プレストレストコンクリート構造の相似解析
開発土木教室渡辺 明
開発土木大学院学生星野親房
開発土木大学院学生松 本 進
Electrical Analogs of Prestressed Concrete Structures
by Akira WATANABE
Chikafusa HOSHINO
Susumu MATSUMOTO
Synopsis
If the prestressing force can be replaced with the external force working on the concrete and also be used of electrical analogs, the analysis of the prestressed concrete structure becomes very easy. From th三s point of view, the authors tried to find the analogous circuits equivalent to some indeterminate structures of prestressed concrete.
This analogy is based on the fact that Castigliano s theorem and the principle of least work have their counterpart in certain electrical networks.
In the electrical circut, moment, angle of deflection, and EK(stiffness)of the member are simulated by current, voltage, and resistance respectively.
The values measured by this method were accurate to within about 3%of the values calcurated.
1 まえがき (断面一定の場合と変断面の場合)の,プレスト プレストレスコンクリ_ト(PC)において, レスによる不静定モ{メントを求める方法にっい
プレストレスによる内力をコンクリ_トに働らく て述べる。
外力として置換えてやると,普通の構造解析と全
く同じ考えでPC構造物を取扱う事ができる。プ 2 プレストレストコンクリート (PC)の基 レストレスにょり, コンクリ_ト部材のうける 礎理論
力,すなわち置換えて考える外力は,コンクリー プレストレッシングとは,構造物において自重 ト断面,緊張材配置の形状などによって異なる や動荷重の作用によって生じる応力を減殺するよ が,ここではPC鋼線が直線および放物線状に配 うに,逆方向の応力をあらかじめ与えることであ 置された部材について考える。 る。この原理をコンクリートに応用したものがプ さて,一般に連続ばりを解くに当っては不静定 レストレストコンクリート(PC)である。図一 モーメントを求める必要がある。その方法として 1(a)に示す様に,矩形断面バリの断面図心位 1)三連モーメント法 2)モーメント分配法 置にPC鋼線を配置し,緊張力Pによりプレスト 3)仮想仕事の原理による方法 4)曲げモーメ レッシングすると,コンクリートに生じる応力は ント, 曲げ回転角の関係を用いる方法 5)荷 一様分布となる。このときPC鋼線には, Pなる 重,変位の関係を用いる方法などがある。(1) 引張力が作用しており,コンクリート断面にはP ここでは電気相似回路により, PC連続ばり なる圧縮力が作用している。
3 緊張力(P)によってコンクリート部材の A A うけるカ
l l
l 1 1)PC鋼線が直線配置されている場合(図一 3)
1 1P.e θ2
P _._. P θ1_ 一
一 θ3 U2 1 び
l u1 エ
A A
(a)断面図心位置に配置(b)偏心配置したPC
したPC鋼線によるプ 鋼線によるプレス ー レストレッシング トレッシング コンクり一トのっける力
図 一 1 図一3 PC鋼線が直線配置された場合
っぎに,PC鋼線がコンクリート部材断面図心 コンクリートに作用する力は,屈曲の程度がス 位置に配置されていない場合には,緊張力Pを2 パソに比べて小さいから
鶏蛾㌘;《巖麟誘こ‡篇 ::三;:Zl::;:1:} (・)
る軸方向力Pと,曲げモーメントP・eである。 となる。
ここに,eは断面図心位置からPC鋼線図心まで 2)PC鋼線が放物線状に配置されている場合 の距離(偏心量)である。 (図一4)
