 推 移 を み る と,図8の. た か た ち とな って い る 。 年 に よ って 振 れ が あ るが,前 府 県 の 乖 離 幅 は,6∼26%ポ. 年 比%,CPI)の. ⑩. 比 較 的似. 年 比 が最 大 の 都 道 府 県 と最 低 の 都 道. イ ン トで 推 移 して い る(1976∼2003年. 図8M/P(前. と お り,図5と. 度 の 平 均11.7%ポ. イン. 推移. 県 庁 所 在 地 の 年 度 の 平 均 を各 県 の 代 表 値 と して 用 い た 。 実 質 化 に あ た っ て は,上 記 の ほか,① 県 民 経 済 計 算 の デ フ レー タ を用 い る方 法,② 消 費 者 物 価 指 数 年 報 に あ る 「消 費 者 物 価 地 域 差 指 数 」 を か け て 割 り戻 す 方 法 も考 え られ る。 ①,② と も試 して み た が,年 毎 の 振 れ が異 様 に大 き な 県 が 出 て くる た あ,時 系 列 で 整 合 性 の あ る接 続 指 数 を 用 い る こ と と し た。 qD「 全 国 銀 行+相 互 銀 行 」の 計 数 を 個 人 ・法 人 等 別 に み る と,一 人 当 た り実 質 個 人 預 金 で は,2003 年 度1位 ・東 京 都520万 円,同2位 ・大 阪 府372万 円 か ら同47位 ・宮 崎 県125万 円 ま で,最 大4.1倍 の 格 差 が あ る。 他 方,法 人 等 預 金 で は,同1位 ・東 京 都710万 円,同2位 ・大 阪 府229万 円 か ら 同 47位 ・鹿 児 島 県53万 円 ま で,最 大13.5倍 の 格 差 が あ る。 個 人 預 金 に 比 べ,法 人 等 預 金 の 格 差 が 大 き い 。 因 み に,一 人 当 た り県 内 総 生 産(1995年 価 格)は,同1位 ・東 京 都733万 円,同2位 ・愛 知 県529万 円 か ら同47位 ・沖 縄 県271万 円 ま で 最 大2.7倍 の 格 差 で,預 金 よ り も格 差 が 小 さ い 。 -12(144)一.

(13) 近 年 のマ ネー サプ ライ伸 び悩 みの背景(安 孫 子) ト)。 な お,個 人 預 金 ・法 人 預 金 等 別 で 都 道 府 県 の 推 移 を み た と こ ろ,図6,図7と た 推 移 を 辿 っ て い た の で,図. の 添 付 を 省 略 す る。 これ らの 乖 離 幅 等 を み る と,個 人 預 金 の. 一 人 当 た り実 質 預 金 額(前 年 比)の 乖 離 幅 は4∼14%ポ 年 度 の平 均8.0%ポ は11∼23%ポ 3.3.2.説. イ ン ト)。他 方,法. 度 の平 均22.7%ポ. 乖離幅. イ ン ト)。. ず,"一. 人 当 た り実 質 県 内 総 生 産"(内. 閣 府 の デ ー タ に基 づ. 年 価 格 で 実 質 化)の 前 年 比 を 用 い た 。 こ こで 「県 内 総 生 産 」 を 選 ん だ の は,減. の 一・ つ と して,法. 道 府 県 内 の 生 産 力 を 幅 広 く捉 え て い る た め で あ る。 法 人 預 金 の 原 資. 人 企 業 の 減 価 償 却 費 も考 え ら れ る た め,本 稿 で は,県 民 所 得 で は な く. 「県 内 総 生 産 」 を と る こ と と した 。1975∼2003年 研 究 所(2002,2006)に. 度 の都 道 府 県 別 デ ー タを 内 閣府 社 会 経済. 基 づ い て 算 出 した ⑫ と こ ろ,前 年 比 が 最 大 の 都 道 府 県 と最 低 の都. 道 府 県 の 乖 離 幅 は,年 毎 に6∼21%ポ. イ ン トで 推 移 して い る(図9,1976∼2003年. 度 の平. イ ン ト)。. 次 に,マ ネ ー 保 有 の 機 会 費 用 と して は,貸 出 金 利(マ る金 利 と み な した)と 預 金 金 利(マ. ネ ー 以 外 で 運 用 した 場 合 に得 られ. ネ ー と して 保 有 す る こ と に よ り得 られ る低 位 の 金 利). の 格 差 と考 え た 。 預 金 金 利 と して は,各 都 道 府 県 の代 表 的 な 銀 行(地. 図9県. ⑫. 年 比)の. 明変 数. 価 償 却 分 を 含 め て,都. 均 は10.7%ポ. イ ン トで 推 移 して い る(1980∼2003. 人 預 金 の 一 人 当 た り実 質 預 金 額(前. イ ン トで 推 移 して い る(1980∼2003年. 次 に,説 明 変 数 と して は,ま く:1995暦. か な り似. 内総生 産(前 年比%)の. 元 の都市 銀 行 あ るい. 推移. 一 部 の 都 道 府 県 で は,1975∼80年 頃 の 実 質 県 民 総 生 産 額 を 掲 載 して い な か った 。 こ の よ うな 欠 損 値 につ い て は,名 目成 長 率 を(1+CPI上 昇 率)で 割 り戻 して 実 質 成 長 率 と み な した 。 -13(145)一.

