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しかし,また,わが国の監査役

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(1)OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ. 財務諸表監査の手段としての業務監査 オミ. 桝t. 宅告戸. Fミ. I はじめに. 業務監査といえば,近代的内部監査の別名として使われることもあり,また, 時には,経営監査と同義語に用いられることもあり,業務監査は,内部監査の 領域のーっとして理解されている. ζ. とが多い。しかし,また,わが国の監査役. の監査領域として,会計業務に対する監査を会計監査とよぶのに対して,会計 以外の業務に対する監査を業務監査とよぶととも一般的であり,業務監査は, 内部監査にのみ固有の領域ではない。 ところで,とのように監査領域を会計監査と業務監査とに分けたとき,両者 は密接に関連しているので,両方が有効に機能しなければ,他方の機能を阻害 するおそれがある。このような意味で,会計監査と業務監査とは,有機的な関 連を有し,相互依存的な関係にある。もしも,このような会計監査と業務監査 が別々の主体によって担当される場合には,別々の主体閣の協力関係あるいは 連携関係の問題になる。たとえば,外部監査人と内部監査人の協力関係は,主 として会計監査の面においてのみ考えられることが一般的であるけれども,業 務が会計に影響する部分において も,このような協力関係を考えることができ i. るはずである。 さらに,商法監査における多くの問題について,会計監査人の会計監査と監 査役の業務監査との関係は,このような方向において考えられるべきであると とは明らかである。たとえば,無償の利益供与の監査,自己取引・競業取引・ 通例でない取引の監査,後発事象の監査,営業報告書の監査,附属明細書の監 査等の問題においては,会計監査人と監査役とがより密接な連携関係を維持す ることが必要であることは,別の機会に明らかにしたところである。これは,. r. (1) 抑稿「商法監査の基本的性格と方向性J . 香川大学経済論議J .昭和58年 6月 。.

(2) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 7 6 1. 財務諸表監査の手段としての業務監査. ‑17ー. 一方の監査主体からみれば,自己の監査目的達成の手段として他の監査主体の 監査を利用すると主である。 ところが,利用すべき「他の監査主体による監査が存在しないか,あるいは利 用するためには不十分なものであるという場合には,自分でそのよろな監査を 行わなければならない。このよろなことは監査手続の拡張として当然のことで あるので,ことさらこれを他の監査と区別して,その手段性を強調することは あまりない。たとえば,会計監査の必要性から業務の領域にまで入りこんで監 査を行ったからといって,それによっ℃業務監査を行ったとか,また,逆に, 業務監査の必要性から会計の領域にまで入りこんで監査を行ったからといっ て,会計監査を業務監査の手段として利用したとはあまりいわない。 ところが,ナッ乙/コは,財務諸表監査において,最近の監査環境の変化に対 応するためには,業務監査が会計監査の代替的方法としでより有効であるとい ラ議論を行っているので,かれの主張宏検討しながら, この問題を考察するこ とにしたし、。. I I 監査環境の変化 まずアッ乙/ュは.,アメ. Pカにおける監査環境の変化を指摘する。これは,か. れの主張の根拠を明らかにするためである。すなわち,まず,第 1に,最近の 社会的変化の非常に激しいことがあげられる。それは今世紀の変化は,過去五 千年閣の変化に匹敵するほどであるといわれる。このような激しい社会的変化 のなかにおいて,伝統的な諸制度に対して社会的な不満が高まってをており, とくに企業に対して社会的に批判の目が向けられている。そこでは経営者の社 会的責任が社会的な関心を集めており,社会は企業に対して敵対的であるとい わないまでも,企業に対して懐疑的になってきたのである。. 0数年間の状況と類似し このようなアメリカにおける状況は,わが国の過去1 年代の粉飾決算の続発,経営者の不正, ているのである。わが国でも,昭和 40. (2) J .V .Nash,AnE x t e r ' i m e n tt ot e s tt h eE f f i c a c yof0 ρe r a t i O n a tA u d i t i n g 9 7 3 . a sanA l t e r n a t i v et oF i n a n c i a tA u d i t i n g,1 (3) I b i d "pp.l~3..

(3) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑18ー. オイノレ・. 第5 6 巻 第 4号. 762. νョック後の悪徳商法等が社会的に大きな問題となり,企業の柱会的. 責任が批判され,商法の監査役制度の大幅な改正が行われる契機となったので ある。 このように社会の企業に対する関心が増大するにしたがって,社会は企業に 対してより多くの包括的な情報の公闘を要請するようになる。さらに,このよ うな£り多くの情報の公開の要請に加えて,とれらの情報に対する監査証明機 能の拡張が要請されるようになる。ナッ乙/ュは,監査証明機能を拡張すべき領 域として人的資源、会計,貯蔵情報の報告,社会的責任の報告および社会監査, 予算および予測の報告をとりあげて詳細に説明しているが,. ここではふれな. に〉要するに,社会の企業に対する関心の高まりが,企業により多くの情報の 公聞の要請となり,さらに監査証明機能の拡張の要請となったのである。 次lZ:,.ナツ乙/ュは,監査に対する社会的影響の第 2として 最近.企業の財 務諸表の監査を行った公認会計士に対して多数の訴訟が起こされているという 状況をあげ,このよろな状況は現在の監査方法の欠陥を社会が批判しているこ とを示すものであるとしている。 そこで,まず,パー・クリス建設会社の事件がとりあげられる。同社は,ボ. ‑9シグ・セシターの建設およびその設備工事を行う会社であり,. 350万ドル. の転換社債を売り出したが,これに!関連して同社の財務諸表を監査した監査人 は,無限定の監査報告書を提出した。ところが,当時は,ボーリング・センタ ーの業界は設備過剰の状態で苦しんでいたので,同社はモの直後に倒産してし まった。そのため社債権者は,監査人および関係者を告訴したので怠った。こ の事件以後において,同じような事件がしばしば発生した。 このような状況の下における社会の一般的認識がどのようなものであったか について,ナッ. νュは,パックレイの次のような文章を引用している。「会計士. は,監査意見は準拠性を測定するものであると主張するが, (4) I b i d .,pp.3‑29. (5) I b i d .,pp.30‑31. (6) I b i d .,ppω30‑3 1 .. ζ れに対して,投.

(4) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 7 6 3. 財務諸表監査の手段としての業務監査. ‑19ー. 資家は監査は健全性を測定するものであると固く信じている。したがって,投 資家は,ペン・セントラノレ事件の場合のように,健康であるという診断書を受 け取った直後に患者が死亡すればうろたえてしまうのである。」 これに対して,裁判所は,会計土が次のような点を発見できなかったととに 責任があるとした。. (1) 売上収益の過大表示によって利益が過大表示されていること。 (2) 貸倒引当金が50, 000ドノレ過小表示されていること。 (3) 売掛金が150.000ドノレ過大表示されていること。 (4) 偶発債務および負債が400, 000ドノレ以上過小表示されていること。 ナッ乙/ュは,第 2の事件の例としてイエーノレ・エキスプレス会社事件をあげ ている?との事件で・は,同社の株主および社債権者は,証券の売出しに用いら れた財務諸表の監査報告書に誤謬および脱漏が存在していたとして,監査人を 告訴した。その内容は,同社の経営者は, 1963 年の財務諸表を監査した会計土 を , 1964 年に同社の内部的な経営問題のコシタ J レタシトまたは助言者として契 約したのであるが,同会計士はこのよろなコンサノレタシトとしての業務を行っ ているなかで,以前の監査報告書が誤っておりスリーディングであること を発見したということであった。この事件の後で,会計士業界は,急いで,監 査業務を行っている期間中に存在した事実を,その後に発見した場合の取り扱 いについてステートメントを発表した。 第 3の事件の例としてクェステック会社事件をあげている。この事件では, 同社の破産管財人は,会社,稜々の債権者,持分所有者のために,監査人が利 益および財政状態の粉飾の摘発に失敗したと告訴した。とりわけ,監査人は架 空の会社の資産の売却による 240, 000ドルの利益の計上に気付かなかった。. さ. (7) J . W. Buckley,, "Accounting Pdnciples and: t h eS o c i a lE t h i c ",F i n a n i c i a l c t o b e r1 9 7 1,p, . 4 0 . ,J . V " Nash,0ρ.c i t .,p .3 0 " E . x e c u t i v e,O (8) I b i d .,p.31 . (9) I b i d .,pp.3 1‑32. ( 1 0 ) AICPA,StatementsonAuditingProcedureNo. 4 0,S u b s e q u e n tD i s c o v e r y01 ' F a c t sE x i s t i n ga tt h eDateoft h eA u d i t o r " sR e p o r t,October1 9 6 9 . ( 1 1 ) J . V. Nash,o p .c i t .,p .3 2 ..

