中国の金融経済動向について
中国の中古車市場について
2019年11月号
○中国の金融経済動向について
11 月 9 日、中国国家統計局(以下、同局)は、10 月の消費者物価指数(CPI)が前年 同月比 3.8%上昇したと発表しました。これは 2012 年 1 月以来、7 年 9 か月ぶりの 高水準です。一方、食品を除いた CPI は同 0.9%上昇しました。また、生産者物価指数 (PPI)は同 1.6%下落しました。 出所:国家統計局 同局は 10 月の「豚肉の価格が前年同期比 101.3%上昇し、CPI 上昇の 3 分の 2 近く を占めた」と述べています。中国では昨年夏以降、アフリカ豚コレラの感染が拡大 しており、豚肉の供給不足が続いています。一方、食品を除く CPI の上昇率は、低下 傾向にあります。 このような状況に対し、北京青年報は「現在の CPI 上昇はインフレではない」と 指摘しており、人民日報傘下の China Economic Weekly は「業界人の多くは、中央 銀行がこのような物価上昇を抑制するために金利を引き上げるべきではないと考えて いる」と伝えています。 中央政府は、物価安定のために豚肉の増産と養豚業の高度化を促進する政策を 実施したほか、3 回にわたり計 3 万トンの国家備蓄用の冷凍豚肉を市場に安値放出する など、対策を採っています。しかし、年末年始・春節の需要拡大期に向けて、豚肉 価格が下落するかどうかは不透明な状況です。○中国の中古車市場について
1.はじめに
中国の自動車市場では、2018 年の新車販売台数が 2,808 万台(前年比▲2.8%)とな り、15 か月連続のマイナス成長となっています(今年 9 月末現在)。一方で、2018 年 の中古車販売台数は 1,382 万台(同+11.5%)と拡大しています。 出所:中国自動車工業協会 中古車販売が好調な背景としては、①中央政府による中古車市場の活性化支援、② 自動車の買い替えに伴う車齢の若い中古車の市場流入、③インターネットを活用した 中古車市場の発達、などが挙げられます。 世界中の新車市場と中古車市場の比率を見ると、米国では年間の中古車販売台数が 新車の 3~4 倍、ドイツが 2 倍、日本が 1.5 倍程度です。一方、中国の中古車販売台数 は、新車の約 1/2 であり、今後も中古車市場の拡大が見込まれます。 規制緩和や市場拡大などを背景に、中古車市場をターゲットとした企業の新規参入 も多く、日系企業も参入しています。 今回は、中国の中古車市場についてレポートいたします。2.中国の中古車市場について
(1)中古車市場拡大の背景 ①中古車市場の規制緩和、市場拡大政策 2016 年 3 月の全人代の政府活動報告において、「中古車市場の活性化」が提起 されました。それ以降、中古車市場の拡大促進政策が取られています。 出所:各種政府発表を基に筆者作成 ②小型車減税 2015 年 10 月から 2017 年 12 月まで実施された小型車減税(排気量が 1600cc 以下の自動車取得税を 10%から 5%に引き下げ)により、自動車の買い替えが 促進され、車齢の若い中古車の販売が 2016 年以降、急増しています。 名称 発表時期 内容 中古車取引の利便性の促進と 中古車市場の活性化の加速についての通知 2016.6 登録地以外の地域での中古車取引促進、 中古車取引手続きの簡素化など 中古車流通管理弁法の修正 2017.9 中古車取引手続きの更なる簡素化など 個人消費促進体制・メカニズムの 整備に関する実施方案 2018.10 登録地以外の地域での中古車取引制限を全面取消など 供給の更なる最適化による消費の安定成長の 推進と強大な国内市場の形成促進に関する 実施方案 2019.1 中古車販売に伴う増値税税率の軽減など 廃棄自動車リサイクル管理弁法 2019.5 廃棄自動車部品の一部リサイクル利用における環境整備 条件を満たした地区における 中古車輸出業務の支援についての通知 2019.5 10省・直轄市における中古車輸出事業の解禁③インターネットを活用した中古車売買の興隆 2015 年頃から、スマートフォンの普及を背景とし、 オンライン中古車販売 プラットフォームが乱立するようになりました。消費者にとって、実店舗よりも車種 の選択肢が広いオンラインプラットフォームはシェアを拡大し続けており、2018 年に は中古車取引の 16.8%がオンライン取引となっています。代表的なブランドとしては、 C to C プラットフォームである「瓜子二手車※」、C to B 及び B to C プラット フォームである「優信二手車」などが挙げられます。 ※「二手」とは、中国語で「中古」の意味です。 iResearch は、中古車 EC サイトを利用した中古車売買台数は、の 232.7 万台(2018 年)から、453.9 万台(2021 年)へ拡大すると見込んでいます。 出所:iResearch (2)日系企業の動向 ①㈱IDOM 中古車販売チェーン大手「ガリバー」を運営する㈱IDOM は、2017 年 4 月に中国初 店舗を湖北省武漢市にてオープンしました。直近では 2019 年 7 月に江蘇省無錫市に て 20 号店をオープンしています。事業内容は日本におけるガリバーとほぼ同様で、 日本の基準を用いて中古車査定を行っており、消費者が安心して購入出来ることを アピールしています。
②㈱カーチスホールディングス 中古車販売チェーン大手の㈱カーチスホールディングスは、今年 4 月、国際貿易 を主な業務とする中資系企業の山東新華錦国際と、資本業務提携契約を結びました。 新華錦は貿易以外にも多角的な事業展開を行っており、国内外に 100 社を超える 子会社を保有しています。カーチスホールディングスは、新華錦のネットワークを 活かし、自動車及び関連部品の輸出事業を行う合弁会社を、年内を目処に設立する と発表しています。 当社は日本国内の中古車を中国へ供給し、中古車市場を足がかりとして、中央 アジア、EU などへ販売網を広げることを目標に掲げています。