(14) 第4巻. 第2号. は 地 方 銀 行 〈複 数 あ る場 合 は 加 重 平 均 〉)の 単 体 年 度 決 算 の 財 務 デ ー タ の う ち,「 支 払 利 息 」 を 預 金 残 高 で 割 って 預 金 金 利 等 を 推 計 した。 そ の推 計 値(東. 京 都 ・大 阪 府 で は 地 元 大 手 都. 銀 の 平 均 と す る 等 の 操 作 を行 っ た)を 各 都 道 府 県 の 代 表 値 と み な す こ と に した ⑬。 全 国 的 な 金 融 情 勢 や 金 融 政 策 の ス タ ンス に 応 じて 金 利 の絶 対 水 準 は 変 動 して お り,0.02%(2003 年 度 の 福 島 県)∼7.61%(1981年 次 に,貸. 出金 利(預. 度 の 東 京 都)で. 推 移 して い る。. 金 金 利 と 同 様 の 手 続 き で 作 成)は,資. 金 運 用 時 の 比 較 的短 期 の金 利. の 代 理 変 数 と して 用 い た も の で あ り,預 金 と の 金 利 差 が 拡 大 す れ ば マ ネ ー の 保 有 を 減 らす 方 向 に働 くと考 え られ る。 こ の金 利 差(貸 10),最. 出 金 利 一預 金 金 利)の. 前 年 差 推 移 を み る と(図. 大 の 都 道 府 県 と最 低 の 都 道 府 県 の 乖 離 幅 は,年 毎 に0.27∼1.71%ポ. 幅 が 金 利 以 外 の 説 明 変 数 よ り も小 さ い の が 特 徴 で あ る(1976∼2003年. イ ン トと,振 幅. 度 の 平 均 は0.69%ポ. イ ン ト)。 金 融 情 勢 な ど に反 応 して,各 地 の 金 融 機 関 が ほ ぼ 同 様 の 金 利 設 定 を 行 っ た こ と を 反 映 し た も の と考 え られ る。 次 に,Zベ. ク トル の 説 明 変 数 と して,ま. ず,都 道 府 県 別 の 地 価 上 昇 率 を採 用 した 。 都 道. 府 県 別 の 地 価 上 昇 率 の 指 標 と して は,国 土 庁 の 「地 価 公 示 」 と 「都 道 府 県 地 価 調 査 」 の2 つ の指 標 が あ るが,時 系 列 デ ー タ を 安 定 的 に 得 られ る 「地 価 公 示 」 の住 宅 地 を 用 い たω(図 11)。 こ の デ ー タ は,都 道 府 県 別 の格 差 が 非 常 に大 き い の が特 徴 で あ り,バ ブ ル 期 の1987年. 図10貸. 出 と 預 金 の 金 利 差(前. ⑬. 年 差%). デ ー タ の 詳 細 に つ い て は,安 孫 子 ・吉 岡(2003)の 脚 注 ⑮ を 参 照 。 地 銀 で も,地 元 の 県 の ほ か に も店 舗 を 持 っ て い る ケ ー ス が 一 般 的 で あ るが,他 に デ ー タ が な い た め,便 法 と して こ の 方 式 を 採 用 した 。 ⑭ 地 価 公 示 の 住 宅 地 デ ー タ を 選 択 した 詳 しい 理 由 に つ い て は,安 孫 子 ・吉 岡(2003)の 脚注⑭ を 参 照 。 都 道 府 県 地 価 調 査 で は,1984年7月 の デ ー タ だ け異 な る 形 式 で 発 表 さ れ,異 常 値 を 示 す 都 道 府 県 が 少 な くな い,7月 の デ ー タ の た め解 釈 が 難 し い,等 の 問 題 が あ る。 -14(146)一.

(15) 近 年 のマ ネー サ プ ライ伸 び悩 み の背景(安 孫子) 度 に神 奈 川 県 が 前 年 比+85.1%を 一25 .0%を 記 録 して い る 。 ま た,バ 県 や,バ も,大. 記 録 し た 一 方,バ. ブ ル 崩 壊 後 の1991年 度 に は 京 都 府 が. ブ ル 期 に あ って も,住 宅 地 の 地 価 が マ イ ナ ス で あ っ た. ブ ル 崩 壊 後 に も プ ラ ス で あ った 県 が み られ る な ど,地 域 間 の 多 様 性 が 大 き い こ と. き な 特 徴 で あ る。 ま た,前 年 比 が 最 大 の 都 道 府 県 と最 小 の 都 道 府 県 の 年 毎 の 乖 離 幅. は,3∼87%で. 推 移 して い る(1976∼2003年. 度 の 平 均 は17.4%〈 バ ブ ル 崩 壊 後 の1991∼2003. 年 度 の 平 均 で も11.9%〉)。 な お,地 価 公 示 は 毎 年 度1月1日. 時 点 の 地 価 と して 年 度 末 頃 に. 公 示 さ れ る もの で あ り,認 知 ラ グ も存 在 し得 る が,簡 単 化 の た め に,「 預 金 者 は 自分 の住 ん で い る 都 道 府 県 の地 価 動 向 を あ る程 度 肌 で 知 っ て お り,そ れ を 認 識 し た 上 で 預 金 額 を 決 定 して い る」 と仮 定 す る。 Zベ ク トル の 第 二 の 説 明 変 数 と して,実. 質 貸 出 を 用 い る こ と と した 。 都 道 府 県 別 の 貸 出. 額 を 都 道 府 県 庁 所 在 地 の 消 費 者 物 価 上 昇 率 で 実 質 化 した もの で,各 代 理 変 数 とみ な して い る 。 各 金 融 機 関 が,物. 金 融 機 関 の貸 出意 欲 の. 価 情 勢 を 勘 案 した 上 で,利. 潤 最 大 化 等 を 目的. と して 望 ま しい 実 質 貸 出 額 と な る よ う貸 出 を 調 整 して い る と仮 定 し,実 質 貸 出 額 が 伸 び て い な い と き に は,金 融 機 関 の 貸 出意 欲 が 減 退 した と考 え る も の で あ る。 金 融 機 関 が 利 潤 最 大 化 を 図 る場 合,必. ず し も地 域 の 人 口動 向 を ス トレー トに反 映 さ せ る訳 で は な い た め,こ. の変 数 に つ い て は,一 人 当 た り貸 出 額 に変 換 す る と い う操 作 を 行 っ て い な い。 実 質 貸 出額 の全 国 平 均 を み る と,1980年. 代 に前 年 比10%前. 図11地. 価(住. 宅 地,前. 後 の 高 い 伸 び を 示 した 後,バ. 一15(147)一. 年 比%)の. 推移. ブル 崩 壊 後 に.

(16) 第4巻 は ゼ ロ 近 辺 で 推 移 して い る(図12)。. 第2号. も っ と も,地 域 間 の 差 異 は 非 常 に 大 き く,バ ブ ル 崩. 壊 後 で もか な り大 き な 乖 離 が 続 い て い る 。 乖 離 幅 は 年 毎 で み て7∼24%ポ 2003年 度 の 平 均 値 で13.0%ポ. イ ン ト,1976∼. イ ン トと な っ て い る。. Zベ ク トル の 第 三 の 説 明 変 数 と して,長 短 金 利 差 を 用 い る。 長 期 金 利 の 指 標 と して は, 国 債10年 もの 新 発 債 の 応 募 者 利 回 りを 年 度 平 均 した もの を 用 い た(簡 単 化 の た め に,全. 国. 一 律 と仮 定) 。1983年 か ら預 金 者 も国 債 を 銀 行 で 買 え る よ う に な っ た こ と も考 慮 し た。 推 計 に あ た っ て は,そ. の 国 債 金 利 と各 都 道 府 県 の 預 金 金 利 と の 格 差 を と っ た 。 こ の 金 利 差. (国 債 金 利 一 預 金 金 利)の の 乖 離 幅 は,年 は0.69%ポ. 前 年 差 推 移 を み る と(図13),最. 毎 に0.22∼1.54%ポ. 大 の 都 道 府 県 と最 低 の 都 道 府 県. イ ン トと,振 幅 幅 が 他 の 説 明 変 数 よ り も小 さ い(平 均. イ ン ト)。. そ の 他 の説 明 変 数 の 候 補 と して,株 価(全. 図12実. 図13国. 質 貸 出(前. 国 一 律)に. つ い て も試 み る こ と と した 。 株 式. 年 比%,CPI)の. 債 金 利 一預 金 金 利(前 一16{148)一. 年 差%)の. 推移. 推移.

