2015(平 成27)年 度 修 士 論 文
レ ビュー 閲 覧 履 歴 か らの 価 値 観 モ デ リン グ を 用 い た 情 報 推 薦 シス テ ム に 関 す る研 究
2016(平 成28)年2月24日 提 出
首都 大 学 東 京 大 学 院 シス テ ム デ ザ イ ン研 究 科 シス テ ム デ ザ イ ン専 攻 情 報 通 信 シ ス テ ム 学 域
高 間 研究 室
14890516清 水 涼 人
要 旨
本 論 文 で は,ユ ー ザ が レビ ュー を評 価 した履 歴 に 基 づ き そ の ユ ー ザ の 価 値 観 を モ デ リン グす る手 法,お よび モ デ リン グ結 果 を利 用 した 情 報 推 薦 シ ステ ム を 提 案 す る.情 報 化 社 会 の 発 展 に よ り,大 量 の 情 報 が 発 信 され,そ れ を誰 もが簡 単 に 入 手 し,利 用 す る こ とが で き る よ うに な っ て い る.こ れ ら大 量 の 情 報 の 中か らユ ー ザ 自身 が 求 め る も の を探 す こ とは, ユ ー ザ に高 い負 荷 を与 え る.そ こで,ユ ー ザ の 特 性 に 合 致 した 情 報 を 提 示 す る情 報 推 薦 シ ス テ ム が 注 目を 浴 び て お り,シ ョ ッ ピン グサ イ ト等 で広 く活 用 され て い る.し か し,推 薦 を 行 うた め に は ユ ー ザ に 関 す る 多 くの情 報 が必 要 で あ り,新 規 に利 用 を 開 始 した ユ ー ザ に 対 して 適 切 な推 薦 を行 え な い とい う問 題 が指 摘 され て い る.ま た,十 分 な推 薦 精 度 を得 る た め に は,一 般 に 多 くの情 報 を必 要 とす る.こ れ らの 問題 を解 決 し,情 報 推 薦 シ ステ ム の 適 用範 囲 を広 げ るた め に,よ り少 な い情 報 か ら推 薦 を行 う必 要 性 が 高 ま っ て い る.
情 報 推 薦 手 法 は 一 般 に,多 く のユ ー ザ の嗜 好 情 報 や 行 動 情 報 を収 集 し,嗜 好 が 類 似 す る ユ ー ザ の 情 報 を 用 い て推 薦 を行 う協調 フ ィル タ リン グ と,ア イ テ ム を特 徴 毎 に 分 類 し,類 似 した 特 徴 を持 つ ア イ テ ム の推 薦 を行 う内容 ベ ー ス フ ィル タ リン グ に大 別 され る.し か し, 協調 フ ィル タ リン グ の場 合 に は 新 規 ユ ー ザ に適 切 な推 薦 が行 え な いcold・start問 題 な どが 存 在 す る.内 容 ベ ー ス フ ィル タ リン グ の場 合 で は,大 量 の ア イ テ ム を 扱 う際 に,属 性 や 属 性 値 の パ ター ンが 膨 大 に存 在 す る た め,ユ ー ザ が過 去 に好 ん だ ア イ テ ム と共 通 す る属 性 を 持 っ 未 知 ア イ テ ム が 見 つ か らな い 場 合 が 発 生 しや す い.従 っ て,協 調 フ ィ ル タ リン グの 場 合 と同義 の,広 義 のcold・start問 題 やsparsity問 題 が 課題 とい え る.よ り少 数 の情 報 か ら 安 定 した ユ ー ザ モ デ ル を獲 得 す るた め に,意 思 決 定 の背 後 に あ る価 値観 に着 目 し,情 報 推 薦 に応 用 す る 手 法 が 研 究 され て い る.価 値観 の 定義 は様 々 に考 え られ る が,本 論 文 で は ユ ー ザ が どの 属 性 を 重 視 して ア イ テ ム の評 価 を決 定す る か を 表 す 概 念 で あ る との 定 義 を採 用 す る.価 値 観 を推 薦 に川 い る こ とで,よ り少 な い嗜 好 情 報 や イ ン タ ラ ク シ ョ ンか らユ ー ザ に適 切 な推 薦 を行 え る こ とが 期待 で き,既 存 研 究 で 有 効性 が 示 され てい る.
本 論 文 で は,ユ ー ザ の 価 値 観 をモ デ リン グす る た め の 情 報 源 と して,シ ョ ッ ピ ン グサ イ トや レ ビュー サ イ トに投 稿 され てい る レ ビュー を利 用 す る.具 体 的 には,ア イ テ ム の 各 属 性 に つ い て の 評 価 を用 い てユ ー ザ の価 値 観 を推 論 す る.
価値 観 を用 い た 情 報 推 薦 に お け る既 存 研 究 で は,ユ ー ザ が 投 稿 した レ ビ ュー に基 づ き, そ の レビ ュア ー が 意 思 決 定 にお い て重 視 す る属 性 を推 定 して い る.し か し,こ の 手 法 で は, レ ビ ュ ー を 投 稿 し て い な い 新 規 ユ ー ザ に 対 して は 価 値 観 モ デ リ ン グ が 不 可 能 で あ り, cold‑start問 題 に は 対応 で きな い.各 属 性 とそ の ア イ テ ム に 対す る総 合 評 価 をユ ー ザ か ら明 示 的 に 取 得 し,価 値 観 モ デ ル を構 築 す る ア プ ロー チ も存 在 す るが,各 属性 に 対 して 評 価 を 行 うこ とは ユ ー ザ に とっ て 負 荷 の 高 い作 業 で あ り,モ デ ル の 作 成 の コ ス トが増 大 す る.そ
こで,本 論 文 で は,レ ビュー を ユ ー ザ が 閲 覧 す る とい う行 為 か ら,ユ ー ザ の 価 値 観 を モ デ ル 化 す る手 法 を提 案 す る.提 案 手 法 に よ り,レ ビュー を書 い て い な い 新 規 ユ ー ザ に 対 して も価 値 観 モ デ リン グが 可 能 で あ り,ま た レ ビュー 閲 覧 は オ ン ライ ンサ イ トで 一 般 的 な行 為 で あ る た め,コ ス ト面 で の効 率 化 も期 待 で き る.本 論 文 で は提 案 手 法 を組 み 込 ん だ 推 薦機 能 を持 つ レ ビュ ー サ イ トの プ ロ トタイ プ シ ステ ム を構 築 し,ユ ー ザ 実 験 に よ り有 効 性 につ い て 検 証 す る.
本 論 文 は5章 か ら構 成 され る.1章 で は,研 究 背 景及 び,本 論 文 の研 究 目的 に っ い て 述 べ る.2章 で は,協 調 フ ィル タ リン グや 内 容 べ 一 ス フ ィル タ リン グ な どの情 報 推 薦 手 法 に関 す る研 究,価 値 観 お よび これ を用 いた 情 報 推 薦 手 法 に 関す る研 究,レ ビュ ー を 用 いた 情 報 推 薦 手 法 に 関す る研 究 につ い て ま とめ る.
3章 で は,レ ビュ ー 閲 覧 履歴 を用 い た ユ ー ザ の価 値 観 モ デ リン グ手 法,推 薦 ア ル ゴ リズム お よ び,作 成 した ユ ー ザ モ デ ル を用 いた 評 価 実 験 の 内 容 に っ い て 述 べ る.ユ ー ザ モ デ リン グ で は,ユ ー ザ が 複 数 の レ ビ ュー を閲 覧 ・評 価 す る行 為 か らユ ー ザ モ デ ル を 作 成 す る.既 存 研 究 で は,ユ ー ザ に提 示 す る レ ビュー を事 前 に決 定 して い た が,提 案 手 法 で は,ユ ー ザ
の評 価 情 報 か ら次 に提 示 す る レ ビュー を動 的 に決 定 す る こ とで,シ ス テ ム構 築 コ ス トの 削 減 とユ ー ザ 価 値 観 の 素 早 い推 定 を 目指 す.ま た,得 られ た ユ ー ザ モ デ ル に 基 づ き推 薦 ア イ テ ム を決 定す るア ル ゴ リズ ム に つ い て も述 べ る.
