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育児中の母親の幸福感 就労別にみた母親の年齢、子ども数、末子年齢による幸福感への影響

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全文

(1)

原 著

育 児 中 の 母 親 の幸 福 感

―就労別にみた母親の年齢

,子

ども数

,末

子年齢による幸福感への影響―

長野県看護大学

清水

嘉子

東北女子大学家政学部

関水 しのぶ

京都橘大学

遠 藤

俊 子

金沢医科大学看護学部

落合 富 美江

抄 録 本研究では

,母

親や末子の年齢

,子

どもの数 といった属性が

,母

親の肯定的情動 としての育児 幸福感 に影響があるか どうか

,母

親の就労状況別 (フル タイム群

,パ

ー トタイム群

,家

事従事群) に比較 し検討す る。参加者 は

,764名

0∼ 6歳

の子 どもをもつ母親である (フル タイム 219 名

,パ

ー トタイム234名

,専

業主婦 311名)。 育児幸福感の測定には清水 らが開発 したChndcare Happiness Scale(以 後

CHSと

す る

)用

いた。 母親年齢

,子

ども数

,末

子年齢 を独立変数

,8つ

の育児幸福感の下位尺度得点を従属変数 とし たモデルを

,パ

ス解析で多母集団同時比較 を行い検討 した。その結果

,す

べ ての群において子 ど も数 は

,CHSの

8つ

の下位尺度得点に全 く影響 を与 えなかったが, しか し末子年齢は

,フ

ル タ イム群において「親 としての成長」の得点に正の影響

,そ

して専業主婦では負の影響があ り

,一

方パー トタイム群では影響が なかった。 フルタイム群において

,母

親年齢は「子 どもの成長」尺 度得点に正の影響 を与 えたが

,他

の群においては影響がみ られなかった。 この結果 より

,フ

ル タ イムで働 く母親にとって,母 親や末子の年齢が増す ことは「親 としての成長」や「子 どもの成長」 の育児幸福感を高めることが示唆 された。 さらに

,就

労形態の異 なる母親に姑する育児教室にお ける支援 について検討 した。 キーワー ド :育 児幸福感

,就

労形態 ,母 親の年齢

,末

子の年齢

,子

ども数

平成

22年7月 (2010)〕

I.緒

言 「母性愛

,す

なわち “子 どもに対す る先 天的・ 本能的 な愛情

"は

本来母親 に特有の ものであ り, 母親は上手に子育てで きて当た り前であ り

,母

親 は子 どもの養育に専念することが子 どもにとって 最善である」 とい う

,母

性愛信仰はわが国の子育 てに影響 を与 えて きた1)。 しか し

,近

年のわが国 367 で盛んに行われている子育て支援の事業 を考えれ ば,子育ては母親だけが荷 うには胚l難であること, そ して

,す

ぐに母親が母親 としての役割をうまく 果せ る とは限 らない とい うことは明 らかである。 つ ま り

,母

親 は始 めか ら母親になるのではな く, その育児のなかのネガティヴな状況で生 じる育児 ス トレスに苦悩 し

,そ

してポジテ ィヴな状況で幸

(2)

福感 を感 じなが ら

,母

親 として成長 してい くもの であろう。それゆえ

,近

年の子育て支援の取 り組 みのなかには

,保

育施設の整備 といった行政的な 事業 だけでな く

,母

親 を育てるための育児教室D も必要 となるだろう。 母親のネガテ ィヴな感情である育児ス トレスは 清水 ら°に よる と

,就

労 の有無 に よ り結果が異 な り

,専

業主婦 ほ ど高い傾 向にあるとい う。 さら に

,母

親 としての経験 の増加 に関係する変数であ る母親本人の年齢や末子年齢そ して子 ども数が, 育児ス トレスのほ とん どの下位尺度に影響 してい た。そこで本研究では

,母

親のポジテ ィヴな感情 である育児幸福感 も

,就

労の有無や

,母

親の年齢 や末子年齢や子 ども数が影響 を与えるか どうかを 検討す る。 また

,子

どもをもつ ことは生活全般の 幸福感 に影響す るものではな くり

,主

観的幸福感 と育児幸福感 とは弱い相関を示す9も のである。 そ こで

,母

親の育児支援 を行 ううえでは

,主

観的 幸福感 と育児幸福感の両者 を把握 し

,そ

の対応 を 考 える必要があると考 え

,本

研 究ではこれ らの2 つの幸福感 を変数に扱 うことに した。 母親の就労が育児へ与 える影響 を考 える研究に おいては

,母

親の家庭の複数の役割に従事すること の影響は肯定と否定の両方が↓旨摘 されている1)。 そ の肯定的な側面か らの研究 °では

,母

親が「家庭 でのス トレスを仕事で発散で きる」 といった家庭 役割 を仕事役割が補償的に感 じていることが示 さ れている。 この母親の就労 を肯定的にとらえる立 場か ら考えれ