(17) 近 年 のマ ネー サ プライ伸 び悩 み の背景(安 孫子) 保 有 額 に つ い て は,都 道 府 県 別 の 信 頼 で き る デ ー タ が得 られ な か った た め,全. 国一律 の株. 価 変 動 が 各 都 道 府 県 に 同様 に 影 響 す る,と 仮 定 した 。 通 貨 の 取 引 需 要 と い う観 点 か らは, 株 価 が 上 昇 す れ ば 金 融 資 産 の 取 引 が 増 え る こ と を 通 じて マ ネ ー サ プ ラ イ が 増 え る(つ れ て 預 金 も増 え る)と 考 え た も の で あ る。 具 体 的 な 株 価 の デ ー タ と して は,TOPIXの. 月 末値 の. 年 度 平 均 値 を 各 年 度 の 株 価 と み な し,そ の 前 年 比 を 用 い た。 そ の 推 移 を み る と(図14), 年 度 毎 に か な り大 き な 変 動 を 示 して い る。 な お,上 記 の ほ か,「 金 融 資 産 全 体 」 の 代 理 変 数 も検 討 した が,都. 道 府 県 別 の統 計 には. 限 界 が あ る。 全 国 ベ ー ス の通 貨 需 要 関 数 の 推 計 で は,資 金 循 環 勘 定 を ベ ー ス と した 「法 ・ 個 人 の 金 融 資 産 計(資. 金 循 環 勘 定)」(日 本 銀 行(1997))と. (細 野 ほか(2001))が. 説 明 変 数 と して 用 い られ て い る が,都 道 府 県 別 で は,同 勘 定 に相 当. す る マ ク ロ統 計 が 存 在 しな い た め,こ 国 銀 行,相. か 「実 質 民 間 金 融 資 産 残 高 」. れ らの デ ー タ が そ も そ も得 られ な い 。 も っ と も,全. 互 銀 行 の ほ か,信 用 金 庫(2002年3月. ま で),信. 用 組 合,労. 働 金 庫,農. ・漁 協,. 郵 便 局 別 の 預 貯 金 額 に つ い て は,都 道 府 県 別 に 時 系 列 デ ー タ が 得 られ る。 そ こ で,こ 金 融 機 関 の 都 道 府 県 別 合 計 値(以. 下 で は 「預 金 額 業 態 計 」 と い う)を 作 って,金. 体 の 代 理 変 数 と して 用 い る こ と が で き る か 検 討 して み た ㈲ が,「 全 国 銀 行+相 金 が 全 体 の5割 超(全. 国 計)を. 融 資産 全. 互 銀 行 」の 預. 占 め て い る た め,被 説 明 変 数 と か な り似 た 動 き を して い る. 図14株. ⑮. れら. 価(前. 年 比%)の. 推移. こ の デ ー タ と資 金 循 環 勘 定 と の大 き な 違 い は,① 株 式 ・出 資 金 や そ の 他 証 券 が 含 ま れ て い な い こ と(2000年 度 末 の 家 計 の 金 融 資 産 の15.1%),② 保 険 が 含 ま れ て い な い こ と(同28.2%),③ 政 府 や 金 融 機 関 の 預 金 を 含 ん で い る こ と,が 挙 げ られ る。 な お,個 人 分 に つ い て は,1980年3月 以 降,都 道 府 県 別 個 人 預 貯 金 残 高 の 統 計 が 公 表 され て い る(日 本 銀 行 が 作 成)が,2003年3月 以 降,信 用 金 庫 の 計 数 が 取 れ な くな った た め,デ ー タ 系 列 の 不 連 続 が 生 じて い る。 -17C149)一. 末 末.

(18) 第4巻. 第2号. こ とが 判 明 した ⑯。 した が って,説 明 変 数 と して は 「預 金 額 業 態 計 」を 用 い な い こ と と した 。. 4.推. 4.1.預. 計. 結. 果. 金全 体 の推 計結 果. 「全 国 銀 行+相 デ ー タ(サ. 互 銀 行 」 の 預 金 全 体 を 対 象 と し,1976∼2003年. ン プ ル 数1,316個)を. 度 の都 道府 県 別 のパ ネ ル ・. 用 い て 分 析 した 。 そ の 結 果 は,表1の. 個 別 の 説 明 変 数 の 有 意 性 を み る と,マ ネ ー保 有 の 機 会 費 用(以 ぶ)が5%水. 準 で 有 意 な ほ か,他. と か ら,LL人 で は,"一. の 変 数 は い ず れ も1%水. 当 た り実 質 県 内総 生 産",地. 人 当 た り実 質 預 金"の. 価,実. 伸 び が 高 い(低. 下 で は 「機 会 金 利 」 と呼. 準 で 有 意 と な って い る。 こ の こ. 質 貸 出 が 上 昇(下 い)と. と お りで あ る。. 落)し. て い る都 道 府 県. い う関 係 が 成 立 して い る こ とが 読. み 取 れ る。 こ れ らの 説 明 変 数 の 係 数 を み る と,金 融 機 関 の 貸 出意 欲 の 代 理 変 数 と考 え られ る実 質 貸 出 が0.434と 最 も高 く,`L人. 当 た り実 質 県 内 総 生 産"の0.137,地. 価 の0.053が 続 い て い る。. 各 説 明 変 数 の 符 号 条 件 も,想 定 した とお りで あ る。 な お,株 価(全. 国 一・ 律)も1%水. 準で. 有 意 に 影 響 して い る が,係 数 は地 価 よ り も低 い0.021に 止 ま っ て い る。 ま た,機 会 金 利 に つ い て は,前 年 よ り上 昇(低 び は低 下(上. 昇)す. る と い う推 計 結 果(5%水. 表1"一. 人 当 た り実 質 預 金"前. 説. 明. 変. 年 比 の推 計 結 果(変. 数. 係. 年 比%)α10.137(4.413)[0.000]. 機 会 金 利(前. 年 差%ポ. 地. 年 比%)β10.053(4.777)[0.000] 年 比%)β20.434(19.992)[0.000]. 長 短 金 利 差(前. 年 差%ポ. 株. 年 比%)β40.021(4.491)[0.000]. 定. 数. あ り,通 貨 需 要 関 数 の 一 般 的. 動 効 果 モ デ ル 働). 数1(t値)1[p値. コ. イ ン ト)α2-0.795(-2.211)[0.027]. 実 質 貸 出(前. 価(前. れ ば"一 人 当 た り実 質 預 金"の 伸. 準 で 有 意)で. 県 内 総 生 産(前. 価(前. 下)す. イ ン ト)β30.874(5.603)[0.000]. 項. α01.667(14.025)[0.000]. 修 正R2=0.478D.W.=1.431. ⑯2000年 度 ま で の パ ネ ル ・デ ー タ に よ り,被 説 明 変 数(前 年 比)を 上 記 説 明 変 数(前 年 比)の み で 回 帰 し た と こ ろ,説 明 変 数 の 係01.201,t値70.9,修 正R2=0.8080と い う高 い 相 関 が み られ た (ハ ウ ス マ ン 。テ ス トで は 変 動 効 果 モ デ ル の 使 用 を 示 唆)。 ⑰. ハ ウ ス マ ン ・テ ス ト に よ れ ば,自 デ ル の 使 用 を 推 奨 し て い る た め,変. 由 度6のx2統 計 量 が0.316(p値4.994)と 動 効 果 モ デ ル の み を 記 載 した 。 -18(150). な り,変. 動効 果 モ.

