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チ ャ ー ト 層 中 の 堆 積 構 造 の 観 察 法

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(1)

〔 解 説

チ ャ ー ト 層 中 の 堆 積 構 造 の 観 察 法

A チ ャ ー ト

チャート(chert)は珪質堆積岩の代表的 なもので、級密で硬く、半透明ガラス質で、

乳 白 色 の も の か ら 灰 ● 黒 ・ 淡 緑 ・ 赤 色 ま で さまざまの色を示す。潜晶〜微晶質または玉 ずい質シリカ(SiOs)を主成分とし、ごくわ ずかのA1203‑Fe203などからなる泥質物 を含んでいる。角岩(hornstone)、ひうち 石(flint)のほか、ノバキユライト(nov‑

aoul工te)、ジヤスパロイド(jusperoid な ど と よ ば れ る こ と も あ る 。

産状としては、石灰岩・泥灰岩・ドロマイ ト層中に団塊またはレンズ状に産する団塊状 チャート、泥質ラミナと互層し層理の発達す る層状チャート(=成層チャートともいう)、

層理のはっきりしない塊状チャートがあり、

本邦の中.古生界中にごく普通に発達する。

チャートの成因に関する研究も過去20年来 急速の進展を見、産状や形態から成因を考察 した意見も数多く発達されてきた。団塊状チ ャートでは交代説と珪質生物源説が主流をし め、実際にも両成因の例にぶつかることがし ばしばある。前者は、石灰質岩または生物の 石灰質遺骸がコロイト.状シリカにより交代さ れるものであり、後者は、珪質海綿やその骨 針、放散虫など珪質遺骸の集合体からなる。

また、石灰岩相と層状チャートが水平的に移 化する部分では、両者の互層部で一見レンズ 状.,41塊状チャートとみられる形態をとるも のがあるが、この場合は層状チャートと同じ 成因であることが多い。層状チャートでは、

−13−

熊 大 ・ 理 村 ・ 田 正 文 海水から化学的沈澱物として生成したコロイ

ド状シリカに起因するとする化学的沈澱岩説、

放散虫・海綿骨針など珪質微化石による生1吻 岩説、および酸性火砕岩説にわかれる。フイ

ルム状、またはきわめて薄いラミナ状の泥質 物(きわめて稀に凝灰質物質)と互層する層 状チャートの多くは、珪質微化石からなり、

化学的沈澱岩とみられるものにぶつかるのは ごく稀である。層状チャートの中でも、厚い 層理を示すものや層理の発達が不鮮明なもの には、化学的沈澱物・酸性凝灰岩・珪質泥岩 などに由来すると思われるものが多い、塊状

チャートに移行するようである。

チャートの組織・構造を観察する場合、,他 の岩石類と同様薄片を作り検鏡することがあ る。続成・変成作用による石英結晶の成長琴 観察するためには必要なことであるが、赤

弗化水素水により腐食したチャートの

研磨面.放散虫化石が級化成層し、見

掛上の層序(矢印)が逆であることを

示す,×1。

(2)

色チャートとよばれる赤褐〜赤紫色のチャ ートの場合をのぞくと、微化石の識別や堆積 構造の観察などは不可能である。一般のチャ ートでは、粒度や組織差による光の透過度に 差が少く、輪かくが不鮮明になるためである。

チャート相からコノドント化石が検出され、

コノト・ン卜化石を分離するために弗化水素に よる溶食法が利用されるようになって、この 方法がチャートの組織観察や微化石の観察・

分離にきわめて有効であることが知られるよ うになった。

B 弗 化 水 素 処 理 法

チャート、および珪質堆積岩類の組織構造 の観察や、含有化石の分離には弗イ助<素によ る溶食・腐食法がひろく禾蝿される。林(1969)

が、コノドント化石を分離するために工夫した 手法が基準となっているが、ここでは准積構 造を観察するための手順のみを紹介する。

(1)野外で採取した試料の水洗

(2)層理に垂直な平断面をつくる。

層 理 に 垂 直 に 切 断 し 、 カ ッ タ ー の 切 りきずが見えなくなるまで研磨。(#

500〜1000程度でよい)