さて,PC鋼線や部材軸が少し檀曲したり屈曲
したりしている場合は複雑になる。この様な場合 p にはコンクリート部材とPC鋼線を全く切り離し
て考える。いま,PC鋼線がスパン中央で屈曲し e、
た部材について考える。図一2(a) 屈曲の
A
程度はスパンに比較して小さいものと仮定する。 eb P PC鋼線をその両端で緊張した場合,その形状を
保つには,屈曲点に下向きの力Uを加えなければ
ならない。したがってコンクリートは,屈曲点に (a)
上向きの力Uと,PC鋼線定着端に圧縮力Pをう
けた状態となる。 +Pe。
L__x −f!P −Peb
一・=ニフ・ ===二 (b)ブレストレス}こよるモーメント
(a)屈曲したPC鋼線 (b)放物線状のPC鋼線
ω=2P(∠lf−e∠11)/ム2(21−」2)
p pp P 皿皿m工口]
コンクリート部材のうける力 (c)コンクリートのうける力
u
図 一 2 図一4 PC鋼線が放物線状に配置された場合
プレストレスによる曲げモーメントルrは,図 M で表わすと,プレストレッシングにより不静 一4(b)で示される。いまルfを 定構造物に作用する曲げモーメントMは
ノレf=ακ2→一〜》ズー}−C /M=.〜Mo→一ノレf, (5)
e=eα+eわ となる。
α=P(e4、一∫の/(⑫、22−X、22) (2) 同様にセン断力についてもつぎの式が成立する。
6=」P・(ノ『X2−e212)/(4124−4122) S=So一ト5, (6)
∫=e.+∫ プレストレスによる不静定力の計算に当っては,
とする。 普通の弾性理論によることが出来る。
ルfをκについて微分してみると,
4ル1/4κ=2砿+ゐ=Q(Q;セン断力) 5 電気相似回路による実験解析 さらに微分すると 1)相似関係
∂2・M/4κ2=4Q/4κ=2α 抵抗値γ、,プ,,夕3なる3個の抵抗器を,図一 =2P(2∫−e21)/412(X1一ε) 5(b)に示す様な7 字型に結線し,その接点
したがって,コソクリートには上向きの等分布荷
重ω MAB MBA
4 PC連続ばり設計に関する基本概念 プレストレッシングによって構造物は一・般に変
形を起す。単純ばりでは,支承部分に拘束がない (a)
ので,プレストレッシングによる変形は自由であ iA}, iB、
トー−2−−1
る・したがって麺反力の変化はない力漣続ば
@ ↓ ↓
りでは支承に与えられた拘束を満足しなければな IAB← →IBA らないので,事情は異なってくる。 「・ r・A B
連続ばりにおいて,中間支点の拘束を取り去っ 「2 て単純ばりとしたとき,プレストレスによっては
りに変形が起る。このとき支承状況は変化するか 〃!
ら,連続ばりとしての支承条件が満足されるため (b)
には,新しい不静定反力を中間支点に作用させる
図 一 5 必要がある。
一般に不静定構造物では・プレストレスにより 、4およびβに電流舳,ぴ∠を流したとする。
支点反力が変化するものである。したがって当然 いま,接点4,君の電圧を九,γβとすると 構造物に作用する曲げモーメント・セン断力等は 各接点から流出する電流五、および1朋は
変㌘ユ議罐撒系とした場合,加一砺+毒㍍)一〆一以)、
プレストレスによる曲げモーメントM・は +一 一一互} 一一(陶已β M。一(プレストレ・シガの引張力P)・ (γ・+γ・)(γ・+γ・)一γ22 1(7)
(偏心量・) 「 (4) 伽一硲ア,)(㌻+。、)ヱ(の i
で表わすことが出来る。支点反力の変化によって 夕、+γ、 . 起る曲げモー.ントを2次曲げモー.ントと呼び +(γ1十γ2)(。、+。、)一。22(一砺)+・助
また, 部材角を零とし, ある断面を標準断面 初
(a)
合,はりの一般タワミ角式は(2・
隠三瓢㌶㌶:}(・) MB汁M °
式(7)と式(8)を比較してみる。 i B i,川
← →i2 いま モーメントA4, Cと電流1,
たわみ角 θ と電圧γ A B C はりの剛度E瓦 と抵抗γ (b)
の間に次の関係があるものとする。
.M一凪, C斗8、,θ一臓 ・ 耐IB・=(i…i・)−i・=°
図 一 6
. って了斑と1βCの和は零となり,連続の式
圧:㌫こ㌶:llご蕊慧㌢流 電輪+屹一・に相当する式が成立することに
なる。
式(9)を式(8)に代入すると式(8)は式(7)と符号を取
(4)端における条件
麟曝難ぷ隠蒜‡あ璽;1罐㌻㌶3㌶雀ぎ
に蟻する・ 零,す妨ちアースすれば良いことになる.端が
i)接点に向って流入する電流を正,流出する
ヒンジのときには接点はそのままで良い。
電流を負とする。
ii)撚交互証負の鰐拷えぷ‖定値にご 3)測定装置 .