(19) 近 年 の マ ネ ー サ プ ライ 伸 び 悩 み の 背 景(安 な 形 状 と 整 合 的 で あ る 。 ま た,長 人 当 た り 実 質 預 金"の こ れ は,金. 窺 金 利 差 に つ い て は,前. 伸 び は 上 昇(低. 下)す. 利 上 昇 期 待 が あ る と き に は,固. 孫 子). 年 よ り 上 昇(低. る と い う 推 計 結 果(1%水. 下)す. れ ば"一. 準 で 有 意)で. 定 金 利 の 金 融 資 産 を 買 い 控 え,待. あ る。. 機資 金 が預 金. に流 入 す る こ と を示 唆 して い る。. 次 に,上. 記 と 同 じ 推 計 式 で,バ. 個 〉 と1991∼2003年. 度 〈同611個. 対 し,実 10%水. ブ ル 崩 壊 前 に は1%水 質 県 内 総 生 産 は,バ. 価 は バ ブ ル 崩 壊 前 後 と も に1%水 準 で,バ. ブ ル 崩 壊 後 に は5%水. ブ ル 崩 壊 前 は1%水. 有 意)を. 準 で 有 意 で あ る。 実 質 準 で 有 意 で あ る。 これ に. 準 で 有 意 で あ る が,バ. 除 い て 通 期 と 同 じ で あ り,一. る 。 た だ,係. 数 の 大 き さ が か な り変 化 し て お り,実. し た 一 方,地. 価 の 係 数 が4倍. が 薄 れ た1方,地. ブル 崩 壊 後 の実. 般 的 に 想 定 され る も の とな っ て い. 質 貸 出 が バ ブ ル 崩 壊 後 に 約1/7に. 低下. 近 く ま で 上 昇 して い る 。 バ ブ ル 崩 壊 後 に は 実 質 貸 出 の 影 響 度. 人 当 た り実 質 預 金"前. 年 比 の 推 計 結 果(バ. バ ブ ル 崩 壊 前(1976∼90年 説 明 変 数. 度)バ. 固定 効 果 モ デ ル ⑱ 係. ブ ル崩 壊 の 前 後) ブ ル 崩 壊 後(1991∼2003年. 度). 変動効 果 モ デル⑲. 数(t値)[p値]係. 数(t値)[p値]. 県 内総生 産. α10.210(5.422)[0.000]-0.068(-1.425)[0.154]. 機 会 金 利. α2-1.875(-4.681)[0.000]2.208(3.325)[0.001]. 地. β10.041(3.002)[0.003]0.151(5.256)[0.000]. 実 質 貸 出. β20.610(19.786)[0.000]0.088(2.578)[0.010コ. 長 短金 利差. β31.397(6.582)[0.000]0.359(1.719)[0.086]. 株. 価. β40.006(0.730)[0.466]0.006(0,975)[0.330]. 項. αD-一. 数. ブ ル崩 壊 後 には. 価 の 影 響 度 が 上 昇 して い る こ と を 示 唆 して い る。. 表2"一. 価. くサ ン プ ル 数705. 推 計 結 果 が 得 られ た 。. 準 で も 有 意 で は な く な っ て い る 。 こ れ ら説 明 変 数 の 符 号 条 件 は,バ. 質 県 内 総 生 産(非. 定. 度. 〉)に 分 け て 推 計 し た と こ ろ,表2の. バ ブ ル 崩 壊 の 前 後 で み る と,地 貸 出 は,バ. ブ ル 崩 壊 の 前 後 の 時 期(1976∼1990年. 一1.961(12.965)[0.000] 修 正R2=0.505修 D.W.=1.56711D.W.=1.351. 正R2=0.099. ⑱. ハ ウ ス マ ン ・テ ス トに よ れ ば,自 由度5のxZ統 計 量 が36.24(p値0.000)と な り,固 定 効 果 モ デ ル の使 用 を 推 奨 して い る た あ,固 定 効 果 モ デ ル の み を 記 載 した 。 な お,説 明 変 数 の 数 か らす る とx2統 計 量 の 自 由 度 は6の 筈 な の で,用 い た 計 量 ソ フ ト(TSP4.5)に バ グ が あ る可 能 性 が あ る。. ⑲. ハ ウ ス マ ン ・テ ス トに よ れ ば,自 由度6のx2統 計 量 が1.933(p値0.926)と デ ル の使 用 を 推 奨 して い る た め,変 動 効 果 モ デ ル の み を 記 載 した。 -19(151). な り,変 動 効 果 モ.

