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原著 :秋田大学医短紀要1

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(33)

原著 :秋田大学医短紀要1

0(1):33‑40,2002

連想語検査 による看護学生の病人に対するイメージの分析 一縦断的にみた病人イメージの変化‑

石 井 範 子 平 元

長谷部 真木子

要 旨

看護学生の 「 糖尿病患者

「 痛患者

「 精神分裂病患者」に対す る連想語検査 を縦断的に行い,看護 教育の段 階に応 じた病人 イメージの変化の仕方 を検討 した。

対象 は看護系短期大学の

1

年生7

8

名,2 年生71 名,3 年生6

3

名であった。

その結果,以下の結論 を得 た。

1)

「 病人」をみた経験 を有す る学生 は

3

年が最 も多 く,病人は主 に入院患者であった。「 精神分裂 病患者」 についての経験 は

3

年以外 では きわめて少 なかった。

2

)連想語数 はいずれの病人に対 して も

3

年が最 も多かった。

3

)連想語 は,学年の進行 に伴 って " 客観的反応" を示す内容が多 くなっていた。

I.は じめに

看護の対象 である人間について,Ro

gers

「 構成す る部分の総和以上の存在であ り,一つ の まとま りのある全体 または統合体である」 と 述べ ている

l

。そ こで,看護基礎教育の基本 と するね らいは,看護の専 門的知識 ・技術 の教授 に加 え,対象 を全体的に捉 えて対応で きる態度 の形成 にあるもの と考 え られる

看護学の体系的な学習 によって看護学生の人 に対する知識 ・理解 ・イメージは量的 ・質的に 変化することがい くつか報告 されている

234

我 々はかつて看護 を専攻する学生 と専攻 しない 学生の 「 糖尿病患者

「 痛患者

「 精神分裂病患 者」に対す るイメージを SD法

5

.お よび連想語

秋 田大学医療技術短期大学部 看護学科

秋田大学医短紀要 第1 0 巻 第 1号

検査

6

によって比較検討 し,看護 を専攻する学 生 はよ り好意的な病人イメージを抱 き, さらに 看護の専 門教育 によって病人についての知識 の 習得 と共 に援助者 としての意識や態度が形成 さ れていることを明 らかに した。

今回は,看護系短期大学学生の 「 糖尿病患者」

「 痛患者

「 精神分裂病患者」 に対す る連想語 検査 を縦断的 に行い,看護教育の段階 に応 じた 学生の病人イメージの変化の仕方 を検討 したの で報告する。

I l .研究方法

1.対象 :本研究の主 旨に同意 したA短期大 学看護学科1

994

年度入学の 1年生7

8

名,

KeyWords:病人イメージ

連想吉 吾検査 看護学生

33

(2)

(34)

石井範子/連想語検査による看護学生の病人に対するイメージの分析

2

年生

71

,3

年生

63

名である。

2.

調査方法 :無記名の以下の ような内容の 質問紙用い,教室で一斉方式で回答 させ た。調査 にあたった者 は同一人であった

3.

調査内容

1)対象者の属性 :学年,お よび 「 糖尿病 患者

「 癌患者

「 精神分裂病患者」 を みた経験の有無 とその病人 との関係 を 記入 させ た。なお , み た』 とい う内

容 には 「 見たことがある,詳 しく観察 したことがある,接 したことがある, 看護 を した ことがある」等が含 まれる と考 えられるが,回答の方法 としては

『 みた』の内容 は区別せず,経験 の有 無 だけを答 えるもの とした。

2)各病 人に対する連想語 を 5語以内ずつ 記述 させた。

4.

調査時期

:1

年時は

6

月初旬

, 2

年時は

34

専 門科 目の講義が終了 した 2月, 3年時 は臨床実習終了後の11月下旬であった。

5.

分析方法

1

)病 人をみた経験 を学年毎 に単純集計 し た。

2

)各病人に対 して,学年毎 に想起 された 連想語数の平均値 を算 出 し,多重比較

によ り学年間の差 を検討 した。

3

)連想 語 を内容 別 に分類 した。 さ らに

「こわい,いやだ,な りた くない,関 わ りた くない」等 の 『 情緒的反応』 に 属す る連想語 を,知識の乏 しい " 主観 的反応" を示 している もの とみな し, それ以外の『 不適切』を除 くカテゴリー の語 を知識 に基づいた " 客観的反応' ' を示 している もの とみな した。" 主観的 反応" に属す る連想語数 と " 客観的反 応" に属す る連想語数 について

, x2

1

「 病 人」 をみた経験 を有する学生

1

n=78

2 年

n=71

3 年

n=63

糖 尿 病 患 者 24

(30.7)