蕊嶽と_吐く一致し図一5麟嶽㌶熱㌶崖;璽
(b)に示す臓が一リの回路として用、、ること ル離計を凧 た・1)のi)・ii)で漣
ヵ咄来る。 したことがらは・すべてスィ・チの操作で澗単 2)相似回路についての考察 酬来る様にした・実験に当ってははりの固定端
(1)材端モー.ント モーメントがはりの左端で負右端で正というこ
材端モーメントは,接点を流れる電流を測定し て求められるが,抵抗器両端の電圧を測定して求 めた方が精度が良い。
(2)荷 重
荷重はすべて固定端モーメントとして回路の接 点に流す。
(3)連続条件
連続バリは,図一5(b)に示す回路を順次つ ないでゆけば良い。 相似回路の各接点において は,構造物の各接点において成立する連続の式に
相当する式が成立しなくてはならない。 いま, 写真一1 測定装置
姦禦;;こ羅;鴛漂『;㌶:;二 劉}・P罐侃_,
すなわち,2スパン飾し硝動はりに酬さ ⊥一一一一・−B−=二互(・)
せないようにする・顎(・)は4スパン連続・・リま A』・τ縮+婿三霊㍗m)
で使用出来る様に製作した測定装置である。 −6書m
−27.2t.m
(b)プレストレスによるモーメント図 6 実験例 +6.7t +8 8t
、)2ス〃連続ばり(断面一定) 一…一
図一7(・)に示すはり醜く.断面一定の場 (,)(b)こ129』図 缶式⑦は
P=5t P=5t 2.2t 17.41t 8.8t
際 亭[ (d)(・)による解
Al_+,m_r竺,m_IC 図一・
(a)
0.02(100p o.02(100pアン・ペァ) 図一8(a)に示すPC連続はりのプレストレ アンベア) 蟻0・018(100P スによる支点モーメントMBを求める。、プレス A・・Ω謬B6・Ω、。∫ ア) トレスP・一・・3・4@)とし,まさつによる引張応 力度の減少は無視する。また自重は考えない。
(b) まず,プレストレスによる曲げモーメントを考 図 _ 7 えると,図一8(b)となる。 (b)によるセン 断力図は(c)となるから,・48部分に働らく集
1:‡∵::}⇔ii籔撫量i灘麟㌻
となる。(3) (−2♪×113.4×(15.24×0.39−0.12×7.62)
スパン狙,8cにおけるEκの比が2、3 %=一… .一.7.62巨〜〜i5:2互一…一…
であるから,.48および8Cに相当する回路の =1・28r/吻(上向き)
抵抗比は3:2となる。いまA8をγ=90ρ 結局図一8(d)のはりを解けば良い。次に相似 とするとBCは60Pになる。したがって,相似 回路を考えると,部材断面および剛度が一定であ 回路は図一7(b)で示される。はりA8に作 るから,γ、,γ2,73はすべて等しくなる。いま 用する2つの集中荷重の荷重項はC畑=C朋=P・ 夕=60Ωとすると相似回路は図一9(a)とな α(4−⇒/Xである。X=9〃2,α=3〃2を代入して。 る。
C∠8=Cβ」=2Pとなる。接点A,8にC狙= まず集中荷重の荷重項は
㌫認巖㌶欝芸こ。麗陀 輪一ヴー・…464…2P
なる.P−−5ωであるか一一Y聲・× (已≠b−…2・9×…P
100=−9(メ)。 すなわちM 田=1βメ=−9τ・〃z 接点A,βにそれぞれ0・01464P④,0・0219P④,
2)2スパンPC連続はり(断面一定) の電流を流し,8点より流出する電流を測定す ると
噺・・
(a)相似川路 つぎに,スパンBCにおいて,等分布荷重に
α゜14P4(1°2PA)α゜i1翌:) よる樋項は
A B (b劇柵こ C・・−C・一緩%一・9・如
よる したがって接点B,Cには,0.0194ω(A)の電
M。ご94(1舳)°腸A) 流を流し・測定値に…繰ずればよい・
(c)等分rllに B C 〔図一9(C)〕
よる C 、 M…°661謬・…一一・8・56
−6.8(102A)
1 _Mb3 同様にモーメントハ44=−6.8τ・功に相当する A B〜W「 電流一6.8×10−2(A)を接点Aに流し,測定値 (d)モーメント
3
にょる に102を乗ずる。 〔図一9(d)〕
図_9 〃B・一一;62…1ぐ)×10・一一1・7か〃・
L e・=−10 °°
め寸 ↓R口
1−一珍、−9・・一・、_・・−2、−9・・一→(単位,m)
(。)
十4.9t.m 十4.9t.m 十2.5t.m
A B C −5Lm 『4t
(b)プレストレスによるモーメント図 U=2.5tU=2.5t・
M=十2・5t・m lo=0・377 t/m M=十4.9t.m・
A B C
(c)(b)による荷亜
A 40Ω 184Ω B 130Ω 130Ω・ C
(d)相似回路
図 一 10
結局接点βでの,プレストレスによる2次モー 4)相似回路 メント は =MB1十、Mβ2十114B3=−33.35 表一1より,