(20) 第4巻 これ に対 し,機 会 金 利 は,バ 同 じ)で あ る が,バ. 第2号. ブ ル 崩 壊 前 に は1%水. ブ ル 崩 壊 後 に は1%水. 準 で 有 意 に マ イ ナ ス(通 期 の 符 号 と. 準 で 有 意 に プ ラ ス に 転 じて い る(バ. ブル 崩 壊 後. の 符 号 は,通 常 想 定 さ れ る もの と逆)。 これ は,バ ブル 崩 壊 後 の 低 金 利 局 面 に お い て,預 金 者 の 通 貨 保 有 の 行 動 パ タ ー ン が 変 わ った 可 能 性 を 示 唆 して い る と考 え られ る。 長 短 金 利 差 に つ い て は,バ ブ ル 崩 壊 前 後 で プ ラ ス とい う符 号 は 変 わ らな い(通 期 と 同 じ) が,バ ブ ル 崩 壊 前 に は1%水. 準 で 有 意 だ っ た もの が,バ ブ ル 崩 壊 後 に は10%水. 有 意 水 準 が 低 下 して い る。 ま た,係 数 が1/4に 株 価 は,バ の に,バ. 4.2.個. 準 で 有 意 と,. 低 下 した こ と も大 き な 特 徴 で あ る。. ブ ル 崩 壊 前 後 と も有 意 に 影 響 して い な い 。 通 期 で み る と有 意 に影 響 して い る. ブ ル 前 後 の 期 間 で は有 意 な 影 響 を 確 認 で き な か っ た 。. 人預 金 の推 計 結果. 1980∼2003年. 度 の 都 道 府 県 別 の パ ネ ル ・デ ー タ(サ. ン プ ル 数 は1,128個)を. 預 金 を 対 象 に,預 金 全 体 と 同 じ説 明 変 数 で 推 計 した 。 そ の 結 果 は,表3の 個 別 の 説 明 変 数 の 有 意 性 を み る と,い ず れ も1%水 実 質 県 内 総 生 産,地. 価,実. 質 貸 出 が 上 昇(下. 質 個 人 預 金"の 伸 び が 高 い(低. い)と. 落)し. 用 い て,個. 人. と お りで あ る。. 準 で 有 意 と な って い る。 す な わ ち, て い る 都 道 府 県 で は,"一. 人 当 た り実. い う 関 係 が 成 立 して お り,こ の 点 は全 預 金 ベ ー ス と. 同 じで あ る。 こ れ らの 説 明 変 数 の係 数 を み る と,金 融 機 関 の 貸 出意 欲 の 代 理 変 数 と考 え られ る 実 質 貸 出 の0.181がE大. き く,実 質 県 内 総 生 産 の0.108,地. 表3"一. 人当 た り実 質個 人預 金"前 年比 の推 計結 果(変 動効 果 モデ ル⑳). 説 明 変 数. 係 数(t値)1[p値]. 県 内 総 生 産(前. 年 比%)α10.108(4.020)[0.000]. 機. 利(前. 年 差%ポ. 価(前. 年 比%)β10.076(8.494)[0.000]. 出(前. 年 比%)β20.181(9.861)[0.000]. 会. 金. 地 実. 質. 貸. イ ン ト)α2-0.957(-3.157)[0.002]. 長 短 金 利 差(前. 年 差%ポ. 株. 年 比%)β4-0.010(-2.815)[0.005コ. 定. 価(前 数. 価 の0.076が 続 い て い る。 前 掲 表1の. 項. 一. イ ン ト)β30.654(4.782)[0.000]. α 。3.312(30.202)[0.000コ. 修 正R2=0.278D.W.=1.443. ⑳. ハ ウ ス マ ン ・テ ス トに よ れ ば,自 由度6のxZ統 計 量 が0.05(p値1.000)と デ ル の 使 用 を 推 奨 して い る た め,変 動 効 果 モ デ ル の み を 記 載 した 。 -20(152)一. な り,変 動 効 果 モ.

(21) 近年 の マネ ーサ プ ライ伸 び悩 み の背 景(安 孫 子) 全 預 金 ベ ー ス と比 較 す る と,各 説 明 変 数 の 符 号 条 件 は 同 じで あ る が,係 数 に は違 い が み ら れ る。 個 人 預 金 ベ ー ス の 方 が 実 質 貸 出 と実 質 県 内 総 生 産 の 係 数 が 小 さ い 一 方,地. 価 につ い. て は 大 き くな っ て い る。 こ の こ とは,個 人 が地 価 に よ り敏 感 に反 応 して 預 金 を 行 って い る こ と を 示 唆 して い る。 ま た,機. 会 金 利 の 符 号 が 有 意 に マ イ ナ ス で あ る 点 お よ び長 短 金 利 差 の 符 号 が プ ラ ス と. な って い る点 は,表1の. 全 預 金 ベ ー ス と 同 じで あ る。 係 数 は,機 会 金 利 で は 個 人 預 金 の 絶. 対 値 が 大 き く,個 人 が 金 利 の 変 化 に よ り敏 感 に 反 応 して い る こ とを 示 唆 して い る。 他 方, 長 短 金 利 差 の 係 数 は,個 人 の 方 が 鈍 感 で あ る こ と を 示 唆 して い る。 株 価(全. 国 一 律)に. つ い て も,全 預 金 ベ ー ス と 同 様,1%水. 準 で 有 意 と な って い る 。 し. か しな が ら,符 号 が 予 想 と異 な り,僅 か な が らマ イ ナ ス とな っ て い る。 次 に,バ. ブ ル 崩 壊 の 前 後 の 時 期(1980∼1990年. 度 〈同611個 〉)に 分 け て 推 計 した と こ ろ,表4の. 度 〈サ ン プ ル 数517個 〉 と1991∼2003年 推 計 結 果 が 得 られ た。. バ ブ ル 崩 壊 の 前 後 で 分 け て み る と,実 質 貸 出 と地 価 が,い. ず れ も1%水. 準 で有 意 で あ る. こ と,こ れ らの 説 明 変 数 の 符 号 が 通 期 と 同 じで 一 般 に 想 定 さ れ る もの で あ る こ と は変 わ ら な い 。 しか しな が ら,実 質 県 内総 生 産 が バ ブ ル 崩 壊 後 に有 意 で な くな っ た ほ か,符 号 も逆. 表4"一. 人 当 た り 実 質 個 人 預 金"前. 年 比 の 推 計 結 果(バ. バ ブ ル 崩 壊 前(1980∼90年 説 明 変 数. 変 動 効 果 モ デ ル⑳ 係. 県 内総 生 産 機. 会. 金. 地. 数(t値)[p値]係. β20.216(7.332)[0.000]0.108(3,323)[0.001]. 長 短 金 利 差. β31.294(5.003)[0.000]0.063(0.361)[0.718]. 株. β4-0.037(-5.757)[0.000]0.0002(0.049)[0.961コ. 定. 価 数. 変 動 効 果 モ デ ル 伽. 利a2-2.709(-7.627)[0.000]2.415(4.324)[0.000]. 出. 貸. 度). α10.133(3.833)[0.000]-0.419(-0.457)[0.648]. β10.060(5.695)[0.000]0.066(2。630)[0.009]. 質. ブ ル 崩 壊 後(1991∼2003年. 数(t値)[p値]. 価. 実. 度)バ. ブ ル 崩 壊 の 前 後). 項ao3.752(16.349)[0.000]3.428(29.960)[0.000] 修 正R2=0.348修. 正R2=0.066. D.W.=1.48211D.W.=1.103. ⑳. ハ ウ ス マ ン ・テ ス トに よ れ ば,自 由度6のx2統 計 量 が3.86(p値0.695)と デ ル の 使 用 を 推 奨 して い る た め,変 動 効 果 モ デ ル の み を記 載 した 。. な り,変 動 効 果 モ. {22)ハ ウ ス マ ン ・テ ス トに よ れ ば,自 由度5の κ2統 計 量 が8.364(p値0.137)と な り,変 動 効 果 モ デ ル の 使 用 を 推 奨 して い る た め,変 動 効 果 モ デ ル の み を 記 載 した 。 な お,説 明 変 数 の 数 か らす る とx2統 計 量 の 自 由度 は6の 筈 な の で,用 い た計 量 ソ フ ト(TSP4.5)に バ グが あ る 可 能 性 が あ る 。 -21(153)一.