4章 に 示す 実 験 で は,提 案 手 法 とラ ン ダ ムに レ ビュ ー を提 示 す る 手 法 を それ ぞ れ 用 い て, 2種 類 の ユ ー ザ モ デ ル を作 成 す る.ア イ テ ム推 薦 に関 す る評 価 実 験 で は,提 案 手 法 を用 い て 作 成 した ユ ー ザ モ デ ル に基 づ く推 薦,ラ ン ダ ム提 示 を用 い て作 成 した ユ ー ザ モ デ ル に基 づ く推 薦 満 足 度 ラ ン キ ン グに基 づ く推 薦 の3種 類 を 実施 し,そ の結 果 を 比 較 す る.実 験 結 果 よ り,提 案 手 法 に よ る ユ ー ザ モ デ ル の 有効 性 お よび,推 薦 精 度 や モ デ ル 生 成 コ ス トな ど
につ い て 考 察 す る.5章 で は,提 案 シ ステ ム と実験 結 果 に っ い て の ま とめ を 述 べ る.
Abstract
Thisthesisproposesamethodfbl・generatingausermodelreflectinguser'spersonal valuesf士omuser'sbrowsinghistoriesofcustomerreviews.Thisthesisalsoproposesa recommendersystemusingthepersona1・value・basedusermodel.Existing recommendationmethodssuchascollaborativefilteringandcontentbasedfiltering
tendtobelessaccuratefo1'newusersanditemsduetothelackofinfbrmationabout them.Thepersonal・value・basedrecommendersystemisexpectedtorealizemore preciserecommendationsfo1'newusers.Asacustomerreviewcontainsreviewer's
evaluationofanitemanditsattributes,theproposedmethodestimatesattributeson
whichatargetuserputhighprioritywhenevaluatingitemsfromcustomerreviewsthe
userreferstofbrhislherdecisionmaking.Thisthesisexaminestheeffectivenessofthe
proposedmethodwithuserexperiments.
目次
噛1りム
は じめ に 関 連 研 究
2.1情 報 推 薦 シ ス テ ム
2.1.1情 報 推 薦 シ ス テ ム と は 2.1.2協 調 フ ィ ル タ リ ン グ 2.1.3
2.2価 値 観 に 基 づ く情 報 推 薦 2.2.1価 値 観 と 嗜 好 2.2.2
2.3 2.3.1 2.3.2
内 容 ベ ー ス フ ィル タ リン グ
価値観に基づく情報推薦システムに関する研究 レビ ュー を用 い た情 報 推薦 シ ス テ ム
1 3 3 3 5 7 8 8 1 1
レ ビュー 分 析 に 関 す る 研究
レ ビュー と価 値観 を用 い た情 報 推 薦 に関 す る研 究 3レ ビ ュー 閲 覧 履 歴 か らの価 値 観 モ デ リ ング
3.1レ ビ ュー 閲 覧 履 歴 か らの ユ ー ザ モ デ リン グ手 法 3.2動 的 レ ビュー 提 示 手 法
3.3推 薦 シ ス テ ム の 構 築 4評 価 実 験
4.1
4.1.1ユ ー ザ モ デ ル 作 成 4.1.2
4.2 4.2.1 4.2.2 4.3
4.3.1 4.3.2 5お わ り に 謝 辞
レビ ュー 閲 覧 履 歴 か らの ユ ー ザ モ デ リン グ に 関す る実 験
ア イ テ ム推 薦 を 用 い た ユ ー ザ モ デル の 評 価 動的 レビュー提示手法に関する評価実験
動 的 提 示 とラ ンダ ム 提 示 に よ るユ ー ザ モ デ ル作 成 ア イ テ ム 推薦 を 用 いた ユ ー ザ モ デル の評 価 推薦システムを用いた評価実験
推 薦 シ ス テ ム を用 いた ユ ー ザ モ デ ル作 成 ア イ テ ム 推 薦 を用 いた ユ ー ザ モ デ ル の 評価
3 3 5 7 7 2 5 9 9 9 4 9 9 5 8 8 7 9 0 1 1 1 1 1 1 2 2 2 2 2 3 3 3 4 4 4 5 5 6 6
1は じめ に
本 論 文 で は,ユ ー ザ が レビ ュー を評 価 した履 歴 に基 づ きそ の ユ ー ザ の価 値 観 を モ デ リン グす る手 法,お よび モ デ リン グ結 果 を利 用 した情 報推 薦 シ ス テ ム を提 案 す る.情 報 化 社 会 の 発 展 に よ り,大 量 の情 報 が 発 信 され,そ れ を 誰 もが 簡 単 に 入 手 し,利 用 す る こ とが で き る よ うに な って い る.こ れ ら大 量 の情 報 の 中 か らユ ー ザ 自身 が 求 め る もの を探 す こ とは, ユ ー ザ に 高 い 負 荷 を 与 え る.そ こで,ユ ー ザ の 特性 に 合 致 した情 報 を 提 示 す る情 報 推 薦 シ ス テ ム が 注 目 を浴 び て お り,シ ョ ッ ピ ン グサ イ ト等 で 広 く活 用 され て い る.し か し,推 薦 を行 うた め に は ユ ー ザ に関 す る 多 くの 情 報 が 必 要 で あ り,新 規 に利 用 を 開 始 した ユ ー ザ に 対 して適 切 な推 薦 を行 え な い とい う問題 が指 摘 され て い る[1].ま た,十 分 な 推 薦 精 度 を 得 る た め に は,一 般 に 多 くの 情 報 を 必 要 とす る.こ れ らの 問 題 を解 決 し,情 報 推 薦 シ ス テ ム の 適 用 範 囲 を広 げ る た め に,よ り少 な い情 報 か ら推 薦 を行 う必 要性 が 高 ま っ て い る[2】.
情 報 推 薦 手 法 は一 般 に,多 くの ユ ー ザ の 嗜 好 情 報 や 行 動 情 報 を 収 集 し,嗜 好 が 類 似 す る ユ ー ザ の情 報 を 用 い て推 薦 を 行 う協調 フ ィル タ リン グ[3]と,ア イ テ ム を特 徴 毎 に 分 類 し, 類 似 した特 徴 を 持 つ ア イ テ ム の推 薦 を行 う内 容べ 一 ス フ ィル タ リン グ[4]に大 別 され る.し か し,協 調 フ ィル タ リン グの 場 合 に は 新 規 ユー ザ に適 切 な推 薦 が 行 え な いcold‑start問 題 な
どが 存 在 す る.内 容 べ 一 ス フ ィル タ リン グの 場 合 で は,大 量 の ア イ テ ム を扱 う際 に,属 性 や 属性 値 の パ タ ー ンが 膨 大 に 存在 す るた め,ユ ー ザ が 過 去 に 好 ん だ ア イ テ ム と共 通 す る属 性 を持 っ 未 知 ア イ テ ム が 見 つ か らな い 場 合 が 発 生 しや す い.従 って,協 調 フ ィル タ リン グ の場 合 と同義 の,広 義 のcold・start問 題 やsparsity問 題 が課 題 とい え る.よ り少 数 の情 報 か ら安 定 したユ ー ザ モ デ ル を 獲 得 す るた め に,意 思 決 定 の背 後 に あ る価 値 観 に 着 目 し,情 報 推 薦 に応 用 す る手 法 が研 究 され て い る 【5】.価値 観 の 定 義 は様 々 に 考 え られ る が,本 論 文 で は 文 献[5]と 同様 に,ユ ー ザ が どの属 性 を重 視 して ア イ テ ム の評 価 を決 定 す る か を 表 す 概 念 で あ る と の定 義 を採 用 す る.価 値 観 を推 薦 に用 い る こ とで,よ り少 な い 嗜 好 情 報 や イ ン タラ ク シ ョン か らユ ー ザ に適 切 な 推 薦 を行 え る こ とが期 待 で き,既 存 研 究 で 有 効 性 が 示 さ れ て い る[5].
価 値 観 を 用 い た 情 報 推 薦 にお け る既 存 研 究[7】で は,ユ ー ザ が投 稿 した レ ビュー に基 づ き, そ の レ ビ ュア ー が 意 思 決 定 にお い て重 視 す る属性 を推 定 して い る.し か し,こ の 手 法 で は,
レ ビ ュー を投 稿 して い な い 新 規 ユ ー ザ に対 して は価 値 観 モ デ リン グ を適 用 不 可能 で あ り, cold・start問題 に は 対応 で きな い 。各 属 性 とそ の ア イ テ ム に 対 す る総 合 評 価 をユ ー ザ か ら明 示 的 に 取 得 し,価 値 観 モ デ ル を構 築 す る ア プ ロー チ も存 在 す る が[5L各 属 性 に 対 して評 価 を行 うこ とは ユ ー ザ に とっ て負 荷 の高 い作 業 で あ り,モ デ ル の 作成 の コ ス トが増 大す る.
