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自然数の集合

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Academic year: 2021

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(1)

1 整数

1.1 整数の基本的性質

1. 記号と用語

N={1,2,3,· · · } : 自然数の集合.

Z={· · · ,2,1,0,1,2,· · · } : 整数の集合.

±,×,結合法則,分配法則 を付随させ整数環とよぶ.

Q={p/q :p, q Z}: 有理数の集合, R: 実数の集合, C: 複素数の集合,

÷も付随させて有理数体,実数体,複素数体とよぶ.

2. 定理 1.1 (除法定理):

n 非負整数,m 自然数 ⇒ ∃1q,1r Z s.t. n=mq+r および 0r < m.

q n m で割った商,r を剰余という.

3. 除法定理の拡張 :

nZ,m(6= 0)Z ⇒ ∃1q,1rZ s.t. n =mq+r および0r <|m| 4. 演習 :

(1) d 進数展開)n 0以上整数,d 2以上の自然数とするとき n=c0+c1d+· · ·+ckdk (0ci < d) の形に一意的に表せることができることを示せ.

(2) d 進少数展開)d 2以上の整数,x 0< x <1をみたす実数とするとき,

x= a1

d + a2

d2 +· · ·+an

dn +αn (0ai < d, 0αn< 1 dn) の形に一意的に表されることを示せ.

5. 用語と記号

m n を割り切る ⇐⇒ m|n ⇐⇒ n m で割り切れる このときm n の約数,n m の倍数という.

n, mの公約数,公倍数.

最大公約数 (m, n),最小公倍数=mn/(m.n).

(n, m) = 1 のとき n m は互いに素という.

(2)

6. 定理 1.2 :

n=mq+r (n, m, q, rZ− {0}) とする.

n m の公約数は m r の公約数である,また,逆もなりたつ.

とくに (n, m) = (m, r).

7. 演習 : a0 =a1 = 1, an+2 =an+1+an で定まるフィボナッチ数列の隣り合う項は互 いに素,すなわち任意の n について (an, an+1) = 1 であることを示せ.

1.2 ユークリッドの互除法

1. ユークリッドの互除法 :

定理1.2 を応用した二つの整数の最大公約数を求めるアルゴリズム.

2. :

(6188,4709) = (4709,1479) 6188 = 4709×1 + 1479

= (1479,272) 4709 = 1479×3 + 272

= (272,119) 1479 = 272×5 + 119

= (119,34) 272 = 119×2 + 34

= (34,17) 119 = 34×3 + 17 34 = 17×2 + 0

3. 演習 : 三つの自然数a, b, c の最大公約数を(a, b, c) で表す.ユークリッドの互除法 を発展させて,与えられた a, b, c から (a, b, c) を求めるアルゴリズムを作り,それ を用いて (273,468,182) を計算せよ.

4. 定理 1.3(一次不定方程式): a, bZ− {0} とするとき,

ax+by=k が整数解をもつ (a, b)|k 5. : 153x+ 340y= 85 の一般解を求める.

153x+ 340y= 153x+ (153×2 + 34)y= 34y+ 153(x+ 2y) (z =x+ 2yとおく) 34y+ 153z = 34y+ (34×4 + 17)z = 17z+ 34(y+ 4z) (w=y+ 4zとおく)

17z+ 34w= 17z+ (17×2 + 0)w= 17(z+ 2w) となる.あとは

17(z+ 2w) = 85, w=y+ 4z, z =x+ 2y

(3)

x, y について解けばよい.,最後の変数w を自由変数と思って z を消去すれば x= 4520w, y= 9w20

が求める一般解である.

6. 補題 1.4 :

a, b, c を自然数,(a, b) = 1 とする.ことのき a|bcならa|cである.

7. 証明 : 定理1.3 より ax+by = 1 は整数解をもつ.両辺を c 倍して acx+bcy =c を得るが,a|bc よりbc=ad となる dが存在するので左辺は a で括れる.したがっ a|c

8. 演習 :

(1) 62x+ 103y= 5 を解け.

(2) a1, a2,· · · , an 0でない整数とする.一次不定方程式 a1x1+a2x2+· · ·+anxn=k

が整数解をもつための必要十分条件は(a1, a2,· · · , an)|k であることを証明せ よ.ただし a1, a2,· · · , an) a1, a2,· · · , an の最大公約数.

1.3 素因数分解

1. 定義 : 素数とは,約数が1 と自分自身しかない 2 以上の自然数のこと.

合成数とは,素数ではない 2以上の自然数のこと.

2. 補題 1.5 :

p を素数とするとき,p|mnならば p|m または p|n である.

3. 証明 : p6 |m とすると,(p, m) = 1 で,補題 1.4 より分かる.

4. 定理 1.6 (素因数分解の一意性) :

2 以上の自然数は素数の積として順序を除いて一意的に表せる.

5. 一意的な表示 : n=pe11pe22· · ·pekk

ただし2p1 < p2 <· · ·< pk は素数,e1, e2,· · · , ek 1 6. 演習 : n が上のように素因数分解されているとする.

(1) n の異なる約数の個数は(e1+ 1)(e2+ 1)· · ·(ek+ 1) であることを示せ.

(4)

(2) n の異なる約数の全体の和は pe11+11

p11 · pe22+11

p21 · · · · · pekk+11 pk1 となることを示せ.

7. 定理 1.7:

素数は無限個ある.

1.4 合同式

1. 定義 :

a b m を法として合同 ⇐⇒ m|(ab) 合同という関係は同値関係.

m を法として合同な a, b ab mod m で表し,合同式とよぶ.