(22) 第4巻. 第2号. に な っ て い る。 ま た,一 部 の 説 明 変 数 の係 数 に変 化 が み られ,実 質 貸 出 の 影 響 度 は半 減 し て い る。 これ に 対 し,地 価 に つ い て は 小 幅 な 上 昇 と な っ て い る。 機 会 金 利 の 符 号 は,バ. ブ ル 崩 壊 の 前 後 で 反 対 に な っ て い る(こ の 点 は全 預 金 べ 一 ス と 同. じ)。 こ れ に 対 し,長 短 金 利 差 は,バ ブ ル 崩 壊 後 に は,10%水 る。 全 預 金 ベ ー ス で み て 有 意 水 準 が 低 下(バ. 準 で も有 意 で は な くな っ て い. ブ ル 崩 壊 前 の1%→. 同 崩 壊 後 の10%)し. た背. 景 に は,個 人 の 反 応 変 化 が あ っ た も の と考 え られ る 。 株 価 は,バ. ブ ル 崩 壊 の 前 に は1%水. 水 準 で も有 意 で は な くな って い る(バ. 準 で 有 意 に 影 響 して い た が,バ. ブ ル 崩 壊 後 に は10%. ブ ル 崩 壊 後 は 全 預 金 ベ ー ス と 同 じ)。 ま た,バ. 崩 壊 前 に は,株 価 が 上 昇 す れ ば"一 人 当 た り実 質 預 金"が. ブル. 減 少 す る と い う推 計 結 果 に な っ. て お り,通 常 想 定 され る符 号 と は 異 な って い る(全 預 金 ベ ー ス で は非 有 意)。 バ ブ ル 崩 壊 前 に は,株 価 が 上 昇 す れ ば 預 金 の 拡 大 を 抑 制 し,株 式 投 資 に 回 した 可 能 性 が あ る と考 え られ る。. 4.3.法. 人 等預 金 の推計 結 果. 「全 国 銀 行+相. 互 銀 行 」 の 預 金 全 体 か ら 「全 国 銀 行+相. 互 銀 行 」 の 個 人 預 貯 金 を 差 し引. け ば 「法 人 等 預 金 」 の 計 数 が 得 られ る。 これ らを,1980∼2003年 デ ー タ(サ. ン プ ル 数 は1,128個)と. して分 析 した 結 果 は,表5の. 個 別 の 説 明 変 数 の 有 意 性 を み る と,機 会 金 利,地. 人 当 た り実 質 法 人 等 預 金"の. と お りで あ る。. 価 を 除 い て1%水. る。 こ の こ とか ら,"一 人 当 た り実 質 県 内総 生 産",実 府 県 で は,"一. 度 の都 道 府県 別 パ ネル ・. 準 で 有 意 と な って い. 質 貸 出 が 上 昇(下. 伸 び が 高 い(低. い)と. 落)し. て い る都道. い う 関 係 が 成 立 して い. る とみ られ る。. 表5"一. 人 当 た り実質 法人 等預 金"前 年 比の推 計結 果(変 動 効果 モデ ル㈱) 説. 明. 変. 数. 係. 県 内 総 生 産(前. 年 比%)1α10.2081(2.973)1[0.003]. 機. 利(前. 年 差%ポ. 価(前. 年 比%)1β10.0311(1.243)1[0.214]. 出(前. 年 比%)1β20.8351(18.139)1[0,000]. 会. 金. 地 実. 質. 貸. イ ン ト)1α2-0.0751(-0。093)1[0.926]. 長 短 金 利 差(前. 年 差%ポ. 株. 年 比%)1β4a.os71(7.093)1[o.000]. 定. 価(前 数. 項1α. 数1(t値)1[p値]. イ ン ト)1β31.1121(2.970)1[0.003]. 。-1.6411(-6.210)1[0.000]. 修 正R2=Q.478D.W.=1.579. ㈱. ハ ウ ス マ ン ・テ ス トに よれ ば,自 由度6のx2統 計 量 が3.01(p値0.808)と デ ル の使 用 を 推 奨 して い る た め,変 動 効 果 モ デ ル の み を記 載 し た。 22(154)一. な り,変 動 効 果 モ.

(23) 近 年 の マ ネ ー サ プ ラ イ伸 び悩 み の 背 景(安 こ れ ら の 説 明 変 数 の 係 数 を み る と,実 総 生 産"が0.208で. 質 貸 出 が0.835と. 続 い て い る 。 法 人 の 場 合,貸. 孫 子). 最 も 高 く,"一. 出 姿 勢 と 預 金 額 と の 間 で,個. 金 ベ ー ス と 比 べ て よ り強 い 相 関 が あ る こ と を 示 唆 し て い る 。 ま た,株 水 準 で 有 意 に 影 響 し て い る 。 各 説 明 変 数 の 符 号 条 件 も,想 こ れ に 対 し,地 を 含 む)や. 価 は10%水. 人 当 た り実 質 県 内. 価(全. 人 預金 や全預 国 一 律)も1%. 定 し た と お り と な って い る 。. 準 で み て も 有 意 で は な い 。 地 価 の 変 動 が 個 人 預 金(個. 人 企業. 全 預 金 ベ ー ス に 有 意 に 影 響 を 与 え て い るの と は 異 な って い る。 法 人 預 金 は 地 価. の 影 響 が 乏 しい こ と を 示 唆 して い る。 ま た,機. 会 金 利 の 項 は,符. に つ い て は,全. 号 が 想 定 ど お り マ イ ナ ス な が ら,有. 意 性 が 乏 しい 。 法 人 預 金. 預 金 ベ ー ス あ る い は個 人 預 金 と は別 の 金 利 変 動 要 因 が 隠 れ て い る 可 能 性 が. あ る。 長 短 金 利 差 に つ い て は,符. 号 が プ ラ ス で,1%水. 個 人 預 金 や 全 預 金 ベ ー ス を 上 回 っ て お り,法. 準 で 有 意 と な っ て い る 。 係 数 を み る と,. 人 が よ り敏 感 に 反 応 し て い る こ と を 示 唆 し て. い る。. 次 に,法. 人 等 預 金 を 対 象 に,バ. 個 〉 と1991∼2003年. 表6"一. 度 〈同611個. ブ ル 崩 壊 の 前 後 の 時 期(1980∼1990年 〉)に 分 け て 推 計 し た と こ ろ,表6の. 人 当 た り実 質 法 人 等 預 金"前 バ ブル 崩 壊 前(1980∼90年. 説 明変数. 年 比 の推 計 結 果(バ 度)バ. 固定効 果 モデル⑳ 係. 数(t値)[p値]係. 機 会 金 利. α2-0.583(-0.599)[0.549]2.375(1.829)[0.067]. 地. 価. β10.023(0.792)[0.429]0.125(2.205)[0.027コ. 実 質 貸 出. β21.194(13.682)[0.000]0.303(4.825)[0.000]. 長短金 利差. β32.101(2.920)[0.004]0.830(2.036)[0.042]. 株. 価. β40.056(3.149)[0.002]0。024(2.095)[0.036コ. 項. αD-一. 一 修 正R2=0.480修 D.W.=1.614flD.W.=1.920. 推 計 結 果 が 得 られ た 。. ブ ル 崩 壊 の 前 後). ブル 崩 壊 後(1991∼2003年. 一1.441(-5.622)[0.000] 正RZ=O.067. ⑳. ハ ウ ス マ ン ・テ ス トに よ れ ば,自 デ ル の 使 用 を 推 奨 して い る た め,固. 由 度6のx2統 計 量 が39.88(p値0.000)と 定 効 果 モ デ ル の み を 記 載 した 。. ㈱. ハ ウ ス マ ン ・テ ス トに よ れ ば,自 由度6のx2統 計 量 が1.18(p値0.978)と デ ル の 使 用 を 推 奨 して い る た め,変 動 効 果 モ デ ル の み を 記 載 した 。 -23(155)一. 度). 数(t値)[p値]. α10.377(3.913)[0.000]-0.121(-1.292)[0.196]. 数. 〈サ ン プ ル 数517. 変 動 効 果 モ デ ル㈱. 県 内総 生 産. 定. 度. な り,固 定 効 果 モ な り,変 動 効 果 モ.

