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工業高校における生徒の職業に対する自己効力感の構造と形成

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Academic year: 2021

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(1)工業高校における生徒の職業に対する自己効力感の構造と形成 教科・領域教育学専攻 生活・健康・総合内容系コース. M092261 山尾英一 1.はじめに. 題への取り組みも消極的になり,得られる結果のレ. 本研究の目的は,工業高校生の職業に対する自己. ベルも低下すると考えられている。. 効力感の実態を把握すると共に,その形成要因と影.  したがって,工業高校生の将来の職業に対する自. 響を明らかにし,今後の教育的支援の方策を検討す. 己効力感という場合,それは工業高校生が将来の自. ることである。. 己の職業を適切に覚めそうであると感じる遂行可能.  工業高校では,その教育課程を通して,生徒のも. 性の認知であり,工業高校での学習経験に対する肯. のづくりへの興味・関心を高め,工業技術者として. 定感から将来の職業を展望する感覚である。しかし,. 必要な職業観,勤労観の育成を図ることが重視され. これまで工業高校生を対象に将来の職業に対する自. ている1〕。しかし,近年,工業高校を卒業した後,. 己効力感について体系的に検討した先行研究は筆者. 関連する業種に就職しない生徒や職業生活を適切に. の知る限り定かではない。そこで,本研究では,工. 営めない生徒,進路決定を先延ばしにするモラトリ. 業高校生の職業に対する自己効力を構造的に把握し,. アム化などが増えつつあるカ。この問題の背景には,. その形成に果たすキャリア成熟及び時間的展望体験. 生徒が工業高校における様々な学習経験を自己のキ. との関連性を明らかにすることにした。. ャリア形成と適切に結びつけられず,将来の職業生 活に対する見通しや自信,展望などをもてないこと. 2.論文の構成 本論文は,次に示す5つの章で構成されている。. が挙げられる。.  このような自己の進路に対する見通しや自信,展. 第1章緒論. 望などについてTay1or,KM二&Betz,NE.(1983). 第2章 工業高校生の職業に対する自己効力感の実. は,進路選択に対する自己効力の強い者は,進路選.    態分析. 択行動を活発に行い,努力をする一方,自己効力の. 第3章 工業高校生のキャリア成熟が職業に対する. 弱い者は,進路選択行動を避けたり,不十分な活動.    自己効力感に及ぼす影響. に終始してしまうと指摘している3)。ここでいう自. 第4章 工業高校生の職業に対する自己効力感と時. 己効力(Se吐e箭。acy)とは,B8mdura,A・(1977)に.    間的展望体験との関連性. よると特定の行動に対する遂行可能性の認知であり,. 第5章 結論及び今後の課題. 自分は適切な行動をうまくやり遂げることができる. と感じることであるめ。自己効力は行動に直接的に. 3.研究の概要. 影響を与えると仮定されており,自己効力が高けれ. 第1章では,本研究の目的を踏まえ,研究の背景,. ば課題に積極的に取り組むことができ,得られる結. 先行研究の整理,問題の所在などから研究課題を抽. 果のレベルが高くなる。逆に,自己効力が低いと課. 出し,本研究の計画と構造を策定した。. 一424一.

(2) 31工業高校生の職業自に対する自己効力感の実. r適応資質効力感」が,r目標指向性」,r希望」,r現.   態分析. 在の充実感」の形成に有意な影響力を示した。しか.  第2章では,工業高校生の職業に対する自己効力. し,「専門性効力感」については,時間的展望体験に. 感を構造的に把握することを目的とした。工業高校. 対する影響力は限定的であった。. 3学年の生徒計537名を亥橡とした予備調査から作 成した尺度項目を用い,工業高校1∼3学年の生徒. 4結論及ぴ今後の課題. 計725名を対象とした本調査を実施した。その結果,.  以上の結果から本研究では,工業高校生の職業に. 工業高校生の職業に対する自己効力感としてr適応. 対する自己効力感の実態とその形成要因,影響等を. 資質効力感」,「専門性効力感」の2因子が抽出され. 構造的に把握することができた。しかし,その関連. た。この2因子に基づいて計11項目からなる「工. 性においては,工業に関わる専門一性に依拠した自己. 業高校生の職業に対する自己効力感尺度」を構成し. 効力感よりも,社会的環境に適応するための基礎的. た。. な資質の形成に依拠する自己効力感が重要なぞ賭jを. 312工業高校生のキャリア成熟が職業に対する自. 果たしており,工業高校における専門性の習得が必.   己効力感に及ぼす影響. ずしも生徒のキャリア意識や時間的な展望の形成と.  第3章では,工業高校生のキャリア成熟が,職業. 適切に結び付いていない状況に実践上の課題が見出. に対する自己効力感に及ぼす影響を検討した。工業. された。. 高校1∼3学年の生徒計246名を支橡に,第2章で.  これらの各知見は,本調査の範囲内で限定的に捉. 作成したr工業高校の職業に対する自己効力感尺度」. える必要があるものの,今後,工業高校における進. 及び坂柳(1999)の作成したr成人キャリア成熟尺度」. 路指導や学習指導の方法を体系化していく上で基礎. (3因子27項目)を用いた調査を実施した。その結果,. 的な知見となりうるものである。今後は,本研究で. 工業高校生は,自己のキャリアに対する噛心性」,. 得られた知見に基づき,職業に対する自己効力感を. r計副生」,「自律性」などの成熟が,社会的環境へ. の適応に向けた「適応資質効力感」の形成に寄与し. 高めうる教育的支援の方策を具体化し実践を通して その効果を検証していく必要があろう。. ていると示唆された。しかし,r専門牲効力感」に対. する影響力は,2学年においてのみ認められたもの の,1・3学年では認められなかった。. 文献 1). 文部省:高等学校学習指導要領解説工業編,実教. 2). 全国工業教育理念検討委員会1新しい時代の工業. 出版株式会社,pp.10・12(2000).. 33工業高校生の職業に対する自己効力感と時間的. 教育r創造的なものづくり教育を目指して」(最終.   展望体験との関連性. まとめ),社団法人 全国工業高等学校長協会, pp.1−2(2005)..  第4章では,工業高校生の職業に対する自己効力 3). Tay1o巧K.M.&Betz,K.M.:App1ications of. 感が,時間的展望体験に及ぼす影響を検討した。工. se吐e曲。a町theoW to the㎜derstandi㎎and. 業高校1∼3学年の生徒計468名を支橡に,r工業高. treatment of ca工eer in decision,ゐ㎜拠∂ノ o〆 ㎞θ此棚∂〃θ加向以V⊃1.22,PP.63・81(1983).. 校生の職業に対する自己効力感尺度」及び白井. 4). Banau工a,A.:Se吐e伍。aW towa工d a un軌ng. (1994.1977)の作成したr時間的展望体験尺度」(4. theoIy of behavioraユ change, 月γcゐ。ゐ繰ba7 地㎞町84,PP.191−215(1977).. 因子18項目)を用いた調査を実施した。その結果,.        主指導教員・指導教員森山潤. 一425一.

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参照

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