ti専

業主婦の母親 よ りも就労 して いる母親のほうが

,育

児ス トレスな どネガテ イヴ な感情 を発散することがで き

,そ

の成長 とともに 育児幸福感を感 じやす くなるのではないだろうか。 そこで

,本

研究の仮説 は, まず 1つ 目に

,母

親 の年齢や末子年齢が高 くなれば

,母

親 も子 どもも 成長することで心にゆとりが生 まれ

,育

児幸福感 や主観的幸福感はよ り高 まるだろう。そ して

,2

つ 日に

,子

ども数は

,清

水 ら°に よる研 究で は 子 どもの数が多ければ育児 ス トレスも増加す ると いった単純な線形的な影響 はなかったので

,子

ど も数は

,育

児幸福感にも単純な線型的な影響 (た とえば

,子

どもが多ければ育児幸福感 も高 まる) を与えないだろう。3つ目に

,母

親が就労 に従事 す ることの肯定的側面 を考 えれば

,母

親の成長 と 育児幸福感や主観的幸福感の関係は

,専

業主婦の 母親 よりも

,仕

事 をもつ母親のほ うがポジテ ィヴ なよ り強い影響がみ られ

,母

親の就労状況 によ り その関係に違いがみ られるだろう。そ して, もし このような違いが存在するな らば

,母

親 に対する 育児支援 もその就労状況 を考慮 し変 える必要があ ることが示唆 される。 これ らの仮説 を検証す るために清水 ら°が開 発 した育児幸福感尺度

(CHS)を

用い

,母

親の年 齢

,子

ども数

,末

子年齢 を独立変数

,そ

して8つ の育児幸福感の下位尺度得点 と一般的幸福感を従 属変数 とした図 1の ようなモデルを設定 した。 ま た

,専

業主婦

,パ

ー トタイム従事

,フ

ルタイム従 事の母親のグループ間の比較 をす るために

,パ

ス 解析 による多母集団同時比較 を行った。 以上の仮説の検討 より

,考

察では母親の就労状 況の違いによる母親の育児幸福感 を高めることを めざした支援の方法 を提案 してい く。 Ⅱ

.研

究方法

1

調査対象 末子年齢が

6歳

以下の乳幼児を育児 している母 親 を対象 とす る。

2.調

査方法

1)調

査施設 東京近郊にある県に所在する人口3∼ 5万規模 の中核都市である

A,B,C市

にある保育園な ら びに幼稚国で調査 を行った。

2)調

査期間 2005年 8∼ 9月

3)調

査方法 保育園の保育士 よ リア ンケー ト用紙 を配布 し, 留め置いた後

,園

で回収 した。園にきょうだいが いる場合は上の子 どものクラスでアンケー ト用紙 を配布 した。

3

調査内容

1)母

親の属性 母親の年齢

,子

どもの数

,末

子年齢

,就

労状況 (フルタイム勤務・パー トタイム勤務・専業主婦) について回答 を求めた。

2)育

児幸福感尺度 (Chndcare Happiness Scalα 以下

CHSと

す る)

(3)

平成

22年7月 (2010)〕 清水 らにより

,母

親の育児中に感 じる幸せ な気 持 ちであ る育児幸福 感 を測定す るため に開発 さ れた

41項

,8下

位尺度か らなる尺度であ る)。 41項目全体の内的整合性 を表す α係数は

095で

ある。8つの下位尺度は 、「子 どもの成長」「希望 と生 きがい」「親 としての成長」「子 どもに必要 と されること」「夫への感謝の念」「新たな人間関係」 「子 どもか らの感謝や癒 し」「 出産や子育ての意 義