(5) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑20ー. 第56 巻 第 4号. 764. らに,監査人は,監査年度のある利益が他の年度の利益であったとと,および ある利益が経営者?とその友人とによって粉飾された取引からのものであること を摘発できなかった。この事件では,. 監査人が 2, 0 0 0, 0 0 0ドノレの賠償金を支払. うことになった。 さらに,ナツヰ/ュは,第 4番目の事件としてコンチネンタノレ・ベシディング ・マ乙/ン会社事件をあげている。この事件では,はじめて監査人は刑事上の有 罪判決をうけると とになった。すなわち,監査人は,同会社の社長の不正行為 I. を摘発しなかったこ eに対して責任があるとされたのである。また, この事件 では,単に刑事責任ばかりでなく,. 民事責任としても 2 . 0 0 0, 0 0 0ドルの賠償責. 任を負わせられたのでるる。 このようなアメリカの当時の状況を,ある弁護土は「訴訟爆発」とよんだと. οめ. される。このような状況に対応し'C,ナッ乙/ュは,監査方法に変化が生じるの ( 1 4 ). が当然であるにもかかわらず,それが見られないことを批判する。そして,他 の諸外国においても,現行の監査方法の妥当性が批判され,監査人が企業の財 政的危機を指摘でまなかったことが監査の不十分性として強調されていること をあげている。 このような社会の現在の監査機能に対する不満には,三つの問題が含まれて いるとしている。すなわち, その第 1は,監査証明機能を財務諸表に直接関連 のある情報という狭い範囲民限定しすぎているといラ不満である。これは企業 の利害関係者はより広い範囲の情報に対する監査証明機能の拡張を求めている ことを示すのである。そこで,ナッヰ/ュは,監査証明機能のこれらの情報に対 するのぞましさと実行可能性を検討し,さらにそのための有効なガイドライン 。 り. を作成しなければならないとする。. 第 2の不満は,伝統的な会計原則の正しさについての社会的な不満であると ( 1 2 ) I b i d .,p.3 2 ω .3 3 V" M. E a r l, TheL i t i g 渇t i o nE x p l o s i o n ",World,Autumn,p . ( 1 3 ) I b i d .,p 3 ". ( 1 5 ) I b i d .,p .3 4 . p .3 4 . ( 1 6 ) I b i d ., ( 1 7 ) I b i d . ,pp.34‑35..

(6) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 7 6 5. 財務諸表監査の手段としての業務監査. ‑21ー. する。それは,現在の会計原則が多くの問題をかかえており,会計原則の設定 主体が会計原則審議会 (APB)から財務会計基準審議会 (FASB)に移り, 多くの問題を解決しよろとしているととにあらわれてい去? さらに,第 3の不満は現在の監査方、法の有効性に対するものであ. z iこれに. 対しては, アメリカ公認会計士協会も多くのステートメシトを発表して対応し ているのであるが,ナッ νュは,このような個別的かつ部分的な対応ではなく, 監査方法を全体的に検討することが必要であるとす. : z. 次に,ナッ乙/立は,第 2の監査環境の変化として技術的環境の変化をあげて いる。それは,企業のコンピコータ導入に伴う情報処理技術の発展である。. .~. L.. のために経営方法が変化したとし,次の三つをあげていぎ;第 1に , オンライ ン・リアノレ・タイム・ヰ/ステムに発展したことである。その第 2は,計画技術 として乙/ュミレ‑i/ヨシやモデリングが使用されるようになったことである。 さらに, その第 3は , 意思決定が乙/ステムーズ・アプローチによって行われる ようになったことである。 そこでこのような企業の経営方法の変化に監査が対応するととが必要になっ てきたととを認識しなければならない。 乙/ュミレー νョシは, コシピュータを 使用して,将来の環境を詳細に νュミレートし,代替的コースの相対価値を測 定し, もっとものぞましい計画を選択する方法であり,企業は多くの問題に対 して志/コミレー νョシを適用するようになってきている。そこで,ナツ乙/ュは, 監査人がこのようなi/.:Lミレ一志/ヨシの資料を利用していないことを批判す ( 2 め. る。それは,企業は, とのようなモデルによって諸業務を統制しているのであ るから監査人は, これらのモデノレの検討を含むように, これまでの伝統的な 監査方法を変更す'べきであると考えるのである。 とくに, ナッ乙/ュは,多くの ( 1 8 ) ( 1 9 ) ( 2 0 ) ( 2 1 ) ( 2 2 ) ( 2 3 ) ( 2 4 ). I b i d .,p.3 5 . I b i d .,pp.36‑38. I b i d .,p .3 8 . I b i d .,pp.38‑39. I b i d .,p 4 1 . l b i d .,p .4 3, I b i d .,p.5 0 ω.

(7) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑22ー. 7 6 6. 第5 6 巻 第 4号. モデノレのなかでも信用モデノレが重要であるとしているが,信用モデノレは後に説 明するかれの実証研究においてとりあげられる。 さらに, ナッ. νコの指摘において重要であるのは,. コシビュータの導入によ. って,情報乙/ステムが組織全体にはりめぐらされるのが理想的であるの!で,経 営組織と情報組織とが分離し難くかっ相互依存的になるという認識が必要にな るというととである。すなわち, ことである。. vステムズ・アプローチが必要になるという. νステムズ・スブローチは,組織論ではよくしられている。そこ. では, 乙/ステムは,機能的に関連する諸構成要素の相互結合的複合体を意味す る 。 とれに対して,伝統的な組織概念は,階層原理,管理範囲, ラインとスタ ツブ,権限構造および機能主義を含み,組織図によって示されるものである。 ととろが νステムズ・アプローチは,このような伝統的な組織論の見方を排し, 企業を, ナブ・. vステムとしての構成要素によって構成される一つの νスグム. としてとらえる。. νコは,監査においてもとのような νステムとして企業を認識 することを,要求するのである。すなわち, ナッ νュは,現在の監査人は, ヰ/ そこで, ナッ. ステムを情報. νステム,. とくに財務情報乙/ステムに限定するために,企業とい. う乙/ステムの下における相互関連性を認識していないと批判する。このような ナッ. νュの基本的思考がかれの主張の基礎にあり,. それが出発点になっている. ことに注意しなければならない。すなわち, コシピュータの導入が,. νステム. ズ・アプローチの思考を要求し, さらに経営と情報との相互依帯性を基礎とす る方法論の展開へとつながっているのである。 以上ナツ. vュがあげた監査環境の変化の認識は,. かれの主張の根拠として,. また方向づけを示すものとして重要である。すなわち,一方において社会は, 監査に対して伝統的な機能以上のものを求めようとしているということであ る。それは多くの訴訟事件のなかに含まれているように,単に財務諸表が会計 原則に準拠しているといったこと以上に, 企業の倒産あるいは経営者の不正に ( 2 5 ) I b i d .,pp.50‑51 . b i d .,p.5 6 . ( 2 6 ) I.