そ こで,本 論 文 で は,レ ビ ュー をユ ー ザ が 閲 覧 す る とい う行 為 か ら,ユ ー ザ の価 値 観 を モ デ ル 化 す る手 法 を提 案 す る.ユ ー ザ は レ ビュー 文 章 や 属 性 別 評 価 な どの 情 報 を閲 覧 し, そ の レ ビュー あ る い は 言 及 され て い る アイ テ ム に対 し評 価 や 選 択 な どを 行 う.こ れ らの 情
報 か ら,ユ ー ザ の 評 価 と レ ビ ュ ー 内 で 示 され て い る評 価 を 好 評 ・不 評 に 分 類 し,評 価 一 致 率[5]と い う指 標 を 用 い て ユ ー ザ の ア イ テ ム 選 択 に お け る 価 値 観 を モ デ ル 化 す る.提 案 手 法 で は,レ ビ ュ ー を 書 い て い な い 新 規 ユ ー ザ に 対 して も価 値 観 モ デ リ ン グ が 可 能 で あ り,ま た レ ビ ュ ー 閲 覧 は オ ン ラ イ ン サ イ トで 一 般 的 な 行 為 で あ る た め,コ ス ト面 で の 効 率 化 も 期 待 で き る.
提 案 手 法 を 組 み 込 ん だ 推 薦 機 能 を 持 つ レ ビ ュ ー サ イ トの プ ロ トタ イ プ シ ス テ ム を 構 築 し, ユ ー ザ 実 験 に よ り有 効 性 に つ い て 検 証 す る.実 験 で は,ユ ー ザ モ デ ル 作 成 と ア イ テ ム 推 薦 を 行 う.ユ ー ザ モ デ リ ン グ で は,ユ ー ザ が 複 数 の レ ビ ュ ー を 閲 覧 ・評 価 す る 行 為 か ら ユ ー ザ モ デ ル を 作 成 す る.既 存 研 究 で は,ユ ー ザ に 提 示 す る レ ビ ュ ー を 事 前 に 決 定 して い た が[6】, 提 案 手 法 で は,ユ ー ザ の 評 価 情 報 か ら 次 に 提 示 す る レ ビ ュ ー を 動 的 に 決 定 す る こ と で,シ ス テ ム 構 築 コ ス トの 削 減 と ユ ー ザ 価 値 観 の 素 早 い 推 定 を 目指 す.レ ビ ュ ー の 提 示 方 法 に 関
し て,動 的 提 示 と ラ ン ダ ム 提 示 の2種 類 で ユ ・一一.一ザ モ デ ル を 作 成 し,ユ ー ザ モ デ ル や 評 価 件 数 な ど の 観 点 か ら比 較 を 行 う.
ア イ テ ム 推 薦 に 関 す る 評 価 実 験 で は,提 案 手 法 を 用 い て 作 成 し た ユ ー ザ モ デ ル に 基 づ く 推 薦,ラ ン ダ ム 提 示 を 用 い て 作 成 し た ユ ー ザ モ デ ル に 基 づ く 推 薦,満 足 度 ラ ン キ ン グ に 基 づ く推 薦 の3種 類 を 実 施 し,そ の 結 果 を 比 較 す る.デ ー タ セ ッ トは,4travelか ら ホ テ ル に 関 す る レ ビ ュ ー と ホ テ ル を 収 集 し て 構 築 す る.実 験 結 果 よ り,提 案 手 法 に よ る ユ ー ザ モ デ ル の 有 効 性 お よ び,推 薦 精 度 や モ デ ル 生 成 コ ス トな ど に つ い て 考 察 す る.
2関 連 研 究
2.1情 報 推薦 シス テム
情 報 推 薦 シ ス テ ム と はユ ー ザ の趣 味 ・嗜 好 にあ った 情 報 や 商 品 な どを提 示 す る シ ス テ ム で あ る.本 節 で は,情 報 推 薦 の代 表 的 な 手 法 と して 協調 フ ィル タ リン グや 内 容 ベ ー ス フ ィ ル タ リン グに つ い て 述 べ る.
2.1.1情 報 推 薦 シ ス テ ム と は
現 在 で は,情 報 化 技 術 の発 達 に よ り,誰 で も簡 易 に情 報 が 発信 で き る よ うに な り,誰 も が 容 易 に 受 け取 る こ とが で き る.し か し,情 報 が 大 量 に溢 れ て しまい,利 用 す る側 は 正 し い情 報 の 選 択 や,欲 しい情 報 の 特 定 が で き な い な どの 問題 に 陥 る こ とが あ る.こ の様 な 状 況 を情 報 過 多[2】と呼 ぶ.こ の 問題 に 対 処す る た め に,ユ ー ザ に とっ て 有 益 な情 報 や ア イ テ ム を 見 つ け 出 し,提 示 す る情 報 推 薦 シ ステ ムが 広 ま っ て きた.
現在 で は 多 くのWebサ イ ト上 で 情 報 推 薦 シ ステ ムが 使 用 され て い る.例 を挙 げ る と, Amazonや 楽 天 シ ョッ ピン グサ イ トな どで はTOPペ ー ジに ユ ー ザ に 対 す るお 勧 め ア イ テ ム を 掲載 して お り,情 報 推 薦 の使 用 頻 度 は多 くな って きて い る.
情 報 推 薦 は 非 個 人 化 推 薦 と個 人 化推 薦 に大 別 で き る[17].非 個 人 化 推 薦 で は,ユ ー ザ プ ロ フ ァイ ル は利 用 せ ず どの ユ ー ザ に対 して も同 じ推 薦 を行 う.良 く利 用 され て い る ラ ン キ ン グ推 薦 で は,ユ ー ザ の情 報 は 必 要 とせ ず,売 り上 げや 満 足 度 な ど とい っ た 指 標 を 用 い た ラ ン キ ン グ順 に 商 品 が提 示 され る.他 に も,売 り手側 が選 ん だ もの を お勧 め商 品 と して 提 示 す る こ と も非 個 人 化 推 薦 と言 え る.人 気 の あ る 商 品や 評 判 の 良 い 商 品 を提 示 す る こ とは, 多 くのユ ー ザ の 興 味 を 引 く と予 想 で き る,し か し,全 て の ユ ー ザ に 必 ず ラ ン キ ン グ推 薦 を す るべ き とは 限 らな い.例 え ば,ベ ス トヒ ッ トの 商 品 が ユ ー ザ の興 味 や 嗜 好 に 合 致 して い な い こ と も十 分 考 え られ る.そ こ で,ユ ー ザ の特 徴や 情 報 を用 い た推 薦 が 必 要 に な っ て く
る.
個 人 化 推 薦 で は,非 個 人 化 推 薦 とは逆 に ユ ー ザ プ ロ フ ァイ ル を 用 い て 推 薦 を 行 う.そ の た め,ユ ー ザ 毎 に異 な る情 報や 商 品 を提 示 す る こ とに な る.個 人 化 推 薦 は さ らに,一 時 的 個 人 化 と永 続 的 個 人 化 に 分別 す る こ とが で き る,
一 時 的 個 人 化 で は
,商 品 の 閲 覧 や カー トに 入 れ るな ど,そ の 時 の 行 動 を 元 に推 薦 を 行 う.
例 を挙 げ る と,特 定 の 商 品 を ク リック した 際 に は,そ の 商 品 をユ ー ザ が 好 む ア イ テ ム と仮 定 し,関 連 す る商 品 を 提 示 す る.こ の と き,ユ ー ザ の 過 去 の 利 用 履 歴 や プ ロフ ァイ ル な ど
は利 用 しな い で 推 薦 を 行 う.永 続 的 個 人 化 で は,ユ ー ザ の 個 人 情 報 や 過 去 の購 入 履 歴 な ど を利 用 して推 薦 を行 う.特 定 の振 る舞 い だ けで な く,ユ ー ザ の 年 齢 や 性 別,購 入 ・閲 覧 履
歴 を 利 用 す る こ と で,よ りユ ー ザ の 特 徴 に 合 わ せ た 推 薦 を 行 う こ と が で き る,し か し,精 度 の 高 い 推 薦 を 行 う に は,ユ ー ザ に 関 す る 情 報 を よ り多 く必 要 と す る た め,新 規 ユ ー ザ に 対 し て は 適 切 な 推 薦 が 行 え な いcolod‑start問 題[1】な ど が 存 在 す る.本 論 文 で は 特 に 断 ら な い 限 り,個 人 化 推 薦 を 対 象 とす る,
情 報 推 薦 シ ス テ ム の 代 表 的 な 手 法 と して,協 調 フ ィ ル タ リ ン グ と 内 容 べ 一 ス フ ィ ル タ リ ン グ が 挙 げ ら れ る.そ れ ぞ れ に つ い て,以 下 で 解 説 す る.
