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電子政府:2. 中央省庁での事例2.1 電子政府バージョン2へ

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(1)2 .中央省庁での事例 2.1 電子政府バージョン 2 へ. ◆ 日本の電子政府 ◆. 電子政府 バージョン 2 へ.  行政の情報化は,電子計算機の技術の発展と普及とほ ぼ軌を一にしており,昭和 40 年代の汎用電子計算機シ ステムによる特定業務の情報化,1990 年代以降のパソコ ン普及に始まる官庁の 1 人 1 台体制の確立,1995 年以降 のインターネットの導入といった流れに乗ってきた.  国の行政機関のパソコン 1 人 1 台体制がおおむね実現 した 1998 年に改定された行政情報化推進計画では,す でに「いわゆる電子政府」という言葉がみられる.この 年には内閣総理大臣が本部長となる情報化推進本部が設 立された.  経済産業省では,1992 年に特許庁がオンライン出願 を開始し,特許出願件数の増大に対応し,審査期間の短 縮を目標とした.1998 年には,フロッピーディスク,フ ァックスなどを活用した汎用電子申請も議論となってき ており,施策としてもこのころから電子申請のための制 度改正,汎用電子申請システムの開発などが開始されて いる.. 経済産業省商務情報政策局情報政策課 情報プロジェクト室.  以上のように官公庁の情報化は社会,産業の情報化と それほど大きなずれなく長い期間にわたって進められて. 牧内 勝哉. きた.しかしながらそれらは,旧通産省,郵政省,総務. [email protected]. 庁などの情報化推進官庁が笛ふけど,そのほかの官庁は 踊らずという状況であった.官公庁で,情報化が単なる パソコンの導入ではなく,「経営問題」のレベルと認識 され始めたのは,2001 年 1 月に制定された「e-Japan 戦略」 によってである.. ◆ e-Japan 戦略と電子政府 ◆  ドットコムバブル最盛期であった 2000 年,小渕内閣 から森内閣に変わった.長引く不況を脱出するのは,情 報産業であるとの観点から,社会のあらゆる分野で情報 化を進めることにより,世界最先端の情報化国家を目指 して策定されたのが e-Japan 戦略. 1). である.ブロードバ. ンドインフラ,教育,公共・行政,電子商取引,セキュ リティの重要 5 分野について,2005 年に達成すべき目標 を示したのだ.この戦略は,現在見直しの作業が進行中 である.5 年計画がわずか 1 年半で見直しが行われてい るのは以下のような状況にあるからだ.. 達成されたブロードバンドインフラの目標  図 -1 に e-Japan 戦略の目玉の 1 つ,ブロードバンドの 普及計画と現状を示した.e-Japan 戦略では,2005 年度. IPSJ Magazine Vol.44 No.5 May 2003. −1−. 461. 2.

