粉粒体空気輸送の振動効果による所要動力低減に関 する研究
著者 竹内 文章
雑誌名 静岡大学大学院電子科学研究科研究報告
巻 17
ページ 214‑216
発行年 1996‑03‑29
出版者 静岡大学大学院電子科学研究科
URL http://hdl.handle.net/10297/1217
氏名。(本 籍
)
竹内
文
章 (岡山県
)
学 位 の 種 類
博
士
(工
学)
学 位 記 番 号
工博乙第
60
号 学位授与の日付平 成 7年 3月 24日 学位授与の要件
学位規則第4条第2項該当
学位論文題目
粉粒体空気輸送の振動効果による所要動力低減に関する研究
論 文 審 査 委 員 (委 員長)
教 授 渥 美 邦 夫
教 授 秋 山 鐵 夫
教 授 荒 木 信 幸 教 授 柳 澤
正
助教授 中 崎 清 彦
論 文 内 容 の 要 旨
工業技術の発展 と合理化に伴い、化学、窯業、食品、医薬品などの諸産業をはじめ、最近ではエ レ ク トロニクス、バイオテクノロジー、新素材に代表 される先端産業等において、原料か ら製品および 廃棄物 に至 るまで様々な物資 を粉体あるいは粒体の形態で扱 うことが多い。 これらの取 り扱いのなか で、粉粒体 を輸送することは、様 々な行程において極めて重要な操作である。粉粒体の空気輸送は、
輸送の自動化・省力化だけでな く、有害粉塵やガス等の飛散や被輸送物への異物の混入 を避 けられる こと、輸送経路 を比較的任意に選べ るために設備配置の合理化 を可能にし設備費や人件費 を軽減でき ることなど、他の輸送方式に比べ利点が多い。 しか し他の機械的輸送方式 と比較 して所要動力が大 き く、その低減が望 まれている。そこで本研究では、様 々な輸送形態に応用可能である輸送管に適度な 振動 を加えることによって所要動力 を低減する方法 を検討 し、その理論的、実験的な解析 を行つた。
なお、これ までに粉粒体空気輸送への振動効果 に関する研究例はないのが実状である。本論文の前半 は、従来か ら広 く用い られている低濃度高速輸送方式、後半では、高濃度低速輸送の一方式であるプ ラグ輸送方式 について検討 した
第1章は、序論で本研究の背景 と目的を述べている。第2章では、粒子の移動限界 について理論的に 検討 し、粒子 に与 えられる初期飛散力は、粒子の壁面摩擦抵抗の低減によって大 きくな り、壁面摩擦 係数は、振動加速度の増加に比例 して減少することを述べている。次に粒子の移動限界 にお よぼす振 動効果について傾斜法 と飛散法による実験 を行い、振動 を加えた場合の壁面摩擦係数は、振動加速度 比の増加 に したがって直線的に減少 し、ある程度粒子径が大 きい方が影響 を受けやすかった。 また無 次元限界掃流力 も振動加速度比の増加にしたがって減少することを明 らかにしている。第3章では、乾
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燥お よび含水粉粒体 を水平管で空気輸送する場合の輸送圧力式 を、堆積層の壁面摩擦抵抗力 と堆積層 表面 における空気お よび粒子せん断力、壁面での空気せ ん断力 を考慮 して導 き、実験結果 とよく一致 することを示 した。空気輸送 においては、壁面摩擦係数が支配的因子であることか ら、加振が動力低 減 に有効であることを明 らかにした。粉粒体 に適度の水分 を含 ませると壁面摩擦抵抗が減少 し、 さら
に加振 との相乗効果 によって所要動力を大幅に低減で きることを確かめた。第4章では、傾斜 した輸送 管路 を設計・運転するために必要な基礎データを得るために、種 々の傾斜角度を変えた管路で輸送実 験 を行い考察 を加えた。上 り勾配の配管では、低濃度輸送では加振効果は期待で きなかったが、水平 および下 り勾配の管路では、振動加速度比の増加 とともに輸送動力は低減 した。空気源機械の動力 と 加振機の動力 とを考慮 した総合的な輸送効率は、振動加速度がある限界値 を越えると急増することを 示 した。第5章では、単一プラグを輸送するのに必要な空気圧力 を表す式を輸送管径、傾斜角度、プラ グ層の長 さ・か さ密度、壁面摩擦係数などを考慮 して理論的に導いて、実験 によつてその妥当性 を確 かめた。 また輸送効率の計算から輸送管径、プラグ長 さなどの効果的な輸送条件 について考察 した。