2.1.2協 調 フ ィ ル タ リ ン グ
協 調 フ ィ ル タ リ ン グ で は,多 く の ユ ー ザ の 嗜 好 情 報 や 行 動 情 報 を 収 集 し,嗜 好 が 類 似 す る ユ ー ザ の 情 報 を 用 い て 推 薦 を 行 う[8].協 調 フ ィル タ リ ン グ は 計 算 処 理 が 比 較 的 簡 単 で あ
り,導 入 も 容 易 で あ る こ と か ら 多 く のWebサ イ ト上 で 広 く利 用 さ れ て い る.
協 調 フ ィ ル タ リ ン グ は,メ モ リベ ー ス 法 とモ デ ル ベ ー ス 法 の2つ に 分 類 され る[2].メ モ リベ ー ス の 協 調 フ ィ ル タ リ ン グ は,類 似 ユ ー ザ を 発 見 した 後,ア イ テ ム の 推 薦 を 行 うユ ー ザ ベ ー ス 手 法 と,ユ ー ザ が 好 む ア イ テ ム と類 似 す る ア イ テ ム の 推 薦 を 行 う ア イ テ ム ベ ー ス 手 法 に 分 類 さ れ る.メ モ リベ ー ス の 協 調 フ ィル タ リ ン グ の 代 表 的 な 例 と し て,Resnickら の GroupLensが あ る 【3】.GroupLensは ユ ー ザ ベ ー ス の 推 薦 手 法 で あ り,類 似 ユ ー ザ の 発 見 を 行 っ た 後,対 象 ユ ー ザ に 対 して 未 評 価 の ア イ テ ム を 好 む か ど うか の 予 測 評 価 値 を 求 め る.
一 方,モ デ ル ベ ー ス の 協 調 フ ィ ル タ リ ン グ で は,ユ ー ザ が 行 動 を 起 こ す 前 に あ ら か じ め 評 価 情 報 を 学 習 さ せ た モ デ ル を 作 成 して お き,そ の モ デ ル を 元 に 推 薦 を 行 う手 法 で あ る.
膨 大 な 数 の ア イ テ ム や 多 数 の ユ ー ザ が 存 在 す る 場 合,事 前 に モ デ ル を 作 成 して お く こ と で 推 薦 時 間 を 減 ら す こ と が で き る.し か し,新 た な ア イ テ ム や ユ ー ザ が 追 加 さ れ た 場 合 は, モ デ ル を 再 構 築 す る 必 要 が 生 じ る.そ の た め,推 薦 時 に 計 算 を 行 う メ モ リベ ー ス 手 法 の 方 が 適 応 性 と い う点 に お い て は 優 れ て い る.
表2.1ユ ー ザ と ア イ テ ム の 評 価 行 列
ア イテ ム1 ア イテ ム2 ア イテ ム3 ア イテ ム4 ア イテ ム5 ユーザAとの 相関係数
ユ ー ザA 5 4 3 3 ? 1.0
ユ ー ザ × 2 一 4 5 1 一〇 .9
ユ ー ザY 3 1 一 2 4 0.5
ユ ー ザZ 4 3 2 一 5 1.0
例 と して,メ モ リベ ー ス の ユ ー ザ ベ ー ス 協 調 フ ィ ル タ リン グ に つ い て 説 明 す る.表2.1は ユ ー ザ の 各 商 品 に 対 す る 評 価 情 報 を ま と め た も の で あ る.各 数 字 は,ユ ー ザ の ア イ テ ム に 対 す る評 価 値 で あ り,5段 階 評 価 で 値 が 大 き い ほ ど 高 評 価 と す る.ま た,ア イ テ ム を 評 価 し て い な い 場 合 は 空 と な る.ユ ー ザAに ア イ テ ム5の 推 薦 が 適 切 か ど うか を 調 べ る た め に, 最 初 に ユ ー ザ 間 の 類 似 度 を 計 算 す る.類 似 度 の 尺 度 と して コ サ イ ン 類 似 度[45]や ユ ー ク リ ッ
ド距 離[46]が 用 い られ る が,Pearson相 関 係 数[9】を 用 い る こ と も 多 い.表2.1で は,Pearson 相 関 を 用 い て い る.Pearson相 関 を 用 い た 場 合,数 値 が1に 近 い ほ ど類 似 度 が 高 く,0に 近 い ほ ど 無 関 係,・1に 近 い ほ ど 反 対 の 評 価 を 行 っ て い る こ と を 示 す.
Σ匹1(Xi一 元)(y一 ア)
「xy=
ΣL1(Xi‑x)2Σ}』(γ 、一 夕)2 (2.1)
ピ ア ソ ン 相 関 を 用 い た ユ ー ザx,yの 類 似 度rxyは 式(2.1)で 表 さ れ る.こ の と き,類 似 度 の 計 算 に は 両 方 の ユ ー ザ が 評 価 済 み の ア イ テ ム 集 合 の み を 利 用 す る.Xiとyiは ユ ー ザx,yの ア イ テ ムliに 対 す る 評 価 を 表 し,元 は ユ ー ザxの 評 価 値 の 相 加 平 均 で あ る.表2.1の 例 に 対 し,式 (2.1)を 用 い て 計 算 す る と,ユ ー ザY,Zが ユ ー ザAと 類 似 して い る こ とが 分 か る.ユ ー ザY, Zは 共 に ア イ テ ム5に 対 す る 評 価 を 好 評 と して い る た め,ユ ー ザAに 対 し て ア イ テ ム5を 推 薦 す る こ と は 適 切 だ と推 論 す る.
協 調 フ ィル タ リ ン グ の 利 点 は,ア イ テ ム に 関 す る 情 報 を 必 要 と し な い 点 で あ る.ア イ テ ム の 様 々 な 特 徴 に つ い て デ ー タ を 収 集 し,属 性 な ど の デ ー タ を 入 力 す る 必 要 が な い た め,
コ ス トを 大 幅 に 削 減 で き る .し か し,協 調 フ ィル タ リン グ で 精 度 の 高 い推 薦 を行 うた め に は,ユ ー ザ の 嗜 好 情 報 や ア イ テ ム に 関 す る 評 価 情 報 を 多 数 収 集 す る 必 要 が あ る.そ の た め, 新 規 ユ ー ザ は 情 報 が 少 な い た め 類 似 ユ ー ザ が 判 定 で き ず,推 薦 精 度 が 低 く な る と い う cold‑start問 題[1]が 指 摘 され て い る.ま た,ユ ー ザ 情 報 が 十 分 で あ っ て も シ ス テ ム で 扱 う ア イ テ ム 数 が 膨 大 で あ る 場 合,ユ ー ザ 当 た りの 評 価 ア イ テ ム 数 は ア イ テ ム 総 数 よ り も圧 倒 的 に 少 な い た め,ユ ー ザ 間 で 共 通 し て 評 価 した ア イ テ ム 数 が 少 な く な る.こ れ に よ り,ユ ー ザ と ア イ テ ム 行 列 が 疎 な た め に 類 似 度 の 計 算 が で き ず,精 度 の 高 い 推 薦 を 行 う こ と が 困 難 と な る.こ れ はsparsity問 題[10]と 呼 ば れ,cold‑start問 題 と 同 様 に 協 調 フ ィ ル タ リ ン グ に お け る 課 題 と し て 挙 げ ら れ る.
協 調 フ ィ ル タ リ ン グ に お い て,cold‑start問 題 やsparsity問 題 に 対 処 す る た め の 研 究 が 行 わ れ て い る.Breeseら は ク ラ ス タ モ デ ル を 用 い て 嗜 好 が 類 似 す る ユ ー ザ の モ デ ル 化 を 行 う
こ とで,推 薦 精 度 の 向 上 を 測 っ て い る[11」.Leeら は 友 人 関 係 を 類 似 度 計 算 に 用 い る こ と で, ユ ー ザ と ア イ テ ム の 関 係 が 疎 に な ら な い よ う試 み て い る[101.こ れ ら は ユ ー ザ の 情 報 を 間 接 的 な 情 報 で 補 う研 究 で あ り,ユ ー ザ の 嗜 好 や 意 思 決 定 の 推 論 と は 異 な る.