(2) Special Feature. インフラは整備されたが,利用は進まず 1.1年半で目標を達成 《現状》 1.インターネット利用環境の整備    ◇加入可能数      目標達成     ・高速 (DSL)     3,500万世帯 (2002/6月)     ・超高速 (FTTH)    1,400万世帯 (2002/6月)    ◇実加入数     ・高速 (DSL+CATV) 562.6万件 DSL: 2002/8月                  CATV: 2002/7月     ・超高速 (FTTH)   8.5万件   (2002/7月)     (一般向けの光ファイバサービスは世界初) 2.低廉な料金       世界最安値     ・高速常時接続    2,500円/月  (2002/7月). 《目標》. 1.インターネット利用環境の整備.   ◇2005年までにすべての国民が    常時接続可能な環境の整備.     ・高速 少なくとも3,000万世帯     ・超高速  同  1,000万世帯. 2.低廉な料金 2.利用がともなっていない. 高速インターネットの普及. ⇒ 21.4% 44.0% (1999/12月) (2001/12月) 世界13位 世界16位. 万件. インターネット普及ランキング. 4,000 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0. 3,500 2002年6月現在. 1,500. アクセス可能数 うち実加入数. 560. 8.5. DSL, CATV. 光ファイバ. 図 -1 e-Japan 戦略の成果. までに 3,000 万世帯においてブロードバンドが利用可能. いる.図 -2 は,電子政府構築の各プロジェクトの進行. とすることを目標とした.この目標は,2002 年 6 月現在. 状況を示したものである.2003 年までに実施される,法. で,すでに達成された.すでに ADSL による数メガビッ. 制度の整備,システム開発・導入などのスケジュールと. ト/秒のインターネットサービスは身近だというのは実. もに,おおむね達成できる目処がたっている.その後,. 感である.しかしながら,その割には,社会も経済もそ. 行政サービスを向上させ,行政のスリム化を実現するの. れほど変わったという実感がないのはなぜか.. が後述する電子政府バージョン 2 となる..  その間インターネットの普及率の国際ランキングは.  電子政府とは,おおむね行政手続の電子化,すなわ. 13 位から 16 位と低下してしまった.すなわち,日本は. ち電子申請であると考えられている.我が国には 5 万を. かなりがんばったが世界の動きはそれ以上に早かったと. 超える法令で定められた手続があり,これらを一括して. いうことである.また,インフラ整備は進んだが,利用. 電子的に行うことが可能となる「オンライン通則法」が. はまだまだ進んでいないという状況でもある.昨年秋の. 2002 年 12 月に国会を通過した.書面一括法,電子署名. 段階で,ADSL の利用者数は,約 650 万世帯.利用可能. 法など電子政府に必要な法律的な基本的枠組みはこれで. 世帯の 15%程度しか実際には使っていない.現在,利. 完成したと考えられている.. 用率は急速に伸びているものの,安全性に対する危惧,.  また,霞ヶ関 WAN ,LGWAN などの国,自治体の広域. コンテンツ,サービスの不足が利用が進まない原因とさ. ネットワーク,各府省の手続の基本となる国の機関の認. れている.5 年計画の目標はわずか 1 年半で達成された. 証の仕組みであるブリッジ認証局などのインフラはおお. ものの,その実が伴っていないことが戦略見直しの主要. むね稼働を開始した.あとは実際に各府省や自治体など. な動機となっているのだ.. の窓口に電子的な手続システムすなわち電子申請システ ムが導入され稼働を開始することである.. 電子政府の位置づけ.  以上の法制度,システムは 2004 年 3 月には完成し,.  戦略の中では,「2003 年度中に電子政府を構築する.」. これで一応, 電子政府構築が行われたということになる.. と盛り込まれている.この目標に向かって,現在,法制.  先にインフラに比較してコンテンツが不足していると. 度面での整備と技術開発面での整備が急ピッチで進んで. 述べたが,電子政府はかなり大きなまとまったネットワ. 462. 44 巻 5 号 情報処理 2003 年 5 月. −2−.