Jで

あ る。 これ らの下位 尺度の α係 数 はすべ ての因子 において十分な値 (0.867∼ 0.768)が 得 られ

,各

項 目の内的整合性が認め られている。以 後の分析 では

,各

下位尽度の各項 目を単純合算 し 使用 した。また,育児幸福感の5段階評価 では,「あ てはまらない」を1点,「 あ ま りあてはまらない」 を

2点

,「 どち らで もない」 を

3点

,「 少 しあては まる」 を4点,「あてはまる」を

5点

とした。

3)主

観的幸福感 伊藤 ら分により

,WHOが

開発 した

SUBIに

基 づいて作成 されたものであ り, とくに

SUBIの

尺 度項 目のなかの「結果 としての健康感」 を表現 し てい る

5領

域 (“人生 に紺す る前向 きの気持 ち" “達成感"“自信"“至福感"“人生 に対する失望感" の5領域

)に

注 目した尺度であ り

,育

児幸福感の 下位尺度項 目と弱い相関が認め られている。そこ で本研究では

,母

親の心理的健康状態 を明 らかに し, これ ら2つの幸福感の関係性の検討 を行い母 親への対応への示唆 を得 るために

,育

児幸福感尺 度 に加 え

,人

生のなかの全般な幸福感であるこの 主観的幸福感尺度の15項目を加 えた。 α係数 は

o90で

ある。 また

,主

観的幸福感の

5段

階評価で は,「あてはまらない」 を1点,「 あま りあてはま らない」 を2点,「どち らで もない」を3点,「少 しあてはまる」 を

4点

,「 あては まる」 を5点と した。 Ⅲ

.分

析方法

SPSS統

計 ソフ トver17に よ リー元配置分散分 析

,そ

して

AMOSに

よ リパス解析の多母集団同 時比較 を行った。 Ⅳ

.倫

理的配慮 本研究 に取 り組 むに当たって

,研

究者が所属す る大学 における と7年度倫理委員会の審査 による 承認 を受 けた (審査承認番号 #19)。 369 本研究の調査 に先立 ち園長 に研究 目的

,方

法, 意義

,守

秘義務

,研

究の協力お よび協力拒否が可 能であることな どを説明 し

,研

究の協力への承詰 を得た。その後保育士 より母親へ,本調査の 目的, 方法

,意

,守

秘義務

,研

究の協力および協 力拒 否が可能であ る こ と

,特

定の個 人的情報が遺漏 しないよう処理す ること(コー ド化 し廃棄する), 本研 究以外 にデー タを用い る こ とは しない こ と を明記 した依頼文 を もって説明 を行い

,本

調査 において調査 に協力す ると意志表示 した者のみ に調査 を依頼 した。 回答 は答 えた くない ものは 回答 しな くて もよいな ど本人の選択 に基づいて 記 入で きるよ うに した。 回収時 は個人情 報が漏 れないように封 をして回収箱にて回収 した。

V.結

1.調

査用紙の回収率

3市

12保育 園

4幼

稚 国 に合 計 1,420部 を配布 した。調査用紙 を回収 で きたのは874名 (回収 率61.5%)。 父子家庭や欠損 回答 な どを除いたた め分析 の紺象 となったのは764名 (有効 回答率 53.8%)であった。

2

対象の属性 母親の就労別人数は

,フ

ルタイム 219名

,パ

ー トタイム234名

,専

業 主婦311名であ った。母 親の平均年齢 34.5歳

(SD=42),

フルタイム群 34.5歳

(SD=4.3),パ

ー トタイム群

351歳

(SD =4.6),専 業主婦群

342歳

(SD=4.0)で

あった。 3群の母親の平均年齢の間には

,一

元配置分散分 析 の結 果

,有

意 な差 はなか った。子 どもの数の 平均 は 2.1人

(SD=0,75),

フル タイム群 2.0人

(SD=0.80),パ

ー トタイム群 2.1人 (SD=0,72), 専業主婦群 2,0人

(SD=075)で

あった。3群の 子 ども数 の平均 も有意差が なかった。末子年齢 の平均は

29歳 (SD=■

80)で

,ウルタイム群

30

(SD=176),パ

ー トタイム群

36歳

(SD=

63),専

業主婦群

23歳

(SD=■

76)で

あった。 3群間における末子年齢の平均値の差は

,一

元配 置分散分析 の結果

,有

意であった。 この末子年齢 の平均値の差 は

,日

本の母親の多 くが

,子

どもが

3歳

よ りも小 さい場合は,就労 をいったん中止 し, 3歳以降にパー トタイムの就労 を再開する事情 を 反映 した ものであると考 え られる。

(4)

3

就労形態別の母親の属性 による

2種

類 の幸福 感への影響 母親の就労形態 (フル タイム

,パ

ー トタイム, 専業主婦

)に

よって

,3つ

の母親の属性 (母親の 年齢

,子

ども数

,末

子年齢

)が

,CHSの

8つの 下位尺度お よび主観的幸福感に影響の仕方が変わ るので はないか と仮定 し

,AMOSで

パ ス解析の 多母集団同時比較 を行 った。なお,この分析で行っ たモデルは上述の図 1に 示 してある。3つの群間 で結果の違いがあるか どうか調べるための多母集 団同時比較では