上 記 と 関 連 し て,情 報 推 薦 シ ス テ ム に お い て は ユ ー ザ の 嗜 好 に 対 応 す る 研 究 の 必 要 性 が 示 唆 され て い る[12].松 村 ら は ユ ー ザ の 嗜 好 情 報 を ク ラ ス タ リ ン グ し,そ の 時 系 列 変 化 を 検 出 す る こ と で ユ ー ザ の 嗜 好 の 変 化 を 検 出 す る 手 法 を 提 案 して い る[13].ま た,伊 藤 ら は ユ ー ザ の 嗜 好 が 変 化 す る こ と を 利 用 し て,多 数 の 商 品 に 興 味 を 促 す 推 薦 手 法 を 提 案 して い る[19].
こ れ ら の 研 究 が 示 す の は,ユ ー ザ が ア イ テ ム や 情 報 を 閲 覧 す る 場 合,ユ ー ザ の 嗜 好 を 推 論
2.1.3内 容 ベ ー ス フ ィ ル タ リ ン グ
内 容 べ 一 ス フ ィ ル タ リ ン グ は,ア イ テ ム に 関 す る 情 報 と ユ ー ザ の 嗜 好 情 報 を 比 較 し,関 連 の 近 い ア イ テ ム を 推 薦 す る 手 法 で あ る[4】.ア イ テ ム に 関 す る 情 報 は,内 容 に 関 す る 属 性
が と る 値(属 性 値)の 集 合 あ る い は ベ ク トル と し て 表 現 さ れ る の が 一 般 的 で あ る.例 え ば 映 画 で は,属 性 と して 脚 本 や 主 演 な どが 存 在 し,属 性 値 は 実 際 の 脚 本 家 や 俳 優 な ど と な る.
内 容 べ 一 ス フ ィ ル タ リ ン グ は,ユ ・一 ザ が ど の 属 性 値 を 好 む か ど うか の 嗜 好 情 報 が 得 られ れ ば,新 規 ユ ー ザ に 対 し て も 高 い 精 度 の 推 薦 が 可 能 で あ り,楽 曲 推 薦 な ど で 活 用 され て い る [14].
嗜 好 情 報 の 収 集 方 法 は 主 に2種 類 に 分 類 で き,シ ス テ ム の 利 用 履 歴 や 閲 覧 情 報 な ど か ら 自動 的 に 収 集 す る 暗 黙 的 手 法 と,ユ ー ザ に ど の 属 性 が 好 み か ど うか を 直 接 回 答 し て も ら う 明 示 的 手 法 が あ る[15】.暗 黙 的 手 法 で は,ユ ー ザ に 負 担 を か け る こ と な く 大 量 の デ ー タ を 収 集 す る こ と が で き る が,嗜 好 情 報 の 正 確 性 に つ い て は ユ ー ザ の 行 動 履 歴 か ら推 測 す る た め, 明 示 的 手 法 に 比 べ る と 劣 る,明 示 的 手 法 で は,ど の 属 性 に 興 味 が あ る か な ど を ユ ー ザ に 直 接 回 答 して も ら う.ユ ー ザ が 直 接 回 答 して い る た め,嗜 好 情 報 の 正 確 性,お よ び シ ス テ ム が ど の よ う に 自身 の 嗜 好 を 把 握 して い る か を ユ ー ザ が 認 知 可 能 で あ る 点 で は 暗 黙 的 手 法 と 比 較 す る と 優i位 で あ るtし か し,ア イ テ ム を 直 接 評 価 す る こ と は ユ ー ザ に と っ て 負 荷 に な る た め,事 前 に 多 数 の 嗜 妊 情 報 を 獲 得 す る こ とは 難 しい,
内 容 べ 一 ス フ ィ ル タ リン グ の 課 題 と して は,シ ョ ッ ピ ン グ サ イ トな ど で 大 量 の ア イ テ ム を 扱 う際 に,属 性 や 属 性 値 に 膨 大 な パ タ ー ン が 存 在 す る た め,ユ ー ザ ・ア イ テ ム の 属 性 や 属 性 値 と の 関 係 が 疎 に な っ て しま う場 合 が 多 い こ と が 挙 げ ら れ る.そ の た め,新 しい ア イ テ ム や 属 性 が 追 加 さ れ た 際,推 論 を 行 うの に 十 分 な 情 報 を 収 集 す る こ と が 難 し く,協 調 フ ィ ル タ リ ン グ と 同 じ くcold‑start問 題 やsparsity問 題 が 課=題 と な る 事 が 指 摘 さ れ て い る[2].
内 容 べ 一 ス フ ィ ル タ リ ン グ に お い て これ ら の 課 題 に 対 処 す る た め,Wangら は 明 示 的 に ユ ー ザ の 部 分 的 な 嗜 好 情 報 を 獲 得 し,似 た よ う な 嗜 好 を 持 つ ユ ー ザ か ら 全 体 的 な 嗜 好 情 報 を 補 完 す る 手 法 を 提 案 し て い る[18].ま た,関 ら が 考 案 した 飲 食 店 推 薦 シ ス テ ム で は,事 前 に 蓄 積 さ れ た ア イ テ ム の コ ン テ キ ス ト情 報 の 中 か ら,ユ ー ザ が 当 て は ま る も の を 明 示 的 に 指 定 す る こ と で,新 規 ユ ー ザ に 対 し て も 精 度 の 高 い 推 薦 が 行 え る と して い る[16】.こ れ ら の 研 究 で は,一 部 の 明 示 的 情 報 か ら 間 接 的 に ユ ー ザ の 嗜 好 情 報 を 補 う こ とでcold‑start問 題 な ど に 対 応 し て い る.以 上 を 踏 ま え,少 数 の 情 報 か ら ユ ー ザ の 全 体 的 な 嗜 好 を 推 論 す る こ と が で き れ ば,よ り精 度 の 高 い 推 薦 が 行 え る と 考 え る.
2.2価 値観 に基 づ く情 報 推薦
2.2.1価 値 観 と 嗜 好
前 節 で 述 べ たcold‑start問 題 やsparsity問 題 を 解 決 す る た め の ア プ ロ ー チ の 一 つ と して, よ り少 な い 情 報 か らユ ー ザ へ の 推 薦 を 行 う こ と が 考 え られ る.こ れ を 実 現 す る た め に,本 論 文 で は 価 値 観 と い う概 念 に 着 目 す る.
価 値 観 は,消 費 者 の 行 動 に 関 係 し て い る と 考 え られ て お り,マ ー ケ テ ィ ン グ の 分 野 で は 以 前 か ら利 用 さ れ て い る.Rokeachは,価 値 観 を18の 要 素 に 分 類 したRokeachValue Survey(RVS)[20]と 呼 ば れ る 調 査 方 法 を 提 案 し て お り,多 く の 調 査 で 利 用 さ れ て い る.
RVSに お い て,最 終 価 値 は 人 が 求 め る価 値 と して 望 ま しい 究 極 の あ り方 を 示 し,最 終 価 値 に 到 達 す る た め に 必 要 な 価 値 と して 手 段 価 値 を 示 して い る.Vinsionら はRVSを 用 い て 保 守 的 ・革 新 的 な 価 値 観 を 持 つ 大 学 に 所 属 す る 学 生 に ア ン ケ ー ト調 査 を 行 い,両 大 学 の 学 生 の 価 値 観 に 有 意 な 差 が あ る こ と を 明 ら か に し て い る[21].し か し,RVSで は 最 終 価 値 を 達 成 す る た め に 必 要 な 手 段 や,価 値 の 関 係 性 に つ い て は 言 及 し て い な い.一 方,Schwartzは 価 値 の 関 係 性 に 着 目 し た.価 値 を10種 類 に 分 類 し,円 構 造 と して 体 系 化 し て い る.ま た, そ の 上 位 価 値 と して4つ の 価 値 を 示 し て い る[22】.ま た,Holbrookは 消 費 行 動 に 影 響 が あ る 価 値 観 を8種 類 に 分 類 し,そ の 調 査 方 法 や 分 析 手 法 に つ い て 提 案 し て い る[23].し か し,
これ ら の 研 究 は ユ ー ザ の 嗜 好 と の 対 応 関 係 に 関 して は 言 及 して い な い.