(3) 2 .中央省庁での事例 2.1 電子政府バージョン 2 へ. e-Japan重点計画2002目標年度 ▼ ∼平成13 (2001) 年度 平成14 (2002) 年度 平成15 (2003) 年度 平成16 (2004) 年度 平成17 (2005) 年度. 推進体制の確立 ・CIOのスタッフ機能の充実,  外部能力の活用 基本計画の策定 ・電子政府構築計画の策定  (2003年6月) 法令の整備等. 03/03基本 方針策定. ・オンライン通則法. 02/12法案成立 03/02施行予定. ・改正住民基本台帳法 ・公的個人認証法 行政情報の 電子的提供. ・迅速かつ容易なアクセス実  現のための総合窓口 (ポータ  ル) の検索機能等を充実. 行政手続の 電子化. ・汎用受付システムの運用. 住基ネット 運用開始. 03/06 計画策定. 新電子政府構築計画の実施. 実証実験. 01/08統一 仕様策定. ・中央官庁の認証局の運用. 03/08住基 カード配布. 運用開始. 02/01基本 方針策定. ・非公共事業の電子入札導入  (2003年度に全府省実施). 試験運用・本格運用. 基本・詳細設計. 運用開始. システム開発. 統合データベース 運用開始(6月). ・公共事業の電子入札導入  (2003年度までに実施). 官民連携ポータルの構築 (会社設立). 見直し. 02/08グランド デザイン策定. ・自動車保険関係手続の  ワンストップ化 (2005年目標). ・輸出入港湾手続のシングル  ウィンドウ化 (2002年11月  運用開始). 順次改良,増強. システム開発 (一部府省で運用開始). 02/07見直し. 見直し. 2. 約50,000手続. 電子申請手続数. 改訂案検討中. ・アクションプランの見直し,  手続簡素化等の目標明記  (毎年度). 政府調達の 電子化. C10会議 (幹事会,WG (行政サービス向上,官房業務改革,                        業務・システム効率化)). 02/09CIO 会議設置. 一部運用開始(10月). サービス開始 (全府省). 一部運用開始 (10月). サービス開始 (全府省). 対象工事の 拡大. 電子政府の進捗状況(1) e-Japan重点計画2002目標年度 ▼. e-Japan重点計画2002 (行政の情報化関係の主な項目) ∼平成13 (2001) 年度 平成14 (2002) 年度 平成15 (2003) 年度 平成16 (2004) 年度 平成17 (2005) 年度. 歳入・歳出の 電子化. ・インターネット納付および  オンライン振込等 (2003年  度までに実施). システム開発・運用. 行政事務・事業 ・人事,給与等業務の簡素化 の情報化  の推進. 人事院,総務省,財務省 にて検討中,基本方針の策定. ・全市町村のLGWANとの  接続 (2003年度中に実施) 政府調達制度. 実証実験. 一部サービス 開始 (都道府県, 政令市). ・落札評価の方式. システム構築. サービス開始 (全市町村). 加算方式の導入(8月). ・調達管理の適正化. 各府省連絡会議で検討. 地方公共団体の ・組織認証基盤の全市町村 取組み支援  までの整備 (2003年度まで  に実施). 02/03都道府県,政令市で 整備. ・汎用受付システムの構築・  高速化 (2003年度までに実施). 市町村で順次構築中. 市町村で順次構築中. 図 -2 電子政府の進捗状況(2). ◆ 電子政府世界ランキング ◆. ークコンテンツであると考えられる.電子政府本格稼働 後には,これまでの電子商取引に加えて,さらに多くの 人々がネットワークを活用していくことにより,e-Japan.  電子政府については,いくつかの機関が世界ランキン. 戦略が名実ともに実現していくこととなる.. グを発表している.コンサルティング会社のアクセンチ ュア,国連と米国の大学の協力によるもの,英国の研究 機関が発表したものなどである. そのいずれをとっても, 日本は OECD 諸国の中では,最低レベルに近く,アジア. IPSJ Magazine Vol.44 No.5 May 2003. −3−. 463.