(8) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑‑23, ‑. 財務諸表監査の手段としての業務監査. 7 6 7. 対しても利害関係者を守ることを要請しているというととができる。それは, 会計の監査をこえて実態にまでおよぶことを要求する傾向である。そこで監査 は , このような問題に対してどう答えるかが問われているのである。これは, いわば監査機能に対する社会的要請の変化の認識である。 また,他方においては,監査手続を適用する対象である企業が,コンピュー タの導入によって大まく変化したといろととである。すなわち,コシピコータ の導入によって,企業を多くの構成要素であるナブ・志/ステムによって構成さ れる乙/ステムとして認識することが必要になり,そこでは経営組織と情報組織 とが分離し難く,相互依存的に結合されているということである。したがって, このような企業に対する監査方法は変化に対応しなければならない。これは, 社会的要請の変化に対して監査対象の構造の変化であるといちことができる。 このように,アッ. νュは,監査環境の変化として,社会的要請の変化と監査対. 象の構造の変化の 2つを認識し,かれの主張を展開しているということができ る 。. I I I 二つの代替的方法一一財務監査と業務監査 ナッ. m. 一. νュは..,訴訟爆発といわれるように多くの訴訟が起ったことは,証会が. 伝統的な監資方法に対する不満を表明していることを示すものであるとし,伝 統的監査方法に代わる方法として業務監査を主張している。そこで,かれは, まず伝統的な監査方法を検討している。 ナッ. νュは,現在の監査方法を分析するためには,監査の環境である企業の. モデノレを明らかにすることが必要であるという。そこで,かれは,メ. ‑'.J ンの. モデルを借りて,企業は人的資源,生産資源,原材料資源,財務資源および計 画および統制の基本的サブ・乙/ステムによって構成される νステムであり,こ れらの基本的サブ・乙/ステムは,さらにより細分された構成要素としてのすプ , とのような基本的 ・乙/ステムによって構成されるものであるとする。そし て f. ( 2 7 ) I b i d .,pp.60‑63. R. O. Mason, Ont h eCo n c e p to ft h eS y s t e m a t i cAudit ぺ UCLAAISRoughWorkingP a t e r ',1 9 7 0 ..

(9) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑24.‑. サブ・. 7 6 8. 第5 6 巻 第 4号. νステムの 1つである計画および統制の νステムを構成する 1つのうナプ. ・乙/ステムが情報 νステムであり,この情報乙/ステムが,企業全体において情 報を収集し,配付する。さらに,この情報乙/ステムのすブ・. νステムの一つが,. 会計情報 νステムであって,もつばら会計取引情報をとりあっかラのである。 とのよラに,ナッ乙/ュ比企業を,何段階にも無限に細分化されていく可能性 をもっナプ・. vステムが相互依存的に結合するネットワークとして認識するこ. とから議論を出発させよろとするのである。 次に"ナツ志/ュは,財務諸表監査において,監査人の企業のモデルは,財務 ( 2 8 ). 諸表が企業の数量的な表示であるといラことを前提としているとする。財務諸 表は,会計情報 ν ステムによって作成されるので,監査人は,会計情報 νステ ムに沿って個々の取引を検討し て,会計情報 νステムのアクトプットである財 I. 務諸表を監査する。かれは,このように会計情報 νステムに沿って監査する方 法を,スアットラーにしたがって取引アプローチとよんでいる。 そして,ナッ. vコは,このような取引アプローチを,ブラワシの監査目的と. 監査方法の歴史的発展についての論文を利用して検討している。すなわち,取 引アプローチは,不正の摘発という監査目的のために生成し,受託責任の遂行 の監査のためにすべての取引の精細な検討が行われたのであり,それが企業の 規模の拡大によってとのような監査方法が能率的でも経済的でもなくなり,選 択された取引の試査が行われるようになったのであるが,さらに内部会計統制 の検討にもとづいて取引の試査の性質および範囲が決められるように!変化して きたのである。ところで,現在の監査人の監査方法は,本質的に取引アプロー チにとどまっ、ており,それは企業の小さい部分に重点をおくものであるとし て,ナッ乙/ュはこれを批判している。 そして,ナッ. νュは取引アプローチの欠陥は,監査の重点を会計情報 νステ. ( 2 8 ) J . V. Nash,o p . .c i t .,p .6 3 . . ( 2 9 ) I b i d .,p .6 3 . H. F . .S t e t t l e r,S ystemsb a s e dIndeρe n d e n tAudits,p .v . ( 3 0 ) . LV" Nash,0ρ.c i t ., ppお3‑67. R. GeneBrひwn, ChangingAudito b j e c ‑ A c c o u n t i n gReview,October1 9 6 2 . t i v e sandTechniques", .V .Nash,0ρ.c i t p.68. ( 3 1 ) J 吋.

(10) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 7 6 9. 財務諸表監査の手段としての業務監査. ‑25ー. ムにおくという制約から生じるとする。何故かといえば,会計情報 νステムは, クローズト・乙/ステムであり,ある種の外部データと内部データしか受け入れ ないからである。そこで,ナッ乙/コは,データを外部データと内部データに分 けるとともに,それらを,さらに,会計情報ヰ/ステムに受け入れられるデータ とそと?とは受け入れられないデータに分けている。 そこで会計情報ジステムに受け入れられる外部データとし℃は,仕入先から の送り状,得意先からの注文書,銀行計算書等があげられ,会計情報乙/ステム に受け入れられる内部データとし℃は,得意先への送り状,仕入先への注文書, 振り出された小切手等があげられる: ところが,ナツ乙/ュは,会計情報 νステムに受け入れられない多くのデータ が品うるととを問題にする。このような会計情報乙/ステムに受け入れられない外 部データとしては,企業の経済的,政治的,文化的かつ技術的な環境を記述す る環境的データ等があげられる。また,企業のすべてのサブ・. νステムについ. てのデータが存在し,企業内部を流れているが,と.れらのデータは会計情報志/ ステムには受け入れられない。とのような内部データとしては,組織関係,業 (34). 務的統制,マーケチング・ヰ/ステム等があげられるミ ととろで,データと統制との関係について次のような説明が付け加えられ る。すなわち,上にのべたような会計情報システムに受け入られるデータが会 計情報i/ステムの内容を形成し,とれらのデータに対する統制が内部会計統制 とよばれる。とれに対して,会計情報志/ステムに受け入れられない内部データ に関する統制が経営統制,組織統制,業務統制のような種々の名前でよばれて いる。そして,これまでの監査においては,監査の重点は,常に内部会計統制 におかれていて,経営統制は,企業の財 務記録に直接関連しないと考えて,監 i. 査では一般に検討されなかった。このととも,また,コナッ乙/コの批判する問題 点の一つである。. 守. 後. 1J. ︒ ︒ ︒ ︐︒ ︐︒ o aundndnd ‑‑‑‑ PPD‑P. J. ""勺抽. 内. 7. ︑ ︑. dz d d ・ ‑ d de zz b b bb 71vdydyt. 内. rkft rkft. ︑ ︑ ︐ ノ ︑ ︑ ︐0︑ ︑︑︐ノ ︒ ︐ 内 4 rD O oqoqo. •••..