Webイ ン テ リ ジ ェ ン ス の 分 野 で は,宮 尾 ら は ユ ー ザ の 価 値 観 を ア ン ケ ー トか ら調 査 し, ユ ー ザ が 持 つ 価 値 観 に 対 して 最 適 な 利 用 機 能 を 持 つSNSサ イ トの プ ロ トタ イ プ を 構 築 して い る[24].谷 田 ら はTwitterを 分 析 し,ユ ー ザ を12種 類 の 価 値 観 に 分 類 す る 手 法 を 提 案 し て い る[25].こ れ ら の 研 究 も,ユ ー ザ の 嗜 好 と価 値 観 の 対 応 関 係 に つ い て は 言 及 し て お らず, 情 報 推 薦 シ ス テ ム へ の 適 用 に は ユ ー ザ の 嗜 好 に 近 い 観 点 か ら 分 析 す る 必 要 が あ る と 考 え る.
価 値 観 と嗜 好 を 対 応 さ せ る 研 究 と して,服 部 ら は 価 値 観 マ ッ プ を 用 い て 嗜 好 と 価 値 観 の 関 連 を 調 査 す る 手 法 を 提 案 して い る[26】.価 値 観 マ ップ は 対 立 す る 意 味 関 係 の 評 価 語(例:
暗 い 一 明 る い,静 か な 一 騒 が しい)を1組 の 評 価 尺 度 と し,n組 の 評 価 尺 度 を 用 い てn次 元 の マ ッ プ か ら構 成 さ れ る.SD法[27】 に よ りア イ テ ム に 対 す る 印 象 を 価 値 観 マ ッ プ 上 に プ ロ ッ ト し,作 成 し た マ ッ プ を 用 い て ユ ー ザ の 価 値 観 モ デ リ ン グ を 行 う.ア ン ケ ー トを 用 い た 調 査 か ら ユ ー ザ ク ラ ス タ を 形 成 し,こ の ク ラ ス タ を ユ ー ザ の 価 値 観 と して 表 し て い る.図
2.1の マ ッ プ の 円 で 囲 わ れ た 範 囲 内 に 分 布 す る 時,ユ ー ザ の 価 値 観 は 「や や 明 る い, 騒 が し い 」 で あ る と して モ デ リ ン グ され る.
(2)n組 の 評 価 尺 度 で 表 現 さ れ る ユ ー ザ の 価 値 観 は ジ ャ ン ル 問 で 共 通 し て お り,図2.2に 示 す よ うに,異 な る ジ ャ ン ル に お い て 同 様 の 位 置 に 分 布 す る.す な わ ち,同 様 の 評 価
尺 度 で 表 現 さ れ る ジ ャ ン ル に お い て は 共 通 の 価 値 観 を 持 つ.
価 値 観 マ ップ を 用 い てモ デ リン グ したユ ー ザ は複 数 の異 な る価 値 観 を持 っ グ ル ー プ に分 類 で き,同 じ グル ー プ に 属 す るユ ー ザ は類 似 した アイ テ ム を 好 む た め,嗜 好 が類 似 す る と み な せ る.し た が って,価 値 観 と嗜 好 に は 関連 性 が あ り,価 値 観 を情 報 推 薦 シ ス テ ム に適 用 す る こ とは 有 用 で あ る と考 え られ る.
A 明るい
◎ ○
,1尉 、
○
気.)
◎)
、
蕊
静かな
"
騒が しい〈
一
蝋脳
〉◎ ◎
、 9
ノ,、
、
殴̲'
◎ モデ リングされたアイテ
、 り
F
、̲ ● ユーザ が好むアイテム
,㍉ ⑪ ユ ー ザ クラ ス タ
ノ
、 ▲ クラスタの重心
Ψ暗い
図2.1価 値 観 マ ップ を 用 い た ア イ テ ム ・ユ ー ザ モ デ リ ン グ の 例
/不//
/し ノ/音楽/
//
//映 画'
図2.2価 値 観 マ ッ プ の 概 念 図
2.2.2価 値観 に基 づ く情 報推薦 シス テム に関す る研 究
本 論 文 で は 価 値 観 の 定 義 と して 文 献[5」と同様 に,ユ ー ザ が どの 属 性 を重 視 して ア イ テ ム の 評 価 を 決 定 す る か を表 す 概 念 で あ る との 定 義 を採 用 す る,例 え ば映 画 で は,属 性 と して 脚 本 や 主 演,演 出 な どが 存 在 す る.図2.3は ユ ー ザAが 演 出 に 対 して強 い こ だ わ りを持 つ 場 合 の 例 で あ る.こ の 時,脚 本 や 主 演 は アイ テ ム購 入 の 意 思 決 定 に あ ま り影 響 を 与 えず, 主 に 演 出 が ア イ テ ム に対 す る評 価 に強 く影 響 を及 ぼ す と考 え られ る,こ の よ うに,ど の 属 性 に こだ わ りが あ る か を モ デ リン グす る こ とが で きれ ば,ユ ー ザ に適 切 な推 薦 を行 え る こ
とが 期 待 で き る,
演 出 の す ごい 映 画 を見 たい!
毒
勾ユ ー ザA
→
属性脚本主演 こだわ り弱 い
弱 い演出 強い
図2,3ア イ テ ム購 入 に お け る意 思 決 定 と価 値 観 の 関係
2.3.2項 で 詳 説 す る が,本 研 究 で 利 用 す る 価 値 観 モ デ ル[5]は ア イ テ ム の 属 性 を 次 元 とす る ベ ク トル で 表 現 され る た め,内 容 べ 一 ス フ ィ ル タ リ ン グ と の 関 連 が 深 い.従 来 の 内 容 べ 一 ス フ ィル タ リ ン グ と 異 な る 点 は 主 に 以 下 の と お りで あ る[5].
(1)属 性 の利 用
図2.4に 示 す よ うに,従 来 の 内容 べ 一 ス フ ィル タ リン グで は 脚 本 家 や 俳 優 な ど とい っ た 属性 値 を用 い る が,膨 大 な 量 の属 性 値 が 存在 す るた め,ユ ー ザ モ デ ル 作成 の た め に 十 分 な 量 の 評 価 情 報 を集 め る こ とは 困難 で あ っ た.価 値 観 モ デ ル に基 づ く情 報 推 薦 手 法 で は,脚 本 や 主 演 とい っ た属 性 に こだ わ りが あ るか ど うか を調 べ る た め,属 性 値 よ りも収 集 す る情 報 が 少 な く,十 分 な 量 の評 価 情 報 を収 集 す る こ とが で き る と考 え る.
(2)属 性 の 影 響 度 の 推 論
既 存 の 内 容 ベ ー ス フ ィル タ リ ン グ で は,ア イ テ ム に 対 す る ユ ー ザ の 評 価 を 暗 黙 的 に 収 集 し,そ れ か ら ユ ー ザ が 好 む 属 性 値 を 推 定 す る こ と が 多 い,し か し,コ ー一 ザ が あ る ア イ テ ム を 好 む と 判 断 して も,全 て の 属 性 値 に つ い て 満 足 して い る と は 限 らず,適 切 に 嗜 好
を推 定 で き な い 可 能 性 が あ る.価 値 観 モ デル に基 づ く情 報 推 薦 手 法 で は,ユ ー ザ が どの 属 性 に こだ わ りを持 っ てい るか,ア イ テ ム へ の評 価 に 強 い 影 響 を及 ぼ して い る か を推 論 す る こ とで,よ り少 な い情 報 か らユ ー ザ の 求 め るア イ テ ム を推 薦 可 能 で あ る と考 え る.
(3)ユ ー ザ の 負 荷 軽 減
既 存 の 内 容 べ 一 ス フ ィル タ リン グで 明 示 的 に情 報 収 集 を行 う場 合,膨 大 な数 の属 性 値 が存 在 す るた め,全 て の 属 性 値 に対 して評 価 を行 うこ とは ユ ー ザ に とっ て大 き な負 担 と な る.価 値観 モ デ ル に基 づ く情 報 推 薦 手 法 で は,属 性 は 属性 値 に比 べ て は るか に少 な い た め ユ ー ザ へ の 負 担 を軽 減 可能 と考 え る.
属性値に比べてはるかに少数 アイテム数 によって膨大に存在
図2.4属 性 と属 性 値
この 価 値 観 モ デ ル を情 報 推 薦 シ ステ ム に適 用 す る研 究 が 進 め られ て お り,ユ ー ザ が 投 稿 した レ ビュー や,ユ ー ザ か ら明 示 的 に価 値 観 を取 得 す る手 法 が 存 在 す る[5,7】.三澤 らは価 値 観 に基 づ くユ ー ザ モ デル を協 調 フ ィル タ リン グ に適 用 す る こ とで,極 性 の強 い 評 価 を受 け た ア イ テ ム に対 して の有 効 性 を示 して い る【28】,山口 らは価 値 観 に基 づ くア イ テ ム モ デ リ ン グ手 法 を提 案 し,ユ ー ザ の 満 足 度 を上 げ る た め に推 薦 時 に お け る説 明 文 生成 の 可 能 性 に つ い て 考 察 して い る[291.