(4) Special Feature. % 70 60. 先駆的リーダー ビジョナリー・チャレンジャー. 50 40 30. エマージング・ パフォーマー. プラットフォーム・ ビルダー. 20 10 0. カ シ ア オ ナ ン メ ー ダ ガ リ ス ポ カ ト ラ ー リ ル ア. デ ン マ ー ク. イ ギ リ ス. フ 香 ド ア オ ィ 港 イ イ ラ ン ツ ル ン ラ ダ ラ ン ン ド ド. フ ラ ン ス. ノ ル ウ ェ ー. ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド. ス ペ イ ン. ベ 日 ポ ブ マ ル 本 ル ラ レ ト ジ ー ギ ガ ル シ ー ル ア. イ タ リ ア. 南 ア フ リ カ. メ キ シ コ. (平成14年4月25日 アクセンチュア発表). 【調査対象】  主要23カ国の厚生労働,法務・公安,税務,防衛,教育,運輸,国会,調達,および郵政の9つの主要部門の中から,  中央政府が行う169のサービスについて調査. 【算定方法】  ・サービスの熟成度・レベル 70%  ・ユーザ側からみた使いやすさ 30% ・日本は世界主要国の中で23カ国中17位. ・順位は昨年と変わらないが,「プラットフォーム・ビルダー」から「エマージング・パフォー  マー」となった. ・行政手続がすべてインターネット上で完結するような環境が必要 (サービスの幅). ・1つのポータルサイトから手続が可能で,かつ個別省庁を利用者が意識する必要のないよう,  ワンストップサービスが徹底 (サービスの深さ) されていれば上位3国と同レベルになる.. 図 -3 2002 年 電子政府の世界ランキング. の国々の中でも中程度の評価である.. 10 数カ月の間には,ランキングの評価基準やその配点.  アメリカ,カナダ,シンガポールなどの電子政府先進. はかなり変わっているものと考えられる.最高レベルの. 国は,1998 年頃から先駆的に電子政府構築を始めており,. サービス,システムを常に把握し,これに追従しつつ,. 2000 年以降に,後追いで電子政府に取り組みだした各国. 我が国独自の需要に基づく電子政府サービスを立ち上げ. とは一線を画している.. ていかなくては,相対評価の世界ランキング上位への食.  日本は,電子政府構築が完了していないということも. い込みは実現できない.. あるが,図 -3 で示す,アクセンチュアランキングでは 17 位.この採点基準を分析し,ランキングアップシミ. ◆ 新電子政府構築計画策定に向けて ◆. ュレーションを行うと以下のようになる.  STEP1:2002 年に国会で採択されたオンライン通則法 によりほぼ政府手続が可能となり,全府省で電子申請が.  計画達成は達成したものの,世界ランキングは低下し. 開始されてドイツ並みの 6 位に上昇.. たという状況を繰り返さないためにも,電子政府構築の.  STEP2:電子政府ポータル www.egov.go.jp を各省庁別で. 計画は国際的状況,民間の成功事例などの情報収集,分. はなく,利用者のニーズに合致させた使いやすいインタ. 析を行いつつ,新しい行政サービスへの需要などに対応. フェースに修正すれば,アメリカ,シンガポール並みで. していくことが必要だ. このための行動計画の作成には,. 3 位に入るか入らないかというレベルに達する.. すでに着手した.それが,「電子政府構築計画」である..  STEP3:各府省,各手続別の電子申請システムを統合. これは,これまで 4 年ごとに改定されてきた「行政情報. 化し,官民連携のワンストップサービスを実現し,行政. 化推進計画」が発展的に見直されるものである.2005 年. 機関の事実上の融合化を果たせば,トップレベル.. 度前後を目標年度として,各府省が実施する計画を定め.  e-Japan 重 点 計 画 2002 の と お り に 進 め ば, 我 が 国 は. たもので,電子政府バージョン 2 ともいえるものとなる.. 2004 年には,3 位程度ということになるが,安心はでき. これは,2003 年 3 月頃に全府省で実現すべき共通の目標. ない.世界のトップレベルの国々,それに続く国々の. を策定し,6 月頃を目途にこれに基づいて各府省が自ら. 電子政府は,どんどん進んでいるからである.これから. の計画を立案するというスケジュールで進む. ここでは,. 464. 44 巻 5 号 情報処理 2003 年 5 月. −4−.