(24) 第4巻. 第2号. バ ブ ル 崩 壊 の 前 後 で み る と,実 質 貸 出 は1%水 は,バ. ブ ル 崩 壊 前 は1%水. 準 で 有 意 だ が,バ. て い る 。 地 価 に つ い て は,バ 壊 後 に は5%水. 準 で 有 意 で あ る。 他 方,実 質 県 内総 生 産. ブ ル 崩 壊 後 に は10%水. ブ ル 崩 壊 前 は10%水. 準 で 有 意 とな っ て い る 。 こ の3つ. 準 で も有 意 で な くな っ. 準 で も有 意 で な か った も の が,バ の説 明 変 数 の 符 号 条 件 は,バ. ブル崩. ブル崩 壊 後. の実 質 県 内 総 生 産 を 除 い て 通 期 と 同 じで あ り,一 般 的 に 想 定 さ れ る もの と な っ て い る。 た だ,係 数 の 大 き さ が か な り変 化 して お り,実 質 貸 出 が バ ブ ル 崩 壊 後 に 約1/4に 方,地. 価 の 係 数 が0.02(非. 有 意)か. ら0.125(5%水. 準 で 有 意)に. 後 に は,実 質 貸 出 や 実 質 県 内総 生 産 の 影 響 度 が 薄 れ た一 方,地 み られ る(こ ま た,機 が,バ. 低 下 した 一. な って い る。 バ ブ ル 崩 壊. 価 の 影 響 度 が 上 昇 し た㈱ と. の 点 は,全 預 金 べ 一 ス と 同 じ)。. 会 金 利 の 係 数 を み る と,バ ブ ル 崩 壊 前 に は10%水. 準 で も有 意 で な か った もの. ブ ル 崩 壊 後 に は 符 号 が プ ラ ス(通 常 想 定 さ れ る符 号 と は 逆)に. 逆 転 して10%水. 準で. 有 意 と な っ て い る。 こ う した逆 転 は,個 人 預 金 や 全 預 金 ベ ー ス と同 じで あ る。 一 方 ,長 短 金 利 差 は,バ. ブ ル の 前 後 と も1%水. 準 あ る い は5%水. 準 で 有 意 で あ り続 け て. い る。 こ の 点 は,個 人 預 金 や 全 預 金 ベ ー ス で 有 意 度 が 低 下 した こ と と異 な っ て い る。 株 価 は,バ. ブ ル 崩 壊 前 は1%水. も,株 価 が 上 昇(下. 落)す. 準 で,崩 壊 後 は5%水. 準 で 有 意 に影 響 して い る。 いず れ. れ ば"一 人 当 た り実 質 法 人 預 金"が. 増 加(減. 少)し. て お り,通. 常 想 定 され る符 号 と な っ て い る。 全 預 金 ベ ー ス で 株 価 が プ ラ ス で 有 意 で あ っ た 背 景 に は, 法 人 の 反 応 が 大 き く影 響 して い た と考 え られ る。. 4.4.推 4.4.1.推. 計 結果 の解釈 計 結 果 の 取 り纏 め. 4.1.∼4.3.の 推 計 か ら得 られ た 知 見 の 概 要 を 簡 単 に 取 り纏 め る と,以 下 の と お り。 (全 国 銀 行+相 ①"一. 互 銀 行 の 預 金 全 体). 人 当 た り実 質 預 金"に,"一. 人 当 た り実 質 県 内 総 生 産",地. 価. 実 質 貸 出が有 意. に プ ラ ス の 影 響 を 与 え て い る(符 号 条 件 は想 定 ど お り)。 バ ブル 崩 壊 の 前 後 で も こ の 関 係 は 概 ね 変 わ っ て い な い(た ②. だ し,バ ブル 崩 壊 後,県. バ ブ ル 崩 壊 後 に は,地 価 の 係 数 が 上 昇 した 一 方,実. 内総 生 産 は 有 意 で な くな っ た)。 質 貸 出 の 係 数 が 低 下 して い る。. バ ブ ル 崩 壊 後 に な って,預 金 の 変 化 が 地 価 に よ り敏 感 に な って い る姿 が 窺 え る。. ㈱. バ ブル崩 壊後,早 期是正 措置 が1998年 度 に導 入 され るな ど,信 用 リス クの管理 が強 化 され てい る(詳 細 は安 孫子(2006)第5章 参照)。 地価 の下 落 が続 いた この 時期,銀 行 が預金 担 保 を取 り 崩 した り与 信 を抑制 した り した結果,法 人預金 が減 少 した可 能性 が あ る。 -24(156)一.