2.3レ ビュー を用 いた情報 推 薦 システム
本 論 文 で は,ユ ー ザ の 価 値 観 を獲 得 す る方 法 と して シ ョ ッ ピン グサ イ トな どに 投 稿 され て い る レビ ュー を利 用 す る.本 節 で は レビ ュー を 用 い た 既 存 研 究 を 紹 介 し,レ ビュー を 用 い た分 析 手 法や 価 値観 の推 論 方 法 につ い て 述 べ る.
2.3.1レ ビ ュ ー 分 析 に 関 す る 研 究
テ キ ス ト情 報 はWeb上 に膨 大 に 存在 し,文 章 の 中 か ら評 価 情 報 の 抽 出や,要 約 な どを 目 的 と した研 究 は 広 く行 われ て い る[30].そ の 中 で,ア イ テ ムや サ ー ビ ス に対 す る評 価 を記 述
した もの を レ ビ ュー と呼 び,シ ョ ッ ピン グサ イ ト等 で ア イ テ ム を選 択 す る際 の意 見 情 報 と して 活 用 され て い る[31】.レ ビュー に は ア イ テ ム全 体 の評 価 や,各 属 性 に対 す る評 価 も記 述 され て お り,ア イ テ ムや ユ ー ザ の 特 性 を推 論 す る た め の 情 報 源 と して利 用 で き る.属 性 と は ア イ テ ム の 特 徴 を表 す 項 目で あ り,映 画 で は脚 本 や 主 演 な どが存 在 す る.価 値 観 の モ デ
リン グ を行 う際 に は,こ の よ うな属 性 を 用 い て推 論 を 行 う.レ ビュ ー 内 に あ る属 性 とそ の 評 価 を抽 出 す る研 究 と して,小 林 らは評 価 対 象 ・属 性 ・評 価 表 現 の 共 起 パ タ ー ンか ら属 性 お よび そ れ に対 す る評 価 表 現 を半 自動 収集 す る 手法 を提 案 して い る[32】.佐藤 らは 既 に投 稿 され て い る多 数 の レビ ュー を分 析 す る こ とで,ア イ テ ムの 特 徴 を 分 類 し客観 性 の あ る評 価 尺 度 を 見 い だ して い る[33】.他に も レビ ュー に記 述 され て い る ア イ テ ム の 特 徴 を解 析 す る こ とで,レ ビュー 内容 の要 約 を提 示 す る研 究 が行 われ て い る[34,35,36].こ れ らの 研 究 は レ ビ ュー 情 報 か ら辞 書構 築 や 属 性 の抽 出 を行 う手 法 だ が,適 合 率や 再 現 率,被 覆 率 な どの 観 点 か ら高 い精 度 で の抽 出 を行 え て い ない.
高 い 精 度 で 属 性 や 評 価 情 報 の抽 出 を行 うた め,教 師 あ り機 械 学 習 を用 い た 抽 出 手 法 が 提 案 され て い る.飯 田 らは 事 前 に 手 作 業 で タ グ付 け され た コー パ ス を 訓練 デ ー タ と して 学 習 を行 うこ と で,よ り高 い適 合 率 や 再 現 率 で属 性 と属 性 評 価 を 抽 出 す る 手 法 を提 案 して い る [37】.しか し,教 師 あ り学 習 を用 い た 手法 は 対 象 ドメイ ンに 対応 す る訓 練 デ ー タ を用 意す る 必 要 が あ り,多 数 の ジ ャ ン ルや 新 規 ドメイ ン を対 象 とす る場 合 は 対 応 が 困 難 とな る.
訓 練 デ ー タ を利 用 しな い 手 法 と して,LatentDirichletAllocation(LDA)[38】 に代 表 され る トピ ックモ デ ル を用 い て 属性 の抽 出 を行 う手 法[39]な どが提 案 され て い る.こ れ らの研 究 は 自然 言 語 処 理 を用 い て 属性 や 評 価 情 報 の抽 出や,レ ビ ュー 内容 の 要 約 な どを 行 うこ とを 目的 と して い る.し か し,抽 出 に は膨 大 な レ ビュ ー が 必 要 で あ り,属 性 に対 応 す る評 価 情 報 の 特 定 はで きて い な い.
レ ビュ ー を 分 析 し情 報 推 薦 シ ス テ ム へ 活 用 して い る研 究 と して,岡 田 らは ユ ー ザ が書 い た レ ビュ ー テ キ ス トに は 嗜 好 や ア イ テ ム の 特 徴 に 関 す る情 報 が表 現 され て い る と考 え,レ
ビュー テ キ ス ト問 の 類 似 度 を用 い て,協 調 フ ィル タ リン グ を行 う手 法 を提 案 して い る[40】.
Asherら は ホ テ ル に対 す る レ ビ ュー の解 析 を行 い,各 属 性 へ の 評 価 情 報 を 用 い て レ ビュー や
ア イ テ ム に ス コア 付 け を行 うコ ンテ キ ス トベ ー ス の 推薦 シ ス テ ム を構 築 して い る[41].本 田 らは ユ ー ザ が ア イ テ ム を選 択 す る際 の 目的 に着 目 し,レ ビュ ー の 特 徴 ベ ク トル 作 成 し,こ れ を用 い て 商 品 を類 似 す る 目的 カ テ ゴ リに分 類 す る手 法 を提 案 して い る[42].
レ ビ ュー を解 析 した場 合,属 性 と評 価 情 報 の抽 出 を高 い精 度 で 行 うこ とは難 しい が,レ ビュ ー サ イ トの 多 くに は レ ビュー と各 属 性 に対 す る評 価 値 が 与 え られ て い る こ とが多 い.
評 価 値 とは 属 性 に対 す る段 階 的 な評 価 を数 値 化 した もの で,5段 階評 価 な どで 表 記 され てい る.例 と して,価 格.comに 投 稿 され て い る レビ ュー に は,ア イ テ ム に対 す る コ メ ン トと属 性 毎 の 評 価,お よび 総 合 評 価 が 記 載 され て い る.こ の よ うな 属性 お よび 属 性 値 が 存 在 す る レ ビ ュー を利 用 す る こ とで,レ ビュ ー の解 析 を行 うこ とな く価 値 観 モ デ リ ン グ に必 要 な 属 性 や 評 価 情 報 を利 用 す る こ とが で きる.
2.3.2レ ビュー と価 値観 を用 いた情 報推薦 に 関す る研 究
ユ ー ザ の 属 性 に 対 す る こ だ わ りを 推 論 す る 際 に,評 価 一 致 率 同 と呼 ば れ る 指 標 を 用 い て い る.評 価 一 致 率 は ユ ー ザuが ア イ テ ム1に 対 し て 行 っ た 評 価 に お い て,あ る ア イ テ ム 総 合 評 価 の 極 性Piten、(Zt,i)と属 性 ノの 極 性Pit,m(u,i,ノ)が 一 致 す る か ど うか を 調 べ,一 致 す る 評 価 回 数 を0(u,ノ),一 致 しな い 回 数 をq(u,ノ)と す る.こ の 時,ユ ー ザuに お け る 属 燭 の 評 価 一 致 率 P(u,ノ)は 式(2.2)で 算 出 され る.
0(uJ) P(u,ノ)=0(
u,j)+q(u,ノ) (2.2)
表2.2ア イ テ ムに 対 す る総合 評価 と各 属 性 へ の 評価 例
ア イ テ ム1 アイテ ム2
属性 極性 属性 極性
総合評価 好評 総合評価 不評 デザ イ ン 不 評 デザイ ン 好評
画質 好評 画質 不 評
操作性 好評 操作性 好評
属性
醐致
竿
赫致
一 評価 一 致 率
デザ イ ン 0 2 0.00
画質 2 0 1.00
操作性 1 1 0.50
表2.2は ユ ー ザ が あ る2種 類 の カ メ ラ に 対 す る 評 価 例 で あ り,表2.3は 表2.2を 元 に 算 出 し た 評 価 一 致 率 の 例 で あ る.評 価 一 致 率 が 高 い 属 性 は ユ ー ザ が 強 い こ だ わ り を も っ て い る
と判 断 す る.表2.3で は 「画 質 」 に 対 す る 評 価 一 致 率 が 最 も 高 く,ア イ テ ム の 総 合 評 価 に 影 響 を 及 ぼ す 属 性 と推 論 で き る.一 方,評 価 一 致 率 が0.50付 近 や そ れ 以 下 の 属 性 に 対 し て は ユ ー ザ の こ だ わ り が 低 い 属 性 と し,ア イ テ ム の 総 合 評 価 に は そ れ ほ ど大 き な 影 響 が な い と
し て い る,
レ ビ ュ ー を 用 い て ユ ー ザ の 価 値 観 を 推 論 す る 既 存 研 究 と し て,服 部 ら は ユ ー ザ が 投 稿 し た レ ビ ュ ー に 基 づ き,そ の レ ビ ュ ア ー が 意 思 決 定 に お い て 重 視 す る 属 性 を 推 定 して い る[7】.