,パ

ス解析のパ ラメータがすべて 異なると仮定す るものか らすべて等 しい と仮定す るものまで計5つのモデル (表1参照

)を

検討 し た。モデルの良 し悪 しをあ らわす適合指標(GFI, モ デ ル モデル

0:す

べてのパラメータは群間で 異なる モデル1:すべてのパス係数が群間で等 しい モデル

2:独

立変数の分散共分散 とパス 係数が等 しい モデル

3:誤

差の相関以外のすべてのパ ラメー タが等 しい モデル

4:す

べてのパラメータが群間で 等 しい

AGFI, CFI, RESEA, AIC)を

, こ,生らの5つ

のモデルの間で比較 した結果

,モ

デル

0は

GFI

=0874と

CH=0,763が

最 も優 れ

,ま

たモデル 41よ

AGFI=0,756, RMSEA=0091が

最 も修謝化 ていた。本研究の仮説 としては

,母

親の就労形態 によって母親の属性 による育児幸福感や主観的幸 福感へ の影響力 に違 いがみ られ る と考 えたので, モデル0を以後の結果の解釈に採用 した。モデル 0における結果は

,表

2と 表3に表 した。 まず

,表

3に表 した

,母

親の属性 についての変 数間の相関について述べ る。母親の年齢 と子 ども の数の間における相関は

,フ

ルタイム

,パ

ー トタ イム

,専

業主婦のいずれの群においても有意であ り(順に0.213,0.328,0,161,すべて

P<0.05で

1

パ ス解 析 の モ デ ル 付記:上記のモデルの誤差間には相関があるが,図中には省略してある。 表

1

モデ ルの適合度指標

自由度

χ2値

GFI AGFI CFI RMSEA AIC

8052 0.874 0454 0,763 0142 11652 8794 0862 0702 0756 0102 11314 8945 0,860 0726 0,755 0.097 1122.5 1104,6 0829 0709 0695 0101 12966 子 どもの人数 母親の年齢 末子の年齢 新たな人間関係 夫への感謝の念 どもに必要とされること 親 としての成長 希望 と生 きがい 子 どもの成長 主観的幸福感 出産 と子育ての意義 子 どもか ら と癒 し 174 11732 0819 0,756 0609 0,091 12932

(5)

平成22年7月 (2010)〕 表

2

モデル0における母親の就労形態別の3つ属性 の育児幸福感に対す る影響指数 (標準化) 371 フル タイム辞 専業主婦群 母親年齢 子 ども数 末子年齢 母親年鈴 子 ども数 末子年齢 母親年齢 子 ども数 末子年齢 グループ パ ー トタイム群 母親属性 子 どもの成長 希望 と生 きがい 親としての成長 子 どもに必要 とされること 夫への感謝の念 新たな人間関係 子 どもか らの感謝 とな し 出産 と子育ての意義 主観的幸福感 0.185辛 0067 0012 -0095 0131 -0086 0080 0118 0021 0061 0015 0033 -0030 0028 0012 0011 -0024 -0064 -0098 -0020 0,1504 0148 -0168孝 0077 0032 0027 -0058 0000 -0169* -0161孝 -0,174奉 0023 -0■ 14 -0022 -0209・ 0204‡ -0021 0017 -0092 -0022 0072 0069 -0106 -0051 -0074 -0129 002 -0003 0033 -0054 0051 -0126 -0033 -018ヽ・ -0024 -0103 0027 -0052 -0028 -0079 -0017 -0108 0093 -0002 -0016 -0046 -0075 -0071 -0031 0028 0026 -0074 -0101 -0053 -0137孝 -0150孝 -0128奉 -0077 -0093 -0119 -0105 与