(3,標本番号、野外における見掛上の上下 方向等を記入し、文字の上に透明ラッ

カーパラフィンを塗るか、セロテープ をはる。

(4)ポリバケツ・ポリバットに試料を並べ、

適正濃度の弗化水素水を研磨断面がか ぶるまで注入し、20.0以下で断面を腐 食する。

⑤適切に腐食された試料は静かに取出し、

温湯か水を使って静かに洗浄(3鯛陰以上)

(6)自然乾燥後、双眼実体顕微鏡で観察。

処理操作は簡単であるが、弗化水素水の使 用は危険を伴い、時には指先の麻ひや爪の損 傷など、後遺症を残すことがある。弗化水素 水の使用は、必ず卜・ラフト内で排気を行いつ つ操作し、ゴム手袋、樹脂製ピンセットを使

‑ 1 4 ‑

用し、卜・ラフト内の容器周辺に常に水を流し 洗浄するなどの注意が必要である。試料を数 糸や樹脂製ネットで包み、研磨面を下にして 垂下する方法も一案である。

容器の大きさと弗化水素水の量は、試料の 大きさと数に主って異るが、試料の大きさは 研磨面で数センチメートル角以下でよい。弗 化水素水の適正濃度と処理時間は、岩質によ って著しく差があり、各試料について選定し な け れ ば な ら な い 。 2 , 3 の 例 を 示 せ ば 、 5

%で10〜15時間、10#で8時間、40%{市 販品は40〜60形)で10分程度である。腐食し 過き・ると微細構造が不鮮明となり、不足だと コントラストの不足した腐食面となる。一般 に低濃度で長時間かけ、除々に腐食した方が 良好である。

C 堆 積 構 造 の 観 察 と 層 位 学 へ の 利 用 弗化水素水で処理されたチャートの断面は 白色不透明に変化し、粒度・組織差による溶 食差から様点の模様が浮刻りにされる。この 中で、特に珪質微化石を多量に含む層状チャ ートでは、砂岩・泥岩など砕屑岩類がその粒 度差によって様庵の堆積構造を形成するのと 同様に、微化石やその破片の粒度差が堆積構 造を表現していることが多い。粗粒部は放散 虫の大型のものが密集したり、粗大な破片が 集中し、細粒部には放散虫のトケや海綿骨針 および微細破片が、微細な泥質物とシリカを 基質として点在する。級化葉理・平行葉理・

斜 交 葉 理 か ら 、 ロ ー ド キ ヤ ス ト ・ グ ル ー プ キ ャ ス ト ・ ソ ー ル マ ー ク ・ ユ ン ポ ル ユ ー ト な ど 多くの堆積構造が観察される。

地質調査の際、砕屑岩類中の堆積構造から

地層の上下を判定したり、古流系を解析する

ことは、層位学的手法として一般に行われて

いることである。チャート層にみられる堆積

構造から直接古流系を解析するのには、チャ

ートの堆積環境や一次堆積後の流動など未解

決の問題をかかえているが、地層の上下判定

(3)

には、試料採集の際にわずかの注意を払えば組んできた。チャートの堆積構造から判定さ かなb有効である。従来の調査方法では、石れる層序で、従来の層序が再検討され、大き 灰・チャート・無層理の泥質岩など微粒堆積〈改正されることもしばしば起るであろう。

岩類中では、化石による生層序以外に地層の 上下を判定する有効な手段がなかった。本邦 の中・古生界堆積相で、石灰岩.チャート. 文 献

泥質岩や、それらの互層が発達する地域・層林信悟(1969)".HF法によるコノト・シトの 準はきわめて広く、また生層序を組むのに適抽出.化石研究会誌,.No2,P1‑9, 切なイ妬が各層準から産出する例はきわめて野上裕生・林信悟('971):化石の研究法、.

稀であった。したがって、その様な地域・層ノト・ン卜.化石研究会編,化石の研究 準では止むを得ず見掛の構造に従って層序を法.P160‑164,共立出版社,東京.

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