第6章 では、輸送管の加振 による壁面摩擦係数の減少によつて、単一プラグを輸送するための圧力が低 減することを理論的および実験的に確かめた。 また水平お よび鉛直輸送管路 における実験で理論式が 妥当なことと、その効果的な加振条件 を示 した。第7章 では、単一プラグ輸送の解析の応用 として、ブ ロータンクと輸送管の始点に空気を交互に継続 して加えることによつて、プラグを輸送管に連続的に 供給することと、輸送管への加振で所要動力を低減するシステムを設計 して実験 を行った。その結果、
安定 したプラグを供給する操作条件 を求めた。 またプラグの安定性指数、輸送動力、付加圧力損失係 数などを求め、加振することが輸送の安定化 と所要動力低減 に効果的なことを確かめた。次 に輸送用 の空気源を併用で き、それか らの排気 を輸送管へ導入 して再利用することが可能なエアバイブレーター による加振効果について検討 した。これによつて消費動力が大幅 に低減で きることを確かめた。 また ベ ン ドの効果的形状 とベ ン ド部への加振効果についても検討 を行った。第8章は、本論文の結論 として 各章で得 られた結果 を要約 している。 また本研究で得 られた所要動力低減技術 についての工学的応用 技術 について付記 した。
粉粒体空気輸送の振動効果 について、理論的および実験的研究 を行い、さらに本研究で設計 した方 式 によつて、輸送 システム全体 として、50%程度の所要動力 を低減することが可能 となった。 また従 来か ら課題であつた輸送物の停滞、閉塞などの トラブルを防止で きることを確かめた。
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論 文 審 査 結 果 の 要 旨
化学工業 をは じめ各種工業において原料か ら製品お よび廃棄物 にいたる多 くの工程で、 さまざまな 物資が粉粒体の形態で輸送 される。他の輸送方式 と比べ粉粒体の空気輸送は工程の自動化・省力化だ けでな く、有害粉塵やガスの飛散、また被輸送物資への異物の混入を避けられるなどの利点 を持って いる。 しか し機械的な輸送方式 と比較 して所要動力が大 きく、その低減が望 まれている。
輸送管路 に適切な振動 を加えることによって輸送所要動力 を低減で きるが、本論文はその低減機構 の解明に関するものである。
本論文は8章か らな り、第1章は序論で研究の歴史的背景 と目的を述べている。
第2章 では、粒子の移動限界 とそれにおよぼす振動の影響について理論的に考察 し、壁面摩擦係数が 振動加速度 に比例 して減少すると述べ、傾斜法 と飛散法による実験 を行って確認 している。加振 によ
る摩擦係数の低下におよぼす粒子径の影響 を実験的に明らかにしている。
第3章 では、乾燥および含水粉粒体を水平管で空気輸送する場合の輸送圧力式を導入 し、その解は実 験 とよく一致 している。特 に、粉粒体 に適度の水 を含 ませた場合、加振 と水分の相乗効果により壁面 摩擦係数が減少 し所要動力 を大幅に低減で きることを定量的に確かめている。
第4章 では、種々の傾斜角度 をもつ管路で空気輸送実験 を行 って加振効果を検討 して、水平および下 り勾配の管路では、総合輸送効率は振動加速度がある限界を超えると急激に大 きくなると述べている。
第5章 では、粉粒体を高濃度で輸送で きるプラグ輸送に関 して、単一プラグを輸送するのに必要な空 気圧力式 を管の直径・傾斜角・摩擦係数、プラグ長 さおよび粉粒体層のかさ密度を考慮 して導出 し実 験 により確認 している。 また、輸送効率 を計算 し効果的な輸送条件 を考察 している。
第6章 では、振動が加えられた場合の単一プラグ輸送所要空気圧力式 を導 き、水平および鉛直管路で の実験 によりその妥当性 を検証するとともに、より効果的な加振条件 を示 している。
第7章 では、前章の解析結果をもとに、加振器 を適宜配置 した新 しいプラグ流輸送 システムを設計 し て運転 を行い、加振 によリプラグの安定性指数が増加する領域、所要動力低減に最適な輸送速度を見 いだ している。
以上要約す ると、本研究では、粉粒体の空気輸送 に振動 を与え所要動力 を低減するために、実験 と 理論の両面か ら検討 し、振動 による壁面摩擦係低下について新 しい知見 を得て、動力消費が少ない輸 送 システムを提案 してお り、粉粒体の空気輸送技術 に寄与するところが大 きい。
審査の結果、本研究は、粉粒体輸送分野 を中心 として工学的に価値があ り、博士(工学)に相当する 内容 をもつ もの と認定する。
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