か勿で,B点に作用する曲げモーメントMBは スパン・4Bにおいて
脇=ルfo十 ニ13.6か〃2−33.35か〃z C1:C2:C3=夕2十夕3:γ2:γ1十γ2 =−19.75τ・〃2 =8.3:3.7:4.7 となる。 =40:148:184
3)ハンチを持った2スパンPC連続ばり スパン8Cにおいて
図一10(a)に示すような変断面2スパンPC連 C、:C2:C3=10.8:7.25:10.8 続ばりにおけるプレストスによる支点モーメント =130:290:130
を求める。プレストレスはP=50∫とし,まさつに したがって図一10(d)が求める相似回路とな よる引張応力度の減少は無視し,自重は考えない。 る。
(1)プレストレスによる曲げモーメント〔図一 5)荷重項
10(b)〕 矩形断面ばりが任意の形状のハソチを有すると ・4点で +0.05×50=2・5∫・勿 き,これに任意の集中荷重が作用した時の荷重項 ・4Bの中点で 一〇.1×50=−5τ・〃2 は, Richard Guldanの図表(4)(5)などを利用し
8点で +9・75×10−2×50=4・9彦・勿 て求めると,表一2の様になる。
C点で 十9.75×10−2×50=4.9か勿
C点より3.6勿の点で一8.0×10−2×50 表一2 荷重項
=−4㌦ スパン荷 重1荷重項( ・〆
(2)コンクリート部材に働く力
C.1FO.788。碗2_2.000 (i)・4」3部分(等分布荷重) 12
㌍麩2∫−eω一・.377吻(上向き) 1C 一・・496・雀一3・8・3
X12(δ1一の
(ii)BC部分(集中荷重)
σ=Ps仇θ=2.5∫(上向き)
(iii)A点(プレモーメント)
ルf==十2.5か〃z
(iv)C点(プレモーメント)
集中荷重ICBC=°・『8〔 =8・43°
σ=25
6)実測結果
製作した測定装置を用いて,支点Bの2次モ
M=+4・9τ 勿 一.ント脇を実測した結果を表_3に示す。
したがって図一10(c)を解けば良い。
3)はり係数 表一3 測定結果 式(8)で示したはり係数(Beam Coefficients)
C、,C2, C 3をCrossとMorganの図表など(4)
を利用して求めると表一1に示した様になる。
表一1 はり係数
は り 係 数
ス パ ン
C・ lC・ C3
ノ1 β 8.3
@A∀→w一一一
3.7 4.7
8 C 10.8
一.−
@7.25
@ 1
10.8
荷 重 電 流
iアンペア) 実測値@・勿)
等分布による a点に0.038・4点に0.02
+2・68(γ)。10・_+2.06 130(Ω)
集中荷重
@ による
B点に0.00843 b点に0.00532
+1・241(γ)。10・_+6.7 184(Ω)
4点モーメン
gによる ・4点に0.025
一〇・638(γ)。10・__0.4 130(Ω)
C点モーメン
gによる C点に0.0488 一3・46(y)。10・__1.路 184(Ω)
』4B =十6.43τ・勿
結局・プレストレスによって支点Bに作用す る。回路に使用する抵抗はその値が大きい程精度 る曲げモーメントMBは をあげることが出来るが,直流電源装置の電圧も M・=4・88+6・43=11・31∫°働 高いものが必要となる。
となる。 なお,目下,矩形断面の他にT形断面部材や,
これを・他の解法による計算結果と比較してみ 部材角を考えた場合,クリ_プやPC鋼線とコン
ると クリートのまさつを考慮に入れた場合など各種
(1)モーメント分配法によるもの11・49か 2 PC構造の相似回路を求める作業を進めている。
(2)3連モーメント法によるもの11.64τ・勿
となり,相似回路による実測値とわずか1.6〜 参考文献
3%の誤差しかない・ (、)搬飼、「プレストレス,。ン。リー,の設計
および施工」技報堂
7むすび (2)水野高明;「鉄筋コンクリート『[学」森北出版
PC連続はりにおいて,プレストレスによる内 (3)山内利彦;「相似回路によるラーメンの応力解析」
力をコンクリートに加わる外力に置換え,さらシこ 土木学会論蝶第6°号(昭34・1).
電気相似回路を用いて,プレスーこよる不静 (4)蒜:1:fTli:三r㌫三;…s
定モーメントを求める方法について述べた。この L.T.Evans・The M。dified S1。pe−Deflecti。n 回路は・可変抵抗器を用いて比較的簡単に・しか Equati。ns・A. C.1. J。urnal. Dec.1931.
も高い精度をあげることが出来る。実測例として など
は2スパンだけであるが,スパンの数が多くなる (5)R.Guldan Rahmentragwerke und ほど,他の解法に比べて有利であると考えられ Durchlauftrager