(5) 2 .中央省庁での事例 2.1 電子政府バージョン 2 へ. そこまでに至った経緯,2003 年 1 月現在の検討の体制,. となっており,政府のあらゆる部門の電子政府化を指向. 状況などについて解説する.. していることが伺われる.  CIO 連絡会議は,3 つの WG を設置し,電子政府構築. 自民党 e-Japan 特命委員会申し入れ. 具体化の内容を検討することとしている..  この委員会は,e-Japan 戦略を推進するための自民党の. ①利便性向上 WG. 検討機関として,党政務調査会の麻生太郎会長を委員長.  ポータルサイトは,1 つの入り口から,あらゆる情報. として設置された委員会である.e-Japan 戦略を進めるた. にアクセスできるという網羅性と,大量の情報を含んで. め,党の立場から,内閣,政府に意見を述べてきている.. いるにもかかわらず,利用者が容易に自らの必要とする. この委員会は,各府省に対し,2 回にわたり電子政府構. 情報に到達することができる利便性を兼ね備えることが. 築方針に関するヒアリングを行い,2002 年度 8 月に「電. 必要である.. 子政府に関する申し入れ」という文書をまとめた..  たとえば,米国の電子政府ポータル firstGov.  その内容は,. 連邦機関,州,自治体の電子政府ポータルの構築基準を. ①電子政府構築計画の策定. 示し,全体ポータルである firstGov と有機的に連携させ. ②各府省 CIO 連絡会議の設置. ている.このことにより, 利用者が必要な情報を得たり,. ③行政ポータル,電子申請の利便性の向上. 手続をネットワーク上で行ったりすることが容易になっ. ④行政事務の合理化と情報システムの導入. ている.利用者が 3 クリック以内で必要な情報に到達で. ⑤システム構築の効率化(予算面,調達面の制度改革,. きるなどの,利便性指向のルールが課せられており,検. 3). 外部専門家の活用). では,各. 索システムのヒット率が質量ともに優れているなどの評. などを提言しており,電子政府バージョン 2 の策定に関. 価が得られている.. する重要な方向付けを行った.  .  我が国の電子政府ポータル eGov.  その後,同委員会では,各府省に対して,フォローア. 面は,利用者タイプ別の構成となっているが,たどって. ップヒアリング,民間企業・有識者からのヒアリングな. いくと府省別のリンクが張っているだけという構造とな. どを行った.また,ランニングコストが高く,データの. っており,電子政府全体が統合化されているとはいえな. 高度利用が困難なレガシー(旧式)システムに関するア. いとの指摘がある.. ンケートを行い,46 のレガシーシステムに電子政府予.  電子申請については,いまだ本格的には始まっていな. 算の 80%が投入されており,新しい電子政府システム. いが,一部開始された電子申請窓口が府省ごとに異なっ. への投資がままならない状況を浮き彫りにしている.こ. た仕様であることから,利用者は,複数の府省に提出す. の委員会の提言は,電子政府の構築には今後も大きな影. る申請を行う際には,その都度異なったソフトをダウン. 響を与えると考えられる.. ロードし,同じ情報を何度も打ち込む必要が生じるなど. 4). は,ポータル第一画. の問題が指摘されている.. 各府省 CIO 連絡会議. 2).  このような指摘に対応するため,この WG では,手続.  自民党 e-Japan 特命委員会の提言を受けて,各府省の. ワンストップ化を一層強化するため,データ標準等の. 情報担当責任者(CIO)の連絡会議が内閣に設けられた.. 検討を行うこととしている.経済産業省では複数の電.  CIO については,従来から各府省独自の判断で選任さ. 子申請窓口に接続するほか,公益事業,金融機関などを. れてきており,その位置づけも次官クラスから課長クラ. 含む民間の諸手続も一括して行う「官民連携ポータル」. スまで,さまざまであった.連絡会議の組織化にあたり,. (図 -4)を可能とする電子申請のバッチ処理標準の策定,. CIO とは,単に情報システム導入などを行うのみならず,. 導入を提案しているところである.. 経営改革を行う立場にあるものであるとの認識に立ち,. ②官房業務改革 WG. 新たに選任した府省も多い.結果として,官房長クラス.  大臣官房とは,企業でいうところの総務部にあたる.. が集まる会議となった.経済産業省は,2001 年に情報シ. 経理・財務部門人事・労務部門,文書・情報管理などの. ステムと経営改革を行う組織である e-METI 本部が立ち. 府省内の内部事務サービスを提供する部門である.こう. 上げられており,その本部長である経済産業事務次官が. したバックオフィス部門は,電子計算機処理による処理. メンバとなった.. 効果が高く,民間企業等においても効率化,情報化の方.  衆参両議院,最高裁,会計検査院,日銀など,行政府. 法論が進んでいる分野である.. にとどまらず,国の機関を横断的に巻き込んだ連絡会議.  これまでも,業務ごと,府省ごとに電子計算機処理を. IPSJ Magazine Vol.44 No.5 May 2003. −5−. 465. 2.