P<005

3

母親の属性の間の相関 フルタイム パー トタイム 専業主婦 母親年齢 母親年齢 子 ども数 <―

>

<―

>

<―

>

子 ども数 末子年齢 末子年齢 有意

),パ

ー トタイム群の相関の値が最 も高かっ た。 また

,母

親の年齢 と末子年齢 の間の相関 もフ ルタイム

,パ

ー トタイム

,専

業主婦のいずれの群 において も有意であ り(順に 0.367,0253,0.404, すべ て

P<0,05で

有意

),パ

ー トタイム群が最 も 低かった。一方

,子

どもの数 と末子年齢には

,い

ずれの群 において も相関が認め られなかった (順 に, -0065, 0,123, -0,105)。 つ ぎに

,フ

ル タイム

,パ

ー トタイム

,専

業主婦 の順 の母親の就労形態別に

,母

親の属性 の

CHS

と主観的幸福感へ の影響の有無 について述べ て い く。 フルタイム群 においては

,母

親の年齢が,

CHSの

「子 どもの成長」へ有意な正の影響がみ られ (β

=0.185,P<0.05),そ

して末子年齢は,

CHSの

「親 としての成長」に有意な正の影響 (β

=0.150,P<0.05),「

夫への感謝の念」 には有意 な負 の影響 (β

=-0168,P<005)が

み られ た。 しか し

,子

どもの数は

,い

ずれの

CHSの

下 位尺度に も主観的幸福感に も有意 な影響がみ られ なかった。 また,パー トタイム群において

,母

親の年齢 は, 「希望 と生 きがい」(β

=-0169,P<005),「

親 としての成長」(β

=-0.161,P<0,05),「

子 ど

4P<005

もとこ必要 とさオ化ること」(β

=-0174,P<0.05),

「出産 と子育ての意義」(β

=-0.209,P<005)

に有意な負の影響がみ られ

,一

方で

,主

観的幸福 感には有意な正の影響がみ られた (β

=0.204,P

<0.05)。 そ して

,末

子年齢 は

,主

観的幸福感の みに有意な負の影響がみ られた (β

=-0,181,P

<005)。 しか し

,ま

たパ ー トタイム群で も子 ど もの数 は

,い

ずれの

CHSの

下位尺度にも主観的 幸福感に も有意な影響力がなかった。 最後に

,専

業主婦群 において

,母

親の年齢 も子 どもの数 も

CHSや

主観的幸福感に有意 な影響力 はなかった。 しか し

,末

子年齢 は,「親 としての 成長」(β

=-0.137,P<0.05),「

子 どもに必要 とされ ること」(β

=-0.150,P<0.05),「

夫ヘ の感謝の念」(β

=-0128,P<0.05)に

有意 な 負の影響力がみ られた。 以上の ことか ら

,本

研究のパス解析モデルの分 析結果 において フル タイム群

,パ

ー トタイム群, 専業主婦群の母親の3つの グループにおいて

,母

親の属性 による

CHSや

主観的幸福感への影響の 現われ方の違いがみ られた。 Ⅵ

.考

察 本研 究では

,清

水 ら

9に

よ り開発 された

CHS

0.213* 0.367・ - 0.065 0328キ 0253キ ー0123 0161辛 0404半

-0105

(6)

お よび主観的幸福感に対する母親の年齢

,子

ども の数

,末

子年齢の影響の有無 を母親の就労形態別 に分析 した。以下では

,仮

説が, どれだけ支持で きたか分析結果か ら検討する。そ して最後 に以上 の結果 より

,母

親の就労の状況 によ りそれぞれの 子育ての問題 と育児教室などにおける母親の支援 について検討 してい く。 1つ 目の仮説では

,母

親の年齢や末子年齢が育 児幸福感や主観的幸福感に正の影響 を与えるとい うことであったが, これを支持 したのはフル タイ ム群における,母親の年齢 による「子 どもの成長」, そ して末子年齢による「親 としての成長」への影 響

,そ

してパー トタイム群における母親の年齢に よる「主観的幸福感」であった。以上の点におい ては予想通 り,母 親や末子の年齢が上がるにつれ, 母親の心のゆ とりが生 まれ