しか し,こ の 手 法 で は レ ビ ュ ー を 投 稿 し て い な い ユ ー ザ に 対 して は 価 値 観 モ デ リ ン グ を 適 用 不 可 能 で あ り,cold・start問 題 に は 対 応 で き な い.各 属 性 と そ の ア イ テ ム に 対 す る 総 合 評 価 を ユ ー ザ か ら 明 示 的 に 取 得 し,価 値 観 モ デ ル を 構 築 す る ア プ ロ ー チ も 存 在 す る が[5],各 属 性 に 対 して 評 価 を 行 う こ と は ユ ー ザ に と っ て 負 荷 の 高 い 作 業 で あ り,モ デ ル 作 成 の コ ス
トが 増 大 す る.
3レ ビュー 閲 覧 履 歴 か らの価 値 観 モ デ リン グ
3,1レ ビ ュ ー 閲 覧 履 歴 か らの ユ ー ザ モ デ リ ン グ 手 法
シ ョ ッ ピ ン グ サ イ トに は 多 く の ユ ー ザ が ア イ テ ム に 対 し て レ ビ ュ ー を 投 稿 し て お り,投 稿 され た レ ビ ュ ー に は そ の ユ ー ザ の ア イ テ ム に 対 す る こ だ わ り が 反 映 され て い る と 考 え る.
例 え ば,「 こ の カ メ ラ は 画 質 が 良 い1」 と い う レ ビ ュ ー を 投 稿 して い る ユ ー ザ は,「 画 質 」 に こ だ わ り を 持 っ て ア イ テ ム を 評 価 して い る と 言 え る,一 方,レ ビ ュ ー 閲 覧 者 は,レ ビ ュ ー 記 事 の 中 で 自 身 が こ だ わ り を 持 つ 属 性 に つ い て の 言 及 や 評 価 を 確 認 し,意 思 決 定 に 利 用 し て い る と 想 定 され る.そ こ で,本 論 文 で は ユ ー ザ が ど の レ ビ ュ ー を 参 考 に し て ア イ テ ム の 評 価 を 決 定 した か と い う情 報 か ら,ユ ー ザ の 価 値 観 を モ デ リ ン グ す る 手 法 を 提 案 す る.
図3.1で は ユ ー ザ が デ ジ タ ル カ メ ラ の 評 価 情 報 と し て,レ ビ ュ ー1を 参 考 に 購 入 した 場 合 を 想 定 し て い る,レ ビ ュ ー1に は 「画 質 」に つ い て の 評 価 が 書 か れ て お り,ユ ー ザ は 「画 質 」 に こ だ わ り を 持 っ て デ ジ タ ル カ メ ラ を 購 入 し た と推 測 で き る.ユ ー ザ が 閲 覧 し た レ ビ ュ ー に 基 づ き 価 値 観 モ デ ル を 構 築 す る こ とで,、 ユー ザ に 対 し て 大 き な 負 担 を か け る こ と な くユ ー ザ モ デ ル を 作 成 可 能 とい う利 点 が 期 待 で き る .
レ ビ ュ ー に は,ユ ー ザ が ア イ テ ム の 評 価 を 決 め る 理 由 が 書 か れ て お り,そ れ は 多 く の 場 合 ア イ テ ム の 属 性 に 対 す る 評 価 と い う形 で 表 され る,提 案 手 法 で は,ユ ー ザ が ア イ テ ム 評 価 の 参 考 に な っ た と判 断 した レ ビ ュ ー か ら,そ の ア イ テ ム お よ び 各 属 性 に 対 す る 評 価 情 報 を 取 得 し,ユ ー ザ の 価 値 観 を モ デ リ ン グ す る.モ デ リン グ を 行 う際 に は レ ビ ュ ー を テ キ ス ト解 析 す る の で は な く,レ ビ ュ ー に 付 与 され た 評 価 値 を 利 用 す る,こ の た め,属 性 毎 の 評 価 値 を 付 与 す る 仕 組 み の あ る レ ビ ュ ー サ イ トが 対 象 と な る.
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図3.1ユ ー ザ に よ る レ ビ ュ ー 評 価 の 例
提 案 手 法 は,ユ ー ザ モ デル 作成 とア イ テ ム推 薦 か ら構 成 され る.ユ ー ザ モ デ ル 作成 で は, 実 験 協 力 者 が 同 一 ア イ テ ム に対 す る レ ビュー3件 を 閲 覧 し,そ の 中 か ら一 番 参 考 に な る レビ
ュー に基 づ い て そ の ア イ テ ム を購 入 した い か ど うか(好 評 か 不 評)を 総 合 評 価 と して 回 答 す る.こ の 時,ユ ー ザ は レ ビュー 記 事 を読 ん で判 断す る が,評 価 一 致 率 の 計 算 は レビ ュー に付 与 され て い る属性 評 価 値 に基 づ き作 成 す る.従 っ て,価 値 観 モ デ リング を 効 率 的 か つ 精 度 よ く行 うた め に,ユ ー ザ に提 示 す る有 用 な レ ビュ ー を以 下 の よ うに 定義 す る.
(1)全 属 性 が 高 評 価(低 評 価)に 偏 っ て い な い
図3.2の レ ビ ュ ー1は 全 属 性 が 高 評 価 の レ ビ ュ ー の 例 で あ る.「 デ ザ イ ン 」 「画 質 」
「操 作 性 」 と,レ ビ ュ ー 投 稿 者 は ど の 属 性 に 対 して も 好 評 の コ メ ン トを し て お り,属 性 別 評 価 も 全 て5を 付 与 して い る.し か し,読 み 手 で あ る ユ ー ザ が こ の レ ビ ュ ー を 参 考 に して カ メ ラ を 購 入 し た 場 合,ど の 属 性 に つ い て 着 目 し た か が 判 断 で き な い た め, 価 値 観 モ デ リ ン グ に は 適 さ な い レ ビ ュ ー と い え る.
(2)特 定 の 属 性 に 対 し て 根 拠 を 示 し言 及 して い る
図3.2の レ ビ ュ ー2は,ど の 属 性 に も言 及 さ れ て い な い レ ビ ュ ー の 例 で あ る.(1)で 述 べ た 属 性 毎 で の 評 価 は 分 か れ て い る が,「 画 質 は 良 い で す 」 と い う コ メ ン トは,ア イ テ ム の ど の 部 分 が 良 い の か が 具 体 的 に 書 か れ て い な い た め,ユ ー ザ の 参 考 に な る レ
ビ ュ ー と は 言 い 難 い.こ の 様 な,ど の 属 性 に も根 拠 が 言 及 され て い な い レ ビ ュ ー を モ デ リ ン グ に 用 い た 場 合,レ ビ ュ ー を 閲 覧 す る ユ ー ザ の 価 値 観 は 判 別 で き な い た め,モ デ リ ン グ に は 不 適 と判 断 す る.
(3)レ ビ ュ ー 文 の 評 価 と属 性 別 評 価 の 極 性 が 一 致 して い る
図3.2の レ ビ ュ ー3は,レ ビ ュ ー 文 の 内 容 と属 性 別 評 価 が 一 致 し て い な い レ ビ ュ ー の 例 で あ る.提 案 手 法 に お い て,ユ ー ザ は レ ビ ュ ー 文 の み を 閲 覧 し て ア イ テ ム に 対 す る 評 価 を 決 定 す る.属 性 別 評 価 は ユ ー ザ に は 見 せ ず,ユ ー ザ モ デ ル 作 成 の た め に 用 い る.し た が っ て,レ ビ ュ ー 文 の 内 容 と属 性 別 評 価 の 極 性 が 一 致 し て い な い 場 合 は ユ ー ザ の 価 値 観 を 正 し く モ デ リ ン グ で き な い こ と か ら,モ デ リ ン グ に 不 適 と判 断 す る.