(25) 近年 のマネ ーサ プ ライ伸 び悩 みの背景(安 孫子) ③. 株 価 に つ い て は,通 期 で は"一 人 当 た り実 質 預 金"に るが,バ. ブ ル 崩 壊 の 前 後 で は 有 意 で は な か っ た(こ. 対 して 有 意 に影 響 を与 え て い. の 間,符 号 は い ず れ も想 定 ど お り. 正)。 ④. 機 会 金 利 の 影 響 を み る と,通 期 とバ ブ ル 崩 壊 前 は有 意 に 負 の 係 数 が 得 ら れ た(通 の 通 貨 需 要 関 数 と 同 じ)が,バ. 常. ブ ル 崩 壊 後 に は 有 意 に 正 の 係 数 に 変 わ っ た 。 他 方,長. 短 金 利 差 に つ い て は,い ず れ の 推 計 期 間 で も,想 定 ど お り正 の 符 号 とな っ た 。 (う ち 個 人 預 金) ⑤. 個 人 預 金 に つ い て は,①. ⑥. バ ブ ル 崩 壊 後 に は,②. と ほ ぼ 同 じ傾 向 が み られ る。. と 同 じ く実 質 貸 出 の係 数 が 低 下 して い る一 方,地. 価 の係数 は. ② よ り も小 幅 な 上 昇 と な っ て い る。 ⑦. 株 価 に つ い て は,バ 期(有 意)と. ブ ル 崩 壊 後(非. バ ブ ル 崩 壊 前(有. 意)に. 有 意)に. は ③ と 同 じ く正 の 係 数 とな っ た が,通. は③ と異 な り負 の 係 数 とな っ た 。 も っ と も,株. 価 の 係 数 は か な り小 さ い。 ⑧. 機 会 金 利 に つ い て は,④ は,正 の 符 号 と な った(た. と 同 じ傾 向 が み られ る。 こ れ に 対 し,長 短 金 利 差 に つ い て だ し,バ ブ ル 崩 壊 後 は 非 有 意)。. (う ち 法 人 等 預 金) ⑨. 法 人 等 預 金 に対 して は,① に 影 響 して い な い(バ. ⑩. ・⑤ と異 な り,地 価 は 通 期 お よ び バ ブ ル 崩 壊 前 に は 有 意. ブ ル 崩 壊 後 に は5%水. 準 で 有 意)。. 実 質 貸 出 の 影 響 を 特 に 強 く受 け て い る が,バ ブル 崩 壊 後 の 係 数 は約1/4に. 低 下 して. い る。 ⑪. 実 質 県 内 総 生 産 の影 響 を 個 人 預 金 よ り大 き く受 け て い るが,バ. ブ ル 崩 壊 後 に は10%. 水 準 で も有 意 で は な くな って い る 。 ⑫. 株 価 に つ い て は,⑦. と異 な りい ず れ も有 意 に 正 の 係 数 が 得 られ た が,バ. ブル崩 壊 の. 前 後 で 係 数 が 低 下 して い る 。 ⑬. 機 会 金 利 は 通 期 とバ ブ ル 崩 壊 前 に は 有 意 な 影 響 を 及 ぼ して い な い が,バ に は10%水. ブル崩 壊 後. 準 で 有 意 な 正 の 符 号 が 得 られ た。 これ に 対 し,長 短 金 利 差 は,い ず れ も正. の 有 意 な 値 が 得 ら れ,係 数 も個 人 預 金 や 全 預 金 べ 一 ス よ り も大 き い 。 4.4.2.推. 計結 果 の全 国 デ ー タへ の 当 て はめ. 次 に,上 記 の 推 計 結 果 を 用 い て,量 ベ ー ス の 預 貯 金 成 長 率(年. 平 均)の. 的 緩 和 政 策 が 実 施 さ れ て い た2001∼03年. 要 因分 解 を試 み た と こ ろ,表7の. 全 預 金 ベ ー ス と個 人 預 金 で は,地 価,実. 度 の全 国. と お り と な った 。. 質 貸 出 が 全 国 銀 行 の 預 金 の マ イ ナ ス要 因 と して. 一25{157)一.

(26) 第4巻. 第2号. 働 い た 可 能 性 が 高 い。 ま た,法. 人 等 預 金 に 対 し て は,と. く に 実 質 貸 出 が 大 幅 な マ イ ナ ス 要 因 と な っ て お り,株. 価 も 引 下 げ 要 因 と して 作 用 して い る。 こ う し た 推 計 結 果 か ら み て,こ. の 時 期 の マ ネ ー サ プ ラ イM2+CDの. 伸 び 鈍 化 に は,実. 質 貸 出 の 減 少 や 地 価 下 落 が 大 き く影 響 し て い た も の と 考 え ら れ る 。 4.4.3.推. 計 結果 の政 策 的含 意. こ の よ う に,本 い た う え,地. 稿 の 推 計 結 果 に 基 づ け ば,バ. 域 経 済 が 低 迷 し,地. ブ ル 崩 壊 後 の よ う に,地. 価 が 下 落 を 続 け て い る と き に は,マ. 域 貸 出 が 低 迷 して ネ ーサ プ ライ の増 加. を 図 る こ と が 困 難 で あ っ た こ と を 示 唆 し て い る 。 こ う し た 金 融 情 勢 の 下 で は,金 み の 発 動(例. え ば,量. 的 緩 和 政 策 に よ っ て ハ イ パ ワ ー ドマ ネ ー の 供 給 拡 大 を 図 る 政 策 等). に よ っ て 地 域 預 金 の 急 速 な 拡 大 を 期 待 す る 向 き も み ら れ た が,過 ら み て,そ. 融政 策 の. 去 の都 道府 県 別 の経 験 か. う し た 期 待 が 実 現 す る こ と は か な り難 し い と 考 え ら れ る 。. 地 域 預 金 の 拡 大,ひ. い て は 全 国 的 な マ ネ ー サ プ ラ イ の 拡 大 を 目 指 す た め に は,ま. ず,地. 域 経 済 の 活 性 化 や 地 域 の 地 価 の 下 げ止 ま りを 図 る必 要 が あ ろ う。 地 域 経 済 が 活 性 化 す れ ば,法. 人 等 預 金 が 回 復 す る と 考 え ら れ る ほ か,個. ら れ る 。 ま た,地. 価 が 下 げ 止 ま れ ば,個. 人 預 金 に も プ ラ ス の 影 響 を 及 ぼ す と考 え. 人 預 金 を 中 心 に,預. 金 を 拡 大 させ る効 果 が 期 待 さ. れ る。 そ れ と と も に,地. 域 金 融 機 関 の 自 助 努 力 に よ っ て,貸. せ な い と 考 え ら れ る 。 そ の 際 に は,信 1998年. 前. 年. 会. 質. 旦. 「不 良 資 産 」 と 認 定 さ れ た. 度 平 均 の 全 国 計 数 の 要 因 分 解(単. 位:%ポ. 預 金全 体. 個人 預金. 法 人等 預金. 期. バ ブル崩壊 後. 通. 期. え ば,. バ ブル崩壊 後. 通. 期. イ ン ト). バ ブル崩壊後. 比3.443.443.803.802.792.79. 金. 地 実. で は な く,一. 表72001∼03年. 県 内 総 生 産0.10非 機. 用 リ ス ク を 無 視 し た 目 先 の 政 策 対 応 を 図 る(例. の 特 別 保 証 制 度 の 導 入 の よ う な も の)の. 通. 出 意 欲 の 向上 を 目指 す こ と も欠 か. 貸. 有 意0.08非. 有 意0.15非. 有意. 利0.01-o.030.01-0.03非. 有意. 価. 一〇.27-0.77-0.39-0.33非. 有 意a.63. 出. 一1.55-o.31-0.65-0.39-2.98-1.08. 長 短 金 利 差. 一〇.10-0.04-0.07非. 有意. 一 〇.12-0.09. 株. 一〇.22非. 有意. 一 〇.70-0.25. 価. 注)「 県 内 総 生 産 」 と して,一. 有 意0.10非. 人 当 た り実 質GDPの -26(158)一. 計 数 を 用 い て計 算 。. 一 〇.03.

参照

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