,幸

福感が高 まったの ではないか と解釈で きる。 しか し

,反

対 にこの仮 説 と逆の結果に母親や末子の年齢が負の影響 を与 えていた

,つ

ま り母親の成長 とともに減少する個 所がい くかあった。 まず

,フ

ル タイム群 と専業主 婦群では

,末

子年齢 による「夫へ の感謝の念」の 減少がみ られ

,子

どもが大 きくな り夫の子育てヘ の関与 も減るためだと考えられる。つ ぎに

,パ

ー トタイム群では,「希望 と生 きがい」「親 としての 成長」「子 どもに必要 とされること」「出産 と子育 ての意義」が母親年齢か ら

,そ

して「主観的幸福 感」は末子年齢か ら負の影響がみ られた。つ ま り, パー トタイム群の母親は

,母

親の年齢が上が ると 育児か ら感 じられる幸福感が減少 し, また

,末

子 が大 きくなると主観的幸福感 も減少す ると考えら れる。そ して

,専

業主婦群の母親 は末子年齢のみ が上述の「夫への感謝の念」に加 えて「親 として の成長」「子 どもに必要 とされること」に負の影 響 を与 えてお り

,母

親の年齢 による影響 はいずれ の幸福感にも影響はなかった。つ ま り専業主婦は, 子育てや家庭の仕事 にその役割 に没頭す ることに なるため

,子

どもの手が掛か らな くなると育児幸 福感が薄れると考えられる。 さらに

,専

業主婦の 母親は

,他

のフルタイム群やパー トタイム群に比 べ

,主

観的幸福感 と夫 との夫婦関係 に よ り強い相 関がみ られ る こ と

Dか

,本

人や末子の年齢 で はな く

,夫

との関係が より主誓見的幸福感に影響 を 与 えてい る と推測 され る。 そ して

,2つ

目の仮説 で は

,子

ども数 に よる育 児幸福感 や主観的幸福 感へ の影響 は線 形 的 な単純 な影響 ではないだろうとしたが

,結

果的には3つ すべての母親の群 において

,育

児幸福感にも主観 的幸福感にも影響 を与えなかった。今回の升紙 は, 育児幸福感や主観的幸福感の母親の年齢や末子年 齢や子 ども数か らの影響 を全体的にかつ線形的に とらえるパス解析による分析であったので, この ような結果になった と考 え られる。 したがって, 子 ども数 と幸福感の関係 を調べ るには

,母

親の年 齢の水準や子 ども数の組み合 わせ によって違いが うまれる交互作用が存在す るのではないか と予想 されるため, これを確認する分析 を別に進める必 要があるだろう。 3つ目の仮説では

,1つ

目の仮説の考察で述べ たように

,仕

事 をもつ フルタイム群やパー トタイ ム群の母親が専業主婦群 よ りも

,母

親や末子年 齢か ら育児幸福感や主観的幸福感への影響が強い としたが

,就

労の有無で単に影響 の強 さが異 なる とい う結果にはならなかった。結果では

,仕

事 を している母親のその年齢や末子年齢が

,正

の影響 を育児幸福感の一部 または主観的幸福感に影響 を 与 えていたが

,負

の影響 を与えている部分 もあっ た。 さらに

,専

業主婦 には正の影響 はな く負の影 響のみみ られた。 したが って

,就

労の有無 と母親 の成長は育児幸福感や主観的幸福感に対 し

,複

雑 な影響のあ り方が存在 している結果 となった。 し たがって

,就

労の有無別の母親の成長 と育児幸福 感 と主観的幸福感の関係についての仮説は

,ほ

と ん ど支持 されなかったが,しか し,フ ルタイム群, パー トタイム群

,専

業主婦群のそれぞれで異なる 関係がみ られた とい う部分では仮説 を部分的に支 持 した といえる。ただ し

,同

じ就労 をしていても フルタイム群 とパー トタイム群ではかな り異なる 結果 となった。そ もそ も

,パ

ー トタイム群の母親 は

,子

どもの手が掛かる時の就労 を控 えているた め

,上

述の「

2対

象の属性」の末子年齢の平均 を みればわか るが

,他

の母親の群 に比べ

36歳

と高 い。そ して

,パ

ー トタイムの妻 をもつ夫は

,妻

の 仕事に関与することで夫の夫婦満足度が低下する 傾 向にあ り

9,も

ともとパー トタイム従事の母親

(7)

平力:寛22年7月 (2010)〕 の夫は伝統的な妻の役割を志向 し

,妻

のパー トタ イムヘ の理解が低い場合が多いのではと考えられ る。そのため

,単

純 に就労の有無でフルタイム と パー トタイムの母親を同等に扱 うことはで きず, それぞれ違 った立場 にあ り

,就

労や子育ての多重 役割 を抱 えていることが予想 される。 以上の ように

,就

労形態別で3つのグループに 分けて分析 を行 った場合

,そ

れぞれの育児中の母 親は異 なる幸福感の変化 を していることがわかっ た。それゆえ

,現

在必要 とされている育児支援の あ り方 も

,こ

の就労の違いにより異 なって くる必 要があるとい うことがいえるだろう。そこで

,母

親の幸福感 を高めることを目的 とした育児教室 に おいて,その就労別の支援 について提案 してい く。 まず

,フ

ル タイム従事の母親は

,多

重役割で育 児 ス トレスは緩和 されてい ることが多 いだ ろ う が

,母

親年齢が低 い場合「子 どもの成長

Jが

,末

子年齢の低い場合「親の成長」の育児幸福感が低 い と考えられるので

,若

く母親 としての経験の浅 い ものほど自分が親 として成長 したことや子 ども が小 さいほどその成長や変化に気づ きを与えるよ う, 自身の子育てのなかで感 じた気持ちを文章に 書 き留めた り