2. 定理 1.8(合同式の和と積):

aa0 mod m, bb0 modm のとき (1) a±ba0±b0 mod m

(2) aba0b0 mod m

3. 証明 : いずれもルーティン!

4. 演習 :

(1) (公約数による商)自然数 d a, b, m の公約数であるとき,a b mod m となる必要十分条件は a/db/d mod m/d であることを示せ.

(2) (法の簡略化)ab mod mn ならば ab mod m かつ ab modn となることを示せ.また,(m, n) = 1 なら逆が成り立つことを示せ.

(3) 整数a, b, c a2+b2 =c2 をみたすとき,abc0 mod 60 を示せ.

5. 定理 1.9 :

(1) pを素数とすると,ab0 mod p = a0 mod p または b 0 mod p (2) (合同式の割り算)(c, m) = 1 のとき,acbc mod m = ab mod m 6. 証明 : (1) は補題1.5 の言い換え.

(2) bc を左辺に移し,ab cの素因数分解を考えればよい.

(5)

7. 定理 1.10 :

axb mod m (a, m)|b のとき解をもつ.

とくに (a, m) = 1 のときは常に解がある.

8. 証明 : axb modm の解を求めるという問題は,axb =my をみたす整数x, y を求める,すなわち不定方程式axmy =b の整数解を求めるという問題と同じな ので,定理 1.3 よりただちに分かる.

9. : 42x24 mod 51を解く.

まず(42,24,51) = 3 より,全項で商をとると 14x8 mod 17 そこで両辺から 17x17 mod 17 を引くと

3x9 mod 17 さらに (3,17) = 1 だから,両辺を3で割って

x3 mod 17 10. 演習 : 次の合同式を解け.

(1) 7x2 mod 11 (2) 63x98 mod 161

11. 定理 1.11 (中国の剰余定理) :

m1,· · · , mk N , i6=j について (mi, mj) = 1 とする.

a1,· · · , ak Zに対し,連立合同式

xai modmi i= 1,2,· · · , k は解をもち,解は m1m2· · ·mk を法として合同.

12. 証明 : M =m1m2· · ·mk, Mj =M/mj とおき,Mjyaj mod mj の解 dj を使っ x =M1d1+M2d2 +· · ·+Mkdk とおけば,これは連立合同式の解であることが 分かる.

一方,他の解との差は M を法として合同であることも,直接合同式の計算で確か められる.

(6)

13. : 1以上 500 以下の整数で,3で割ると1余り,7で割ると5余り,11で割ると2 余るようなものをすべて列挙する.

求める整数をx として条件を書き下すと,

x1 mod 3, x5 mod 7, x2 mod 11

となる.中国の剰余定理の証明にしたがいう未知数 y1, y2, y3 に関する合同式は (11×7)y1 1 mod 3, (11×3)y2 5 mod 7, (7×3)y3 2 mod 11 が得られ,それぞれの解は

y1 2 mod 3, y2 1 mod 7, y3 9 mod 11 となる.そこで

x= 77×2 + 33×1 + 21×9 = 376 mod 231 が一般解となる.うち1以上500以下の数は145376の二つ.

14. 定理 1.12 (フェルマーの小定理) : p を素数とすると, aZ に対し

ap a modp がなりたつ.

15. 証明 : a0 mod p のときは容易.

a6≡0 mod p のとき,a,2a,· · · ,(p1)a pを法として互いに異る.それらをす べてかけ合わせれば,1·2· · ·(p1)1·2· · ·(p1)ap1

16. 素数判定への応用 : フェルマーの小定理の対偶,すなわち,

aq1 6≡1 modq qは素数ではない

は,万能ではないが,ある数が合成数であることの効率の良い判定に使える.

: n = 899, a = 2 とすると2898 = 221+27+28+29 4·721·219·312 845 6≡ 1 mod 899.実際899 = 29·31より,899 は素数ではない.

演習 : 判定できない例を構成せよ.

(7)

1.5 乗法群(群論への導入)

1. Z, Q, R, C の加法が持つ性質.

結合法則:(a+b) +c=a+ (b+c).

0の役割:a+ 0 =a = 0 +a

逆元の存在:a+ (a) = 0 = (a) +a

2. A=Z,Q, R, C に対し A− {0} の乗法が持つ性質.

結合法則:(ab)c=a(bc)

1の役割:a1 = a= 1a.

逆元の存在:aa1 = 1 =a1a,ただし Z− {0} の場合を除く.

3. 自然数 n1 を指定し,集合 Z n を法とする合同という関係の同値類の集合を Z/nZで表す.Z/nZ={[0], [1], · · ·,[n1]}だが,混乱が生じない場合は同値類の 記号を省略してZ/nZ={0, 1, · · · , n1} と表す場合もある.

4. Z 上の加法は Z/nZ 上の「加法」を誘導する.

説明:

加法とよぶ演算の定義とwell-definedness.

三つの性質の確認.

5. Z 上の乗法は Z/nZ 上の「乗法」を誘導する.

説明:

乗法とよぶ演算の定義とwell-definedness

二つの性質の確認.

Z/nZ− {0} の元が逆元を持つための条件? 

6. (Z/nZ)×={[a]Z/nZ; (a, n) = 1} Z/nZ の乗法群とよぶ.

説明:

乗法で閉じていることの確認.

逆元の存在を確認.

7. 例:n = 5,12 のとき積の表を作る.

8. p を素数とすると,(Z/pZ)×=Z/pZ− {0}

9. (Z/pZ)× ={ak; k = 0, 1, · · · , p1} をみたす a(Z/pZ)× が存在する.

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