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東京都における廃棄物・リサイクル分野の国際協力事業 (特集 地方自治体による国際環境協力)

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Academic year: 2021

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全文

(1)

東京都における廃棄物・リサイクル分野の国際協力

事業 (特集 地方自治体による国際環境協力)

著者

鈴木 裕子

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アジ研ワールド・トレンド

235

ページ

25-26

発行年

2015-04

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00003231

(2)

25

  アジ研ワールド・トレンド No.235(2015. 5)

鈴木

  裕子

  東京都は、これまで多くの廃棄 物 問 題 を 克 服 し て き た 経 験・ 知 識・ノウハウを、現在、深刻な廃 棄物問題に直面しているアジア諸 都市と共有することにより、環境 負荷の低減に寄与するとともに、 民間企業が有する廃棄物処理・リ サイクル技術を海外に展開する契 機とするため、廃棄物・リサイク ル分野における国際協力事業を実 施してきた。   特に、二〇一一年度には、東京 都廃棄物処理計画(計画期間二〇 一一~二〇一五年度)において、 国際協力を「都が蓄積している技 術や知識について海外へ情報発信 するなど、国際協力を推進してい く」と位置づけ、併せて、同年度 から(公財)東京都環境公社を窓 口とし、積極的に廃棄物・リサイ クル分野における国際協力事業を 進めている。実際にも、海外行政 機関等からの都内廃棄物処理・リ サイクル施設や埋立処分場の見学 者は年々増加している(二〇一一 年度一九二名、二〇一二年度二二 四名、二〇一三年度五三三名) 。   なお、東京都では、二〇〇〇年 度に東京二三区の清掃事業を区へ 移管しており、現在は、埋立処分 場を除く家庭ごみ等の一般廃棄物 の処理を行っていないため、実際 に収集や処理を行っている区市町 村や清掃一部事務組合、廃棄物処 理事業者に多大なるご協力を頂き、 事業を実施している。   都環境局は、二〇〇一年に設立 さ れ た ア ジ ア 一 三 都 市 の 国 際 的 ネットワークであるアジア大都市 ネ ッ ト ワ ー ク 21( 以 下、 「 A N M C 21」) の 枠 組 み の な か で、 資 源 リサイクル促進研修事業を実施し てきた。具体的には、毎年二月頃、 都内において、五日間の多都市間 の研修を実施している。   アジア諸都市では、分別や中間 処理を行わずに埋立処分という処 理が一般的であるが、増大するご み量により処分場がひっ迫してい る。本研修事業においては、徹底 した資源分別とリサイクル、焼却 などの中間処理や焼却灰さえも有 効活用する都内各主体の取り組み を視察や講義により紹介している。   また、各参加都市から現状の発 表と質疑応答を行うことにより、 参加都市同士の相互理解を図って いる。二〇一四年度の研修事業に おいては、特に食品廃棄物対策に 重点を置き、食品リサイクル法や 都の食品廃棄物対策の講義、食品 リサイクル施設の視察およびゲス ト 講 師 を 迎 え て の オ ー プ ン 講 座 「 ア ジ ア の 食 品 廃 棄 物・ 食 品 ロ ス を共に考える」を実施した。   二〇一四年度の参加者全員から 研修に大変満足したとの評価を頂 いており、二〇一五年度も同様の 多都市間研修事業を実施する予定 である。   研修内容に加え、初日のウェル カム・パーティ、最終日のフェア ウェル・パーティや都内観光等の プライベートも含めた多くの関係 者による心からの歓待により、日 本のおもてなしの心が少なからず 伝えられたものと感じている。 表1 アジア大都市ネットワーク21資源リサイクル促進研修 2002年度から2014年度の参加都市と参加人数  ANMC21研修事業(資源リサイクルの促進) 年度 参加都市 参加人数 2002 バンコク、ジャカルタ、ソウル 3 2003 デリー 2 2004 ハノイ、ジャカルタ、クアラルンプール、ヤンゴン 5 2007 バンコク 2 2008 バンコク、シンガポール 3 2010 バンコク 2 2011 バンコク、デリー、パダン 3 2012 バンコク、マニラ、シンガポール 4 2013 バンコク、デリー、マニラ、シンガポール、ウランバートル 15 2014 バンコク、デリー 4 (出所) 筆者作成。

地方自治体による

国際環境協力

(3)

アジ研ワールド・トレンド No.235(2015. 5)  