,そ

のことを人の前で話 してみた り すること, また

,他

の同様の母親の気持ちを分か ち合 うことが有効であるだろう。つ ぎに

,パ

ー ト タイム群の母親は

,末

子年齢が他の群 よ りも高い ことか ら

,母

親 としての経験 は他の母親に比べ長 いはずである。 しか し

,育

児幸福感 についてはそ の年齢 とともに減少する傾向にあるため

,母

親 と しての経験の浅い ものよりは経験のある母親に改 めて子育てのなかで感 じるポジティヴな感情 を振 り返 るきっかけを

,前

述のフル タィム群の母親 と 同様の作業 をとお して行 うことがいいだろう。そ して

,お

そ らく保守的な考えをもつ夫か らの理解 を得るよう

,夫

も一緒 に育児教室 に参加す ること や, 日々の生活で見逃 していた夫への感謝の念に 気がつ くような きっかけ もつ くることが有効 であ ろう。最後に

,専

業主婦の母期は

,家

庭で子育て に没入 し

,外

で気分 を切 り替 える きっかけが な かなかない。それゆえ

,子

育てのなかで感 じる感 情 を振 り返 るきっかけだけでな く

,子

育てか ら感 じるネガテ ィヴな感情か ら気分を切 り替える支援 373 を情緒的にも物理的にも支援する必要があるだろ う。 また

,専

業主婦 にとって

,夫

とのかかわ りが その主任見的幸福感 と大 きくかかわっていることか ら

,や

は り夫 も一緒 に参加することが望 ましいだ ろう。 最後に

,教

々の就労が育児へ与える影響につい て先行研究1)においては

,そ

の賛否両論があっ たが

,本

研究の結果 においては, とくにフル タイ ム従事の母親の育児幸福感に悪い影響与えている とはいえなかった。 フルタイム従事の母親は

,家

庭のなかの子育てだけでな く

,積

極的に社会参加 をしなが ら生 きることが可能であ り

,そ

れが育児 におけるネガティヴな感情 を低減 させ

,ポ

ジティ ヴな感情 を促進するのではないだろうかとそ して, 本研究 においては

,い

ずれの就労形態の母親にお いて も,「新 たな人間関係」や「子 どもか らの感 謝 と癒 し」についての育児幸福感 には

,母

親の属 性 に影響 されない結果 となった。 この結果は

,母

親の全般的な育児幸福感 を高めるための支援のた めの重要な視点 として着 目したい。なお

,本

研究 で扱 ったデー タは横 断的な調査 によるものなの で

,継

続 した母親の幸福感の変化 を追った もので はない。 したがって

,個

々の母親の育児中のさま ざまな時点の幸福感を縦断的に石,F究することは今 後の研究課題である。 Ⅶ

.結

語 本研究 は

,母

親の育児幸福感 を測定する

CHS

(41項 目

,8下

位 尺 度 か らな る

)を

用 い

,こ

CHSお

よび主観的幸福感に対する母親の属性(母 親の年齢

,子

ども数

,末

子年齢

)の

影響の有無に ついて

,母

親の就労形態別 (フルタイム

,パ

ー ト タイム

,専

業主婦

)の

分析 を行 った。その結果, フルタイムで働 く母親にとって

,母

親 自身また末 子の年齢 を重ねることによって,「子 どもの成長」 や「親 としての成長」の育児幸福感が高 まる傾向 がみ られた。それに対 し

,専

業主婦やパー トタイ ムの母親では,「親 と しての成長」や「子 どもに 必要 とされる」などの育児幸福感が低 くなる傾向 がみ られた。昔か ら日本では

,三

歳児神話のよう な「子 どもが

3歳

になるまで

,母

親は家で子 ども の面倒 をみなければならない」 という

,母

親のフ ル タイム従事 に否定的な考 え方 もある。 しか し,

(8)

