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衛星観測による太陽光誘起クロロフィル蛍光のアノマリーが

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2019 年 2 月 7 日

衛星観測による太陽光誘起クロロフィル蛍光のアノマリーが 環境要因から受ける影響の解明

共生基盤学専攻 生物共生科学講座 陸域生態系モデリング 水野 一樹

1. はじめに

近年,世界各地で気候変動が生じており,それに伴って地球上の多くの生態系に変化が生じてい る。この気候変動を予測するためには,地球上の炭素の動きを明らかにすることが必要であり,そ の中でも影響の大きい炭素吸収フラックスである陸域生態系の総一次生産(GPP)をより正確に推 定することが求められている。太陽光誘起クロロフィル蛍光(Solar-Induced Fluorescence: SIF)

は,近年非破壊,非接触で観測できるため,GPP および光合成に関する生理的情報の指標として期 待されている。本研究は,衛星観測による太陽光誘起クロロフィル蛍光のアノマリー(観測値から 平均月別変化を引いたもの)が環境要因からどのような影響を受けるのか明らかにすることを目的 とした。

2. 方法

1)データ仕様:本研究では,衛星 SIF 観測データ(GOME2: NASA/ESA) ,大気インバージョン解 析を用いて算出された生態系 CO

2

吸収量(Carbon Tracker モデル: アメリカ海洋大気 NOAA) ,地上 気象観測機器データをベースにした気候値(CRU TS v. 4.02; 雲量,降水量,月平均気温: イース ト・アングリア大学) ,エルニーニョ現象を表す NINO.3(遠隔相関指標: NOAA) ,衛星観測 CO

2

濃度

(GOSAT: MOE/JAXA)のそれぞれについて,2007 年~2016 年の期間を対象に,月平均・0.5゜の解 像度に再グリッド化したデータを作成し、解析を行った。

2)解析トピック ① SIF アノマリーと CO

2

吸収量および CO

2

濃度のアノマリーとの相関, ②SIF アノマリーと気候値アノマリーとの相関, ③ SIF アノマリーと NINO.3 アノマリーとの相関

3. 結果と考察

① SIF と CO

2

吸収量,CO

2

濃度の関係 草地・ステップ・低木で,SIF アノマリーと生態系 CO

2

吸 収量のアノマリーの間で高い相関(図 1)が現れた。これらの植生タイプでは林冠構造が単純で,

光合成能力が高く,放出 SIF と CO

2

吸収に強い線形相関があることに由来すると考えられる。

② SIF と気候値の関係 草地やステップ,温帯常緑広葉樹・サバンナにおいて,SIF と降水量ア ノマリーに高い感度(図 2)が現れている。これらの植生タイプにおける常態的な水分不足の条件 下で,降水量が増えると植物の成長が促されると考えられる。

③ SIF と NINO.3 の関係 NINO.3 指標は、正のとき気温が上昇する地域で,SIF との高い相関が 見られた。このことから環境要因から受ける影響を SIF が反映していることが明らかになった。

図 1. SIF アノマリーと生態系 CO

2

吸収 量アノマリーの相関(2007~2016 年)

図 2. SIFアノマリーと降水量アノマ

リーの相関(2007~2016 年)

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