20

(22)

33

52.4)

病 : 祖 父 母

10 9 7

人 三 父 母 0

1 1

と : 友 人 0 0 0

の 三 近 所 の 人 4 0 0

関 : 入 院 患 者 0 6 2 5

係 三 そ の 他

10

5

3

癌 患 者 36

(42)

34

(47.9)

54

(85.7)

病 : 祖 父 母 26

18 17

人 : 父 母

3

4 2

と : 友 人 0

1

0

の : 近 所 の 人 2

1 1

関 : 入 院 患者 0

8

4 2

係 : そ の 他 5

10 3

精 神分裂病 患者 2

(2.6) 0

39

(61̲9)

病 : 祖 父 母 0 0 0

人 ; 父 母 0 0 0

と こ 友 人 0 0 0

の : 近 所 の 人 2 0 0

関 : 入 院 患 者 0 0

3 9

秋田大学医短紀要 第1 0巻 第

1

(3)

石井範子/連想語検査 による看護学生の病 人に対す るイメージの分析 ( 35)

5.0 4.5

野 4・0 3.5 3.0 2.5

&

2.0 1.5 l.0 0.5 0.0

(

%) 1

00

90 80 8日 70 60 50 40

30 20 10 0

糖尿病患

者 に対 して 癌 患者 に対 して 精 神 分裂病 患 者 に対 して

**:p<0.01.* :p<0.05

1

想起 された連想語数

1

2 3

2

糖尿病患者に対する連想語の分類

秋 田大学医短紀要 第1 0巻 第

1

号 35

(4)

(36)

石井範子/連想語検査 による看護学生の病人 に対す るイメージの分析

1 年

2 3

学 年

3

癌患者 に対 する連想語 の分類

(%) 100

90 807.

6050 40 30 20 10

0

36

1 年

2 3

学 年

4

精神分裂病患者 に対 する連想語 の分類

秋 田大学医短紀要 第1 0巻

1

(5)

石井範子/連想語検査による看護学生の病人に対するイメージの分析

(37)

検定 によ り学年 間の差 を検討 した。

Ill.結

1.病人 をみた経験

病人 をみた経験 は,いずれの病人 について も

3

年が最 も高 い割合 を示 していた。「 糖 尿病患 者」について

1

30.7%,2

28.2%,3

52.4%

であった。「 癌患者」では

1

46.2%,2

47.9%

,

3

年生

85.7%

であ った。「 精神分 裂病患 者」 で は 1年

2.6%,2

年 は経験 した者 は な く

,3

年 は

61.9%

であった。みた病人 は,いずれの病人の 場合で も

1・2

年生 は祖父母 ・近所 の人等 であ り

,3

年 は多 くが実習 中にみた入院患者 であ った

(表 1)0

2.

連想語数の比較

想起 された連想語数の学年別の平均値 は,「 糖 尿病患者」 については

,1

年が

2.8

,2

4.4

語,

3

4.9

語であ った。「 痛患者」 については

1

3.1

,2

4.4

,3

4.9

語であ った。 「 精神分 裂病患者」 については

1

1.7

,2

3.7

,3

4.8

語 であった。いずれの病人 に対 して も

3

年 は

1・2

年 よ り

,2

年 は

1

年 よ り多 く,それぞ れ有意 な差がみ られた。 また,いずれの学年 も

「 糖尿病患者」 と 「 癌患者」 についてはほぼ同 数の連想語 であ ったが , 精神 分裂病患者」 に ついて は

,1・2

年 は他 の

2

つ の病 人 に対 す る 連想語数 よ りも少 な く

,3

年 は他 の

2

つの病人 に ついての連想語数 とほぼ同数であった ( 図

1

) 0

3.

連想語 の内容

連想語 は 『 症状 』 病 因 予後 ・ 合併症

痩 ( 看 護)・検 査 ・予 防 』 疾 病特性F 患 者 の

特性 』 情緒 的反応 その他 不適切』の

9

カテ ゴリーに分類 された。

「 糖尿病患者」 については

,3

学年共 に 「 食事 療法,イ ンス リン注射,血糖値」等 の 『 治療 ・ 検査 ・予 防』 に属す る語が半数近 くを占めてい た ( 図

2)

「 癌患者」 については,1 年 は 「 死 ,早期発見, 末期」等 の 『 予後 ・合併症』 に属す る語が,2 年 は 「 痛み,痩せ」等 の 『 症状』 に属す る語が,

2

病 人に対 する連想語 の内容

():%

1

2

3

x 2

検 定

糖 主 親 的 反 応 を

40 31 17 pく0.01

尿

病 患 客 観 的 反 応 を 示 す 連 想 言 吾

(118.793) (9298.4) (5.2886)