本研究の結果か らは

,子

育て中の母親のフルタイ ム従事 は母親本人や子 どもの成長 と育児幸福感の ポジテ ィヴな関係が示唆 された。つま り

,フ

ルタ イム従事 は母親の子育て中の心理的健康 に悪い影 響 を与 える ものではな く, また必ず しも子育てに 害があるとはいえないであろう。そ して

,最

後に 今回の研究結果か ら

,母

親の就労形態の違いによ る育児幸福感を高めるための育児教室などの母親 への支援について考察 した。 (謝辞 :本 研 究 にあた り

,ア

ンケー トにご協力 いただきましたお母様方

,お

よび各保育園長

,保

育士の皆様 に深 く感謝いた します) (本 研 究 は 平 成17∼ 18年度 科 学 研 究 費 補 助 金 (基 盤

C

課 題 番 号17592258)を 受 け て 行 った。 また

,本

論文はThe 7th lnternadonal

Conference on Education Research(ソ ウル国立 大学 Education Research lnsitute主 催

)の

ポス ター発表 (タイ トルWThe Relationship between

」apanese MOtheris Childcare Happiness and

Their Employment Statuぎ 1)に加筆4多正 をして,

まとめた ものである) 文 献

1)福

丸由佳

.成

人期 と親になること 青野篤子, 赤澤淳子

,松

並知子編。 ジェ ンダーの心審学 ハ ン ドブ ック

.2008,37-56.

2)清

水嘉子

,関

水 しのぶ

,遠

藤俊子

,他 .母

親の 育児幸福 感 を高め るプ ロ グラムの実施 と評価. 日本看護科学会誌

.2009,29(1),41-50.

3)清

水 嘉 子

,西

測公 昭

.育

児 ス トレスの構 造 の 研 究 日本 看 護 研 究 学 会 誌

.2000,23(5),

55-67.

4)Argyle M The Psychology of Happiness 2nd

edition,Routledge. 2001.

5)清

水 嘉 子

,関

水 しのが

,遠

藤 俊子

,他

母 親 の 育 児 幸 福 感― 尺 度 の 開発 と妥 当性 の検 討. 日本看護科学会誌

.2007,27(2),15-24.

6)福

丸 由佳

,小

泉 知 恵

.乳

幼 児 を持 つ 父母 の多 重 役 割 と抑 うつ 度 との 関係― 補償 モ デ ル と分 離 モデ ルか らの検討

.心

理 臨床学研 究 2003, 21 (4), 416-421.

7)伊

藤 裕子

,相

良順 子

,池

田政子

,他.主

観 的 幸 福 感 尺 度 の作 成 と信 頼 性 ・ 妥 当性 の研 究. 心理学研 究

.2003,74(3),276-281.

8)関

水 しのぶ

,清

水 嘉子 育 児幸福 感 と母 親 の 雇 用 形 態

(2):2つ

の幸 福 感 と結婚 生活 の 関 連性

.日

本教育心理学 会 第50回総 会発表論文 集 2008, 654.

9)伊

藤裕 子

,相

良順 子

,池

田政子

.職

業生 活 が 中年期 夫婦 の関係 満足 度 と主観 的幸 福 感 に及 ぼす 影響 :妻 の就 業形 態 別 にみ た ク ロス オー バ ーの検討。発達心理学研 究

.2006,17(1),

62-72

Mothersi childcare happiness

――Inluence of employment status on】 40thersi happiness in child care― ―

Nagano College of Nursing Yoshiko Shirnlzu

Department of Domestic Science,Tohokuヽ Vomenis College Shinobu Sekilnlzu

Kyoto Tachibana I」 niversity

Toshiko Endo

Kanazawaふ/1edical University School of Nursing

Tomle Ochial

Abstract

(9)

平成

22年7月 (2010)〕 375

youngest chldis age,and number of children)on happiness in child care among mothers grouped by employment status,

Participants inclttded 764 mothers with children aged O-6 yearsi 219 had full― time jobs,234 had parⅢ

tine,ObS,and 31l were full‐

time homemakers,The Childcare Happiness Scale(CHS)developed

by Shirnizu et al.、 vas used to measure motherst happiness in child care. The CHS consists of eight

subscales.

Cause and erect were evaluated with path analysis,using motherls age,the youngest chldls age,and number of children as independent variables,he eight subscales of CHS and subiective wel―being scale

as dependent variables. We found difFerences in mothersl chnd care happiness based on employment status.The number of chldren had no erfect on the eight subscales in any group.However,age of the youngest chJd had a positive e∬ ect on he Wgrowth as a parent‖ subscale in the fuユ ーdme iob group,a

negat市e erect in the full―tine homemaker groupt and no elfect in the part‐ time iob group.Motheゴs

age had a positive eFfect on the Wchldrents growth‖ subscale in the fun―dmeiob group,but had no erect

in the other two grOups.

These results suggest that mothers with full‐ time,obS felt more joy in their‖growth as a parenぜ〕

and ‖chldrenis growth‖ as maternal age and childrents・ age increased We discuss the irnphcations

of working full tiine on motherst mental health during child care and suggest that parenting classes should be talored to employment status.

Key words i childcare happiness, employment status, motherst atte, the youngest childrents age, number of children

参照

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