(11) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑26‑. 7 7 0. 第5 6 巻 第 4号. 次に,外部データの問題であるが,これまでの監査においては,外部データ は,それが記録された取引の形において受け入れられる範囲においてのみ考慮 されるのが通常である。しかし,ナツ乙/ュは,会計情報乙/ステムに受け入れら れない外部データも,非公式的にであるが監査人によって考慮に入れられるこ とを指摘している。そして,アメリカの監査論の教科書の多くが,監査手続が 経済的,政治的,社会的かつ技術的環境の検討からはじめられる ζ とを示して いる。ととで,とくに重要であるのは,ナツヰ/こ1 は,さきにあげたパー・ク. P. スおよびその他の多くの事件がこのような企業の環境条件を監査人が考慮に入 れなかったことから生じたものであるとし,会計情報 νステムに受け入れられ ない外部データをも監査人が正式に考慮に入れるべきことを主張しているとと である。 このように,ナツヰ/コは,会計情報 νスグムに監査を集中することは,全体 としての情報 νステムの小さい部分のみを監査することになると批判する。何 故ならば,会計モデノレは,不正摘発の手段として生成し,税務を測定し,次第 に一般目的の情報 νステムとして使用されるようになってまた限定されたすプ . Vステムであるからである。. また,ナッ乙ノュは, これまでの監査人の企業のモデルは,精算表指向的であ り,企業のモデノレにおける構成要素および変数として総勘定元帳残高を使用し ているとする。そして,監査人が精算表アプローテをとる場合には,内部会計 統制と経営統制とを区別し,会計情報 νステムに受け入れられるデータとそこ には受け入れられないデータとの区別を監査人が行うようになる。 しかし,内部会計統制と経営統制との区別が,非常に人為的であることは, 多くの論者が指摘するところでおるとし,ナッ V ュは, このような考え方は, 〈 おj. 乙/ステム概念および最近の訴訟事件から考えて適当ではないとする。たとえ ば,モースの主張が引用されているが,かれは..,監査人は,財務諸表に直接的 4 68 ndndnd. 7H. nynrnr. ︐ 山︐. r'Aviv'A. 内. d d dz‑ ‑ zz hu'D'o. 9dqd. ff. ︑ ︑ノ︑ 1 6J 78 o ︑︑ r Er ︑・. ••.

(12) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 7 7 1. ‑27‑. 財務諸表監査の手段としての業務監査. に関連するかどうかにかかわらず,全体としての内部統制乙/ステムおよびその 有効性に関心をもっよろになってき℃いるとし℃いる。そして,財務諸表に対 する直接的影響があるかど勺うかを基準とする考え方は非現実的であるとする。 何故かといえば,企業におけるどのよラな手続でも,諸業務の財務的結果に影 響することのない経営ヰ/ステムの部分であると考えることはできないからであ る。そして,企業は, このような非常に複雑な乙/ステムとして理解しなければ ならないのである。このように,さきにも指摘したよろに,ナッ. vュの企業の. 認識の仕方がかれの主張の基礎にあるのである。 このよろな伝統的な財務監査に対して,ナッ νュは,その代わりになる有効 な監査方法として業務監査を提案する。業務監査は,企業の業務を検討するも のであり,経営統制の手段としての内部監査において発展し,アメリカの会計 検査院も,同じように業務監査の方法をとるようになってきている。もちろん, ナッ乙/ュも,この業務監査と財務監査とは目的,対象,方法および基準および その他の多くの点で相違するものである. ζ. とを認識している:. したがって,独立監査人の業務監査に対する立場には次の四つがあるとして いる。その第 1は,業務監査は,独立監査人よりも内部監査人にまかせられる べきものであるとするものである。第 2は,業務監査は,財務監査に加えて公 認会計士が提供すべき追加的サービスであるとするものである。第 3は,業務 監査は,伝統的監査の自然な延長であるとするものである。最後に,第 4は業 務監査は,財務監査がもはや監査目的を達成するのに有効ではなくなってしま ったので,財務監査に代わるべきものであるとするのである。 そして,ナツ乙/ュは,この最後の第 4の立場が監査環境である社会的技術的 変化および訴訟の多発に対応するために有効であるとしてい. Z iナッ νュは,. モースの言葉を引用して,監査人は,もはや会計記録だけに注意を限定すべき ( 3 9 ) I b i d .,p .7 9 . EυH. MO I 's e, CommentsonSAP NO. 49on I n t e r n a lCo n t I ' o l " . J o u r n a l0 /Accountancy,.May1972,p.31 . ( 4 0 ) J . V. Nash,0ρ.c i t .,pp.81‑82. .8 3 . ( 4 1 ) I b i d .,p p .8 3 . ( 4 2 ) I b i d .,.

(13) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑28‑. 第5 6 巻 第 4号. 772. ではなし財務諸表の監査を適切に行うためには,いわゆる業務監査人と同じ ような立場に立たなければならないとしている。〕 これまで見てきたナッ乙/ュの考え方の基礎には,何よりも企業を無限に細分 化されていき,かつ非常に相互依布的に総合するすブ・. νステムによって構成. される全体的な乙/ステムとして認識しなければならないということがある。し たがって,会計情報 νステムは,その企業の全体的 νステムのナプ・. νステム. の一つにすぎない。そして,データには,会計情報志/ステムに受け入れられな い外部および内部のデータがあるが, これまでの伝統的な財務監査の取引アプ ローチは会計情報乙/ステムに重点をおいているので,監査人はこれらの会計 J情 報 νステムに受け入れられない多くのデータに注意を払わないのであり, こと に伝統的な財務監査の方法の欠陥があると主張するのである。 また,伝統的な財務監査は精算表アプローチをとって,内部会計統制と経営 統制との区別を重視しているが,さきのような企業の νステムとしての基本的 認識からすれば,このような区別を行ろととは非現実的であり,かつ人為的で もある。さらに,諸業務の統制は,すべて財務結果に影響するので,財務諸表 に直接関連があるかどうかという基準は,実際的に適用が困難である。 このように,ナッ νコは,監査を有効に行うためには,企業およびその統制 の全体的な νステムを考慮しなければならないとするのである。. IV 二つの監査方法の実験 とのように,ナツ乙/ュは,監査環境の変化に対応するために,とれまでの財 務監査に代わる有効な監査方法として業務監査を提案した。そとでこれら二つ の監査方法のどちらを採用しても監査意見の形成は同じであるのか,あるいは どちらがより有効な方法であるかを検討することが必要になる。これを実証す るために,ナッ. νュは,これらのこつの監査方法をある特定の項目について実. 験したのである。 ( 4 3 ) I b i d .,p .8 4 . E.H. Mose ,~“ PeI'ÍOI'mance andO p e r a t i o n a lA u d i t i n g " ,] o u r n a l o j 'Ac ω叫 n t a n c y,J u n e1 9 7 1,p.41..

(14) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 773. 財務諸表監査の手段としての業務監査. ‑29‑. まず,ナツ乙/コは,このような実験を行うための監査領域を選択する。 をれ l. は,財務諸表の全部の項目について実験することは不可能であり,一部の監査 領域の実験で十分な結論がえられると考えたからである。かれは,監査領域の 選択の基準として,第 1に"財務諸表における重要性,第 2に,監査業界に対 する重要性および第 3に,経営統制モデ/レの存在の三つをあげている。 まず,第 1の財務諸表における重要性であるが,このような重要性のある監 査領域を選んで実験すれば,実験が不当に制約されているという批判を回避す ることができるし,またその実験によってえられた結論を他に拡張するととも 可能であり,さらに将来の実験の基礎にもなるからである。たとえば,売掛金 は重要であるが,前払費用は重要ではない。 第 2は,監査業界に対する重要性である。これは監査業界に影響する危険性 を示すものである。たとえば,棚卸資産および売掛金は訴訟事件に関連するこ とが多いので,監査業界に対する重要性が大である領域である。 第 3は,精巧な経営統制モデ/レが存在する領域であるということである。そ れは,伝統的な監査方法においては,監査ノ久は,財務諸表に直接的な影響がな いという理由で,経営統制モデノレに存在するデータを検討しないが,業務監査 においてはこのよラなデータを利用するので,二つの監査方法を実験するため には,このような経営統制モデノレが存在する領域であるととが必要であるから である。たとえば,信用供与モデノレは,一般に監査人によって検討されていな. 。 、. L. ナッ乙/ュは,以上のような三つの基準を適用した結果,実験する監査領域と して売掛金および貸倒引当金を選んでいる。 次に必要であるのは,実験においてニつの監査方法を担当する主体である。 ナッヰ/ユ比このような監査主体として,財務監査を担当する者には,全国的 規模の大会計事務所の監査担当職員をあて,業務監査を担当する者には,全国 ( 4 4 ) J .V .Nash,o T .c i t .,pp.86‑87 ( 4 5 ) I b i d . ,p"86" ( 4 6 ) I b i d ., p"8 6 . ぐ 4 7 ) I b i d "P .8 7 . p.91.