26

  都環境局では、ANMC 21の枠 組みの下、多都市間交流と共に、 都市と地球の環境問題事業として 二都市間の交流も実施している。   二都市間交流は、相手都市の状 況や要望に、よりきめ細やかに対 応可能なため、ニーズが増加する 傾向にある。   特に、タイのバンコク都および ミャンマーのヤンゴン市とは、交 流が深まっている。   タイの首都であるバンコク都は、 人口約一〇〇〇万人(正式登録人 口約六〇〇万人、未登録人口約四 〇 〇 万 人 )、 ご み 量 一 日 約 一 万 ト ン( 工 業 系 の 廃 棄 物 は 含 ま ず )、 組成は約五〇%が有機系ごみ、約 一〇%が資源化可能ごみとのこと である。バンコク都により収集さ れた廃棄物の処理は一部コンポス ト化施設に受け入れられているほ か、バンコク域外の埋立処分場二 カ所に埋め立てられている。なお、 現在、清掃工場の建設を進めるな ど、廃棄物処理の改善が進められ ている。   バンコク都との交流では二〇一 一年度における現地ワークショッ プ、二〇一三年度に約九〇名のバ ンコク都職員が参加した東京にお けるワークショップ、および直近 では二〇一四年一二月にバンコク 都でのワークショップを実施した。   直近のワークショップでは、豊 島区および都の職員を派遣し、バ ンコク都からの要望に応え、大型 商業施設や集合住宅からの廃棄物 排出状況の東京都内での取り組み の発表および意見交換等を行った。   ミャンマーの経済の中心都市で あるヤンゴン市は、人口約五〇〇 万人で一日約一六〇〇トンの廃棄 物を市が収集しており、その組成 は、約七〇~八〇%が有機系ごみ、 約一〇%がプラスチックごみ(二 〇一三年)とのことである。現在、 中間処理施設はなく、主に二カ所 の埋立処分場(ダウェジャン処分 場およびテインビン処分場)にそ のまま埋め立てられている。   現在、埋立処分場における廃棄 物焼却発電施設の建設や衛生埋立 処分場への転換等が予定されてい る。また、将来の中間処理導入を 見据え、ごみ分別が開始されてい る( 住 民 は 濡 れ た ご み〔 青 い 袋 〕、 乾いたごみ 〔緑の袋〕 に分別排出) 。   都は、二〇一二年度にJICA 草の根技術協力事業に採択された 「 ヤ ン ゴ ン の 廃 棄 物 処 理 改 善 共 同 検討プロジェクト」を実施してい る。これに基づき、これまでヤン ゴン市におけるワークショップを 二回、東京におけるワークショッ プを三回実施した。現在は、JI CA草の根技術協力事業フェーズ 2が始まっており、ヤンゴン市に おける住民普及啓発ツールや職員 用のマニュアル等をヤンゴン市と 連携し、作成していく予定である。   都は二〇一四年一二月「東京都 都市外交基本戦略」を策定した。 そ の な か で、 「 過 去 の 成 果 を 活 か しつつ、見直しや再活性化を図り、 二都市間・多都市間外交を国内外 に積極的に展開」するとし、戦略 的な二都市間外交の推進および効 果的な多都市間外交の実施を図る こととした。そのなかで、前述の ANMC 21についての見直しもあ り、ANMC 21の枠組みの下での 活動は休止するが、実務レベルで 成果を挙げてきた事業については 都 の 事 業 と し て 継 続 す る こ と と なった。   環 境 局 の 取 り 組 み は、 「 大 都 市 に共通する課題の解決の具体的な 取り組みとして、環境問題では気 候変動対策をはじめ、大気汚染対 策や廃棄物処理等について、多都 市間での政策情報の交換や技術支 援を行う」と位置づけられている。   近年では、大気汚染対策でも都 の知見を求められる機会も増えて お り、 北 京 市、 バ ン コ ク 都 等 と ワークショップを実施している。   東 京 都 は 二 〇 二 〇 年 の オ リ ン ピック・パラリンピックに向け、 都市外交基本戦略に基づき、海外 都市とより一層交流を深めること としている。東京都の廃棄物・リ サイクル分野における国際協力事 業もその一助となるよう、関係機 関と連携しながら、相手都市の需 要に対応した充実した内容で交流 を継続していく。 ( す ず き   ひ ろ こ / 東 京 都 環 境 局 資源循環推進部計画課計画担当係 長) ヤンゴン市におけるリヤカーによるごみ収集 (撮影:瀧屋直樹)

参照

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