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Title
骨は生きている−骨吸収と骨形成のカップリング機構−
Author(s)
宇田川, 信之
Journal
歯科学報, 116(5): 378-378
URL
http://hdl.handle.net/10130/4086
Right
Description
378 学 会 講 演 抄 録
シ ン ポ ジ ウ ム
骨は生きている
-骨吸収と骨形成のカップリング機構-
松本歯科大学歯学部口腔生化学講座宇田川信之
生命の危機を惹起する血液中のカルシウム濃度の変動を調節している最も重要な器官は骨である。骨は, 我々の体を支え運動機能を担当しているのみならず,生命を維持するための臓器として絶えず動的に活動して いる。 骨吸収と骨形成が絶え間なく繰り返されることにより,古い骨が新しい骨に置換されていく過程で血液中の カルシウム濃度は調節されている。この骨吸収と骨形成は,動的平衡の状態に保たれた共役(カップリング) 現象を示す。しかし,様々な全身的要因により骨吸収が骨形成を凌駕すると,骨粗鬆症を発症することとな る。骨形成の亢進に先立って必ず骨吸収の亢進が認められることより,骨吸収と骨形成がカップリングしてい ることは予想されてきた。しかしながら,骨のカップリングに関する分子メカニズムは未だ解明されていない。 高齢者における歯の喪失は,歯周疾患による歯槽骨吸収が大きな原因を占めるが,骨粗鬆症との関連は今ま で詳しく語られてこなかった。歯の喪失は,発音機能や咀嚼機能の低下を招き,全身の栄養状態や QOL の低 下につながることが,高齢化社会の到来と共に問題となっている。 1988年,発表者が大学院生として破骨細胞研究に従事して以来,30年近く経過した。この間,骨芽細胞由来 の破骨細胞分化因子である RANKL の発見(1997年)を経て,現在では,RANKL 中和抗体が骨粗鬆症や高 カルシウム血症の治療薬として臨床応用されるに至った。 一方,RANKL のデコイ受容体であるオステオプロテゲリン(OPG)は,破骨細胞の分化を強く阻害する。 したがって,OPG 遺伝子欠損マウスと RANKL の高発現マウスは,共に骨粗鬆症となる。これらの骨粗鬆症 マウスを用いた実験結果から,骨細胞が産生する OPG が皮質骨や歯槽骨の維持に重要な役割を果たしている ことが,OPG の新しい機能として注目されてきている。また,OPG の発現低下が歯周疾患の進行に影響を与 えることを示す実験結果も集積してきた。すなわち,骨(オステオ)を保護(プロテクト)するサイトカイン として命名されたオステオプロテゲリン(OPG)の骨組織における生理作用の重要性が証明されたわけである。 今回のシンポジウムにおいては,骨粗鬆症と歯周疾患との関連に焦点をあて,生命を支えている臓器として の骨組織の役割と骨吸収と骨形成のカップリング機構について,我々の実験結果を中心に講演したい。 ≪プロフィール≫ 1994年 メルボルン大学セントビンセント医学研究所留 学,96年まで1995年 米国骨代謝学会 Young Investigator Award 受 賞
1996年 昭和大学歯学部講師 2001年 松本歯科大学歯学部教授 2002年 日本骨代謝学会学術賞受賞
2002年 米国骨代謝学会 Fuller Albright Award 受賞 2005年 歯科基礎医学会ライオン賞受賞 <略 歴> 2009年 東京歯科大学非常勤講師 1987年 松本歯科大学歯学部卒業 2010年 松本歯科大学副学長,13年まで 1987年 昭和大学歯科病院第2口腔外科前期助手,88年 2015年 日本再生医療学会 再生医療認定医 まで 2016年 歯科基礎医学会 常任理事 1992年 昭和大学大学院博士課程歯学研究科修了(口腔 現在に至る 生化学専攻) ― 34 ―