(15) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 第5 6 巻 第4 号. ‑30ー. 774. 的規模の大会計事務所の経営コスサノレタシト担当職員をあてている。〉 さらに,問題となるのは監査環境すなわち,監査人に与えられる監査のため に必要な資料の設定である。コトツヰ/ュは,実際の資料がのぞましいけれども, 職業倫理規程の秘密遵守の要求から入手できないので,一般的な監査論の教科 書の事例を実験に利用したとしている。そして,このような事例資料は次のよ うな内容を含んでいる。. 1 . 会社の歴史. 2 . 内部統制の記述 3 . 監査調書 A. 売掛金の調書 (1) 期末現在の口座名と金額. (2) 3 0日 , 3 0‑60日 , 6 0‑90日および90‑150自に分類した年令調べ (3) 確認のために送付した手紙および受領した回答の資料. (4) 監査業務終了時までの現金回収 (5) 信用担当部門責任者の回収可能性についての意見. (6) 実施済みの監査業務の範囲およびそれについての説明. B. 貸倒引当金および貸倒損失の分析. C. 貸倒引当金の十分I 生の決定 4 . 信用担当部門のデータ. A. 信用供与 νステムの記述 B. 受信者の信用度を測定するための評点 νステム. C. 信用供与モデノレの記述 D. 企業ののぞましい売掛金の分散を示す与信目標. E . 実際の分散と与信目標との比較 9 6 9年 1 2 月3 1日現在のものと 1 9 7 0 以上のような内容を含む事例資料として, 1. ,. ( 4 8 )I b i d .,pp.9 2 ‑ 9 5 . ( 4 9 ) I bd . ,pp.9 5 吋 6 . ( 5 0 )I b i d .,pp.9 6 ‑ 9 8 ..

(16) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 財務諸表監査の手段としての業務監査. 775. ‑ 31ー. 年 12 月31日現在のものの二つが用意された。そして実験は,次のような手続に よって行われた。 まず,第 1年度の監査事例の資料を,それぞれ 30人ずつの財務監査を担当す る監査担当職員グループと業務監査を担当する経営コンサルタント担当職員グ J レープに提供する。そして,それぞれのグループは,第. 1年度の必要な貸倒引. 当金の金額を決定する。その結果を回収して,次に,第 2年度のデータを提供 する。それぞれのグループは,第 2年度の必要な貸倒引当金の金額を決定する。 その結果を回収し,さらに回答者に対して面接調査を行ってフォロー・アップ する。そして,最後にi 実験の結果を評価する。 このような実験にさいして,アッ乙/コは,次のようなことを予期している。 すなわち,まず,財務監査人のグループは,多くの監査論の教科書において説 明され,また,全国的規模の大会計事務所の監査計留に一般的に含められてい るものと同じ財務監査モデノレにしたがって,監査を実施することを予期してい る。すなわち,財務監査人は,次のような手続を次のような論理で実施し,次 のよラに反応することを予想している。 まず,第 1の手続は,会社の歴史および社規・社則を読むことであり,この 理由は,監査における背景の情報の入手するためであり,格別の反応はない。 第 2の手続は,内部会計統制の記述を検討するととであり,その理由は,試査 の範囲の決定の基礎として内部統制の欠陥の有無についての情報を入手するた めであり,その反応は,データに影響するような内部統制の欠陥は認識されな いと L、ラことである。 第 3の手続は,年令調べ調書を検討することであり,その理由は,決算日現 在の売掛金の状況を検討するためである。この手続には,次の四つの内容が含 まれている。 aは;売掛金の年令調べであり,回収不能のおそれのある勘定を決 めるためであり,. その反応は. 60日 , 90日および 150日をこえる勘定を抜きだ. し,最近の勘定は無視することである。 bは確認のデータであり,その理由は, ( 5 1 ) I b i d . ・pp.101‑103. ( 5 2 ) I b i p,pp.1 03‑106..

(17) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑32ー. 7 7 6. 第5 6 巻 第 4号. 債務者との通信によって確認する勘定の範囲を決めるためであり,その反応 は,適切な数の勘定を確認することであろう。. cは監査業務の終了時までの. 回収について検討することであり,その理由は,決算日後の回収が売掛金につ い℃重要なフィードパックを与えるものであるかどうかを確かめるためであ り,その反応は積極的なフィードパックと消極的なフィードパックのどちらも 提供するものではなかったということであろう。. dは信用担当経営者の意見. を求ゐることであり,その理由は年令調べによって判明した回収の遅れて.いる 売掛金の状況を確かめるためであり,その反応は信用担当経営者の意見と一致 することであろう。 第 4の手続は,貸倒引当金および貸1$1 J 損失の分析を行うことであり,その理. 由は償却された勘定の範閤およびこのような償却の権限を確かめるためであ り,その予想される反応は,そとには;例外はなかったということであろろ。 第 5は,会社の設定した貸倒引当金の十分性を検討することであり, この理. 由は会社の設定した貸倒引当金を修正することが必要であるかと うかを確かめ e. るためである。との手続は,最近の年度の実際の貸倒償却の率にもとづいて引 当金の計算方法を検討することであり,その理由は,最近の年度の実際の経験 率が適切に適用されているかどうかを確かめるためであり,その反応は,例外 は見品うたらなかったといラことである。 第 6の手続は,信用供与志/ステムのデータを検討することであり,その理由 は,注文を処理する内部統制における欠陥を発見するためである。この手続は. 次のような五つの側面をもっている。. aは,信用供与乙/ステムの記述の検討. であり,その理由は,情報を入手することであり,格別に反応は予想されない。. bは評点志/ステムの検討であり,その理由は,情報を入手することであり,格 別の反応は予想されない。. cは信用供与モデノレの記述を検討することであり,. その理由は事例の資料に含められているというだけであって簡単に検討する が,反応は予想されない。 第 7は,予想される結論として会社の設定した引当金を承認するということ である。.

(18) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 財務諸表監査の手段としての業務監査. 7 7 7. ‑33‑. このような監査手続において,ナッ乙/ュが,とくに注意しているのは,財務 監査を担当する監査人が,信用供与乙/ステムおよびこれに関連するモデノレをざ っとしか検討しないということである。ナッ. νュは,この理由として,次のよ. ( 5 3 ). うな点をあげている。 第 1は,多くの監査論の教科書は,信用担当部門の業務を表面的にしか検討 しないことであり,また,多くの会計士事務所の監査計画は,信用担当部門の 業務の手続の表面的な検討にしか言及していないといち乙とである。さらに, 監査において,それらは信用供与モデノレの検討や債権の好ましい分散と実際と の比較にはまったく言及していない。 第 2の理由は,財務監査人は,信用供与モデ Jレの分析の影響を認識していな いということである。すなわち,かれらは,上にのべたようなデータを通じて, 伝統的な監査方法によって監査を実施し,貸倒引当金の十分性について監査意 見を形成する。かれらは,信用供与モデノレのデータを読むことは不必要でたい くつなことであると考え,数理的な問題は自分にとって不得意なものと思うの である。たしかに信用供与モデノレのデータは確率に関連し,数学的用語が用い られているので幾分厳密なものであると思われるかもしれない。しかし,よく 考えれば,監査人が一般にデータを検討する方法とは形式が異なっているにす ぎないのである。とのような主観的な理由から,監査人は,このように容易に 利用することができる情報を伝統的な監査方法にとりれて統合するととをしな いとしている。 他方において,ナツ己/ュは,経営コンナノレタシトのグループに対して次のよ ( 出 〉. ラな反応を予想する。すなわち,経営コンナノレタントのグループは,財務監査 人のグループとは追った構造の監査方法を使用することを予想する。そして, ナツ志/ュは,経営コンナノレタントのグループは,ヰ/ステム・アナリスト,イン ダストリアノレ・エンジニアおよびその他の種々の計数的な学識・経験を有する 人々からなっており,それらの人々に共通するのは監査についての訓練を受け ( 5 3 ) I q i d .,p p . .1 06‑107. ( 5 4 ) I b i d p p . .1 08‑109. リ.