(6) Special Feature. A省 汎用電子申請システム. A省. 分 配. 業務システムB. 手作業C. 作 業 支 援. データ 管理. B省. B省 汎用 電子申請 システム. C自治体. C自治体 電子申請 システム. D社. 受 付 ・ 回 答. イ ン タ フ ェ ー ス. Web. 業務システムA. ステータス 管理. インターネット 申請・照会 (単一手続). デ ー タ 転 送. 受チ 付ェ ・ッ 回ク 答. ・申請 ・通知 ・照会. アドオン する部分. 利用者. (ワンストップ). デ ー タ 転 送. D社 業務 システム. Work管理 ステータス Online 管理 データ管理 官民連携ポータル. 図 -4 官民連携ポータル. 行っているが,多くは昭和 40 年代に構築が始まったレ. 度改革を進めつつ,官房系の事務システム,各種業務シ. ガシー(旧式)システムである.新しいシステムもいく. ステムも続々と導入されることとなる.こうした異なっ. つか構築されてきているが, 明治時代に制定された財政,. た担当者が企画する,異なった目的の,異なった時期に. 会計法令などをベースにした,レガシーな手続処理をそ. 構築されていく多数のシステムが全体的に整合性を持っ. のまま電子化するなどの方法論によるものであり,改善. て統合化されるのは,それほど簡単なことではない.ま. の余地が大きい.電子政府では,各府省が独自に行って. た,技術は今後も進歩し,最新技術は適宜行政手続の中. いる,こうした官房系の業務データ流通を改革し,全体. でも取り入れていかなければ,産業,社会,国民生活の. として高速で低コストな事務処理体系へと移行する必要. ボトルネックとなってしまう.. がある..  こうした業務改革・システム構築を常に再検討し,投.  この WG では,現在の業務実施方法を,現代的な業務. 資効果を考慮しシステムを見直していくことを,行政機. 分析手法を活用して評価・分析し,徹底的に効率化した. 関の経営手法として確立し,業務自体に組み込んでいく. のち,全省統一の情報システムを一気に導入することを. ことが必要である.残念ながら我が国の行政機関には,. 検討する.人事院,財務省などの官房関連業務の制度官. そのような業務改革のノウハウ,経験を有する人材を短. 庁などによって構成されており,これまで業務改革の障. 期間で育成することは困難であることから,当面,外部. 害となってきた旧い制度を改革していくことも視野に入. 専門家を活用していくことが現実的である.しかしなが. れた体制となっている.. ら,単にベンダのシステムエンジニアでは,業務改革.  経済産業省では,2002 年の 6 月に. 5) ,6). ,民間コンサ. に関するスキルがないばかりではなく,ベンダ独自の仕. ルタントと協力して官房系の業務について,ABC 分析. 様に縛りつけられ,システム改革が進まないということ. (Activity Based Costing: 行動基準原価計算)を行って業務改. が多い.このような経験から情報システム技術,経営改. 革案を策定するなどの経験があり,本 WG において積極. 革手法等の専門性を有し,かつ,100% 各府省の立場に. 的な役割を果たせるものと確信している.. 立って投資判断をし得る専門家が期待されている.この. ③業務・システム効率化 WG. WG では,そうした業務システム改革の機構を組み込む.  電子認証,電子申請などの電子政府基幹システムは,. ための手法,外部人材の活用の方法を検討することとし. 開発導入が進みつつあるが,今後,業務分析,業務・制. ている.. 466. 44 巻 5 号 情報処理 2003 年 5 月. −6−.