者 示 す 連 想 言 吾

(8

1 . 7

) (90.6) (94.4)

219 329 305

痩 患

者 主 親 的 反 応 を

51 22 20 p<0.01

示 す 連 想 語

(27.3) (7.1) (7.1)

客 親 的 反 応 を

136 287 262

示 す 連 想 語

(72.7) (92.9) (92.9)

合 計

187 309 282

精 主 観 的 反 応 を

68 78 53 p<0.01

分 裂 客 観 的 反 応 を 示 す 連 想 語

(56.532)

(3

1167.8) (12288.9)

病 患

者 示 す 連 想 語

(43,8) (68.2) (8

1 . 1)

秋田大学医短紀要 第1 0巻 第

1 37

(6)

(38)

石井範子/連想語検査による看護学生の病人に対するイメージの分析

3

年 は 「 抗がん剤,化学療法,放射線療法」等

の 『 治療 ・検査 ・予防』 に属する語が高い割合 を示 していた ( 図

3

)。

「 精神分裂病患者」 につ いては, 1 年 は 「こ わい, よ くわか らない,危険」等の 『 情緒的反 応』に属す る語が

56.2%,2

年は 「 妄想,殺人犯, 幻覚」等 の 『 症状』 に属す る語 が

35.9%

,

緒 的反応』が

31.8%

とほぼ同数で

,3

年 は 『 症 状』 に属す る語が

41.6%

であった ( 図

4

)。

4.

連想語の内容 の比較

「 糖尿病患者」 について,知識 の乏 しい " 主 観的反応" とみなされた連想語 は

,1

40

,2

31

,3

17

語 で,知識 に基づ いた " 客観 的 反応" とみなされた語 は

,1

179

,2

298

語,

3

288

語であった。

「 癌患者」では " 主観的反応"は

1

51

,2

22

,3

20

語," 客観的反応"は

1

136

語,

2

287

,3

262

語であった。

「 精神分裂病患者」では " 主観的反応"は

1

68

,2

78

,3

53

語 で," 客 観 的 反応"

1

53

,2

167

,3

228

語であった。

" 主観的反応"を示す連想語数 と" 客観的反応"

を示す連想語数の学年間の比較では , 「 糖尿病患 者 」 「 精神分裂病患者」 については学年 の進行 と共 に " 客観的反応" を示す語が有意 に多 くな り

(p<0.0

1 ) , 「 癌患者」 については

2

・3

年が同 じ割合で 1年 より多 く有意 な差がみ られ た

(p<0.01)

( 表

2)0

IV.

考 察

看護系短期大学の

1

年生か ら

3

年生 まで縦断 的に,想起 した 「 糖尿病患者」イ 癌患者」・「 精 神分裂病患者」 に対する連想語 を基 に病人につ いての経験 と連想語 の関係,看護教育の段階に 応 じた病人イメージの変化の仕方 を考察す る。

1.病 人についての経験 と連想語数の関係 病人をみた経験 も連想語数 も最 も多かった

3

年は,看護学の教育課程 の終了段階にあ り,獲 得 した知識の量や臨床実習 における患者 との関 わ りか ら,病人 について連想することは

1・2

年 より容易であった もの と考 えられる。 2 年 は 病人 をみた経験 は

1

年 とほぼ同様であったが,

38

各疾患 患者の理解 に関す る講義で知識 を習得 し てお り

,1

年 よ り連想語数が多かった もの と察せ られる。

2.

看護教育の段階 と病人イメージの変化 想起 した連想語 は,1 年では 「こわい,いやだ, な りた くない,関わ りた くない」等の 『 情緒的 反応』,いわゆる主観的反応 を示す語の割合が高 かった。 また,2年 ・3年では 『 症状 』 治療 ・

検査 ・ 予防』等の知識 に基づいた " 客観 的反応"

を示す語の割合が高かった。我 々が今回 と同 じ 学生 に縦断的に実施 した

SD

法 によるイメージ 調査 7 ‑で も ,1 年が癌患者 ・精神分裂病患者 に 対 して対人印象 因子で高得点であったことと類 似 している。すなわち,看護学の専 門科 目の授 業 をほ とん ど受 けていない段階では,病人 を外 観等か ら直観的にイメージす る傾向 にある もの と考 えられる

。 2

年 と

3

年 は " 主観的反応"お よび 山 客観的反応" を示す語の割合 は糖尿病患 者 ・癌患者 に対 してほほほ同様であったが,精 神分裂病患者 に対す る " 主観的反応"は

2

年が 3年 より多かった。 2年では精神分裂病や精神 分裂病患者の看護 について講義 を受 け,知識 は 習得 している ものの,患者 と接する経験 をして いない ことか ら,臨床実習 も終了 している