(19) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑34ー. 第56巻 第 4号. 778. ていないというととであるとしている。 また,業務監査は,財務監査ほどの地位が確立されていないので,監査の具 体的な方法を予想することは困難であるが,ナツ乙/ュは,経営コンナ Jレタシト のグノレープは,非定型的な問題をとりあっかうことができ,分析的かつ問題解 決的な思考に得意な人々であるので,次のような手続および反応が予想できる としてし、る。 まず,第 1の手続は,総説的記述データ,会社の歴史および信用供与乙/ステ ムの検討であり,これは具体的な企業およびその Vステムについての全般的な 理解をえるためであるが,格別の反応を予想することはできない。 第 2の手続は,内部統制の検討であり,多くの大会社の内部統制は満足的で あるといろ理由で軽視されるが,業務統制は経営コンサノレタシトのグノレープの 仕事の重要な問題であるのでここに重点がおかれる。 第 3の手続は,信用供与モテソレを検討し,その目標の分散と実際の分散とを 比較することであり,これは信用供与について決められた基準からの恭離を確 かめるためである。 第 4の手続は,提供された潜在的損失の確率にもとづいてモデノレからの業離 の影響を計算することであり,これはのぞましい分散からの事離の金額的影響 を予測するためである。 第 5の手続は,会社が設定した貸伺j 引当金の金額と上記 4で計算した結果と を比較することであり,そこでは,会社の年令調べの分析にもとづいて設定さ れた貸倒引当金の金額は,信用の種類別の分析にもとづいた予想金額よりも相 当に低いという反応が予想される。 以上のような業務監査の手続を見れば,経営コンサノレタントのグループは, 財務監査人が重点をおいている年令調べ調書,確認のデータ,信用担当経営者 の意見およびその他の資料を無視しているということが分かる。それに対して 経営コンナノレタントのグループは,信用供与モデノレおよびそれからの講離の重 要性を認識している。ところが,財務監査人は,決算日現在の勘定残高の状況 にもとづいて貸倒れを予測するという静的な伝統的アプローチをとるために,.

(20) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 財務諸表監査の手段としての業務監査. 7 7 9. ‑35‑. このようなデータを無視すると予想される。 ナッヰ/ュは,実験の前に,ニつのグループの監査手続について以上のような ことを想定しているのである。 このような監査方法の想定は監査環境の変化の認識にもとづくものである。 すなわち,ナッ. νュは,技術的環境の変化のなかにおいてコンピュータによる. 情報処理技術の発展にもとづく経営方法の変化として,ヰ/ュミレー乙/ョンおよ びモデリングをあげたが,このような経営活動の計画化は,監査において計聞 と実際の結果との比較によってより有効な監査を行うことを可能にしたと主張 するのである。 したがって,アッ乙/ュの実験の準備は,. とのことを立証するために極めて意. 図的であり,また計画的である。すなわち,監査事例資料において,財務監査 人が一般に監査の実施において必要とする情報を含む一般的な監査調書の内容 に,とくに業務監査人が業務監査を行うために必要な信用供与モデノレの情報お よび信用担当部門の報告書を含む信用供与志/ステムの記述を追加している。 そして,実験すべき監査領域として売掛金および貸倒引当金を選定している が , これはやはり監査環境としての社会的影響である訴訟の続発に対応するも のであり,その訴訟の多くが売掛金の監査における監査人の失敗を含んでいた からである。しかし,他方において,信用供与を拡張したり統制したりする信 用供与モデノレが存在し,その検討が業務監査の最初の手続であるので,売掛金 を選んだのである。 しかも,二つの監査方法の担当者が,まったく別々の異なる監査方法を行う ように意図し,一方に会計士事務所の監査担当職員を,そして他方に経営コシ サ/レタシト担当職員をあてている。しかも,両者は,異なる学識・経験を有す ることを想定している。その意味では,ナッ. νュは,二つの監査方法の有機的. 統合を考えていないともいうこともできる。 ナッ. νュは,. このような実験を行った結果,かれの予想した通り,経営コシ. サノレタシト担当職員の方が財務監査担当職員よりも,相当に有効な監査機能を 実施したという結論,すなわち,経営コンサノレタントのグループの方が財務監.

(21) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑36‑. 第5 6巻 第 4号. 780. 査人のグループよりも,同じ資料によって,前もって定められていた金額に近 い数字で貸倒引当金を見積ったという結論をえた。この場合に,二つのグルー プは,ナッ. νュが予期した通りに行動した。すなわち,財務監査人のグループ. は,全体として伝統的な監査モデルによって,会社が設定した金額に同意する であろうと予想したが,そのことが確認された。また,経営コンサノレタントの グノレープは,伝統的な監査モデノレとは無関係に組織的な分析方法を実施し,そ の業務の領域を統制するモデノレを調査し,モデノレからの翠離の詳細な検討を行 うことを予想したが,このことも確認された。 すなわち.財務監査人のグループは,伝統的な監査方法を適用し,第 1年度 の貸倒の引当金について}相当に過小な見積りを行った。全体として,かれらは, 会社が設定した貸倒引当金をそのまま承認した。これに対して,経営コンサノレ タントのグループは,必要な実際金額に近い見積りを行った。 また,財務監査人のグループは,第 1年度に貸倒引当金を過小に見積った場 合,第: 2年度に貸倒引当金を過大に見積る傾向にあった。それは,財務監査人 は,第 1年度に重大な不足を実際に経験したので,実際には修正することが必 要ではない第 2年度を修正しすぎる傾向があったからである。しかし,これに 対して経営コンサノレタントのグノレーフ。は,それぞれの年度を別々に判断する傾 向が見られた。 このような実際の結果に見られる傾向につい‑C,ナツ乙/ュは,さらに口答お よび文書によって,どのような方法で結論をだしたかを質問して,追加的な確 ( 5 7 ). 認を行っている。すなわち,財務監査人のグループのうちある者は,内部統制 の検討の記述に同意し,金額が実際のものであることを確かめ,前年度の貸倒 引当金および貸倒償却の金額がもっとも信頼できる情報であるとし,会社の見 積りが正しくないと恩わせるものは何もなかったとしている。また,イ也の者 は,以前の経験にもとづいて貸倒引当金を計算したところ,会社の設定した貸 ( 5 5 ) I b i d .,p .1 3 5 . ( 5 6 ) I b 仏, p p.135‑136. ( 5 7 ) I b i d ., pp.136‑138..