(7) 2 .中央省庁での事例 2.1 電子政府バージョン 2 へ.  経済産業省では,かかる専門家を IT アソシエート. 7). 電子商取引分野もかなりの規模になるものと思われる.. と名づけ,この人材が必要とする具体的なスキルについ. 電子政府は,行政改革に寄与するばかりではなく,経済. て検討を行ってきた.現在,各府省でかかる外部専門家. 構造改革への重要な一石でもあるのだ.. を導入し,各府省連絡会議を設置することにより,ベス.  日本はこの分野で国際的には立ち遅れたが,言い換え. トプラクティスの流通,各省システムの統合化の仕組み. れば,海外,民間の成功事例を取り入れられる有利な立. などを提案していくこととしている.. 場ともいえる.これから本格的に開始する電子政府サー ビスに注目してほしい.. ◆ 電子政府が拓くネットワーク社会 ◆  インターネットは,電子商取引を中心に発展してきた. 電子政府は,質量ともに電子商取引に匹敵するネットワ ーク上の大コンテンツである.これまで,政府の手続が ネックとなって電子商取引が拡大してこなかった部門も あることなどを考慮すれば,電子政府によって拡大する. オープンソースと電子政府. 参考文献 1)e-Japan 戦略 : www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dai1/1siryou05_2.html 2)各府省 CIO 連絡会議 : www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/cio/index.html 3)米国のワンストップ電子政府ポータル : www.firstgov.gov 4)日本の電子政府ポータル : www.e-gov.go.jp/ 5)経済産業省のポータル : www.meti.go.jp 6)業務改革に関する調査報告 : www.meti.go.jp/sitemap/index.html 7)IT ア ソ シ エ ー ト 協 議 会 中 間 報 告 : www.meti.go.jp/feedback/downloadfiles/ i21227lj.pdf 8)官民連携起業手続き一括化事業研究員公募 : www.nmda.or.jp/gpp/koubo.htm 9)オープンソースと電子政府の米欧会議 : http://egovos.org (平成 15 年 1 月 6 日受付). 9).  最近,リナックスなどのオープンソースを電子政府に取り入れることが話題となっている.海外の政府が電子 政府システム構築に際し,オープンソースの利用を推奨したり,導入に際し検討の対象とすることを義務づけた り,再利用を促したりする動きが活発化しているからだ.日本政府としては,オープンソース方式による基盤的 なソフト開発は,開放型のネットワークインフラを構成する上では,非常に重要な方式であり,国のプロジェク トで開発したソフトのオープン化やオープンソースのプロジェクトを支援するスキームを創設したり,国の研究 所でオープンソースを開発してコミュニティを拡大したりしてきた.  しかしながら,電子政府のような実用システムの調達・導入に当たっては,トータルコスト,セキュリティ, 製品の選択の幅などの面から,特別な扱いを行っていない.特定の製品を極力要求仕様としないようにし,価格 と技術を勘案して導入を決定する現在の総合評価方式による調達制度下では,オープンソースのトータルコスト 的な利点があれば.すでに評価される仕組みとなっているから,特別扱いする必要はないと考えている.. IPSJ Magazine Vol.44 No.5 May 2003. −7−. 467. 2.

(8) Special Feature. 468. 44 巻 5 号 情報処理 2003 年 5 月. −8−.

(9)

参照

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なお、本業務については、厚生労働省が作成した「労働安全衛生法に基づくストレスチェック

『台灣省行政長官公署公報』2:51946.01.30.出版,P.11 より編集、引用。

運営、環境、経済、財務評価などの面から、途上国の

⑹外国の⼤学その他の外国の学校(その教育研究活動等の総合的な状況について、当該外国の政府又は関

後援を賜りました内閣府・総務省・外務省・文部科学省・厚生労働省・国土交通省、そし

③委員:関係部局長 ( 名 公害対策事務局長、総務 部長、企画調査部長、衛 生部長、農政部長、商工

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○福安政策調整担当課長 事務局から説明ですけれども、政策調整担当の福安でございま