3

年 より主観的反応 を示す語の割合が高か った と考 えられる。臨床実習 において患者 と直 に接す る ことにより,精神分裂病患者 に対す る偏見や誤 解の少 ないイメージに変化 している と推察 され る。金山 らも,看護学生の精神病 に関す る意識 構造 において

,1

年次か ら

3

年次の看護教育 によ

り徐 々に意識が変化 し,恐怖 ・嫌悪の態度 を示 さな くなる傾 向が あ るこ とを明 らか に してい る2 ‑ 。看護学生の病人 に対す るイメー ジは,請 義 ・臨床実習 とい うように段階的に学習 を深め ることにより,イメージす る事柄が増加する と 同時 に,主観的な内容か ら専 門的知識 に基づ く 客観的な内容 に変化す ることが示唆 された とい

える。

V.

結 論

1 . 病 人」 をみた経験 を有す る学生 は

3

年が 最 も多 く,病人は主 に入院患者であった。

秋田大学医短紀要 第1 0巻 第

1

(7)

石井範子/連想語検査による看護学生の病人に対するイメージの分析

(39)

「 精神分裂病患者」 についての経験 は

1I

2

年では きわめて少 なかった。

2.

「 糖尿病患者 」 「 癌患者 」 「 精神分裂病患者」

とい う刺激語 に対 して想起 された連想語数 はいずれの病人 に対 して も

3

年が最 も多 く, 次いで

2

年が多かった。

3.

連想語 を " 客観的反応" と " 主観的反応"

でみると," 客観的反応" を示す語 は , 「 糖 尿病患者 」 「 精神分裂病患者」 については 学年の進行 に伴 って有意 に多 くな り,「 痛患 者」 については

2

・3

年が同 じ割合で

1

年 より有意 に多かった。

Ⅵ.おわ りに

今回の調査ではA大学医療技術短期大学部看 護学科の包括的な教育の結果 としての解釈 に留 まるが,今後 は影響が強い と考 えられる科 目や 臨床実習での経験内容等 との関連性 について も 検討する必要があると考える。

文 献

1)Ma仙aE.Rogers

,樋 口康 子,中西 睦 子 他 訳 :ロ ジ ャー ス看 護 論

,60

,医学 書 院,

1990.

2)金山正子,田中マキ子,川本利恵子他 :精

秋 田大学医短紀要 第1 0巻 第

1

神病 に対す る看護学生 の意識構造の変化 ‑

3

年間の継続的研究‑, 日本看護研究学会 雑誌

,18(3),2129,1995.

3)奥宮暁子 :看護学生の障害者観, 日本看護 科学会誌

,12(3),20‑21,1992.

4)佐藤蓉子,石鍋圭子,神 山幸枝 :看護学生 の病名等 についてのイメージに関す る研 究 一学年間のイメージの相違 について‑, 日 本看護科学会誌

,8(3),40‑41,1988.

5)石井範子,針生亨 :看護学生の 「 病人観」

とその形成 について (Ⅰ)‑看護教育 を通 しての 「 病気 イメージ」と 「 病人イメージ」

の変化 を中心 として‑, 日本看護研究学会 雑誌

,20(2),7‑25,1997.

6)石井範子,平元泉 :連想語検査 を用いた看 護学生の病人 に対するイメージの分析 一看 護教育 を通 じての病人 イメージの変化 を中 心 として‑,秋田大学 医療技術短期大学部 紀要

,7,25‑32,1999.

7)石井範子,平元泉 :看護学生の病人イメー ジについて‑ 「 糖尿病患者 」 痛患者

神分裂病患者」 に対す るイメージの学年別 比 較 ‑, 日本 看 護 科 学 会 誌

,17(3),94‑

95,1997.

39

(8)

(40)

Analysis of Nursing Students' Images of "the Sick"

using a Word Association Test: Longitudinal Change of "the Sick" Image

Noriko ISHII Izumi HlRAMOTO Makiko HASEBE

Department of Nursing, College of Allied Medical Science, Akita University

The purpose of this study is to investigate the change of students' view of the sick through specialized nursing education. Students' images of diabetes mellitus, cancer and schizophrenia and those afflicted with them were studied.

The subjects were 78 first-year students, 71 second-year students and 63third-year students of the nursing college.

Itwas found:

I) Third-year nursing college students had experience of contact with the sick, most of whom had been admitted to hospital.

Aside from third-year nursing college students, only a few students had experienced schizophrenia patients.

2) Third-year students produced the highest number of association words for the sick of all three illness.

3) The association words showed an increase in objectiving with progress through the college.

40

参照

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