(22) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 7 8 1. 財務諸表監査の手段としての業務監査. ‑37‑. 倒引当金は適正表示に十分なものであると判断したとし℃いる。 これに対して,経営コンナノレタシトのグループのある者は,信用の麗類ごと に売掛金の実際の分散と確率の分散とによって予想される不良債権を計算し, これと会社の改定した金額とを比較して,約 30, 000ドノレの不足であるとしてい る。また,他のある者は。監査調書は危険分析の確率と矛盾しているとして, 信用供与モデルの方がより信頼的であるとしている。 なお,ナツヰ/:ヱは,このよラな貸倒引当金の評価の正確性は,披実験者の有 する経験と関連していることを認識している。そして,どちらのグループにお いても,経験のある者がより結果をえていることを明らかにしている。しかし, どの経験の水準においても,経営コンサルタントのグノレープの方が財務監査人 ( 5 8 ). のグループよりもよい結果をえているとしている占 このようにして,ナッ. νュは,この実証的研究の直接的意味は,売掛金およ. び貸倒引当金の監査においてこれまで用いられてきた監査方法は,代替的監査 方法である業務監査に比べて有効ではないことであるとしている。もちろん, かれは,このような実証的研究を行うための資料が之しく,制約があることを 認めている。しかし,アメリカの会計士、事務所のなかには,かれの主張のよう ( 5 9 ). な方向i'C‑動をは じめているものがいるとしている。たとえば,プライス・ヲォ i. ーターハクス会計事務所の監査指針は,内部会計統制以外の要素として環境的 諸要素,組織的統制,業務的統制,情報志/ステム統制などの諸要索を考慮すべ きであるとしている。また,他の会計事務所は,包括的監査方法として,企業. νステムに関する業務および会計のすべてを考慮すべきであるとしている。 このよラな業務監査による監査方法の実務に対する影響として次のことを指 摘している。その一つは監査時聞に対する影響であり,財務監査人のグループ は,精細な業務に時間を費したが,経営コシサノレタシトのグノレー}プは,信用供. 与 νステムの検討に重点をおいたので,上のグループρのような精細な業務は行 わなかった。そこで,業務監査の監査方法は,より経済的かつ能率的であると ( 5 8 ) I b i d ., pp.1 24‑127. ( 5 9 ) I b i d ., pp 1 40‑142. ゆ) I b i d ., pp.1 43‑146. ( 6 剛.

(23) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑38‑. 第5 6 巻 第 4号. 782. いうことができる。 第 2に,業務監査の有効性は担当者の経験に依存するところが大であるの で,職員の教育・訓練においてこのことが考慮されなければならない。 第 3に,これまでの伝統的な監査方法は,機械的な照合の業務が多く,監査 人にとって興味が乏しいものであったが,新しい業務監査は,ヰ/ステム概念を 採用した分析的方法であるので,監査人にとって興味があるので,すぐれた人 材を集めることができるようになる。このように,業務監査は,乙れまでの監 査方法の代替的方法として有効であるばかりでなしその他にも大さな利点を 有するものとされるのである。. V 業務監査の位置つ守け これまでアッヰ/ュの考え方を詳細に見てきたのであるが,ここでかれの主張 する業務監査をどのように位置づけることができるかを検討してみたい。 まず,これまでにも何回もくりかえして明らかにしてきたところであるが, ナッ. νュの業務監査は何よりも監査環境の変化に対応する監査方法として主張. されているということである。その第 1の変化は社会的要請の変化であり,社 会の人々は監査に財務諸表の適正性の監査としてこれまで考えられてきた ζ と以上のものを要求するようになってぎた。そのことは訴訟事件の続発にも示 されているように,企業の倒産とか経営者の不正に対しても監査がとれらを明 らかにすることを期待するのである。そこで,ナッヰ/ュは, このような監査目 的の拡張に対する有効な監査として業務監査を主張しているということができ る 。 監査環境の第 2の変化は,上のような監査目的の変化に関係するものではな くて,監査目的の達成のための技術構造に関係するものである。すなわち,コ シビュータの導入およびその発展によって,企業は一つの乙/ステムとして認識 されることが適当になってきたのである。そこでは企業は無限に細分化されて いくサブ・. νステムのネットワークによって構成される一つの全体的な乙/ステ. ムであり,そのなかでは情報乙/ステムと経営乙/ステムとは相互依存的で密接な.

(24) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 財務諸表監査の手段としての業務監査. 7 7 3. ‑39ー. 関係にあり,さらに内部会計統制と経営統制とが有機的に結合するようにな る。このような企業の変化に対応する有効な技術構造を有する監査として,企 業に関連す町るすべての情報を利用し,かっすべての統制を考慮する包括的監査 が主張されるのである。したがって,これまでの伝統的な監査方法では考慮さ れなかった業務の情報および業務に関する経営統制を利用す刷る業務監査が主張 されるのである。 このような基本的認識を,さらによ細かく検討することにしよう。まず,上に のべたように,ナッ乙/ュは,担会的要請に対応して監査目的を拡張しようとし ているのではないかとした。これまでの監査は財務諸表が適正であるかどうか を監査するものであって,企業が倒産するかどうかを監査するととを目的とす るものでもなく,また経営者の不正を摘発することを直接の目的とするもので もないとされてまた。しかし,訴訟事件では,社会の人々は監査にそのことを 強く期待している. ζ. とが明らかになったのである。. もしも,企業の倒産の可能性が大で目前に迫っていれば,それは財務諸表の 前提を否定するものであり,財務諸表の適正性に重要な影響をおよぽすことに なろうし,また,経営者の不正が財務諸表の粉飾に結果するような場合には, 財務諸表の適正性の監査は,そこまでおよばなければならないであろう。しか し,企業の倒産が将来の単なる可能性であるとか,経営者の不正が財務諸表の 適正性に影響しないようなものである場合には,これまでは監査人の責任に含 まれるとはされなかった。これに対して,一方において,企業の社会的責任が 増大し,他方において監査人の責任が包括的に考えられるようになれば,企業 を継続的に監査している監査人と企業との関係から,これらの問題も監査の問 題に含まれてくるようになるのである。すなわち,財務諸表の適正性を目的と する監査であっても経営者の不正は摘発されなければならないし,企業の倒産 の可能性があればそれは監査報告書で未確性事項として報告されなければなら ないであろう。 これらの問題に関するかぎりで・は,財務諸表の適正性の監査目的の枠内でも 検討することができる問題であるが,これを一歩進めて考えれば,それは監査.

(25) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑40ー. 第5 6巻 第 4号. 7 8 4. 目的の拡張であるということができ,それは財務諸表の適正性という情報の監 査といろよりは企業の経営行為あるいはその結果としての状況という実態の監 査ということができる。それは,まさに業務監査になる。そこでは,さらにそ の業務監査が,経営行為およびその結果としての状況の誠実性あるいは合法性 の監査にとどまるのか,その経済性,能率性あるいは収益性というような妥当 性の監査にまでおよぶのかといラ問題になる。モれが財務諸表監査である以 上,その監査目的の拡張には,財務諸表の前提としての企業の経営行為の誠実 性あるいは合法性が確かめられる必要があるという論理は,議論はあるにして も一応は認められるであろろ。しかし,企業の経営行為の妥当性の監査にまで その監査目的を拡張する論理を発見する. ζ. とは困難であろう。. とのよろに考えてくれば,ナッ乙/ュが実験の監査領域として選んだ貸倒引当 金の監査は若干微妙な問題を含んでいる。これまでの会計においては,確かに 会計資料によっ"c,その企業の過去の経験にもとづいて貸倒引当金を見積るの が一般的であろう。ととろがナツ乙/ュが,業務監査の方法として示しているの は,まさに経営コシサノレタシトとしての方法すなわち経営専門家としての方法 であるといえる。そこでは会計の問題をこえて,経営上の意思決定の良否の問 題にまで移行しているのではないかということができる。そこでは業務監査そ のものが目的となっており,財務諸表監査の目的には含まれないであろう。こ れに対して,それが財務諸表監査目的の達成のための手段としての業務監査で あるとするならば,そのような業務監査をどのような範囲まで行うのが合理的 であるかという問題があり,さらにそのような業務監査はむしろマネージメシ ト・サービスとして行われるべきであるとする批判があるであろう。 そこで,監査環境の変化に対応する技術構造の変化としての業務監査につい ての基本的認識の問題に入らなければならない。それは,財務諸表の適正性の 監査といろ監査目的を変更するものではなくもこのような監査目的を変化し た監査環境においてより有効に達成する監査方法として業務監査を主張するの である。すなわち,コンピュータの導入によって,企業が一つの全体的な νス テムとして認識されるようになり,サプ・乙/ステムとしての情報乙/ステムと経.

(26) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 7 8 5. 財務諸表監査の手段としての業務監査. ‑41‑. 営 νステムは相互依存的に結合されるようになり,さらに内部会計統制と経営 統制とが密接に関連するようになる。このよろな変化に対応しむ財務諸表の 適正性の監査においても,内部会計統制ばかりでなく経営統制をも考慮し,会 計情報乙/ステムの情報ばかりでなく,それ以外の環境的情報や業務の情報を利 用して監査するという包括的監査方法が有効な方法となるのである。 このようにすべての範囲の情報を利用し,すべての統制を考慮するといラ監 査方法については,とれまでの伝統的な監査に比べて監査人の業務を過大なも のにし,その責任を過重にするという批判があるであろう。しかし,この監査 方法は監査目的の達成に役立つ情報を積極的に利用しようとするものであり, その反面において監査目的の達成にあまり役立たない機械的で精細な業務を縮 小しようとするものであるから,逆に,経済的かつ能率的でしかもより確実な 監査証拠の収集を可能にする監査方法であるので,過大な業務や過重な責任と はならないのである。しかも, との新しい分析的な監査方法は,最近において 非常に発展してきたコシピコータを高度に利用することができる。すなわち, コシピータは,大量の情報を迅速に処理することができるばかりでなく,高度 の統計的方法を適用して情報を分析することを可能にしたので,この分析的な 監査方法はコンピュータ時代に適合したものであるということができる。 さらに,最近においては,企業の経営活動およびその環境の複雑化によって 判断が非常に困難な会計問題が多くなってきて,これまでのように単に会計問 題としてだけ考えたのでは的確な判断ができず,むしろ経営問題として考えた 方がより実質に適合した判断が可能になる場合が多くなってきている。換言す れば,企業の経営行為が会計函において形式的に整っていれば,これを会計的 に批判することは困難であるが,その形式の背後にある実質を把握して,そこ から判断した方が,会計面においてもより Eしい判断がえられる結果になるか らである。このような意味から,複雑な会計問題に対しては,単に会計監査の 領域にとどまらず,業務監査の領域にまで入っていくととが必要になるのであ る 。 とのような財務諸表監査の目的達成のための,いわば手段としての業務監査.

(27) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 第56巻 第 4号. ‑ 42ー. 786. の考え方は,現在においては,アナリテイカノレ・レビューのなかに部分的に展 開されてをているというととができる。ナッ. νュの論文は 1973年 に だ さ れ た. が,アメリカ公認会計士協会によってアナリティカノレ・レビューが公式用語と して用いられたのは 1 9 7 2 年1 1月であるので,両者はほぼ同時代的なものであ り,共通する考え方が含まれており,分析的な監査方法の重要性を強調したも のといろことができる。すなわち,アメリカ公認会計士協会の監査基準書第 1 号は,アナリティカノレ・レピ. Z. ーを実証テストに属するものとして明確に位置. つマけたのである。しかし, まだ,当時は, アナリアイカノレ・レピ z ーとしては 一般化しておらず,それまでの経営分析を利用して比率や傾向によってデータ 相互間の首尾一貫性を検討し,またそれまでのビジネス・アプローチとして監 査人が監査中にえた企業およびその業務についての知識を利用するというにと どまっていたと考えられる。その後,アナリティカノレーレビ z ーが次第に一般 化し,そ の技術も発展してきたので,アアリティカノレ・レビューの適用につい i. て一般的指針を与えるために, 1 9 7 8年に監査基準書第23 号がだされたのであ る 。. ζ のようなアナリテイカノレ・レビューは,ナッ. νュの主張するような業務. 監査として企業の実態の監査にまで展開しなかったが,とのような動向を早く 読みとって強調したところに大きな意義があるであろう。 このように,業務監査には,目的としての業務監査と手段としての業務監査 のニつがあることを認識し,両者を明確に区別することが必要である。まず, 目的としての業務監査を財務諸表監査にとり入れるというととは,とりもなお さず監査目的の拡張を行うととになる。そとでとのような監査目的の拡張が可 能であるか,妥当であるかという問題になる。 ( 6 1 ) 拙稿「アナ Pアイカル・レビューについて J ,r 産業経理J ,第必巻第 7号,昭和5 8 & ] 三 1月 。 ( 6 2 ) AICP A,Statem 阻 t so fA u d i t i n gP r o c e d u r eNo.54,TkeA u d i t o〆sStudyand E v a l u a t i o no fl n t e r n a lC o n t r o l,Nov担 b e r1 9 7 2 .AICPA, S t a t e m e n t sonAudit i n gS t a n d a r d sNo. 1,C o d i f i c a t i o nofA u d i t i n gS t a u d a r d s and P r o c e d u r e s, Noveuber1 9 7 2 . ( 6 3 ) AICPA,S t a t e m e n t sonA u d i t i n gS t a n d a r d sNo.23, A n a l y t i c a lRωi eω P r o c e ‑ 9 7 8 . d u r e s,October1.

(28) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 7 8 7. 財務諸表監査の手段としての業務監査. ‑43‑.. さきには,業務監査を誠実性または適法性の監査と当妥性の監査とに分け て,誠実性または適法性の業務監査を財務諸表監査に包括する論理を導くこと はできても,妥当性の業務監査を財務諸表監査に包括する論理を導くことは困 難であるとのべた。すなわち,財務諸表の前提として会計が写しだす企業の経 営行為およびその結果が株主に対して誠実なものであり,かつ適法なものであ ることが必要である。換言すれば,経営行為が株主にとって不誠実なものであ ったり,あるいは違法なものであるような場合に,財務諸表が適正であるとい ったととろで,株主あるいは社会にとって無意味なものであるという論理が導 かれるであろう。 しかし,経営者による会社の財産の横領のような不正あるいは収賄のような 不正支出のように,監査人が監査の過程において明らかにできるものはよいに しても,すべての経営活動についてその誠実性および適法性を監査人が判断で きるかどうか問題である。監査人は企業の経営の専門家ではないので,このよ うな責任を負うことはできないであろう。 ところもわが国の場合には,監査役がこのような業務監査に対して責任を 負っており,アメリカの場合には,監査役の制度はないが,部分的には社外重 役あるいは社外重役を中心とする監査委員会がこのような機能を担当するもの と考えられる。したがって,わが国の場合には,監査人が監査の実施の過程に おいて経営者の不誠実な,あるいは違法な行為を発見した場合には,監査役に 連絡し,監査役が適切な処置をとった ζ とを確認すればよいであろう。これに 対して,アメリカの場合には,社外重役あるいは監査委員会の職務が法的に明 確にされていないので,経営者の不誠実な,あるいは違法な行為を発見した場 合には十分な注意を払う必要があるであろう。 次に,手段としての業務監査を検討することにしよう。このような業務監査 は,財務諸表の適正性の監査の目的達成のための手段として,財務諸表の適正 性を立証するために役立つ監査証拠を収集するために利用される。さらに, こ のような業務監査を二つに分ける. ζ. とができる。一つは,業務に関する情報の. 収集,分析,加工としての業務監査であり,もうーつは,業務の適正性あるい.

参照

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また、平成 15 年に策定された情報セキュリティ監査基準の認知度は、「知っている」が監査担 当部門 76.7%、被監査部門 82.6%(H16

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